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特開2024-121917避難用リュックおよび状態確認システム
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  • 特開-避難用リュックおよび状態確認システム 図1
  • 特開-避難用リュックおよび状態確認システム 図2
  • 特開-避難用リュックおよび状態確認システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121917
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】避難用リュックおよび状態確認システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 5/00 20060101AFI20240902BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20240902BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20240902BHJP
   A45F 3/04 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G08B5/00 C
G08B23/00 530F
G08B27/00 A
A45F3/04 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029152
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】浦▲崎▼ 宏一
【テーマコード(参考)】
2E181
5C083
5C087
【Fターム(参考)】
2E181BD01
5C083AA02
5C083BB31
5C083CC25
5C083EE10
5C087AA11
5C087AA44
5C087BB18
5C087BB73
5C087DD02
5C087DD04
5C087EE18
5C087FF02
5C087FF30
5C087GG08
5C087GG10
5C087GG66
5C087GG68
(57)【要約】
【課題】所有者ごとに避難用リュックの所在を容易に確認できる機能を備えた避難用リュックおよび状態確認システムを得る。
【解決手段】本開示に係る避難用リュックは、災害対策用の備蓄品が収納される避難用リュックであって、発報出力を行う発報部と、外部からの無線信号として自身に固有に割り付けられたID情報を含む確認信号を受信した場合には、発報部から発報出力を行うように制御する発報制御部とを備えるものであり、本開示に係る状態確認システムは、複数の避難用リュックと、複数の避難用リュックのそれぞれに確認信号を送信する無線通信機能を有する携帯端末とを備えるものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害対策用の備蓄品が収納される避難用リュックであって、
発報出力を行う発報部と、
外部からの無線信号として自身に固有に割り付けられたID情報を含む確認信号を受信した場合には、前記発報部から前記発報出力を行うように制御する発報制御部と
を備える避難用リュック。
【請求項2】
請求項1に記載の避難用リュックであって、複数の避難用リュックと、
前記複数の避難用リュックのそれぞれと無線通信を行う携帯端末と
を備えた状態確認システムであって、
前記携帯端末は、
前記複数の避難用リュックのそれぞれに対応する選択ボタンを有し、選択ボタンが押されることで所望の避難用リュックを選択可能とし、選択された前記所望の避難用リュックに対して前記固有に割り付けられたID情報を含む前記確認信号を送信する選択機能を有する入出力制御部
を備え、
前記発報制御部は、前記携帯端末から前記固有に割り付けられたID情報を含む前記確認信号を受信した場合には、前記発報部から前記発報出力を行うように制御するとともに、前記確認信号を受信できたことを示す返答信号を前記ID情報を含む無線信号として前記携帯端末に返送し、
前記入出力制御部は、前記確認信号の送信先である前記所望の避難用リュックから前記返答信号が返送された場合には、選択された前記所望の避難用リュックに対応する選択ボタンを点灯させる確認機能をさらに有する
状態確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、災害対策用の備蓄品が収納される避難用リュック、および複数の避難用リュックの状態を確認できる状態確認システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害対策用の備蓄品が収納され、災害発生時に持ち出しができる非常持出袋がある(例えば、非特許文献1参照)。なお、以下では、「非常持出袋」のことを「避難用リュック」と称して説明する。
【0003】
一般的に、職場では、保存用飲料水、非常食、軍手、懐中電灯などの備蓄品が収納された避難用リュックが、社員それぞれに支給されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】能美防災株式会社 ホームページ、災害対策備蓄品カタログ、27ページ(URL:https://www.nohmi.co.jp/webcatalog_007/g_bo_3705/html5.html#page=27)
【非特許文献2】能美防災株式会社 ホームページ、住宅用火災警報器(URL:https://www.nohmi.co.jp/jukeiki01/products/radio_index.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
避難用リュックは、手元に保管するにはサイズが大きいため、社員各自で保管場所を決めていることが多い。このため、実際の災害発生時に各自が、自身に支給された避難用リュックを手元に持ってこられるかが不確実である。
【0006】
また、同一の場所に複数個の避難用リュックが保管されている場合には、自身に支給された避難用リュックを探す手間がかかる。また、災害発生時には、停電が発生することも考えられ、照明が切れた状態で自身に支給された避難用リュックを探す状況も起こり得る。
【0007】
また、災害発生に伴って避難場所に移動した場合にも、その避難場所において避難用リュックの所在を確認できれば、避難用リュックの所有者が避難できていることを容易に推測できる。従って、所有者ごとに避難用リュックの所在を容易に確認できる手法が望まれる。
【0008】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、所有者ごとに避難用リュックの所在を容易に確認できる機能を備えた避難用リュックおよび状態確認システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る避難用リュックは、災害対策用の備蓄品が収納される避難用リュックであって、発報出力を行う発報部と、外部からの無線信号として自身に固有に割り付けられたID情報を含む確認信号を受信した場合には、発報部から発報出力を行うように制御する発報制御部とを備えるものである。
【0010】
本開示に係る状態確認システムは、本開示の複数の避難用リュックと、複数の避難用リュックのそれぞれと無線通信を行う携帯端末とを備えた状態確認システムであって、携帯端末は、複数の避難用リュックのそれぞれに対応する選択ボタンを有し、選択ボタンが押されることで所望の避難用リュックを選択可能とし、選択された所望の避難用リュックに対して固有に割り付けられたID情報を含む確認信号を送信する選択機能を有する入出力制御部を備え、発報制御部は、携帯端末から固有に割り付けられたID情報を含む確認信号を受信した場合には、発報部から発報出力を行うように制御するとともに、確認信号を受信できたことを示す返答信号をID情報を含む無線信号として携帯端末に返送し、入出力制御部は、確認信号の送信先である所望の避難用リュックから返答信号が返送された場合には、選択された所望の避難用リュックに対応する選択ボタンを点灯させる確認機能をさらに有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、所有者ごとに避難用リュックの所在を容易に確認できる機能を備えた避難用リュックおよび状態確認システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施の形態1に係る避難用リュックの機能ブロック図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る避難用リュックが有している確認機能を示した説明図である。
図3】本開示の実施の形態2に係る状態確認システムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の避難用リュックおよび状態確認システムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る避難用リュックおよび状態確認システムは、無線信号により外部コントロールが可能な報知部をリュック本体に装備し、必要に応じて、所有者ごとに避難用リュックの所在を発報出力させることができる機能を有することを技術的特徴とするものである。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る避難用リュックの機能ブロック図である。本実施の形態1に係る避難用リュック10は、通信制御部11、発報制御部12、および発報部13を備えている。避難用リュック10には、災害対策用の備蓄品が収納されており、災害発生時に所有者によって持ち運ばれるものである。
【0015】
通信制御部11は、外部からの無線信号を受信する通信機能を有している。通信制御部11は、避難用リュック10自身を特定するために固有に割り付けられたID情報を含む確認信号を受信した場合には、発報制御部12に対して外部から確認信号を受信したことを通知する。
【0016】
発報制御部12は、外部から確認信号を受信した通知を通信制御部11から受けた場合には、発報部13から発報出力を行うように制御する。なお、通信制御部11が有する通信機能を合わせ持つように、発報制御部12を構成することも可能である。
【0017】
発報部13の具体例としては、発報出力として発光出力を行うライト、発報出力としてブザー音、音声などの出力を行うスピーカーなどが挙げられる。なお、発報部13は、ライトとスピーカーを併存させるといったように、複数の発報手段の組合せとして構成することも可能である。
【0018】
発報制御部12は、避難用リュック10自身に固有に割り付けられたID情報を、識別可能なパターンで、発報部13から発報出力を行うように制御することができる。
【0019】
図2は、本開示の実施の形態1に係る避難用リュック10が有している発報機能を示した説明図である。図2(A)は、職場等において各自に支給される、ヘルメット付きの避難用リュック10を示している。また、図2(B)および図2(C)は、発報機能を働かせることにより、避難用リュック10の所在を発報出力により知らせる場合を例示している。
【0020】
図2(A)に示すように、避難用リュック10は、手元に保管するにはサイズが大きいため、同一の場所に複数個の避難用リュック10が保管される場合が考えられる。また、災害発生時に停電が発生した場合には、照明が切れた状態で自身に支給された避難用リュック10を探す状況も起こり得る。
【0021】
図2(B)では、発報部13としてのライト13aが避難用リュック10に備え付けられており、停電発生時においてもライト13aを所定の点灯パターンで発光させることで、発報機能を発揮している場合を例示している。
【0022】
発報制御部12は、自身に固有に割り付けられたID情報を含む確認信号が外部から供給されることで、ID情報を識別可能な発光パターンで、ライト13aから光による発報出力を行うように制御することができる。
【0023】
また、図2(C)では、発報部13としてのスピーカー13bが避難用リュック10に備え付けられており、停電発生時においてもスピーカー13bから音を出力させることで、発報機能を発揮している場合を例示している。
【0024】
発報制御部12は、自身に固有に割り付けられたID情報を含む確認信号が外部から供給されることで、ID情報を識別可能な音パターンで、スピーカー13bから音による発報出力を行うように制御することができる。
【0025】
外部から避難用リュック10に与えられる確認信号は、例えば、職場単位で使用する携帯端末によって生成し、出力することができる。あるいは、避難用リュック10の所有者ごとに、固有に割り付けられたID情報を含む確認信号を出力することができるリモコンを使用することもできる。
【0026】
以上のように、実施の形態1によれば、無線信号である確認信号により外部コントロールが可能な報知部をリュック本体に装備し、必要に応じて、所有者ごとに避難用リュックの所在を発報出力させることができる発報機能を有する避難用リュックを実現している。この結果、所有者ごとに避難用リュックの所在を容易に確認することができる。
【0027】
実施の形態2.
本実施の形態2では、避難用リュック10が有している発報機能を活用し、複数の避難用リュック10の所在を管理できる携帯端末を備えた状態確認システムについて説明する。
【0028】
図3は、本開示の実施の形態2に係る状態確認システムの機能ブロック図である。本実施の形態2に係る状態確認システムは、複数の避難用リュック10、および携帯端末100を備えている。なお、複数の避難用リュック10は、二台以上の任意の台数で構成することができるが、図3では、説明をわかりやすくするために20台の避難用リュック10(1)~10(20)として記載している。
【0029】
避難用リュック10(1)~10(20)のそれぞれは、先の実施の形態1で説明した避難用リュック10と同等の発報機能を有している。すなわち、避難用リュック10(1)~10(20)のそれぞれは、固有に割り付けられたID情報を含む確認信号を携帯端末100から受信した場合には、発報部13から発報出力を行うように制御する発報機能を備えている。
【0030】
さらに、本実施の形態2における避難用リュック10(1)~10(20)のそれぞれは、固有に割り付けられたID情報を含む確認信号を携帯端末100から受信した場合には、確認信号を受信できたことを示す返答信号を、ID情報を含む無線信号として携帯端末100に返送する確認機能を有している。
【0031】
携帯端末100は、無線通信を行うことで、複数の避難用リュック10のそれぞれを統括制御するものであり、通信制御部110および入出力制御部120を備えている。
【0032】
通信制御部110は、避難用リュック10(1)~10(20)のそれぞれに固有に割り付けられたID情報を用いて、避難用リュック10(1)~10(20)のそれぞれと個別に無線通信を行う通信機能を有している。具体的には、通信制御部110は、入出力制御部120により選択された所望の避難用リュック10に対して確認信号を送信し、確認信号の返信としての返答信号を受信する。
【0033】
入出力制御部120は、複数の避難用リュック10(1)~10(20)のそれぞれに対応する選択ボタン121(1)~121(20)を有するタッチパネルとして構成することができる。入出力制御部120は、いずれかの選択ボタンが押されることで、所望の避難用リュック10を選択可能である。
【0034】
このような選択が行われることで、通信制御部110は、所望の避難用リュック10に対して、固有に割り付けられたID情報を含む確認信号を送信する。
【0035】
また、入出力制御部120は、確認信号の送信先である所望の避難用リュック10から返信された返答信号を、通信制御部110を介して受信した場合には、選択された所望の避難用リュック10に対応する選択ボタンを点灯させることができる。
【0036】
なお、通信制御部110が有する通信機能を合わせ持つように、入出力制御部120を構成することも可能である。
【0037】
このように、携帯端末100は、所望の避難用リュック10を選択して確認信号を送信する選択機能、および確認信号の送信先である所望の避難用リュック10から返答信号が返送されてきた場合には、対応する選択ボタン121を点灯させる確認機能を実行することができる。
【0038】
携帯端末100は、例えば、管理責任者によって所持される。管理責任者は、選択機能を活用することで、災害発生時、あるいは災害が発生していない平常時の両方において、所有者ごとに避難用リュック10の保管場所を容易に確認することができる。特に、複数の避難用リュック10が混在している場合、あるいは、停電が発生した場合に、所望の避難用リュック10の所在を容易に確認することができる。
【0039】
さらに、管理責任者は、確認機能を活用することで、災害発生に伴って避難場所に移動した場合にも、その避難場所において複数の避難用リュック10(1)~10(20)の所在を確認することができる。
【0040】
すなわち、管理責任者は、入出力制御部120に設けられた選択ボタン121(1)~121(20)を利用し、避難場所において、複数の避難用リュック10(1)~10(20)のそれぞれに対して確認信号を送り、返答信号が受信できた場合に点灯表示される選択ボタン121を視認することで、どの避難用リュック10の所有者が避難場所まで避難できているかを容易に推測することができる。
【0041】
以上のように、実施の形態2によれば、確認信号に基づく選択機能を活用して、避難用リュックの所在を容易に確認できるとともに、返答信号に基づく確認機能を活用して、避難場所に移動できた避難用リュックがどれであるかを容易に確認することができる状態確認システムを実現できる。
【0042】
このような機能を有する状態確認システムにより、災害発生時および平常時においては避難用リュックの所在状態を容易に確認することができ、避難場所においては、避難用リュックの所有者が避難場所まで避難できているかを示す避難状態を容易に確認することができる。
【0043】
なお、無線信号の送受信としては、無線式連動型の感知器、中継器などで使用されている無線通信方式を採用することができる(例えば、非特許文献2参照)。この無線通信方式での電波到達距離は、障害物のない場所での水平見通し距離が100m程度である。
【0044】
従って、このような電波到達距離を有する通信方式を採用することで、災害現場から電波到達距離以上離れた避難場所において、その避難場所まで移動できている避難用リュックの所在を容易に特定することができる。
【0045】
また、地震災害の発生により避難に時間がかかるような場合には、避難場所への到着が遅れ、避難場所での隊列がそろわないことも考えられる。このような場合にも、本実施の形態2に係る状態確認システムを活用し、複数の避難用リュックのそれぞれに対して発報出力を行わせることで、避難確認を行うことができる。
【0046】
例えば、発報部13としてスピーカー13bを備えている場合には、「管理責任者に避難状況を報告してください」といった定型メッセージを発報し、報告を促すことで、避難場所における避難状況の確認を容易に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
10 避難用リュック、11 通信制御部、12 発報制御部、13 発報部、13a ライト、13b スピーカー、100 携帯端末、110 通信制御部、120 入出力制御部、121 選択ボタン。
図1
図2
図3