(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121889
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B65G1/04 561
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029105
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 武志
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA01
3F022FF01
3F022JJ19
3F022KK02
3F022KK05
3F022MM01
3F022MM03
3F022NN05
(57)【要約】
【課題】複数の作業器具を省スペースで格納することが可能であり、格納されている作業器具を農業機械に連結させるための作業の労力を軽減することが可能となる倉庫システムを提供する。
【解決手段】倉庫システム10は、農業機械11に連結する作業器具12を格納する。倉庫システム10は、作業器具12の格納部17を上下方向に複数有する棚16と、棚16と並んで設けられる固定フレーム18と、作業器具12を載せることが可能である可動台19と、固定フレーム18に沿って可動台19を昇降させる昇降装置20とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業機械に連結する作業器具を格納する倉庫システムであって、
前記作業器具の格納部を上下方向に複数有する棚と、
前記棚と並んで設けられる固定フレームと、
前記作業器具を載せることが可能である可動台と、
前記固定フレームに沿って前記可動台を昇降させる昇降装置と、
を有する、倉庫システム。
【請求項2】
前記可動台は、前記作業器具を上下方向の中心線回りに回転させるための回転アクチュエータを有する、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項3】
前記可動台は、前記作業器具を上下方向に直交する方向に移動させるための水平アクチュエータを有する、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項4】
前記可動台は、前記作業器具を上下方向に移動させるための上下アクチュエータを有する、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項5】
前記可動台は、前記作業器具を傾かせるための傾斜アクチュエータを有する、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項6】
前記可動台は、前記可動台に載せる前記作業器具の四隅に対応する位置それぞれに、前記作業器具を上下方向に移動させるための上下アクチュエータを有し、
四つの前記上下アクチュエータそれぞれは、独立して動作することで、前記作業器具を傾かせるための傾斜アクチュエータとして機能する、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項7】
前記昇降装置は、前記固定フレームに沿って昇降する昇降ユニットを有し、
前記昇降ユニットは、前記可動台を保持した状態と前記可動台の保持を解除した状態とに切り替わる保持具を有する、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項8】
前記可動台は、前記作業器具を支持して前記格納部との間を移動させる可動アームを有する、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項9】
前記固定フレームは、前記棚を基準として前記農業機械側となる第一方向側に位置して前記棚と並んで設けられていて、
前記固定フレームの下部から更に前記第一方向側へ前記可動台を移動させるためのガイド、を有する、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項10】
前記可動台は、地面を走行する車輪を有する、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項11】
前記可動台を前記固定フレームに沿って昇降させる制御を行う制御装置と、
作業者が操作する操作端末と、を有し、
前記操作端末に入力された情報に従って前記制御装置は前記可動台を昇降させる、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項12】
前記棚は、前記格納部を構成する棚フレームを連結可能とする連結ブラケットを有する、
請求項1に記載の倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の農業機械は、圃場において仕事を行う作業器具を牽引し、作業器具は、耕耘、播種、又は収穫等の農作業を行う。例えば、耕耘を行う場合、農業機械に、作業器具として耕耘機が連結され、播種を行う場合、農業機械に、作業器具として播種機が連結される。農作業の種類に応じて、農業機械に連結する作業器具は交換される。農業機械、作業器具、及び、肥料等を保管するための倉庫が、作業場に少なくもと1つ設置されることが、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業の管理者が、複数の作業器具を所有する場合、それらの保管場所の確保が課題となる。
また、トラクタ等の農業機械に対する作業器具の取り外し及び取り付けの交換作業は、複数人により行われるが、重量が例えば数百キログラムとなる作業器具が存在し、交換作業に手間を要する場合がある。
【0005】
そこで、本開示では、複数の作業器具を省スペースで格納することが可能であり、格納されている作業器具を農業機械に連結させるための作業の労力を軽減することが可能となる倉庫システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の倉庫システムは、農業機械に連結する作業器具を格納する倉庫システムであって、前記作業器具の格納部を上下方向に複数有する棚と、前記棚と並んで設けられる固定フレームと、前記作業器具を載せることが可能である可動台と、前記固定フレームに沿って前記可動台を昇降させる昇降装置と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の倉庫システムによれば、複数の作業器具を省スペースで格納することが可能である。格納されている作業器具を農業機械に連結させるための作業の労力を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の倉庫システムの実施の一形態を示す平面図である。
【
図3】
図3は、農業機械の一例であるトラクタ、及び作業器具の側面図である。
【
図4】
図4は、可動台の説明図であり、可動台を前方から見た図である。
【
図5】
図5は、可動台の説明図であり、可動台を側方から見た図である。
【
図6】
図6は、可動台の説明図であり、可動台を側方から見た図である。
【
図9】
図9は、
図6に示す状態から、作業器具を持ち上げた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
(1)本実施形態の倉庫システムは、農業機械に連結する作業器具を格納する倉庫システムであって、前記作業器具の格納部を上下方向に複数有する棚と、前記棚と並んで設けられる固定フレームと、前記作業器具を載せることが可能である可動台と、前記固定フレームに沿って前記可動台を昇降させる昇降装置と、を有する。
【0010】
前記倉庫システムによれば、棚は、複数の作業器具を省スペースで格納することが可能である。例えば棚の上段に位置する格納部に格納されていた作業器具が、前記上段に対応した位置にある可動台に載せられると、その可動台は固定フレームの下部まで移動する。可動台を、固定フレームの下部から農業機械側に移動させる。その可動台に載る作業器具は、農業機械に連絡される。格納されている作業器具を農業機械に連結させるための作業の労力を、軽減することが可能となる。
【0011】
(2)好ましくは、前記可動台は、前記作業器具を上下方向の中心線回りに回転させるための回転アクチュエータを有する。
前記構成によれば、可動台上の作業器具を農業機械の連結部に正対させることが可能となり、農業機械への作業器具の連結作業が更に容易となる。
【0012】
(3)好ましくは、前記(1)又は(2)の倉庫システムにおいて、前記可動台は、前記作業器具を上下方向に直交する方向に移動させるための水平アクチュエータを有する。
前記構成によれば、可動台上の作業器具を農業機械に接近させたり離したり、作業器具の位置を調整するが可能となり、農業機械への作業器具の連結作業が更に容易となる。
【0013】
(4)好ましくは、前記(1)から(3)のいずれか一つの倉庫システムにおいて、前記可動台は、前記作業器具を上下方向に移動させるための上下アクチュエータを有する。
前記構成によれば、可動台上の作業器具の上下位置を調整するが可能となり、農業機械への作業器具の連結作業が更に容易となる。
【0014】
(5)好ましくは、前記(1)から(4)のいずれか一つの倉庫システムにおいて、前記可動台は、前記作業器具を傾かせるための傾斜アクチュエータを有する。
前記構成によれば、可動台上の作業器具を傾けて作業器具の姿勢を変更することが可能となり、農業機械への作業器具の連結作業が更に容易となる。
【0015】
(6)好ましくは、前記(1)から(5)のいずれか一つの倉庫システムにおいて、前記可動台は、前記可動台に載せる前記作業器具の四隅に対応する位置それぞれに、前記作業器具を上下方向に移動させるための上下アクチュエータを有し、四つの前記上下アクチュエータそれぞれは、独立して動作することで、前記作業器具を傾かせるための傾斜アクチュエータとして機能する。
前記構成によれば、四つの上下アクチュエータは、作業器具の上下位置を調整するアクチュエータとして機能すると共に、作業器具を傾けるアクチュエータとしても機能する。
【0016】
(7)好ましくは、前記(1)から(6)のいずれか一つの倉庫システムにおいて、前記昇降装置は、前記固定フレームに沿って昇降する昇降ユニットを有し、前記昇降ユニットは、前記可動台を保持した状態と前記可動台の保持を解除した状態とに切り替わる保持具を有する。
前記昇降ユニットにより、可動台を固定フレームに沿って昇降させる構成が得られる。昇降ユニットが昇降する間、保持具は可動台を保持し、昇降ユニットと可動台とを一体とする。保持具による可動台の保持が解除されることで、可動台は、昇降ユニットから離れて移動可能となる。
【0017】
(8)好ましくは、前記(1)から(7)のいずれか一つの倉庫システムにおいて、前記可動台は、前記作業器具を支持して前記格納部との間を移動させる可動アームを有する。
前記構成によれば、可動台が、棚の一つの格納部と同じ上下方向の位置にある状態で、可動アームは、可動台に載る作業器具を格納部へ移動させたり、格納部の作業器具を可動台に載せたりすることが可能となる。
【0018】
(9)好ましくは、前記(1)から(8)のいずれか一つの倉庫システムにおいて、前記固定フレームは、前記棚を基準として前記農業機械側となる第一方向側に位置して前記棚と並んで設けられていて、前記固定フレームの下部から更に前記第一方向側へ前記可動台を移動させるためのガイド、を有する。
前記構成によれば、可動台はガイドに沿って移動することができる。
【0019】
(10)好ましくは、前記(1)から(8)のいずれか一つの倉庫システムにおいて、前記可動台は、地面を走行する車輪を有する。
前記構成によれば、可動台は自走式であり、作業者が可動台を押す等して、可動台を移動させることができる。
【0020】
(11)好ましくは、前記(1)から(10)のいずれか一つの倉庫システムは、前記可動台を前記固定フレームに沿って昇降させる制御を行う制御装置と、作業者が操作する操作端末と、を有し、前記操作端末に入力された情報に従って前記制御装置は前記可動台を昇降させる。
前記構成によれば、例えば、上下方向に複数存在する格納部それぞれに番号が付されていて、操作端末において、番号が選択されると、制御装置は、その番号を有する格納部に対応する位置に、可動台を移動させることが可能となる。
【0021】
(12)好ましくは、前記(1)から(11)のいずれか一つの倉庫システムは、前記棚は、前記格納部を構成する棚フレームを連結可能とする連結ブラケットを有する。
前記構成によれば、棚において格納部を増設することが容易となる。
【0022】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照して、本開示の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0023】
図1は、本開示の倉庫システムの実施の一形態を示す平面図である。
図2は、
図1に示す倉庫システム10の側面図である。倉庫システム10は、農業機械11に連結する作業器具12を格納する棚16を有する。作業器具12は、インプルメントとも呼ばれる。
図1及び
図2等では、作業器具12を簡略化して二点鎖線で示す直方体で示しており、実際の作業器具12は、各図の二点鎖線で示す直方体の範囲内に収まる。
【0024】
本実施形態では、作業器具12は、パレット13に載った状態で、棚16が有する格納部17に格納されており、更に、作業器具12は、パレット13に載った状態で、格納部17から取り出される。倉庫システム10において、後述する可動台19によって、作業器具12はパレット13と一緒に移動する。作業器具12が農業機械11の連結装置76に連結されると、作業器具12はパレット13から離れる。作業器具12は、連結装置76に連結されている状態から外されると、可動台19上のパレット13に置かれる。なお、パレット13は省略されてもよい。
【0025】
〔農業機械11及び作業器具12について〕
図3は、農業機械11の一例であるトラクタ、及び作業器具12の側面図である。農業機械11は、トラクタ以外の走行車両であってもよい。農業機械11は、トラクタのような走行車両以外として、農業用移動ロボットであってもよい。
図3に示す作業器具12は、圃場等の作業場を耕耘するための耕耘機である。
【0026】
農業機械11は、車両本体71、原動機72、変速装置73、走行装置74、操舵装置75、連結装置76、及び、制御装置77を有する。
【0027】
車両本体71は、車両の骨格となるシャーシ81、及び、外装となるボディ82を有する。原動機72は、エンジン又はモータである。変速装置73は、複数のギア等を有して構成される。変速装置73は、農業機械11の推進力及び移動速度を変化させる。走行装置74は、車輪として前輪84a及び後輪84bを有する。原動機72の回転力が、変速装置73によって変速され、その回転力が前記車輪に伝わり、農業機械11は走行する。操舵装置75は、ステアリングホイール86によって回転するステアリングシャフト87を有する。操舵装置75は、前記車輪(前輪84a)の転がり方向を変更し、農業機械11の走行方向を変更する。
【0028】
農業機械11は、パワーテイクオフ機構78(以下、「PTO機構78」と言う。)を有する。本実施形態の場合、変速装置73がPTO機構78を有する。PTO機構78は、変速装置73の出力軸の一つとしてPTO軸79を有する。原動機72の動力により、PTO軸79は回転する。PTO軸79の回転力によって、作業器具12が有する各種駆動部が動作する。
図3に示す作業器具12(耕耘機)の場合、PTO軸79は、耕耘爪99を回転させる。
【0029】
連結装置76は、各種の作業器具12を車両本体71に連結する。連結装置76は、作業器具12を車両本体71に着脱可能とする。連結装置76は、作業器具12を昇降可能として支持する昇降リンク機構88を有する。昇降リンク機構88は、例えば三点リンク機構により構成される。昇降リンク機構88は、例えば油圧装置等のアクチュエータによって、作業器具12が取り付けられる取り付け部89を昇降させる。これにより、作業器具12の高さを変化させたり、作業器具12の姿勢を変化させたりする。
【0030】
作業器具12を取り付け部89に取り付けたり、取り付け部89から作業器具12を外したりする作業の際、昇降リンク機構88は、取り付け部89を昇降させる。これにより、作業器具12の位置及び姿勢が変更される。昇降リンク機構88の動作は、制御装置77によって制御される。
【0031】
作業器具12は、耕耘機以外であってもよく、連結装置76は、作業器具12として、例えば、播種機、施肥機、移植機、草刈機、レーキ、集草機、及び、収穫機等を、選択して連結可能である。連結装置76は、車両本体71の前部に設けられていてもよい。
【0032】
〔倉庫システムについて〕
図1及び
図2において、倉庫システム10は、棚16、固定フレーム18、可動台19、及び、昇降装置20を有する。本実施形態の倉庫システム10は、ガイド21、制御装置22、及び、作業者が操作する操作端末23を有する。
棚16は、作業器具12の格納部(格納空間)17を上下方向に複数(図例では3つ)有する。棚16は、作業器具12として、播種機、施肥機、移植機、草刈機、レーキ、集草機、収穫機等を格納可能である。一つの格納部17に一つの作業器具12が格納される。
【0033】
本開示の倉庫システム10の各方向について説明する。複数の格納部17が並ぶ上下方向は「高さ方向」とも呼ばれる。棚16に格納されている作業器具12が、農業機械11に連結される。そのために農業機械11の停止場所、つまり、作業器具12の着脱の作業場は、棚16を基準として「前」に位置する。棚16を基準として農業機械11側となる方向、つまり、棚16から作業器具12を取り出す方向が「前方向(第一方向)」となる。作業器具12を棚16に格納する方向が「後方向」となる。上下方向、及び、前後方向の双方に直交する方向が「左右方向」である。
【0034】
棚16及び固定フレーム18は地面に設置される。固定フレーム18は、棚16の前側に位置して棚16と並んで設けられる。棚16は、金属製である複数の柱16a及び梁16bにより構成される。固定フレーム18は、金属製である複数の柱18a及び梁18bにより構成される。
【0035】
棚16は、屋根16c、左右の側壁16d、及び、後ろの側壁16rを有する。固定フレーム18は、屋根18c、左右の側壁18d、及び、前の側壁18fを有する。前の側壁18fのうち、最下段は開口していて、その開口を開閉するシャッタ18eが設けられている。
図1では、棚16及び固定フレーム18の内側を説明するため、屋根16c及び屋根18cを省略している。
【0036】
棚16において、四隅の柱16aと、これら柱16aを繋ぐ梁16bとにより、棚フレーム35が構成される。一つの棚フレーム35の内側が、一つの格納部17となる。
棚16は、格納部17を構成する棚フレーム35を連結可能とする連結ブラケット36を有する。例えば屋根16cを外し、一つの棚フレーム35を追加することで、格納部17を増設することが容易となる。棚フレーム35を追加する場合、固定フレーム18を構成するための柱18a及び梁18b等も追加される。
固定フレーム18は、可動台19が昇降する空間となる「出し入れ空間39」を構成するフレームである。
【0037】
可動台19は、作業器具12を載せることが可能である台車である。本実施形態の場合、可動台19は、パレット13介して作業器具12を載せる。可動台19は、作業器具12を各方向に変位させるため複数のアクチュエータを有する。その構成については、後に説明する。
【0038】
昇降装置20は、固定フレーム18に沿って可動台19を昇降させる。本実施形態の昇降装置20は、固定フレーム18に沿って昇降する昇降ユニット31を有する。昇降装置20は、ワイヤロープを用いたウインチ式であってもよく、油圧シリンダ式であってもよく、昇降ユニット31を昇降させる。固定フレーム18は、上下方向に長いガイドレール41を有する(
図2参照)。昇降ユニット31は、ガイドレール41に沿って昇降する。
【0039】
昇降ユニット31は、可動台19を保持した状態と可動台19の保持を解除した状態とに切り替わる保持具32を有する(
図1参照)。保持具32は、例えばクランプ装置により構成され、可動台19の一部を挟む。昇降ユニット31が昇降する間、保持具32は可動台19を保持し、昇降ユニット31と可動台19とを一体とする。保持具32による可動台19の保持が解除されることで、可動台19は、昇降ユニット31から離れて移動可能となる。可動台19が最下段に位置する状態で、保持が解除され、その可動台19は、前方に移動可能となる。
【0040】
ガイド21は、可動台19を、固定フレーム18の下部(最下段)から前側へ移動させるための誘導部材である。本実施形態では、ガイド21は、地面に敷設されたレールである。ガイド21は、可動台19を、固定フレーム18と、農業機械11側の着脱の作業場との間を移動させるための部材である。この移動は、電動であってもよく、手動であってもよい。電動である場合、可動台19は、走行用のモータを有する。手動の場合、作業者は、可動台19を押し引きすることで前後方向に移動させる。ガイド21がレールである場合、可動台19はそのレールに沿って転がる車輪34を有するのが好ましい。
【0041】
ガイド21は省略されていてもよい。この場合であっても、可動台19が有する車輪34は、地面を走行する。可動台19は自走式となり、作業者が可動台19を押す等して、可動台19を移動させる。なお、可動台19は、地面を走行する場合でも、走行用のモータを有し、電動で移動する構成であってもよい。
【0042】
制御装置22は、例えば汎用シーケンサを有する制御盤により構成される。制御装置22は、演算装置を有し、その演算装置は、記憶されているプログラムに従って昇降装置20の動作を制御する。つまり、制御装置22は、可動台19を固定フレーム18に沿って昇降させる制御を行う。
【0043】
操作端末23は、作業者が操作する装置である。操作端末23に入力された情報に従って制御装置22は可動台19を昇降させる。操作端末23は、制御装置22と一体となる固定式であってもよく、別体であり可動式であってもよい。別体である場合、操作端末23と制御装置22とは有線又は無線により通信可能である。操作端末23は、複数の格納部17のうちの一つを指定するための選択ボタンを有する。
【0044】
前記選択ボタンが選択されることで、制御装置22は昇降装置20を制御し、その選択に応じた高さ位置に昇降ユニット31を移動させる。上下方向に複数存在する格納部17それぞれに番号が付されている。操作端末23において、番号が付された選択ボタンが選択されると、制御装置22は、その番号を有する格納部17に対応する位置に、可動台19を移動させることが可能となる。
【0045】
〔可動台19について〕
固定フレーム18の出し入れ空間39に、可動台19が存在している状態を説明する。その可動台19に載る作業器具12を、後方の格納部17へ移動させたり、格納部17の作業器具12を、前方の可動台19に載せたりするため、可動台19は、可動アーム33を有する。可動アーム33は、作業器具12(作業器具12を載せたパレット13)を支持して、固定フレーム18の出し入れ空間39と、格納部17との間を移動させるための出し入れアクチュエータである。可動アーム33は、例えば、伸縮アクチュエータを有して構成される。可動アーム33は、後述するベース盤48の左右の二箇所に搭載されている。
【0046】
固定フレーム18の出し入れ空間39において、作業器具12を載せた可動台19が、棚16の一つの格納部17と同じ上下方向の位置にある状態で、可動アーム33は短縮状態にある。可動アーム33が有するアーム33aは、作業器具12(パレット13)を支持しながら、可動アーム33が伸長する。これにより、作業器具12は、後方の格納部17に搬送される。作業器具12(パレット13)が格納部17に到達すると、可動アーム33は、短縮動作する。この反対の動作を行うことで、格納部17の作業器具12を、出し入れ空間39の可動台19上に移動させることができる。
【0047】
可動台19上の作業器具12を農業機械11に連結させるために、農業機械11を、倉庫システム10(固定フレーム18)の前方位置に停車させる。固定フレーム18の最下段から可動台19を前方に移動させた状態で、可動台19上の作業器具12を、農業機械11の連結装置76に連結する作業が行われる。
図4及び
図5は、可動台19の説明図である。
図4は、可動台19を前方から見た図であり、
図5は、側方から見た図である。
【0048】
可動台19は、下台45、上台46、ターンテーブル47、及び、ベース盤48を有する。ベース盤48は、作業器具12(パレット13)が載る平盤の部分である。本実施形態の場合、ターンテーブル47によって回転するテーブルが、ベース盤48となる。
【0049】
下台45は、可動台19の下フレームに相当する。上台46は、下台45の上に載る上フレームに相当する。ターンテーブル47は、上台46に搭載されている。下台45は、前記車輪34を有し、ガイド21(又は地面)に沿って移動可能である。
可動台19は、水平方向について2軸の直動ガイド49、及び、直動ガイド49と組み合わされて機能する水平アクチュエータ27を有する。直動ガイド49は、下台45と上台46との間に設けられていて、上台46は、下台45に対して2軸に移動可能である。水平アクチュエータ27は、例えば、モータにより動作するボールねじ式のアクチュエータである。
【0050】
下台45及び上台46を有する台ユニット44の上に、ターンテーブル47及びベース盤48が存在しており、ベース盤48上に作業器具12が搭載される。このため、水平アクチュエータ27によって、作業器具12は、上下方向に直交する水平方向の2軸に移動することが可能となる。
図4及び
図5に示す状態の場合、水平方向の2軸は、前後方向と左右方向との2軸である。
【0051】
図5は、下台45に対して上台46は初期位置にある状態を示す。
図6は、水平アクチュエータ27によって、下台45に対して上台46が前方に移動した状態を示す。水平アクチュエータ27によれば、可動台19上の作業器具12を農業機械11の連結装置76に接近させることが可能となる。水平アクチュエータ27によれば、連結装置76に対する作業器具12の前後方向及び左右方向の位置を調整(微調整)するが可能となり、農業機械11への作業器具12の連結作業が容易となる。
【0052】
農業機械11の連結装置76に、作業器具12が既に連結されていて、その作業器具12を連結装置76から外す場合について説明する。その作業器具12を、可動台19に載せる作業の際、水平アクチュエータ27によれば、作業器具12に対するベース盤48の前後方向及び左右方向の位置を調整(微調整)するが可能となる。農業機械11から作業器具12を外す作業が容易となる。
【0053】
可動台19は、水平アクチュエータ27を含むアクチュエータ群を制御する操作装置50を有する。操作装置50は、有線又は無線により、各アクチュエータが有するコントロールユニットと通信可能である。又は、水平アクチュエータ27は、前記制御装置22及び前記操作端末23により制御されてもよい。
【0054】
ターンテーブル47は、上台46に搭載されている。ターンテーブル47は、ベース盤48を上下方向の中心線回りに回転させる回転アクチュエータ26を有する。回転アクチュエータ26は、例えば、モータと、そのモータにより回転する歯車を含むギア機構とを有し、歯車の回転によりベース盤48を回転させる。回転アクチュエータ26によれば、ベース盤48に搭載する作業器具12を、上下方向の中心線回りに回転させることが可能となる。
【0055】
図7及び
図8は、可動台19を上から見た図である。
図7及び
図8では、作業器具12及びパレット13を二点鎖線で示している。本実施形態の可動台19は一方向に長く、
図7に示す状態で、可動台19の前記一方向(長手方向)は左右方向と一致する。
図7は、ターンテーブル47が初期位置にある状態を示し、可動台19の長手方向は、左右方向と一致する。
図8は、ターンテーブル47が有する回転アクチュエータ26により、ベース盤48が初期位置から90度未満の角度で回転した状態を示す。
【0056】
回転アクチュエータ26によるベース盤48の回転角度及び回転方向は、任意であり、前記操作装置50(
図5参照)により調整可能である。
図8に示すように、農業機械11は、その車両の方向(走行方向)が前後方向に一致していなくても、ベース盤48を回転させることで、可動台19上の作業器具12を農業機械11の連結装置76に正対させることが可能となる。その結果、農業機械11への作業器具12の連結作業が容易となる。
【0057】
倉庫システム10(固定フレーム18)の前方に位置する、作業器具12の着脱の作業場が狭く、可動台19に対する農業機械11の接近方向が、左右方向となる場合であっても、ベース盤48を初期位置(
図7参照)から90度回転させることで、可動台19上の作業器具12を連結装置76に正対させることが可能となる。
【0058】
可動台19は、作業器具12を上下方向に移動させるための上下アクチュエータ28を有する。上下アクチュエータ28は、ベース盤48に取り付けられている本体部28aと、本体部28aから上下に変位する軸部28bとを有する。
図6は、軸部28bが下位置にある。上下アクチュエータ28は、例えば、モータにより動作するラックピニオン式のアクチュエータ、又は、伸縮するシリンダ式のアクチュエータである。
【0059】
図9は、
図6に示す状態から、軸部28bが上に移動し、作業器具12を持ち上げた状態を示す図である。軸部28bは、作業器具12(パレット13)を持ち上げる。この上下アクチュエータ28によれば、農業機械11の連結装置76に対する作業器具12の上下位置を調整するが可能となる。農業機械11への作業器具12の連結作業が容易となる。
【0060】
図7に示すように、上下アクチュエータ28は、可動台19に載せる作業器具12の四隅に対応する位置それぞれに、設けられている。本実施形態の場合、前記四隅は、パレット13の四隅となる。四つの上下アクチュエータ28の動作量が同じ場合(
図9参照)、作業器具12は、上下方向に水平移動する。上下アクチュエータ28の動作量は、前記操作装置50により調整可能である。
【0061】
四つの上下アクチュエータ28それぞれは、独立して動作可能であり、動作量についてもそれぞれ調整可能である。四つの上下アクチュエータ28それぞれは、独立して動作することで、作業器具12を傾かせるための傾斜アクチュエータ29として機能する。つまり、
図10に示すように、一つの上下アクチュエータ28は、他の上下アクチュエータ28と異なる上下方向の動作を行うことで、これら上下アクチュエータ28は、傾斜アクチュエータ29として機能する。
図10に示すように、作業器具12の高さ位置が左右で異なるように、作業器具12を傾斜させることが可能となる。
【0062】
図示しないが、作業器具12の高さ位置が前後で異なるように、作業器具12を傾斜させてもよく、また、作業器具12の高さ位置が前後及び左右で異なるように、作業器具12を傾斜させてもよい。
傾斜アクチュエータ29によれば、可動台19上の作業器具12を傾けて作業器具12の姿勢を変更することが可能となる。農業機械11への作業器具12の連結作業が容易となる。
【0063】
なお、本実施形態では、上下アクチュエータ28を、傾斜アクチュエータ29として兼用する場合について説明したが、可動台19は、作業器具12を傾かせるための傾斜アクチュエータ29を、上下アクチュエータ28と別として有していてもよい。
【0064】
〔本実施形態の倉庫システム10〕
以上のように、本実施形態の倉庫システム10は、農業機械11に連結する作業器具12を格納する装置である。倉庫システム10は、作業器具12の格納部17を上下方向に複数有する棚16と、棚16と並んで設けられる固定フレーム18と、作業器具12を載せることが可能である可動台19と、固定フレーム18に沿って可動台19を昇降させる昇降装置20とを有する。
【0065】
前記構成を有する倉庫システム10によれば、棚16は、複数の作業器具12を省スペースで格納することが可能である。
例えば棚16の上段に位置する格納部17に格納されていた作業器具12が、前記上段に対応した位置にある可動台19に載せられると、その可動台19は固定フレーム18の下部(最下段)まで移動する。可動台19を、固定フレーム18の下部から農業機械11側に移動する。その可動台19に載る作業器具12は、農業機械11に連絡される。
【0066】
農業機械11から作業器具12を外す場合、可動台19を、棚16の前方に位置する着脱の作業場に予め移動させる。農業機械11から外した作業器具12を、可動台19に載せる。可動台19を、固定フレーム18の下部(最下段)に移動させる。可動台19は、昇降装置20によって、所定の格納部17に対応した高さ位置に移動する。可動台19から、作業器具12を格納部17へ移動させる。
【0067】
本実施形態の倉庫システム10によれば、フォークリフト等の荷役車両を用いなくても、作業器具12の着脱の作業場と、棚16との間において、作業器具12の移送が可能となる。
倉庫システム10は、作業器具12を農業機械11に連結するために用いられる他に、可動台19作業器具12を、別の台車又は搬送車両に載せたり、台車又は搬送車両から作業器具12を降ろしたりする場合にも用いられる。
棚16は、作業器具12以外の物品についても格納することが可能である。
【0068】
本実施形態の倉庫システム10の可動台19は、前記のとおり、各種アクチュエータを有する。これにより、可動台19上の作業器具12の位置(前後、左右、上下)、向き(回転)、姿勢(傾斜)の少なくとも一つが調整される。農業機械11を、棚16の前方の任意の位置(着脱の作業場)に、任意の向きに停車させればよい。
以上より、格納部17に格納されている作業器具12を農業機械11に連結させるための作業の労力を、軽減することが可能となる。農業機械11に連結させていた作業器具12を、棚16に格納するための作業の労力を、軽減することが可能となる。
【0069】
〔その他〕
棚16及び固定フレーム18は、左右方向に複数並べて設置されてもよい。一つの固定フレーム18毎に、可動台19が設置されてもよく、一つの可動台19が、複数の棚16のために用いられてもよい。
昇降装置20の形態について、図示した形態以外であってもよい。
可動台19が有する各種アクチュエータについて、図示した形態以外であってもよい。
【0070】
前記実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、前記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0071】
10 倉庫システム
11 農業機械
12 作業器具
16 棚
17 格納部
18 固定フレーム
19 可動台
20 昇降装置
21 ガイド
22 制御装置
23 操作端末
26 回転アクチュエータ
27 水平アクチュエータ
28 上下アクチュエータ
29 傾斜アクチュエータ
31 昇降ユニット
32 保持具
33 可動アーム
34 車輪
35 棚フレーム
36 連結ブラケット