(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121884
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】シーアンカー
(51)【国際特許分類】
B63B 21/48 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B63B21/48
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029099
(22)【出願日】2023-02-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】391011113
【氏名又は名称】網矢 貞幸
(72)【発明者】
【氏名】網矢 貞幸
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単に取り付けられ、しかも、そのまま前進できるシーアンカーを提供する。
【解決手段】シート(1)とロープ(2)で構成されており、シート(1)には、上に浮き(1b)と、下には錘(1d)が構成されており、ロープ(2)の上は船首に取り付け、下のロープ(2)は、船(3)の側板に取り付けることで後進するときは抵抗になり、前進するときには、点線のように抵抗にはならない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーアンカーは、シート(1)とロープ(2)で構成されており、
該シート(1)は、上部シート(1a)と下部シート(1c)があり、
該上部シート(1a)には浮き(1b)と、該下部シート(1c)には錘(1d)が構成されており、
前記ロープ(2)には、上ロープ(2a)と下ロープ(2b)があり、
該上ロープ(2a)は、該上部シート(1a)と、船(3)の船首取付部(3a)を結び、
該下ロープ(2b)は、該下部シート(1c)と、船(3)の側板取付部(3b)を結ぶことを特徴とするシーアンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船首を風上に向けるシーアンカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のシーアンカーは、風上に船首を向けていなければならないが、船は船尾の方が重く流れ難いため、如何しても船尾が風上を向くので、波が船尾に当たる。その船尾は、船首のように波を避けるように設計してないため、波を被ることが多かった。そこで、船を風上に向けるために、シーアンカーが開発されたが、そのシーアンカーは、パラシュートを海に沈めた状態で、海に沈めたままでの航行は難しかった。
【0003】
そこで、特許文献2の特開2011-194957のシーアンカーは、船首に横木を取り付け、その横木に蝶番を介してアンカー棒があり、後進する時にはアンカー棒が作用して抵抗になり、船全体が風を受け、アンカー棒を中心に風下に船が向いていた。また、前進する時には蝶番が作用して、アンカー棒が水面に浮上するため、抵抗がないため進めるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-163463
【特許文献2】特開2011-194957
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の特許文献2のシーアンカーは、船首に横木を取り付け、その横木に蝶番を介してアンカー棒が、後進する時には、アンカー棒が作用して抵抗になり、船全体が風を受け、アンカー棒を中心に風下に船が向いていた。また、前進する時には蝶番が作用して、アンカー棒が水面に浮上するため、抵抗がないため進めるものであったが、取り付けるまでが面倒であった。
【0006】
そこで、本発明のシーアンカーは、シート(1)とロープ(2)で構成されており、そのシート(1)の上部には浮き(1b)と、下部には錘(1d)が構成されており、上ロープは船首取付部(3a)に、下ロープは船の側板取付部(3b)に結ぶことで、簡単に取り付けられる。しかも、そのまま前進できるシーアンカーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のシーアンカーは、シート(1)とロープ(2)で構成されており、そのシート(1)は上部シート(1a)と下部シート(1c)があり、その上部シート(1a)には浮き(1b)と、下部シート(1c)には錘(1d)が構成されている。
【0008】
そしてロープ(2)は、上ロープ(2a)と下ロープ(2b)があり、その上ロープ(2a)は、上部シート(1a)と、船(3)の船首取付部(3a)を結ぶ。また、下ロープ(2b)は、下部シート(1c)と、船(3)の側板取付部(3b)を結ぶことで目的を達成した。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシーアンカーは、次のような効果がある。
(イ) 船首は風上を向いているので、波を被ることが無い。
(詳しくは0022段落を参照)
(ロ) シーアンカーをそのままで、前進する時には抵抗にならない。
(詳しくは0026段落を参照)
(ハ) 後進はシーアンカーが抵抗になるが、下ロープにゴム紐を使用すると、後進できる。
(詳しくは0028段落を参照)
(ニ) ロープを縛るだけで良いので、簡単に取り付けができる。
(詳しくは0006段落を参照)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】図は、側面をあらわした使用状態の模式図である。
【
図4】図は、下ロープをゴム紐に変えた斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のシーアンカーは、シート(1)とロープ(2)で構成されており、シート(1)は上部シート(1a)と下部シート(1c)に分かれており、上部シート(1a)の両端には浮き(1b)と、下部シート(1c)の両端には錘(1d)が構成されており、そのままの状態では上部シート(1a)が浮いていて、下部シート(1c)が沈んでいる。
【0012】
ロープ(2)は、シート(1)と船(3)を繋ぐ役目である。ロープ(2)の上ロープ(2a)は、浮き(2b)を具備した上部シート(1a)と、船(3)の船首取付部(3a)を適当な長さ、約2メートルから5メートルの範囲で縛る。
【0013】
下ロープ(2b)は、錘(1d)を具備した下部シート(1c)を介して船(3)の側板取付部(3b)で、上ロープ(2a)を縛った場所より後方にあり、その下ロープ(2b)の長さは、上ロープ(2a)の長さと、上ロープ(2a)を縛った船首取付部(3a)の場所から、下ロープ(2b)を縛る場所を足した長さから、ある程度の弛みを引いて、ロープ(2)が張ったときに、シート(1)が垂直に垂れ下がるように取り付ける。
【0014】
そのシーアンカーは使用するときは、船(3)の先からシーアンカーを海中に挿入して、軽く後進するとシーアンカーは開いて、シート(1)に受けた海水の抵抗で、後進のスピードが落ちるので、シーアンカーがセットされたことが分かるので、後進を止める。
【0015】
そのまま放置すると、船(3)の船首取付部(3a)は風上に向いて、潮の流れに乗る。したがって、釣の1本釣等は岩陰に着く魚は潮上を向いて、餌が流れてくるのを待っている。そこで、潮の流れに合わせた餌が流れに乗って来るので、魚が違和感なく餌に食いつく。
【0016】
また、途中でエンジンが停止したときや、嵐に遭ったときや、船(3)を流したいときには、シーアンカーを海に投入すると、船首が風上を向くので、船首は波に対して十分な備えをしており安全である。
【0017】
前進するときは、シーアンカーはそのままで、シーアンカーの上を船(3)が通ると、シーアンカーのシート(1)は、上ロープ(2a)が短いので、上部シート(1a)が船(3)の底に張り付き、下ロープ(2b)は長いので折れ曲がり、上部シート(1a)が張り付いたので下部シート(1c)も同じく張り付く。
【0018】
また、非常のときの後進はできるが、シーアンカーが作用するので0.5ノットぐらいしか後進できない。そこで、下ロープ(2b)をゴム紐(2c)に変えることで、エンジンの力でゴム紐(2c)が伸び、シート(1)が垂直を保てず、斜めになって水は抜けるので抵抗にはならない。
【0019】
そのままシーアンカーは、抵抗なく4ノットぐらいで後進できる。そのゴム紐(2c)は、自転車の荷締めゴム紐のように、ある程度の引っ張りでは、そのままの形状を保つが、それ以上の引っ張りでは伸びる。その伸び始める値は2キログラムである。したがって、両方で4キログラムであり、全体では8キログラム以上の引っ張りは、エンジンの力で、シート(1)は海水の抵抗を受けず後進ができる。
【実施例0020】
本発明のシーアンカーを、図面を参照して説明する。
図1は、側面をあらわした使用状態の模式図であり、船(3)は18尺の船外機である。その船(3)の前に、シーアンカーがあるときには、シーアンカーが作動中である。そして前進のときは、点線のようにシート(1´)は船(3)の底に張り付いた状態のときは、海水の抵抗を受けず、作動していない状態である。
【0021】
そのシーアンカーのシート(1)は、1.8メートル角のブルーシートを使用し、そのブルーシートの4角にはハトメが付いている。そのハトメの上部、上部シート(1a)には浮力1キロの浮き(2b)が、両端に具備されている。下の下部シート(1c)には、重さ500グラムの錘(1d)が両端に付いている。したがって、シート(1)の上部シート(1a)が水面にあり、下部シート(1c)に水中に垂れ下がる状態にある。
【0022】
そして、軽く後進してやるとロープ(2)が張り作動状態になるので、エンジンを止める。若しくは、そのまま放置すると、自然に風下に船(3)が流れるようになるが、時間がかかる。したがって、シーアンカーを投入しても船(3)が風下を向かないときは、無風に近く、そんなときにはシーアンカーは不要である。そして、シーアンカーが受ける風の影響と、船(3)全体が受ける風の影響では、圧倒的に船(3)の受ける風が強いので、風下に船(3)が向く。そして、船首取付部(3a)にシーアンカーを取り付けているため、船首が風上を向き、船尾が風下を向く。
【0023】
一方、点線で描かれているシーアンカーのシート(1´)は、前進して船底に張り付いた状態である。その状態は、シーアンカーを作動させている状態のとき、船(3)を前進させ、シーアンカーの上を通ると、シーアンカーの上部シート(1a)が船底に張り付き、下部シート(1c)もそれに準じて張り付く。そして、下ロープ(2b)は長いので、折れ曲がった状態である。
【0024】
図2は、シーアンカーの使用状態の斜視図である。シート(1)は海水を受け、海面の上には浮き(1b)があり、シート(1)はロープ(2)を介して船(3)に縛られている。風は左から右へと吹き、一番抵抗の多いシート(1)が左に描かれており、船(3)は風の抵抗を受け右に流れている。
【0025】
図3は、前進するときの側面図である。シーアンカーの使用状態では、シーアンカーが流れに杭を刺した状態で、船(3)は船首を風上に、船尾を風下に、ゆっくりと流れている。そのとき、船(3)を前進したいときは、シーアンカーの上を航行すると、最初にシート(1)が船尾の方に流れ、2メートルで止まり、上部シート(1a)に具備している上ロープ(2a)が張り止まり、水流の関係で上部シート(1a)が船底に張り付く。
【0026】
その上部シート(1a)が船底に張り付くと、シート(1)の下の下部シート(1c)もそれに準じて船底に張り付く。下ロープ(2b)は多少長さがあまり折れ曲がっている。したがって前進するのは、容易にできる。したがって、1本釣をしている船頭は、そのポイントを通り過ぎれば、また潮上から流すため、1日に何十回もポイントを上り下りしなければならないが、本発明のシーアンカーでは、そのまま前進でき、また元の位置から釣り糸を垂らすことができる。
そうすると、船(3)は風に押されて後に後進し、波は前から来るので後進した分だけ波の数が減り、波の数が減ると船(3)に与える衝撃も少なくなる。船(3)は波の速さで衝撃を受けるが、波の数が減るということは、その波の形に合わせてゆっくりと上下することになるので、少しは安全である。また、ゴム紐(2c)を使用してないときは、下ロープ(2b)を弛めシート(1)に角度を付けることで、同様の働きをする。