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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121869
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】粒子の回収装置及びその回収方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20230101AFI20240902BHJP
   B01J 8/02 20060101ALI20240902BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
C02F1/42 A
C02F1/42 B
B01J8/02 B
B05B1/02
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029078
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】岩越 勇二
(72)【発明者】
【氏名】上野 勝利
(72)【発明者】
【氏名】中澤 公哉
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 雄大
(72)【発明者】
【氏名】川原 勝良
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恵亮
【テーマコード(参考)】
4D025
4F033
4G070
【Fターム(参考)】
4D025AA04
4D025AB18
4D025AB19
4D025BA08
4D025BA13
4D025BB05
4D025DA10
4F033BA04
4F033DA01
4F033EA01
4F033LA11
4G070AA03
4G070AB04
4G070BB01
4G070CA10
4G070CB21
4G070DA15
(57)【要約】
【課題】タンク内に収容された粒子を迅速に回収することが可能な回収装置及び回収方法を提供する。
【解決手段】回収装置1は、加圧された純水を供給する給水ホース3と、給水ホース3に接続され、給水ホース3から供給された純水を噴射する噴射手段4と、内部空間の入口側から出口側に向かって純水が噴射されるように噴射手段4を支持し、噴射手段4からの噴射によるジェットポンプ作用により回収対象のイオン交換樹脂を吸引する吸引カバー5と、吸引カバー5の出口側の端部に接続され、噴射手段4から噴射された純水と吸引カバー5で吸引された回収対象のイオン交換樹脂とを外部に排出する排出ホース6と、を備える。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された液体を供給する供給ホースと、
前記供給ホースに接続され、前記供給ホースから供給された液体を噴射する噴射手段と、
内部空間の入口側から出口側に向かって液体が噴射されるように前記噴射手段を支持し、前記噴射手段からの噴射によるジェットポンプ作用により回収対象の粒子を吸引する吸引カバーと、
前記吸引カバーの出口側の端部に接続され、前記噴射手段から噴射された液体と前記吸引カバーで吸引された回収対象の粒子とを外部に排出する排出ホースと、
を備える回収装置。
【請求項2】
前記噴射手段は、
前記吸引カバーに支持され、前記供給ホースからの液体を受け入れるように前記供給ホースに接続された配管と、
前記配管の先端側の端部に接続され、前記配管から供給された液体の流速を増大させて噴射するノズルと、を備える、
請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記吸引カバーは、円錐台形状又は円筒形状であり、
前記ノズルは、前記吸引カバーの中心軸上に延びるように配置されている、
請求項2に記載の回収装置。
【請求項4】
前記排出ホースの基端側の端部が内部に配置され、前記排出ホースから排出された回収対象の粒子を保持すると共に、前記排出ホースから排出された液体を排出する液体排出手段が壁面部に設けられた回収タンクをさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の回収装置。
【請求項5】
請求項1に記載の回収装置を用いた回収方法であって、
回収対象の粒子が収容されたタンク内に前記回収装置を配置する工程と、
前記タンク内に収容された回収対象の粒子を吸引する工程と、
前記タンクから前記回収装置を撤去する工程と、
を含む回収方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の回収装置及びその回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力用変換器のような電気設備では、導電性の低い純水を用いて内部の素子を冷却する純水冷却装置が用いられることがある。純水冷却装置には、例えば、特許文献1に開示されているように純水を生成するイオン交換器が設けられている。イオン交換器内に収容された粒子状のイオン交換樹脂は、経年使用により機能が低下するため、定期的に交換作業を行う必要がある。従来の交換作業では、イオン交換器の下部フランジにドレンバルブを取り付け、ドレンバルブを開放した状態で上部フランジから給水しながらイオン交換器に振動を与えることにより、イオン交換樹脂を排出する手法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-185321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の手法では、イオン交換器の下部フランジに対するドレンバルブを着脱したり、自重により全てのイオン交換樹脂が排出させたりするのに手間を要するという問題がある。このような問題は、イオン交換器に収容されたイオン交換樹脂を回収する場合に限られず、タンク内に収容された他の粒子を回収する場合にも存在している。
【0005】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、タンク内に収容された粒子を迅速に回収することが可能な回収装置及び回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る回収装置は、
加圧された液体を供給する供給ホースと、
前記供給ホースに接続され、前記供給ホースから供給された液体を噴射する噴射手段と、
内部空間の入口側から出口側に向かって液体が噴射されるように前記噴射手段を支持し、前記噴射手段からの噴射によるジェットポンプ作用により回収対象の粒子を吸引する吸引カバーと、
前記吸引カバーの出口側の端部に接続され、前記噴射手段から噴射された液体と前記吸引カバーで吸引された回収対象の粒子とを外部に排出する排出ホースと、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、タンク内に収容された粒子を迅速に回収することが可能な回収装置及び回収方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る回収装置によりイオン交換樹脂が回収されるイオン交換器を備える純水冷却装置と電力用変換器との関係を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る回収装置の構成を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る回収装置がイオン交換器内に収容されたイオン交換樹脂を吸引する様子を示す図である。
図4】本発明の実施の形態に係る回収装置の構成の一部を拡大した拡大図である。
図5図4の回収装置をA-A線で切断した断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係るイオン交換樹脂の交換方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る回収装置及び回収方法を、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面では、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。実施の形態では、イオン交換器内に収容されたイオン交換樹脂を交換する場合を例に説明する。
【0010】
実施の形態に係る回収装置は、ジェットポンプ作用を用いた吸引力によりイオン交換器からイオン交換樹脂を吸引することで回収する装置である。ジェットポンプ作用とは、噴出する流体により周囲にある他の流体を引き込む作用である。
【0011】
図1に示すように、イオン交換器は、電力用変換器を冷却する純水を生成する純水冷却装置に設けられている。純水冷却装置は、イオン交換器により生成された純水を冷却する熱交換器を備え、電力用変換器との間で純水を循環させることができるように配管を介して接続されている。電力用変換器は、動作時に純水による冷却を要するインバータ及びコンバータを備える。冷却水として純水を用いるのは、インバータ及びコンバータで短絡が発生することを防ぐためである。
【0012】
図2に示すように、イオン交換器は、多数のイオン交換樹脂を収容するタンクを備える。タンクの上面部には、着脱自在な上部フランジが設けられ、タンク下側の壁面部には、着脱自在な下部フランジが設けられている。各フランジを取り外すことでタンクの壁面部に設けられた開口を露出させ、イオン交換樹脂を投入したり排出させたりすることができる。実施の形態に係る回収装置1の一部は、上部フランジを取り外して露出された開口を通してイオン交換器内に挿入される。
【0013】
イオン交換樹脂は、イオン交換を行うことで溶媒中、例えば、水中のイオンを除去する樹脂である。イオン交換では、イオン交換樹脂が持つイオンを溶媒中に溶出させ、代わりに溶媒中のイオンを吸収する。例えば、水中の陽イオン、例えば、カルシウムイオンCa、ナトリウムイオンNaを取り込んで水素イオンHを放出し、水中の陰イオン、例えば、塩化物イオンClを取り込んで水酸化物イオンOHを放出する。水中に放出されたHとOHとは互いに結合して水に変化するため、水中に新たなイオンを発生させることがない。イオン交換樹脂は、軽量かつ微小な粒子であり、その直径は、例えば、1mm程度であるため、実施の形態に係る回収装置1により簡単に吸い上げることができる。
【0014】
次に、実施の形態に係る回収装置1の構成を説明する。
図2に示すように、回収装置1は、水を加圧する加圧手段2と、加圧手段2に接続され、加圧された水を供給する給水ホース3と、給水ホース3の先端側の端部に接続され、給水ホース3から供給された水を噴射する噴射手段と、内部空間の入口側から出口側に向かって液体が噴射されるように噴射手段を支持し、噴射手段からの噴射によるジェットポンプ作用により回収対象の粒子を吸引する吸引カバー5と、吸引カバー5の基端側の端部に接続され、噴射手段から噴射された水と吸引カバー5で吸引されたイオン交換樹脂とを外部に排出する排出ホース6と、排出ホース6の基端側の端部が内部に配置される回収タンク7と、を備える。回収装置1で噴射に用いる水は、例えば、純水である。
【0015】
図3に示すように、回収装置1は、加圧手段2で加圧された水を噴射手段4により吸引カバー5の先端側(入口側)から基端側(出口側)に向けて噴射することで、吸引カバー5においてジェットポンプ作用による吸引力を発生させ、イオン交換器内の粒子状のイオン交換樹脂を吸引する。ジェットポンプ作用による吸引力を増大させるには、噴射手段4から水を噴射する際の押し込み圧力をできるだけ増大させるとよい。加圧手段2が起動した状態でユーザが回収装置1の給水ホース3及び排出ホース6を把持し、イオン交換器内で自在に動かすことにより、イオン交換器内のイオン交換樹脂を次々に吸引して回収できる。なお、図3に図示された供給管路は、電力用変換器の冷却に用いられた純水をイオン交換器内に戻す管路であり、排出管路は、イオン交換器内で生成された高純度の純水を外部に排出する管路である。
【0016】
図2に戻り、加圧手段2は、例えば、モータ及びポンプを備える。加圧手段2のモータによりポンプを駆動し、ポンプで給水タンク2Aから取り込んだ純水を加圧して噴出する。給水タンク2Aには、例えば、純水が貯留されている。なお、給水タンク2Aには、水中ポンプ2Bが設置され、給水ホース3とは別の給水ホース2Cを介してイオン交換器内に純水を供給できる。これらの水中ポンプ2B及び給水ホース2Cは、新規のイオン交換樹脂を充填した後にイオン交換器内に純水を供給する際に使用すればよい。
【0017】
給水ホース3は、加圧された液体を供給する供給ホースの一例である。給水ホース3は、内部管路に純水が流れる変形可能なホースであり、例えば、ゴム製のホースである。給水ホース3の基端側の端部が加圧手段2に接続されている。加圧手段2及び給水ホース3としては、例えば、汎用品の高圧洗浄機を用いてもよい。
【0018】
図4及び図5に示すように、噴射手段4は、吸引カバー5により支持され、給水ホース3から供給された水を受け入れて吸引カバー5内に噴射する。噴射手段4は、吸引カバー5の内部空間に配置されるように吸引カバー5に支持され、給水ホース3を着脱自在に接続される配管4aと、配管4aの先端側の端部に接続され、配管4aから供給された水を吸引カバー5内に噴射するノズル4bと、を備える。
【0019】
配管4aは、吸引カバー5の壁面側から中心軸に向かって延び、中心軸上を吸引カバー5の先端側から基端側に向かって延びるように折れ曲がるL字型の配管である。ノズル4bは、吸引カバー5の先端側から基端側に向かって延び、加圧手段2により加圧された水の流速を増大させて外部に噴出する。ノズル4bは、例えば、管断面積を流れ方向に小さくした先細ノズルである。吸引力を増大させるには、ノズル4bから噴出される噴流の流速(噴出圧力)をできるだけ増大させるとよい。
【0020】
吸引カバー5は、先端側から基端側に向かって窄まるように形成された円錐台形状のカバーである。吸引カバー5の基端側の端部には排出ホース6が接続され、吸引イオン交換樹脂を排出ホース6に供給する。吸引カバー5の最大径は、イオン交換器に設けられた開口を通過できるように設定されている。給水ホース3及び排出ホース6が変形可能に構成されているため、ユーザは吸引カバー5をイオン交換器のタンク内で自在に動かすことができる。
【0021】
吸引カバー5の壁面部には、給水ホース3の端部が着脱自在に接続されると共に、配管4aが接続されたコネクタ5aが設けられている。コネクタ5aは、給水ホース3と配管4aとを連通させる貫通孔を備える。
【0022】
排出ホース6は、内部管路にイオン交換樹脂及び純水の混合物が流れる変形可能なホースであり、例えば、ゴム製のホースである。排出ホース6は、イオン交換樹脂及び純水の混合物を流動させるため、給水ホース3よりも大きな内径を有している。ただし、排出ホース6の内径を大きくしすぎると、排出ホース6内での吸引力が低下することに留意が必要である。
【0023】
排出ホース6は、例えば、先端側に配置された第1のホースと、第1のホースに接続され、基端側に配置される第2のホースと、を備える。第1のホースは、イオン交換器内の底面付近での作業性を考慮して第2のホースよりも高い剛性を有するように形成されている。第2のホースは、床に配置され、ユーザにより踏みつけられることがあるため、外力に抗して流路を確保できるように第1のホースの壁厚よりも厚みを有する。
【0024】
図2に戻り、回収タンク7は、上部に排出ホース6の端部が挿入される開口を備え、排出ホース6から排出されたイオン交換樹脂を収容する樹脂製のタンクである。回収タンク7の壁面部の下部には、イオン交換樹脂を保持しつつ水を排出する水抜き穴が設けられている。
【0025】
水抜き穴は、イオン交換樹脂を保持すると共に液体である水を排出する液体排出手段の一例である。水抜き穴は、例えば、タンクの壁面部を貫通するように形成された貫通孔と、貫通孔を覆うようにタンクの壁面部に設けられ、イオン交換樹脂を保持しつつ水を排出するフィルタと、を備える。回収タンク7は、その後の運搬作業を考慮して台車8に載せておくとよい。
以上が、回収装置1の構成である。
【0026】
次に、実施の形態に係る回収装置1の動作を説明する。
給水タンク2Aから取り込んだ純水を加圧手段2で加圧して給水ホース3に供給すると、噴射手段4のノズル4bから吸引カバー5の内部に向けて高速の純水が噴射される。このとき、純水の噴流は、吸引カバー5の中心軸上を入口側から出口側に向けて噴射される。ノズル4bから噴射された純水の流速が一定速度以上になると、純水の噴流によるジェットポンプ作用によりイオン交換器内の純水が吸引カバー5内に引き込まれる。このとき、イオン交換樹脂は1mm程度の軽量かつ微小な粒子であるため、純水と一緒に吸引カバー5内に引き込まれる。
【0027】
吸引カバー5により吸引されたイオン交換樹脂及び純水は、吸引カバー5内で排出ホース6側に噴出された純水と一緒に排出ホース6を通って排出される。このとき、排出ホース6を途中で高く持ち上げると吸引力が低下するため、排出ホース6の位置をできるだけ低く保つことが好ましい。
以上が、回収装置1の動作である。
【0028】
次に、図6のフローチャートを参照して、実施の形態に係る回収装置1を用いたイオン交換樹脂粒子の交換方法の流れを説明する。
まず、図2に示すようにイオン交換器の上部に設けられた上部フランジを取り外し、開口を露出させる(ステップS1)。
【0029】
次に、回収装置1を用いてイオン交換器からイオン交換樹脂を排出する(ステップS2)。具体的には、まず、イオン交換器内に回収装置1を配置する。この工程では、ユーザが回収装置1の排出ホース6を把持し、図3に示すように上部側の開口からイオン交換器内に回収装置1の吸引カバー5を含む先端側の部分を挿入すればよい。
【0030】
次に、回収装置1の加圧手段2を起動させ、イオン交換器内に収容されたイオン交換樹脂を次々と吸引する。この工程では、ユーザが回収装置1の排出ホース6を把持したまま、イオン交換器内で吸引カバー5をあちこちに動かせばよい。加圧手段2で加圧された水がノズル4bより吸引カバー5内に噴射されることにより、図4に示すようにイオン交換樹脂が純水と共に吸引カバー5内に引き込まれ、排出ホース6を通って回収タンク7に排出される。このとき、回収タンク7には、水抜き穴が設けられているため、回収タンク7内にイオン交換樹脂を回収するだけでイオン交換樹脂の脱水を行うことができる。
【0031】
なお、作業中にイオン交換器内の純水が一定量以下に減少し、吸引カバー5から空気を吸い込んでしまうと、ジェットポンプ作用による吸引力が低下し、イオン交換樹脂の吸引が困難になる。このため、ステップS2の工程においてイオン交換器内の純水が一定量以下に減少した場合には、水中ポンプ2Bを作動させ、給水ホース2Cからイオン交換器内に向けて純水を補充すればよい。
【0032】
次に、イオン交換器から回収装置1を撤去する。この工程では、ユーザが回収装置1の排出ホース6を把持したまま、イオン交換器から回収装置1の先端側の部分を引き抜けばよい。その後、加圧手段2の動作を停止させればよい。なお、ステップS2の工程では、純度の低い水を用いることもできるが、作業後にタンク内を純水で洗浄する作業が必要になるため、できれば純水を使用することが好ましい。
【0033】
次に、ステップS2の工程で回収されたイオン交換樹脂を収容した回収タンク7を保管庫に運搬する(ステップS3)。回収タンク7は、ステップS2の工程の時点で既に台車8に載せられているため、そのまま台車8を用いて運搬すればよい。イオン交換樹脂は、回収タンク7に収容された状態で一緒に産業廃棄物として処理すればよい。
【0034】
次に、イオン交換器内に新規なイオン交換樹脂を充填し、純水を補充する(ステップS4)。純水の補充には、図2に示す給水タンク2Aに設置された水中ポンプ2Bを用いればよい。
【0035】
次に、イオン交換器の開口を塞ぐために上部フランジを取り付け(ステップS5)、全ての工程が終了する。
以上が、イオン交換樹脂の交換方法の流れである。
【0036】
以上説明したように、実施の形態に係る回収装置1は、加圧された水を供給する給水ホース3と、給水ホース3に接続され、給水ホース3から供給された水を噴射する噴射手段4と、内部空間の入口側から出口側に向かって液体が噴射されるように噴射手段4を支持し、噴射手段4からの噴射によるジェットポンプ作用により回収対象の粒子を吸引する吸引カバー5と、吸引カバー5の出口側の端部に接続され、噴射手段4から噴射された水と吸引カバー5で吸引された回収対象の粒子とを外部に排出する排出ホース6と、を備える。このため、イオン交換器内に収容されたイオン交換樹脂を上方から吸引するだけで回収できる。
【0037】
本発明は上記実施の形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
【0038】
(変形例)
上記実施の形態は、加圧手段2を床に設置していたが、これに限られない。ユーザが把持可能な程度の大きさ及び重量である小型の加圧手段に置き換えてもよい。これにより給水ホース3の長さを短縮できるため、給水ホース3による圧力損失を抑制できる。
【0039】
上記実施の形態では、給水ホース3と排出ホース6とが分離していたが、本発明はこれに限られない。少なくともイオン交換器内に配置される部分では、給水ホース3と排出ホース6と結紮バンド等で一体化してもよい。
【0040】
上記実施の形態では、給水ホース3と排出ホース6を手で把持していたが、本発明はこれに限られない。例えば、排出ホース6にユーザが把持可能なハンドルを設けてもよい。また、給水ホース3と排出ホース6を床面に設置された支持手段により支持させてもよい。
【0041】
上記実施の形態では、配管4aに接続されたノズル4bが1つであったが、本発明はこれに限られない。例えば、配管4aを分岐が形成された配管とし、このような配管に吸引カバー5の先端側から基端側に向かって噴流を噴射する複数のノズル4bを接続してもよい。
【0042】
上記実施の形態では、吸引カバー5に給水ホース3の端部と配管4aの端部とを接続するコネクタ5aが設けられていたが、本発明はこれに限られない。例えば、配管4aが吸引カバー5の壁面部を貫通し、外部に露出した配管4aの端部と給水ホース3の端部とを着脱自在に接続するように構成してもよい。
【0043】
また、配管4aが吸引カバー5の壁面部に支持され、吸引カバー5の先端側の端部から回り込んで吸引カバー5の中心軸に向かって延び、中心軸上で折れ曲がり、吸引カバー5の先端側から基端側に向かって中心軸上を延びるように構成されてもよい。
【0044】
上記実施の形態では、吸引カバー5は円錐台形状であったが、本発明はこれに限られない。例えば、吸引カバー5は、円筒形状であってもよい。
【0045】
上記実施の形態では、排出ホース6から排出されたイオン交換樹脂を回収するのに回収タンク7を用いていたが、本発明はこれに限られない。例えば、イオン交換樹脂を回収するのに水を浸出可能な袋を用いてもよい。
【0046】
上記実施の形態では、イオン交換器から回収したイオン交換樹脂を運搬した後、新規のイオン交換樹脂をイオン交換器に充填していたが、本発明はこれに限られない。新規のイオン交換樹脂をイオン交換器に充填し、上部フランジを取り付けた後、イオン交換器から回収したイオン交換樹脂を運搬してもよい。
【0047】
上記実施の形態では、イオン交換器から粒子状のイオン交換樹脂を回収するために回収装置1を用いていたが、本発明はこれに限られない。タンク内に収容された他の粒子、砂、燃焼灰、その他のダストをタンクから回収するのに回収装置1を用いてもよい。
【0048】
上記実施の形態では、回収装置1において純水を噴射していたが、本発明はこれに限られない。噴射する液体は、純水に限られず、タンクから回収する粒子に合わせて他の液体を用いてもよい。
【0049】
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 回収装置
2 加圧手段
3 給水ホース
4 噴射手段
4a 配管
4b ノズル
5 吸引カバー
6 排出ホース
7 回収タンク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る回収装置は、
加圧された液体を供給する供給ホースと、
前記供給ホースに接続され、前記供給ホースから供給された液体を噴射する噴射手段と、
内部空間の入口側から出口側に向かって液体が噴射されるように前記噴射手段を支持し、前記噴射手段からの噴射によるジェットポンプ作用により回収対象の粒子を吸引する吸引カバーと、
前記吸引カバーの出口側の端部に接続されると共にユーザにより把持可能に形成され、前記噴射手段から噴射された液体と前記吸引カバーで吸引された前記回収対象の粒子とを外部に排出する排出ホースと、
を備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された液体を供給する供給ホースと、
前記供給ホースに接続され、前記供給ホースから供給された液体を噴射する噴射手段と、
内部空間の入口側から出口側に向かって液体が噴射されるように前記噴射手段を支持し、前記噴射手段からの噴射によるジェットポンプ作用により回収対象の粒子を吸引する吸引カバーと、
前記吸引カバーの出口側の端部に接続されると共にユーザにより把持可能に形成され、前記噴射手段から噴射された液体と前記吸引カバーで吸引された前記回収対象の粒子とを外部に排出する排出ホースと、
を備える回収装置。
【請求項2】
前記排出ホースは、前記回収対象の粒子が収容されたタンク内で前記吸引カバーを自在に動かせるように変形可能に形成されている、
請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
加圧された液体を供給する供給ホースと、
前記供給ホースに接続され、前記供給ホースから供給された液体を噴射する噴射手段と、
内部空間の入口側から出口側に向かって液体が噴射されるように前記噴射手段を支持し、前記噴射手段からの噴射によるジェットポンプ作用により回収対象の粒子を吸引する吸引カバーと、
前記吸引カバーの出口側の端部に接続され、前記噴射手段から噴射された液体と前記吸引カバーで吸引された前記回収対象の粒子とを外部に排出する排出ホースと、
を備え
前記回収対象の粒子としてイオン交換樹脂の粒子を回収可能に構成されている、
回収装置。
【請求項4】
前記噴射手段は、
前記吸引カバーに支持され、前記供給ホースからの液体を受け入れるように前記供給ホースに接続された配管と、
前記配管の先端側の端部に接続され、前記配管から供給された液体の流速を増大させて噴射するノズルと、を備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の回収装置。
【請求項5】
前記吸引カバーは、円錐台形状又は円筒形状であり、
前記ノズルは、前記吸引カバーの中心軸上に延びるように配置されている、
請求項に記載の回収装置。
【請求項6】
前記排出ホースの基端側の端部が内部に配置され、前記排出ホースから排出された前記回収対象の粒子を保持すると共に、前記排出ホースから排出された液体を排出する液体排出手段が壁面部に設けられた回収タンクをさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の回収装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の回収装置を用いた回収方法であって、
前記回収対象の粒子が収容されたタンク内に前記吸引カバーを配置する工程と、
前記タンク内に収容された前記回収対象の粒子を吸引する工程と、
前記タンクから前記吸引カバーを撤去する工程と、
を含む回収方法。