(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121852
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/107 20060101AFI20240902BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61B3/107
A61B3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029047
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】濱口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】三田 真司
(72)【発明者】
【氏名】中村 健志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦生
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AA03
4C316AA09
4C316AA13
4C316AA20
4C316AA24
4C316AA26
4C316AB02
4C316AB11
4C316AB12
4C316AB16
4C316FA01
4C316FA18
4C316FB23
4C316FB24
4C316FC11
4C316FY01
4C316FY05
(57)【要約】
【課題】 角膜に投影されるパターン指標の欠如をできるだけ少なくし、被検眼の眼特性の測定や撮影等の検眼をより適切に行う。
【解決手段】 被検眼の複数の眼特性を検眼する眼科装置は、第1検眼軸を介して、第1眼特性を検眼する第1検眼部と、第1検眼軸に対して偏位した位置に配置された第2検眼軸を介して、第1眼特性とは異なる第2眼特性を検眼する第2検眼部と、角膜形状を得るためのパターン指標を被検眼角膜へ投影するための指標投影器であって、その中心部に第1検眼部の検眼経路を確保するための中心開口窓が形成された指標投影器と、第2検眼軸を介した第2検眼部の検眼経路を指標投影器が遮らないように、中心開口窓が形成された指標投影器を移動する移動手段と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の複数の眼特性を検眼する眼科装置であって、
第1検眼軸を介して、第1眼特性を検眼する第1検眼部と、
前記第1検眼軸に対して偏位した位置に配置された第2検眼軸を介して、前記第1眼特性とは異なる第2眼特性を検眼する第2検眼部と、
角膜形状を得るためのパターン指標を被検眼角膜へ投影するための指標投影器であって、その中心部に前記第1検眼部の検眼経路を確保するための中心開口窓が形成された指標投影器と、
前記第2検眼軸を介した前記第2検眼部の検眼経路を前記指標投影器が遮らないように、前記中心開口窓が形成された前記指標投影器を移動する移動手段と、
を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
請求項1の眼科装置において、
前記指標投影器は、その一部に前記第2検眼部の検眼経路を遮らない大きさの切欠き部を有し、
前記移動手段は、前記第1検眼軸を中心に前記指標投影器を回転させることで、前記切欠き部を移動させることを特徴とする眼科装置。
【請求項3】
請求項2の眼科装置において、
前記第1検眼軸及び前記第2検眼軸の何れに対しても偏位した第3検眼軸を介して、被検眼を検眼する第3検眼部を備え、
前記移動手段は、前記指標投影器を回転させることで、前記第2検眼部による検眼時にはその検眼光路が前記指標投影器によって遮られないように前記切欠き部を移動させ、前記第3検眼部による検眼時には、その検眼経路が前記指標投影器によって遮られないように前記切欠き部を移動させることを特徴とする眼科装置。
【請求項4】
請求項3の眼科装置において、
前記第3検眼軸は、前記第2検眼部による検眼時の検眼経路を前記指標投影器が遮らないように前記切欠き部が移動された状態で、前記切欠き部より外れた前記指標投影器の領域に重なる位置関係に配置されていることを特徴とする眼科装置。
【請求項5】
請求項3又は4の何れかの眼科装置において、
前記切欠き部は、前記第2検眼部による検眼時に前記第2検眼部の検眼経路を確保した状態に移動された場合に、前記第3検眼部の検眼経路が前記指標投影器に遮られ、前記第3検眼部による検眼時に前記第3検眼部の検眼経路を確保した状態に移動された場合に、前記第2検眼部の検眼経路が前記指標投影器に遮られる大きさに形成されていることを特徴とする眼科装置。
【請求項6】
請求項3~5の何れかの眼科装置において、
前記第1検眼軸、前記第2検眼軸及び前記第3検眼軸の何れに対しても偏位した第4検眼軸を介して、被検眼を検眼する第4検眼部を備え、
前記移動手段は、前記指標投影器を回転させることで、前記第4検眼部による検眼時にはその検眼経路が前記指標投影器によって遮られないように前記切欠き部を移動させることを特徴とする眼科装置。
【請求項7】
請求項3~6の何れかの眼科装置において、
前記第3検眼部は、被検眼前眼部に投光された撮影光によって光切断された被検眼前眼部からの戻り光を受光して被検眼の前眼部断面画像を取得し、
前記第3検眼軸は、光切断された被検眼前眼部からの戻り光を受光する受光光学系の光軸であって、前記第1検眼軸に対して所定角度で傾斜した位置関係にあることを特徴とする眼科装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れかの眼科装置において、
前記指標投影器により被検眼角膜に投影された前記パターン指標の投影画像を得る投影画像取得手段と、取得された前記指標投影画像を処理して角膜形状を得る処理手段と、を備え、
前記移動手段は、前記指標投影器の第1回転状態と、前記第1回転状態における前記切欠き部に前記パターン指標が位置する前記指標投影器の第2回転状態と、の少なくとも2回で前記指標投影器を回転させ、
前記処理手段は、前記第1回転状態での指標投影画像と、前記第2回転状態での指標投影画像と、に基づいて前記切欠き部による前記パターン指標の欠損部分を補完処理して角膜形状を得ることを特徴とする眼科装置。
【請求項9】
請求項1の眼科装置において、
前記移動手段は、前記第1検眼軸と前記第2検眼軸の中心間の外側に設けられた回転軸を中心に前記指標投影器を回転させることで、前記第2検眼部による検眼時にはその検眼光路が前記指標投影器によって遮られない状態とすることを特徴とする眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検眼の複数の眼特性を検眼する眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼の眼屈折力、眼圧、等の複数の眼特性を検眼(検査・測定・撮影)する複合型の眼科装置が知られている。さらに、被検眼の角膜形状の分布情報を広範囲に得るためのパターン指標を被検眼の角膜に投影する指標投影器を備える眼科装置が提案されている(特許文献1参照)。この装置は、指標投影器の中心を通る第1検眼軸と、これとは異なる第2検眼軸と、をそれぞれ通過させるための窓部が指標投影器に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複合型の眼科装置に角膜形状を測定するための指標投影器を備えさせる構成においては、さらなる改良が望まれる。例えば、特許文献1では、指標投影器が固定的に配置されているため、より適切な角膜形状の測定や検眼結果が得られ難い。また、例えば、第1検眼軸及び第2検眼軸とは異なる第3検眼軸を介して被検眼を検眼する検眼部を設けた場合、それに対応する窓部を追加しないと、適切な検眼が行えない。
【0005】
本開示は、角膜に投影されるパターン指標の欠如をできるだけ少なくし、被検眼の眼特性の測定や撮影等の検眼をより適切に行える眼科装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の眼科装置は、被検眼の複数の眼特性を検眼する眼科装置であって、第1検眼軸を介して、第1眼特性を検眼する第1検眼部と、前記第1検眼軸に対して偏位した位置に配置された第2検眼軸を介して、前記第1眼特性とは異なる第2眼特性を検眼する第2検眼部と、角膜形状を得るためのパターン指標を被検眼角膜へ投影するための指標投影器であって、その中心部に前記第1検眼部の検眼経路を確保するための中心開口窓が形成された指標投影器と、前記第2検眼軸を介した前記第2検眼部の検眼経路を前記指標投影器が遮らないように、前記中心開口窓が形成された前記指標投影器を移動する移動手段と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の眼科装置の外観を説明する図である。
【
図2】プラチドユニットを被検眼側から見た図である。
【
図3】検眼ユニットにプラチドユニットが備えられた状態と、検眼ユニットからプラチドユニットが取り除かれた状態と、をそれぞれ被検眼側から見た図である。
【
図4】検眼ユニットに配置される角膜形状測定部、各検眼部の光学系、制御系、等の構成要素を説明する図である。
【
図5】プラチドユニットの切欠き部が移動された状態を示す図である。
【
図6】第2実施例の眼科装置が備えるプラチドユニットの移動を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[概要]
以下、典型的な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立又は関連して利用されうる。
【0009】
例えば、眼科装置(例えば、眼科装置1)は、被検眼の複数の眼特性を検眼(検査、測定、撮影)する。例えば、眼科装置は、角膜形状を得るための指標投影器(例えば、プラチドユニット122)と、第1検眼部(例えば、検眼部2A)と、第2検眼部(例えば、検眼部2B)と、移動手段(例えば、移動部135)と、を備える。例えば、眼科装置は、角膜形状測定部(例えば、角膜形状測定部120)に備え、指標投影器は、角膜形状測定部に備えられる。
【0010】
さらに、眼科装置は、第3検眼部(例えば、検眼部2C)を追加的に備えていてもよい。さらに、眼科装置は、第4検眼部(例えば、検眼部2D)を追加的に備えていてもよい。例えば、眼科装置は、投影画像取得手段(例えば、制御部50)を備えていてもよい。例えば、眼科装置は、処理手段(例えば、制御部50)を備えていてもよい。
【0011】
<指標投影器>
例えば、指標投影器は、角膜形状を得るためのパターン指標(例えば、パターン指標124)を被検眼角膜へ投影するために使用される。例えば、指標投影器は、平板状の投影器とされている。例えば、指標投影器は、指標面が平板状にされていてもよい。例えば、指標投影器は、指標投影器は被検眼に対向して配置され、被検眼の正面方向から被検眼角膜へパターン指標を投影する。例えば、パターン指標は、多重のリング状に形成されていてもよい。例えば、リング状のパターン指標は、リング状の遮光部(例えば、遮光部124a)と、リング状の透光部(例えば、透光部124b)が、指標投影器の中心軸を中心として同心円状に交互に複数形成されていてもよい。
【0012】
例えば、指標投影器は、その中心部に第1検眼部の検眼経路を確保するための中心開口窓(例えば、開口窓126)を備えていてもよい。例えば、指標投影器は、その一部に切欠き部(例えば、切欠き部130)を有していてもよい。例えば、切欠き部は、指標投影器の中心部の中心開口窓より外側に設けられていてもよい。例えば、切欠き部は、第2検眼部の検眼経路を遮らない大きさに形成されている。例えば、眼科装置が第3検眼部を備える場合、切欠き部は、第3検眼部の検眼時に、移動手段によって指標投影器が移動された場合に、第3検眼部の検眼経路を遮らない大きさに形成されていてもよい。また、切欠き部の大きさに関し、第2検眼部による検眼時に第2検眼部の検眼経路を確保した状態に移動された場合に、第3検眼部の検眼経路が指標投影器に遮られ、第3検眼部による検眼時に第3検眼部の検眼経路を確保した状態に移動された場合に、第2検眼部の検眼経路が指標投影器に遮られる大きさに形成されていてもよい。これにより、切欠き部の大きさを小さくでき、すなわち、角膜形状の指標投影の欠如をできるだけ少なくし、広範囲の角膜形状を得ることができる。
【0013】
さらに、例えば、眼科装置が第4検眼部を備える場合、切欠き部は、第4検眼部の検眼時に、移動手段によって指標投影器が移動された場合に、第4検眼部の検眼経路を遮らない大きさに形成されていてもよい。例えば、本開示の切欠き部は、各検眼部による検眼時に、それぞれの検眼経路を遮らない大きさであればよく、外側にはパターン指標が配置された窓部(例えば、開口された窓)の場合を含んでいてもよい。なお、本開示における検眼経路とは、検眼に使用される部材や光が通過する経路とされる。
【0014】
<角膜形状測定部>
例えば、角膜形状測定部は、前眼部撮影光学系(例えば、前眼部撮影光学系150)を備えていてもよい。例えば、前眼部撮影光学系は撮像素子を有し、撮像素子により被検眼角膜に投影されたパターン指標を含む前眼部画像が撮像(取得)される。例えば、前眼部撮影光学系の光軸は、指標投影器の中心部の中心開口窓を通過する中心軸(例えば、中心軸LO)と同軸にされる。また、例えば、角膜形状測定部は、アライメント指標投影光学系(例えば、アライメント指標投影光学系160)を備えていてもよい。例えば、角膜形状測定部は、固視標光学系(例えば、固視標光学系170)を備えていてもよい。
【0015】
<第1検眼部>
例えば、第1検眼部は、指標投影器の中心(例えば、開口窓126の中心)を通る第1検眼軸(例えば、検眼軸L1)を介して、第1眼特性を検眼する。例えば、第1検眼軸は、角膜形状測定部の中心軸(例えば、中心軸LO)と同軸とされる。
【0016】
例えば、第1検眼部は、眼特性として、眼屈折力を測定する眼屈折力測定部(例えば、眼屈折力測定部200)を備える。例えば、眼屈折力測定部は、眼屈折力測定光学系(例えば、眼屈折力測定光学系210)を備える。例えば、眼屈折力測定光学系は、被検眼の瞳孔中心部を介して被検眼眼底にスポット状の測定光を投光する投光光学系と、被検眼眼底からの反射光を瞳孔周辺部からリング状に取り出し、受光素子にリング状の反射像を受光する受光光学系と、を備えていてもよい。例えば、第1検眼部が備える光学系は、角膜形状測定部が備える光学系の一部が共用されてもよい。例えば、角膜形状測定部が備える前眼部撮影光学系は、第1検眼部で共用されてもよい。
【0017】
<第2検眼部>
例えば、第2検眼部は、第1検眼軸に対して偏位した位置に配置された第2検眼軸(例えば、検眼軸L2)を介して、第1眼特性とは異なる第2眼特性を検眼するために使用される。。例えば、第2検眼部は、眼特性として、被検眼の眼圧を測定する眼圧測定部(例えば、眼圧測定部300)を備える。例えば、眼圧測定部は、流体(例えば、空気)を被検眼角膜に噴射するノズル(例えば、ノズル312)を備える。例えば、ノズルの中心軸は第2検眼軸と同軸にされる。例えば、眼圧測定部は、流体噴射部(例えば、流体噴射部310)と、角膜変形検出部(例えば、角膜変形検出光学系320)と、を備える。例えば、第2検眼部は、第1検眼部に対して前後方向(作動距離方向)に移動可能に配置されてもよい。例えば、眼圧測定部が使用される場合、指標投影器の最前面に対して眼圧測定部の先端部(例えば、ノズルの先端部)が被検眼側にせり出した状態にされてもよい。
【0018】
<第3検眼部>
例えば、第3検眼部は、第1検眼軸及び第2検眼軸の何れに対しても偏位した第3検眼軸を介して、被検眼を検眼(検査、測定又は撮影を含む)するために使用される。例えば、第3検眼部は、第1検眼部、第2検眼部の何れとも異なる検眼(例えば、眼特性の検査、測定、被検眼の撮影)をするために使用されてもよい。
【0019】
例えば、第3検眼部は、左右被検眼の少なくとも一方を含む被検者顔を撮影する顔撮影部(例えば、顔撮影部400)であってもよい。例えば、顔撮影部は、被検眼に対して、第1検眼部及び第2検眼部の少なくとも一方を粗くアライメントするために使用されてもよい。
【0020】
例えば、第3検眼部は、前眼部断面撮影部(例えば、前眼部断面撮影部500)であってもよい。例えば、前眼部断面撮影部は、前眼部の断面画像を撮影するために利用される。例えば、前眼部断面撮影部は、被検眼前眼部に投光された撮影光によって光切断された被検眼前眼部からの戻り光を受光する受光光学系を有し、被検眼の前眼部断面画像を取得するものであってもよい。この場合、第3検眼軸は、前眼部断面撮影部の受光光学系の光軸でとされ、第1検眼軸に対して所定角度で傾斜した位置関係に配置されていてもよい。
【0021】
例えば、指標投影器が切欠き部を備える場合、第3検眼軸は、第2検眼部による検眼時の検眼経路を指標投影器が遮らないように切欠き部が移動された状態で、切欠き部より外れた指標投影器の領域に重なる位置関係に配置されていてもよい。
【0022】
<第4検眼部>
例えば、第4検眼部は、第1検眼軸、第2検眼軸及び第3検眼軸の何れに対しても偏位した第4検眼軸を介して被検眼を検眼する。例えば、第4検眼部は、第1検眼部、第2検眼部、第3検眼部の何れとも異なる検眼(例えば、眼特性の検査、測定、被検眼の撮影)をするために使用されてもよい。例えば、第3検眼部が顔撮影部を備える場合、第4検眼部は、前眼部断面撮影部であってもよい。
【0023】
<移動手段>
例えば、移動手段は、指標投影器を移動する。例えば、移動手段は、第2検眼部による検眼時に、第2検眼軸を介した第2検眼部の検眼経路を指標投影器が遮らないように、中心開口窓が形成された指標投影器を移動する。例えば、移動手段は、中心開口窓が形成された指標投影器の全体を移動する。これにより、角膜に投影されるパターン指標の欠如をできるだけ少なくし、被検眼の検眼(眼特性の測定や撮影等の検眼)をより適切に行える。例えば、移動手段は、指標投影器を回転すること手段であってもよい。例えば、移動手段は、指標投影器を直線移動する手段を含んでいてもよい。
【0024】
例えば、指標投影器が切欠き部を備える場合、例えば、移動手段は、第1検眼軸を中心に標投影器を回転させることで、切欠き部を移動させる。例えば、移動手段は、指標投影器を回転させることで、第2検眼部による検眼時にはその検眼光路が指標投影器によって遮られないように切欠き部を移動させてもよい。指標投影器の回転により切欠き部が移動されることで、第2検眼部による検眼を可能にし、また、角膜に投影されるパターン指標の欠如をできるだけ少なくできる。
【0025】
例えば、眼科装置が第3検眼部を備える場合、指標投影器を移動させることで、第2検眼部に検眼経路及び第3検眼部による検眼経路が、指標投影器によって遮られない状態とする。例えば、指標投影器が切欠き部を備える場合、移動手段は、第3検眼部による検眼時には、その検眼経路が指標投影器によって遮られないように、切欠き部を移動させてもよい。
【0026】
例えば、指標投影器が切欠き部を備え、また、眼科装置が第3検眼部、第4検眼部を備える場合、移動手段は、指標投影器を回転させることで、第4検眼部による検眼時にはその検眼経路が指標投影器によって遮られないように切欠き部を移動させてもよい。
【0027】
例えば、移動手段は、第1検眼軸と第2検眼軸の中心間の外側に設けられた回転軸(例えば、回転中心軸PL)を中心に指標投影器を回転させることで、第2検眼部による検眼時にはその検眼光路が指標投影器によって遮られない状態とする手段であってもよい。なお、回転軸は、第1検眼軸と平行に配置された軸とされる。この場合、指標投影器には、切欠き部が無くてもよく、角膜に投影されるパターン指標の欠如をより少なくでき、より精度の良い角膜形状の測定ができる。
【0028】
また、例えば、移動手段は、第1検眼軸と第2検眼軸とが通る直線方向、又はこの直線方向に直交する方向に、指標投影器を移動することで、第2検眼部の検眼経路(さらには第3検眼部を備える場合には、その検眼経路)を指標投影器が遮らない状態とする手段であってもよい。
【0029】
<投影画像取得手段>
例えば、投影画像取得手段は、指標投影器により被検眼角膜に投影されたパターン指標の投影画像を得る。例えば、投影画像取得手段は、角膜形状測定部の前眼部撮影光学系に備えられていてもよい。
【0030】
<処理手段>
例えば、処理手段は、投影画像取得手段によって取得された指標投影画像を処理して角膜形状を得る。例えば、指標投影器が切欠き部を持ち、また、移動手段が、指標投影器の第1回転状態と、第1回転状態における切欠き部にパターン指標が位置する指標投影器の第2回転状態と、の少なくとも2回で指標投影器を回転させる場合、処理手段は、第1回転状態での第1指標投影画像と、第2回転状態での第2指標投影画像と、に基づいて切欠き部によるパターン指標の欠損部分を補完処理して角膜形状を得てもよい。これにより、角膜形状の指標投影の欠如を少なくし、広範囲の角膜形状をより適切に得ることができる。
【0031】
[第1実施例]
本開示に係る眼科装置の第1実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、眼科装置1の外観を説明する図である。なお、本開示の眼科装置1、角膜形状測定機能の他、眼屈折力測定、及び非接触式の眼圧測定の機能を備える複合型装置を例にして説明する。なお、眼科装置1は、角膜形状測定機能に加え、被検眼の眼特性を得るために、眼屈折力測定、眼圧測定機能、眼軸長測定、前眼部断面撮影、眼底カメラ、OCT(optical coherence tomography)、SLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)等の少なくとも2つの機能を複合させた複合装置であってもよい。
【0032】
図1において、眼科装置1は、角膜形状測定部120が搭載される検眼ユニット2を少なくとも備える。追加的に、本実施例の眼科装置1は、基台3、顔支持ユニット4、モニタ等の表示部5、制御部50、等を備える。検眼ユニット2は、駆動部6によって、基台3に対してX方向(左右方向)、Y方向(上下方向)及びZ方向(被検眼に対する前後方向)に移動される。すなわち、検眼ユニット2は、顔支持ユニット4に支持される被検顔の日検眼に対してXYZ方向に相対的に移動される。顔支持ユニット4は、例えば、額当て4aと顎台4bを備えてもよい。顎台4bは、顎台駆動部4cの駆動によって上下方向に移動されてもよい。
【0033】
検眼ユニット2の前側(被検眼側)には、角膜形状測定部120が備える、指標投影器の例であるプラチドユニット122が配置されている。プラチドユニット122は、被検眼に対向して配置される。プラチドユニット122は、角膜形状を得るためのパターン指標124(
図2参照)を有し、パターン指標124を被検眼角膜へ投影する。例えば、プラチドユニット122は、平板状の投影器とされている。プラチドユニット122は、後述する移動部135によって、移動可能にされている。
【0034】
検眼ユニット2の内部には、検眼部2Aと、検眼部2Bと、が備えられている。本実施例では、検眼部2Aは、被検眼の眼特性として、眼屈折力を測定するために利用される。検眼部2Aの検眼軸は符号L1で示される。検眼部2Bは、検眼部2Aの上に搭載される。例えば、検眼部2Bは、被検眼の眼特性として、被検眼の眼圧を測定するために利用される。検眼部2Bの検眼軸は符号L2で示される。また、検眼ユニット2には、付加的な検眼部2Cが備えられている。例えば、検眼部2Cは、左右被検眼の少なくとも一方を含む被検者顔を撮影する顔撮影部として利用される。検眼部2Cの検眼軸は符号L3で示される。本実施例の検眼ユニット2には、さらに付加的な検眼部2Dが備えられている。例えば、検眼部2Dは、被検眼の眼特性として、前眼部断面画像を撮影するために利用される。検眼部2Dの検眼軸は符号L4で示される。なお、検眼部2Bは、Z駆動部13の駆動により検眼部2Aに対してZ方向に移動可能に配置されてもよい。
【0035】
図2は、プラチドユニット122を被検眼側から見た図である。
図3は、検眼ユニット2にプラチドユニット122が備えられた状態と(
図3(a))、検眼ユニット2からプラチドユニット122が取り除かれた状態(
図3(b))と、をそれぞれ被検眼側から見た図である。
図4は、検眼ユニット2に配置される角膜形状測定部120、各検眼部の光学系、制御系、等の構成要素を説明する図である。
【0036】
<角膜形状測定部及び各検眼部の検眼軸の位置関係>
角膜形状測定部120のプラチドユニット122の中心軸LOは、検眼部2Aの検眼軸L1と同軸にされる。すなわち、検眼部2Aの検眼軸L1は、プラチドユニット122の中心を通るように設けられ、プラチドユニット122による角膜形状の検眼軸と同軸にされる。検眼部2Bの検眼軸L2は、検眼軸L1に対して偏位した位置に配置されている。本実施例では、検眼軸L2は、検眼軸L1に対するY軸方向の上側の位置で、検眼軸L1と平行に配置されている。検眼部2Cの検眼軸L3は、検眼軸L1及び検眼軸L2の何れに対しても偏位した位置に配置されている。本実施例では、検眼軸L3のY方向の位置は検眼軸L1と検眼軸L2との間に位置され、そのX方向の位置は被検者側から見て左側に位置で、プラチドユニット122を通過する位置に配置されている。(
図3参照)。また、検眼軸L3は、検眼軸L1及び検眼軸L2に対して平行な位置関係に配置されている。検眼部2Dの検眼軸L4は、他の検眼軸(検眼軸L1、検眼軸L2及び検眼軸L3)の何れに対しても偏位した位置に配置されている。本実施例では、検眼軸L4は、検眼軸L1に対して所定角度αで傾斜した位置関係に配置されている。また、検眼軸L4を被検眼側から見た場合、検眼軸L4は、検眼軸L1に対するY軸方向の下側の位置で、プラチドユニット122を通過する位置に配置されている(
図3参照)。
【0037】
<角膜形状測定部>
角膜形状測定部120のプラチドユニット122は、
図2に示すように、プラチド板123を備える。プラチド板123は、角膜形状を得るためのパターン指標124が透光体の板に形成されている。本実施例では、パターン指標124は、多重のリング状のパターン指標とされている。パターン指標124は、プラチド板123に黒塗装されたリング状の遮光部124aと、塗装されていないリング状の透光部124bが、検眼軸L1と同軸にされる中心軸LOを中心として同心円状に交互に複数形成される。各透光部124bの背後には光源125がリング状に配置される。光源125は、例えば、赤外光または可視光を発するLEDが使用される。光源125からの光は、透光部124bを通過し、被検眼角膜にパターン指標124のプラチドリングパターンが投影される。本実施例では、被検眼角膜上に直径10mmほどの範囲に対して、パターン指標124が投影される。
【0038】
また、
図2に示すように、プラチドユニット122の中心部は、検眼軸L1を介した検眼部2Aの検眼経路を確保するための開口窓126が形成されている。本実施例の開口窓126は、後述する指標投影光学系140の光路も確保するサイズとされている。
【0039】
プラチドユニット122は、
図2に示すように、パターン指標124が形成されていない切欠き部130を備える。切欠き部130は、開口窓126より外側に設けられている。プラチドユニット122は、移動部135により、検眼軸L1と同軸の中心軸LOを中心に回転される。プラチドユニット122が回転されることにより、切欠き部130が移動される。検眼部2Bの検眼時(実施例では、眼圧測定時)には、切欠き部130が検眼部2Bの検眼経路に移動される。切欠き部130は、検眼部2Bの検眼経路を遮らない大きさに形成されている。
【0040】
さらに、プラチドユニット122が回転されることで、切欠き部130は、検眼部2Cの検眼時には検眼部2Cの検眼経路に移動され、検眼部2Dの検眼時には検眼部2Dの検眼経路に移動される。このため、切欠き部130は、検眼部2Cの検眼経路及び検眼部2Dの検眼経路も遮らない大きさに形成されている。
【0041】
なお、切欠き部130は、検眼部2B、検眼部2C及び検眼部2Dの検眼時に、プラチドユニット122が回転されてそれぞれの所定位置に移動された場合に、各検眼経路を遮らない大きさであればよく、外側にはパターン指標124が配置された窓部(開口された窓)であってもよい。本開示の切欠き部130は、窓部の場合も含むものとする。
【0042】
また、検眼部2Aの検眼軸L1を中心とした検眼窓の外側には、被検眼にマイヤーリング指標を投影するための指標投影光学系140が配置されている。本実施例では指標投影光学系140は、2重のマイヤーリング指標が投影されるように構成されている。指標投影光学系140は、内側から順にリング状の第1光源141a、リング状の第2光源141bを備える。この指標投影光学系140は、プラチドユニット122が使用される角膜形状測定時には、角膜形状を得るためのパターン指標の一部として使用される。なお、本実施例では、指標投影光学系140は、検眼部2Bに固定配置されている。もちろん、指標投影光学系140は、プラチドユニット122に設けられていてもよい。この場合、ケラト測定時には、内側のリング指標が第1光源141a及び第2光源141bの少なくとも一方が選択的に点灯されることで、ケラト測定に使用される。
【0043】
図4において、角膜形状測定部120は、前眼部撮影光学系150、アライメント指標投影光学系160、固視標光学系170、等を備える。前眼部撮影光学系150、アライメント指標投影光学系160、固視標光学系170の各光軸は、中心軸LOと同軸にされることで、検眼軸L1と同軸にされる。
【0044】
前眼部撮影光学系150は、撮像レンズ、撮像素子152、等を備える。前眼部撮影光学系150の撮像素子152により、被検眼角膜に投影されたプラチドユニット122のパターン指標を含む前眼部画像が撮像(取得)される。また、前眼部撮影光学系150は、被検眼角膜に投影されたアライメント指標の検出光学系を兼ねる。
【0045】
アライメント指標投影光学系160は、例えば、検眼軸L1を挟んで左右対称な光学系を有し、被検眼角膜に平行光束を照射することで無限遠指標を投影する。また、指標投影光学系140は有限遠のアライメント指標を投影する光学系として兼用される。被検眼に対する検眼ユニット2(例えば、角膜形状測定部120、検眼部2A、等)のアライメント時には、被検眼角膜に投影されたアライメント指標像を含む前眼部画像が撮像(取得)され、その信号は制御部50に入力される。そして、アライメント指標投影光学系160の指標像と、指標投影光学系140によるマイヤーリング像と、に基づいて被検眼に対する検眼ユニット2のXYZ方向のアライメント状態が取得される。
【0046】
固視標光学系170は、被検眼に呈示される固視標を有し、固視標が被検眼に固視されることで、被検眼の視線方向を導く。
【0047】
<眼屈折力測定部>
検眼部2Aは、眼屈折力測定部200を備える。眼屈折力測定部200は、眼屈折力測定光学系210を備える。眼屈折力測定光学系210の光軸は、検眼軸L1と同軸にされる。また、眼屈折力測定部200が備える光学系は、角膜形状測定部120が備える光学系の一部が共用される、本実施例では、前眼部撮影光学系150、アライメント指標投影光学系160、固視標光学系170は、眼屈折力測定部200で共用される。
【0048】
例えば、眼屈折力測定光学系210は、被検眼の瞳孔中心部を介して被検眼眼底にスポット状の測定光を投光する投光光学系と、被検眼眼底からの反射光を瞳孔周辺部からリング状に取り出し、受光素子212にリング状の反射像を受光する受光光学系と、を備える。
【0049】
<眼圧測定部>
検眼部2Bは、眼圧測定部300を備える。眼圧測定部300は、空気等の流体を被検眼角膜に噴射するノズル312と、このノズル312を含む流体噴射部310と、角膜変形検出光学系320と、前眼部観察光学系330と、アライメント光学系340と、固視標呈示光学系350と、を備える。
【0050】
ノズル312の中心軸は検眼軸L2と同軸にされる。例えば、流体噴射部310は、シリンダとピストンを備え、シリンダ内で圧縮された空気がノズル312から噴射される。また、流体噴射部310は、シリンダ内で圧縮された空気の圧力を検知する圧力検知器を備える。
【0051】
例えば、角膜変形検出光学系320は、検出光を被検眼角膜に対して斜め方向から投光する投光光学系と、被検眼角膜によって反射された検出光を受光素子に受光する受光光学系と、を備える。受光光学系の光軸は検眼軸L2に対して対称に配置され、受光素子に受光された検出光に基づいて被検眼角膜の変形状態が検出される。
【0052】
前眼部観察光学系330は、撮像素子332を備え、被検眼角膜に投影されたアライメント指標を含む被検眼の前眼部像を撮像(取得)する。
【0053】
アライメント光学系340は、XY方向のアライメント状態を検出するために、被検眼の正面方向から指標を投影する指標投影光学系を備える。また、この指標投影光学系により投影された指標は撮像素子332に撮像され、その画像信号が制御部50に入力されることで、制御部50により被検眼に対する検眼ユニット2のXY方向のアライメント状態が取得される。
【0054】
また、アライメント光学系340は、Z方向のアライメント状態を検出するために、角膜変形検出光学系320の投光光学系と、受光光学系の一部と、を兼用する。アライメント光学系340は、受光光学系から分岐された光路に、Z方向のアライメント状態を検出する撮像素子342を備える。投光光学系により角膜にアライメント光が投光され、その反射光の指標像は受光光学系の一部を介して撮像素子342に受光される。撮像素子342からの信号は制御部50に入力され、制御部50により、撮像素子342に受光された指標像の位置に基づいてZ方向における検眼ユニット2のアライメント状態が取得される。
【0055】
なお、検眼部2Bの眼圧測定部300は、Z駆動部13の駆動により検眼部2Aに対してZ方向に移動可能に配置されてもよい。眼圧測定部300が使用される場合(眼圧測定時)、プラチドユニット122の最前面に対して眼圧測定部300の先端部(ノズル312)が被検眼側にせり出した状態にされる。
【0056】
<顔撮影部>
検眼部2Cは、顔撮影部400を備える。顔撮影部400は撮像素子402を備え、撮像素子402により、左右被検眼の少なくとも一方を含む被検者顔が撮影される。撮像素子402による撮像画像の信号は制御部50に入力される。
【0057】
本実施例では、
図3(b)に示されたように、顔撮影部400の検眼軸L3は、被検者側から見て検眼軸L1及びL2に対して左側に偏位して位置する。このため、初めに被検者の右眼に検眼軸L1又はL2を位置合わせする場合には、撮像素子402によって、被検者の左右両眼が含まれる被検者の顔が撮影される。これにより、検眼ユニット2に対する左右の被検眼の粗い位置関係が制御部50によって取得される。
【0058】
<前眼部断面撮影部>
検眼部2Dは、前眼部断面撮影部500を備える。前眼部断面撮影部500は、前眼部の断面画像を撮影するために利用される。前眼部断面撮影部500は、投光光学系510と受光光学系520と、を備える。
【0059】
投光光学系510の光軸は検眼軸L1と同軸にされる。投光光学系510は、光源、スリット部材、等の要素を有し、被検眼前眼部に対して撮影光の例であるスリット光を投光する。スリット部材は、瞳共役位置に配置されてもよい。本実施例では、スリット光は、前眼部の水平方向(X方向)を光切断するように投光される。例えば、スリット光の投光により、角膜前面から水晶体後面までの間に切断面が形成される。
【0060】
受光光学系520は、レンズ系、光検出器の例である撮像素子522、等を有する。検眼部2Dの検眼軸L4は、受光光学系520の光軸とされ、検眼軸L1に対して角度αで傾斜して配置されている。受光光学系520において、レンズ系及び撮像素子522は、前眼部に設定される切断面とシャインプルーフの関係に配置される。すなわち、切断面とレンズ系の主平面と、撮像素子522の撮像面と、の各延長面が、1本の交線(一軸)で交わるような光学配置となっている。撮像素子522は、スリット光によって光切断された前前眼部からの戻り光(反射光、又は散乱光)を受光する。そして、撮像素子522からの信号に基づいて、前眼部の断面画像が制御部50によって取得される。
【0061】
<制御系>
図4において、制御部50は、眼科装置1の全体の制御を司る。制御部50は、角膜形状測定部120、眼屈折力測定部200、眼圧測定部300、顔撮影部400、前眼部断面撮影部500が有する各電気要素(撮像素子、光源、受光素子、等)と接続されている。また、制御部50は、駆動部6、Z駆動部13、移動部135、等と接続され、これらの駆動を制御する。また、制御部50は、撮像素子152、受光素子212、撮像素子332、撮像素子342、撮像素子402、撮像素子522によって取得された各画像及びその他の各種の検査結果を処理する。表示部5は、操作部を兼ねたタッチパネルとして機能する。また、表示部5は、各撮像素子によって取得された画像、被検眼の検眼結果、等を画面に表示する。また、制御部50は、記憶装置の例であるメモリ52が接続されている。メモリ52には、撮像素子152で取得されたプラチドリング画像、撮像素子522によって取得された前眼部断面画像、各種検眼結果、等が記憶される。また、メモリ52に各種の制御プログラムが記憶されている。また、制御部50は、音声発生部54に接続されている。音声発生部54により、被検者をガイドする音声が発せられる。
【0062】
なお、移動部135はモータ等の駆動装置により構成される他、検者が手動で移動させる機構を持つ構成であってもよい。
【0063】
<制御動作>
以上のような構成を備える眼科装置1において、その制御動作を説明する。眼科装置1は、例えば、複数の検眼モードを備え、各検眼モードに応じて動作する。例えば、検眼モードとしては、眼屈折力測定部200、眼圧測定部300、角膜形状測定部120、及び前眼部断面撮影部500をそれぞれ単独で動作せるモードの他、複数の測定動作又は撮影動作を組み合わせて連続的に行うモードが用意されている。検眼モードは、表示部5が兼ねる操作部のモード選択スイッチによって選択される。以下では、例えば、眼屈折力測定、角膜形状測定、前眼部断面撮影、眼圧測定が順番に連続的に行われる連続検眼モードが選択された場合を説明する。
【0064】
検眼開始時には、プラチドユニット122が回転され、
図5(a)に示すように、検眼部2C(顔撮影部400)の検眼経路(ここでは観察経路)を遮らないように、切欠き部130が移動される。左右の被検眼の内、初めに右眼が検眼されるように、検眼ユニット2が移動される。すなわち、顔支持ユニット4に被検者の顔が支持された状態で、検眼ユニット2の検眼軸L1は右眼側に位置され、顔撮影部400の検眼軸L3が顔支持ユニット4の左右中央付近に位置されている。これにより、顔撮影部400の撮像素子402には、被検者の両眼が含まれる被検者の顔画像が撮像される。撮像素子402に撮像された画像が制御部50により画像処理されることで、被検眼の右眼及び左眼が抽出される。そして、制御部50により、検眼軸L1に対する右眼及び左眼のXY方向の位置関係が取得される。撮像素子402に撮像された被検者の顔画像は、表示部5の画面に表示される。
【0065】
次に、取得された右眼のXY方向の位置に基づいて駆動部6が駆動され、右眼の被検眼に検眼軸L1が粗くアライメントされるように、検眼ユニット2がXY方向に移動される。なお、Y方向のおける検眼ユニット2の位置が移動限界に達している場合は、制御部50により顎台駆動部4cが駆動され、顎台4bが移動されることで、被検眼に対する検眼ユニット2(検眼軸L1)の位置合わせが可能とされる。
【0066】
被検眼に対するXY方向の粗いアラメントが完了し、後退されていた検眼ユニット2が徐々に被検眼に近づくようにZ方向に移動されると、前眼部撮影光学系150の撮像素子152に被検眼の前眼部像が撮像される。被検眼の前眼部像には、指標投影光学系140によるマイヤーリング像と、アライメント指標投影光学系160による指標像と、が含まれ、これらの位置が制御部50によって取得される。そして、これらの指標像に基づき、被検眼に対する検眼ユニット2の精密なアライメントが行われる。例えば、XY方向のアライメント状態は、マイヤーリング像の中心が検出されることで取得される。Z方向のアライメン状態は、アライメント指標投影光学系160の指標像の像間隔と、マイヤーリング像の像間隔と、に基づいて取得される。
【0067】
なお、アラメント時には、指標投影光学系140の第1光源141a又は第2光源141bの一方によるマイヤーリン指標が選択的に投影されていてもよい。これにより、アライメント指標投影光学系160による指標像と、マイヤーリング指標像と、の区別が行い易くされる。また、被検眼には固視標光学系170による固視標が呈示され、被検眼の視線が検眼軸L1方向に導かれる。また、精密なアライメント時には、表示部5の画面に表示される画像は、撮像素子152に撮像された前眼部画像に切換えられる。
【0068】
被検眼に対する検眼ユニット2の精密なアライメントが完了されると、眼屈折力測定部200による測定が実行され、眼屈折力の測定結果(例えば、球面度数、乱視度数、乱視軸角度の各値)が取得される。また、指標投影光学系140によるマイヤーリング指標像が撮像素子152に撮像され、これが画像処理されることで、角膜前面形状のケラト値(マイヤーリング指標が投影された領域における角膜曲率、角膜乱視度数、及び角膜乱視軸角度の各値)が取得される。
【0069】
なお、被検眼の正面に位置するプラチドユニット122が平板状にされていることで、円錐型のプラチド板やコーン型の指標投影器に比べ、Z方向の作動距離を短くでき、より精度の良い測定が行える。また、眼屈折力測定部200による測定時は、プラチドユニット122の切欠き部130の位置は、不問とされる。例えば、検眼部3C(顔撮影部400)による顔撮影が可能な状態のまま測定が行われてもよい。
【0070】
眼屈折力測定部200による検眼モードが終了すると、次の検眼モードに移行される。例えば、角膜形状測定部120による検眼モードに移行される。この検眼モードでのアライメント状態は、眼屈折力の検眼モードと同じとされる。なお、この検眼モードにおいて、プラチドユニット122の切欠き部130の位置は、直前の検眼モードの状態のままであってもよい。或いは、切欠き部130による欠損の影響を少なくするために、
図3(a)のように、切欠き部130が上側に位置する状態に、プラチドユニット122が回転されてもよい。
【0071】
角膜形状測定に当たり、被検者には瞬きを行うように検者によって指示されてもよい。あるいは、音声発生部54により、瞬きを促す旨の音声が自動的に発生されてもよい。被検眼の瞬きがされることにより、角膜上の涙液の渇きが軽減され、被検眼角膜に投影されるパターン指標124の角膜反射光が良好に得られ易くされる。
【0072】
プラチドユニット122の光源125が点灯され、被検眼角膜にパターン指標124が投影される。また、指標投影光学系140の第1光源141a及び第2光源141bが点灯され、これらによるリング指標も角膜形状を得るためのパターン指標の一部として使用される。
【0073】
被検眼角膜に投影されたパターン指標像は、前眼部撮影光学系150の撮像素子152に撮像される。撮像素子152に撮像されたパターン指標像の画像は、メモリ52に記憶される。制御部50は、撮影されたパターン指標像を画像処理して解析することで、角膜前面の詳細な形状情報を得る。
【0074】
角膜形状測定部120による検眼モードが終了すると、次の検眼モードに移行される。例えば、検眼部2D(前眼部断面撮影部500)による検眼モードに移行される。この検眼モードの開始に当たり、プラチドユニット122が回転され、
図5(b)に示すように、検眼部2D(前眼部断面撮影部500)の検眼経路(ここでは受光光学系520による受光経路)を遮らないように、切欠き部130が下側に位置するように移動される。これにより、検眼部2Dの検眼経路が確保される。
【0075】
前眼部断面撮影部500の投光光学系510の光源が点灯され、被検眼前眼部にスリット光が投光される。スリット光により光切断された前眼部は、受光光学系520の撮像素子522により撮像される。撮像素子522により撮像された画像は、メモリ52に記憶される。制御部50は、撮像された前眼部断面画像を画像処理して解析することで、水晶体の混濁の程度、水晶体前面から角膜後面までの距離、角膜前面と角膜後面との距離(すなわち、角膜厚)、等の解析結果を得る。
【0076】
前眼部断面撮影部500による検眼モードが終了すると、次の検眼モードに移行される。例えば、検眼部2B(眼圧測定部300)による検眼モードに移行される。この検眼モードの開始に当たり、プラチドユニット122が回転され、
図3(a)に示すように、検眼部2B(眼圧測定部300)の検眼経路を遮らないように、切欠き部130が上側に位置するように移動される。
【0077】
眼圧測定部300の測定前には、駆動部6によって検眼ユニット2が一旦後方(被検眼から離れる側)に後退された後、Z駆動部13が駆動され、ノズル312の先端部がプラチドユニット122の切欠き部130を通過し、プラチドユニット122の最前面に対して被検眼側にせり出すように、眼圧測定部300がZ方向に移動される。また、眼圧測定部300の検眼軸L2は、検眼軸L1に対して上側に偏位しているので、検眼軸L2と検眼軸L1との設計距離に基づいて、駆動部6によって検眼ユニット2が下降される。これにより、被検眼に対するY方向の位置合わせが粗く行われる。表示部5の画面に表示される画像は、前眼部観察光学系330の撮像素子332による観察画像に切換えられる。その後、後退されていた検眼ユニット2が、駆動部6によって緩やかに被検眼に近づくように前進される。
【0078】
検眼ユニット2が被検眼側に近づくと、アライメント光学系340によって被検眼に投影された指標が撮像素子332に撮像されるようになり、この指標像の検出に基づいてXY方向のアライメント状態が取得される。このアライメント状態の取得結果に基づき、駆動部6が駆動され、検眼ユニット2のXY方向の精密なアライメントが行われる。また、検眼ユニット2が被検眼側に近づくと、角膜変形検出光学系320の投光光学系によって被検眼に投光された指標像が撮像素子342に受光されるようになり、これに基づいて検眼ユニット2のZ方向の精密なアライメントが行われる。
【0079】
被検眼に対する検眼ユニット2(すなわち、眼圧測定部300)のアライメントが完了されると、流体噴射部310が駆動されることで、被検眼角膜に向けて流体が噴射され、角膜が変形される。角膜の変形状態は、角膜変形検出光学系320が備える受光素子により検出される。そして、この受光素子の検出結果と、流体噴射部310が持つ圧力検知器による圧力検知と、に基づいて被検眼の眼圧の測定結果が取得される。
【0080】
被検者の右眼の検眼が終了すると、検眼ユニット2が左眼側に移動され、右眼と同様に、左眼の眼屈折力測定、角膜形状測定、前眼部断面撮影、及び眼圧測定が順に行われる。なお、左眼の検眼に当たっては、検眼部2C(顔撮影部400)による顔撮影は必ずしも行われなくてもよい。右眼の検眼時に撮影された顔画像に基づいて左右の被検眼の位置関係が取得されているため、その位置関係に基づいて検眼ユニット2がXY方向に移動されることで、左眼に対する検眼ユニット2(例えば、初めは検眼軸L1)の粗いアライメントが制御部50によって自動的に行われる。もちろん、アライメントは表示部5に表示される操作部を操作し、検者が手動で検眼ユニット2の移動指示信号を入力してもよい。
【0081】
以上より各検眼が終了すると、その検眼結果(測定結果、撮影結果)が表示部5に表示される。例えば、角膜形状の測定結果は、角膜の形状マップとして、色分けされたカラーマップ、等高線マップ、等で表現され、表示部5に表示される。例えば、前眼部断面撮影部500により得られた前眼部断面画像が表示部5に表示されると共に、水晶体前面から角膜後面までの距離、角膜厚、等の解析結果が表示部5に表示される。
【0082】
以上のように、プラチドユニット122が切欠き部130を備える構成においては、プラチドユニット122が回転され、切欠き部130が移動されることより、プラチドユニット122の中心以外の異なる位置に偏位した複数の検眼軸(例えば、検眼軸L2、L3、L4の少なくとも2つ)が存在する場合であっても、一つの切欠き部130によって各検眼部の検眼を可能にしつつ、角膜に投影されるパターン指標124の欠如をできるだけ少なくした角膜形状の測定が行え、各検眼が適切に行える。
【0083】
なお、上記の説明では、角膜形状測定部120による検眼(パターン指標124の投影画像の取得)は、眼屈折力測定の後に行われるものとしたが、これに限られない。検眼部2C(顔撮影部400)による顔画像の取得後であれば、角膜形状測定部120による検眼の時期は問わない。例えば、眼圧測定部300による測定後であってもよい。
【0084】
<第1実施例の変容例>
上記では、角膜形状測定は、プラチドユニット122のある1つの回転状態で行われるものとしたが、欠き部130が異なる位置に移動された状態で、角膜形状が測定されてもよい。例えば、欠き部130が異なる位置に移動された状態で、それぞれ得らえたパターン指標124の投影画像に基づき、切欠き部130の欠損部分が補完された角膜形状の解析結果を得ることでもよい。すなわち、制御部50は、プラチドユニット122の第1回転状態と、その第1回転状態における切欠き部130に、パターン指標124が位置する状態の第2回転状態と、の少なくとも2回でプラチドユニット122を回転させる。例えば、第1回転状態は、
図3(a)のように、切欠き部130が上側に位置し、第2回転状態は、
図5(b)のように、切欠き部130が下側に位置する状態が挙げられる。そして、制御部50は、第1回転状態で得られた第1の指標投影画像と、第2回転状態で得られた第2の指標投影画像と、に基づいて切欠き部130によるパターン指標124の欠損部分を補完処理して角膜形状を得ることでもよい。
【0085】
例えば、上記の補完処理に関し、制御部50は、第1の指標投影画像に基づいて得た角膜形状と、第2の指標投影画像に基づいて得た角膜形状と、を合成することで、切欠き部130によって第1の指標投影画像で欠損していた角膜形状を補完処理する。あるいは、補間処理としては、第1の指標投影画像の欠損部分を、第2の指標投影画像から切り出し、これを画像合成することで、切欠き部130による欠損部分が排除された全体の指標投影画像を得ることでもよい。これにより、プラチドユニット122に切欠き部130が形成されていない場合における、全体の角膜形状が得られる。
【0086】
また、上記では、第1検眼部の例である検眼部2A、第2検眼部の例である検眼部2Bの他に、検眼部2C及び検眼部2Dの両方を備える例を説明したが、検眼部2C及び検眼部2Dの一方を備える場合であってもよい。この場合も、一つの切欠き部130によって各検眼部の検眼を可能にしつつ、角膜に投影されるパターン指標124の欠如をできるだけ少なくした角膜形状の測定が行え、各検眼が適切に行える。
【0087】
また、上記では、検眼部2Bの検眼軸L2は、検眼部2Aの検眼軸L1の上方向(Y方向)に配置された例を説明したが、検眼部2Aの左右方向(X方向)に配置されてもよい。それに応じて、
[第2実施例]
第2実施例は、第1実施例に対し、プラチドユニットに切欠き部130を設けず、検眼部2Bの眼圧測定部300による検眼時には、検眼軸L2を介した検眼部2Bの検眼経路をプラチドユニットが遮らないように、プラチドユニットを移動させる例である。なお、第2実施例の眼科装置1においては、実施例1の検眼部2D(前眼部断面撮影部500)が検眼ユニット2に設けられていない例として説明する。第2実施例の他の構成構成は、基本的に第1実施例と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
【0088】
図6は、第2実施例の眼科装置1が備えるプラチドユニット122Bの移動を説明する図である。
図6(a)は、角膜形状測定部120による測定時、及び検眼部2A(眼屈折力測定部200)による検眼時に、プラチドユニット122Bが位置する状態を示す。
図6(b)は、検眼部2C(顔撮影部400)及び検眼部2B(眼圧測定部300)の検眼時に、プラチドユニット122Bが移動された状態を示す。
図6(c)は、検眼ユニット2からプラチドユニット122Bが取り除かれた状態を示す。なお、他の
図6(a)及び
図6(b)において、第2実施例のプラチドユニット122Bは、第1実施例のプラチドユニット122に対し、切欠き部130を備えず、全周に亘ってリング状の遮光部124aと透光部124bとから構成されるパターン指標124が形成されている。なお、プラチドユニット122Bの中心部には、第1実施例のプラチドユニット122と同様に、検眼部2Aの検眼経路を確保するための開口窓126が形成されている。開口窓126は、指標投影光学系140の光路も確保するサイズとされている。
【0089】
プラチドユニット122Bは、回転中心軸PLを中心に、移動部135によって回転移動される。回転中心軸PLは、検眼部2Aの検眼軸L1と平行に配置されていると共に、検眼軸L1及び検眼部2Bの検眼軸L2の何れに対しても偏位した位置であって、検眼軸L1と検眼部2Bの検眼軸L2の中心間の外側に設けられている。また、回転中心軸PLは、検眼部2Cの検眼軸L3とも偏位した位置に設けられている。本実施例では、回転中心軸PLは、
図6(c)に示すように、検眼軸L1と検眼軸L2とを通る直線N1上に位置されている。すなわち、本実施例では、プラチドユニット122Bの全体がY方向に移動される。
【0090】
検眼部2B(眼圧測定部300)の検眼時には、制御部50によって移動部135の駆動が制御され、回転中心軸PLを中心にプラチドユニット122Bが回転されることで、プラチドユニット122Bが下方に移動される。これにより、検眼部2Bの検眼光路がプラチドユニット122Bによって遮られない状態とされる。また、検眼部2C(顔撮影部400)の検眼時も、同様に、検眼部2Cの検眼光路がプラチドユニット122Bによって遮られない状態とされる。
【0091】
例えば、制御動作においては、検眼開始時の粗いアライメント時には、
図6(b)のように、プラチドユニット122Bが下方に移動された状態とされ、顔撮影部400の検眼光路が確保される。そして、顔撮影部400の撮像素子402に撮像された画像が制御部50により画像処理されることで、検眼軸L1に対する右眼及び左眼のXY方向の位置関係が取得される。
【0092】
次に、右眼及び左眼のXY方向の位置関係が取得されたならば、眼屈折力測定部200による検眼モード時、及び角膜形状測定部120による検眼モード時には、
図6(a)のように、プラチドユニット122Bの中心軸LOが検眼軸L1に一致するように、プラチドユニット122Bが移動される。これにより、開口窓126を介して検眼部2Aの検眼経路及び指標投影光学系140の光路が確保され、被検眼に対する眼屈折力測定部200及び角膜形状測定部120の精密なアライメントが可能にされる。そして、精密なアライメント後に、眼屈折力測定部200による測定、前眼部撮影光学系150による角膜形状測定のための撮像が行われる。
【0093】
眼圧測定部300による検眼モード時には、再び、
図6(b)のように、プラチドユニット122Bが下方に移動されることで、眼圧測定部300の検眼経路がプラチドユニット122Bによって遮られない状態とされる。すなわち、眼圧測定部300の検眼経路は、プラチドユニット122Bの外側に位置される。これにより、ノズル312の先端部は、プラチドユニット122Bの最前面より被検眼側にせり出すように移動可能にされると共に、被検眼に対する眼圧測定部300の精密なアライメントが可能にされる。そして、アライメント完了後に眼圧測定が実行される。
【0094】
以上のように、プラチドユニット122Bの中心とは異なる位置で、プラチドユニット122Bの領域内に偏位した検眼軸が存在する場合であっても、プラチドユニット122Bが移動されることで、各検眼部の検眼を可能にしつつ、角膜に投影されるパターン指標124の欠如を少なくした角膜形状の測定ができる。
【0095】
また、プラチドユニット122Bには第1実施例における切欠き部130が設けられていないため、第1実施例に対し、角膜に投影されるパターン指標124の欠如をより少なくでき、より精度の良い角膜形状の測定ができる。
【0096】
<第2実施例の変容例>
上記では、プラチドユニット122Bは、移動部135により、回転中心軸PLを中心に回転されて直線N1方向(実施例ではY方向)に移動されるものとしたが、これに限られない。検眼部2Bの検眼時には、その検眼経路(さらには検眼部2Cを備える場合には、その検眼経路)をプラチドユニット122Bが遮らないように移動されれば良い。例えば、プラチドユニット122Bが、検眼軸L1と検眼軸L2とが通る直線N1方向に、直線的に平行移動するように、移動部135が構成されていてもよい。また、プラチドユニット122Bが直線N1方向に対して直交する方向に平行移動するように、移動部135が構成されていてもよい。
【0097】
本開示は、上記に示した実施例及び変容例に限られず、本開示の技術思想を同一にする範囲においてさらなる種々の変容が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 眼科装置
2A、2B、2C、2D 検眼部
50 制御部
120 角膜形状測定部
122、122B プラチドユニット
124 パターン指標
126 開口窓
130 切欠き部
135 移動部
200 眼屈折力測定部
300 眼圧測定部
312 ノズル
400 顔撮影部
500 前眼部断面撮影部