(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121860
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】駆動工具
(51)【国際特許分類】
B24B 23/06 20060101AFI20240902BHJP
B24B 49/16 20060101ALI20240902BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B24B23/06
B24B49/16
B25F5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029064
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】303003225
【氏名又は名称】UHT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古市 和也
(72)【発明者】
【氏名】松岡 健之
【テーマコード(参考)】
3C034
3C064
3C158
【Fターム(参考)】
3C034AA15
3C034BB92
3C034CA16
3C034CB03
3C034CB13
3C034CB14
3C034DD18
3C064AA20
3C064AB02
3C064AC09
3C064BA14
3C064BB58
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA43
3C064CA87
3C064CA88
3C064CB06
3C064CB09
3C064CB25
3C064CB27
3C064CB64
3C064CB71
3C158AA05
3C158AA16
3C158AC02
3C158BA06
3C158BB02
3C158BC02
3C158BC03
3C158CB01
(57)【要約】
【課題】ワークの加工作業をより高い精度で行うことができる駆動工具を提供する。
【解決手段】駆動工具11は、駆動部と、駆動部によって回転駆動されるとともにワークに押し付けられることによってワークを研磨加工する無端状の研磨ベルト52と、研磨ベルト52に張力を付与する張力付与部と、研磨ベルト52のワークに対する押し付け力を検出する検出部と、検出部によって検出された上記押し付け力を表示する表示部26とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、
前記駆動部によって回転駆動されるとともに、ワークに押し付けられることによって前記ワークを加工する無端状の加工ベルトと、
前記加工ベルトに張力を付与する張力付与部と、
前記加工ベルトの前記ワークに対する押し付け力を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記押し付け力を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする駆動工具。
【請求項2】
前記張力付与部は、前記加工ベルトを前記ワークに対して押し付けたときの反力によって変位する変位部を有しており、
前記検出部は、前記変位部の変位量に基づいて前記押し付け力を検出することを特徴とする請求項1に記載の駆動工具。
【請求項3】
前記検出部によって検出された前記押し付け力に基づいて前記駆動部の駆動を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記押し付け力が設定された値を超えた場合に、前記駆動部の出力を低減または前記駆動部の駆動を停止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の駆動工具。
【請求項4】
前記駆動部は、空圧モータによって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の駆動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部によって回転駆動されるとともにワークに押し付けられることによってワークを加工する無端状の加工ベルトを備えた駆動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の駆動工具として、例えば特許文献1に示すDCバッテリ駆動型ハンド工具が知られている。こうした駆動工具は、電気モータによって回転駆動される無端ベルトをワークに押し付けることによってワークの加工を行う。駆動工具は、表示部を有している。表示部は、DCバッテリの残容量及び過負荷状態を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような駆動工具では、電気モータによって回転駆動される無端ベルトをワークに押し付けるときの押し付け力を表示する機能を有していない。こうした機能を駆動工具が有していると、ワークの加工精度を高める上で有利である。このため、回転駆動される無端ベルトをワークに押し付けるときの押し付け力を表示する機能を有した駆動工具が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための駆動工具の各態様を記載する。
[態様1]駆動部と、前記駆動部によって回転駆動されるとともに、ワークに押し付けられることによって前記ワークを加工する無端状の加工ベルトと、前記加工ベルトに張力を付与する張力付与部と、前記加工ベルトの前記ワークに対する押し付け力を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記押し付け力を表示する表示部と、を備えることを特徴とする駆動工具。
【0006】
上記構成によれば、表示部に加工ベルトのワークに対する押し付け力が表示されるので、ユーザーは加工ベルトのワークに対する押し付け力を見ながらワークの加工作業を行うことができる。このため、ユーザーは、加工ベルトのワークに対する押し付け力を最適な状態で容易に維持できる。したがって、ワークの加工作業をより高い精度で行うことができる。
【0007】
[態様2]前記張力付与部は、前記加工ベルトを前記ワークに対して押し付けたときの反力によって変位する変位部を有しており、前記検出部は、前記変位部の変位量に基づいて前記押し付け力を検出することを特徴とする[態様1]に記載の駆動工具。
【0008】
上記構成によれば、検出部は変位部の変位量に基づいて上記押し付け力を検出するため、比較的簡単な構成で上記押し付け力を精度よく検出することができる。
[態様3]前記検出部によって検出された前記押し付け力に基づいて前記駆動部の駆動を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記押し付け力が設定された値を超えた場合に、前記駆動部の出力を低減または前記駆動部の駆動を停止することを特徴とする[態様1]または[態様2]に記載の駆動工具。
【0009】
上記構成によれば、上記押し付け力が設定された値を超えた場合に駆動部の出力が低減または駆動部の駆動が停止されるため、駆動部や加工ベルトなどに対して過度の負荷がかかることを抑制できる。
【0010】
[態様4]前記駆動部は、空圧モータによって構成されていることを特徴とする[態様1]~[態様3]のうちいずれか一つに記載の駆動工具。
上記構成によれば、駆動部を電気モータによって構成する場合に比べて、駆動部の出力を高くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ワークの加工作業をより高い精度で行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1の駆動工具におけるケースのカバーを外した状態を示す斜視図である。
【
図3】駆動工具の内部における空圧モータ周辺の構成を示す模式図である。
【
図6】駆動工具の電気的構成を示すブロック図である。
【
図8】変更例の駆動工具の機能部の要部を示す模式図である。
【
図9】変更例の駆動工具の機能部の要部を示す模式図である。
【
図10】変更例の駆動工具の要部を示す側断面図である。
【
図11】変更例の駆動工具の要部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、駆動工具の一実施形態について図面を参照して説明する。
<駆動工具11>
図1に示すように、駆動工具11は、一例としてベルトサンダーによって構成されている。駆動工具11は、直線状に延びる形状をなしている。駆動工具11は、ユーザーが使用時に把持する把持部12と、工具として機能する機能部13とを備えている。
【0014】
以下、
図1に示す駆動工具11における機能部13の先端が位置する側の方向を前方としたときの前後方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向(鉛直方向)をZ方向として説明する。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する方向である。したがって、本実施形態における駆動工具11では、把持部12及び機能部13が共にX方向に延びている。駆動工具11は、把持部12の先端に機能部13の基端が連結された構成になっている。
【0015】
<把持部12>
図2及び
図3に示すように、把持部12は、基端部以外の部分で構成される円筒状の第1把持部14と、基端部で構成される第2把持部15とを有している。第2把持部15は、第1把持部14に対してX方向に延びる軸線を中心に回転可能に連結されている。第2把持部15における第1把持部14側とは反対側の端部には、エアコンプレッサ(図示略)から延びるエアホース(図示略)の先端部が接続される接続管16が設けられている。
【0016】
第2把持部15内には、元弁17が配置されている。元弁17には、一端側に上記エアホース(図示略)の先端部が接続される接続管16の他端側が接続されている。元弁17は、第2把持部15を第1把持部14に対して正逆両方向に回転させることによって開閉可能に構成されている。第1把持部14内には、駆動部の一例としての空圧モータ18と、空圧モータ18に供給される圧縮空気の流量を調整する空気流量制御弁19とがX方向に並んで配置されている。空圧モータ18は、圧縮空気の供給によって駆動されるモータである。
【0017】
空気流量制御弁19は、空圧モータ18よりも元弁17側の位置に配置されている。元弁17と空気流量制御弁19とは、第1連結管20によって連結されている。空圧モータ18と空気流量制御弁19とは、第2連結管21によって連結されている。空圧モータ18における機能部13側の端部には、機能部13側に向かって突出する出力軸22が設けられている。
【0018】
<機能部13>
図1~
図3に示すように、機能部13は、その基端側に位置するケース23を有している。ケース23は、X方向の一端部にケース開口部24を有するとともに、X方向の他端部に第1把持部14(把持部12)の先端部が連結されている。ケース23は、Y方向の一端部に着脱自在に構成された板状のカバー25を有している。ケース23におけるZ方向の上面には、表示部26が設けられている。ケース23内における第1把持部14側の位置には、Y方向に延びる回転軸27が配置されている。
【0019】
回転軸27は、ケース23によって回転可能に支持されている。回転軸27のY方向における第1把持部14側の端部には、Y方向に延びる軸線を中心に回転軸27と一体回転する第1傘歯車28が設けられている。回転軸27のY方向における第1把持部14側とは反対側の端部には、Y方向に延びる軸線を中心に回転軸27と一体回転する駆動プーリ29が設けられている。駆動プーリ29は、第1把持部14に対してY方向における位置がずれている。
【0020】
ケース23内には、空圧モータ18の出力軸22の先端部に設けられるとともに第1傘歯車28と噛合する第2傘歯車30が配置されている。第2傘歯車30は、第1傘歯車28よりも歯数が少ない傘歯車である。第2傘歯車30は、X方向に延びる軸線を中心に出力軸22と一体回転する。
【0021】
したがって、エアコンプレッサ(図示略)からエアホース(図示略)、及び接続管16等を介して空圧モータ18に圧縮空気が供給されると、出力軸22と第2傘歯車30とがX方向に延びる軸線を中心に一体回転する。これにより、第2傘歯車30の回転力が第1傘歯車28を介して回転軸27に伝達されるので、回転軸27、第1傘歯車28、及び駆動プーリ29がY方向に延びる軸線を中心に一体回転する。この場合、第2傘歯車30の歯数は第1傘歯車28の歯数よりも少ないので、第1傘歯車28の回転速度は第2傘歯車30の回転速度よりも遅くなる。
【0022】
図2及び
図4に示すように、ケース23内における駆動プーリ29よりもケース開口部24側の位置には、X方向に延びる筒状の支持筒31が固定されている。支持筒31と駆動プーリ29とは、X方向において並んで配置されている。支持筒31は、基端側のほぼ半分がケース23内に配置されるとともに先端部がケース開口部24からケース23外に突出している。支持筒31内には、変位部の一例としての摺動部材32がX方向に摺動可能に挿入されている。摺動部材32は、X方向に延びるとともに棒状をなしている。
【0023】
図4及び
図5に示すように、X方向における摺動部材32の長さは、一例として、X方向における支持筒31の長さの2倍程度になるように設定されている。支持筒31は、X方向における駆動プーリ29側の端部から駆動プーリ29側の端部とは反対側の端部に向かって順に内径が大きくなる第1筒部33、第2筒部34、及び第3筒部35を有している。
【0024】
すなわち、第1筒部33の内径は第2筒部34の内径よりも小さく、且つ第2筒部34の内径は第3筒部35の内径よりも小さくなっている。第1筒部33のX方向の長さは、第2筒部34のX方向の長さよりも短くなっている。第2筒部34のX方向の長さは、第3筒部35のX方向の長さよりも短くなっている。
【0025】
第1筒部33の内面には、筒状の第1スリーブ36が設けられている。第2筒部34の内面における第1筒部33側の端部には、筒状のパッド37が設けられている。第1スリーブ36の内径とパッド37の内径とは、同じになっている。第3筒部35の内面におけるX方向の両端部には、一対の第2スリーブ38が設けられている。第2スリーブ38の内径は、第1スリーブ36及びパッド37の内径よりも大きくなっている。
【0026】
第3筒部35の内面におけるX方向の中央部には、摺動部材32のX方向における変位量を検出する変位センサ39が設けられている。この場合、変位センサ39の内面は第2スリーブ38の内面よりも外側に位置しているため、変位センサ39は摺動部材32に対して接触しないようになっている。
【0027】
図4及び
図5に示すように、摺動部材32は、第1筒部33及び第2筒部34に挿入される円柱状の第1摺動部40と、第3筒部35に挿入される円柱状の第2摺動部41とを有している。この場合、第1摺動部40は第1スリーブ36及びパッド37にガイドされるとともに、第2摺動部41は一対の第2スリーブ38にガイドされる。第1摺動部40の外径は、第2摺動部41の外径よりも小さくなっている。
【0028】
第1摺動部40と第2摺動部41との境界には、段差42が形成されている。第2筒部34内には、第1摺動部40が挿通されたコイルばね43が若干圧縮された状態で配置されている。この場合、コイルばね43は、X方向における一端がパッド37に接触するとともに他端が段差42に接触している。したがって、コイルばね43は、摺動部材32を段差42において常にX方向における駆動プーリ29側とは反対側の方向へ付勢している。
【0029】
第1摺動部40における駆動プーリ29側の端部は、第1筒部33を貫通して駆動プーリ29側に突出した突出部44とされている。突出部44には、筒状の規制部45が嵌合された状態で固定されている。規制部45の外径は、第1筒部33の内径よりも大きくなっている。規制部45は、支持筒31のX方向における駆動プーリ29側の端面に接触することにより、コイルばね43の付勢力に抗して摺動部材32のX方向における駆動プーリ29側とは反対側の方向への摺動(移動)を規制する。
【0030】
第2摺動部41における駆動プーリ29側とは反対側の端部には、X方向に延びる直方体状のブロック部46が設けられている。ブロック部46におけるZ方向の下面には、板状の保護パッド47が設けられている。ブロック部46における駆動プーリ29側とは反対側の端部には、Y方向に延びる軸48を支持する軸支持部49が設けられている。軸48には、ベアリング50を介して従動プーリ51がY方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。
【0031】
従動プーリ51の外径は、駆動プーリ29の外径よりも小さくなっている。従動プーリ51は、X方向において駆動プーリ29と対向するように配置されている。従動プーリ51及び駆動プーリ29には、無端状の加工ベルトの一例としての研磨ベルト52が巻き掛けられている。研磨ベルト52は、例えば、サンドペーパーによって構成される。研磨ベルト52は、外側の面が研磨面になっている。
【0032】
図3~
図5に示すように、研磨ベルト52は、空圧モータ18の駆動によって駆動プーリ29が回転すると、従動プーリ51及び駆動プーリ29のそれぞれの外周面に沿って回転駆動する。研磨ベルト52は、回転駆動された状態で保護パッド47と対応する部分の研磨面をワーク53に押し付けられることによってワーク53を研磨加工する。研磨ベルト52は、ワーク53に対して押し付けられると、ワーク53からの反力を受けて内側に押し込まれる。
【0033】
この場合、研磨ベルト52は、伸縮性がほとんどない。このため、上記反力は、研磨ベルト52を介して摺動部材32をコイルばね43の付勢力に抗してX方向における駆動プーリ29側の方向に変位させる力として作用する。すなわち、摺動部材32は、研磨ベルト52をワーク53に対して押し付けたときの反力によって駆動プーリ29側へ変位する。
【0034】
したがって、研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力が大きくなるほど、摺動部材32の駆動プーリ29側への変位量が多くなる。したがって、研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力は、摺動部材32の駆動プーリ29側への変位量に基づいて検出することが可能である。
【0035】
摺動部材32は、コイルばね43の付勢力を、従動プーリ51を介して研磨ベルト52の張力として研磨ベルト52に付与する。このため、本実施形態では、研磨ベルト52に張力を付与する張力付与部が、摺動部材32とコイルばね43とによって構成される。
【0036】
<駆動工具11の電気的構成>
図6に示すように、駆動工具11は、駆動工具11全体を統括的に制御する制御部54を備えている。制御部54は、コンピュータによって構成されている。制御部54は、図示しないCPU、ROM、及びRAMを備えている。ROMには、後述する設定された値(閾値)、各種情報、プログラムなどが記憶されている。RAMには、CPUによる演算結果及び処理結果である各種データなどが一時記憶される。
【0037】
制御部54の入力側インターフェース(図示略)には、変位センサ39が電気的に接続されている。一方、制御部54の出力側インターフェース(図示略)には、表示部26及び空気流量制御弁19がそれぞれ電気的に接続されている。制御部54は、変位センサ39から出力される信号に基づいて研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力を算出するとともに、当該算出結果である上記押し付け力を表示部26に表示させる。
【0038】
表示部26には、
図1に示すように、上記押し付け力が、一例として、0~100の範囲でバーゲージによってアナログ表示(連続的に表示)される。本実施形態では、制御部54と変位センサ39とによって、研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力を検出する検出部が構成される。
【0039】
制御部54は、算出した上記押し付け力に基づいて空気流量制御弁19の制御を行うことによって空圧モータ18の駆動を制御する。すなわち、制御部54は、空気流量制御弁19を制御して空圧モータ18に供給される圧縮空気の流量を調整することによって空圧モータ18の出力を調整する。制御部54は、上記押し付け力が上記設定された値(閾値)を超えた場合に、空圧モータ18の出力が低減されるように、空気流量制御弁19を制御する。例えば、上記設定された値(閾値)を100とすると、制御部54は、上記押し付け力が100を超えた場合に、空圧モータ18の出力を低減する。
【0040】
<駆動工具11の作用>
図3及び
図4に示すように、エアコンプレッサ(図示略)からの圧縮空気が空圧モータ18に供給されると、空圧モータ18の出力軸22と第2傘歯車30とが一体回転する。第2傘歯車30が回転されると、第2傘歯車30の回転力が第1傘歯車28に伝達されるので、第1傘歯車28、回転軸27、及び駆動プーリ29が一体回転する。これにより、研磨ベルト52は、従動プーリ51及び駆動プーリ29のそれぞれの外周面に沿って回転駆動された状態になる。
【0041】
この状態で、駆動工具11の把持部12を把持して研磨ベルト52における保護パッド47と対応する部分の研磨面をワーク53に押し付ける。すると、研磨ベルト52の研磨面によってワーク53が研磨加工される。このとき、研磨ベルト52の裏面は、保護パッド47に対して摺動する。
【0042】
さらにこのとき、表示部26には、研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力がリアルタイムで表示される。このため、ユーザーは、表示部26を見ながらワーク53の研磨加工を行うことができる。これにより、ユーザーは、研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力を最適な状態で容易に維持できるので、ワーク53の研磨加工をより高い精度で行うことができる。
【0043】
また、回転駆動された研磨ベルト52をワーク53に対して過度に強く押し付けることによって研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力が設定された値(閾値)を超えると、空圧モータ18の出力が低減される。このため、空圧モータ18や研磨ベルト52などに対して過度の負荷がかかることが抑制される。
【0044】
<実施形態の効果>
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)駆動工具11は、駆動部と、駆動部によって回転駆動されるとともに、ワーク53に押し付けられることによってワーク53を研磨加工する無端状の研磨ベルト52と、研磨ベルト52に張力を付与する張力付与部と、研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力を検出する検出部と、検出部によって検出された上記押し付け力を表示する表示部26と、を備える。
【0045】
上記構成によれば、表示部26に研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力が表示されるので、ユーザーは研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力を見ながらワーク53の研磨作業を行うことができる。このため、ユーザーは、研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力を最適な状態で容易に維持できるので、ワーク53の研磨作業をより高い精度で行うことができる。
【0046】
(2)駆動工具11において、張力付与部は、研磨ベルト52をワーク53に対して押し付けたときの反力によって変位する摺動部材32を有している。検出部は、摺動部材32の変位量に基づいて上記押し付け力を検出する。
【0047】
上記構成によれば、検出部は摺動部材32の変位量に基づいて上記押し付け力を検出するため、比較的簡単な構成で上記押し付け力を精度よく検出することができる。
(3)駆動工具11は、検出部によって検出された上記押し付け力に基づいて駆動部の駆動を制御する制御部54を備える。制御部54は、上記押し付け力が設定された値(閾値)を超えた場合に、駆動部の出力を低減する。
【0048】
上記構成によれば、上記押し付け力が設定された値(閾値)を超えた場合に駆動部の出力が低減されるため、駆動部や研磨ベルト52などに対して過度の負荷がかかることを抑制できる。
【0049】
(4)駆動工具11において、駆動部は、空圧モータ18によって構成されている。
上記構成によれば、駆動部を電気モータによって構成する場合に比べて、駆動部の出力を高くすることができる。
【0050】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0051】
・
図7に示すように、支持筒31におけるZ方向の下面に補助従動プーリユニット60を着脱自在に設けるようにしてもよい。補助従動プーリユニット60は、Y方向に延びる軸61と、軸61を支持する軸支持部62と、軸61に回転可能に支持された補助従動プーリ63とを有している。補助従動プーリ63は、研磨ベルト52の内側の面に接触している。
【0052】
このようにすれば、研磨ベルト52と保護パッド47との間の距離を稼ぐことができるので、特に丸い形状や湾曲した形状のワーク64に対して研磨ベルト52を追従させやすくなる。このため、丸い形状や湾曲した形状のワーク64の研磨加工が容易になる。なお、補助従動プーリユニット60を使用したくない場合には、補助従動プーリユニット60を支持筒31から取り外せばよい。
【0053】
・
図8に示すように、変位センサ39の代わりに変位センサ70を用いるとともに、機能部13を次のように構成してもよい。すなわち、機能部13を、駆動プーリ29側の部分である第1機能部65と、駆動プーリ29よりも先端側の部分である第2機能部66との2つに分割する。第1機能部65と第2機能部66とは、Z方向の中央部においてY方向に延びる軸67を介して回転可能に連結する。第1機能部65と第2機能部66との間には、スリット68を形成する。第1機能部65と第2機能部66とを、Z方向における軸67の下側でばね69によって連結する。第1機能部65のZ方向における軸67の上側にスリット68の幅を検出する変位センサ70を設ける。
【0054】
このようにすれば、研磨ベルト52をワーク53に対して押し付けると、第2機能部66に対して
図8の矢印で示す向きの反力が作用する。これにより、ばね69の付勢力に抗して第2機能部66が軸67を介して回転するので、ばね69が弾性変形するとともにスリット68における変位センサ70と対応する部分の幅が狭くなる。このスリット68の幅が狭くなる度合い(第2機能部66の変位量)は、変位センサ70によって検出される。すると、スリット68の幅が狭くなる度合いの信号が変位センサ70から制御部54に出力される。これにより、制御部54は、変位センサ70から出力される信号に基づいて研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力を算出するとともに、当該算出結果である上記押し付け力を表示部26に表示させる。なお、研磨ベルト52をワーク53から離すと、ばね69の弾性復元力により、第2機能部66が回転前の元の位置に戻される。
【0055】
・
図9に示すように、上記
図8の機能部13において、変位センサ70の代わりに圧力センサ71を用いるとともに、スリット68内における軸67の上側に圧力センサ71を配置するようにしてもよい。
【0056】
このようにすれば、研磨ベルト52をワーク53に対して押し付けると、第2機能部66に対して
図9の矢印で示す向きの反力が作用する。これにより、ばね69の付勢力に抗して第2機能部66が軸67を介して回転するので、ばね69が弾性変形するとともにスリット68における圧力センサ71と対応する部分の幅が狭くなる。このスリット68の幅が狭くなるときに第2機能部66から圧力センサ71が受ける圧力は、圧力センサ71によって検出されるとともに、信号として圧力センサ71から制御部54に出力される。これにより、制御部54は、圧力センサ71から出力される信号に基づいて研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力を算出するとともに、当該算出結果である上記押し付け力を表示部26に表示させる。なお、研磨ベルト52をワーク53から離すと、ばね69の弾性復元力により、第2機能部66が回転前の元の位置に戻される。
【0057】
・
図10に示すように、変位センサ39の代わりに圧力センサ72を用いるとともに、圧力センサ72を保護パッド47の内側に隣接して配置するようにしてもよい。
このようにすれば、研磨ベルト52をワーク53に対して押し付けたときの圧力が圧力センサ72によって検出される。制御部54は、圧力センサ72から出力される信号に基づいて研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力を算出する。
【0058】
・
図11に示すように、変位センサ39の代わりに圧力センサ73を用いてもよい。この場合、第1把持部14全体は、筒状の把持部カバー74によって覆われる。把持部カバー74は、X方向の長さが第1把持部14とほぼ同じになっている。第1把持部14と把持部カバー74との間におけるX方向の両端部には、弾力性を有した一対の筒状のスペーサー75が介在している。一対のスペーサー75は、内面が第1把持部14の外面に接触するとともに、外面が把持部カバー74の内面に接触している。把持部カバー74の内面におけるX方向の中央部であって且つZ方向において保護パッド47側とは反対側となる上側の位置には、内側に突出する板状の凸部76が設けられている。凸部76の先端面と第1把持部14の外面との間には、板状の圧力センサ73が配置されている。圧力センサ73は、一方の面が凸部76の先端面に接触するとともに、他方の面が第1把持部14の外面に接触している。
【0059】
このようにすれば、研磨ベルト52をワーク53に対して押し付けると、一対のスペーサー75が弾性変形するとともに、凸部76によって圧力センサ73が押圧される。これにより、研磨ベルト52をワーク53に対して押し付けたときの圧力が圧力センサ73によって検出される。制御部54は、圧力センサ73から出力される信号に基づいて研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力を算出する。
【0060】
・制御部54は、上記押し付け力が上記設定された値(閾値)を超えた場合に、空圧モータ18の駆動が停止されるように、空気流量制御弁19を制御するようにしてもよい。この場合、空気流量制御弁19が完全に閉じられて空気流量制御弁19を通過する圧縮空気流量が0になるので、空圧モータ18に圧縮空気が全く供給されなくなる。
【0061】
・研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力は、表示部26への表示だけでなく、表示部26を光らせたり、ブザーやメロディなどの音を鳴らしたりすることによってユーザーに報知するようにしてもよい。
【0062】
・表示部26は、研磨ベルト52のワーク53に対する押し付け力をデジタル表示(段階的に表示)するようにしてもよい。
・表示部26は、向きが変更できるように構成してもよい。
【0063】
・張力付与部は、従動プーリ51が駆動プーリ29に近づくように摺動部材32をX方向に移動させた状態でロックすることを可能としたロック機構を有していてもよい。このようにすれば、研磨ベルト52を弛ませた状態で交換できるので、研磨ベルト52の交換作業を容易に行うことができる。
【0064】
・駆動工具11は、上記設定された値(閾値)をユーザーが入力して設定するための入力部を備えていてもよい。このようにすれば、ユーザーが上記設定された値(閾値)を任意に変更することができる。
【0065】
・駆動部は、電気モータであってもよい。この場合、電気モータの出力の調節は、電気モータに供給される駆動電流の調節によって行われる。また、電気モータの駆動を停止する場合には、電気モータに供給される駆動電流を止めればよい。
【0066】
・駆動工具は、回転駆動された加工ベルトをワークに押し付けてワークの加工を行う駆動工具であれば、ベルトサンダー以外の駆動工具であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
11…駆動工具
12…把持部
13…機能部
14…第1把持部
15…第2把持部
16…接続管
17…元弁
18…駆動部の一例としての空圧モータ
19…空気流量制御弁
20…第1連結管
21…第2連結管
22…出力軸
23…ケース
24…ケース開口部
25…カバー
26…表示部
27…回転軸
28…第1傘歯車
29…駆動プーリ
30…第2傘歯車
31…支持筒
32…張力付与部を構成する摺動部材
33…第1筒部
34…第2筒部
35…第3筒部
36…第1スリーブ
37…パッド
38…第2スリーブ
39,70…検出部を構成する変位センサ
40…第1摺動部
41…第2摺動部
42…段差
43…張力付与部を構成するコイルばね
44…突出部
45…規制部
46…ブロック部
47…保護パッド
48,61,67…軸
49,62…軸支持部
50…ベアリング
51…従動プーリ
52…研磨ベルト
53,64…ワーク
54…検出部を構成する制御部
60…補助従動プーリユニット
63…補助従動プーリ
65…第1機能部
66…第2機能部
68…スリット
69…ばね
71,72,73…圧力センサ
74…把持部カバー
75…スペーサー
76…凸部