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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121877
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】金属閉鎖形スイッチギヤ
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/30 20060101AFI20240902BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20240902BHJP
   H02B 1/38 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H02B1/30 F
H02B1/20 H
H02B1/30 E
H02B1/38 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029089
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 知樹
(72)【発明者】
【氏名】勝野 国治
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA04
5G016CC19
5G016CF07
5G016DA12
(57)【要約】
【課題】スイッチギヤのケーブル室コンパートメント内における作業時の安全性を向上させる。
【解決手段】筐体内で上下段となる2台の遮断器と、該筐体内部に形成された母線室コンパートメントと、該母線室コンパートメントの上下にそれぞれ形成された2つの遮断器室コンパートメントと、それぞれの該遮断器室コンパートメントの前方に形成された制御室コンパートメントと、それぞれの該遮断器室コンパートメントの後方に区分して形成され前記遮断器の負荷側に対応する2つのケーブル室コンパートメントと、接地母線を収納する共通コンパートメントと、を備え、前記母線室コンパートメント、2つの前記遮断器室コンパートメント、前記制御室コンパートメント、2つの前記ケーブル室コンパートメント、及び前記共通コンパートメントのそれぞれの境界を、所定の保護等級で接地された金属製仕切板で区分した金属閉鎖形スイッチギヤ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
該筐体内で上下段となるように配設された2台の遮断器と、
該筐体内部に形成された母線室コンパートメントと、
該母線室コンパートメントの上下にそれぞれ形成された2つの遮断器室コンパートメントと、
それぞれの該遮断器室コンパートメントの前方に形成された制御室コンパートメントと、
それぞれの該遮断器室コンパートメントの後方に区分して形成され前記遮断器の負荷側に対応する2つのケーブル室コンパートメントと、
接地母線を収納する共通コンパートメントと、を備え、
前記母線室コンパートメント、2つの前記遮断器室コンパートメント、前記制御室コンパートメント、2つの前記ケーブル室コンパートメント、及び前記共通コンパートメントのそれぞれの境界を、所定の保護等級で接地された金属製仕切板で区分した金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項2】
前記共通コンパートメントは、2つの前記ケーブル室コンパートメントから独立するように、金属製の共通コンパートメント仕切板によって区分された請求項1に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項3】
前記筐体の背面側に2つの前記ケーブル室コンパートメントにアクセスするための開閉部を有する請求項2に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項4】
前記開閉部は、工具を用いて閉鎖され、該工具によってのみ開放可能な請求項3に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項5】
前記開閉部は、鍵により施錠され、該鍵による解錠によってのみ開放可能な請求項3に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項6】
前記筐体は、主回路ケーブルを床下から引き込む下引込口を備え、
上段側の前記ケーブル室コンパートメント内で延在し上段側に位置する前記遮断器の負荷側に接続される上段側主回路ケーブルを、下段側に位置する前記遮断器の負荷側に接続される下段側主回路ケーブルを延在させるための下段側の前記ケーブル室コンパートメントと区分して延在させるために、前記筐体内の前記下段側に所定の保護等級で接地された金属製ダクト状仕切板で区分して形成した通路を前記下引込口までつながるように配置した請求項2、3、4又は5に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項7】
前記金属製ダクト状仕切板は、前記通路を前記下引込口まで延ばすために、前記共通コンパートメント仕切板との干渉を避ける切欠部を有する請求項6に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項8】
前記筐体は、主回路ケーブルを天井から引き込む上引込口を備え、
下段側の前記ケーブル室コンパートメント内で延在し下段側に位置する前記遮断器の負荷側に接続される下段側主回路ケーブルを、上段側に位置する前記遮断器の負荷側に接続される上段側主回路ケーブルを延在させるための上段側の前記ケーブル室コンパートメントと区分して延在させるために、前記筐体内の前記上段側に所定の保護等級で接地された金属製ダクト状仕切板で区分して形成した通路を前記上引込口までつながるように配置した請求項2、3、4又は5に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項9】
前記開閉部は、2つの前記ケーブル室コンパートメントの仕切りに合わせて上下に分割された複数の背面扉を備え、
上段側の前記ケーブル室コンパートメント、及び下段側の前記ケーブル室コンパートメントのそれぞれに対して、対応するいずれかの該背面扉を開放することで独立してアクセス可能とする請求項3、4又は5に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項10】
前記筐体の背面側に前記共通コンパートメントにアクセスするための共通コンパートメント開閉部を有し、
該共通コンパートメント開閉部は、該共通コンパートメントの仕切形状に合わせ非金属製または所定の保護等級で接地された金属製のカバーを備え、該カバーは、工具を用いて締結され、該工具によってのみ開放可能な請求項2に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項11】
前記開閉部は、前記共通コンパートメントに対してアクセス可能とする背面扉と、
該背面扉よりも前記筐体内部側に設置され、2つの前記ケーブル室コンパートメントの仕切りに合わせて上下に分割された背面仕切板と、を備え、
上段側の前記ケーブル室コンパートメント、及び下段側の前記ケーブル室コンパートメントのそれぞれに対して、対応するいずれかの該背面仕切板を開放することで、前記共通コンパートメントを介して、独立してアクセス可能とする請求項3、4又は5に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項12】
前記筐体の天井に取り付けられた上段側変流器を備え、
前記筐体内で上段側に位置する前記遮断器の負荷側と前記上段側主回路ケーブルとが、前記上段側変流器を介して接続される請求項6に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【請求項13】
前記金属製ダクト状仕切板の下面に取り付けられた中継部材を備え、
前記筐体内で下段側に位置する前記遮断器の負荷側と前記下段側主回路ケーブルとが、前記中継部材を介して接続される請求項6に記載の金属閉鎖形スイッチギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、金属閉鎖形スイッチギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気機器類が金属で閉鎖された筐体に収納されて長期間安全に使用できるように絶縁性能を持たせた金属閉鎖形スイッチギヤ(金属閉鎖形配電盤)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-212779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の2段積み金属閉鎖形スイッチギヤの基本構成は、例えば、制御回路や制御機器を収納する制御室コンパートメントと、電力回路で事故が発生した場合や金属閉鎖形スイッチギヤの点検を行う場合等に電力回路における電流を遮断するための遮断器を収納する遮断器室コンパートメントと、遮断器の電源側及び隣接盤との主回路接続を担う母線を収納した母線室コンパートメントと、遮断器の負荷側で外部から引き込まれた主回路ケーブルが収納されるケーブル室コンパートメントと、を仕切板によって区分している。
【0005】
しかし、従来の2段積み金属閉鎖形スイッチギヤでは、ケーブル室コンパートメントを上下の遮断器ごとに仕切板で区分していない。そして、作業者が無電流化した上段側の主回路ケーブル、又は無電流化した下段側の主回路ケーブルにアクセスしたい場合に、ケーブル室コンパートメント内における安全性をより向上させるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本実施形態の金属閉鎖形スイッチギヤは、筐体と、該筐体内で上下段となるように配設された2台の遮断器と、該筐体内部に形成された母線室コンパートメントと、該母線室コンパートメントの上下にそれぞれ形成された2つの遮断器室コンパートメントと、それぞれの該遮断器室コンパートメントの前方に形成された制御室コンパートメントと、それぞれの該遮断器室コンパートメントの後方に区分して形成され前記遮断器の負荷側に対応する2つのケーブル室コンパートメントと、接地母線を収納する共通コンパートメントと、を備え、前記母線室コンパートメント、2つの前記遮断器室コンパートメント、前記制御室コンパートメント、2つの前記ケーブル室コンパートメント、及び前記共通コンパートメントのそれぞれの境界を、所定の保護等級で接地された金属製仕切板で区分している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1の金属閉鎖形スイッチギヤの内部を説明する側面図である。
図2図2は、実施形態1の金属閉鎖形スイッチギヤの内部を説明する斜視図である。
図3図3は、実施形態1の金属閉鎖形スイッチギヤの内部を背面側から見た場合における、上段側の主回路ケーブル及び下段側の主回路ケーブルと、上段側のケーブル室コンパートメント及び下段側のケーブル室コンパートメントと、ダクト状仕切板と、の位置関係を説明する説明図である。
図4図4は、実施形態1の金属閉鎖形スイッチギヤの上下に並ぶ正面扉を説明する正面図である。
図5図5は、共通コンパートメントを説明するための拡大斜視図である。
図6図6は、実施形態1の金属閉鎖形スイッチギヤの2つのケーブル室コンパートメントにアクセス可能とする開閉部の上下に分割された背面扉を説明する背面図である。
図7図7は、実施形態1の金属閉鎖形スイッチギヤにおいて、上段側のケーブル室コンパートメントが充電されている状態から、上段側のケーブル室コンパートメントを無電流化してアクセス可能な状態にするまでの操作手順を示すフロー図である。
図8図8は、実施形態2の金属閉鎖形スイッチギヤの側面図である。
図9図9は、実施形態2の金属閉鎖形スイッチギヤの背面仕切板よりも筐体の外側に配設された背面扉を説明する背面図である。
図10図10は、実施形態2の金属閉鎖形スイッチギヤの上下の2つのケーブル室コンパートメントにアクセス可能とする開閉部の上下に分割された背面仕切板を説明する背面図である。
図11図11は、実施形態2の金属閉鎖形スイッチギヤにおいて、下段側のケーブル室コンパートメントが充電されている状態から、下段側のケーブル室コンパートメントを無電流化してアクセス可能な状態にするまでの操作手順を示すフロー図である。
図12図12は、実施形態3の金属閉鎖形スイッチギヤの内部を説明する側面図である。
図13図13は、実施形態3の金属閉鎖形スイッチギヤの内部を説明する斜視図である。
図14図14は、実施形態3の金属閉鎖形スイッチギヤの内部を背面側から見た場合における、上段側の主回路ケーブル及び下段側の主回路ケーブルと、上段側のケーブル室コンパートメント及び下段側のケーブル室コンパートメントと、ダクト状仕切板との位置関係を説明する説明図である。
図15図15は、実施形態3の金属閉鎖形スイッチギヤの上下の2つのケーブル室コンパートメントにアクセス可能とする開閉部の上下に分割された背面扉を説明する背面図である。
図16図16は、実施形態4の金属閉鎖形スイッチギヤの側面図である。
図17図17は、実施形態4の金属閉鎖形スイッチギヤのケーブル室コンパートメントにアクセス可能とする開閉部の上下に分割された背面仕切板を説明する背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態1のスイッチギヤ)
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態1に係る金属閉鎖形スイッチギヤ1(以下、スイッチギヤ1とする)の構造について説明する。図1においてその内部が側面図で示されるスイッチギヤ1は、例えば、電気機器類が金属で閉鎖された筐体11に収納されており、絶縁性能を持たせている。また、スイッチギヤ1は、所謂、上下2段積み金属閉鎖形スイッチギヤである。図2は、実施形態1のスイッチギヤ1の筐体11内部を説明する斜視図である。なお、実施形態1のスイッチギヤ1の構造は、図1図2に示す例に限定されるものではない。
【0009】
以下の説明では、X軸Y軸Z軸直交座標系を用いる。X軸方向は、+X方向と-X方向とを含む。Y軸方向は、+Y方向と-Y方向とを含む。Z軸方向は、+Z方向(上方向)と-Z方向(下方向)とを含む。例えば、X軸Y軸平面は水平面であり、Z軸方向は鉛直方向である。
【0010】
図1図2に示す筐体11は、例えば矩形板状の底板114と、筐体11の幅方向(Y軸方向)において対向する一対の側壁111、側壁112(図2図3参照)と、筐体11の正面側(-X方向側)に位置する正面扉113a及び正面扉113bと、平板状の天井110と、筐体11の背面側(+X方向側)に位置する開閉部6と、を備えている。筐体11は、例えば、X軸方向を前後方向とし、Y軸方向を幅方向とし、Z軸方向を上下方向としている。
なお、図2における側壁111は、筐体11の内部を説明するために一部を切り欠いて図示している。
【0011】
図1に示すように、筐体11内の正面側(-X方向側)の空間には、上段側となる遮断器室コンパートメント131と、下段側の遮断器室コンパートメント132と、が上下に区分されて形成されている。即ち、遮断器室コンパートメント131は、隔壁である金属製の仕切板133によって囲まれた空間となっている。また、遮断器室コンパートメント132は、隔壁である金属製の仕切板134によって囲まれた空間となっている。
【0012】
上下方向(Z軸方向)において所定間隔開けて配設された仕切板133と仕切板134との間の空間は、母線室コンパートメント120となっている。即ち、筐体11内部において、母線室コンパートメント120の上下に、遮断器室コンパートメント131と遮断器室コンパートメント132とが形成されている。
【0013】
図1に示すように、スイッチギヤ1は、水平母線12と、遮断器13Aと、遮断器13Bとを備えている。水平母線12は、母線室コンパートメント120内に収納されている。水平母線12は、配電設備において基幹となる電線(導体)であり、隣接盤との電路をつなぐ。
【0014】
遮断器室コンパートメント131に収納され上段側となる遮断器13A、及び遮断器室コンパートメント132に収納され下段側となる遮断器13Bは、それぞれ主回路導体20を介して水平母線12と電気的に接続されている。
【0015】
遮断器13A及び遮断器13Bは、水平母線12を含む電力回路で事故が発生した場合や電力回路のメンテナンスを行う場合等に、電力回路における電流を遮断するための機器である。遮断器13A、遮断器13Bの一例は、高圧真空遮断器(VCB)であり、遮断器13Aを開状態とすることで、図1に示す上段側の主回路ケーブル4Aを無電流化できる。また、遮断器13Bを開状態とすることで、図1に示す下段側の主回路ケーブル4Bを無電流化できる。
【0016】
図1に示すように、遮断器室コンパートメント131の前方(-X方向側)には、上段側の制御室コンパートメント141が、仕切板143aによって遮断器室コンパートメント131と区分されて形成されている。また、遮断器室コンパートメント132の前方(-X方向側)には、下段側の制御室コンパートメント142が、仕切板143bによって遮断器室コンパートメント132と区分されて形成されている。図1に示す例においては、制御室コンパートメント141と制御室コンパートメント142とは、仕切板144によって上段側と下段側とに分けられているが、制御室コンパートメント141と制御室コンパートメント142とが、仕切板によって上下段に区分されておらず一体となっていてもよい。
【0017】
制御室コンパートメント141及び制御室コンパートメント142には、遮断器13A及び遮断器13B等の動作制御を行う制御機器が収納されている。制御機器は、CPUやメモリ等の記憶媒体等を有し従来から知られている制御端子台等である。
【0018】
筐体11の正面側(-X方向側)には、図1図4に示す正面扉113aと正面扉113bとが上下に並べて配設されている。上段側に位置する正面扉113aは、作業者が把持する開閉ノブ113cを備え、開放することで、上段側の制御室コンパートメント141及び上段側の遮断器室コンパートメント131に通じる。下段側に位置する正面扉113bは、作業者が把持する開閉ノブ113dを備え、開放することで、下段側の制御室コンパートメント142及び下段側の遮断器室コンパートメント132に通じる。
【0019】
正面扉113a、正面扉113bのそれぞれ外側面には、遮断器13A及び遮断器13Bの開閉等を個別に操作可能な操作部149a、149bが配設されている。操作部149a、149bは、タッチパネル等を備え、それぞれ遮断器13A又は遮断器13Bの開閉状態、及び上段側の主回路ケーブル4A又は下段側の主回路ケーブル4Bを流れる電流の値等が表示されるとともに、作業者が操作し遮断器13A又は遮断器13Bの開閉状態を切り替え可能とする操作ボタン等を備えている。
【0020】
遮断器室コンパートメント131の後方(+X方向側)には、上段側のケーブル室コンパートメント21が、仕切板133によって遮断器室コンパートメント131と区分されて形成されている。また、遮断器室コンパートメント132の後方(+X方向側)には、下段側のケーブル室コンパートメント22が、仕切板134によって遮断器室コンパートメント132と区分されて形成されている。
【0021】
遮断器室コンパートメント131と遮断器室コンパートメント132とのZ軸方向における間に設けられた母線室コンパートメント120は、母線室コンパートメント120の後方側(+X方向側)に配設され主にZ軸方向に延在する仕切板25によって、上段側のケーブル室コンパートメント21及び下段側のケーブル室コンパートメント22と区分されている。
【0022】
図1図2に示すように、仕切板25の後方(+X方向側)には、金属製のダクト状仕切板5が配設されており、ダクト状仕切板5によって、上段側のケーブル室コンパートメント21と下段側のケーブル室コンパートメント22とが区分されている。
【0023】
図1に示すように、水平母線12に電気的に接続された主回路導体20と上段側の遮断器13Aとの接続部分には、仕切板133を貫通するブッシング等を備える母線側電路接続部201が設けられている。また、遮断器13Aは、仕切板133を貫通する負荷側電路接続部31を介して、負荷側導体32に接続されている。
【0024】
例えば、母線側電路接続部201と遮断器13Aとの間、及び負荷側電路接続部31と遮断器13Aとの間には、それぞれシャッター15aが配設されている。シャッター15aは、点検等のために遮断器13Aを遮断器室コンパートメント131からX軸方向において引き出した際に、普段は内部に収容されている図示しない充電部が外部に露出することになるので、盤内に入る作業者を該露出から遠ざける機能を有する。
【0025】
水平母線12に電気的に接続された主回路導体20と下段側の遮断器13Bとの接続部分には、仕切板134を貫通するブッシング等を備える母線側電路接続部202が設けられている。また、遮断器13Bは、仕切板134を貫通する負荷側電路接続部33を介して、負荷側導体34に接続されている。母線側電路接続部202と遮断器13Bとの間、及び負荷側電路接続部33と遮断器13Bとの間に、それぞれシャッター15bが配設されている。
【0026】
図1に示すように、筐体11内の上段側のケーブル室コンパートメント21に配設された負荷側導体32には、上段側変流器35Aが接続されている。図1図2に示す上段側変流器35Aは、例えば、本体部350と、本体部350に接続された取り付け足351(図1のみ図示)と、本体部350からそれぞれX軸方向に沿って延在する2枚の端子板352と、を備えている。上段側に位置する上段側変流器35Aの取り付け足351は、例えば、筐体11の天井110にボルト固定されている。上段側変流器35Aは、例えば、定格電流の低い一次側を図示しない鉄心に巻回して巻線とすると共に巻線の両端を一次端子である端子板352に接続し、二次側を鉄心の他の部分に巻回すると共にその両端を図示しない二次端子に接続したものである。
【0027】
実施形態1のスイッチギヤ1では、筐体11の天井110に、上段側の主回路ケーブル4Aと上段側に位置する遮断器13Aの負荷側とを接続するための上段側変流器35Aを取り付けている。そのため、図1に示すように、上段側の主回路ケーブル4Aの曲げ部分の曲率半径を大きくとることができる。即ち、上段側の主回路ケーブル4Aを急激に曲げる必要がないことから、主回路ケーブル4Aの曲げ部分を緩やかにして、曲げストレスを緩和させることができる。
【0028】
図1図2に示すように、筐体11の天井110に取り付けられた上段側変流器35Aには、例えば、所定の角度で曲げられた形状を有する端末導体36の一端がボルト接続されており、端末導体36の他端には、ケーブル端子導体40を介して上段側主回路ケーブル4Aが接続されている。端末導体36は、上段側の主回路ケーブル4Aの筐体11内での曲げストレス緩和させる機能を有する。
【0029】
図1図2に示す筐体11内の下段側のケーブル室コンパートメント22に配設された負荷側導体34には、下段側変流器35Bが接続されている。下段側変流器35Bは、上段側変流器35Aと同様の構造を備えている。下段側変流器35Bは、例えば、仕切板25に取り付けられている。仕切板25は、母線室コンパートメント120と、上段側のケーブル室コンパートメント21及び下段側のケーブル室コンパートメント22とを区分する。
【0030】
図1に示すように、下段側変流器35Bは、例えば、略Z軸方向に延在する端子導体371、ダクト状仕切板5を形成するダクト天板50の下面に取り付けられた中継部材372、中継部材372に接続され所定の角度で曲げられた形状を有する端末導体373を介して、下段側の主回路ケーブル4Bが接続されている。
【0031】
中継部材372は、例えば、電気絶縁性備えており、一例として引留碍子である。そして、筐体11内で下段側に位置する遮断器13Bの負荷側と下段側のケーブル室コンパートメント22内を延在する主回路ケーブル4Bとが、中継部材372を介して接続されていることで、下段側の主回路ケーブル4Bの曲げ部分の曲率半径を大きくとることができる。即ち、下段側の主回路ケーブル4Bを急激に曲げる必要がないことから、主回路ケーブル4Bの曲げ部分を緩やかにして、曲げストレスを緩和させることができる。
【0032】
上段側の主回路ケーブル4A、及び下段側の主回路ケーブル4Bは、上流と下流のスイッチギヤ1同士を接続するために使用される。主回路ケーブル4A、主回路ケーブル4Bは、例えばCVケーブル等である。図1図3に示すように、スイッチギヤ1には主回路ケーブル4A、及び主回路ケーブル4Bが筐体11の下部側(-Z方向側)から引き込まれている。
なお、図3は、筐体11の一部を図1のF1-F1線に沿って切断して、実施形態1のスイッチギヤ1の内部を背面側(+X方向側)から見て、上段側の主回路ケーブル4A及び下段側の主回路ケーブル4Bと、上段側のケーブル室コンパートメント21及び下段側のケーブル室コンパートメント22と、ダクト状仕切板5との位置関係を説明する説明図である。
【0033】
図3に示すように、例えば、上段側の主回路ケーブル4Aは、3本に先端側が分岐している。主回路ケーブル4Aの3つの先端側は、ケーブル端子導体40を介して端末導体36に接続される。
【0034】
図1に示すように、主回路ケーブル4Aは、例えばリング状のブラケット481とブラケット483(図2、3のみ図示)を通過させて、上段側のケーブル室コンパートメント21内において下方から上方に延在している。また、ブラケット481には、例えば、支持する主回路ケーブル4Aの流れる電流の大きさ等を監視する監視器481aが配設されている。また、主回路ケーブル4Aには、ブラケット481の下方に配設され地絡保護用の零相変流器482が取り付けられている。
【0035】
図3に示すように、例えば、下段側の主回路ケーブル4Bは、3本に先端側が分岐している。主回路ケーブル4Bの3つの先端側は、ケーブル端子導体41を介して端末導体373に接続される。主回路ケーブル4Bは、例えばリング状のブラケット491を通過させて、下段側のケーブル室コンパートメント22内において下方から上方に延在している。また、ブラケット491には、例えば、支持する主回路ケーブル4Bを流れる電流の大きさ等を監視する監視器491aが配設されている。また、主回路ケーブル4Bには、地絡保護用の零相変流器492が取り付けられている。
【0036】
また、例えば、監視器481aの測定情報及び監視器491aの測定情報は、図示しない通信経路を介して図1に示す操作部149a及び操作部149bそれぞれに送信可能となっている。
【0037】
図1図3に示すように、実施形態1のスイッチギヤ1の筐体11の底板114には、上段側の遮断器13Aに接続される主回路ケーブル4Aを床下から引き込むための下引込口115が、上段側のケーブル室コンパートメント21に連通するように形成されている。また、底板114には、下段側の遮断器13Bに接続される主回路ケーブル4Bを床下から引き込むための下引込口116が、下段側のケーブル室コンパートメント22に連通するように形成されている。下引込口115と下引込口116とはY軸方向に所定距離離間して形成されているが、下引込口116と下引込口115とが一体的に形成されていてもよい。また、下引込口115及び下引込口116には、それぞれ図示しないシャッターが配設されている。
【0038】
図1図2に示すように、実施形態1のスイッチギヤ1は、接地母線263(図1のみ図示)を収納する共通コンパートメント26を備えている。図1に示すように、接地母線263は、接地極263bに接続されている。そして、共通コンパートメント26は、ケーブル室コンパートメント21及びケーブル室コンパートメント22から独立するように、図1図5に示す金属製の共通コンパートメント仕切板27によって仕切られている(区分されている)。
【0039】
共通コンパートメント仕切板27は、底板114の下引込口116及び下引込口115からさらに背面側(+X方向側)に離れた領域に略垂直に立設されている。そして、図1に示すように、共通コンパートメント26は、本実施形態においては、筐体11内の背面側(+X方向側)の最下部となる位置に区分された一空間として形成されている。
【0040】
実施形態1のスイッチギヤ1では、上段側のケーブル室コンパートメント21と下段側のケーブル室コンパートメント22とが、図1図3に示す金属製のダクト状仕切板5によって区分される。ダクト状仕切板5は、図1図3に示すように、筐体11内部のZ軸方向における略中間位置に配設されている。
【0041】
ダクト状仕切板5は、例えば、図1図2に示す仕切板25に一端が接続され、水平方向(X軸Y軸平面方向)に延在するダクト天板50と、ダクト天板50の下面に上端側が一体的に接続されダクト天板50から垂下したダクト側板51と、を備えている。ダクト側板51の下端側は、筐体11の底板114に接続されている。
【0042】
ダクト天板50は、例えば、Z軸方向(上下方向)に一段段差が設けられており、上下方向において一段高い位置にある高段部500と、高段部500に段差部502を介して一体的に接続され高段部500よりも一段低い低段部501と、を備えている。そして、ダクト状仕切板5のダクト天板50によって、上段側のケーブル室コンパートメント21と下段側のケーブル室コンパートメント22とのZ軸方向における区分がなされる。
【0043】
高段部500は、例えば図2に示すように、側壁111の内側面から側壁112の内側面まで略水平に延在する平面視略矩形の板状に形成されている。そして、図1に示すように、高段部500の下面に中継部材372が取り付けられている。
【0044】
平板状の低段部501は、図2に示すように、上段側のケーブル室コンパートメント21内に配設されたブラケット481及び零相変流器482の直下となる部分に、例えば略矩形状の切り欠き孔501aを備えている。
【0045】
ダクト側板51は、例えば、低段部501の下面における切り欠き孔501aの周囲から-Z方向に向かって垂下する通路形成部511と、通路形成部511の下端側に一体的に形成され通路形成部511よりも厚く-Y方向側へ張り出た肉厚部512とを備えている。
【0046】
ダクト状仕切板5の通路形成部511と肉厚部512とによって、上段側のケーブル室コンパートメント21と下段側のケーブル室コンパートメント22とのX軸方向及びY軸方向における区分がなされる。そして、通路形成部511と肉厚部512と筐体11の側壁112とで囲まれる空間が、主回路ケーブル4Aが上下方向に延在する通路514となる。通路514は、上段側のケーブル室コンパートメント21内で延在し上段側の遮断器13Aに接続される主回路ケーブル4Aを、下段側の遮断器13Bに接続される主回路ケーブル4Bを延在させるための下段側のケーブル室コンパートメント22と区分するために、下段側に所定の保護等級で接地された金属製のダクト状仕切板5で区分して形成した通路の一例である。通路514は、図2図3に示すように、筐体11の底板114に形成され主回路ケーブル4Aを床下から引き込む下引込口115までつながるように配置され、下引込口115と連通している。通路514は、上段側のケーブル室コンパートメント21の一部にもなる。
【0047】
例えば、ダクト状仕切板5は、図1図2図5に示すように、通路514を下引込口115まで延ばすために、共通コンパートメント仕切板27との干渉を避ける切欠部512bを有している。切欠部512bは、例えば、ダクト側板51の肉厚部512の+X方向側の略下半分を溝状に切り欠いて形成されている。
【0048】
図1に示す仕切板133、仕切板134、仕切板143、仕切板144、仕切板25、共通コンパートメント仕切板27及びダクト状仕切板5は、例えば、保護等級IP2Xで接地された金属製である。
【0049】
図1に示す筐体11の背面側(+X方向側)に配設された開閉部6は、作業者がケーブル室コンパートメント21、及びケーブル室コンパートメント22のそれぞれに独立してアクセスを可能とする。
【0050】
実施形態1のスイッチギヤ1の開閉部6は、例えば、上段側のケーブル室コンパートメント21、及び下段側のケーブル室コンパートメント22の仕切りに合わせて上下に分割された複数の背面扉を備え、ケーブル室コンパートメント21、及びケーブル室コンパートメント22のそれぞれに対して、対応するいずれかの背面扉を開放することで独立してアクセス可能となっている。
【0051】
図1、及び図6に示すように、本実施形態の背面扉は、例えば、筐体11の上段側に位置する第一背面扉601(以下、第一扉601とする)と、下段側において+Y方向側に位置する第二背面扉602(以下、第二扉602とする)と、下段側において-Y方向側に位置する第三背面扉603(以下、第三扉603とする)と、の3枚の扉である。なお、第一扉601と第二扉602とは一体的に形成されていてもよい。第一扉601、第二扉602、及び第三扉603は、金属製である。スイッチギヤ1では、従来のスイッチギヤのような一枚扉の背面扉として備える構成とはなっておらず、上記のような背面扉が複数枚からなる形態(分割された形態)となっている。
【0052】
第一扉601、及び第二扉602は、図1図2に示す上段側のケーブル室コンパートメント21の+X方向側における開口21d、及び通路514に、X軸方向において対向する。第三扉603は、図1図2に示す下段側のケーブル室コンパートメント22の+X方向側における開口22dに、X軸方向において対向する。
【0053】
実施形態1のスイッチギヤ1では、筐体11の背面側(+X方向側)に、共通コンパートメント26に作業者がアクセスするための共通コンパートメント開閉部67を備えている。そして、共通コンパートメント開閉部67は、共通コンパートメント26の仕切形状に合わせ所定の保護等級で接地された金属製のカバー671を備えている。カバー671は、図1図2に示す共通コンパートメント26の+X方向側における開口26dに、X軸方向において対向する。なお、カバー671は、エンプラ等の非金属製の素材で構成されていてもよい。
【0054】
図1図6に示すように、例えば矩形状のカバー671は、筐体11から取り外すことで作業者が共通コンパートメント26にアクセス可能となる板状のカバーである。カバー671は、例えば、四隅を筐体11の一対の側壁111、側壁112等にボルト671aを用いて締結固定されており、特定の作業者以外の人間が容易には取り外すことができないようになっている。カバー671の取り外しは、例えばレンチ等の所定の工具が必要となる。即ち、共通コンパートメント開閉部67は、図示しない工具を用いて締結され、工具によってのみ開放可能である。
【0055】
図6に示すように、例えば、各扉の中で最も大きな第一扉601は、矩形状に形成されており、作業者が把持し例えばX軸方向側から見て時計回り方向又は反時計回り方向に回動可能なハンドル部601aを備えている。また、第一扉601よりも下方に位置する第二扉602及び第三扉603も同様に、作業者が把持するハンドル部602a、ハンドル部603aをそれぞれ備えている。
【0056】
第一扉601のハンドル部601a、第二扉602のハンドル部602a、及び第三扉603のハンドル部603aは、例えば、図示しない鍵により施錠され、該鍵による解錠によってのみ開放可能となっている。例えば、ハンドル部601aは、鍵穴601bを有し、ハンドル部602aは、鍵穴602bを有し、ハンドル部603aは、鍵穴603bを有している。鍵穴601b、鍵穴602b、及び鍵穴603bに合う図示しない鍵は、それぞれ異なっていてもよいし、同一であってもよい。所定の作業者以外の者が、第一扉601、第二扉602、及び第三扉603を容易開放することはできないようになっている。
【0057】
実施形態1のスイッチギヤ1は、例えば、開閉部6の各扉が図示しない鍵により施錠され、該鍵による解錠によってのみ開放可能となっている構成に限定されない。即ち、開閉部6の第一扉601、第二扉602、及び第三扉603が、図示しない工具(例えば、ボルトレンチ、又はドライバー等)を用いて閉鎖(例えば、ボルト締結固定)され、図示しない該工具によってのみ開放可能な構成となっていてもよい。
【0058】
例えば、第一扉601、第二扉602、第三扉603、及びカバー671よりも筐体11の内部側(-X方向側)となる位置には、開口21d、通路514、開口22d、及び開口26dのそれぞれを覆うように、金属製で網状の図示しない保護カバーが配設されている。
【0059】
以下に、図1図6を用いて説明した実施形態1のスイッチギヤ1において、例えば上段側のケーブル室コンパートメント21が充電されている状態から、作業者が安全となったケーブル室コンパートメント21にアクセス可能な状態とする場合の操作手順を、図7のフロー図と合わせて説明する。作業者がケーブル室コンパートメント21に安全にアクセス可能な状態とは、主回路ケーブル4A及びケーブル室コンパートメント21が無電圧となり電流が流れていない状態(無電流化された状態)である。
【0060】
図7に示すように、スイッチギヤ1の操作を開始する(ステップ0:スタート)と、作業者が、例えば図1に示す操作部149aに表示されている遮断器13Aの状態を認識して、遮断器13Aの操作が必要か否かを判断する(ステップ1)。ここでは、遮断器13Aが開状態(導体が離れた状態)となっていれば、そのまま次のステップ3に進み、遮断器13Aが閉状態(導体が接触した状態)となっていれば、操作部149aによって遮断器13Aを操作して開状態にする(ステップ2)。遮断器13Aが開状態となっている、又は遮断器13Aを開状態とすることで、上段側の主回路ケーブル4Aに電流が流れない状態(無電流化された状態)となり、また、図1図3に示す上段側のケーブル室コンパートメント21及び通路514が無電流化された状態となる。
【0061】
主回路ケーブル4A及び上段側のケーブル室コンパートメント21が無電流化された後、図1図6に示す第一背面扉601のロックを解除する(ステップ3)。即ち、本実施形態においては、ハンドル部601aを作業者が図示しない鍵によって解錠する。その後、ハンドル部601aを回動させつつ手前に引いて、第一扉601を開放する(ステップ4)。
【0062】
第一扉601が開かれた後、作業者が図示しない保護カバーを筐体11の開口21dから取り外す(ステップ5)ことで、上段側のケーブル室コンパートメント21に作業者がアクセス可能となる。
【0063】
上記のように、実施形態1のスイッチギヤ1は、上段側の遮断器13Aに接続する主回路ケーブル4Aを延在させる上段側のケーブル室コンパートメント21と、下段側の遮断器13Bに接続する主回路ケーブル4Bを延在させる下段側のケーブル室コンパートメント22との境界を、所定の保護等級で接地された金属製のダクト状仕切板5で互いに独立するように区分している。そのため、作業者が、例えば無電流化した上段側の主回路ケーブル4Aにアクセスしたい場合に、無電流化されていない下段側のケーブル室コンパートメント22内に延在する主回路ケーブル4Bに接触してしまうことが無く、感電事故等の発生を防ぐことができ、上段側のケーブル室コンパートメント21内での作業の安全性を向上させることができる。
【0064】
スイッチギヤ1において、共通コンパートメント26は、上段側のケーブル室コンパートメント21及び下段側のケーブル室コンパートメント22から独立するように、金属製の共通コンパートメント仕切板27によって区分されている。そのため、作業者が例えば上段側のケーブル室コンパートメント21にアクセスする場合に、接地母線263等が収納された共通コンパートメント26内に進入してしまうことが防がれ、接地母線263等に接触して感電事故を起こしてしまうことが防がれる。
【0065】
スイッチギヤ1において、筐体11の背面側(+X方向側)に上段側のケーブル室コンパートメント21、及び下段側のケーブル室コンパートメント22にアクセスするための開閉部6を有している。そのため、作業者が開閉部6を介して、互いに独立するように区分されたケーブル室コンパートメント21、ケーブル室コンパートメント22のうち、所望のコンパートメントのみにアクセス可能となる。
【0066】
例えば、実施形態1のスイッチギヤ1では、開閉部6が図示しない鍵により施錠され、図示しない鍵によってのみ開放可能となっている。具体的には、開閉部6は、上段側のケーブル室コンパートメント21と下段側のケーブル室コンパートメント22との仕切りに合わせて上下に分割された第一背面扉601、第二背面扉602、及び第三背面扉603を備えており、第一背面扉601、第二背面扉602、及び第三背面扉603は、それぞれ図示しない鍵により施錠され、図示しない鍵によってのみ開放可能となっている。そして、例えば、上段側のケーブル室コンパートメント21は、対応する第一背面扉601を開放することで、下段側のケーブル室コンパートメント22とは独立してアクセス可能となる。また、下段側のケーブル室コンパートメント22は、対応する第二背面扉602を開放することで、上段側のケーブル室コンパートメント21とは独立してアクセス可能となる。したがって、作業者が、例えば無電流化した上段側の主回路ケーブル4Aにアクセスしたい場合に、無電流化されていない下段側のケーブル室コンパートメント22内に延在する主回路ケーブル4Bに接触してしまうことが無く、感電事故等の発生を防ぐことができる。したがって、上段側のケーブル室コンパートメント21内での作業の安全性を向上させることができる。
【0067】
実施形態1のスイッチギヤ1は、筐体11の背面側(+X方向側)に共通コンパートメント26に作業者がアクセスするための共通コンパートメント開閉部67を有し、共通コンパートメント開閉部67は、共通コンパートメント26の仕切形状に合わせ例えば所定の保護等級で接地された金属製のカバー671を備え、カバー671は、工具を用いて締結され、工具によってのみ開放可能である。そのため、接地母線263等が収納される共通コンパートメント26を特定の作業者以外の人間が容易に開放できないため、接地母線263等に作業者以外の人間が接触して感電事故を起こしてしまうことが防がれる。
【0068】
実施形態1のスイッチギヤ1において、筐体11は、上段側の主回路ケーブル4Aを床下から引き込む下引込口115、及び下段側の主回路ケーブル4Bを床下から引き込む下引込口116を備え、上段側のケーブル室コンパートメント21内で延在し上段側に位置する遮断器13Aの負荷側に接続される主回路ケーブル4Aを、下段側に位置する遮断器13Bの負荷側に接続される主回路ケーブル4Bを延在させるための下段側のケーブル室コンパートメント22と区分して延在させるために、筐体11内の下段側に所定の保護等級で接地された金属製のダクト状仕切板5で区分して形成した通路514を、下引込口115までつながるように配置している。そのため、作業者が、例えば通路514を通り上段側のケーブル室コンパートメント21内で延在し無電流化した状態の主回路ケーブル4Aにアクセスしたい場合に、無電流化されていない下段側のケーブル室コンパートメント22内に延在する主回路ケーブル4Bに接触してしまうこと防がれる。そのため、感電事故等の発生を防ぐことができ、上段側のケーブル室コンパートメント21内での作業の安全性を向上させることができる。
【0069】
(実施形態2のスイッチギヤ)
図8図10を参照して、本発明の実施形態2に係る金属閉鎖形スイッチギヤ1A(以下、スイッチギヤ1Aとする)の構造について説明する。図8は、実施形態2のスイッチギヤ1Aの内部を示す側面図である。スイッチギヤ1Aは、図1図2に示す実施形態1のスイッチギヤ1の構成の一部を変更したものであり、スイッチギヤ1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0070】
図8に示す実施形態2のスイッチギヤ1Aの実施形態1のスイッチギヤ1と異なる構成は、主に背面側(+X方向側)における構成である。スイッチギヤ1の開閉部6は、上段側のケーブル室コンパートメント21と下段側のケーブル室コンパートメント22との仕切りに合わせて上下に分割された第一背面扉601、第二背面扉602、及び第三背面扉603を備えている。これに対して、スイッチギヤ1Aは、筐体11の背面側(+X方向側)に、上段側のケーブル室コンパートメント21及び下段側のケーブル室コンパートメント22にアクセスするための開閉部6Aを有している。そして、図8に示す開閉部6Aは、共通コンパートメント28に対して作業者がアクセス可能とする背面扉68(図9参照)と、背面扉68よりも筐体11の内部側(-X方向側)に設置され、上段側のケーブル室コンパートメント21と下段側のケーブル室コンパートメント22の仕切りに合わせて上下に分割された背面仕切板を備えている。
【0071】
本実施形態における背面仕切板は、例えば、図10に示すように、筐体11の上段側に位置する第一背面仕切板605(以下、第一背面板605とする)と、下段側において+Y方向側に位置する第二背面仕切板606(以下、第二背面板606とする)と、下段側において-Y方向側に位置する第三背面仕切板607(以下、第三背面板607とする)と、の3枚である。なお、第一背面板605と第二背面板606とは一体的に形成されていてもよい。図9に示す背面扉68、図10に示す第一背面板605、第二背面板606、及び第三背面板607は、金属製である。
【0072】
実施形態2のスイッチギヤ1Aにおいて、共通コンパートメント28は、図8図10に示す第一背面板605、第二背面板606、及び第三背面板607と背面扉68とのX軸方向における間に設けられた空間、並びに筐体11の背面側(+Y方向側)の最下段の空間で形成される。
【0073】
図8図9に示す背面扉68は、図10に示す第一背面板605、第二背面板606、第三背面板607、及び共通コンパートメント28全体を覆うことができる大きさの一枚扉である。背面扉68は、作業者が把持し例えばX軸方向側から見て時計回り方向又は反時計回り方向に回動可能なハンドル部681を備えている。背面扉68は、図示しないヒンジを介して、筐体11の+X方向側の端部に取り付けられており、例えば左開き可能となっている。
【0074】
筐体11の内部に入り込むように配設された第一背面板605、及び第二背面板606は、図2図8に示す上段側のケーブル室コンパートメント21の+X方向側における開口21d、及び通路514に、X軸方向においてそれぞれ対向する。第三背面板607は、図2図8に示す下段側のケーブル室コンパートメント22の+X方向側における開口22dに、X軸方向において対向する。
【0075】
図10に示すように、例えば、各背面板の中で最も大きな第一背面板605は、矩形状に形成されており、作業者が把持する取っ手605aを備えている。また、第一背面板605よりも下方に位置する第二背面板606及び第三背面板607も同様に、作業者が把持する取っ手606a、取っ手607aをそれぞれ備えている。
【0076】
第一背面板605、第二背面板606及び第三背面板607は、例えば、その四隅等を筐体11の一対の側壁111、側壁112等にボルト605b、ボルト606b、又はボルト607bを用いてそれぞれ締結固定されており、特定の作業者以外の人間が容易には取り外すことができないようになっている。即ち、第一背面板605、第二背面板606及び第三背面板607の取り外しは、例えばレンチ等の所定の工具が必要となる。なお、筐体11側に突出ピンを設け、第一背面板605、第二背面板606及び第三背面板607の四隅等にだるま孔を設け、突出ピンにだるま孔を挿通させて、第一背面板605、第二背面板606及び第三背面板607を筐体11側に引っかけるように固定するものとしてもよい。この場合には、所定の工具を用いずに第一背面板605、第二背面板606及び第三背面板607の取り外しが可能となる。なお、スイッチギヤ1Aでは、例えば、開閉部6Aの各背面板が図示しない鍵により施錠され、該鍵による解錠によってのみ開放可能となっていてもよい。
【0077】
以下に、実施形態2のスイッチギヤ1Aにおいて、例えば下段側のケーブル室コンパートメント22が充電されている状態から、無電流化されて安全となったケーブル室コンパートメント22に作業者がアクセス可能な状態とする場合の操作手順を、図11のフロー図と合わせて説明する。
【0078】
図11に示すように、図8に示すスイッチギヤ1Aの操作を開始する(ステップ0:スタート)と、作業者が、例えば図8に示す操作部149bに表示されている遮断器13Bの状態を認識して、遮断器13Bの操作が必要か否かを判断する(ステップ1)。ここでは、遮断器13Bが開状態となっていれば、そのまま次のステップ3に進み、遮断器13Bが閉状態となっていれば、操作部149bによって遮断器13Bを操作して開状態にする(ステップ2)。遮断器13Bが開状態となっている、又は遮断器13Bを開状態とすることで、下段側の主回路ケーブル4Bに電流が流れない状態となり、また、下段側のケーブル室コンパートメント22が無電流化された状態となる。
【0079】
主回路ケーブル4B及び下段側のケーブル室コンパートメント22が無電流化された後、図8図9に示す背面扉68を開放する(ステップ3)。即ち、本実施形態においては、作業者が、ハンドル部681を回動させつつ手前に引いて、背面扉68を開放する。
【0080】
背面扉68を開いた後、作業者が、筐体11の開口22dを塞ぐ第三背面板607の締結固定を、図示しない工具を用いて解除して(ステップ4)、第三背面板607を開口22dから取り外す(ステップ5)ことで、下段側のケーブル室コンパートメント22に作業者がアクセス可能となる。
【0081】
上記のように、実施形態2のスイッチギヤ1Aでは、筐体11の背面側(+X方向側)に上段側のケーブル室コンパートメント21及び下段側のケーブル室コンパートメント22にアクセスするための開閉部6Aを有し、開閉部6Aは、共通コンパートメント28に対してアクセス可能とする背面扉68と、背面扉68よりも筐体11内部側に設置され、ケーブル室コンパートメント21及びケーブル室コンパートメント22の仕切りに合わせて上下に分割された第一背面仕切板605、第二背面仕切板606、及び第三背面仕切板607と、を備え、第一背面仕切板605、及び第二背面仕切板606は、共通コンパートメント28を介して、対応するケーブル室コンパートメント21にケーブル室コンパートメント22から独立して作業者がアクセス可能とする。また、第三背面仕切板607は、共通コンパートメント28を介して、対応するケーブル室コンパートメント22にケーブル室コンパートメント21から独立して作業者がアクセス可能とする。したがって、作業者が、例えば無電流化した下段側の主回路ケーブル4Bにアクセスしたい場合に、無電流化されていない通路514及び上段側のケーブル室コンパートメント21内に延在する主回路ケーブル4Bに接触してしまうことが無く、感電事故等の発生を防ぐことができる。よって、下段側のケーブル室コンパートメント22内での作業の安全性を向上させることができる。
【0082】
(実施形態3のスイッチギヤ)
図12図14を参照して、本発明の実施形態3に係る金属閉鎖形スイッチギヤ1B(以下、スイッチギヤ1Bとする)の構造について説明する。図12は、実施形態3のスイッチギヤ1Bの内部を示す側面図である。図13は、実施形態3のスイッチギヤ1Bの筐体11内部を説明する斜視図である。図14は、筐体11の一部を図12のF2-F2線に沿って切断して、スイッチギヤ1Bの内部を背面側(+X方向側)から見て、上段側の主回路ケーブル4A及び下段側の主回路ケーブル4Bと、上段側のケーブル室コンパートメント21B及び下段側のケーブル室コンパートメント22Bと、ダクト状仕切板5Bとの位置関係を説明する説明図である。スイッチギヤ1Bは、図1図2に示す実施形態1のスイッチギヤ1の構成の一部を変更したものであり、スイッチギヤ1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0083】
実施形態1のスイッチギヤ1では、筐体11が、上段側の主回路ケーブル4A及び下段側の主回路ケーブル4Bを床下から引き込む下引込口115及び下引込口116を備えている。これに対して、実施形態3のスイッチギヤ1Bでは、筐体11が上段側の主回路ケーブル4Aを天井110から引き込む上引込口117、及び下段側の主回路ケーブル4Bを天井110から引き込む上引込口118を備えている。これが、実施形態1のスイッチギヤ1と実施形態3のスイッチギヤ1Bとの主な相違点となる。また、該相違点に合わせて、上段側変流器35A及び下段側変流器35Bの配設箇所等、並びに上段側のケーブル室コンパートメント21B及び下段側のケーブル室コンパートメント22Bの筐体11内における位置等も相違する。
【0084】
図12に示すように、上段側の遮断器13Aは、仕切板133を貫通する負荷側電路接続部31を介して、負荷側導体323に接続されている。そして、負荷側導体323には、上段側変流器35Aが接続されている。スイッチギヤ1Bにおいて、上段側変流器35Aは、母線室コンパートメント120と上段側のケーブル室コンパートメント21B及び下段側のケーブル室コンパートメント22Bとを区分する仕切板25に取り付けられている。
【0085】
下段側の遮断器13Bは、仕切板134を貫通する負荷側電路接続部33を介して、負荷側導体343に接続されている。そして、負荷側導体343には、下段側変流器35Bが接続されている。実施形態3のスイッチギヤ1Bにおいて、下段側変流器35Bは筐体11の底板114上に取り付けられている。
【0086】
図12図14に示すように、スイッチギヤ1Bの筐体11の天井110には、上段側の遮断器13Aに接続される主回路ケーブル4Aを引き込むための上引込口117が、上段側のケーブル室コンパートメント21Bに連通するように形成されている。また、筐体11の天井110には、下段側の遮断器13Bに接続される主回路ケーブル4Bを天井から引き込むための上引込口118が、下段側のケーブル室コンパートメント22Bに連通するように形成されている。上引込口117と上引込口118とはY軸方向に所定距離離間して形成されているが、上引込口117と上引込口118とが一体的に形成されていてもよい。また、上引込口117及び上引込口118には、それぞれシャッター117a、118aが配設されている。
【0087】
図14に示すように、上引込口117から筐体11内の上段側のケーブル室コンパートメント21Bに引き込まれた主回路ケーブル4Aは3つに先端側が分岐している。そして、主回路ケーブル4Aの3つの先端側は、ケーブル端子導体42、及び図12に示す端末導体38を介して上段側変流器35Aに接続されている。
【0088】
主回路ケーブル4Aは、例えばリング状のブラケット484を通過させて、上段側のケーブル室コンパートメント21内において上方から下方に延在している。また、ブラケット484には、例えば、支持する主回路ケーブル4Aを流れる電流の大きさ等を監視する監視器484aが配設されている。また、主回路ケーブル4Aには、地絡保護用の零相変流器485が取り付けられている。
【0089】
図14に示すように、上引込口118から筐体11内の下段側のケーブル室コンパートメント22Bに引き込まれた主回路ケーブル4Bは、3本に先端側が分岐している。主回路ケーブル4Bの3つの先端側は、ケーブル端子導体44、及び図12に示す端末導体39を介して下段側変流器35Bに接続される。
【0090】
図14に示すように、主回路ケーブル4Bは、例えばリング状のブラケット496、及びブラケット495を通過させて、下段側のケーブル室コンパートメント22内において下方から上方に延在している。また、ブラケット495には、例えば、支持する主回路ケーブル4Bを流れる電流の大きさ等を監視する監視器495aが配設されている。また、主回路ケーブル4Bには、地絡保護用の零相変流器497が取り付けられている。
【0091】
例えば、監視器484aの測定情報及び監視器495aの測定情報は、図示しない通信経路を介して図12に示す操作部149a及び操作部149bそれぞれに送信可能となっている。
【0092】
図12図14に示すように、仕切板25の後方(+X方向側)には、金属製のダクト状仕切板5Bが配設されており、ダクト状仕切板5Bによって、上段側のケーブル室コンパートメント21Bと下段側のケーブル室コンパートメント22Bとが区分されている。
【0093】
ダクト状仕切板5Bは、例えば、図12図13に示す仕切板25に一端が接続され、水平方向(X軸Y軸平面方向)に延在するダクト底板55と、ダクト底板55の上面に下端側が一体的に接続され立設し、上端側が筐体11の天井110に接続されたダクト側板56と、を備えている。
【0094】
ダクト底板55は、例えば、Z軸方向において一段段差が設けられており、Z軸方向において一段高い位置にある高段部550と、高段部550と段差部552を介して一体的に接続され高段部550よりも一段低い低段部551と、を備えている。そして、ダクト状仕切板5Bのダクト底板55によって、上段側のケーブル室コンパートメント21Bと下段側のケーブル室コンパートメント22BとのZ軸方向における区分がなされる。
【0095】
平板状の高段部550は、図13に示すように、下段側のケーブル室コンパートメント22b内に配設されたブラケット495及び零相変流器497の直上となる部分に、例えば略矩形状の切り欠き孔550aを備えている。
【0096】
ダクト側板56は、例えば、高段部550の上面における切り欠き孔550aの周囲から+Z方向に立設された通路形成部561と、通路形成部561の上端側に一体的に形成され通路形成部561よりも厚く-Y方向側へ張り出た肉厚部562と、を備えている。
【0097】
ダクト状仕切板5Bの通路形成部561と肉厚部562とによって、上段側のケーブル室コンパートメント21Bと下段側のケーブル室コンパートメント22BとのX軸方向及びY軸方向における区分がなされる。そして、通路形成部561と肉厚部562と筐体11の側壁112とで囲まれる空間が、主回路ケーブル4Bが上下方向に延在する通路565となる。図14に示すように、通路565は、下段側のケーブル室コンパートメント22B内で延在し下段側に位置する遮断器13Bに接続される主回路ケーブル4Bを、上段側に位置する遮断器13Aに接続される主回路ケーブル4Aを延在させるためのケーブル室コンパートメント21Bと区分するために、筐体11内の上段側に所定の保護等級で接地された金属製のダクト状仕切板5Bで区分して形成した通路の一例である。
【0098】
通路565は、図13に示すように、筐体11の天井110に形成され主回路ケーブル4Bを引き込む上引込口118までつながるように配置され、上引込口118と連通している。通路565は、下段側のケーブル室コンパートメント22Bの一部ともなる。
【0099】
図12に示す筐体11の背面側(+X方向側)に配設された開閉部6Bは、作業者がケーブル室コンパートメント21B、及びケーブル室コンパートメント22Bのそれぞれに独立してアクセスを可能とする。
【0100】
実施形態3のスイッチギヤ1Bの開閉部6Bは、例えば、上段側のケーブル室コンパートメント21B、及び下段側のケーブル室コンパートメント22Bの仕切りに合わせて上下に分割された複数の背面扉を備え、ケーブル室コンパートメント21B、及びケーブル室コンパートメント22Bのそれぞれに対して、対応するいずれかの背面扉を開放することで独立してアクセス可能となっている。
【0101】
図12図15に示すように、本実施形態の背面扉は、例えば、上段側において+Y方向側に位置する第一背面扉651(以下、第一扉651とする)と、上段側において-Y方向側に位置する第二背面扉652(以下、第二背面扉652とする)と、筐体11の下段側に位置する第三背面扉653(以下、第三扉653とする)と、の3枚の扉である。なお、第三扉653と第一扉651とは一体的に形成されていてもよい。第三扉653、第一扉651、及び第二背面扉652は、金属製である。スイッチギヤ1Bでは、従来のスイッチギヤのような一枚扉を背面扉として備える構成とはなっておらず、上記のような背面扉が複数枚からなる形態(分割された形態)となっている。
【0102】
第三扉653、及び第一扉651は、図12図14に示す下段側のケーブル室コンパートメント22Bの+X方向側における開口22e及び通路565に、X軸方向においてそれぞれ対向する。第二扉652は、図12図14に示す上段側のケーブル室コンパートメント21Bの+X方向側における開口21eに、X軸方向において対向する。
【0103】
図12に示すように、実施形態3のスイッチギヤ1Bは、実施形態1のスイッチギヤ1と同様に、共通コンパートメント26及び共通コンパートメント開閉部67とを備えている。
【0104】
図15に示すように、各扉の中で最も大きな第三扉653は、矩形状に形成されており、作業者が回動可能なハンドル部653aを備えている。また、第三扉653よりも上方に位置する第一扉651及び第二扉652も同様に、作業者が把持するハンドル部651a、ハンドル部652aをそれぞれ備えている。例えば、ハンドル部653aは、鍵穴653bを有し、ハンドル部651aは、鍵穴651bを有し、ハンドル部652aは、鍵穴652bを有している。鍵穴653b、鍵穴651b、及び鍵穴652bに合う図示しない鍵は、それぞれ異なっていてもよいし、同一であってもよい。そして、所定の作業者以外の者が、第三扉653、第一扉651、及び第二扉652を容易開放することはできないようになっている。
【0105】
実施形態3のスイッチギヤ1Bにおいては、例えば、開閉部6Bの第三扉653、第一扉651、及び第二扉652が図示しない工具(例えば、ボルトレンチ、又はドライバー等)を用いて閉鎖(例えば、ボルト締結固定)され、図示しない該工具によってのみ開放可能な構成となっていてもよい。
【0106】
例えば、第三扉653、第一扉651、第二扉652、及び共通コンパートメント開閉部67のカバー671よりも筐体11の内部側(-X方向側)には、開口22e、通路565、開口21e、及び共通コンパートメント26の開口26dのそれぞれを覆うように、例えば金属製で網状の保護カバーが配設されている。
【0107】
以下に、実施形態3のスイッチギヤ1Bにおいて、例えば上段側のケーブル室コンパートメント21Bが充電されている状態から、無電流化されて安全となったケーブル室コンパートメント21Bに作業者がアクセス可能な状態とする場合の操作手順を、図7のフロー図と合わせて説明する。
【0108】
図7に示すように、図12に示すスイッチギヤ1Bの操作を開始する(ステップ0:スタート)と、作業者が、例えば図12に示す操作部149aに表示されている遮断器13Aの状態を認識して、遮断器13Aの操作が必要か否かを判断する(ステップ1)。遮断器13Aが開状態(導体が離れた状態)となっていれば、そのまま次のステップ3に進み、遮断器13Aが閉状態(導体が接触した状態)となっていれば、操作部149aによって遮断器13Aを操作して開状態にする(ステップ2)。遮断器13Aが開状態となっている、又は遮断器13Aを開状態とすることで、上段側の主回路ケーブル4Aに電流が流れない状態となり、また、上段側のケーブル室コンパートメント21Bが無電流化された状態になる。
【0109】
主回路ケーブル4A及び上段側のケーブル室コンパートメント21Bが無電流化された後、図12図15に示す第二扉652のロックを解除する(ステップ3)。その後、ハンドル部652aを回動させつつ手前に引いて、第二扉652を開放する(ステップ4)。第二扉652が開かれた後、作業者が図示しない保護カバーを筐体11の開口21eから取り外す(ステップ5)ことで、上段側のケーブル室コンパートメント21Bに作業者がアクセス可能となる。
【0110】
上記のように、実施形態3のスイッチギヤ1Bにおいて、筐体11は、上段側の主回路ケーブル4Aを天井110から引き込む上引込口117、及び下段側の主回路ケーブル4Bを天井110から引き込む上引込口118を備え、下段側のケーブル室コンパートメント22B内で延在し下段側に位置する遮断器13Bの負荷側に接続される主回路ケーブル4Bを、上段側の遮断器13Aに接続される主回路ケーブル4Aを延在させるための上段側のケーブル室コンパートメント21Bと区分して延在させるために、筐体11内の上段側に所定の保護等級で接地された金属製のダクト状仕切板5Bで区分して形成した通路565を上引込口118までつながるように配置している。そのため、作業者が、例えば上段側のケーブル室コンパートメント21B内で延在し無電流化した上段側の主回路ケーブル4Aにアクセスしたい場合に、無電流化されていない下段側のケーブル室コンパートメント22B内に延在する主回路ケーブル4Bに接触してしまうことが無く、感電事故等の発生を防ぐことができる。そのため、上段側のケーブル室コンパートメント21B内での作業の安全性を向上させることができる。
【0111】
(実施形態4のスイッチギヤ)
以下に、図16を参照して、本発明の実施形態4に係る金属閉鎖形スイッチギヤ1C(以下、スイッチギヤ1Cとする)の構造について説明する。図16は、実施形態4のスイッチギヤ1Cの内部を示す側面図である。スイッチギヤ1Cは、図12図15に示す実施形態3のスイッチギヤ1Bの構成の一部を変更したものであり、スイッチギヤ1Bと同様の構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0112】
実施形態4のスイッチギヤ1Cの実施形態3のスイッチギヤ1Bと異なる構成は、主に背面側(+X方向側)の構成である。スイッチギヤ1Bの開閉部6Bは、上段側のケーブル室コンパートメント21Bと下段側のケーブル室コンパートメント22Bとの仕切りに合わせて上下に分割された第一背面扉651、第二背面扉652、及び第三背面扉653を備えている。これに対して、スイッチギヤ1Cは、筐体11の背面側(+X方向側)に上段側のケーブル室コンパートメント21B及び下段側のケーブル室コンパートメント22Bにアクセスするための開閉部6Cを有している。そして、図16図17に示す開閉部6Cは、共通コンパートメント28に対して作業者がアクセス可能とする背面扉68と、背面扉68よりも筐体11の内部側(-X方向側)に設置され、上段側のケーブル室コンパートメント21Bと下段側のケーブル室コンパートメント22Bの仕切りに合わせて上下に分割された背面仕切板を備えている。図16に示す背面扉68は、図9に示すものと同一のものである。
【0113】
本実施形態における背面仕切板は、例えば、図17に示すように、上段側において+Y方向側に位置する第一背面仕切板661(以下、第一背面板661とする)と、上段側において-Y方向側に位置する第二背面仕切板662(以下、第二背面板662とする)と、筐体11の下段側に位置する第三背面仕切板663(以下、第三背面板663とする)と、の3枚である。なお、第三背面板663と第一背面板661とは一体的に形成されていてもよい。背面扉68、第三背面板663、第一背面板661、及び第二背面板662は、金属製である。
【0114】
実施形態4のスイッチギヤ1Cにおいて、共通コンパートメント28は、第三背面板663、第一背面板661、及び第二背面板662と背面扉68とのX軸方向における間に設けられた空間、並びに筐体11の背面側(+Y方向側)の最下段の空間で形成される。
【0115】
筐体11の内部に入り込むように配設された第三背面板663、及び第一背面板661は、図13図16に示す下段側のケーブル室コンパートメント22Bの+X方向側における開口22e、及び通路565に、X軸方向においてそれぞれ対向する。第二背面板662は、図13図16に示す上段側のケーブル室コンパートメント21Bの+X方向側における開口21eに、X軸方向において対向する。
【0116】
図17に示すように、例えば、各背面板の中で最も大きな第三背面板663は、矩形状に形成されており、作業者が把持する取っ手663aを備えている。また、第三背面板663よりも上方に位置する第一背面板661及び第二背面板662も同様に、作業者が把持する取っ手661a、取っ手662aをそれぞれ備えている。
【0117】
第三背面板663、第一背面板661及び第二背面板662は、例えば、その四隅等を筐体11の一対の側壁111、側壁112等にボルト663b、ボルト661b、又はボルト662bbを用いてそれぞれ締結固定されており、特定の作業者以外の人間が容易には取り外すことができないようになっている。即ち、第三背面板663、第一背面板661及び第二背面板662の取り外しは、例えばレンチ等の所定の工具が必要となる。なお、スイッチギヤ1Cは、例えば、開閉部6Cの各背面板が図示しない鍵により施錠され、該鍵による解錠によってのみ開放可能となっていてもよい。
【0118】
以下に、実施形態4のスイッチギヤ1Cにおいて、例えば下段側のケーブル室コンパートメント22Bが充電されている状態から、無電流化されて安全となったケーブル室コンパートメント22Bに作業者がアクセス可能な状態とする場合の操作手順を、図11に示すフロー図と合わせて説明する。
【0119】
図11に示すように、図16に示すスイッチギヤ1Cの操作を開始する(ステップ0:スタート)と、作業者が、例えば操作部149bに表示されている遮断器13Bの状態を認識して、遮断器13Bの操作が必要か否かを判断する(ステップ1)。そして、遮断器13Bが開状態となっていれば、そのまま次のステップ3に進み、遮断器13Bが閉状態となっていれば、操作部149bによって遮断器13Bを操作して開状態にする(ステップ2)。遮断器13Bが開状態となることで、下段側の主回路ケーブル4Bに電流が流れない状態となり、また、通路565と共に下段側のケーブル室コンパートメント22Bが無電流化された状態となる。
【0120】
主回路ケーブル4B及び下段側のケーブル室コンパートメント22Bが無電流化された後、図16に示す背面扉68を、作業者が、ハンドル部681を回動させつつ手前に引いて開放する(ステップ3)。
【0121】
背面扉68を開いた後、作業者が、筐体11の開口22eを塞ぐ第三背面板663の締結固定を図示しない工具を用いて解除して(ステップ4)、第三背面板663を開口22eから取り外す(ステップ5)ことで、下段側のケーブル室コンパートメント22Bに作業者がアクセス可能となる。
【0122】
上記のように、実施形態4のスイッチギヤ1Cでは、筐体11の背面側(+X方向側)に上段側のケーブル室コンパートメント21B及び下段側のケーブル室コンパートメント22Bにアクセスするための開閉部6Cを有し、開閉部6Cは、共通コンパートメント28に対してアクセス可能とする背面扉68と、背面扉68よりも筐体11内部側に設置され、ケーブル室コンパートメント21B及びケーブル室コンパートメント22Bの仕切りに合わせて上下に分割された第三背面仕切板663、第一背面仕切板661、及び第二背面仕切板662と、を備え、第三背面仕切板663、及び第一背面仕切板661は、共通コンパートメント28を介して、ケーブル室コンパートメント22Bにケーブル室コンパートメント21Bから独立して作業者がアクセス可能とする。また、第二背面仕切板662は、共通コンパートメント28を介して、ケーブル室コンパートメント21Bにケーブル室コンパートメント22Bから独立して作業者がアクセス可能とする。したがって、作業者が例えば無電流化した下段側の主回路ケーブル4Bにアクセスしたい場合に、無電流化されていない上段側のケーブル室コンパートメント21B内に延在する主回路ケーブル4Aに接触してしまうことが無く、感電事故等の発生を防ぐことができる。したがって、下段側のケーブル室コンパートメント22B内での作業の安全性を向上させることができる。
【0123】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1:実施形態1の金属閉鎖形スイッチギヤ
11:筐体 110:天井 111、112:側壁 113a、113b:正面扉
114:底板 115、116:下引込口
12:水平母線 120:母線室コンパートメント
13A:上段側の遮断器 13B:下段側の遮断器
131:上段側の遮断器室コンパートメント 132:下段側の遮断器室コンパートメント
133、134:仕切板
141:上段側の制御室コンパートメント 142:下段側の制御室コンパートメント
20:主回路導体
21:上段側のケーブル室コンパートメント
22:下段側のケーブル室コンパートメント
25:仕切板
26:共通コンパートメント 263:接地母線
27:共通コンパートメント仕切板
35A:上段側変流器 35B:下段側変流器
372:中継部材
4A:上段側の主回路ケーブル 4B:下段側の主回路ケーブル
5:ダクト状仕切板 50:ダクト天板 51:ダクト側板 512b:切欠部
514:通路
6:開閉部
601:第一背面扉 602:第二背面扉 603:第三背面扉
67:共通コンパートメント開閉部 671:カバー
1A:実施形態2の金属閉鎖形スイッチギヤ
28:共通コンパートメント
6A:開閉部
605:第一背面仕切板 606:第二背面仕切板 607:第三背面仕切板
68:背面扉
1B:実施形態3の金属閉鎖形スイッチギヤ
117、118:上引込口
21B:上段側のケーブル室コンパートメント
22B:下段側のケーブル室コンパートメント
5B:ダクト状仕切板
55:ダクト底板 56:ダクト側板 565:通路
6B:開閉部
651:第一背面扉 652:第二背面扉 653:第三背面扉
1C:実施形態4の金属閉鎖形スイッチギヤ
6C:開閉部
661:第一背面仕切板 662:第二背面仕切板 663:第三背面仕切板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17