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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121894
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】車両システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/40 20190101AFI20240902BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240902BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20240902BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20240902BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240902BHJP
【FI】
B60L58/40
H01M8/00 A
H01M8/00 Z
H01M8/04858
H01M8/04537
H01M8/10 101
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029115
(22)【出願日】2023-02-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】大島 智
(72)【発明者】
【氏名】清水 研一
(72)【発明者】
【氏名】安部 創
【テーマコード(参考)】
5H125
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC07
5H125AC12
5H125BB00
5H125BC05
5H125BC11
5H125BD02
5H125CA08
5H125EE23
5H125EE36
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB34
5H127BB37
5H127CC07
5H127DB53
5H127DB99
5H127DC42
5H127DC44
5H127DC89
5H127DC96
5H127EE04
5H127FF04
(57)【要約】
【課題】燃料電池および蓄電装置を有する車両の電力制御を適切に行う。
【解決手段】モータ12により駆動される車両に搭載される車両システム10は、燃料電池100と、充放電可能な蓄電装置40と、燃料電池100で発電された第1電力および蓄電装置40に蓄電された第2電力の少なくとも一方の電力によりモータ12を駆動して車両の走行制御を行う制御装置50と、を備え、制御装置50は、少なくとも燃料電池100で発電される発電電圧の最大値よりも高い第1電圧を蓄電装置40の電圧の最小値として設定し、蓄電装置40の充放電制御を行う第1の制御モードと、最大値よりも低い第2電圧を蓄電装置40の電圧の最小値として設定し、蓄電装置40の充放電制御を行う第2の制御モードと、を切り換える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより駆動される車両に搭載される車両システムであって、
燃料電池と、充放電可能な蓄電装置と、前記燃料電池で発電された第1電力および前記蓄電装置に蓄電された第2電力の少なくとも一方の電力により前記モータを駆動して前記車両の走行制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、少なくとも前記燃料電池で発電される発電電圧の最大値よりも高い第1電圧を前記蓄電装置の電圧の最小値として設定し、前記蓄電装置の充放電制御を行う第1の制御モードと、前記最大値よりも低い第2電圧を前記蓄電装置の電圧の最小値として設定し、前記蓄電装置の充放電制御を行う第2の制御モードと、を切り換えることを特徴とする車両システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両システムにおいて、
前記制御装置は、前記第2電力のみを用いて前記車両を走行させる走行モードの場合に、前記第2の制御モードに切り換えることを特徴とする車両システム。
【請求項3】
請求項1に記載の車両システムにおいて、
前記燃料電池は、前記燃料電池で発電された発電電圧が前記蓄電装置の電圧よりも低いと、前記発電電圧を昇圧させながら前記第1電力に基づく前記燃料電池の出力電流を制御する直流電圧変換型の出力電力制御部を含む、ことを特徴とする車両システム。
【請求項4】
請求項2に記載の車両システムにおいて、
前記制御装置は、
前記蓄電装置の電圧が前記第1電圧へ低下すると、前記蓄電装置に対し、前記第2電力に基づく出力電流を制限するとともに、前記出力電力制御部に対し、前記第1電力に基づく前記燃料電池の出力電流を増加させることを特徴とする車両システム。
【請求項5】
請求項1に記載の車両システムにおいて、
前記制御装置は、前記蓄電装置に対してエンドチャージを行って前記蓄電装置の電圧を所定値よりも高くすることを特徴とする車両システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータにより駆動される車両に搭載される車両システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池車等に搭載される車両システムが知られている(例えば特許文献1参照)。燃料電池車は、通常走行時に、燃料電池の出力電圧に基づく負荷給電FC電圧が二次電池の電圧よりも高くなるように設定され、燃料電池による電力がメインとして負荷モータへ供給される。そして、加速時等の最大出力走行時には、負荷給電FC電圧が二次電池の電圧と同じになるように設定され、燃料電池と二次電池の両方からの電力が負荷モータへ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-36101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、燃料電池車では、燃料電池および二次電池の両方から負荷モータへ電力を供給する場合の他に、二次電池からの電力のみを負荷モータへ供給したい場合が存在する。従来の技術では、3つの直流電圧変換器を用いて複雑な処理が行われている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である車両システムは、モータにより駆動される車両に搭載される車両システムであって、燃料電池と、充放電可能な蓄電装置と、燃料電池で発電された第1電力および蓄電装置に蓄電された第2電力の少なくとも一方の電力によりモータを駆動して車両の走行制御を行う制御装置と、を備え、制御装置は、少なくとも燃料電池で発電される発電電圧の最大値よりも高い第1電圧を蓄電装置の電圧の最小値として設定し、蓄電装置の充放電制御を行う第1の制御モードと、最大値よりも低い第2電圧を蓄電装置の電圧の最小値として設定し、蓄電装置の充放電制御を行う第2の制御モードと、を切り換える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡単な構成で、燃料電池および蓄電装置を有する車両の電力制御を適切に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る燃料電池車両の概略構成図。
図2図1のFCユニットの概略構成図。
図3図1の燃料電池車両の電力系のブロック図。
図4】モータに対する電力供給モードを決定する処理のフローチャート。
図5A】第1の制御モードにおけるバッテリ電圧の一例を説明する模式図。
図5B】第2の制御モードにおけるバッテリ電圧の一例を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
発明の実施の形態に係る車両システムを搭載する燃料電池車両では、燃料電池(Fuel Cell:以降FCと呼ぶことがある)で発電され出力される電力(FC電力)と、車両システムの二次電池に蓄電された電力(バッテリ電力)とのうち少なくとも一方を用いて、走行用のモータを駆動する。また、走行用のモータから回生時に発生する電力(回生電力)を車両システムの二次電池に蓄電する。
【0009】
車両システムは、通常は第1の制御モードを設定して二次電池の充放電制御を行うことにより、FC電力およびバッテリ電力の両方を用いて走行用のモータを駆動し、燃料としての水素の消費を抑制する。車両システムは、例えば燃料電池の起動途中等、燃料電池による発電が不可能な状態では第2の制御モードを設定して二次電池の充放電制御を行うことにより、バッテリ電力のみを用いて走行用のモータを駆動する。このような車両システムの詳細について、以下に図面を参照して説明する。
【0010】
<燃料電池車両>
図1は、発明の実施の形態による車両システム10の一例を示す概略構成図である。車両システム10は、モータ12により駆動される電動車両の一例としての燃料電池車両に搭載される。車両システム10は、少なくとも走行用のモータ12と、駆動輪14と、ブレーキ装置16と、車両センサ20と、変換器32と、バッテリシステム(蓄電装置)40と、制御装置50と、FCユニット100と、を備える。FCユニット100と変換器32の間に、逆流防止のためダイオード102が配置されている。ダイオード102は、FCユニット100内に設けられてもよい。ブロック間を結ぶ実線は電気的接続を示し、制御装置50とブロックを結ぶ破線は信号の向きを例示する。
【0011】
<モータ>
モータ12は、例えば、三相交流電動機である。モータ12のロータは、駆動輪14に連結される。モータ12は、FCユニット100から出力されるFC電力と、バッテリシステム40に蓄電されたバッテリ電力とのうち少なくとも一方を用いて、駆動輪14に駆動力を出力する(力行動作)。また、モータ12は、燃料電池車両の減速時に燃料電池車両の運動エネルギーを用いて発電する(回生動作)。
【0012】
<ブレーキ装置>
ブレーキ装置16は、一例として、ブレーキキャリパー、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダ、およびシリンダに油圧を発生させる電動モータ(いずれも図示省略)を備える。ブレーキ装置16は、ブレーキペダルの操作によって発生した油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。
なお、ブレーキ装置16は、上述した構成に限らず、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0013】
<車両センサ>
車両センサ20は、一例として、アクセル開度センサ、車速センサ、およびブレーキ踏量センサ(いずれも図示省略)を備える。
アクセル開度センサは、運転者による加速指示を受け付ける操作子の一例であるアクセルペダルに取り付けられ、アクセルペダルの操作量を検出し、アクセル開度として制御装置50に出力する。
車速センサは、例えば、各車輪に取り付けられた車輪速センサおよび速度計算機(いずれも図示省略)を備え、車輪速センサにより検出された車輪速を統合して燃料電池車両の速度(車速)を導出し、制御装置50に出力する。
ブレーキ踏量センサは、ブレーキペダルに取り付けられ、ブレーキペダルの操作量を検出し、ブレーキ踏量として制御装置50に出力する。
【0014】
<変換器>
変換器32は、例えば、双方向の直流電圧/交流電圧変換器である。変換器32の直流側端子は、直流リンクDLに接続されている。直流リンクDLには、バッテリシステム40が接続されている。また直流リンクDLには、ダイオード102を介してFCユニット100が接続されている。
変換器32は、直流電圧を三相交流電圧に変換してモータ12に供給する。また、変換器32は、モータ12の回生動作により発電された交流電圧を直流電圧に変換して直流リンクDLに出力する。回生動作により得られる電圧を回生電圧と呼んでもよい。
【0015】
バッテリシステム40から供給される直流電圧は、直流リンクDLに出力される。
また、FCユニット100からダイオード102を介して出力された直流電圧は、直流リンクDLに出力される。FCユニット100から供給される直流電圧をFC電圧と呼んでもよい。
【0016】
<バッテリシステム>
バッテリシステム40は、一例として、バッテリ42と、バッテリセンサ44と、温度調節部46と、SOC算出部48と、を備える。
【0017】
バッテリ42は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池である。バッテリ42は、一例として、モータ12の回生動作により得られた回生電力またはFCユニット100の発電動作により得られたFC電力を蓄電(充電)し、燃料電池車両の走行、および後述する補機群を作動させるために放電を行う。
【0018】
バッテリセンサ44は、一例として、電流センサ、電圧センサ、および温度センサ等(いずれも図示省略)を備える。電流センサ、電圧センサ、および温度センサは、それぞれバッテリ42の電流値、電圧値、および温度を検出する。バッテリセンサ44は、検出した電流値、電圧値、および温度等を示す信号を制御装置50に出力する。
【0019】
温度調節部46は、図3を参照して後述する加温部462および冷却部464を含む。温度調節部46は、例えば、バッテリ42から供給される電力を用いてバッテリ42を加熱または冷却する。温度調節部46は、一例として、バッテリセンサ44により検出されるバッテリ42の温度が所定温度範囲に収まるように、不図示のバッテリECU(Electronic Control Unit)によって制御される。
【0020】
SOC算出部48は、バッテリセンサ44の出力に基づいて、バッテリ42のSOC(State Of Charge;以下、バッテリ充電率という)を算出する。SOC算出部48は、算出したSOCを示す信号を、制御装置50に出力する。
【0021】
<FCユニット>
FCユニット100は、燃料電池を含む。燃料電池は、燃料ガスに燃料として含まれる水素と、空気に酸化剤として含まれる酸素とが反応することによって発電する。実施の形態では、FCユニット100からのFC電力が、上記直流リンクDLに出力される。これにより、FCユニット100からのFC電力が、変換器32を介してモータ12に供給されたり、バッテリシステム40に供給されたりする。バッテリシステム40に供給されたFC電力は、バッテリ42に蓄電される。なお、FCユニット100の構成については図2を参照して後述する。
【0022】
<制御装置>
制御装置50は、マイクロコンピュータを含み、必要に応じて、タイマ回路、A/D変換器、D/A変換器等の入出力インタフェースを有する。なお、制御装置50は、1つの制御部のみから構成されるものに限らず、モータ12、FCユニット100、およびバッテリシステム40等に含まれる複数の制御部から構成してもよい。
【0023】
制御装置50は、FCユニット100の状態、バッテリ42の状態、およびモータ12の状態の他、不図示の各種スイッチおよび各種センサ等からの入力(負荷要求)に基づき決定した燃料電池車両全体として車両システム10に要求される負荷から、FCユニット100が負担すべき負荷と、バッテリシステム40が負担すべき負荷と、回生電源としてモータ12が負担すべき負荷との配分(分担)を調停しながら決定し、モータ12、変換器32、FCユニット100、およびバッテリシステム40に指令を送出する。
【0024】
上記制御装置50は、一例として、モータ制御部52と、ブレーキ制御部54と、電力制御部56とを備える。上述したように、モータ制御部52、ブレーキ制御部54、および電力制御部56は、それぞれ別体の制御部(例えば、モータECU、ブレーキECU、バッテリECU等)に置き換えてもよい。
【0025】
モータ制御部52は、一例として、車両センサ20の出力に基づいてモータ12に要求される駆動力を算出し、算出した駆動力を出力させるようにモータ12を制御する。
【0026】
ブレーキ制御部54は、一例として、車両センサ20の出力に基づいてブレーキ装置16に要求される制動力を算出し、算出した制動力を出力させるようにブレーキ装置16を制御する。
【0027】
電力制御部56は、一例として、車両センサ20の出力に基づいてバッテリシステム40およびFCユニット100に要求される総要求電力を算出する。電力制御部56は、例えば、アクセル開度と車速とに基づいてモータ12が出力すべきトルクを算出し、トルクとモータ12の回転数から求められる駆動軸要求電力と、後述する補機等が要求する電力とを合計して総要求電力を算出する。
【0028】
また、電力制御部56は、バッテリ42のSOCに基づいてバッテリ42の充放電要求電力を算出する。そして、電力制御部56は、上記総要求電力からバッテリ42の充放電要求電力を減算(放電側を正とする)し、FCユニット100に要求されるFC要求電力を算出し、算出したFC要求電力に相当する電力をFCユニット100に発電させる。
【0029】
さらにまた、電力制御部56は、バッテリシステム40の充放電制御として、第1の制御モードと第2の制御モードとの切り換えを行う。電力制御部56は、通常は第1の制御モードに切り換え、バッテリ電力のみを用いて燃料電池車両を走行させる走行モード(EV退避モードと呼んでもよい)の場合に第2の制御モードへ切り換える。
【0030】
第1の制御モードは、少なくとも、FCユニット100のFCスタック110から出力される発電電圧(V1とする)の最大値FHよりも高い第1電圧L1をバッテリシステム40の電圧の最小値として設定し、第1電圧L1から、あらかじめ定めた電圧の最大値Hまでの範囲にバッテリ電圧を収めるように制御するモードである。バッテリ電圧がFCスタック110から出力される発電電圧V1より低下することがないので、後述するFCVCU144によるFC電流の制御が適切に行われる。
【0031】
また、第2の制御モードは、上記最大値FHよりも低い第2電圧L2をバッテリシステム40の電圧の最小値として設定し、第2電圧L2から上記最大値Hまでの範囲にバッテリ電圧を収めるように制御するモードである。FCスタック110の発電が行われていないEV退避モードにおいて第2の制御モードへ切り換えることにより、バッテリ電圧が上記第1電圧L1よりも低い上記第2電圧L2へ低下するまでバッテリ電力を使うことができる。これにより、バッテリシステム40の電圧の最小値を第1電圧L1に設定し続ける場合と比べて、燃料電池車両をより長く走行させることが可能になる。
【0032】
電力制御部56は、上述した第1または第2の制御モードにおいて、バッテリ電圧がそれぞれの制御モードの最小値まで低下すると、バッテリシステム40から出力する電流を小さくするように制限してバッテリ電圧のさらなる低下を抑制するようにバッテリシステム40に指令を送出する。
【0033】
電力制御部56はさらに、第1の制御モードの場合には、バッテリシステム40から出力する電流を制限した分、FCユニット100から出力される電流を増やすようにFCユニット100に指令を送出する。このように構成したので、バッテリシステム40の出力電力の抑制分に相当する電力を、FCユニット100で発電させ出力させることができる。
【0034】
電力制御部56は、第2の制御モードの場合には、例えば、バッテリ42のセルを保護する観点からバッテリシステム40からの出力を遮断するように、バッテリシステム40に指令を送出する。このように構成したので、バッテリシステム40の過放電を防止することができる。
【0035】
<FCユニットの構成>
図2は、FCユニット100および関連機器の一例を示す概略構成図である。FCユニット100は、一例として、FCスタック110と、インテーク112と、エアポンプ114と、加湿器118と、気液分離器120と、水素タンク126と、水素循環部130と、気液分離器132と、温度センサ140と、コンタクタ142と、FCVCU(Fuel Cell Voltage Control Unit)144と、FC制御部146とを備える。
また、FCユニット100はFC冷却装置36と接続され、FC冷却装置36は空調装置38と接続されている。
【0036】
FCスタック110は、複数の燃料電池セルが積層された積層体(図示省略)と、この積層体を積層方向の両側から挟み込む一対のエンドプレート(図示省略)と、を備える。
燃料電池セルは、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、この膜電極接合体を接合方向の両側から挟み込む一対のセパレータと、を備える。
【0037】
膜電極接合体は、アノード触媒およびガス拡散層からなるアノード110Xと、カソード触媒およびガス拡散層からなるカソード110Yと、アノード110Xおよびカソード110Yによって厚さ方向の両側から挟み込まれた陽イオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜110Zと、を備える。
【0038】
アノード110Xには、燃料として水素を含む燃料ガスが水素タンク126から供給され、カソード110Yには、酸化剤として酸素を含む酸化剤ガス(反応ガス)である空気がエアポンプ114から供給される。
【0039】
アノード110Xに供給された水素は、アノード触媒上で触媒反応によりイオン化され、水素イオンは、適度に加湿された固体高分子電解質膜110Zを介してカソード110Yへと移動する。水素イオンの移動に伴って発生する電子は、直流電流として外部回路(FCVCU144等)に取り出し可能である。
【0040】
アノード110Xからカソード110Yのカソード触媒上へと移動した水素イオンは、カソード110Yに供給された酸素と、カソード触媒上の電子と反応して、水を生成する。
エアポンプ114は、FC制御部146により駆動制御されるモータ等を備え、このモータの駆動力によってインテーク112を介して外部から空気を取り込んで圧縮する。圧縮後の空気は、不図示の入口弁を介して加湿器118へ送られる。入口弁は、FC制御部146によって開閉制御される。
【0041】
加湿器118は、エアポンプ114で圧縮された空気を加湿する。より詳細には、加湿器118は、例えば中空糸膜等の水透過膜を備え、エアポンプ114からの空気を、水透過膜を介して接触させることで水分を空気に添加する。加湿された空気は、カソード供給口110aからカソード110Yに供給される。
【0042】
気液分離器120は、カソード110Yで消費されることなくカソード排出口110bから排出されたカソード排ガスと液水とを分離する。気液分離器120により液水から分離されたカソード排ガスは、一部が加湿器118により加湿された空気と混合され、カソード供給口110aへ再循環可能に構成されている。
また、気液分離器120によりカソード排ガスから分離された液水は、カソード排出口110bから排出されたカソード排ガスと混合され、希釈器122を介して大気中に排出される。
【0043】
水素タンク126は、水素を圧縮した状態で貯留する。貯留された水素は、不図示の供給弁を介して水素循環部130へ送られる。供給弁は、FC制御部146によって開閉制御される。
【0044】
水素循環部130は、水素タンク126からの水素をアノード供給口110cからアノード110Xに供給する。また、水素循環部130は、アノード110Xで消費されることなくアノード排出口110dから排出され、気液分離器132により分離されたアノード排ガスを、水素タンク126からの水素と混合してアノード供給口110cへ再循環させる。
【0045】
気液分離器132は、アノード排出口110dから排出されたアノード排ガスと液水とを分離する。気液分離器132によりアノード排ガスから分離された液水は、カソード排出口110bから排出されたカソード排ガスと混合され、希釈器122を介して大気中に排出される。
【0046】
温度センサ140は、FCスタック110のアノード110Xおよびカソード110Yの温度を検出し、検出信号をFC制御部146に出力する。
【0047】
コンタクタ142は、FCスタック110のアノード110Xおよびカソード110Yと、FCVCU144との間に設けられている。コンタクタ142は、FC制御部146からの制御信号に基づいて、FCスタック110とFCVCU144との間を電気的に接続、または遮断する。
【0048】
FCVCU144は、コンタクタ142と、電気負荷が接続される出力端子148との間に配置されている。FCVCU144は、昇圧型の直流電圧変換器を有しており、FCスタック110から出力された発電電圧V1をFCVCU144内で目標電圧(V3とする)へ昇圧させながら、出力端子148から出力するFC電流を制御する。例えば、出力端子148の電圧(V2とする)よりも高い目標電圧V3を設定することにより、目標電圧V3と電圧V2との電圧差に応じてFC電流を変化させる。
目標電圧V3は、制御装置50(電力制御部56)からの指令に基づいてFC制御部146が決定する。このように、FCスタック110から出力された発電電圧V1が目標電圧V3に昇圧され、目標電圧V3と出力端子148の電圧V2との電圧差に応じたFC電流が出力端子148から出力される。出力端子148は正極および負極を含む。
なお、実施の形態では、FCスタック110から出力され得る発電電圧V1の最大値FHよりも、上述した第1電圧L1(第1の制御モードにおけるバッテリシステム40の電圧の最小値)の方が高い。また、上記最大値FHよりも、上述した第2電圧L2(第2の制御モードにおけるバッテリシステム40の電圧の最小値)の方が低い。
【0049】
<FC冷却装置>
FC冷却装置36は、後述する第1補機として機能する。FC冷却装置36は、冷却水をFCユニット100に循環させることで、FCユニット100を冷却する。FC冷却装置36は、イオン交換装置等(図示省略)により冷却水中のイオンを除去して絶縁性を高めたクーラント液を冷却水として使用する。
【0050】
電動ウォーターポンプ136は、第2の分岐制御弁V362を介してFCユニット100へ冷却水を送り出す。FCユニット100の発熱によりFCユニット100内で昇温された冷却水は、第1の分岐制御弁V361を介してラジエータ134に送られる。ラジエータ134は、FCユニット100で昇温された冷却水を冷やす。
【0051】
FC冷却装置36は、ラジエータ134の上流側と下流側とを接続するバイパス流路を有する。制御装置50が、電動制御される第1の分岐制御弁V361をバイパス流路側に開くと、冷却水の一部(または全部)がバイパス流路を介して電動ウォーターポンプ136側へ送られる。バイパスされた冷却水は、ラジエータ134で冷やされた冷却水と合流して電動ウォーターポンプ136へ送られる。
【0052】
制御装置50は、例えばFCユニット100の温度が所定値よりも低い場合、第1の分岐制御弁V361をバイパス流路側に開く。これにより、第1の分岐制御弁V361を開かない場合と比べてラジエータ134による冷却水の冷却が抑えられ、FCユニット100の暖機が行われる。
【0053】
また、実施の形態では、ラジエータ134で冷やした冷却水を、空調装置38で加熱することが可能に構成される。より詳しくは、制御装置50が電動制御される第2の分岐制御弁V362を空調装置38側に開くと、冷却水の一部(または全部)が空調装置38へ送られる。空調装置38で加熱された冷却水が空調装置38から戻ると、FC冷却装置36の冷却水と合流して電動ウォーターポンプ136へ送られる。これにより、空調装置38で発生した熱を、FC冷却装置36のラジエータ134で廃熱することが可能になる。
なお、FC冷却装置36の冷却水と、空調装置38を循環する温水とは同じクーラント液を用いる。
【0054】
制御装置50はさらに、例えば、空調装置38の設定が暖房にされている場合、FC冷却装置36の冷却水の温度が所定値以上の状態で、第2の分岐制御弁V362を空調装置38側に開く。これにより、FCユニット100で発生した熱を、空調装置38において車室内に供給する暖気の昇温に用いることが可能になる。
【0055】
<電力系のブロックの説明>
図3は、燃料電池車両の電力系のブロック図である。上述したように、車両システム10は、FCユニット100で発電され出力されるFC電力と、バッテリシステム40に蓄電されたバッテリ電力とのうち少なくとも一方を用いてモータ12を駆動する。また、モータ12から回生時に発生する回生電力をバッテリシステム40に蓄電する。そして、バッテリシステム40のSOCが所定値に達する(換言すると、空き容量が不足と判定される)と、補機と称する電動の機器を作動させて電力の余剰分を消費させる。
【0056】
実施の形態における補機は、バッテリシステム40の温度調節部46、FC冷却装置36、空調装置38、アクセサリ26および制御装置50を含む。
FC電力および回生電力は、補機としてのバッテリシステム40の温度調節部46、FC冷却装置36および空調装置38に供給されるとともに、ダウンバータ24を介してアクセサリ26および制御装置50にも供給される。
ダウンバータ24は、例えば降圧型の直流電圧変換器により構成され、FC電圧、バッテリ電圧および回生電圧を、アクセサリ26および制御装置50で必要とされる電圧に変換する。アクセサリ26は、例えば、燃料電池車両の走行に直接影響のない電装品の総称である。
【0057】
以上説明したように、車両システム10は、FCユニット100から供給されるFC電力と、バッテリシステム40から供給されるバッテリ電力と、モータ12から供給される回生電力と、の供給先を制御装置50により制御する。
また、第1の制御モードと第2の制御モードとの間で、バッテリシステム40の電圧範囲を規定する電圧の最小値を異ならせることにより、第1の制御モードではFCVCU144によるFC電流の制御を適切に行うことを可能にするとともに、第2の制御モードではバッテリ電力のみを用いて燃料電池車両をより長く走行させることを可能にする。
【0058】
<フローチャートの説明>
制御装置50が第1および第2の制御モードを切り換える処理の一例について、図4のフローチャートを参照して説明する。制御装置50は、一例として、燃料電池車両のパワースイッチがオン操作されると、図4による処理を繰り返し実行する。
【0059】
ステップS10において、制御装置50は、第1の制御モードが適切か否かを判定する。制御装置50は、例えば、FCユニット100が発電中である場合、かつ、運転者の操作によりEV退避モードに設定されていない場合に、ステップS10を肯定判定してステップS20へ進む。制御装置50は、例えば、FCユニット100が発電準備中である場合、あるいは、運転者の操作によりEV退避モードに設定されている場合に、ステップS10を否定判定してステップS30へ進む。
【0060】
ステップS10を肯定判定するのは、第1の制御モードが適切な場合である。ステップS20において、制御装置50は、FCユニット100のFCスタック110から出力される発電電圧V1の最大値FHよりも高い第1電圧L1を、バッテリシステム40の電圧の最小値として設定して図4による処理を終了する。
【0061】
図5Aは、第1の制御モードにおけるバッテリ電圧の一例を説明する模式図である。横軸はパワースイッチがオン操作された後の経過時間を示し、縦軸は電圧を示す。バッテリシステム40は、バッテリ電圧を所定の電圧範囲(第1電圧L1から最大値Hまで)に収めるように充放電が制御される。第1電圧L1は、FCスタック110から出力される発電電圧V1の最大値FHに、所定のマージンGを加えた値である。
【0062】
例えば、ユーザーからの出力要求が一定の場合において、時刻t1から時刻t2までの間、バッテリシステム40のバッテリ電圧が放電により徐々に低下する。時刻t2においてバッテリ電圧が第1電圧L1まで低下すると、バッテリシステム40から出力する電流を小さくするように制限してバッテリ電圧の低下を抑制する。第1の制御モードでは、バッテリシステム40から出力するバッテリ電力の制限に加えて、FCユニット100から出力するFC電流を増加させる。FC電流の増加分は、バッテリシステム40の出力電流を制限した分に対応する。このように、総要求電力がバッテリシステム40およびFCユニット100により賄われる。
【0063】
時刻t3において総要求電力が減少すると、FCユニット100から出力するFC電流が減少し、FCスタック110から出力される発電電圧V1が上昇する。時刻t4において、総要求電力がバッテリシステム40の充電が可能になるまで減少し、バッテリ電圧が徐々に上昇を始めると、バッテリシステム40に対する出力電流の制限を解除する。また、バッテリシステム40の出力電流の制限に対応させたFC電流の増加を終了させる。
【0064】
上述したステップS10を否定判定するのは、第2の制御モードが適切な場合である。ステップS30において、制御装置50は、FCユニット100のFCスタック110から出力される発電電圧V1の最大値FHよりも低い第2電圧L2を、バッテリシステム40の電圧の最小値として設定して図4による処理を終了する。
【0065】
図5Bは、第2の制御モードにおけるバッテリ電圧の一例を説明する模式図である。横軸はパワースイッチがオン操作された後の経過時間を示し、縦軸は電圧を示す。バッテリシステム40は、バッテリ電圧を所定の電圧範囲(第2電圧L2から最大値Hまで)に収めるように充放電が制御される。
【0066】
時刻t1´から時刻t2´までの間、バッテリシステム40のバッテリ電圧が放電により徐々に低下する。時刻t2´においてバッテリ電圧が第2電圧L2まで低下すると、バッテリシステム40からの出力が遮断される。このように、バッテリシステム40の過放電が防止される。
【0067】
上述した車両システム10において、燃料電池車両のパワースイッチがオフ操作された場合に、制御装置50は、第1の制御モードであるか第2の制御モードであるかにかかわらず、バッテリシステム40に対してエンドチャージを行ってバッテリシステム40のSOCを所定値よりも高くするように構成してもよい。次回の起動時に備えてバッテリ電圧を高めておくためである。
【0068】
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏する。
(1)モータ12により駆動される車両に搭載される車両システム10は、燃料電池としてのFCユニット100と、充放電可能な蓄電装置としてのバッテリシステム40と、FCユニット100で発電された第1電力としてのFC電力、およびバッテリシステム40に蓄電された第2電力としてのバッテリ電力の少なくとも一方の電力によりモータ12を駆動して車両の走行制御を行う制御装置50と、を備え、制御装置50は、少なくともFCユニット100で発電される発電電圧V1の最大値FHよりも高い第1電圧L1をバッテリシステム40の電圧の最小値として設定し、バッテリシステム40の充放電制御を行う第1の制御モードと、最大値FHよりも低い第2電圧L2をバッテリシステム40の電圧の最小値として設定し、バッテリシステム40の充放電制御を行う第2の制御モードと、を切り換える。
このように構成したので、第1の制御モードでは、FC電力の制御(例えば、FCVCU144によってFC電流を制御する)を適切に行うことが可能になる。特に、バッテリ電圧をFCユニット100のFCスタック110から出力される発電電圧V1よりも低くしない制御を行うため、FCユニット100とバッテリシステム40とがFCVCU144を介して実質的に直結することがない。この結果、FCユニット100からバッテリシステム40へ電流持ち出しが生じてFCスタック110の性能が劣化することが、確実に防止される。
一方、第2の制御モードでは、第1の制御モードの場合よりも低いバッテリ電圧に低下するまでバッテリシステム40の放電を可能にする。この結果、バッテリ電力のみを用いた燃料電池車両の走行距離をより長くすることが可能になる。
【0069】
(2)上記(1)に記載の車両システム10において、制御装置50は、バッテリ電力のみを用いて車両を走行させる走行モード(EV退避モード)の場合に、第2の制御モードに切り換える。
このように構成したので、EV退避モードにおいて燃料電池車両の走行距離をより長くすることが可能になる。
【0070】
(3)上記(1)に記載の車両システム10において、FCユニット100は、FCユニット100のFCスタック110で発電された発電電圧V1がバッテリシステム40の電圧よりも低いと、発電電圧V1を昇圧させながらFC電力に基づくFCユニット100の出力電流を制御する直流電圧変換型の出力電力制御部としてのFCVCU144を含む。
このように構成したので、例えば、FCユニット100の出力端子148の電圧(V2)よりも高い目標電圧V3を設定し、発電電圧V1を目標電圧V3まで昇圧させることにより、目標電圧V3と電圧V2との電圧差に応じてFCユニット100の出力電流を適切に制御することが可能になる。
【0071】
(4)上記(2)に記載の車両システム10において、制御装置50は、バッテリシステム40のバッテリ電圧が第1電圧L1へ低下すると、バッテリシステム40に対し、バッテリ電力に基づく出力電流を制限するとともに、FCVCU144に対し、FC電力に基づくFCユニット100の出力電流を増加させる。
このように構成したので、バッテリシステム40のバッテリ電圧が第1電圧L1へ低下するまでは、バッテリ電力がメインとして負荷へ供給され、FCユニット100における水素の消費量を抑えることが可能になる。また、バッテリ電圧が第1電圧L1へ低下してからは、FCユニット100からのFC電力の供給を増やすことで、バッテリ電圧の低下を抑えつつ、負荷に対する電力供給を維持することが可能になる。
【0072】
(5)上記(1)に記載の車両システム10において、制御装置50は、バッテリシステム40に対してエンドチャージを行ってバッテリシステム40の電圧を所定値(例えば第1電圧L1)よりも高くする。
このように構成したので、次回の起動時に備えてバッテリ電圧を高めておくことが可能になる。
【0073】
上記実施の形態は、種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。
(変形例1)
実施の形態において、第1の制御モードであるか第2の制御モードであるかにかかわらず、バッテリシステム40に対してエンドチャージを行う例を説明したが、いずれか一方の制御モード(例えば第1の制御モード)である場合にのみ、エンドチャージを行う構成にしてもよい。
【0074】
(変形例2)
また、実施の形態において、バッテリシステム40のバッテリ電圧が第1電圧L1へ低下するまでは、バッテリ電力がメインとして負荷へ供給される例を説明した。この代わりに、バッテリ電圧が第1電圧L1へ低下するまでは、バッテリ電力およびFC電力のいずれをメインにするかを定めることなく負荷へ電力を供給させてもよい。ただし、バッテリ電圧が第1電圧L1へ低下してからは、FCユニット100からのFC電力の供給を増やすことで、バッテリ電圧の低下を抑えつつ、負荷に対する電力供給を維持する。
【0075】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施の形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施の形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 車両システム、12 モータ、14 駆動輪、16 ブレーキ装置、20 車両センサ、32 変換器、40 バッテリシステム、46 温度調節部、50 制御装置、100 FCユニット、110 FCスタック、144 FCVCU、148 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2024-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより駆動される車両に搭載される車両システムであって、
燃料電池と、充放電可能な蓄電装置と、前記燃料電池で発電された第1電力および前記蓄電装置に蓄電された第2電力の少なくとも一方の電力により前記モータを駆動して前記車両の走行制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記蓄電装置の電圧をあらかじめ定めた最小値から最大値までの範囲に収めるように充放電制御を行う場合に、前記蓄電装置の電圧の前記最小値を少なくとも前記燃料電池で発電される発電電圧の最大値よりも高い第1電圧設定する第1の制御モードと、前記蓄電装置の電圧の前記最小値を前記発電電圧の前記最大値よりも低い第2電圧設定する第2の制御モードと、
を切り換えることを特徴とする車両システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両システムにおいて、
前記制御装置は、前記第2電力のみを用いて前記車両を走行させる走行モードの場合に、前記第2の制御モードに切り換えることを特徴とする車両システム。
【請求項3】
請求項1に記載の車両システムにおいて、
前記燃料電池は、前記燃料電池で発電された発電電圧が前記蓄電装置の電圧よりも低いと、前記発電電圧を昇圧させながら前記第1電力に基づく前記燃料電池の出力電流を制御する直流電圧変換型の出力電力制御部を含む、ことを特徴とする車両システム。
【請求項4】
請求項に記載の車両システムにおいて、
前記制御装置は、
前記蓄電装置の電圧が前記第1電圧へ低下すると、前記蓄電装置に対し、前記第2電力に基づく出力電流を制限するとともに、前記出力電力制御部に対し、前記第1電力に基づく前記燃料電池の出力電流を増加させることを特徴とする車両システム。
【請求項5】
請求項1に記載の車両システムにおいて、
前記制御装置は、前記蓄電装置に対してエンドチャージを行って前記蓄電装置の電圧を所定値よりも高くすることを特徴とする車両システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の一態様である車両システムは、モータにより駆動される車両に搭載される車両システムであって、燃料電池と、充放電可能な蓄電装置と、燃料電池で発電された第1電力および蓄電装置に蓄電された第2電力の少なくとも一方の電力によりモータを駆動して車両の走行制御を行う制御装置と、を備え、制御装置は、蓄電装置の電圧をあらかじめ定めた最小値から最大値までの範囲に収めるように充放電制御を行う場合に、蓄電装置の電圧の最小値を少なくとも燃料電池で発電される発電電圧の最大値よりも高い第1電圧設定する第1の制御モードと、蓄電装置の電圧の最小値を発電電圧の最大値よりも低い第2電圧設定する第2の制御モードと、を切り換える。