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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012190
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】位置検出用の誘導型センサー
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G01D5/245 110Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023116210
(22)【出願日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】10 2022 117 762.9
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】301042963
【氏名又は名称】ボーンズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】BOURNS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1200 COLUMBIA AVENUE,RIVERSIDE,CALIFORNIA 92507,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン バーナー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ウィシュケ
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン プロルス
(72)【発明者】
【氏名】ハサン コスクナー
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA21
2F077AA25
2F077NN02
2F077NN16
2F077PP06
2F077QQ03
2F077QQ04
2F077TT06
2F077VV01
2F077VV10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】誘導型センサーの改良に関する。
【解決手段】周期的なAC電圧信号を生成し、それをエキサイタコイル23に結合する発振回路と、それぞれが周期的に繰り返されるループ構造を形成し、その配置が全体として受信ジオメトリを形成する第1受信コイル25及び第2受信コイルを含む一対の受信コイルであって、前記エキサイタコイル23が、結合されたAC電圧信号に基づいて各受信コイル25に信号を誘導するように配置される一対の受信コイルと、前記受信コイル25に誘導された信号に基づいて、検出される位置に依存するセンサー信号を出力するための評価回路と、検出される位置の関数として前記エキサイタコイル23と前記受信コイル25との間の誘導結合の強度に影響を与える可動な結合要素16とを含み、前記一対の受信コイルの受信コイル25は、それらの間に中間空間を有する幾何学的位置に位置し、互いに電気的に接続されることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出用の誘導型センサー(9)であって、
周期的なAC電圧信号を生成し、それをエキサイタコイル(23)に結合する発振回路と、
それぞれが周期的に繰り返されるループ構造を形成し、その配置が全体として受信ジオメトリを形成する第1受信コイル(25)及び第2受信コイル(30)を含む一対の受信コイル(31)であって、前記エキサイタコイル(23)が、結合されたAC電圧信号に基づいて各受信コイル(25,30)に信号を誘導するように配置される一対の受信コイル(31)と、
前記受信コイル(25,30)に誘導された信号に基づいて、検出される位置に依存するセンサー信号(19)を出力するための評価回路(21)と、
検出される位置の関数として前記エキサイタコイル(23)と前記受信コイル(25,30)との間の誘導結合の強度に影響を与える可動結合要素(16)と、を含み、
前記一対の受信コイル(31)の受信コイル(25,30)は、それらの間に中間空間(32)を有する幾何学的位置(26)に位置し、互いに電気的に接続される、ことを特徴とする誘導型センサー(9)。
【請求項2】
前記受信コイル(25,30)の前記ループ構造は、対称中心(8)に対して互いに対称的に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の誘導型センサー(9)。
【請求項3】
検出される位置は、前記回転軸(8)の周りの角度位置であり、前記対称中心は回転軸(8)であり、これに対して前記ループ構造が点対称に配置される、ことを特徴とする請求項2に記載の誘導型センサー(9)。
【請求項4】
それぞれが周期的に繰り返されるループ構造を形成し、その配置が全体として受信ジオメトリを形成する第1受信コイル(25’)及び第2受信コイル(25’)を有する更なる一対の受信コイル(25’,30’)を含み、
前記エキサイタコイル(23)又は更なるエキサイタコイルが、結合されたAC電圧信号に基づいて、前記更なる一対の受信コイル(31’)の各受信コイル(25’,30’)に信号を誘導するように配置される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれ一項に記載の誘導型センサー(9)。
【請求項5】
前記可動結合要素(16)は、検出される位置の関数として、前記エキサイタコイル(23)又は前記更なるエキサイタコイルと前記更なる一対の受信コイル(31’)の前記受信コイル(25’,30’)との間の誘導結合の強度に影響を与え、前記評価回路は、前記一対の受信コイル(31)の前記受信コイル(25,30)に誘導された信号と前記更なる一対の受信コイル(31’)の前記受信コイル(25’,30’)に誘導された信号との比較に基づいて、前記位置に依存するセンサー信号(19)を出力するように配置される、ことを特徴とする請求項4に記載の誘導型センサー(9)。
【請求項6】
更なる可動結合要素(16’)を含み、前記更なる可動結合要素(16’)は、検出される位置の関数として、前記エキサイタコイル(23)又は前記更なるエキサイタコイルと前記更なる一対の受信コイル(31’)の前記受信コイル(25’,30’)との間の誘導結合に影響を与え、前記評価回路(21)は、前記一対の受信コイル(31)の前記受信コイル(25,30)に誘導された信号と前記更なる一対の受信コイル(31’)の前記受信コイル(25’,30’)に誘導された信号との比較に基づいて、前記位置に依存する前記センサー信号(19)を出力するように設定される、ことを特徴とする請求項4に記載の誘導型センサー(9)。
【請求項7】
前記更なる一対の受信コイル(31’)の前記第1受信コイル(25’)は、検出される位置の変化する方向から見て、前記一対の受信コイル(32)の前記受信コイル(25,30)の間の中間空間(31)に配置される、ことを特徴とする請求項4に記載の誘導型センサー(9)。
【請求項8】
前記一対の受信コイル(31,31’)は、プリント回路基板(22)の異なる側に配置される、ことを特徴とする請求項4に記載の誘導型センサー(9)。
【請求項9】
前記中間空間(32)に配置されている電子部品(34,35)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の誘導型センサー(9)。
【請求項10】
前記電子部品(34,35)は、電磁シールド素子(35)である、ことを特徴とする請求項9に記載の誘導型センサー(9)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出用の誘導型センサーに係り、特に、有効な請求項1の前提部分による誘導型センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
有効な請求項1の前提部分による誘導型センサーは、出版物「High speed inductive position sensor for E-machines, L. Lugani et al, Melexis, 2021」から知られており、https://media.melexis.com/-/media/files/documents/whitepapers/inductive-resolver-e-motors-whitepaper-melexis.pdfからダウンロードすることができる。
【0003】
誘導型センサーのエラー率を下げるために、この出版物は、一方では、2つよりも多い受信コイルを並列に接続し、角度センサーの形の誘導型センサーの場合、受信コイルをO字型設計(回転軸の周りで閉じる)にすることを提案している。C字型設計(即ち、回転軸の周りで180°を超え360°未満で動く)の受信コイルでエラー率を下げることは既に可能になっているが、O字型設計の受信コイルが使用された場合に、エラー率は常により小さくなる。
【0004】
DE4429444A1から、周期的な交流電圧信号を生成してエキサイタコイルに結合する発振回路を備える位置検出用の誘導型センサーが知られている。センサーに直列に接続された2つの受信コイルは、共通の周期的に繰り返されるループ構造、ひいては共通の受信ジオメトリを形成する。結合されたAC信号に基づいて、エキサイタコイルは、受信コイルに共通の信号を誘導し、この信号は、評価回路によって評価され、検出される位置に依存するセンサー信号に変換される。このプロセスでは、可動な結合要素は、検出される位置の関数として、エキサイタコイルと受信コイルとの間の誘導結合の強度に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、誘導型センサーを改良することである。
【0006】
このタスクは、独立した請求項の特徴によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明の一態様によれば、位置検出用の誘導型センサーは、周期的なAC電圧信号を生成し、それをエキサイタコイルに結合する発振回路と、それぞれが周期的に繰り返されるループ構造を形成し、その配置が全体として受信ジオメトリを形成する第1受信コイル及び第2受信コイルを含む一対の受信コイルであって、前記エキサイタコイルが、結合されたAC電圧信号に基づいて各受信コイルに信号を誘導するように配置される一対の受信コイルと、前記受信コイルに誘導された信号に基づいて、検出される位置に依存するセンサー信号を出力するための評価回路(21)と、検出される位置の関数として、前記エキサイタコイルと前記受信コイルとの間の誘導結合の強度に影響を与える可動な結合要素と、を含む。前記一対の受信コイルの受信コイルは、それらの間に中間空間を有する幾何学的位置に位置し、互いに電気的に接続される。
【0008】
本発明は、冒頭で言及した誘導型センサーがその個々の部分同士の誤った位置決めに対して強い(robust)が、製造コストが非常に高いという考慮に基づくものである。複数の相の原因で、いわゆるツイストペア状の配線(twisted pair-like wiring)では、回転軸の周りにO字型設計で配置された受信コイルには、少なくとも6つのプリント回路基板レベルが必要となり、PCBレベルの変化が常に受信コイルのループ構造の最大値で発生する。受信コイルのC字型設計の場合、必要なPCBレベルの数を減少することができるが、これには、受信コイルを常に回転軸の周りで180°を超える回転角度で配置しなければならないため、冒頭で述べたエラー率の増加、及び生産技術面での非最適な設計が伴う。
【0009】
本発明は、ここでは別のアプローチを採用している。並列に接続され、従って互いに電気的に接続された一対の受信コイルの受信コイルは、冒頭で述べた現状技術における上記のエラーを排除し、従って誘導型センサーのエラー率を下げる。同時に、ループ構造の実施に必要なPCBレベルの数を効果的に減らすことが可能である。驚くべきことに、冒頭で述べた現状技術の考え方とは異なるこの概念は、例えば2つの受信コイルが互いに電気的に接続され、そのループ構造が互いに平行になっている場合、線形位置を検出するための誘導型センサーにも適用できる。これらの受信コイルはまた、相互にエラーを排除する。
【0010】
受信コイルが直列に接続された冒頭で述べた誘導型センサーと比較すると、前述のセンサーは、改善した感度を提供する。受信コイルが並列に接続された場合、それらの総面積が増加し、その結果、センサーの感度が高くなる。これは、検出される信号が非常に弱いときに有利である。また、コイルを並列に接続することが、外部の電磁干渉の影響を最小限に抑えるのに役立つため、並列に接続された受信コイルは、改善した干渉イミュニティを提供する。これは、コイルに誘導されたノイズを反対方向に導いて、互いに相殺することによって実現される。最後に、並列回路において、総抵抗が個々のコイルの最小抵抗よりも小さいため、並列に接続された2つの受信コイルは、より低い総抵抗も有する。これは、信号がより少ない抵抗でコイルを流れることができ、より高い信号強度を得ることを意味する。
【0011】
指定された誘導型センサーの実施形態では、受信コイルのループ構造は、対称中心に対して互いに対称的配置される。このようにして、エラー除去効果を向上させることができる。
【0012】
検出される誘導型センサーの位置が回転軸の周りの角度位置である場合、指定されたセンサーの追加的な更なる展開における対称中心を回転軸にすることができ、ループ構造がこの回転軸に対して点対称に形成される。このようにして、冒頭で述べたエラー率は、生産技術面で著しく簡単な手段により下げることができる。
【0013】
特定の実施形態では、指定された誘導型センサーは、第1受信コイル及び第2受信コイルと特に並列に接続された更なる対の受信コイルを含み、この更なる対の受信コイルのそれぞれが周期的に繰り返されるループ構造を形成し、それらの配置が一緒になって受信ジオメトリを形成する。エキサイタコイルは、結合されたAC電圧信号に基づいて、更なる一対の受信コイルの各受信コイルに信号を誘導するように設定される。
【0014】
追加的な一対の受信コイルにより、指定された誘導型センサーの機能範囲を広げることができる。
【0015】
したがって、指定された誘導型センサーの特定の実施形態では、[同じ]可動な結合要素は、検出される位置の関数として、エキサイタコイルと更なる一対の受信コイルの受信コイルとの間の誘導結合の強度に影響を与えることができる。ここで、評価回路は、受信コイルの受信コイルに誘導された信号と更なる一対の受信コイルの受信コイルに誘導された信号との比較に基づいて、前記位置に依存するセンサー信号を出力するように配置されている。このようにして、指定された誘導型センサーに冗長性を簡単に付けて、検出位置をもっともらしいものにすることができる。
【0016】
指定された誘導型センサーの特定の実施形態では、更なる可動な結合要素は、検出される位置の関数として、エキサイタコイルと更なる一対の受信コイルの受信コイルとの間の誘導結合の強度に影響を与えることができる。評価回路は、一対の受信コイルの受信コイルに誘導された信号、及び更なる一対の受信コイルの受信コイルに誘導された信号に基づいて、前記位置に依存するセンサー信号を出力するように設定されている。このようにして、例えば力又はトルクのモーメントを決定するために使用できる2つの結合要素間の差動位置を検出することができる。
【0017】
もちろん、前述の2つの概念を組み合わせることもできる。
【0018】
指定された誘導型センサーの追加的な実施形態では、更なる一対の受信コイルの第1受信コイルは、検出される位置の変化方向から見て、一対の受信コイルの受信コイル間の中間空間に配置される。このようにして、指定された誘導型センサーは、極めて省スペースで実現することができる。
【0019】
指定された誘導型センサーの更なる実施形態では、一対の受信コイルは、プリント回路基板の異なる側に配置されるので、前述の差動位置は、プリント回路基板を1つのみ使用するため、非常に小さな組み立て空間で検出することができる。
【0020】
更なる実施形態では、指定された誘導型センサーは、中間空間に配置された電子部品を含み、その結果、指定された誘導型センサーに必要な組み立て空間がさらに小さくなる。
【0021】
指定された誘導型センサーのまた別の実施形態では、電子部品は、特に上述の差動位置の検出において、2対の受信コイル間のクロストークを回避する電磁シールド素子である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の上述の特性、特徴及び利点、ならびにそれらが達成される方法は、図面に関連してより詳細に説明される実施形態の以下の説明に関連して、より明確になるであろう。
図1】操舵システムを備えた車両の概略斜視図である。
図2図1からの操舵システム用のトルクセンサーとしての適用における、位置検出用の誘導型センサーのバージョンの概略図である。
図3a図2の誘導型センサーの一部の概略図である。
図3b図3aに示す第1断面図による、図2の誘導型センサーの実施形態の一部の概略断面図である。
図3c図3aに示す第2断面図による、図3bの誘導型センサーの実施形態の一部の概略断面図である。
図4a図3aに示すような、図2の誘導型センサーの一部の概略図である。
図4b】代替誘導型センサーの一部の概略図である。
図5】受信コイル郡の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面において、同じ技術的要素には同じ参照符号が付されており、一度しか記載されていない。図面は純粋に概略的なものであり、特に、実際の幾何学的な比率を反映していない。
【0024】
操舵システム2を含む車両1の概略斜視図である図1を参照されたい。
【0025】
本実施形態の例では、車両1は、2つの前輪3と2つの後輪4によってサポートされるシャシー5を含む。前輪3は、操舵システム2によって旋回することができるので、車両1はカーブで駆動することができる。
【0026】
操舵システム2は操舵輪6を含む。操舵輪6は、第1操舵シャフト7に装着され、次に第1操舵シャフト7は、回転軸8の周りに枢動可能に装着される。第1操舵シャフト7は、ここでは角度位置の形態の位置を検出するため誘導型センサー9に案内され、さらに指定されていない方法でトーション要素10に接続される。第2操舵シャフト11は、回転軸8上の第1操舵シャフト7の反対側の前記トーション要素10に接続され、操舵ギア12で終わる。操舵輪6が操舵トルク13の形式のトルクで旋回すると、操舵トルク13は、それに従って、操舵シャフト7と11を介して操舵ギア12に伝達され、操舵ギア12は、それに応じて車輪角14を有するカーブで前輪3を操舵する。
【0027】
操舵プロセスは、旋回中の第2操舵シャフト11を支援する補助モータ15によってサポートされる。この目的のために、操舵トルク13は、誘導型センサー9によって検出された第1操舵シャフト7と第2操舵シャフト11との間の相対角度位置から導出される。次に、補助モータ15は、とりわけ、検出された操舵トルク13に従って、第2操舵シャフト11を操舵する。
【0028】
上記の角度位置、ひいては操舵トルク13を検出するために、誘導型センサー9は、第1操舵シャフト7に接続されて磁界17に影響を与える結合要素16を含む。誘導型センサー9は、第2操舵シャフト11に接続された測定回路18をさらに含む。測定回路18は、磁界17を励起し、第2操舵シャフト11に対する第1操舵シャフト7の相対角度位置に応じて結合要素16の影響を受けて磁界17を再び検出する。測定回路18は、影響を受けた磁界17に依存する検出信号20を生成し、評価装置21に転送する。測定信号20は情報として、検出される角度位置を含むため、評価装置21は、測定信号20に基づいて2つの操舵シャフト7と11の相互の相対角度位置を決定し、これに依存する、従ってトーション要素10の弾力により操舵トルク13にも依存するセンサー信号19を出力する。よって、センサー信号19は、検出される操舵トルク13に直接依存するので、補助モータ15は、第2操舵シャフト11を旋回させるようにこの情報を直接処理することができる。
【0029】
誘導型センサー9の基本機能は、EP3865824A1に示される。本実施形態の説明の基礎となる誘導型センサー9の設計については、図2を参照して以下に詳細に説明する。
【0030】
誘導型センサーは、プリント回路基板22を含む。プリント回路基板22上に、エキサイタコイル23と、評価装置21及びこれ以上見えない発振回路を備えた集積回路24と、偏平コイルの形態の複数の受信コイル25を備えた測定回路18とが配置される。
【0031】
受信コイル25のそれぞれは、周期的に繰り返されるループ構造を形成する。本実施形態では、ループ構造は、正弦又は余弦のコースを有し、回転軸8の周りで円形セグメントの形状に配置され、互いに180°オフセットされている。各受信コイル25のループ構造は、それ自体で受信ジオメトリを形成し、これについては前述のEP3865824A1で詳細に説明されている。
【0032】
結合要素16は、回転軸8の周りで回転可能になるように測定回路18の上方に軸方向に配置され、測定回路18の受信コイル25の一部を周方向に覆っている。受信コイル25の覆われた部分は、結合要素16を回転軸8の周りで回転させることによって変更することができる。
【0033】
最も単純な場合では、プリント回路基板22は、2つの操舵シャフト7、11のうちの一方にしっかりと接続され、従ってトーション要素10とこれらの操舵シャフト7、11との間に置かれる。
【0034】
この場合、評価回路24内の発振回路は、電源線28を介して、周期的な信号でエキサイタコイル23に通電する。フィルタコンデンサ29などの部品は、電源線28に任意に配置することができる。
【0035】
EP3865824A1で詳細に説明されるように、このように通電されたエキサイタコイル23は、各受信コイル25において可動結合要素16の位置に依存する電流を受信コイル25に励起する。この点で、単一の受信コイル25の信号は、センサー信号19を生成するための測定信号20として使用することができる。しかしながら、干渉場の影響を軽減するために、測定信号20、ひいてはセンサー信号は、互いに180°オフセットされた2つの受信コイル25の信号の比較から導出される。
【0036】
プリント回路基板22を2つの操舵シャフト7、11のうちの一方に固定するにはかなりの組み立て作業が必要となるため、誘導型センサー9は、測定信号20を直接決定しない。むしろ、前述の組み立ては、プリント回路基板22の両側に配置され、図2の更なる組み立てから結合要素のみが見えるようになっている。相対角度位置の検出に必要な更なる組み立ての要素は、2つの組み立てを分離できるようにするために、以下の説明で一貫してアポストロフィで示される。従って、図2に見える更なる結合要素には、参照記号16’が付けられている。
【0037】
両方の操舵シャフト7、11がプリント回路基板22に対して可動に配置された場合、2つの操舵シャフト7、11の互いに対する上記の相対角度位置、ひいてはそれに依存する測定信号20を決定するために、更なる可動結合要素16’の位置、ひいては第2操舵シャフト11の位置を、プリント回路基板の下側にあるセンサー9の設計と同じように決定する。これにより、評価装置21は、プリント回路基板22に対する2つの操舵シャフト7、11の位置を含む。次に、これらの2つの位置の比較により、測定信号20が生成され、この測定信号20からセンサー信号19を導出することができる。
【0038】
プリント回路基板22の上側にある誘導型センサー9の部分には、更なる実施形態では参照記号29が設けられ、一方、上述の定義によれば、プリント回路基板22の下側にあるセンサー9の部分には、参照記号29’が設けられる。
【0039】
図3a~3cを参照すると、センサー9の更なる実施形態を説明する。この目的のために、図3a~3cには、更なる実施形態に関連するそれらの要素のみが示される。センサー9の他のすべての要素は変更されない。
【0040】
図3aは、プリント回路基板22の上側にある誘導型センサー9の部分29を示す。1つ目の変更点は、180°オフセットされた2つの受信コイル25がなくなり、互いに120°オフセットされた3つの受信コイル25があることである。このようにして、結合要素16の位置をより正確に検出することができる。
【0041】
3つの更なる受信コイルは、回転軸8に対して点対称に配置され、互いに120°ずれ、分離のために参照記号30が設けられる。参照記号25の受信コイルは以下、第1受信コイル25と呼ばれ、一方、参照記号30の受信コイルは、第2受信コイル30と呼ばれる。単一の受信コイル25、30のみが検出に使用されるとき、第1と第2受信コイル25、30は一緒に、上述した最も単純な場合では一対の受信コイルである受信コイル群31を形成する。受信コイル群31がより大きい場合、第1受信コイル25と第2受信コイル30は常に一対の受信コイルを形成する。
【0042】
一対の受信コイルにおいて、それぞれの第1受信コイル25とそれぞれの第2受信コイル30は、接続線26を介して互いに電気的に接触している。これは、各一対の受信コイルにおけるそれぞれの第1受信コイル25とそれぞれの第2受信コイル30が並列に接続されていることを意味する。この電気接続線26は、図3aの各一対の受信コイルに直接的な接続で描かれている。しかしながら、これは、操舵シャフト7、11及びトーション要素10が示される位置にあるため、概略的にしか理解できない。
【0043】
接続線26は、受信コイルの対の間に存在する中間空間32を通っている。しかしながら、この中間空間32は、点線で示される更なる受信コイル群31’により、図3aに示される他の目的のために使用することもできる。この更なる受信コイル群31は、プリント回路基板22の下側で組み立て29’を実行するために使用することができ、これについては後で詳しく説明する。
【0044】
受信コイル群31では、個々の受信コイル25、30が互いに電気的に分離されることが必須である。このため、受信コイル25、30は、プリント回路基板22の幾つかのレベルでガイドされ、従って個々のレベル間にビア33で前後にガイドされなければならない。これらのビア33は、図3aに小さな点の形で示され、且つ、明確にするために、すべてに参照記号が付いているわけではない。原則として、ビア33は、例えばEP3865824A1に説明されるように、必要に応じて選択することがえきる。しかしながら、本実施形態では、ビアは、受信コイル25、30の正弦と余弦のループ構造の極端に位置する。このようにして、受信コイル25、30は、丸型ケーブルの場合と同様に、平面内でねじることができる。これにより、必要なビア33を最小限に抑えるように低減する。
【0045】
図3aでは、前述の更なる受信コイル群31’は、回転軸8の円周方向に受信コイル25、30の両側に存在する前述の中間空間32に配置される。しかしながら、この更なる受信コイル群31’は、プリント回路基板22上の受信コイル群31と反対側に配置される。
【0046】
更なる受信コイル群31’は、先に説明した受信コイル群31と同じ特徴を有する。即ち、互いに対して120°ずれている3つの第1受信コイル25’、及び互いに対して120°ずれている3つの第2受信コイル30’があり、それぞれが回転軸8に対して点対称に配置される。また、更なる受信コイル群31’の受信コイル25’、30’は、互いに電気的に接続された受信コイルの対に分割される。しかしながら、明確にするために、それらの電気接続は、図3aには示されていない。
【0047】
2つの受信コイル群31、31’間の唯一の違いは、それぞれの受信コイル25、30、25’、30’のループ構造の周期性である。受信コイル25、30、25’、30’が発振回路によって駆動されるため、異なる共振周波数により、得られた受信コイル群31、31’間の意図的でないクロストークを回避することができる。
【0048】
得られた受信コイル群31、31’間の意図的でないクロストークをさらに回避するために、シールド要素34は、原則としてプリント回路基板22の両側に形成される上記の中間空間32に配置することができる。これは、見る方向が図3aに示される断面図を示す図3bと3cに示される。
【0049】
中間空間32のその他の用途は、図4aと4bに示される。
【0050】
図4aにおいて、中間空間32は、実線での受信コイル25’,30’の図により示される上述の更なる受信コイル群31’によって占められている。このようにして、誘導型センサー9に冗長性が導入され、これによって測定信号20をもっともらしいものにすることができる。
【0051】
あるいは、又はさらに、電子回路35を中間空間34に収容することもでき、これによって、他の場所で組み立て空間を取る必要がなくなる。
【0052】
最後に、受信コイル群31の構造を図5の斜視図でもう一度示す。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5
【外国語明細書】