(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121914
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】流量センサ
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20220101AFI20240902BHJP
【FI】
G01F1/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029148
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川中 政嗣
(72)【発明者】
【氏名】松本 智也
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CA03
2F030CB02
2F030CC11
2F030CD17
2F030CE09
2F030CE17
2F030CE22
2F030CE25
2F030CE26
(57)【要約】
【課題】流体のリーク量を削減するだけではなく、削減したリーク量をユーザが容易に確認可能な流量センサを提供する。
【解決手段】流量センサ1は、流体の流路を形成する配管における流体の流量に応じた測定信号を生成する流量測定素子30と、配管に設けられ、当該配管における流体の流路を開閉する弁と、弁が開であって、流体のリーク状態において、流量測定素子30により生成する測定信号に基づく流量をリーク流量として取得するリーク量取得部52aと、弁が閉である期間とリーク量取得部52aにより取得したリーク流量とに基づいてリーク防止量を演算する演算部53とを備えている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路を形成する配管と、
前記配管における流体の流量に応じた測定信号を生成する流量測定素子と、
前記配管に設けられ、当該配管における流体の流路を開閉する弁と、
前記弁が開であって、流体のリーク状態において、前記流量測定素子により生成する測定信号に基づく流量をリーク流量として取得するリーク量取得部と、
前記弁が閉である期間と前記リーク量取得部により取得したリーク流量とに基づいてリーク防止量を演算する演算部と、を備える流量センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の流量センサにおいて、
前記リーク量取得部は、前記弁が開から閉にされるときの瞬間流量値を瞬間リーク流量として取得し、
前記演算部は、前記瞬間リーク流量を前記弁が閉である期間分だけ積算することによって前記リーク防止量とする、流量センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の流量センサにおいて、
前記演算部は、前記弁が開である場合、前記瞬間リーク流量を前記弁が開である期間分だけ積算することによって前記弁が開状態にあるときの前記リーク流量とする、流量センサ。
【請求項4】
請求項2に記載の流量センサにおいて、
前記弁を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記弁が開である時に前記リーク量取得部によって取得された前記瞬間流量値が所定の間、リーク判定閾値を下回った場合に、前記弁を閉にする、流量センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の流量センサにおいて、
前記リーク量取得部は、前記配管が接続される流体機器の停止時に前記流量測定素子により生成する測定信号に基づく流量を所定期間取得して平均化した流量を前記リーク流量として取得し、取得した前記リーク流量よりも高い値を前記リーク判定閾値として自動設定する、流量センサ。
【請求項6】
請求項1に記載の流量センサにおいて、
前記演算部は、測定開始信号及び測定終了信号の受信を受付可能に構成され、前記測定開始信号の受信時から前記測定終了信号の受信時までの間、前記リーク防止量を演算する、流量センサ。
【請求項7】
請求項6に記載の流量センサにおいて、
前記配管は製造装置に供給される流体の流路を形成しており、
前記製造装置で消費された電力量を取得する電力量取得部をさらに備え、
前記演算部は、前記流量測定素子により生成する測定信号に基づく流量を、前記測定開始信号の受信時から前記測定終了信号の受信時までの間だけ積算して積算流体量とし、前記電力量取得部で取得された電力量を、前記測定開始信号の受信時から前記測定終了信号の受信時までの間だけ積算することで積算電力量とし、前記積算流体量及び前記積算電力量をそれぞれ前記製造装置で製造された製品の個数で割ることによって製品一個あたりの製造に使用された流体量及び電力量を演算する、流量センサ。
【請求項8】
請求項1に記載の流量センサにおいて、
前記演算部で演算された前記リーク防止量を表示する表示部を備えている、流量センサ。
【請求項9】
請求項8に記載の流量センサにおいて、
前記演算部は、前記流量測定素子により生成する測定信号に基づく流量を所定期間だけ積算して積算流体量とし、
前記表示部には、前記積算流体量と前記リーク防止量とが同一画面に組み込まれて表示される、流量センサ。
【請求項10】
請求項9に記載の流量センサにおいて、
前記表示部には、前記積算流体量と前記リーク防止量とを合わせた総流体量が表示される、流量センサ。
【請求項11】
請求項10に記載の流量センサにおいて、
前記演算部は、流体の流量を、当該流量を供給する際に発生した二酸化炭素排出量に換算するための換算係数によって前記二酸化炭素排出量に換算し、
前記表示部には、前記演算部で換算された前記二酸化炭素排出量が表示される、流量センサ。
【請求項12】
請求項10に記載の流量センサにおいて、
前記演算部は、流体の流量を、当該流量を供給するのに要した金額に換算するための換算係数によって前記金額に換算し、
前記表示部には、前記演算部で換算された前記金額が表示される、流量センサ。
【請求項13】
請求項8に記載の流量センサにおいて、
前記表示部には、前記流量測定素子により生成する測定信号に基づく流量がリアルタイムで表示される、流量センサ。
【請求項14】
請求項13に記載の流量センサにおいて、
前記表示部には、前記流量測定素子により生成する測定信号に基づく流量の変化が時系列で表示される、流量センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空圧機器に接続された配管内を流通する作動気体の流量を測定可能な流量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば各種製品を製造する製造現場では空圧機器が使用されている。一般的に、空圧機器には圧縮空気が供給される配管が接続されており、この配管には、圧縮空気の供給元が接続されている。
【0003】
特許文献1には、空圧機器の不使用期間中に測定した流量をリーク量として取得し、取得したリーク量に基づいて空圧機器の使用期間中及び不使用期間中のリーク積算量をそれぞれ算出可能に構成された流量センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、世界的にカーボンニュートラルに向けた取り組みが活発化しており、エネルギー消費量を把握して削減し、その結果を確認することの要求が高まっている。製造現場で使用される圧縮空気は、製造現場における全エネルギー消費量の大きな割合を占めており、この圧縮空気のリーク量を削減することで、エネルギー消費量の削減が可能になる。
【0006】
この点、特許文献1の流量センサは、リーク積算量を空圧機器の使用期間中及び不使用期間中のそれぞれについて算出可能であるが、リーク量を削減可能な流量センサとはなっていない。
【0007】
そこで、流量センサにシャットオフバルブを設けておき、外部からの信号入力または流量閾値による制御によって空圧機器の不使用期間中にシャットオフバルブを閉に切り替えることでリーク量を削減することが考えられる。
【0008】
しかしながら、シャットオフバルブを閉に切り替えるだけでは、リーク量がどの程度削減されたのかを把握することができず、上述したエネルギーの削減の結果を確認したいという要求を満たすことはできない。
【0009】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、流体のリーク量を削減するだけではなく、削減したリーク量をユーザが容易に確認可能な流量センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本態様に係る流量センサは、流体の流路を形成する配管と、前記配管における流体の流量に応じた測定信号を生成する流量測定素子と、前記配管に設けられ、当該配管における流体の流路を開閉する弁と、前記弁が開であって、流体のリーク状態において、前記流量測定素子により生成する測定信号に基づく流量をリーク流量として取得するリーク量取得部と、前記弁が閉である期間と前記リーク量取得部により取得したリーク流量とに基づいてリーク防止量を演算する演算部と、を備えている。
【0011】
この構成によれば、流量測定素子が生成した測定信号に基づいて配管における流体の流量を取得することができる。流体のリーク状態で測定された流量がリーク流量であるが、弁を閉にして流路を閉じることで、その期間内でリークが防止され、リーク量の削減が可能になる。よって、弁が閉である期間と、リーク流量とに基づくことで、リークせずに済んだ量、即ちリーク防止量の把握が可能になる。
【0012】
前記リーク量取得部は、前記弁が開から閉にされるときの瞬間流量値を瞬間リーク流量として取得してもよい。この場合、前記演算部は、前記瞬間リーク流量を前記弁が閉である期間分だけ積算することによって前記リーク防止量とすることができる。
【0013】
前記演算部は、前記弁が開である場合、前記瞬間リーク流量を前記弁が開である期間分だけ積算することによって前記弁が開状態にあるときの前記リーク量としてもよい。
【0014】
前記流量センサは、前記弁を制御する制御部を備えていてもよい。この場合、前記制御部は、前記弁が開である時に前記リーク量取得部によって取得された前記瞬間流量値が所定の間、リーク判定閾値を下回った場合に、前記弁を閉にするように制御する。これにより、製造装置が不使用状態にあるときの流体のリークを自動的に防止することができる。
【0015】
前記リーク量取得部は、前記配管が接続される流体機器の停止時に前記流量測定素子により生成する測定信号に基づく流量を所定期間取得して平均化した流量を前記リーク流量として取得し、取得した前記リーク流量よりも高い値を前記リーク判定閾値として自動設定することができる。これにより、外部のコントローラ等を用いることなく、流量センサによってリーク判定閾値を設定できる。
【0016】
前記演算部は、測定開始信号及び測定終了信号の受信を受付可能に構成され、前記測定開始信号の受信時から前記測定終了信号の受信時までの間、前記リーク防止量を演算することもできる。
【0017】
例えば、前記配管は製造装置に供給される流体の流路を形成していてもよく、この場合、前記製造装置で消費された電力量を取得する電力量取得部をさらに備えた構成とすることができる。前記演算部は、前記流量測定素子により生成する測定信号に基づく流量を、前記測定開始信号の受信時から前記測定終了信号の受信時までの間だけ積算して積算流体量とし、前記電力量取得部で取得された電力量を、前記測定開始信号の受信時から前記測定終了信号の受信時までの間だけ積算することで積算電力量とし、前記積算流体量及び前記積算電力量をそれぞれ前記製造装置で製造された製品の個数で割ることによって製品一個あたりの製造に使用された流体量及び電力量を演算できる。
【0018】
前記演算部で演算された前記リーク防止量を表示部に表示することもできる。例えば、前記演算部は、前記流量測定素子により生成する測定信号に基づく流量を所定期間だけ積算して積算流体量とし、前記表示部には、前記積算流体量と前記リーク防止量とが同一画面に組み込まれて表示されてもよい。これにより、ユーザは積算流体量とリーク防止量とを容易に把握できる。
【0019】
前記表示部には、前記積算流体量と前記リーク防止量とを合わせた総流体量が表示されてもよい。また、前記演算部は、流体の流量を、当該流量を供給する際に発生した二酸化炭素排出量に換算するための換算係数によって前記二酸化炭素排出量に換算することもでき、この場合、前記表示部には、前記演算部で換算された前記二酸化炭素排出量を表示できる。また、前記演算部は、流体の流量を、当該流量を供給するのに要した金額に換算するための換算係数によって前記金額に換算することもでき、この場合、前記表示部には、前記演算部で換算された前記金額を表示できる。
【0020】
前記表示部には、前記流量測定素子により生成する測定信号に基づく流量がリアルタイムで表示されてもよい。これにより、ユーザは現在の流量を容易に把握できる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、配管における流体の流路を開閉する弁を設け、当該弁が閉である期間とリーク流量とに基づいてリーク防止量を決定することができるので、流体のリーク量を削減できるとともに、削減したリーク量をユーザが容易に確認可能な流量センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る流量センサを単独で運用する場合を示す図である。
【
図2】流量センサを電力モニタと接続して運用する場合を示す図である。
【
図3】流量センサを電力モニタ及びパーソナルコンピュータと接続して運用する場合を示す図である。
【
図5】弁が開いている流量センサの縦断面図である。
【
図6】弁が閉じている流量センサの縦断面図である。
【
図8】リーク防止量の演算処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】稼働時間の判定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】総エネルギー量を表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図11】圧縮空気の積算流量を表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図12】エネルギー量を二酸化炭素排出量に換算した表示画面の一例を示す図である。
【
図13】エネルギー量を金額に換算した表示画面の一例を示す図である。
【
図14】流量をリアルタイムで表示する表示画面の一例を示す図である。
【
図15】サイクルエネルギーの測定手順を説明する図である。
【
図16】サイクルエネルギーの表示画面の一例を示す図である。
【
図17】サイクルエネルギーの表示画面の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る流量センサ1の使用状態を示す図である。流量センサ1は、各種製品を製造する製造装置(図示せず)で使用される流体の流量を測定する機器である。製造装置には、流体としての圧縮空気を使用するエアブロー装置、エアシリンダー装置、吸着搬送装置、着座装置等が設けられており、これらは流体機器の一種である空圧機器と呼ぶことができ、1台の製造装置に一または複数の空圧機器が設けられることがある。1台の製造装置に1台の流量センサ1が設置され、1台の製造装置で使用される圧縮空気の流量を測定する。空圧機器が一つだけ設けられている製造装置の場合は、当該一の空圧機器で使用される圧縮空気の流量が流量センサ1によって測定され、また、空圧機器が複数設けられている製造装置の場合は、当該複数の空圧機器で使用される圧縮空気の合計の流量が流量センサ1によって測定されることになる。1台の流量センサ1によって複数の製造装置で使用される圧縮空気の流量を測定してもよく、流量センサ1の使用形態は特に限定されるものではない。
【0025】
圧縮空気は、コンプレッサ及びドライヤを用いて得られるものであり、コンプレッサ及びドライヤを作動させるのに電力が必要であることから、圧縮空気を消費するということは電力を消費するのと同様に、エネルギーを消費することになる。
【0026】
流量センサ1は、製造装置の空圧機器に接続されるエア供給管100に接続されて使用される。
図1では流量センサ1を単体で運用する場合を示している。流量センサ1を単体で運用する場合、電源供給部101と流量センサ1とを接続線102によって接続する。流量センサ1を作動させるための電力が電源供給部101から供給される。また、電源供給部101からは制御信号が出力される。電源供給部101から出力された制御信号は、接続線102を介して流量センサ1に入力される。この場合、測定された流量は、逐次、流量センサ1内に記憶される。尚、測定された流量を外部に送信してもよい。
【0027】
また、
図2に示すように、流量センサ1は、電力モニタ110と接続して運用することもできる。すなわち、製造装置では、圧縮空気以外にも電力が消費される場合があり、電力モニタ110は、製造装置で消費された電力量を検出する機器である。流量センサ1と電力モニタ110とは、通信線111によって接続される。電力モニタ110で検出された電力量に関する情報は、通信線111を介して流量センサ1に送信される。電力モニタ110を作動させるための電力は、通信線111を介して流量センサ1から送られる。この場合、測定された流量、電力モニタ110で検出された電力量は、逐次、流量センサ1内に記憶される。尚、測定された流量、電力モニタ110で検出された電力量を外部に送信してもよい。
【0028】
また、
図3に示すように、流量センサ1は、電力モニタ110及びパーソナルコンピュータ120(以下、PC120という)と接続して運用することもできる。この場合、イーサネット(Ethernet)モジュール121を、流量センサ1と、電力モニタ110及びPC120との間に介在させて複数の通信線122により、流量センサ1と、電力モニタ110及びPC120とを通信可能に接続する。この場合、測定された流量、電力モニタ110で検出された電力量は、逐次、PC120に記憶させることが可能である。
【0029】
図4は、流量センサ1を正面(前面)から見た図であり、
図5は、流量センサ1の縦断面図である。流量センサ1は、上下方向に長い筐体10を備えている。この実施形態の説明では、
図4及び
図5の左側を流量センサ1の左側といい、
図4及び
図5の右側を流量センサ1の右側というものとするが、これは実施形態の説明を容易にするために定義するだけであり、流量センサ1の使用時の方向を限定するものではない。
【0030】
圧縮空気は、矢印A方向(
図4の左側から右側へ向かう方向)に流れている。
図5に示すように、流量センサ1は、圧縮空気の流路を形成する配管20と、配管20における圧縮空気の流量に応じた測定信号を生成する流量測定素子30とを備えている。配管20は、筐体10の上下方向中間部において左右方向に延びている。配管20の左端(上流端)は筐体10の左側面から外部に開放されていて、上流側のエア供給管100と接続されている。配管20の右端(下流端)は筐体10の右側面から外部に開放されていて、下流側のエア供給管100と接続されている。
【0031】
流量測定素子30は、熱式の流量測定素子で構成されている。流量測定素子30は、一対の板状の測温抵抗体を平行に並べた構成となっており、両測温抵抗体が配管20内において偏流が均等になる位置に配置されている。このような熱式の流量測定素子30は従来から周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0032】
また、熱式の流量測定素子30の代わりに、超音波式の流量測定素子を用いてもよい。この超音波式の流量測定素子も従来から周知であるため、詳細な説明は省略する。超音波式の流量測定素子を用いる場合、圧縮空気の質量流量を測定するため、配管20における圧縮空気の圧力を測定する圧力測定素子(図示せず)を設ける必要がある。
【0033】
流量センサ1は、配管20に設けられ、当該配管20における圧縮空気の流路を開閉する弁40も備えている。すなわち、配管20の流れ方向中間部の下側には、弁収容空間21が形成されている。弁収容空間21は、配管20における弁収容空間21よりも上流側の空間20aと連通している。弁収容空間21の上部には、隔壁部22が設けられている。隔壁部22は、弁収容空間21と、配管20における弁収容空間21よりも下流側の空間20bとを区画する部分である。隔壁部22の下部には、弁収容空間21と下流側の空間20bとを連通可能にする連通孔22aが形成されている。
【0034】
弁40は、例えば円板状に形成されており、弁収容空間21内で上下方向に移動可能に配設されている。弁40が上へ移動した状態で連通孔22aの周縁部に対して下から当接して当該連通孔22aを閉塞し、この位置で弁40が閉になる。一方、弁40が下へ移動した状態で連通孔22aの周縁部から下へ離れて当該連通孔22aが開放され、この位置で弁40が開になる。
【0035】
弁40の動作機構として、パイロット式にするとともに、キープソレノイドを用いている。図示しないが、パイロットバルブ及びキープソレノイドは、ソレノイドモジュール41に組み込まれている。ソレノイドモジュール41は、配管20の上方に配置されている。配管20の一次圧及び二次圧は、図示しない通路を介してソレノイドモジュール41に導かれるようになっており、パイロットバルブの動作によって生じる作動圧は、弁40の下方に形成されている作動室42に導かれるようになっている。
【0036】
ソレノイドモジュール41のキープソレノイドは、プランジャー及びコイルを有しており、プランジャーを動かすときだけコイルに電流を流し、プランジャーを所望位置に動かした後は、コイルに電流を流さなくても、プランジャーの位置を維持することが可能に構成されている。このキープソレノイドによってパイロットバルブを開閉動作させることにより、作動室42に所望の圧力を供給し、弁40を上下方向に移動させることができるようになっている。
【0037】
また、メンテナンスなどの時に安全面を考慮して流量センサ1内の圧を抜くために、一般的に装置の根元に残圧開放弁(リリーフバルブ)が設けられている。この残圧開放弁の上流側に弁40があれば特に問題は無いが、残圧開放弁の下流側に弁40がある場合、残圧開放弁を開いても、流量センサ1内の圧が抜けない。このことに対応するために、流量センサ1には、残圧開放用のチェック弁(図示せず)を設けることができる。チェック弁は、一次側と二次側とを連通させる連通路に配置されており、一次圧が抜けて二次圧が一次圧よりも高くなると、二次側からの圧縮空気の圧力によって閉から開に切り替わり、二次側から一次側へ圧縮空気の流通が可能になる。したがって、弁40を閉じていても、上流側の圧力が低下に応じて弁40よりも下流側の圧力も追従させて低下させることが可能となる。
【0038】
図7は、流量センサ1のブロック図である。流量センサ1は、制御ユニット50を備えている。制御ユニット50は、制御部51と、流量取得部52と、演算部53と、記憶部54と、電力量取得部55とを備えている。また、制御ユニット50には、図示しないがリアルタイムクロックや電池等が内蔵されており、日時と紐付けて各種測定データ等を記憶部54に記憶することができるようになっている。これにより、常時データを読み出さなくても、後述するように、蓄積データに基づいて各種グラフ表示や数値表示、換算表示等を行うことができる。
【0039】
制御部51、流量取得部52、演算部53及び電力量取得部55は、記憶部54等に予め記憶されたプログラムに従って動作するマイクロコンピュータや入出力インターフェース、通信モジュール等によって構成されている。制御部51、流量取得部52及び演算部53の全てが同じマイクロコンピュータ等によって構成されていてもよいし、異なるマイクロコンピュータ等によって構成されていてもよい。
【0040】
さらに、流量センサ1は、操作部60と表示部61を備えている。操作部60は、ユーザによって操作される複数の操作ボタン等を含んでおり、
図4に示すように筐体10の前面の下側部分に配設されている。操作部60のユーザによる操作は、制御部51で受け付けられる。
【0041】
表示部61は、例えば有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ等で構成されており、制御部51によって制御される。表示部61は、筐体10の前面において操作部60の上方に配設されている。表示部61の形状は特に限定されるものではないが、この実施形態では、上下方向に長いと形状されている。尚、
図3に示す運用形態の場合、表示部61の表示内容をPC120のモニタに表示させることもできる。
【0042】
制御部51は、ソレノイドモジュール41のキープソレノイドを制御する。キープソレノイドを制御することで、弁40を開から閉、閉から開にすることができるので、制御部51は、弁40を制御する部分であると言うこともできる。制御部51が弁40を制御するので、弁40が開であるか、閉であるかを示す開閉情報は、制御部51が取得できる。弁40の開閉情報に基づいて、弁40が閉である期間を取得できる。例えば弁40が開から閉に切り替わったタイミングから開に切り替わったタイミングまでの時間を制御部51が計測することで、弁40が閉である期間を取得できる。尚、弁40が開であるか、閉であるかをセンサによって検出し、これを開閉情報として制御部51が取得してもよい。
【0043】
流量取得部52は、流量測定素子30により生成する測定信号を受信し、当該測定信号に基づく流量を取得する部分である。熱式の流量測定素子30の場合、測温抵抗体からの放散熱量に係る測定信号を生成し、この放散熱量に係る測定信号を流量取得部52が受信すると、放熱熱量と流量との関係式を用いて配管20における圧縮空気の流量を演算し、取得することができる。流量測定素子が超音波式の場合は、例えば2つの超音波素子を設けておき、これら2つの超音波素子間での伝搬時間差を流量取得部52が取得し、取得した伝搬時間差を用いて配管20における圧縮空気の流量を演算し、取得することができる。
【0044】
流量取得部52は、リーク量取得部52aを備えている。リーク量取得部52aは、弁40が開であって、圧縮空気のリーク状態において、流量測定素子30により生成する測定信号に基づく流量をリーク流量として取得する部分である。具体的には、リーク量取得部52aは、弁40が開から閉にされるときの瞬間流量値を瞬間リーク流量として取得する。
【0045】
演算部53は、リーク量取得部52aがリーク流量を取得すると、弁40が閉である期間と、リーク量取得部52aにより取得したリーク流量とに基づいて、リーク防止量を演算する。演算部53がリーク防止量を演算する際、瞬間リーク流量を、弁40が閉である期間分だけ積算すればよい。弁40が閉である期間は、上述したように制御部51によって取得でき、制御部51によって取得した期間を演算部53が使用すればよい。尚、演算部53が、弁40が閉である期間を計測し、取得してもよい。
【0046】
また、演算部53は、弁40が閉である期間以外の期間についても、流量測定素子30により生成する測定信号に基づく流量を積算して積算流体量を取得できる。したがって、流量測定素子30により生成する測定信号に基づく流量を積算する期間は、弁40が閉である期間に限られるものではなく、任意の期間(所定期間)とすることができる。
【0047】
以下、
図8に示すフローチャートに基づいて、リーク防止量の演算処理手順の一例を説明する。この例では、演算部53は、弁40が開である場合、瞬間リーク流量を、弁40が開である期間分だけ積算することによって開状態にあるときのリーク量とすることが可能になっている。
【0048】
スタート後のステップSA1では、圧縮空気の流通が可能な状態、即ち弁40が開である状態となっていることを確認する。弁40が開になっている場合にはステップSA2に進む。ステップSA2では、制御部51が弁40を開から閉にする要求(弁閉要求)を受け付ける。弁閉要求は、演算部53が所定のタイミングになった時点で制御部51に対して出してもよいし、外部の制御機器またはユーザが制御部51に対して出してもよい。
【0049】
ステップSA3では、リーク量取得部52aが流量測定素子30により生成する測定信号に基づく流量を瞬間流量として取得し、記憶部54等に一時的に記憶する。ステップSA3の段階では弁40が閉になっていない。
【0050】
瞬間流量の取得後、ステップSA4では、制御部51が弁40を開から閉にする制御(弁閉制御)を実行する。これによって弁40が閉に切り替わるのであるが、ステップSA5では、上記開閉情報に基づいて、弁40が閉に切り替わったか否かを制御部51が判定する。弁40が閉に切り替わっていない場合には、何らかの不具合が発生している可能性があるので、ステップSA6に進んで制御部51がエラーを出力し、終了する。一方、弁40が閉に切り替わった場合にはステップSA7に進み、リーク量取得部52aは、ステップSA3で取得した瞬間流量を瞬間リーク流量として記憶部54等に一時的に記憶する。
【0051】
ステップSA8では、ステップSA7でリーク量取得部52aが取得した瞬間リーク流量を演算部53が得る。そして、演算部53は、瞬間リーク流量を、弁40が閉である期間分だけ積算してリーク量を得る。ステップSA9では、制御部51が弁40を閉から開にする要求(弁開要求)を受け付ける。弁開要求は、演算部53が所定のタイミングになった時点で制御部51に対して出してもよいし、外部の制御機器またはユーザが制御部51に対して出してもよい。
【0052】
ステップSA10では、リーク量取得部52aが流量測定素子30により生成する測定信号に基づく流量を瞬間リーク流量として取得し、記憶部54等に一時的に記憶する。ステップSA10の段階では弁40が開になっていない。
【0053】
瞬間リーク流量の取得後、ステップSA11では、制御部51が弁40を閉から開にする制御(弁開制御)を実行する。これによって弁40が開に切り替わるのであるが、ステップSA12では、上記開閉情報に基づいて、弁40が開に切り替わったか否かを制御部51が判定する。弁40が開に切り替わっていない場合には、何らかの不具合が発生している可能性があるので、ステップSA13に進んで制御部51がエラーを出力し、終了する。一方、弁40が開に切り替わった場合にはステップSA14に進み、リーク量取得部52aは、ステップSA10で取得した瞬間リーク流量を瞬間リーク防止流量として記憶部54等に一時的に記憶する。
【0054】
ステップSA15では、ステップSA14でリーク量取得部52aが取得した瞬間リーク防止流量を演算部53が得る。そして、演算部53は、瞬間リーク防止流量を、弁40が閉である期間分だけ積算してリーク防止量を得る。尚、リーク防止量・リーク流量は、弁40が開いている間・閉まっている間に積算して記憶することも可能である。
【0055】
(自動シャットオフ機能)
次に、弁40の制御部51による開閉制御について説明する。制御部51は、弁40が開である時にリーク量取得部52aによって取得された瞬間流量値が所定の間、リーク判定閾値を下回った場合に、弁40を閉にしてリークを防止する制御を自動的に実行する。このとき、リーク量取得部52aは、空圧機器の停止時に流量測定素子30により生成する測定信号に基づく流量を所定期間取得して平均化した流量をリーク流量として取得し、取得したリーク流量よりも高い値をリーク判定閾値として自動設定する。尚、自動設定は、任意のタイミングで実行できる。このように、リーク判定閾値を自動で設定するので、PC120(
図3に示す)等の外部機器による設定は不要である。
【0056】
また、空圧機器の動作停止時のリーク流量は徐々に増加することが想定される。リーク流量が徐々に増加すると、予め定めたリーク判定閾値を超えたときに弁40を閉にできなくなる。このような状況を検知するために、弁40が一定期間動作していないことを判定し、弁40が一定期間動作していない場合には、そのことをユーザに報知する。
【0057】
空気圧機器のリーク量が徐々に増加することに気づけるようにリーク量が増加したことを警報として出力や通信で外部に通知し、設定したリーク量増加警報値と弁40を閉める直接流量値と比較することでリークが増加したことを検知できるようにしてもよい。
【0058】
(原単位の演算機能)
流量センサ1は、製造現場で製造される製品1つあたりの製造に要するエネルギー量を演算する機能を有している。製品1つあたりを原単位と呼び、よって原単位のエネルギー量として、圧縮空気の使用量、電力の使用量、リーク量等を流量センサ1が演算してユーザに提供できる。エネルギー量を演算するサイクルの始点及び終点は、ユーザが任意に設定できる。
【0059】
原単位を演算する際には、外部の制御機器等から、測定開始信号及び測定終了信号を流量センサ1に入力する。測定開始信号及び測定終了信号の受信は、演算部53によって受け付けられる。演算部53は、測定開始信号及び測定終了信号の受信を受け付けると、流量測定素子30により生成する測定信号に基づく流量を、測定開始信号の受信時から測定終了信号の受信時までの間だけ積算して積算流体量(本例では積算空気量となるが、これに限られない)として取得し、記憶部54等に記憶しておく。
【0060】
一方、演算部53は、測定開始信号及び測定終了信号の入力回数をカウントする。測定開始信号及び測定終了信号の入力回数は、製造装置で製造された製品の個数に相当する。よって、演算部53は、製造装置で製造された製品の個数を、測定開始信号及び測定終了信号の入力回数に基づいて取得し、記憶部54等に記憶しておく。
【0061】
演算部53は、積算流体量と、製造装置で製造された製品の個数とを取得した後、積算流体量を製造装置で製造された製品の個数で割ることによって製品1つあたりの製造に使用された積算流体量を演算する。これにより、圧縮空気の使用量の原単位が取得され、取得された使用量は記憶部54等に記憶される。
【0062】
リーク量の原単位を求めることもできる。すなわち、リーク量取得部52aは、測定開始信号及び測定終了信号の受信を受け付けると、流量測定素子30により生成する測定信号に基づくリーク流量を、測定開始信号の受信時から測定終了信号の受信時までの間だけ積算してリーク量として取得し、記憶部54等に記憶しておく。演算部53は、リーク量を製造装置で製造された製品の個数で割ることによって製品1つあたりのリーク量を演算し、取得されたリーク量は記憶部54等に記憶される。
【0063】
次に、電力量の原単位の演算について説明する。
図7に示すように、流量センサ1の制御ユニット50は電力量取得部55を備えている。
図2や
図3に示す運用形態では、流量センサ1が電力モニタ110と接続されており、製造装置で消費された電力量に関する情報が通信線111を介して流量センサ1に送信されて電力量取得部55で取得される。これにより、製造装置で消費された電力量を電力量取得部55が取得できる。
【0064】
電力量取得部55で取得した電力量は、演算部53に送られる。演算部53は、電力量取得部55で取得された電力量を、測定開始信号の受信時から測定終了信号の受信時までの間だけ積算することで積算電力量として取得し、記憶部54等に記憶しておく。演算部53は、積算電力量を、製造装置で製造された製品の個数で割ることによって製品一個あたりの製造に使用された積算電力量を演算する。これにより、電力の使用量の原単位が取得され、取得された使用量は記憶部54等に記憶される。
【0065】
(稼働時間の判定機能)
流量センサ1は、空圧機器の稼働時間を判定する判定機能を有している。
図9に示すフローチャートに基づいて稼働時間の判定処理を説明する。ステップSB1では、
図8に示すフローチャートのステップSA3と同様に、制御部51が瞬間流量を取得する。ステップSB2では、ステップSB1で取得した瞬間流量の変化量を制御部51が演算する。ステップSB3では、ステップSB2で演算した変化量が設定値よりも大きいか否かを判定する。変化量が設定値よりも大きければステップSB4に進み、稼働状態ONとし、終了する。変化量が設定値以下であればステップSB5に進み、変化量が設定値以下である状態が一定時間以上経過したか否かを判定する。一定時間以上経過した場合にはステップSB6に進み、稼働状態OFFとし、終了する。一定時間以上経過していなければ、ステップSB7に進み、維持し、終了する。
【0066】
(表示部の表示形態)
表示部61には、演算部53で演算されたリーク防止量、積算流体量、積算流体量と前記リーク防止量とを合わせた総流体量、電力量等が様々な態様で表示される。
図10は、総エネルギー量を表示した総エネルギー量表示画面200を示している。総エネルギー量表示画面200は、制御部51が生成して表示部61に表示させる。総エネルギー量表示画面200には、エネルギー量をグラフで表示するグラフ表示領域201と、総エネルギー量を数値で表示する総エネルギー量表示領域202と、状態表示領域203とが設けられている。グラフ表示領域201に表示される棒グラフの縦軸はエネルギー量(kWh)であり、また、横軸は時刻であり、例えば15分ごと、30分ごと、1時間ごとといった任意の単位時間で横軸を刻むことができる。棒グラフの黒部分は単位時間で消費した電力量を示しており、棒グラフの白部分は単位時間で消費した圧縮空気量をエネルギー値に換算した値を示している。圧縮空気量をエネルギー値に換算する際には、演算部53が所定の換算係数を用いて自動的に換算する。このように、単位時間で消費した電力量と、圧縮空気量とを同一画面上で区別して表示するとともに、時間の経過に伴う変化が分かるように表示できる。
【0067】
総エネルギー量表示領域202には、測定開始信号が入力されてから現在までに消費した圧縮空気量をエネルギー値に換算した値と、測定開始信号が入力されてから現在までに消費した電力量とを合わせた値が表示される。
【0068】
状態表示領域203には、弁40の開閉状態を表示する開閉状態表示領域203aと、圧縮空気の圧力を表示する圧力表示領域203bと、圧縮空気の流量を表示する流量表示領域203cとが設けられている。開閉状態表示領域203aには、弁40と流路の模式図が表示され、弁40が閉じている場合と閉じている場合とで異なる図に切り替わる。これにより、ユーザは弁40の開閉状態を容易に把握できる。また、圧力表示領域203bには、圧力値がメータ形式で表示されるようになっている。また、流量表示領域203cには、羽根車を表す図が表示され、流量が0のときには羽根車が停止、流量が0以外のときには羽根車が回転する表示形態となる。流量は、羽根車の周囲にバー形式で表示されるようになっており、バーが長くなるほど流量が多いこと示す。バーのスケールはこれまでの流量のピーク値よって決めることもできるため、ユーザは今の装置に対して直感的に流量値がどれくらいなのかが把握しやすい。
【0069】
図11は、圧縮空気の積算流量を表示した積算流量表示画面210を示している。積算流量表示画面210は、制御部51が生成して表示部61に表示させる。積算流量表示画面210には、圧縮空気の使用量をグラフで表示するグラフ表示領域211と、圧縮空気の総使用量を数値で表示する総量表示領域212と、状態表示領域213とが設けられている。状態表示領域213は、総エネルギー量表示画面200の状態表示領域203と同じである。
【0070】
グラフ表示領域211に表示される棒グラフの縦軸は圧縮空気の使用量(×100l)であり、横軸は
図10の横軸と同様に時刻である。棒グラフの横軸よりも下へ延びる斜線部分は、単位時間あたりのリーク防止量を示している。棒グラフの横軸よりも上へ延びる斜線部分は、リーク量を示しており、棒グラフの白部分は単位時間で消費した圧縮空気量を示している。このように、単位時間で消費した圧縮空気量(単位時間における積算流体量)と、リーク防止量とが同一画面に組み込まれて表示される。また、単位時間で消費した圧縮空気量とリーク防止量の時間の経過に伴う変化が分かるように表示できる。
【0071】
総量表示領域212の上段には、測定開始信号が入力されてから現在までに消費した圧縮空気量が表示され、下段には、リーク量またはリーク防止量が表示される。いずれを表示するかは、ユーザが選択可能になっている。
【0072】
図12は、エネルギー量を二酸化炭素排出量に換算して表示する二酸化炭素排出量表示画面220である。二酸化炭素排出量表示画面220は、制御部51が生成して表示部61に表示させる。表示部61に二酸化炭素排出量を表示する際には演算部53が二酸化炭素排出量を演算する。具体的には、演算部53が、流体の流量を、当該流量を供給する際に発生した二酸化炭素排出量に換算するための換算係数によって二酸化炭素排出量に換算する。換算係数は、記憶部54等に事前に記憶させておけばよい。
【0073】
二酸化炭素排出量表示画面220には、圧縮空気の使用量を二酸化炭素排出量に換算してグラフで表示するグラフ表示領域221と、圧縮空気の総使用量を二酸化炭素排出量に換算して数値で表示する総量表示領域222と、状態表示領域223とが設けられている。状態表示領域223は、総エネルギー量表示画面200の状態表示領域203と同じである。
【0074】
グラフ表示領域221に表示される棒グラフの縦軸は圧縮空気の使用量を二酸化炭素排出量に換算した換算値(kg-CO2)であり、横軸は時刻である。棒グラフの横軸よりも下へ延びる斜線部分は、単位時間あたりのリーク防止量を二酸化炭素排出量に換算した値を示している。棒グラフの横軸よりも上へ延びる斜線部分は、リーク量を二酸化炭素排出量に換算した値を示しており、棒グラフの白部分は単位時間で消費した圧縮空気量を二酸化炭素排出量に換算した値を示している。
【0075】
総量表示領域222の上段には、測定開始信号が入力されてから現在までに消費した圧縮空気量やエネルギー使用量を二酸化炭素排出量に換算した値が表示され、下段には、リーク量またはリーク防止量を二酸化炭素排出量に換算した値が表示される。いずれを表示するかは、ユーザが選択可能になっている。
【0076】
図13は、エネルギー量を金額に換算して表示する金額表示画面230である。金額表示画面230は、制御部51が生成して表示部61に表示させる。表示部61に金額を表示する際には演算部53が金額を演算する。具体的には、演算部53が、流体の流量を、当該流量を供給するのに要した金額に換算するための換算係数によって金額に換算する。換算係数は、記憶部54等に事前に記憶させておけばよい。
【0077】
金額表示画面230には、圧縮空気の使用量を金額に換算してグラフで表示するグラフ表示領域231と、圧縮空気の総使用量を金額に換算して数値で表示する総量表示領域232と、状態表示領域233とが設けられている。状態表示領域233は、総エネルギー量表示画面200の状態表示領域203と同じである。
【0078】
グラフ表示領域231に表示される棒グラフの縦軸は圧縮空気の使用量を金額に換算した換算値(円)であり、横軸は時刻である。尚、通貨の設定は任意に行えるようになっている。棒グラフの横軸よりも下へ延びる斜線部分は、単位時間あたりのリーク防止量を金額に換算した値を示している。棒グラフの横軸よりも上へ延びる斜線部分は、リーク量を金額に換算した値を示しており、棒グラフの白部分は単位時間で消費した圧縮空気量を金額に換算した値を示している。
【0079】
総量表示領域232の上段には、測定開始信号が入力されてから現在までに消費した圧縮空気量を金額に換算した値が表示され、下段には、リーク量またはリーク防止量を金額に換算した値が表示される。いずれを表示するかは、ユーザが選択可能になっている。
【0080】
図14は、流量をリアルタイムで表示する流量表示画面250を示している。流量表示画面250は、制御部51が生成して表示部61に表示させる。流量表示画面250には、流量をリアルタイムで表示するグラフ表示領域251と、状態表示領域252とが設けられている。状態表示領域252は、総エネルギー量表示画面200の状態表示領域203と同じである。
【0081】
グラフ表示領域251には、瞬間流量が折れ線グラフの形式で表示される。したがって、表示部61には、流量測定素子30により生成する測定信号に基づく流量の変化が時系列で表示されることになる。さらに、グラフ表示領域251には、現在までの瞬間流量の最大値が数値で表示される最大値表示領域251aと、瞬間流量の現在値が数値で表示される現在値表示領域251bと、現在までの瞬間流量の最小値が数値で表示される最小値表示領域251cとが設けられている。
【0082】
上述した表示形態は一例であり、例えば棒グラフ、折れ線グラフ等の複数種のグラフを組み合わせて表示してもよいし、例えば流量、圧力、リーク量、電力量のうち、任意の1または2以上を数値やグラフによって表示してもよい。上記金額と、上記二酸化炭素排出量とを1の画面に表示してもよい。
【0083】
(サイクルエネルギー)
図15は、サイクルエネルギーの測定手順を説明する図である。例えば、1サイクルで複数個の製品を製造することがあり、この場合には、使用したエネルギー量をサイクル単位で取得して表示部61に表示させることができる。
【0084】
図15に示すように、流量センサ1がサイクル開始待ちの状態で、サイクル開始信号が流量センサ1に入力されると、流量センサ1がサイクル測定中となり、サイクル測定中の流量センサ1にサイクル停止信号が入力されると、流量センサ1がサイクル確定処理を実行し、サイクル確定処理が終了すると、サイクル開始待ちの状態になる。流量センサ1がサイクル測定中のときにのみ、流量取得部52が圧縮空気の流量を取得し、電力量取得部55が電力量を取得し、サイクル測定中の期間分だけ積算し、1サイクルで使用された圧縮空気量と電力量を取得する。
【0085】
図16は、サイクルエネルギーを表示するサイクルエネルギー表示画面270を示す図である。サイクルエネルギー表示画面270には、サイクル積算流量表示領域271と、サイクル電力量表示領域272と、サイクル時間表示領域273とが設けられている。サイクル積算流量表示領域271には、1サイクルで使用された圧縮空気量が表示される。サイクル電力量表示領域272には、1サイクルで使用された電力量が表示される。サイクル時間表示領域273には、1サイクルに要した時間が表示される。1サイクルに要した時間は、サイクル開始信号が入力された時点からサイクル停止信号が入力された時点までの時間である。
【0086】
図17は、サイクルエネルギーを表示する別の例に係るサイクルエネルギー表示画面280を示す図である。サイクルエネルギー表示画面280には、エネルギー換算値表示領域281と、二酸化炭素排出量表示領域282と、金額表示領域283とが設けられている。エネルギー換算値表示領域281には、1サイクルで消費した圧縮空気量をエネルギー値に換算した値と、1サイクルで消費した電力量とを合わせた値が表示される。二酸化炭素排出量表示領域282には、エネルギー換算値表示領域281に表示されたエネルギー量を二酸化炭素排出量に換算した値が表示される。金額表示領域283には、エネルギー換算値表示領域281に表示されたエネルギー量を金額に換算した値が表示される。
【0087】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る流量センサ1によれば、流量測定素子30が生成した測定信号に基づいて配管20における流体の流量を取得することができる。流体のリーク状態で測定された流量がリーク流量となり、弁40を閉にして配管20の流路を閉じることで、その期間内でリークを防止することができ、リーク量の削減が可能になる。よって、弁40が閉である期間と、リーク流量とに基づくことで、リークせずに済んだ量、即ちリーク防止量の把握が可能になる。リーク防止量は、表示部61に表示させることができるので、ユーザは削減したリーク量を容易に確認できる。
【0088】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上説明したように、開示に係る流量センサは、配管内を流通する流体の流量を測定する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0090】
1 流量センサ
20 配管
30 流量測定素子
40 弁
52a リーク量取得部
53 演算部
55 電力量取得部
61 表示部