(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121887
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】LPガス用可搬型ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 3/14 20210101AFI20240902BHJP
F24C 3/02 20210101ALI20240902BHJP
F24C 3/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F24C3/14 J
F24C3/02 H
F24C3/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029102
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】523072120
【氏名又は名称】ファミリーファンド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(72)【発明者】
【氏名】米島 周作
(57)【要約】
【課題】インフラ設備の有無にかかわらずさまざまな施設や場所において使用できる可搬性のあるLPガス用ガスコンロを提供すること。
【解決手段】このガスコンロ10は、燃焼部13と、操作部14と、ガス送給部15とを有する。これらは、筐体16の内部の所定位置にレイアウトされている。ガス送給部15は、ソケット28と、カセット式ガスボンベが着脱自在に装着されるボンベ装着部33と、ガバナ38と、流路切換弁29と、第1配管30と、第2配管31と、第3配管32と、送給配管20とを有する。流路切換弁29の操作により、複数のガス供給系統が簡単に択一的に切り替わる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
当該筐体内に設けられた燃焼部と、
上記筐体内に設けられ、供給されるLPガスの流量を調整して上記燃焼部に送ると共に当該LPガスに着火する操作部と、
上記筐体内に設けられ、LPガスを上記操作部に送給するガス送給部とを有する可搬型ガスコンロであって、
上記ガス送給部は、
上記筐体の外面に露出し、外部からLPガスを供給するLPガス配管が着脱自在に接続されるソケットと、
LPガスを封入したカセット式ガスボンベが着脱自在に装着されるボンベ装着部と、
当該ボンベ装着部に装着されたカセット式ガスボンベからLPガスを所定圧力で安定して送給するガバナと、
第1ポート、第2ポート及び第3ポートを有し、上記第1ポートと上記第3ポートとを連通する第1流路または上記第2ポートと上記第3ポートとを連通する第2流路を選択的に形成する流路切換弁と、
上記ソケット及び上記第1ポートを接続する第1配管と、
上記ガバナ及び上記第2ポートを接続する第2配管と、
上記第3ポート及び上記操作部を接続する第3配管とを備え、
上記操作部は、供給されたLPガスを上記燃焼部に送給する単一の送給配管を備える、
LPガス用可搬型ガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LPガス用ガスコンロの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来カセットコンロと称されるガスコンロが提供されている。このカセットコンロは、カセット式ガスボンベが着脱自在に装着されるようになっており、このカセット式ガスボンベから供給されるLPガスを燃料ガスとして使用する。カセット式ガスボンベは、持ち運びに便利であり、広く普及している(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
カセットコンロは、持ち運びに便利ではあるが、カセット式ガスボンベが枯渇すれば使用できない。そこで、特許文献1に記載されたガスコンロは、カセット式ガスボンベからのLPガスの供給を受けると共にいわゆる都市ガスの供給も受けることが可能な構造を備えている。このガスコンロは、各燃料ガスに応じた二系統の配管と燃料ガス切換弁とを内蔵し、LPガスあるいは都市ガスの使用を択一的に切り換えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、持ち運びに便利なガスコンロであっても、都市ガスは供給インフラ(配管)が整っている必要があるため、そのようなインフラ整備がなされていない施設や場所では、カセット式ガスボンベしか利用することができないという問題がある。一方で、LPガスは、カセット式ガスボンベによる供給のほか、小容器を介した質量販売や供給配管設備を介した体積販売による供給が可能である。本願発明者は、このLPガスの供給の多様性に着目し、上記問題を解決しようとした。
【0006】
本発明はかかる背景のもとになされたものであって、その目的は、インフラ設備の有無にかかわらずさまざまな施設や場所においても使用できる持ち運び可能なLPガス用ガスコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係るLPガス用可搬型ガスコンロは、筐体と、当該筐体内に設けられた燃焼部と、上記筐体内に設けられ、供給されるLPガスの流量を調整して上記燃焼部に送ると共に当該LPガスに着火する操作部と、上記筐体内に設けられ、LPガスを上記操作部に送給するガス送給部とを有する。上記ガス送給部は、ソケット、ボンベ装着部、ガバナ、流路切換弁、第1配管、第2配管および第3配管を備える。上記ソケットは、上記筐体の外面に露出し、外部からLPガスを供給するLPガス配管が着脱自在に接続される。上記ボンベ装着部は、LPガスを封入したカセット式ガスボンベが着脱自在に装着される。上記ガバナは、上記ボンベ装着部に装着されたカセット式ガスボンベからLPガスを所定圧力で安定して送給する。上記流路切換弁は、第1ポート、第2ポート及び第3ポートを有し、上記第1ポートと上記第3ポートとを連通する第1流路または上記第2ポートと上記第3ポートとを連通する第2流路を選択的に形成する。上記第1配管は、上記ソケット及び上記第1ポートを接続する。上記第2配管は、上記ガバナ及び上記第2ポートを接続する。上記第3配管は、上記第3ポート及び上記操作部を接続する。上記操作部は、供給されたLPガスを上記燃焼部に送給する単一の送給配管を備える。
【0008】
この構成によれば、上記操作部に供給されたLPガスは、適切に空気と混合されて上記燃焼部に送られる。この発明では、上記流路切換弁が切り換えられることにより第1流路または第2流路が選択的に形成される。上記第1流路が形成されたときは、上記ソケット、上記第1配管及び上記第3配管を介して、外部からLPガスが上記操作部に供給される。上記ソケットに外部のLPガス配管が接続されるが、このLPガス配管は、いわゆる質量販売に係る小容器と接続される場合のほか、いわゆる体積販売に係る供給配管設備と接続され得る。他方、上記第2流路が形成されたときは、上記ボンベ装着部、上記ガバナ及び上記第3配管を介して、上記ボンベ装着部に装着されたカセット式ガスボンベからLPガスが上記操作部に供給される。すなわち、この発明では、LPガスが3系統から供給されるようになっており、上記流路切換弁の操作により、これらが簡単に切り替わる。加えて、上記操作部は、単一の送給配管を有し、上記燃焼部に唯一の経路にてLPガスを供給する。
【0009】
(2) 上記送給配管は、単一のLPガス噴出ノズルを有し、当該LPガス噴出ノズルの口径は、9.5mmであるのが好ましい。もっとも、このLPガス噴出ノズルの口径は、上記燃焼部の必要熱量(出力)に応じて適宜設計変更され得る。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るLPガス用可搬型ガスコンロは、3系統からのLPガスの供給に対応できるので、インフラ設備の有無にかかわらずさまざまな施設や場所において使用可能である。しかも、燃焼部へのLPガスの供給を唯一の経路にて行うので、構造がきわめて簡単であり、軽量で持ち運びに便利である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るガスコンロ10の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施の形態は、本発明に係るガスコンロ10の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るガスコンロ10の構成を模式的に示す図である。
【0014】
1.概略
【0015】
ガスコンロ10(特許請求の範囲に記載された「LPガス用可搬型ガスコンロ」に相当)は、燃焼ガスとしてLPガスのみが採用される。このガスコンロ10は、外部からLPガス配管11が接続されるようになっており、いわゆる質量販売あるいは体積販売されるLPガスの供給を受けることができると共に、カセット式ガスボンベ12を着脱することができ、このカセット式ガスボンベ12からLPガスの供給を受けることもできるようになっている。一方、ガスコンロ10は、筐体16を備えている。この筐体16内に、燃焼部13、操作部14及びガス送給部15が設けられており、これらは、筐体16の内部の所定の位置にレイアウトされている。本実施形態に係るガスコンロ10は、このような筐体16を備えているため、持ち運ぶことができ、可搬性に富む。
【0016】
2.筐体
【0017】
筐体16は、鋼板からなり、典型的には矩形状を呈する。もっとも、筐体16を構成する材料は、鋼板に限定されるものではなく、他の既知の材料が採用され得る。筐体16の外形形状についても矩形に限定されるものではない。筐体16は、上記燃焼部13、操作部14及びガス送給部15を所定の位置に固定し、且つユーザーがガスコンロ10を容易に持ち運べるように十分な剛性を備えている。
【0018】
3.燃焼部
【0019】
燃焼部13は、いわゆるブンゼン燃焼方式を採用し、供給されたLPガスを燃焼させる。燃焼部13は、多数の炎孔を有するバーナ本体17と、混合管18とを有する。バーナ本体17及び混合管18の構造は既知であるため、詳細な説明は省略される。
【0020】
4.操作部
【0021】
操作部14は、流量調整弁19と、単一の送給配管20と、着火部21とを有する。すなわち、操作部14は、供給されるLPガスの流量を調整して燃焼部13に送り、この燃焼部13においてLPガスに着火するものである。流量調整弁19は操作つまみ22を備えており、これが操作されることによって、燃焼部13へ送られるLPガスの流量が調整される。
【0022】
着火部21は、点火プラグ23と、熱電対24とを備えている。点火プラグ23は、バーナ本体17の近傍に配置されている。点火プラグ23は、リード線25を介して流量調整弁19と電気的に接続されている。流量調整弁19の操作つまみ22が「開」側に操作されると、所定のタイミングで点火プラグ23から火花が発生するようになっている。なお、この火花を発生させる機構は既知であるので、その詳細な説明は省略される。他方、熱電対24は、リード線26を介して電気的に流量調整弁19と接続されている。熱電対24はバーナ本体17の近傍の温度をセンシングし、これにより、バーナ本体17の燃焼状態が検知されているときは、流量調整弁19の「開」状態が保持され、燃焼状態が検知されないときは、流量調整弁19が「閉」に切り換えられるようになっている。
【0023】
送給配管20は、LPガスを流量調整弁19から混合管18へ送給する。送給配管20の端部に単一のノズル27(特許請求の範囲に記載された「LPガス噴出ノズル」に相当)が設けられている。本実施形態では、このノズル27の口径は、9.5mmに設定されている。LPガスは、このノズル27から混合管18の内部へ噴出される。このとき、混合管18の端部から燃焼用一次空気も供給されるようになっている。上記ノズル27の口径は9.5mmに設定されているが、上記バーナ本体17の出力に応じて(すなわち、当該出力に対応する燃焼部13の必要熱量に応じて)、適宜設計変更される。
【0024】
5.ガス送給部
【0025】
ガス送給部15は、LPガスを操作部14へ送給する。ガス送給部14は、筐体16に設けられたソケット28と、流路切換弁29と、第1配管30と、第3配管32とを有する。さらに、ガス送給部15は、ボンベ装着部33と、第2配管31とを有する。
【0026】
ソケット28は、汎用の迅速継手(典型的には、一般に「カチット」と称される継手)が採用される。ソケット28は、筐体16に固定されており、外部に露出している。第1配管30は、本実施形態では鋼管からなり、所定のサイズのものが採用される。第1配管30の一端がソケット28に接続され、他端が流路切換弁29に接続されている。第3配管32も鋼管からなり、所定のサイズのものが採用される。第3配管32の一端が流路切換弁29に接続され、他端が流量調整弁19に連結されている。流路切換弁29は、既知の構造を有する。流路切換弁29は、第1ポート34、第2ポート35及び第3ポート36を有し、第1配管30がソケット28と上記第1ポート34とを連通し、第3配管32が流量調整弁19と上記第3ポート36とを連通する。
【0027】
ボンベ装着部33は、ボンベ保持器37と、ガバナ38とを有する。これらは既知の構造であるため、その詳細な説明は省略される。ボンベ保持器37は、カセット式ガスボンベ12を着脱自在に保持する。カセット式ガスボンベ12がボンベ保持器37に保持された状態で、カセット式ガスボンベ12のガス噴出部39がガバナ38に接続されるようになっている。ガバナ38は、カセット式ガスボンベ12から供給されたLPガスを一定圧力(たとえば280mmAq)に調整する。
【0028】
第2配管31は、本実施形態では鋼管からなり、所定のサイズのものが採用される。第2配管31の一端がガバナ38に接続され、他端が流路切換弁29の第2ポート35に接続されている。これにより、第2配管31は、ガバナ38と流路切換弁29とを連通する。流路切換弁29が操作されることにより、第1ポート34と第3ポート36とが連通され、あるいは第2ポート35と第3ポート36とが連通される。すなわち、上記第1ポート34と第3ポート36とが連通されることにより、第2配管31が遮断されると共に第1配管30と第3配管32とが連通する流路(特許請求の範囲に記載された「第1流路」に相当)が形成される。他方、上記第2ポート35と第3ポート36とが連通されることにより、第1配管30が遮断されると共に第2配管31と第3配管32とが連通する流路(特許請求の範囲に記載された「第2流路」に相当)が形成される。このように、流路切換弁19は、上記い第1流路あるいは第2流路を選択的に形成する。
【0029】
6.LPガス配管
【0030】
LPガス配管11は、LPガスが封入された小容器41と、供給管42と、供給管42に設けられた調整器43及びプラグ44とを有する。すなわち、LPガス配管11は、外部からLPガスが質量販売される場合のガス供給態様である。小容器41は、たとえば2kgから20kg程度のLPガスを高圧にて封入している。供給管42は、典型的にはゴムホースが採用される。調整器43は、小容器41から供給されるLPガスを減圧し、供給管42に沿って送給する。プラグ44は、上記ソケット28と連結することができる。本実施形態では、プラグ44は、上記ソケット28(汎用品)を構成する部品であって、ワンタッチで上記ソケット28に着脱されるようになっている。
【0031】
本実施形態では、上記ソケット28に上記LPガス配管11が接続されるが、LPガスが体積販売される場合には、設備された供給配管と上記ソケット28とが接続される。つまり、本実施形態に係るガスコンロ10は、LPガスが質量販売される場合のガス供給態様、体積販売される場合のガス供給態様及びカセット式ガスボンベから供給される態様の3系統からの供給に対応できる。
【0032】
7.作用効果
【0033】
以上のように本実施形態に係るガスコンロ10は、持ち運びに便利であることに加えて、流路切換弁29の操作によりガス供給系統が簡単に切り替わり、しかも、単一の送給配管20にて燃焼部13にLPガスを供給する。したがって、インフラ設備の有無にかかわらずさまざまな施設や場所において使用可能であり、構造がきわめて簡単であるから軽量で可搬性に富む。
【符号の説明】
【0034】
10・・・ガスコンロ
11・・・LPガス配管
12・・・カセット式ガスボンベ
13・・・燃焼部
14・・・操作部
15・・・ガス送給部
16・・・筐体
17・・・バーナ本体
19・・・流量調整弁
20・・・送給配管
27・・・ノズル
28・・・ソケット
29・・・流路切換弁
30・・・第1配管
31・・・第2配管
32・・・第3配管
33・・・ボンベ装着部
34・・・第1ポート
35・・・第2ポート
36・・・第3ポート