(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121861
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】車両用方向指示灯
(51)【国際特許分類】
F21S 43/239 20180101AFI20240902BHJP
F21S 43/249 20180101ALI20240902BHJP
F21S 43/241 20180101ALI20240902BHJP
F21S 43/243 20180101ALI20240902BHJP
B60Q 1/34 20060101ALI20240902BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240902BHJP
F21W 103/25 20180101ALN20240902BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240902BHJP
【FI】
F21S43/239
F21S43/249
F21S43/241
F21S43/243
B60Q1/34 B
F21S2/00 432
F21S2/00 433
F21S2/00 435
F21S2/00 437
F21W103:25
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029067
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】片山 裕貴
【テーマコード(参考)】
3K244
3K339
【Fターム(参考)】
3K244AA09
3K244BA08
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA06
3K244EA12
3K244EA16
3K244EC03
3K244EC14
3K244EC27
3K244EE03
3K339AA25
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA04
3K339CA12
3K339DA01
3K339GB13
3K339HA02
3K339HA08
(57)【要約】
【課題】縦ライン発光タイプの方向指示灯の配光特性と意匠性とを両立させる。
【解決手段】縦型の光出射面を備える車両用方向指示灯10は、一方の板面が発光素子と対向し、一端面が光出射面と対向するように配され、発光素子から発せられた光を光出射面に導く板状の導光体100を備える。導光体100は、導光体100の一方の板面に設けられた光入射部と、導光体100の他方の板面100Bに設けられた円錐状の反射面を備える第1反射部105と、導光体100の他端面に設けられ円弧状の反射面を備える第2反射部106と、導光体100の一端面に設けられ光出射面に向けて光を出射させる光出射部102とを備える。光出射部102は、車両上下方向に延びるように設けられ車両後方に向けて光を出射させる第1出射面102Aと、車両上下方向に延びるように設けられ車両側方に向けて光を出射させる第2出射面102Bとを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアミラーにおいて車両上下方向に延びる縦型の光出射面を備える車両用方向指示灯であって、
光源と、
一方の板面が前記光源と対向し、一端面が前記光出射面と対向するように配され、前記光源から発せられた光を前記光出射面に導く板状の導光体と
を備え、
前記導光体は、
前記一方の板面に設けられ、前記光源から発せられた光を前記導光体に入射させる光入射部と、
前記導光体の他方の板面から前記光入射部に向かって漸次的に縮径する円錐状の反射面を備える第1反射部と、
前記導光体の前記一端面の反対側の端面に設けられ、前記光出射面の反対側に凸の円弧状の反射面を備える第2反射部と、
前記導光体における前記一端面に設けられ、前記光出射面に向けて光を出射させる光出射部と
を備え、
前記光出射部は、
車両上下方向に延びるように設けられ、車両後方に向けて光を出射させる第1出射面と、
車両上下方向に延びるように設けられ、車両側方に向けて光を出射させる第2出射面と
を備える車両用方向指示灯。
【請求項2】
前記第1出射面は平面であり、
前記第2出射面は凹凸面である請求項1に記載の車両用方向指示灯。
【請求項3】
前記第2出射面は、縦横に凹凸が並ぶ前記凹凸面である請求項2に記載の車両用方向指示灯。
【請求項4】
前記導光体の前記一方の板面における前記光入射部と前記光出射部との間に設けられた第1拡散反射部と、
前記導光体の前記他方の板面における前記第1反射部と前記光出射部との間に設けられた第2拡散反射部と
を備える請求項1又は2に記載の車両用方向指示灯。
【請求項5】
前記第1拡散反射部は、縦横に凹凸が並ぶ反射面を備え、
前記第2拡散反射部は、横方向に延びる凹凸が縦方向に並ぶ反射面を備える請求項4に記載の車両用方向指示灯。
【請求項6】
前記第1反射部は、
前記第1反射部の中心よりも前記光出射面の側に設けられた第3拡散反射部を備える請求項1又は2に記載の車両用方向指示灯。
【請求項7】
車両上下方向に離間して配された2個の前記光源を備え、
前記導光体は、
車両上下方向に離間して配された2個の前記光入射部と、
車両上下方向に離間して配された2個の前記第1反射部と、
車両上下方向に連なるように配された2個の前記第2反射部と
を備える請求項1又は2に記載の車両用方向指示灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用方向指示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
灯具の前後方向に延びるように配置され一方の板面に入射部が形成された板状導光体と、光を入射部から板状導光体に入射させるように配置された発光素子とを備え、板状導光体の前端面から光を出射する車両用前照灯が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の車両用前照灯では、複数の発光素子と複数の板状導光体とがそれぞれ車幅方向に並べて配されており、複数の発光素子から発せられた光が複数の板状導光体により車両前方側へ導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドアミラーに設けられる車両用方向指示灯の種類として、光の出射面が車幅方向に延びる横ライン発光タイプと、光の出射面が車両上下方向に延びる縦ライン発光タイプとが挙げられる。横ライン発光タイプの車両用方向指示灯の場合、1個の発光素子から発せられた光を棒状の導光体で車幅方向に導くことで、配光特性の保安基準を満たすことが可能である。それに対して、縦ライン発光タイプの車両用方向指示灯の場合、1個の発光素子で配光特性の保安基準を満たすためには、縦ラインの中央部に配光を集中させる必要がある。この場合、縦ラインの中央部に点光が発生し、縦ラインの上下の光量が低くなることにより、意匠性が低下していた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、縦ライン発光タイプの車両用方向指示灯の配光特性と意匠性とを両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用方向指示灯は、車両のドアミラーにおいて車両上下方向に延びる縦型の光出射面を備える車両用方向指示灯であって、光源と、一方の板面が前記光源と対向し、一端面が前記光出射面と対向するように配され、前記光源から発せられた光を前記光出射面に導く板状の導光体とを備え、前記導光体は、前記一方の板面に設けられ、前記光源から発せられた光を前記導光体に入射させる光入射部と、前記導光体の他方の板面から前記光入射部に向かって漸次的に縮径する円錐状の反射面を備える第1反射部と、前記導光体の前記一端面の反対側の端面に設けられ、前記光出射面の反対側に凸の円弧状の反射面を備える第2反射部と、前記導光体における前記一端面に設けられ、前記光出射面に向けて光を出射させる光出射部とを備え、前記光出射部は、車両上下方向に延びるように設けられ、車両後方に向けて光を出射させる第1出射面と、車両上下方向に延びるように設けられ、車両側方に向けて光を出射させる第2出射面とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、縦ライン発光タイプの方向指示灯の配光特性と意匠性とを両立させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用方向指示灯を備えるドアミラーの一部を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、車両用方向指示灯の一部を車両後方側から示す図(正面図)である。
【
図3】
図3は、車両用方向指示灯の一部を車両上方側から示す図(平面図)である。
【
図4】
図4は、車両用方向指示灯の一部を車両前方側から示す図(背面図)である。
【
図7】
図7は、導光体の一部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用方向指示灯10(
図2等参照)を備えるドアミラー1の一部を示す斜視図である。この図には、車両右側のドアミラー1における車両右側の一部が示されている。この図に示すドアミラー1には、車両用方向指示灯10が内蔵されている。
【0011】
ドアミラー1のハウジング2における車両右側の側面には、車両上下方向に延びる縦長の開口3が形成されている。それに対して、車両用方向指示灯10の光出射面11は、車両上下方向に延びる縦長のレンズであり、開口3を閉塞するように配されている。
【0012】
即ち、車両用方向指示灯10は、車両右側のドアミラー1のハウジング2における車両右側の側面に設けられた縦長の開口3から、縦型の配光を車両後方及び車両右方に向ける縦ラインタイプの方向指示灯である。また、図示は省略するが、車両用方向指示灯10は、車両左側のドアミラー1のハウジング2における車両左側の側面に設けられた縦長の開口3から、縦型の配光を車両後方及び車両左方に向ける縦ラインタイプの方向指示灯である。
【0013】
図2は、車両用方向指示灯10の一部を車両後方側から示す図(正面図)である。また、
図3は、車両用方向指示灯10の一部を車両上方側から示す図(平面図)である。これらの図では、発光素子12、及び導光体100以外の構成(発光素子12が実装される基板、当該基板や導光体100が取り付けられるハウジング等)の図示が省略されている。
【0014】
図2に示すように、車両用方向指示灯10は、2個の発光素子12と、1個の導光体100とを備える。2個の発光素子12は、発光ダイオードであり、車両上下方向に離間し車両上下方向に並ぶように配されている。
【0015】
図3に示すように、発光素子12の発光面は、車幅方向外側且つ車両前方側に向けられているのに対して、車両用方向指示灯10の光出射面11は、発光素子12よりも車幅方向外側且つ車両後方側に配されている。即ち、導光体100は、発光素子12の発光面から発せられた光を車幅方向外側且つ車両後方側に導いて光出射面11から車両後方及び車両側方に出射させる。
【0016】
導光体100は、透明で板状の樹脂成形品であり、2個の光入射部101と、1個の光出射部102とを備える。2個の光入射部101は、導光体100の一方の板面100Aに設けられ、車両上下方向に離間し車両上下方向に並ぶように配されている。光入射部101は、円錐台形状に形成されており、一方の板面100Aから突出している。発光素子12の発光面の中心と光入射部101の中心とが対向している。発光素子12から発せられた光は、光入射部101から導光体100に入射し、導光体100内で反射、拡散されて光出射部102へ至る。
【0017】
導光体100は、車両上下方向を長手方向とし、車両前後方向及び車幅方向に対して傾斜する方向を短手方向とするように配されており、光出射部102は、導光体100の短手方向の端面に設けられている。この導光体100の短手方向の端面は、光出射面11(
図1参照)と対向している。導光体100内で反射、拡散されて光出射部102に至った光は、光出射部102及び光出射面11を透過して車両後方及び車両側方に出射する。
【0018】
光出射部102は、第1出射面102Aと第2出射面102Bとを備える。第1出射面102Aと第2出射面102Bとは、車両上下方向に延びており、相互に光出射部102の幅方向に並んでいる。第1出射面102Aは、配光特性の保安基準を満たすことを目的として設けられた配光部であり、主に車両後方に機能光を出射する。それに対して、第2出射面102Bは、意匠性を高めることを目的として設けられた加飾部であり、主に車両側方に拡散光を出射する。第1出射面102Aと第2出射面102Bとの詳細については後述する。
【0019】
図2に示すように、導光体100の一方の板面100Aには、一対のボス103,104が設けられている。一方のボス103は、導光体100の一方の板面100Aにおける車両上下方向の一端部(上端部)に設けられ、他方のボス104は、導光体100の一方の板面100Aにおける車両上下方向の他端部(下端部)に設けられている。一対のボス103,104は、不図示のハウジングに固定されている。
【0020】
図4は、車両用方向指示灯10の一部を車両前方側から示す図(背面図)である。また、
図5は、
図3の5矢視図である。これらの図に示すように、導光体100の他方の板面100Bには、2個の第1反射部105が設けられている。2個の第1反射部105は、車両上下方向に離間し車両上下方向に並ぶように配されている。第1反射部105は、他方の板面100Bから光入射部101(
図2参照)側に向かって漸次的に縮径する円錐形状の凹部であり、当該円錐形状の反射面を備える。第1反射部105と光入射部101とは同軸上に配されている。また、発光素子12(
図2参照)の発光面の中心と第1反射部105の中心軸105Cとが対向している(
図6参照)。発光素子12から発せられ光入射部101を透過して導光体100に入射した光は、第1反射部105で中心軸105Cを中心とする放射方向に反射される。
【0021】
ここで、第1反射部105の一部には、拡散反射部105Aが形成されている。この拡散反射部105Aは、第1反射部105における中心軸105Cよりも光出射部102側の領域に形成された凹凸面である。拡散反射部105Aは、円弧状の凹凸が第1反射部105の周方向に並んだ波形に形成されている。
【0022】
光入射部101から導光体100に入射して拡散反射部105Aに至った光は、拡散反射部105Aで特に車両上下方向に拡散される。なお、
図4及び
図5に示すように、拡散反射部105Aは、第1反射部105の外周側の領域に形成されていることが好ましく、第1反射部105における中心軸105Cよりも上側の領域に形成されていることが好ましい。
【0023】
導光体100は、2個の第2反射部106を備える。2個の第2反射部106は、導光体100の短手方向の他端側の端面に、車両上下方向に連なるように設けられている。第2反射部106は、車両前後方向に視て円弧状であり、光出射面11(
図1参照)の反対側に凸の円弧状である。また、第2反射部106の断面形状は三角形状である(
図3参照)。上側の第2反射部106の上端は、上側の第1反射部105の中心軸105Cの鉛直上方に位置し、上側の第2反射部106の下端は、上側の第1反射部105の中心軸105Cの鉛直下方に位置する。また、下側の第2反射部106の上端は、下側の第1反射部105の中心軸105Cの鉛直上方に位置し、下側の第2反射部106の下端は、下側の第1反射部105の中心軸105Cの鉛直下方に位置する。
【0024】
第2反射部106は、上端部から中央部にかけて導光体100の短手方向の他端側に湾曲しながら膨らみ、中央部から下端部にかけて導光体100の短手方向の一端側に湾曲しながら凹む。第1反射部105で第2反射部106側に反射された光は、第2反射部106で光出射部102側に反射される。
【0025】
導光体100は、光入射部101(
図2参照)、第1反射部105、及び第2反射部106が設けられた入射側と、光出射部102が設けられた出射側とに区分される。導光体100の出射側は、導光体100の入射側に対して傾斜している。この導光体100の出射側には、導光体100の入射側において第1反射部105及び第2反射部106等で反射された光を光出射部102に導く導光部107が設けられている。
【0026】
導光部107は、車両上下方向を長手方向として延びる板状の部位である。導光部107の車両前方側の面には第1反射面107Aが形成されている。第1反射面107Aには、拡散反射部107Cが形成されている。拡散反射部107Cは、第1反射面107Aに形成された凹凸面である。拡散反射部107Cは、円弧状の凹凸が車両上下方向に並んだ波形に形成されている。
【0027】
導光体100の入射側において第1反射部105等で反射され拡散反射部107Cに至った光は、拡散反射部107Cで車両上下方向に拡散される。なお、
図4及び
図5に示すように、拡散反射部107Cは、第1反射面107Aにおける上端から下端までの全体に形成されていることが好ましい。また、拡散反射部107Cは、第1反射面107Aの短手方向中間部から光出射部102まで設けられていることが好ましい。
【0028】
図2に示すように、導光部107の車両後方側の面には第2反射面107Bが形成されている。第2反射面107Bには、拡散反射部107Dと拡散反射部107Eとが形成されている。拡散反射部107Dは、第2反射面107Bにおける光出射部102側の領域に形成された凹凸面であり、拡散反射部107Eは、第2反射面107Bにおける光入射部101側の領域に形成された凹凸面である。
【0029】
拡散反射部107Dは、円弧状の凹凸が第2反射面107Bの長手方向(車両上下方向)及び短手方向に並んだマトリックス形に形成されている。導光体100の入射側において第1反射部105(
図4参照)等で反射され拡散反射部107Dに至った光は、拡散反射部107Dで放射方向に拡散される。なお、拡散反射部107Dは、第2反射面107Bにおける上端から下端までの全体に形成されていることが好ましい。
【0030】
拡散反射部107Eは、円弧状の凹凸が第2反射面107Bの短手方向(車両上下方向と直交する方向)に並んだ波形に形成されている。導光体100の入射側において第1反射部105等で反射され拡散反射部107Eに至った光は、拡散反射部107Eで車両上下方向と直交する方向に拡散される。なお、拡散反射部107Eは、第2反射面107Bにおける上端から下端までの全体に形成されていることが好ましい。
【0031】
図3に示すように、導光部107の上面には、拡散反射部107Fが形成されている。拡散反射部107Fは、円弧状の凹凸が導光部107の上面の幅方向に並んだ波形に形成されている。導光体100の入射側において第1反射部105等で反射され拡散反射部107Fに至った光は、拡散反射部107Fで第2出射面102Bの幅方向に拡散される。なお、拡散反射部107Fは、導光部107の上面の長手方向中間部から光出射部102の上端まで設けられていることが好ましい。また、図示は省略するが、拡散反射部107Fは、導光部107の下面にも形成されており、導光部107の下面においても導光部107の上面と同様の作用が生じる。
【0032】
図6は、
図5の6-6断面図である。
図6に示すように、発光素子12で発せられた光は、光入射部101から導光体100に入射する。光入射部101から導光体100に入射した光は、
図5及び
図6に示すように、円錐状の第1反射部105で第1反射部105の中心軸105Cを中心とする放射方向に反射される。
【0033】
第1反射部105で光出射部102の反対側に反射された光は、円弧状で断面形状が三角形の第2反射部106で光出射部102側に反射される。また、光入射部101から導光体100に入射した光の一部は、第1反射部105の拡散反射部105Aで拡散反射される。ここで、拡散反射部105Aは、第1反射部105の中心軸105Cよりも光出射部102側に位置することから、第1反射部105で光出射部102側に反射される光が、車両上下方向に拡散されることになる。
【0034】
第1反射部105及び第2反射部106等で光出射部102側に反射された光は、導光部107の第1反射面107A、第2反射面107B、及び上下両面で光出射部102側に反射される。この際、導光部107の第1反射面107Aでは、光が拡散反射部107Cで車両上下方向に拡散される。また、導光部107の第2反射面107Bでは、光が拡散反射部107Dで放射方向に拡散され、光が拡散反射部107Eで横方向に拡散される。さらに、導光部107の上下両面では、光が拡散反射部107Fで導光部107の光出射部102の幅方向に拡散される(
図3参照)。
【0035】
拡散反射部107Cで拡散反射された光は、光出射部102の第1出射面102Aから車両後方側に出射する。それに対して、拡散反射部107Dで拡散反射された光は、光出射部102の第2出射面102Bから車両側方に出射する。
【0036】
図7は、導光体100の一部を拡大して示す斜視図である。この図に示すように、光出射部102は、第1出射面102Aと第2出射面102Bとを備える。第1出射面102Aは、第2出射面102Bの車両前方側に位置する平面であり、主に車両後方に向けて光を出射する。ここで、第1出射面102Aから車両後方に向けて出射される光は、方向指示灯の配光特性の保安基準を満たす機能光である。
【0037】
第2出射面102Bは、第1出射面102Aの車両後方側に位置する拡散反射面である。第2出射面102Bは、円弧状の凹凸が第2出射面102Bの長手方向及び幅方向に並んだマトリックス形に形成されている。第2出射面102Bは、主に車両側方に向けて拡散光を出射する。ここで、第2出射面102Bから車両側方に向けて出射される拡散光は、方向指示灯の意匠性を満たす意匠光である。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の車両用方向指示灯10は、車両のドアミラー1において車両上下方向に延びる縦型の光出射面11を備える(
図1等参照)。この車両用方向指示灯10は、発光素子12と、板状の導光体100とを備える(
図2等参照)。板状の導光体100の一方の板面100Aと発光素子12とが対向し、板状の導光体100の一端面が光出射面11と対向している(
図3等参照)。
【0039】
板状の導光体100は、一方の板面100Aに設けられた光入射部101と、他方の板面100Bに凹状に設けられた第1反射部105と、導光体100の一端面に設けられた光出射部102と、導光体100の他端面に設けられた第2反射部106とを備える(
図6等参照)。光入射部101は、発光素子12から発せられた光を導光体100に入射させる。第1反射部105は、他方の板面100Bから光入射部101に向かって漸次的に縮径する円錐状の反射面を備えており、光入射部101により導光体100に入射された光を、反射面の中心軸105Cを中心とする放射方向に反射する(
図5及び
図6参照)。第2反射部106は、光出射面11の反対側に凸の円弧状の反射面を備えており、第1反射部105で光出射面11の反対側に反射された光を、光出射面11側に反射する。光出射部102は、共に車両上下方向に延びる第1出射面102Aと第2出射面102Bとを備えており、第1反射部105等で光出射面11側に反射された光を、第1出射面102Aから車両後方に出射させ、第2出射面102Bから車両側方に出射させる。
【0040】
即ち、発光素子12から発せられた光は、円錐状の反射面を備える第1反射部105で中心軸105Cを中心とする放射方向に反射されることで車両上下方向に拡散される。第1反射部105で光出射面11の反対側に反射された光は、円弧状の反射面を備える第2反射部106で光出射面11側に反射され、導光体100の板面100A,100Bや上下の端面で反射されて光出射部102に至る。他方で、第1反射部105で光出射面11側に反射された光は、導光体100の板面100A,100Bや上下の端面で反射されて光出射部102に至る。
【0041】
これにより、車両上下方向に広がった光を、光出射部102の第1出射面102Aから車両後方に出射させ、光出射部102の第2出射面102Bから車両側方に出射させることができる。従って、縦ライン発光タイプの車両用方向指示灯10において、発光素子12を3個、4個と増やすことなく、機能光としての光量を確保すると共に、縦ラインの上下の光量の低下を抑制することが可能になり、配光特性と意匠性とを両立させることが可能になる。
【0042】
また、本実施形態の車両用方向指示灯10では、光出射部102の第1出射面102Aは平面であり、光出射部102の第2出射面102Bは凹凸面である。これにより、機能光として十分な光量の光を、第1出射面102Aから車両後方に出射させると共に、意匠光としての拡散光を、第2出射面102Bから車両側方に出射させることが可能になる。特に、本実施形態の車両用方向指示灯10では、第2出射面102Bは、縦横に凹凸が並ぶ凹凸面であることから、拡散性の高い光を、第2出射面102Bから車両側方に出射させることが可能になる。
【0043】
また、本実施形態の車両用方向指示灯10では、拡散反射部107Dが、導光体100の一方の板面100Aにおける光入射部101と光出射部102との間に設けられている。また、拡散反射部107Cが、導光体100の他方の板面100Bにおける第1反射部105と光出射部102との間に設けられている。これによって、拡散反射部107Dで拡散反射された光を、光出射部102の第2出射面102Bから車両側方に出射させることができる。また、拡散反射部107Cで拡散反射された光を、光出射部102の第1出射面102Aから車両後方に出射させることが可能になる。特に、本実施形態の車両用方向指示灯10では、拡散反射部107Dが、縦横に凹凸が並ぶ反射面を備えているため、拡散性の高い光を、第2出射面102Bから車両側方に出射させることが可能になる。また、拡散反射部107Cが、横方向に延びる凹凸が縦方向に並ぶ反射面を備えているため、上記拡散光に比して拡散性が抑えられ配光特性が高められた光を、第1出射面102Aから車両後方に出射させることが可能になる。
【0044】
また、本実施形態の車両用方向指示灯10では、拡散反射部105Aが、第1反射部105における中心軸105Cよりも光出射面11側に設けられている。これにより、第1反射部105で光出射面11側に反射される光が、拡散反射部105Aで拡散反射されるため、第1反射部105から光出射部102に向かう光の拡散性を高めることが可能になる。
【0045】
さらに、本実施形態の車両用方向指示灯10では、車両上下方向に離間して配された2個の発光素子12に対応するように、導光体100が、それぞれ2個の光入射部101、第1反射部105、及び第2反射部106を備えている。なお、光出射部102は、2個の発光素子12に対応するように、車両上下方向に延びている。これにより、縦ライン発光タイプの車両用方向指示灯10において、2個の発光素子12により、機能光としての光量を確保すると共に、縦ラインの上下の光量の低下を抑制することが可能になり、配光特性と意匠性とを両立させることが可能になる。
【0046】
以上、上述の実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、実施形態同士の技術や公知・周知技術を組み合わせてもよい。
【0047】
例えば、上述の実施形態では、2個の発光素子12を設けたが、配光特性と意匠性とを両立させることができればよく、発光素子12を1個にすることも可能である。また、光源としての発光素子12を発光ダイオードとすることも必須ではなく、他の光源を用いてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 :ドアミラー
10 :車両用方向指示灯
11 :光出射面
12 :発光素子(光源)
100 :導光体
100A :一方の板面
100B :他方の板面
101 :光入射部
102 :光出射部
102A :第1出射面
102B :第2出射面
105 :第1反射部
105A :拡散反射部(第3拡散反射部)
106 :第2反射部
107C :拡散反射部(第2拡散反射部)
107D :拡散反射部(第1拡散反射部)