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特開2024-121905電波散乱装置および電波散乱装置用モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121905
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】電波散乱装置および電波散乱装置用モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/14 20060101AFI20240902BHJP
   H01Q 3/44 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H01Q15/14 Z
H01Q3/44
H01Q15/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029136
(22)【出願日】2023-02-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、総務省、「アクティブ空間無線リソース制御技術に関する研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000232287
【氏名又は名称】日本電業工作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149113
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 謹矢
(72)【発明者】
【氏名】丸山 央
(72)【発明者】
【氏名】萩原 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】陸田 裕子
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA01
5J020BA06
5J020CA02
5J021AA05
5J021AA09
5J021AB06
5J021BA01
5J021DA01
5J021DA07
5J021GA02
5J021HA10
(57)【要約】
【課題】メタサーフェスによる電波散乱部において電波の散乱角度を調整可能な電波散乱装置を提供する。
【解決手段】複数の表面電極102が配列されメタサーフェスの電波散乱部100を形成する基板101と、1または複数の表面電極102ごとに設けられ、表面電極102に対応する接地電極を有する複数のモジュール110と、を備える。この複数のモジュール110は、1または複数の表面電極102に対応する1または複数の接地電極103が設けられた台座と、この台座を基板に対して進退させる進退機構としてのモータおよび伝達ギアと、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表面電極が配列されメタサーフェスの電波散乱部を形成する基板と、
1または複数の前記表面電極ごとに設けられ、当該表面電極に対応する接地電極を有する複数のモジュールと、を備え、
前記複数のモジュールは、個別に、前記接地電極と前記表面電極との間の距離を変更可能であることを特徴とする、電波散乱装置。
【請求項2】
前記モジュールは、
前記基板に対向するように前記接地電極が設けられた台座と、
前記台座を前記基板に対して進退させる進退機構と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の電波散乱装置。
【請求項3】
前記複数のモジュールは、格子状に配列されて、それぞれ前記基板に取り付けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電波散乱装置。
【請求項4】
複数の表面電極が配列されメタサーフェスの電波散乱部を形成する基板に取り付けられる複数のモジュールのうちの一つのモジュールであって、
1または複数の前記表面電極に対応する1または複数の接地電極が設けられた台座と、
前記台座を前記基板に対して進退させる進退機構と、
を備えることを特徴とする、電波散乱装置用モジュール。
【請求項5】
前記台座は、前記基板に対向し、当該基板の前記表面電極が配列された面と平行な面を有し、前記接地電極が当該面に設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の電波散乱装置用モジュール。
【請求項6】
前記台座には、複数の表面電極に対応する一つの接地電極が設けられていることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の電波散乱装置用モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波散乱装置および電波散乱装置用モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
準ミリ波帯やミリ波帯の電波のように波長が短くなると、電波の直進性が強くなる。このため、ビルなどの電波の透過に対して障壁となる障壁物があると、障壁物で遮られた部分は、電波が届きにくい不感地帯になる。不感地帯の解消には、入射した電波を散乱して電波を不感地帯に照射する電波散乱装置を用いることが有効である。電波散乱装置の一例として、メタサーフェス反射板を用いたものがある。
【0003】
特許文献1には、メタサーフェス基板と、メタサーフェス基板に対向して配置される誘電体基板と、メタサーフェス基板と誘電体基板との間の距離を調整する調整部と、を有する電波散乱装置が開示されている。また、特許文献1には、誘電体基板を、メタサーフェス基板に対して傾けた状態とすることにより反射波を偏向させることについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-114647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電波散乱装置の設置場所と不感地帯の位置や広さによっては、装置を設置する位置や向きが特定された状態で電波の散乱角度を調整可能とすることが求められる場合がある。また、電波の送受信が行われる環境によっては、不感地帯の位置や広さが時間の経過や様々な条件に応じて変化する場合があり、このような場合、電波散乱装置による電波の照射位置を不感地帯の変化に対応して制御することが求められる。
【0006】
本発明は、メタサーフェスによる電波散乱部において電波の散乱角度を調整可能な電波散乱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明は、複数の表面電極が配列されメタサーフェスの電波散乱部を形成する基板と、1または複数の表面電極ごとに設けられ、表面電極に対応する接地電極を有する複数のモジュールと、を備え、この複数のモジュールは、個別に、接地電極と表面電極との間の距離を変更可能であることを特徴とする、電波散乱装置である。
より詳細には、モジュールは、基板に対向するように接地電極が設けられた台座と、台座を基板に対して進退させる進退機構と、を備える構成としても良い。
また、複数のモジュールは、格子状に配列されて、それぞれ基板に取り付けられる構成としても良い。
また、上記の目的を達成する他の本発明は、複数の表面電極が配列されメタサーフェスの電波散乱部を形成する基板に取り付けられる複数のモジュールのうちの一つのモジュールであって、1または複数の表面電極に対応する1または複数の接地電極が設けられた台座と、この台座を基板に対して進退させる進退機構と、を備えることを特徴とする、電波散乱装置用モジュールである。
より詳細には、台座は、基板に対向し、この基板の表面電極が配列された面と平行な面を有し、接地電極が当該面に設けられる構成としても良い。
また、台座には、複数の表面電極に対応する一つの接地電極が設けられる構成としても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メタサーフェスによる電波散乱部において電波の散乱角度を調整可能な電波散乱装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電波散乱装置により不感地帯を解消する概念を説明する図であり、図1(A)は、障壁物により生じる不感地帯を電波散乱装置により解消する様子を説明する図、図1(B)は、電波散乱装置による散乱方向を説明する図である。
図2】電波散乱装置で散乱させた散乱ビームの一例を示す図であり、図2(A)は、V(垂直)偏波を示す図、図2(B)は、H(水平)偏波を示す図、図2(C)は、図2(A)、(B)の電波散乱装置を4倍の面積にした電波散乱装置でのV偏波を示す図である。
図3】電波散乱装置の電波散乱部を構成するセルの一例を説明する図であり、図3(A)は、平面図、図3(B)は、断面図、図3(C)は、パラメータとその値を示す図である。
図4】電波散乱部の散乱角θを設定する方法を説明する図である。
図5】電波散乱装置における基板と接地電極との間の距離の可変構造を示す図であり、図5(A)は基板と接地電極との間の距離を一定にした状態を示す図、図5(B)は基板と接地電極との間の距離を段階的に変化させた状態を示す図、図5(C)は基板と接地電極との間の距離を、図5(B)とは反対の態様で段階的に変化させた状態を示す図である。
図6図6は、図5(B)の部分Vの拡大図である。
図7】電波散乱装置における基板と接地電極との距離と反射波位相との関係を示す図である。
図8】電波散乱装置を表側から見た斜視図である。
図9】電波散乱装置を裏側から見た斜視図である。
図10図8および図9に示す電波散乱装置の基板における表面電極の配置例を示す図である。
図11】モジュールを前側から見た斜視図である。
図12】モジュールを後側から見た斜視図である。
図13】基板と接地電極との間の距離による電波の散乱パターンへの影響を示す図であり、図13(A)は各ブロックにおける基板と接地電極との間の距離を一定とした状態を示す図、図13(B)は図13(A)の状態の電波散乱部による散乱パターンを示す図である。
図14】基板と接地電極との間の距離による電波の散乱パターンへの影響を示す図であり、図14(A)は各ブロックにおける基板と接地電極との間の距離を変動させた状態を示す図、図14(B)は図14(A)の状態の電波散乱部による散乱パターンを示す図である。
図15】1個の表面電極を一つのブロックとした場合の電波散乱装置の外観を示す図であり、電波散乱装置を表側から見た斜視図である。
図16】1個の表面電極を一つのブロックとした場合の電波散乱装置の外観を示す図であり、電波散乱装置を裏側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<電波散乱装置の概要>
図1は、電波散乱装置により不感地帯を解消する概念を説明する図である。図1(A)は、障壁物により生じる不感地帯を電波散乱装置により解消する様子を説明する図、図1(B)は、電波散乱装置による散乱方向を説明する図である。
【0011】
図1(A)に示すように、地表1上に3つのビル3(区別する場合は、ビル3a、3b、3c)が並列して設けられている場合を考える。ビル3aの屋上に電波を送受信する基地局アンテナ2が設けられている。図1(A)では、基地局アンテナ2は、地表1に垂直に配置された複数のアンテナ(放射素子)で構成されたアレイアンテナとして図示されている。そして、ビル3cの屋上に電波散乱装置10(区別する場合には、電波散乱装置10a、10b、10c)が設けられている。電波散乱装置10は、基地局アンテナ2が見通せる位置に設けられている。つまり、基地局アンテナ2が、準ミリ波帯やミリ波帯のように波長が短い電波を送受信する場合であっても、基地局アンテナ2からの電波は、直接電波散乱装置10に入射する。
【0012】
まず、ビル3cの屋上に電波散乱装置10が設けられていないとする。基地局アンテナ2が、準ミリ波帯やミリ波帯のように波長が短い電波を送受信する場合、ビル3bが電波の透過に対する障壁物となる。このため、基地局アンテナ2から送信された電波は、直接には、ビル3bとビル3cとの間の地表1上に届かない。つまり、地表1におけるビル3bとビル3cとの間の部分は、不感地帯となる。
【0013】
ここで、図1(A)のようにビル3cの屋上に電波散乱装置10を設けると、基地局アンテナ2からの電波は、電波散乱装置10により散乱され、散乱ビームがビル3bとビル3cとの間の不感地帯に照射される。電波散乱装置10を設けることで、電波散乱装置10が設けられない場合に発生するビル3bとビル3cとの間の不感地帯が解消される。
【0014】
図1(B)では、基地局アンテナ2は、放射素子がマトリクス状に配列されたアレイアンテナとして示されている。ここでは、基地局アンテナ2と携帯端末4との間で電波を送受信する。図1(B)に示すように、基地局アンテナ2と携帯端末4との間には、電波の透過に対して障壁となるビル3が存在する。このため、基地局アンテナ2から携帯端末4の方向に直線的に入射するように進む入射ビーム11aは、ビル3が障壁物となって、携帯端末4に届かない(図では、届かないことをバツ印「×」で示している)。
【0015】
一方、基地局アンテナ2から入射する入射ビーム11bが電波散乱装置10で散乱されると、散乱によって生成された散乱ビーム12aが携帯端末4に届く。ここでは、電波散乱装置10には入射ビーム11bが入射角αで入射し、入射角αと異なる散乱角θで散乱ビーム12aが出射する(α≠θ)。なお、電波散乱装置10が鏡面反射する場合には、散乱ビーム12bは、散乱角αで出射する。図1(B)に示す例において、電波散乱装置10が鏡面反射すると、図中の破線の矢印で示す方向に散乱ビーム12bが生じる。このため、電波は、携帯端末4に届かない。このように、電波散乱装置10が入射角αと異なる散乱角θで電波を散乱するように設定すると、電波散乱装置10の設計が容易になる。
【0016】
本明細書では、電波を散乱させて出射することから、電波散乱装置と表記するが、電波を反射させて出射するとして、電波反射装置としても良い。また、電波散乱装置により散乱されることから散乱ビームと表記するが、反射ビームとしても良い。また、電波散乱装置の垂線方向に対する散乱ビームが出射する角度を散乱角、又は散乱角度と表記するが、反射角、又は反射角度としても良い。
【0017】
図2は、電波散乱装置10で散乱させた散乱ビーム12の一例を示す図である。図2(A)は、V(垂直)偏波を示す図、図2(B)は、H(水平)偏波を示す図、図2(C)は、図2(A)、(B)の電波散乱装置10を4倍の面積にした電波散乱装置10′でのV偏波を示す図である。なお、図2(A)、(B)、(C)では、紙面の上側に斜視図を示し、紙面の下側に散乱ビーム12の強度を極座標で示す。斜視図において、図示するようにx方向、y方向およびz方向を設定する。極座標において、紙面に対して、右方向が-x方向、左方向が+x方向、上方向が+z方向である。なお、散乱ビームの強度は、シミュレーションによって求めた。
【0018】
ここでは、電波散乱装置10は、平面形状が長手方向と短手方向とを有する四角形であって、後述するセル#がマトリクス状に配列されたメタサーフェスである。ここで、四角形の長手方向をx方向とし、短手方向をy方向とし、四角形の面に垂直な方向をz方向とする。図示するように、z軸からx軸に向かう角度をη、z軸からy軸に向かう角度をζとする。ここでは、電波散乱装置10に入射する入射ビーム(図1(B)における入射ビーム11bに相当)は、角度ηを0度、角度ζを20度に設定されている。つまり、入射ビームは、yz面にあって、z軸からy軸側に20度傾いている。一方、散乱ビーム12は、角度ηを45度、角度ζを0度に設定に設定されている。つまり、散乱ビーム12は、xz面において、z軸からx軸側に45度傾いている。また、電波は、28GHzである。なお、V偏波は、y方向に電界が振動する偏波であり、H偏波は、x方向に電界が振動する偏波である。
【0019】
図2(A)に示すように、V偏波は、xz面において45度(角度η=45度、角度ζ=0度)方向に散乱ビーム12が発生している。そして、散乱ビーム幅は、8度である。同様に、図2(B)に示すように、H偏波は、xz面において45度(角度η=45度、角度ζ=0度)方向に散乱ビーム12が発生している。そして、散乱ビーム幅は、8度である。つまり、電波散乱装置10は、V偏波とH偏波とに対して同様な散乱特性を有している。ここでの散乱ビーム幅は、-3dBにおける幅である。
【0020】
図2(C)に示す電波散乱装置10′は、図2(A)、(B)に示した電波散乱装置10を4個配列して構成されている。つまり、面積が4倍となっている。なお、電波散乱装置10′を構成する4個の電波散乱装置10間においては、後述する位相の補正を行っていない。図2(C)に示す電波散乱装置10′では、散乱ビーム12′におけるV偏波のピーク強度は、図2(A)に示した電波散乱装置10の散乱ビーム12のピーク強度より大きい。しかし、散乱ビーム12′の散乱ビーム幅は、4度であって、図2(A)に示した電波散乱装置10の散乱ビーム12の散乱ビーム幅(8度)に比べ狭くなっている。つまり、電波散乱装置10の面積を大きくすると、散乱ビーム幅は逆に狭くなる。
【0021】
以上説明したように、電波散乱装置10は、電波散乱装置10′のように面積を広げても、散乱ビーム幅は広くならない。よって、より広く不感地帯を解消しようとすると、図1(A)に示したように、散乱ビーム幅が狭くならない間隔で複数の電波散乱装置10を配置されている。
【0022】
<電波散乱部の構成>
次に、電波散乱装置10に設けられる電波散乱部の構成について説明する。電波散乱装置10は、入射した電波を散乱させ、入射角とは異なる散乱角で出射する電波散乱部を有する。電波散乱部は、セル#がマトリクス状に配列されたメタサーフェスにより構成される。
【0023】
図3は、電波散乱装置10の電波散乱部を構成するセル#の一例を説明する図である。図3(A)は、平面図、図3(B)は、断面図、図3(C)は、パラメータとその値である。図3(A)において、紙面の右方向をx方向、紙面の上方向をy方向、紙面の表方向をz方向とする。図3(B)において、紙面の右方向をx方向、紙面の上方向をz方向、紙面の裏方向をy方向とする。
【0024】
図3(A)に示す例において、セル#は、平面形状が一辺長Dの正方形である。セル#は、一辺長Dをピッチとしてx方向およびy方向に配列されている。以下では、セル#は、ピッチDで配列されているとして説明する。例えば、図3(C)に示すように、周波数2.45GHzにおいて、一辺長D(ピッチD)は、50mmに設定されている。50mmは、周波数2.45GHzの波長λの0.408倍に対応する(0.408λ)。なお、一辺長D(ピッチD)の具体的な値は、周波数などに応じて設定されれば良く、他の値であっても良い。一例として、図3に示す例では、Dの選択基準を、
D/λ<1/(1+sinθ)
としている。ここで、θは散乱角度である。
【0025】
図3(B)に示すように、セル#は、基板101と、基板101の表面側(+z方向側)に設けられた十字ダイポールの表面電極102と、基板101の裏面側(-z方向側)に配置された接地電極103とを備えている。接地電極103は、基板101の裏面から距離hを離隔させて設けられており、接地電位(GND)に設定される。
【0026】
基板101は、誘電体基板である。図3(C)に示す例では、比誘電率εr1が3.3、厚さtが1.53mm(周波数2.45GHzの場合で0.012λ)である。比誘電率εr1および厚さtは、他の値であっても良い。表面電極102および接地電極103は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの導電性材料で構成されても良い。
【0027】
本実施形態において、セル#は、基板101と接地電極103との間の距離hを変動可能に構成される。図3(C)に示す例では、距離hは、0mm(基板101と接地電極103とが接触)~15mm(周波数2.45GHzの場合で0λ~0.123λ)の範囲で、2.5mm(0.02λ)ごとに可変となっている。基板101と接地電極103との間には空気(Air)が介在するので、比誘電率εr2は1である。なお、距離hの変動範囲および変動単位は、周波数などに応じて設定されれば良く、他の値であっても良い。
【0028】
表面電極102は、V偏波およびH偏波にそれぞれ対応する十字ダイポールである。この十字ダイポールは、全体の長さがl、十字部分の幅がwである。図3(C)に示す例では、幅wは、10mm(周波数2.45GHzの場合で0.082λ)である。なお、長さlおよび幅wの具体的な値は、周波数などに応じて設定されれば良く、他の値であっても良い。十字ダイポールにおいて、長さlや幅wを変更することにより、散乱角に影響を及ぼす位相差φを制御することができる。以下の説明において、位相差を位相と表記することがある。図3に示す例では、セル#の表面電極102を十字ダイポールであるとして説明したが、他の形状であっても良い。セル#の表面電極102の平面形状は、例えば、四角形、円形、リング状などの他の形状であっても良い。
【0029】
図4は、電波散乱部の散乱角θを設定する方法を説明する図である。図4において、紙面の右方向がx方向、紙面の上方向がz方向である。図4では、マトリクス状に並ぶセル#の配列における1列分(x方向)のセル#を示している。
【0030】
セル#(1,1~j)は、x方向にピッチDで配列されている。そして、セル#の配列に対して垂直方向(-z方向)から電波が入射し、xz面内において散乱ビーム22がz軸からx軸側に向かって角度θ傾いた方向に散乱されるとする。図2(A)に示したz軸からx軸に向かう角度ηが角度θの場合に相当する。なお、散乱ビーム22の角度θを散乱角θと表記する。この場合、各セル#間の位相差がφになるように設定すれば良い。つまり、セル#(1,1)の位相が0、セル#(1,2)の位相が-φ、セル#(1,3)の位相が-2φ、セル#(1,4)の位相が-3φ、セル#(1,j)の位相が-(j-1)φとなるようにすれば良い。
【0031】
散乱角θを得るために設定される各セル#間の位相差φは、
φ=k・D・sinθ (1)
で表される。なお、kは、波数で2π/λである。ここで、λは、波長である。つまり、隣接するセル#間において、式(1)で設定される位相差φが生じるようにセル#を設定する。
【0032】
なお、図4では、x方向に配列されたセル#で説明したが、y方向に配列されたセル#に対しても同様にして位相差を設定することができる。また、x方向とy方向とでセル#間の位相差を設定すると、xz面以外の方向に散乱角θを設定できる。ここでは、セル#の配列に対して、垂直に電波が入射する場合を説明したが、セル#の配列に斜めに電波が入射する場合についても、同様な方法により位相差φを設定すれば良い。このように、予め設定された位相差でセル#を配列して散乱角θを設定した電波散乱部は、リフレクトアレイと呼ばれることがある。
【0033】
<散乱角の制御>
次に、基板101と接地電極103との間の距離hを変更することによる散乱角の制御について説明する。電波散乱装置10の電波散乱部は、上述したセル#がマトリクス状に配列されて構成されている。電波散乱部の形状や大きさは、操作対象の電波の周波数や装置の設置環境等に応じて様々に設定し得る。詳しくは後述するが、電波散乱装置10は、電波散乱部を1または複数のセル#を含むブロックに分け、このブロックごとに、基板101と接地電極103との間の距離hを変動可能としている。電波散乱装置10は、ブロックごとに基板101と接地電極103との間の距離hを個別に設定することにより、各ブロックにおける位相差φを調整し、これにより電波散乱部の散乱角を制御する。
【0034】
図5は、電波散乱部における基板101と接地電極103との間の距離hの可変構造を示す図である。図5(A)は基板101と接地電極103との間の距離hを一定にした状態を示す図、図5(B)は基板101と接地電極103との間の距離hを段階的に変化させた状態を示す図、図5(C)は基板101と接地電極103との間の距離hを、図5(B)とは反対の態様で段階的に変化させた状態を示す図である。
【0035】
図5(A)~(C)において、紙面の右方向がx方向、紙面の上方向がz方向である。図5(A)~(C)では、電波散乱部100においてマトリクス状に並ぶセル#の配列における1列分(x方向)のセル#を示している。また、図5(A)~(C)に示す例では、x方向に並ぶ2個のセル#(y方向を考慮すると2列分のセル#)を1ブロックとして基板101と接地電極103との距離hを制御する。図5(A)~(C)において、セル#の配列に対して垂直方向(-z方向)から電波が入射し、xz面内において散乱ビームがz軸からx軸側に向かって傾いた方向に散乱されるとする。なお、図5(A)~(C)では、接地電極103に対してブロックを識別する符号U1~U7を付しているが、ブロックには、各符号U1~U7を付した接地電極103と、この接地電極103に対応する位置の基板101および表面電極102とが含まれる(図6参照)。
【0036】
図5(A)に示す例では、各ブロック(U1~U7)において基板101と接地電極103との距離hが一定となっている。各セル#は、この状態で散乱角がθとなるように設定されているものとする。図5(B)に示す例では、セル#が配列された電波散乱部100の一端から他端まで、x方向に沿って紙面の右方へ向かうにしたがって、ブロックごとに基板101と接地電極103との距離hが段階的に小さくなっている。すなわち、ブロックU1→U2→U3→U4→U5→U6→U7の順に、距離hが小さくなっている。この状態では、散乱角は、図5(A)の場合よりも小さい角度(θ-α)となる。図5(C)に示す例では、x方向に沿って紙面の右方へ向かうにしたがって、ブロックごとに基板101と接地電極103との距離hが段階的に大きくなっている。すなわち、ブロックU1→U2→U3→U4→U5→U6→U7の順に、距離hが大きくなっている。この状態では、散乱角は、図5(A)の場合よりも大きい角度(θ+α)となる。
【0037】
図6は、図5(B)の部分Vの拡大図である。図6に示すように、各ブロック(図6では、ブロックU1とブロックU2)における基板101と接地電極103との距離hを異ならせることにより、ブロックごとの散乱ビームにおける波(以下、「反射波」と呼ぶ)の位相が異なることとなる。具体的には、基板101と接地電極103との距離hが大きい方が、反射波の位相が遅れる。このため、基板101と接地電極103との距離hを設定した場合、セル#自身の設定により特定される散乱角θ(図5(A)参照)に対し、紙面における左側のブロックほど反射波の位相が遅れることとなり、散乱角がθよりも小さくなる。
【0038】
なお、図5および図6に示す例では、1列(x方向)に2個のセル#を含んで1ブロックとする構成について説明したが、1ブロックに含むセル#の数や電波散乱装置10におけるブロックの分割方法は、後述するモジュールの構成により特定され、上記の例には限定されない。
【0039】
<基板と接地電極との距離と、反射波位相との関係>
図7は、電波散乱装置10における基板101と接地電極103との距離hと反射波位相との関係を示す図である。図7に示す例では、表面電極102の十字ダイポール(図3参照)における長さl=10~50のセル#を配列した電波散乱装置10において、基板101と接地電極103との距離hを0mmから15mmまで2.5mmごとに段階的に変化させた場合の反射波位相が示されている。図7では、表面電極102を構成する十字ダイポールの長さl(図では、「Length l of Crossed-Dipole」と記載)を横軸にとり、反射波位相(図では「Reflection Phase」と記載)を縦軸にとり、各距離hの場合の特性を異なる線種で示している。
【0040】
一例として、長さl=15mmの場合における各距離hでの反射波位相を参照すると、距離h=0mmのときの反射波位相が約170度、距離h=15mmのときの反射波位相が約60度であり、距離hが2.5mm変わるごとに反射波位相が20度ほど変化している。このようにして、ブロックごとに、基板101と接地電極103との間の距離hを段階的に変化させることにより、反射波位相を段階的に変化させ、電波散乱装置10における散乱角を制御することができる。
【0041】
<電波散乱装置の構成>
次に、電波散乱装置10の構成を説明する。電波散乱装置10の電波散乱部100は、1または複数のセル#を含むブロックに分けられており、このブロックごとに、基板101と接地電極103との間の距離hを変動可能とする機構が設けられている。
【0042】
図8および図9は、電波散乱装置10の外観を示す図である。電波散乱装置10において、基板101の表面電極102が配置された側を表側とし、反対側を裏側とする。この場合、図8は、電波散乱装置10を表側から見た斜視図である。図9は、電波散乱装置10を裏側から見た斜視図である。図8および図9に示す電波散乱装置10は、5GHz帯や6GHz帯の電波に対応する電波散乱装置10の構成例である。
【0043】
図8および図9に示すように、電波散乱装置10は、複数の表面電極102が配列され基板101と、基板101の裏側に取り付けられた複数のモジュール110とを備える。図8および図9に示す例では、16個(4行×4列)のモジュール110が格子状に並べて基板101に取り付けられている。図8および図9には示されていないが、各モジュール110には、表面電極102に対応する接地電極103が設けられている。また、各モジュール110は、接地電極103を基板101に対して進退させる進退機構を備えている。
【0044】
図10は、図8および図9に示す電波散乱装置10の基板101における表面電極102の配置例を示す図である。図10に示す例では、略正方形の基板101の表側の面に、64個(8行×8列)の表面電極102が格子状に並べて配置されている。ここで、電波散乱部100において所望の散乱角(例えば、図5を参照して説明した散乱角θ)を得るために、個々の表面電極102の反射波の位相(以下、「反射位相」と呼ぶ)が個別に設定される。各表面電極102の反射位相は、図3を参照して説明した表面電極102におけるV偏波方向およびH偏波方向における各々の長さlおよび幅wを個別に設定することにより、特定される。このため、図10に示す例では、個々の表面電極102の十字ダイポールの形状は、各偏波方向の長さlおよび幅wがそれぞれ異なっている。
【0045】
図10において、基板101には、破線でブロックが示されている。図示の例では、基板101が16(4行×4列)のブロックに分けられており、各ブロックには4個(2行×2列)の表面電極102が割り当てられている。図8乃至図10を対比すると、基板101に取り付けられた複数のモジュール110における個々のモジュール110が、図10に示す各ブロックに対応している。
【0046】
図11および図12は、モジュール110の外観を示す図である。モジュール110において、基板101に取り付けられた際に基板101に対向する側を前側とし、反対側を後側とする。この場合、図11は、モジュール110を前側から見た斜視図である。図12は、モジュール110を後側から見た斜視図である。
【0047】
モジュール110は、台座111と、フレーム112と、スペーサ113と、モータ114と、伝達ギア115とを備える。台座111は、接地電極103を支持する部材である。台座111は、基板101の表面電極102が設けられた面と平行な面を有し、この面に、接地電極103が設けられている。図11に示す例では、台座111に一つの接地電極103が設けられている。したがって、この構成では、一つのブロックに含まれる4個の表面電極102に対し、モジュール110の台座111に設けられた一つの接地電極103が対応している。これに対し、一つの台座111に、複数の表面電極102にそれぞれ対応する複数の接地電極103を設ける構成としても良い。
【0048】
フレーム112は、モジュール110の各部材が取り付けられる枠体である。スペーサ113は、フレーム112が基板101との間に一定の距離を保つようにフレーム112を位置決めする部材である。モジュール110は、例えば、スペーサ113の先端を基板101の裏側面に接触させ、基板101の表側面からスペーサ113をビス止めすることにより、基板101に対して固定される。
【0049】
モータ114は、台座111を基板101に対して進退させるための駆動力を与える動力源である。伝達ギア115は、モータ114の回転動作を、基板101に対して直角な直線方向の動作に変換して台座111に伝達する部材である。伝達ギア115としては、例えば、ラック・アンド・ピニオン等が用いられる。モータ114および伝達ギア115は、進退機構の一例である。
【0050】
上記のように、電波散乱装置10は、個々のモジュール110が、それぞれ個別に進退機構としてのモータ114および伝達ギア115を備える。これにより、電波散乱装置10は、ブロックごとに、表面電極102が配置された基板101と接地電極103との間の距離を変更することが可能となる。そして、電波散乱装置10は、ブロックごとの反射位相を動的に制御することが可能となる。
【0051】
<基板と接地電極との距離の制御と、電波の散乱パターンとの関係>
図13および図14は、基板101と接地電極103との間の距離による電波の散乱パターンへの影響を示す図である。図13(A)は各ブロックにおける基板101と接地電極103との間の距離を一定とした状態を示す図、図13(B)は図13(A)の状態の電波散乱部100による散乱パターンを示す図である。図14(A)は各ブロックにおける基板101と接地電極103との間の距離を変動させた状態を示す図、図14(B)は図14(A)の状態の電波散乱部100による散乱パターンを示す図である。
【0052】
図13および図14に示す例では、図10を参照して説明したように、電波散乱部100に対してブロックが設定されている。ここで、各ブロックを、番号を付して区別する。番号は、二つの数字とし、表側から見た基板101において、左から数えた列数を左の数字、上から数えた行数を右の数字とする。図13(A)、14(A)に示す例では、左上隅のブロックをブロック11とし、1行目(最上段)の各ブロックを左から右へ順に11、21、31、41、2行目の各ブロックを左から右へ順に12、22、32、42、3行目の各ブロックを左から右へ順に13、23、33、43、4行目の各ブロックを左から右へ順に14、24、34、44としている。
【0053】
図13(A)では、全てのブロックにおいて、基板101と接地電極103との間の距離を3.5mmとしている。一方、図14(A)では、ブロックごとに基板101と接地電極103との間の距離が異なっている。具体的には、
ブロック11が3.5mm、
ブロック21および12が4.5mm、
ブロック31、22および13が5.5mm、
ブロック41、32、23および14が6.5mm、
ブロック42、33および24が7.5mm、
ブロック43および34が8.5mm、
ブロック44が9.5mm
となっている。すなわち、図14(A)では、左上のブロックから右下のブロックへ向かって斜めに、次第に基板101と接地電極103との間の距離が大きくなるように設定されている。
【0054】
図13(B)と図14(B)とを比較すると、基板101と接地電極103との間の距離が一定である図13(A)の場合と、上記のようにブロックごとにおける基板101と接地電極103との間の距離が設定された図14(A)の場合とで、電波散乱部100の散乱パターンが異なっていることがわかる。このように、ブロックごとに基板101と接地電極103との間の距離を変動させることにより、電波散乱部100の特性を動的に変更することができる。
【0055】
<電波散乱装置の他の構成例>
図8~10、13、14を参照して説明した構成例では、電波散乱部100を、4個(2行×2列)の表面電極102を含むブロックに分けた。ここで、基板101と接地電極103との距離hを変動させて電波散乱装置10の散乱角を制御する観点では、1ブロックのセル#の個数が少ないほど散乱角の制御における精度を向上させ得る。そこで、1個の表面電極102を一つのブロックとして、基板101と接地電極103との間の距離を制御しても良い。
【0056】
図8~10、13、14を参照して説明した構成例では、5GHz帯や6GHz帯の電波に対応する電波散乱装置10を想定した。これに対し、例えば、2.4GHz帯の電波に対応する電波散乱装置10を想定する。この場合、電波の波長に応じて表面電極102の十字ダイポールのサイズ(長さlおよび幅w)が大きくなるので、基板101に対し、1個の表面電極102ごとにモジュール110を取り付けることが実現しやすくなる。
【0057】
図15および図16は、1個の表面電極102を一つのブロックとした場合の電波散乱装置10の外観を示す図である。図15は、電波散乱装置10を表側から見た斜視図である。図16は、電波散乱装置10を裏側から見た斜視図である。図15および図16に示す電波散乱装置10は、2.4GHz帯の電波に対応する電波散乱装置10の構成例である。図15において、適用対象となる電波の周波数が異なるため、基板101に配置される各表面電極102の十字ダイポールの形状が、図8に示した電波散乱装置10における対応する位置の各表面電極102の十字ダイポールの形状と異なっている。
【0058】
図15および図16に示す例では、表面電極102に対して1対1で対応する64個(8行×8列)のモジュール110が格子状に並べて基板101に取り付けられている。図15および図16には示されていないが、各モジュール110には、表面電極102に1対1で対応する接地電極103が設けられている。また、各モジュール110は、接地電極103を基板101に対して進退させる進退機構を備えている。したがって、図15および図16に示す電波散乱装置10は、個々の表面電極102ごとに、表面電極102が配置された基板101と接地電極103との間の距離を変更することが可能となる。そして、電波散乱装置10は、個々の表面電極102ごとの反射位相を動的に制御することが可能となる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。例えば、上記の実施形態では、基板101に配列される表面電極102の数を64個(8行×8列)としたが、これに限定しない。各表面電極102の十字ダイポールの形状は、基板101に配列される表面電極102の数や配置、求める散乱角などに応じて個別に設定される。また、上記の実施形態では、各ブロックを同じ大きさとしたが、設定しようとする散乱角や反射波特性によっては、ブロックごとに異なる大きさとしても良い。この場合、ブロックの大きさに対応して異なるサイズのモジュール110が設けられる。その他、本発明の技術思想の範囲から逸脱しない様々な変更や構成の代替は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10…電波散乱装置、100…電波散乱部、101…基板、102…表面電極、103…接地電極、110…モジュール、111…台座、112…フレーム、113…スペーサ、114…モータ、115…伝達ギア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図16