(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121849
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】位置検出装置及び位置検出方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240902BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20240902BHJP
G03F 1/84 20120101ALI20240902BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20240902BHJP
H05G 2/00 20060101ALI20240902BHJP
G01N 21/956 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G01N21/84 E
G03F1/84
H05H1/24
H05G2/00 K
G01N21/956 A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029043
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】林田 慧太朗
(72)【発明者】
【氏名】幸山 常仁
【テーマコード(参考)】
2G051
2G084
2H195
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2G051AA56
2G051AB20
2G051BA05
2G051BA10
2G051BB09
2G051BB11
2G084AA11
2G084CC27
2G084CC35
2G084HH30
2G084HH34
2G084HH42
2H195BD14
2H197CA10
2H197DC02
2H197DC12
2H197GA01
2H197GA24
2H197HA03
4C092AA06
4C092AA15
4C092AB12
(57)【要約】
【課題】プラズマの位置の検出精度を向上させることができる位置検出装置及び位置検出方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る位置検出装置1は、ターゲット112に対してレーザ光LRを集光レンズ110で集光させることにより発生させたプラズマ127からEUV光LEと共に生成された第1光L1及び第2光L2を含む光のうち、第1光L1を集光レンズ110で集光する第1光学系10と、第1光学系10で集光された第1光L10を検出する第1位置検出器11と、第2光L2を集光する第2光学系20と、第2光学系20で集光された第2光L2を検出する第2位置検出器21と、第1位置検出器11で検出された第1光L1のスポットの変化及び第2位置検出器21で検出された第2光L2のスポットの変化から、プラズマ127の位置の変化を検出する位置検出処理部30と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに対してレーザ光を集光レンズで集光させることにより発生させたプラズマからEUV光と共に生成された第1光及び第2光を含む光のうち、前記第1光を前記集光レンズで集光する第1光学系と、
前記第1光学系で集光された前記第1光を検出する第1位置検出器と、
前記第2光を集光する第2光学系と、
前記第2光学系で集光された前記第2光を検出する第2位置検出器と、
前記第1位置検出器で検出された前記第1光のスポットの変化及び前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの変化から、前記プラズマの位置の変化を検出する位置検出処理部と、
を備えた位置検出装置。
【請求項2】
前記第1光及び前記第2光は、EUV光、UV光、可視光、IR光の少なくともいずれかを含む、
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記集光レンズの光軸を第1光軸とした場合に、
前記位置検出処理部は、前記第1位置検出器で検出された前記第1光の前記スポットの位置から、前記第1光軸の方向における前記プラズマの位置の変化、及び、前記第1光軸に交差する方向における前記プラズマの位置の変化を検出する、
請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記集光レンズの光軸を第1光軸とした場合に、
前記位置検出処理部は、前記第1位置検出器で検出された前記第1光の前記スポットの大きさから、前記第1光軸の方向における前記プラズマの位置の変化を検出する、
請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記第2光学系は、前記プラズマから出射した前記EUV光を反射させるコレクターミラーの周縁に配置された複数のミラーを含み、
前記コレクターミラーに入射する前記EUV光の主光軸を第2光軸とした場合に、
前記複数のミラーに入射する前記第2光は、前記第2光軸に対して相互に対称な光軸を有する複数の光束を含み、
前記位置検出処理部は、前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの位置から、前記第2光軸の方向における前記プラズマの位置の変化、及び、前記第2光軸に交差する方向における前記プラズマの位置の変化を検出する、
請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記第2光学系は、前記プラズマから出射した前記EUV光を反射させるコレクターミラーの周縁に配置された複数のミラーを含み、
前記コレクターミラーに入射する前記EUV光の主光軸を第2光軸とした場合に、
前記複数のミラーに入射する前記第2光は、前記第2光軸に対して相互に対称な光軸を有する複数の光束を含み、
前記位置検出処理部は、前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの大きさから、前記第2光軸の方向における前記プラズマの位置の変化を検出する、
請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記位置検出処理部は、検出された前記プラズマの位置の変化に基づいて、前記EUV光を集光するEUV光光学系の光軸を補正するための前記EUV光光学系の光軸の変化を算出する、
請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項8】
ターゲットに対してレーザ光を集光レンズで集光させることにより発生させたプラズマからEUV光と共に生成された第1光及び第2光を含む光のうち、前記第1光を、前記集光レンズを含む第1光学系によって集光するステップと、
前記第1光学系で集光された前記第1光を、第1位置検出器によって検出するステップと、
前記第2光を、第2光学系によって集光するステップと、
前記第2光学系で集光された前記第2光を、第2位置検出器によって検出するステップと、
前記第1位置検出器で検出された前記第1光のスポットの変化及び前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの変化によって、前記プラズマの位置の変化を位置検出処理部によって検出するステップと、
を備えた位置検出方法。
【請求項9】
前記第1光及び前記第2光は、EUV光、UV光、可視光、IR光の少なくともいずれかを含む、
請求項8に記載の位置検出方法。
【請求項10】
前記位置検出処理部によって検出するステップにおいて、
前記集光レンズの光軸を第1光軸とした場合に、
前記第1位置検出器で検出された前記第1光の前記スポットの位置から、前記第1光軸の方向における前記プラズマの位置の変化、及び、前記第1光軸に交差する方向における前記プラズマの位置の変化を検出する、
請求項8または9に記載の位置検出方法。
【請求項11】
前記位置検出処理部によって検出するステップにおいて、
前記集光レンズの光軸を第1光軸とした場合に、
前記第1位置検出器で検出された前記第1光の前記スポットの大きさから、前記第1光軸の方向における前記プラズマの位置の変化を検出する、
請求項8または9に記載の位置検出方法。
【請求項12】
前記位置検出処理部によって検出するステップにおいて、
前記第2光学系は、前記プラズマから出射した前記EUV光を反射させるコレクターミラーの周縁に配置された複数のミラーを含み、
前記コレクターミラーに入射する前記EUV光の主光軸を第2光軸とした場合に、
前記複数のミラーに入射する前記第2光は、前記第2光軸に対して相互に対称な光軸を有する複数の光束を含み、
前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの位置から、前記第2光軸の方向における前記プラズマの位置の変化、及び、前記第2光軸に交差する方向における前記プラズマの位置の変化を検出する、
請求項8または9に記載の位置検出方法。
【請求項13】
前記位置検出処理部によって検出するステップにおいて、
前記第2光学系は、前記プラズマから出射した前記EUV光を反射させるコレクターミラーの周縁に配置された複数のミラーを含み、
前記コレクターミラーに入射する前記EUV光の主光軸を第2光軸とした場合に、
前記複数のミラーに入射する前記第2光は、前記第2光軸に対して相互に対称な光軸を有する複数の光束を含み、
前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの大きさから、前記第2光軸の方向における前記プラズマの位置の変化を検出する、
請求項8または9に記載の位置検出方法。
【請求項14】
前記位置検出処理部によって検出された前記プラズマの位置の変化に基づいて、前記EUV光を集光するEUV光光学系の光軸を補正するための前記EUV光光学系の光軸の変化を算出するステップをさらに備えた、
請求項8または9に記載の位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置検出装置及び位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EUV(Extreme Ultra Violet)光を用いたマスク欠陥検査においては、検査領域を安定した光量で均一に照明する必要がある。例えば、特許文献1~3には、スズ(Sn)等のターゲットに、IR(Infra Red)レーザ光を照射することにより、ターゲットを励起させ、発生したプラズマからEUV光を生成させるLPP(Laser Produced Plasma)方式の光源が記載されている。光源から取り出したEUV光は、マスク検査装置及び露光装置等に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-001924号公報
【特許文献2】特開2014-086523号公報
【特許文献3】特開2011-003887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LPP方式の光源を用いてクリティカル照明の構成をとった場合に、プラズマの輝点の位置が変化すると、検査領域から照明が外れてしまい検査に支障をきたす。LPP方式の光源では、ターゲットの位置が変動したり、レーザ光の照射位置が揺らいだりしうるため、プラズマの発生点が変化する。したがって、プラズマの輝点の位置のずれ方を適切に把握して補正する必要がある。
【0005】
本開示の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、プラズマの位置の検出精度を向上させることができる位置検出装置及び位置検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る位置検出装置は、ターゲットに対してレーザ光を集光レンズで集光させることにより発生させたプラズマからEUV光と共に生成された第1光及び第2光を含む光のうち、前記第1光を前記集光レンズで集光する第1光学系と、前記第1光学系で集光された前記第1光を検出する第1位置検出器と、前記第2光を集光する第2光学系と、前記第2光学系で集光された前記第2光を検出する第2位置検出器と、前記第1位置検出器で検出された前記第1光のスポットの変化及び前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの変化から、前記プラズマの位置の変化を検出する位置検出処理部と、を備える。
【0007】
上記位置検出装置では、前記第1光及び前記第2光は、プラズマ光の中のEUV波長成分を用いてもよいし、UV、可視光、IR等の波長成分を用いてもよい。
【0008】
上記位置検出装置では、前記集光レンズの光軸を第1光軸とした場合に、前記位置検出処理部は、前記第1位置検出器で検出された前記第1光の前記スポットの位置から、前記第1光軸の方向における前記プラズマの位置の変化、及び、前記第1光軸に交差する方向における前記プラズマの位置の変化を検出してもよい。
【0009】
上記位置検出装置では、前記集光レンズの光軸を第1光軸とした場合に、前記位置検出処理部は、前記第1位置検出器で検出された前記第1光の前記スポットの大きさから、前記第1光軸の方向における前記プラズマの位置の変化を検出してもよい。
【0010】
上記位置検出装置では、前記第2光学系は、前記プラズマから出射した前記EUV光を反射させるコレクターミラーの周縁に配置された複数のミラーを含み、前記コレクターミラーに入射する前記EUV光の主光軸を第2光軸とした場合に、前記複数のミラーに入射する前記第2光は、前記第2光軸に対して相互に対称な光軸を有する複数の光束を含み、前記位置検出処理部は、前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの位置から、前記第2光軸の方向における前記プラズマの位置の変化、及び、前記第2光軸に交差する方向における前記プラズマの位置の変化を検出してもよい。
【0011】
上記位置検出装置では、前記第2光学系は、前記プラズマから出射した前記EUV光を反射させるコレクターミラーの周縁に配置された複数のミラーを含み、前記コレクターミラーに入射する前記EUV光の主光軸を第2光軸とした場合に、前記複数のミラーに入射する前記第2光は、前記第2光軸に対して相互に対称な光軸を有する複数の光束を含み、前記位置検出処理部は、前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの大きさから、前記第2光軸の方向における前記プラズマの位置の変化を検出してもよい。
【0012】
上記位置検出装置では、前記位置検出処理部は、検出された前記プラズマの位置の変化に基づいて、前記EUV光を集光するEUV光光学系の光軸を補正するための前記EUV光光学系の光軸の変化を算出してもよい。
【0013】
本開示に係る位置検出方法は、ターゲットに対してレーザ光を集光レンズで集光させることにより発生させたプラズマからEUV光と共に生成された第1光及び第2光を含む光のうち、前記第1光を、前記集光レンズを含む第1光学系によって集光するステップと、前記第1光学系で集光された前記第1光を、第1位置検出器によって検出するステップと、前記第2光を、第2光学系によって集光するステップと、前記第2光学系で集光された前記第2光を、第2位置検出器によって検出するステップと、前記第1位置検出器で検出された前記第1光のスポットの変化及び前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの変化によって、前記プラズマの位置の変化を位置検出処理部によって検出するステップと、を備える。
【0014】
上記位置検出方法では、前記第1光及び前記第2光は、プラズマ光の中のEUV波長成分を用いてもよいし、UV、可視光、IR等の波長成分を用いてもよい。
【0015】
上記位置検出方法では、前記位置検出処理部によって検出するステップにおいて、前記集光レンズの光軸を第1光軸とした場合に、前記第1位置検出器で検出された前記第1光の前記スポットの位置から、前記第1光軸の方向における前記プラズマの位置の変化、及び、前記第1光軸に交差する方向における前記プラズマの位置の変化を検出してもよい。
【0016】
上記位置検出方法では、前記位置検出処理部によって検出するステップにおいて、前記集光レンズの光軸を第1光軸とした場合に、前記第1位置検出器で検出された前記第1光の前記スポットの大きさから、前記第1光軸の方向における前記プラズマの位置の変化を検出してもよい。
【0017】
上記位置検出方法では、前記位置検出処理部によって検出するステップにおいて、前記第2光学系は、前記プラズマから出射した前記EUV光を反射させるコレクターミラーの周縁に配置された複数のミラーを含み、前記コレクターミラーに入射する前記EUV光の主光軸を第2光軸とした場合に、前記複数のミラーに入射する前記第2光は、前記第2光軸に対して相互に対称な光軸を有する複数の光束を含み、前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの位置から、前記第2光軸の方向における前記プラズマの位置の変化、及び、前記第2光軸に交差する方向における前記プラズマの位置の変化を検出してもよい。
【0018】
上記位置検出方法では、前記位置検出処理部によって検出するステップにおいて、前記第2光学系は、前記プラズマから出射した前記EUV光を反射させるコレクターミラーの周縁に配置された複数のミラーを含み、前記コレクターミラーに入射する前記EUV光の主光軸を第2光軸とした場合に、前記複数のミラーに入射する前記第2光は、前記第2光軸に対して相互に対称な光軸を有する複数の光束を含み、前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの大きさから、前記第2光軸の方向における前記プラズマの位置の変化を検出してもよい。
【0019】
上記位置検出方法では、前記位置検出処理部によって検出された前記プラズマの位置の変化に基づいて、前記EUV光を集光するEUV光光学系の光軸を補正するための前記EUV光光学系の光軸の変化を算出するステップをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、プラズマの位置の検出精度を向上させることができる位置検出装置及び位置検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態1に係る光源を例示した断面図である。
【
図2】実施形態1に係る光源の容器を例示した斜視図である。
【
図3】実施形態1に係る光源及び位置検出装置を例示した構成図である。
【
図4】実施形態1に係るプラズマの位置が第1光軸の方向に変化した場合の第1光及び第2光を例示した図である。
【
図5】実施形態1に係る位置検出装置において、ターゲットにおけるプラズマの位置が変化した場合の変化前及び変化後に、第1位置検出器が検出した第1光のスポット及び第2位置検出器が検出した第2光のスポットを例示した図である。
【
図6】実施形態1に係るプラズマの位置が第2光軸の方向に変化した場合の第1光及び第2光を例示した図である。
【
図7】実施形態1に係るプラズマの位置が第1光軸の方向及び第2光軸の方向に変化した場合の第1光及び第2光を例示した図である。
【
図8】実施形態1に係る位置検出装置において、位置検出処理部を例示したブロック図である。
【
図9】実施形態1に係る位置検出方法を例示したフローチャート図である。
【
図10】実施形態2に係る光源及び位置検出装置を例示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本開示の好適な実施の形態を示すものであって、本開示の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0023】
(実施形態1)
実施形態1に係る位置検出装置を説明する。本実施形態の位置検出装置は、例えば、EUV光の光源において、EUV光を生成するプラズマの輝点の位置を検出する。光源は、スズ等のターゲットに、IR光を含むレーザ光を照射することにより、ターゲットを励起させ、発生させたプラズマからEUV光を生成させる。光源は、例えば、検査装置における検査対象を照明する照明光の光源である。また、光源は、露光装置における露光光の光源に用いられてもよい。光源の一例として、容器に保持した溶融金属をターゲットとする例を説明する。なお、光源は、容器に保持した溶融金属をターゲットとするものに限らず、レーザ光の照射によりプラズマを発生する固体金属、液滴等をターゲットとしたものでもよい。
【0024】
プラズマの輝点の位置は、レーザ光のポインティング及びターゲットの液面高さといった要因で変化しうる。検査装置をクリティカル照明の構成としている場合には、プラズマの輝点の位置が変化すると、検査領域から照明が外れてしまうので、輝点のずれ方を適切に把握して補正する必要がある。プラズマの輝点の位置は、3次元の任意の方向にずれうるため、輝点の位置を3次元の座標系で特定し、コントロールする必要がある。そこで、本実施形態では、異なる軸上にカメラ等の位置検出器を配置し、プラズマの輝点の位置の座標を特定する。なお、以下の説明では、プラズマの輝点の位置と、プラズマの位置とは、同じ位置として説明する。まず、<光源>について説明し、その後、<位置検出装置の構成>を説明する。
【0025】
<光源>
図1は、実施形態1に係る光源を例示した断面図である。
図2は、実施形態1に係る光源の容器を例示した斜視図である。
図3は、実施形態1に係る光源及び位置検出装置を例示した構成図である。
図1~
図3に示すように、光源100は、容器111を備えている。容器111は、例えば、坩堝であり、内部で、金属を溶融させることができる。容器111は、レーザ光LRの照射によりプラズマ127を発生させる溶融金属等のターゲット112を保持する。ターゲット112は、例えば、容器111に保持された溶融金属である。なお、ターゲット112は、容器111に保持された溶融金属に限らず、レーザ光LRの照射によりプラズマ127を発生する物質であれば、固体金属、液滴等でもよい。溶融金属は、例えば、スズ(Sn)、または、リチウム(Li)等が溶融したものであるが、レーザ光LRの照射によりプラズマを発生するものであれば、スズ、リチウムに限らない。
【0026】
容器111は、回転軸Rを有し、回転軸Rを中心にして回転する。容器111は、例えば、一方の開口部が閉じた円筒形状である。容器111の閉じた部分を底部113という。容器111の円筒状の部分を円筒部114という。容器111の回転軸Rは、例えば、鉛直方向に延びている。底部113の内側の面を底面115という。円筒部114の内側の面を内周面116という。底部113と円筒部114との接合部分には溝117が形成されてもよい。
【0027】
回転軸Rを囲むように形成された内周面116は、回転軸Rとの距離が一定の円筒状の部分を含んでもよいし、上方ほど外側に拡がったすり鉢状の部分を含んでもよい。例えば、内周面116のすり鉢状の部分は溝117に接続されている。
【0028】
光源100は、容器111の他、ヒータ118、デブリシールド119、コレクターミラー120、ミラー122、ミラー123及び集光レンズ110を備えてもよい。ヒータ118の加熱によって、容器111内に、溶融金属等のターゲット112を形成することができる。EUV光LEは、レーザ光LRがターゲット112に照射されることにより発生したプラズマ127から生成される。コレクターミラー120は、プラズマ127から出射したEUV光LEを反射させる。コレクターミラー120は、生成されたEUV光LEを反射し、EUV光LEを検査装置101等の装置に導く。デブリシールド119は、ターゲット112を覆うように開口部121に配置されている。
【0029】
光源100は、レーザ光LRを生成する励起用レーザを備えてもよいし、光源100の外部に設置した励起用レーザからのレーザ光LRを導入して、ターゲット112を照射するようにしてもよい。レーザ光LRは、例えば、IRレーザ光である。レーザ光LRは、集光レンズ110によって集光され、ターゲット112照射する。
【0030】
図3に示すように、レーザ光LRは、例えば、ミラー122及び123を介して、集光レンズ110に入射する。ミラー122は、例えば、ピエゾステアリングミラーである。ピエゾステアリングミラーは、レーザ光LRの光軸合わせを容易にすることができる。ミラー123は、ハーフミラーまたはビームスプリッタである。
【0031】
集光レンズ110は、レーザ光LRをターゲット112に集光する。ターゲット112は、レーザ光LRの照射により、励起される。これにより、ターゲット112は、プラズマ127を発生し、EUV光LEを生成する。生成されたEUV光LEは、検査装置101等の装置側に取り出される。
【0032】
<位置検出装置の構成>
次に、本実施形態の位置検出装置を説明する。
図3に示すように、位置検出装置1は、第1光学系10、第1位置検出器11、第2光学系20、第2位置検出器21及び位置検出処理部30を備えている。
【0033】
第1光学系10は、ターゲット112に対してレーザ光LRを集光レンズ110で集光させることにより発生させたプラズマ127からEUV光LEと共に生成された光を集光する。EUV光LEと共に生成された光は、第1光L1及び第2光L2を含む。第1光学系10は、第1光L1及び第2光L2を含む光のうち、第1光L1を集光レンズ110で集光する。第1光L1及び第2光L2は、UV光や可視光、IR光を含んでもよいし、EUV光LEを含んでもよい。すなわち、第1光L1及び第2光L2は、EUV光、UV光、可視光及びIR光の少なくともいずれかを含む。
【0034】
第1光学系10は、例えば、集光レンズ110及びレンズ12を有している。よって、集光レンズ110は、光源100において、レーザ光LRを集光すると共に、第1光学系10において、第1光L1を集光する。集光レンズ110及びレンズ12の光軸は、一致してもよい。集光レンズ110の光軸を第1光軸V1と呼ぶ。集光レンズ110とレンズ12との間に、ミラー123が配置されている。第1光学系10は、これら以外の光学部材を含んでもよい。
【0035】
ここで、位置検出装置1の説明の便宜のために、XYZ直交座標軸系を導入する。例えば、ターゲット112に対してレーザ光LRを集光する集光レンズ110の第1光軸V1をZ軸方向とし、第1光軸V1に直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向とする。
【0036】
集光レンズ110は、ターゲット112に対向した位置に配置されている。例えば、集光レンズ110は、ターゲット112の+Z軸方向に配置されている。集光レンズ110は、ターゲット112からEUV光LEと共に生成された第1光L1を集光する。集光レンズ110は、レーザLRを集光してターゲット112へ照射するレンズと共用されている。
【0037】
レーザ光LRは、ミラー122及び123で反射された後で、集光レンズ110の第1光軸V1を含む中央部分を透過してターゲット112に集光される。ターゲット112から生成された第1光L1は、第1光軸V1を含む中央部分を透過する。集光レンズ110を透過した第1光L1の一部は、ミラー123を透過する。ミラー123を透過した第1光L1は、レンズ12に入射する。第1光L1は、レンズ12の光軸を含む中央部分を透過する。レンズ12は、第1光L1を第1位置検出器11上に集光する。
【0038】
第1位置検出器11は、第1光学系10で集光された第1光L1を検出する。第1位置検出器11は、第1光L1のスポットを画像として検出してもよい。第1位置検出器11は、検出した第1光L1のスポットの画像等の情報を位置検出処理部30に出力する。位置検出処理部30は、第1位置検出器11で検出された第1光L1のスポットの変化からターゲット112におけるプラズマ127の位置の変化を検出する。例えば、第1位置検出器11は、プラズマ発光に用いるレーザ光LRの入射軸に一致させた第1光軸V1を主光軸とする第1光L1を検出することにより、主に、レーザ光LRのポインティング変動を検出する。
【0039】
第2光学系20は、EUV光LEと共に生成された第2光L2を集光する。第2光学系20は、複数のミラー及びレンズ26を含む。複数のミラーは、例えば、ミラー22、ミラー23、ミラー24及びミラー25を含んでいる。第2光学系20は、これら以外の光学部材を含んでもよい。
【0040】
ミラー22及び23は、コレクターミラー120の周縁に配置されている。よって、第2光学系20は、コレクターミラー120の周縁に配置された複数のミラー22及び23を含む。ミラー22及び23は、コレクターミラー120の受光面の中央に対して対称な位置に配置されてもよい。ミラー22及び23は、コレクターミラー120の周縁の一部に重なるように配置されてもよい。ミラー22及び23は、プラズマ127から生成されたEUV光等の切り出しミラーとして機能してもよい。
【0041】
ターゲット112から生成された第2光L2は、ミラー22及び23に入射する。したがって、第2光L2は、ミラー22に入射する光束及びミラー23に入射する光束を含む複数の光束を含んでもよい。コレクターミラー120に入射するEUV光LEの主光軸を第2光軸V2と呼ぶ。この場合に、複数のミラー22及び23に入射する第2光L2は、第2光軸V2に対して相互に対称な光軸を有する複数の光束を含む。
【0042】
ミラー22は、入射した第2光L2を反射する。ミラー22で反射された第2光L2は、ミラー24に入射する。ミラー24は、入射した第2光L2を反射する。ミラー24で反射された第2光L2は、レンズ26に入射する。ミラー23は、入射した第2光L2を反射する。ミラー23で反射された第2光L2は、ミラー25に入射する。ミラー25は、入射した第2光L2を反射する。ミラー25で反射された第2光L2は、レンズ26に入射する。レンズ26は、入射した第2光L2を第2位置検出器21上に集光する。具体的には、レンズ26は、ミラー22に入射した第2光L2及びミラー23に入射した第2光L2を第2位置検出器21の同一点に結像する。
【0043】
第2位置検出器21は、第2光学系20で集光された第2光L2を検出する。具体的には、第2位置検出器21は、レンズ26によって同一点に結像された第2光L2を検出する。同一点に結像された第2光L2は、ミラー22に入射した第2光L2及びミラー23に入射した第2光L2を含む。これにより、第2位置検出器21は、EUV光LEの主光軸である第2光軸V2から見たときと等価な情報を得ることができる。第2位置検出器21は、第2光L2のスポットを画像として検出してもよい。第2位置検出器21は、検出した第2光V2のスポットの画像等の情報を位置検出処理部30に出力する。位置検出処理部30は、第2位置検出器21で検出された第2光L2のスポットの変化からターゲット112におけるプラズマ127の位置の変化を検出する。
【0044】
第1光軸V1と第2光軸V2とは、交差している。第1光軸V1は、プラズマ127から+Z軸方向に延びている。第2光軸V2は、プラズマ127から第1光軸V1に交差する方向に延びている。本実施形態の位置検出装置1は、第1位置検出器11を、第1光軸V1を含む光軸上に配置させている。また、位置検出装置1は、第2位置検出器21を、第2光軸V2を含む光軸上に配置させている。これにより、位置検出装置1は、第1光軸V1及び第2光軸V2を用いてプラズマ127の位置を検出する。よって、位置検出装置1は、プラズマ127の位置を3次元の座標系で特定することができる。
【0045】
第2光軸V2は、第1光軸V1と直交する成分が大きいことが望ましい。具体的には、第1光軸V1と第2光軸V2とのなす角は、90°に近い方が望ましい。これにより、プラズマ127の位置の検出精度を向上させることができる。
【0046】
第2光軸V2は、EUV光光学系の光軸と一致させることが望ましい。これにより、検出精度を向上させる。また、ターゲット112の位置が変化した場合の検査領域でのプラズマ127の輝点の動きを模擬することができる。
【0047】
次に、プラズマ127の位置が変化した場合の第1光L1のスポット及び第2光L2のスポットの変化を説明する。まず、<第1光軸方向へのプラズマの位置の変化>及び<第2光軸方向へのプラズマの位置の変化>を説明し、その後、<第1光軸方向及び第2光軸方向へのプラズマの位置の変化>を説明する。
【0048】
<第1光軸方向へのプラズマの位置の変化>
図4は、実施形態1に係るプラズマ127の位置が第1光軸V1の方向に変化した場合の第1光L1及び第2光L2を例示した図である。
図4に示すように、例えば、ターゲット112の液面が変化した場合には、プラズマ127の位置は、第1光軸V1に沿って変化する。プラズマ127の位置の変化ΔV1が集光レンズ110の焦点深度D1以下及びコレクターミラー120の焦点深度D2以下の場合、及び、プラズマ127の位置の変化ΔV1が集光レンズ110の焦点深度D1よりも大きく、コレクターミラー120の焦点深度D2よりも大きい場合に分けて説明する。
【0049】
図5は、実施形態1に係る位置検出装置1において、ターゲット112におけるプラズマ127の位置が変化した場合の変化前及び変化後に、第1位置検出器11が検出した第1光L1のスポット及び第2位置検出器21が検出した第2光L2のスポットを例示した図である。
図5のNO.1は、プラズマ127の位置が第1光軸V1の方向に変化した場合において、焦点深度D1及びD2以下の位置の変化を示す。
図5のNO.2は、プラズマ127の位置が第1光軸V1の方向に変化した場合において、焦点深度D1及びD2より大きい位置の変化を示す。
図5のNO.3は、プラズマ127の位置が第2光軸V2の方向に変化した場合において、焦点深度D1及びD2以下の位置の変化を示す。
図5のNO.4は、プラズマ127の位置が第2光軸V2の方向に変化した場合において、焦点深度D1及びD2より大きい位置の変化を示す。
図5のNO.5は、プラズマ127の位置が第1光軸V1及び第2光軸V2の方向に変化した場合において、焦点深度D1及びD2以下の位置の変化を示す。
図5のNO.6は、プラズマ127の位置が第1光軸V1及び第2光軸V2の方向に変化した場合において、焦点深度D1及びD2より大きい位置の変化を示す。
【0050】
NO.1に示すように、プラズマ127の第1軸V1方向の位置の変化ΔV1が焦点深度D1及びD2以下の場合には、位置の変化ΔV1は、変化前及び変化後において、第1光L1のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響しない。よって、第1位置検出器11において、スポットの大きさは変化しない。また、第1位置検出器11において、スポットの位置は変化しない。
【0051】
さらに、位置の変化ΔV1は、変化前及び変化後において、第2光L2のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響しない。よって、第2位置検出器21において、スポットの大きさは変化しない。しかしながら、第1光軸V1と第2光軸V2とは交差しているので、第2位置検出器21は、プラズマ127の第1軸V1方向の位置の変化ΔV1を、第2光L2のスポットの位置の変化として検出する。
【0052】
NO.2に示すように、プラズマ127の第1軸V1方向の位置の変化ΔV1が焦点深度D1及びD2よりも大きい場合には、位置の変化ΔV1は、変化前及び変化後において、第1光L1のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響する。よって、第1位置検出器11において、スポットの大きさは変化する。一方、第1位置検出器11において、スポットの位置は変化しない。
【0053】
また、位置の変化ΔV1は、変化前及び変化後において、第2光L2のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響する。よって、第2位置検出器21において、スポットの大きさは変化する。第1光軸V1と第2光軸V2とは交差しているので、第2位置検出器21は、プラズマ127の第1軸V1方向の位置の変化ΔV1を、第2光L2のスポットの位置の変化として検出する。
【0054】
<第2光軸方向へのプラズマの位置の変化>
次に、プラズマ127の位置が第2光軸V2の方向に変化した場合を説明する。
図6は、実施形態1に係るプラズマ127の位置が第2光軸V2の方向に変化した場合の第1光L1及び第2光L2を例示した図である。
図6に示すように、例えば、ターゲット112の液面が変化すると共に、レーザ光LRのポインティングが変化した場合には、プラズマ127の位置は、第2光軸V2に沿って変化することがある。プラズマ127の位置の変化ΔV2が焦点深度D1及びD2以下の場合、及び、プラズマ127の位置の変化ΔV2が焦点深度D1及びD2よりも大きい場合に分けて説明する。
【0055】
図5のNO.3に示すように、プラズマ127の第2軸V2方向の位置の変化ΔV2が焦点深度D1及びD2以下の場合には、位置の変化ΔV2は、変化前及び変化後において、第1光L1のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響しない。よって、第1位置検出器11において、スポットの大きさは変化しない。しかしながら、第1光軸V1と第2光軸V2とは交差しているので、第1位置検出器11は、プラズマ127の第2軸V2方向の位置の変化ΔV2を、第1光L1のスポットの位置の変化として検出する。
【0056】
また、位置の変化ΔV2は、変化前及び変化後において、第2光L2のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響しない。よって、第2位置検出器21において、スポットの大きさは変化しない。第2位置検出器21において、スポットの位置は変化しない。
【0057】
NO.4に示すように、プラズマ127の第2軸V2方向の位置の変化ΔV2が焦点深度D1及びD2よりも大きい場合には、位置の変化ΔV2は、変化前及び変化後において、第1光L1のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響する。よって、第1位置検出器11において、スポットの大きさは変化する。また、第1位置検出器11は、プラズマ127の第2軸V2方向の位置の変化ΔV2を、第1光L1のスポットの位置の変化として検出する。
【0058】
位置の変化ΔV2は、変化前及び変化後において、第2光L2のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響する。よって、第2位置検出器21において、スポットの大きさは変化する。第2位置検出器21において、スポットの位置は変化しない。
【0059】
<第1光軸方向及び第2光軸方向へのプラズマの位置の変化>
次に、プラズマ127の位置が第1光軸V1の方向及び第2光軸V2の方向に変化した場合を説明する。
図7は、実施形態1に係るプラズマ127の位置が第1光軸V1の方向及び第2光軸V2の方向に変化した場合の第1光L1及び第2光L2を例示した図である。
図7に示すように、例えば、ターゲット112の液面上におけるレーザ光LRのポインティングが変化した場合には、プラズマ127の位置は、第1光軸V1に沿って変化する成分及び第2光軸V2に沿って変化する成分の両方の成分を有している。プラズマ127の位置の変化ΔV1ΔV2が焦点深度D1及びD2以下の場合、及び、プラズマ127の位置の変化ΔV1ΔV2が焦点深度D1及びD2よりも大きい場合に分けて説明する。
【0060】
NO.5に示すように、プラズマ127の位置の変化ΔV1ΔV2が焦点深度D1及びD2以下の場合には、位置の変化ΔV1ΔV2は、変化前及び変化後において、第1光L1のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響しない。よって、第1位置検出器11において、スポットの大きさは変化しない。しかしながら、第1位置検出器11は、プラズマ127の位置の変化ΔV1ΔV2を、第1光L1のスポットの位置の変化として検出する。
【0061】
また、位置の変化ΔV1ΔV2は、変化前及び変化後において、第2光L2のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響しない。よって、第2位置検出器21において、スポットの大きさは変化しない。しかしながら、第2位置検出器21は、プラズマ127の位置の変化ΔV1ΔV2を、第2光L2のスポットの位置の変化として検出する。
【0062】
NO.6に示すように、プラズマ127の位置の変化ΔV1ΔV2が焦点深度D1及びD2よりも大きい場合には、位置の変化ΔV1ΔV2は、変化前及び変化後において、第1光L1のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響する。よって、第1位置検出器11において、スポットの大きさは変化する。また、第1位置検出器11は、プラズマ127の位置の変化ΔV1ΔV2を、第1光L1のスポットの位置の変化として検出する。
【0063】
また、位置の変化ΔV1ΔV2は、変化前及び変化後において、第2光L2のスポットの大きさ、すなわち、スポットのボケに影響する。よって、第2位置検出器21において、スポットの大きさは変化する。また、第2位置検出器21は、プラズマ127の位置の変化ΔV1ΔV2を、第2光L2のスポットの位置の変化として検出する。
【0064】
位置検出処理部30は、第1位置検出器11で検出された第1光L1のスポットの位置から、第1光軸V1の方向におけるプラズマ127の位置の変化、及び、第1光軸V1に交差する方向におけるプラズマ127の位置の変化を検出する。例えば、第1光L1のスポットの位置が変化しない場合には、位置検出処理部30は、プラズマ127の位置が変化していないか、または、プラズマ127の位置が第1光軸V1の方向に変化したことを検出する。一方、第1光L1のスポットの位置が変化した場合には、位置検出処理部30は、プラズマ127の位置が、例えば、第1光軸V1に直交する成分を有するように変化したことを検出する。
【0065】
また、位置検出処理部30は、第2位置検出器21で検出された第2光L2のスポットの位置から、第2光軸V2の方向におけるプラズマ127の位置の変化、及び、第2光軸V2に交差する方向におけるプラズマ127の位置の変化を検出する。例えば、第2光L2のスポットの位置が変化しない場合には、位置検出処理部30は、プラズマ127の位置が変化していないか、または、プラズマ127の位置が第2光軸V2の方向に変化したことを検出する。一方、第2光L2のスポットの位置が変化した場合には、位置検出処理部30は、プラズマ127の位置が、例えば、第2光軸V1に直交する成分を有するように変化したことを検出する。
【0066】
さらに、位置検出処理部30は、第1位置検出器11で検出された第1光L1のスポットの大きさから、第1光軸V1の方向におけるプラズマ127の位置の変化を検出する。また、位置検出処理部30は、第2位置検出器21で検出された第2光L2のスポットの大きさから、第2光軸V2の方向におけるプラズマ127の位置の変化を検出する。
【0067】
位置検出処理部30は、第1位置検出器11及び第2位置検出器21のうち、一方の検出結果を差し引くことで、プラズマ127の特定の位置の変化を抽出することができる。例えば、位置検出処理部30は、検出結果から第2位置検出器21の検出結果を差し引くことで、ターゲット112の液面の変化のみを抽出することができる。また、位置検出処理部30は、検出結果から第1位置検出器11の液面変化を差し引くことで、レーザ光LRのポインティングの変化のみ抽出することができる。このように、位置検出処理部30は、プラズマ127の位置の変化からレーザ光LRのポインティング変動を差し引くことで、ターゲット112の液面変動の成分を単体で抽出してもよいし、プラズマ127の位置の変化から液面変動を差し引くことでレーザ光LRのポインティング変動の成分を単体で抽出してもよい。
【0068】
検出されたプラズマ127の位置の変化に基づいて、EUV光Eを集光するEUV光光学系の光軸を補正してもよい。例えば、第2位置検出器21から見たプラズマ127の位置に変化がなければ、検査領域の照明位置も適切な位置に保たれると推定される。レーザ光LRのポインティングやターゲット112の液面が変動した場合には、第2位置検出器21から見たプラズマ127の位置に変化がないように、光源100のミラー122(例えば、ピエゾステアリングミラー)の傾きをフィードバッグ制御してもよい。
【0069】
本実施形態では、EUV光LEの主光線成分は、検査装置101で使用するために、位置検出に用いることができない。よって、その代わりに、コレクターミラー120の周縁に配置させたミラー22及び23で第2光L2を切り出す。そして、ミラー22で反射させた第2光L2及びミラー23で反射させた第2光L2を第2位置検出器21上の同一点に結像させる。これにより、第2光軸V2から見た時と等価な情報を得ることができる。
【0070】
位置検出処理部30は、検出されたプラズマ127の位置の変化に基づいて、EUV光Eを集光するEUV光光学系の光軸を補正するためのEUV光光学系の光軸の変化を算出してもよい。位置検出処理部30は、例えば、あらかじめ、プラズマ127の位置の変化とEUV光光学系の光軸の変化とを対応付けて記憶させてもよい。そして、プラズマ127の位置が変化した場合に、プラズマ127の位置の変化に対応付けた光軸の補正を行ってもよい。位置検出処理部30は、例えば、サーバ装置、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置でもよい。
【0071】
図8は、実施形態1に係る位置検出装置1において、位置検出処理部30を例示したブロック図である。
図8に示すように、位置検出処理部30は、制御部31、通信部32、記憶部33及びインターフェース部34を有している。制御部31、通信部32、記憶部33及びインターフェース部34は、それぞれ、制御手段、通信手段、記憶手段及びインターフェース手段としての機能を有している。
【0072】
制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ECU(Electronic Control Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサを含む。制御部31は、位置検出処理及び演算処理等を行う演算装置としての機能を有する。また、制御部31は、通信部32、記憶部33、インターフェース部34及び各装置の機能を実行するための各構成要素の動作を制御する。
【0073】
情報処理装置の各構成要素は、例えば、制御部31の制御によって、プログラムを実行させることによって実現できる。より具体的には、各構成要素は、記憶部33に格納されたプログラムを、制御部31が実行することによって実現され得る。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。また、各構成要素は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。
【0074】
通信部32は、位置検出処理部30が位置検出処理を行う上で必要な通信を行う。記憶部33は、例えば、ROM(Read Only Memory)、又はRAM(Random Access Memory)等である。記憶部33は、制御部31によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するための機能を有する。また、記憶部33は、第1位置検出器11及び第2位置検出器21が検出した画像データ等を一時的に記憶するための機能を有する。
【0075】
インターフェース部34は、例えば、ユーザインターフェース(User Interface)である。インターフェース部34は、キーボード、タッチパネル又はマウス等の入力手段と、ディスプレイ又はスピーカ等の出力手段とに接続されている。インターフェース部は、ユーザ(オペレータ等)によるデータの入力の操作を受け付け、ユーザに対して情報を出力する。
【0076】
次に、本実施形態の位置検出方法を説明する。
図9は、実施形態1に係る位置検出方法を例示したフローチャート図である。
図9のステップS11に示すように、本実施形態の位置検出方法は、まず、第1光L1を集光する。具体的には、ターゲット112に対してレーザ光LRを集光レンズ110で集光させることにより発生させたプラズマ127からEUV光LEと共に生成された光のうち、第1光L1を、集光レンズ110を含む第1光学系10によって集光する。
【0077】
次に、ステップS12に示すように、第1光L1を検出する。具体的には、第1光学系10で集光された第1光L1を、第1位置検出器11によって検出する。
【0078】
次に、ステップS13に示すように、第2光L2を集光する。具体的には、EUV光LEと共に生成された光のうち、第2光L2を第2光学系20によって集光する。
【0079】
次に、ステップS14に示すように、第2光L2を検出する。具体的には、第2光学系20で集光された第2光L2を、第2位置検出器21によって検出する。なお、ステップS11~S12と、ステップS13~S14とは、順序を入れ替えてもよい。すなわち、ステップS13~S14の後にステップS11~S12を行ってもよい。また、ステップS11~S12と、ステップS13~S14とを並列で行ってもよい。
【0080】
次に、ステップS15に示すように、プラズマ127の位置の変化を検出する。具体的には、第1位置検出器11で検出された第1光L1のスポットの変化及び第2位置検出器21で検出された第2光L2のスポットの変化によって、プラズマ127の位置の変化を位置検出処理部30によって検出する。
【0081】
ステップS15において、第1位置検出器11で検出された第1光L1のスポットの位置から、第1光軸V1の方向におけるプラズマ127の位置の変化、及び、第1光軸に交差する方向におけるプラズマ127の位置の変化を検出してもよい。また、第1位置検出器11で検出された第1光L1のスポットの大きさから、第1光軸V1の方向におけるプラズマ127の位置の変化を検出してもよい。
【0082】
さらに、ステップS15において、第2位置検出器21で検出された第2光L2のスポットの位置から、第2光軸V2の方向におけるプラズマ127の位置の変化、及び、第2光軸V2に交差する方向におけるプラズマ127の位置の変化を検出してもよい。また、第2位置検出器21で検出された第2光L2のスポットの大きさから、第2光軸V2の方向におけるプラズマの位置の変化を検出してもよい。
【0083】
このようにして、プラズマ127の位置を検出することができる。なお、位置検出処理部30によって検出されたプラズマ127の位置の変化に基づいて、EUV光LEを集光するEUV光光学系の光軸を補正するためのEUV光光学系の光軸の変化を算出するステップをさらに備えてもよい。
【0084】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の位置検出装置1では、プラズマ127からEUV光E1と共に生成された第1光L1及び第2光L2を検出し、第1光L1のスポットの変化及び第2光L2のスポットの変化から、プラズマ127の位置の変化を検出する。よって、異なる光軸に沿った複数の光の変化からプラズマ127の位置の変化を検出するので、プラズマ127の位置の検出精度を向上させることができる。
【0085】
また、位置検出装置1は、第1光L1のスポットの位置から、第1光軸V1の方向におけるプラズマ127の位置の変化、及び、第1光軸V1に交差する方向におけるプラズマの位置の変化を検出する。また、位置検出装置1は、第2光L2のスポットの位置から、第2光軸V2の方向におけるプラズマ127の位置の変化、及び、第2光軸V2に交差する方向におけるプラズマの位置の変化を検出する。このように、位置検出装置1は、2つの光軸におけるスポットの位置の変化から、プラズマ127の3次元空間における位置の変化を検出することができるので、検出精度を向上させることができる。
【0086】
また、位置検出装置1は、第1光L1のスポットの大きさから、第1光軸V1の方向におけるプラズマ127の位置の変化を検出してもよいし、第2光L2のスポットの大きさから、第2光軸V2の方向におけるプラズマ127の位置の変化を検出してもよい。これにより、第1光軸V1及び第2光軸V2の方向におけるプラズマ127の位置の変化を高精度で検出することができる。
【0087】
プラズマ127の位置の変化が検出された場合には、検出されたプラズマ127の位置の変化に基づいて、EUV光を集光するEUV光光学系の光軸を補正することができるので、EUV光を用いた検査精度を向上させることができる。
【0088】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る位置検出装置を説明する。本実施形態の位置検出装置は、プラズマ127の位置を一定に保つために、第2光L2の一つの光束のみを検出する。
図10は、実施形態2に係る光源及び位置検出装置を例示した構成図である。
図10に示すように、本実施形態の位置検出装置2において、第2光学系20は、ミラー23、ミラー25及びレンズ26を含む。位置検出装置2は、ミラー22及びミラー24を有していなくてもよい。
【0089】
ターゲット112から生成された第2光L2は、ミラー23に入射する。ミラー23は、入射した第2光L2を反射する。ミラー23で反射された第2光L2は、ミラー25に入射する。ミラー25は、入射した第2光L2を反射する。ミラー25で反射された第2光L2は、レンズ26に入射する。レンズ26は、入射した第2光L2を第2位置検出器21上に集光する。
【0090】
第2位置検出器21は、第2光学系20で集光された第2光L2を検出する。具体的には、第2位置検出器21は、レンズ26によって集光された第2光L2を検出する。第2位置検出器21は、第2光L2のスポットを画像として検出してもよい。第2位置検出器21は、検出した第2光V2のスポットの画像等の情報を位置検出処理部30に出力する。位置検出処理部30は、第2位置検出器21で検出された第2光L2のスポットの変化からターゲット112におけるプラズマ127の位置の変化を検出する。
【0091】
本実施形態では、位置検出処理部30は、コレクターミラー120に入射するEUV光LEの主光軸との位置関係を検出していない。しかしながら、EUV光光学系を調整した場合の第2光L2のスポットの位置を検出することができ、プラズマ127の位置を一定に保つようにすることができる。このように、プラズマ127の位置を一定に保つだけでよければ、EUV光の検査装置側の主光線と異なる光軸1つを用いてプラズマ127の位置を検出してもよい。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0092】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。また、実施形態1及び2の各構成は、適宜、組み合わせてもよい。
【0093】
さらに、上記した位置検出処理部30の処理のうちの一部又は全部は、コンピュータプログラムによって実行されてもよい。上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0094】
また、本実施形態の位置検出方法をコンピュータに実行させる下記の位置検出プログラムも実施形態の技術思想に含まれる。
【0095】
ターゲットに対してレーザ光を集光レンズで集光させることにより発生させたプラズマからEUV光と共に生成された第1光及び第2光を含む光のうち、前記第1光を、前記集光レンズを含む第1光学系によって集光させるステップと、
前記第1光学系で集光された前記第1光を、第1位置検出器によって検出させるステップと、
前記第2光を、第2光学系によって集光させるステップと、
前記第2光学系で集光された前記第2光を、第2位置検出器によって検出させるステップと、
前記第1位置検出器で検出された前記第1光のスポットの変化及び前記第2位置検出器で検出された前記第2光の前記スポットの変化によって、前記プラズマの位置の変化を位置検出処理部によって検出させるステップと、
をコンピュータに実行させる位置検出プログラム。
【符号の説明】
【0096】
1、2 位置検出装置
10 第1光学系
11 第1位置検出器
12 レンズ
20 第2光学系
21 第2位置検出器
22、23、24、25 ミラー
26 レンズ
30 位置検出処理部
31 制御部
32 通信部
33 記憶部
34 インターフェース部
100 光源
101 検査装置
110 集光レンズ
111 容器
112 ターゲット
113 底部
114 円筒部
115 底面
116 内周面
117 溝
118 ヒータ
119 デブリシールド
120 コレクターミラー
121 開口部
122、123 ミラー
127 プラズマ
LE EUV光
L1、L2 光
LR レーザ光
R 回転軸
V1 第1光軸
V2 第2光軸