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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121918
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】流量センサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20220101AFI20240902BHJP
   G01F 1/66 20220101ALI20240902BHJP
   G01F 15/061 20220101ALI20240902BHJP
【FI】
G01F1/00 Y
G01F1/66 101
G01F1/00 T
G01F15/061
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029153
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄大
(72)【発明者】
【氏名】川中 政嗣
【テーマコード(参考)】
2F030
2F031
2F035
【Fターム(参考)】
2F030CA03
2F030CB04
2F030CC11
2F030CD15
2F030CD17
2F030CE09
2F030CE22
2F030CE27
2F030CE28
2F031AA01
2F031AC01
2F031AC03
2F031AE07
2F031AF10
2F035DA08
2F035DA14
(57)【要約】
【課題】プロセス量と、空圧機器や流量センサの評価結果の表示を素早く、かつ、簡単に切り替えられるようにすることで、使い勝手を向上させる。
【解決手段】流量センサは、配管における作動気体のプロセス量に応じた測定信号を生成するプロセス量測定素子と、プロセス量測定素子により生成された測定信号に基づいてプロセス量を決定するプロセス量決定部と、プロセス量に基づき自己の動作又は空圧機器の動作を示す特徴量を決定し、当該特徴量に基づいて前記自己の動作又は前記空圧機器の動作を評価する評価部と、プロセス量を表示する通常表示モードと評価結果を表示する評価結果表示モードとを操作に応じて交互に切り替えるための切替スイッチと、通常表示モード及び評価結果表示モードのうち、切替スイッチによる切り替えに対応した表示モードの表示を行う表示部と、を備えている。
【選択図】図31
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空圧機器に接続されるとともに作動気体の流路を形成する配管における作動気体のプロセス量に応じた測定信号を生成するプロセス量測定素子と、
前記プロセス量測定素子により生成された測定信号に基づいてプロセス量を決定するプロセス量決定部と、
前記プロセス量決定部により決定したプロセス量に基づき自己の動作又は前記空圧機器の動作を示す特徴量を決定し、当該特徴量に基づいて前記自己の動作又は前記空圧機器の動作を評価する評価部と、
前記プロセス量決定部により決定したプロセス量を表示する通常表示モードと前記評価部により評価した結果を表示する評価結果表示モードとを操作に応じて交互に切り替えるための切替スイッチと、
前記通常表示モード及び前記評価結果表示モードのうち、前記切替スイッチによる切り替えに対応した表示モードの表示を行う表示部と、を備える流量センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の流量センサにおいて、
前記切替スイッチは、操作つまみが第1の位置から第2の位置、前記第2の位置から前記第1の位置へ移動可能なスライドスイッチであり、
前記第1の位置に前記通常表示モードが割り当てられ、前記第2の位置に前記評価結果表示モードが割り当てられている、流量センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の流量センサにおいて、
前記切替スイッチは、操作つまみが第1の位置から第2の位置、前記第2の位置から前記第1の位置へ揺動可能なトグルスイッチであり、
前記第1の位置に前記通常表示モードが割り当てられ、前記第2の位置に前記評価結果表示モードが割り当てられている、流量センサ。
【請求項4】
請求項1に記載の流量センサにおいて、
前記プロセス量測定素子は、前記配管における作動気体の流量を測定するための測定信号を生成する流量測定素子と、前記配管における作動気体の圧力を測定するための測定信号を生成する圧力測定素子とを含んでおり、
前記プロセス量決定部は、前記流量測定素子により生成された測定信号に基づいて流量を決定し、前記圧力測定素子により生成された測定信号に基づいて圧力を決定し、
前記評価部は、前記プロセス量決定部により決定した流量と圧力との組み合わせに基づき前記空圧機器の動作を示す特徴量を決定し、当該特徴量に基づいて前記空圧機器の動作を評価する、流量センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の流量センサにおいて、
前記配管は、複数種の前記空圧機器のうち、任意の一の前記空圧機器に接続可能に構成され、
前記評価部は、前記配管に接続された前記空圧機器の種別に応じた特徴量を決定し、当該特徴量に基づいて前記配管に接続された前記空圧機器の動作を評価する、流量センサ。
【請求項6】
請求項5に記載の流量センサにおいて、
複数種の前記空圧機器には、作動気体としての空気をノズルから噴出させるエアブロー装置が含まれており、
前記評価部は、前記配管に前記エアブロー装置が接続されている場合、前記エアブロー装置が有するノズルから噴出する圧縮空気の質量流量であるブロー量を前記特徴量として決定し、当該ブロー量に基づいて前記エアブロー装置の動作を評価する、流量センサ。
【請求項7】
請求項5に記載の流量センサにおいて、
複数種の前記空圧機器には、エアシリンダー装置が含まれており、
前記評価部は、前記配管に前記エアシリンダー装置が接続されている場合、リーク量と前記エアシリンダー装置の推力余裕度とを前記特徴量として決定し、当該リーク量と推力余裕度とに基づいて前記エアシリンダー装置の動作を評価する、流量センサ。
【請求項8】
請求項5に記載の流量センサにおいて、
複数種の前記空圧機器には、作動気体としての圧縮空気の噴出によって負圧力を発生させる吸着搬送装置が含まれており、
前記評価部は、前記配管に前記吸着搬送装置が接続されている場合、吸着速度と吸着力とを前記特徴量として決定し、当該吸着速度と吸着力とに基づいて前記吸着搬送装置の動作を評価する、流量センサ。
【請求項9】
請求項5に記載の流量センサにおいて、
複数種の前記空圧機器には、作動気体としての圧縮空気を利用した着座装置が含まれており、
前記評価部は、前記配管に前記着座装置が接続されている場合、前記着座装置から噴出する圧縮空気の体積流量を前記特徴量として決定し、当該体積流量に基づいて前記着座装置の動作を評価する、流量センサ。
【請求項10】
請求項5に記載の流量センサにおいて、
前記評価部は、前記流量測定素子により測定した流量の時系列データと、前記圧力測定素子により測定した圧力の時系列データとの組み合わせに基づき前記空圧機器の動作を示す特徴量を決定する、流量センサ。
【請求項11】
請求項5に記載の流量センサにおいて、
前記通常表示モードでは、前記配管に接続された前記空圧機器の種別と、プロセス量とが前記表示部に同時に表示される、流量センサ。
【請求項12】
請求項5に記載の流量センサにおいて、
前記評価結果表示モードでは、前記配管に接続された前記空圧機器の種別に応じたエラー表示を行う、流量センサ。
【請求項13】
請求項1に記載の流量センサにおいて、
前記表示部と前記切替スイッチとが並んで設けられている、流量センサ。
【請求項14】
請求項1に記載の流量センサにおいて、
設定時の操作を行うための操作ボタンが、前記切替スイッチとは別に設けられている、流量センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空圧機器に接続された配管内を流通する作動気体の流量を測定可能な流量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば各種製品を製造する製造現場では、エアブロー装置、エアシリンダー装置、ワークの吸着搬送装置、ワークの着座装置等のような空圧機器が使用されている。一般的に、空圧機器には圧縮空気が供給される配管が接続されており、この配管には、圧縮空気の供給元が接続されている。
【0003】
また、配管内を流通する気体の流量を測定する流量センサとしては、例えば特許文献1に開示されているようなセンサが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-109360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、空圧機器を使用した製造設備では、供給される空気圧の低下や空圧機器の劣化等に起因して製造条件が変わりやすく、製造条件が初期に設定された許容範囲外になると装置の停止を招いて損失に繋がる。また、流量センサ自体の動作が正常でない場合も製造上の不具合の発生原因となり得る。
【0006】
このことに対し、空圧機器や流量センサを診断する診断システムをユーザが独自に組んで運用することが考えられるが、診断システムの導入時の準備及び設定には多大な時間と費用がかかる。そこで、流量センサによって空圧機器の評価及び流量センサ自体の評価が行えるようになれば、導入時のユーザの負担が軽減されるので好ましい。
【0007】
しかしながら、流量センサでは、通常測定しているプロセス量を任意のタイミングですぐに確認したいという要求がある。したがって、プロセス量と、空圧機器や流量センサの評価結果を表示画面に同時に表示したいのであるが、表示画面の大きさは限られているので、プロセス量と評価結果を同時に表示してしまうと、視認性が犠牲になってしまう。
【0008】
視認性を確保するためには、例えばメニュー画面のように、プロセス量の表示と評価結果の表示の選択が可能な画面を表示させ、ユーザによる選択操作を受け付けた後、一方の表示を行う方法が考えられる。
【0009】
ところが、プロセス量の表示から評価結果の表示への切替、その反対の切替の際には、少なくともメニュー画面の表示操作と選択操作、及び決定操作が必要になり、操作が煩雑で使いにくいものになる。
【0010】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、プロセス量と、空圧機器や流量センサの評価結果の表示を素早く、かつ、簡単に切り替えられるようにすることで、使い勝手を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本態様に係る流量センサは、空圧機器に接続されるとともに作動気体の流路を形成する配管における作動気体のプロセス量に応じた測定信号を生成するプロセス量測定素子と、前記プロセス量測定素子により生成された測定信号に基づいてプロセス量を決定するプロセス量決定部と、前記プロセス量決定部により決定したプロセス量に基づき自己の動作又は前記空圧機器の動作を示す特徴量を決定し、当該特徴量に基づいて前記自己の動作又は前記空圧機器の動作を評価する評価部と、前記プロセス量決定部により決定したプロセス量を表示する通常表示モードと前記評価部により評価した結果を表示する評価結果表示モードとを操作に応じて交互に切り替えるための切替スイッチと、前記通常表示モード及び前記評価結果表示モードのうち、前記切替スイッチによる切り替えに対応した表示モードの表示を行う表示部と、を備えている。
【0012】
この構成によれば、プロセス量決定部が作動気体のプロセス量を決定することで、プロセス量を取得できる。一方、評価部が、自己の動作又は空圧機器の動作を評価することで、自己の動作又は空圧機器の評価結果を取得できる。切替スイッチが通常表示モードとされている場合には、プロセス量が表示部に表示される一方、切替スイッチが評価結果表示モードとされている場合には、自己の動作又は空圧機器の評価結果が表示部に表示される。切替スイッチは、通常表示モードと評価結果表示モードとを操作に応じて交互に切り替えることができるものなので、ユーザは切替スイッチを一度操作するだけで、プロセス量の表示から評価結果の表示へ、またはその反対の表示へと素早く、かつ、簡単に切り替えること可能になる。
【0013】
前記切替スイッチは、操作つまみが第1の位置から第2の位置、前記第2の位置から前記第1の位置へ移動可能なスライドスイッチであってもよい。また、前記切替スイッチは、操作つまみが第1の位置から第2の位置、前記第2の位置から前記第1の位置へ揺動可能なトグルスイッチであってもよい。この場合、前記第1の位置に前記通常表示モードを割り当て、前記第2の位置に前記評価結果表示モードを割り当ることができる。
【0014】
前記プロセス量測定素子は、前記配管における作動気体の流量を測定するための測定信号を生成する流量測定素子と、前記配管における作動気体の圧力を測定するための測定信号を生成する圧力測定素子とを含んでいてもよい。この場合、前記プロセス量決定部は、前記流量測定素子により生成された測定信号に基づいて流量を決定し、前記圧力測定素子により生成された測定信号に基づいて圧力を決定することができる。前記評価部は、前記プロセス量決定部により決定した流量と圧力との組み合わせに基づき前記空圧機器の動作を示す特徴量を決定し、当該特徴量に基づいて前記空圧機器の動作を評価できる。
【0015】
前記配管は、複数種の前記空圧機器として、例えばエアブロー装置、エアシリンダー装置、吸着搬送装置、着座装置等のうち、任意の一の空圧機器に接続可能に構成されていてもよい。この場合、前記評価部は、前記配管に接続された前記空圧機器の種別に応じた特徴量を決定し、当該特徴量に基づいて前記配管に接続された前記空圧機器の動作を評価することができるので、複数種の空圧機器の動作を評価可能な汎用性の高い流量センサとすることができる。
【0016】
複数種の前記空圧機器には、作動気体としての空気をノズルから噴出させるエアブロー装置が含まれていてもよい。前記評価部は、前記配管に前記エアブロー装置が接続されている場合、前記エアブロー装置が有するノズルから噴出する圧縮空気の質量流量であるブロー量を前記特徴量として決定し、当該ブロー量に基づいて前記エアブロー装置の動作を評価できる。
【0017】
複数種の前記空圧機器には、エアシリンダー装置が含まれていてもよい。前記評価部は、前記配管に前記エアシリンダー装置が接続されている場合、リーク量と前記エアシリンダー装置の推力余裕度とを前記特徴量として決定し、当該リーク量と推力余裕度とに基づいて前記エアシリンダー装置の動作を評価できる。
【0018】
複数種の前記空圧機器には、作動気体としての圧縮空気の噴出によって負圧力を発生させる吸着搬送装置が含まれていてもよい。前記評価部は、前記配管に前記吸着搬送装置が接続されている場合、吸着速度と吸着力とを前記特徴量として決定し、当該吸着速度と吸着力とに基づいて前記吸着搬送装置の動作を評価できる。
【0019】
複数種の前記空圧機器には、作動気体としての圧縮空気を利用した着座装置が含まれていてもよい。前記評価部は、前記配管に前記着座装置が接続されている場合、前記着座装置から噴出する圧縮空気の体積流量を前記特徴量として決定し、当該体積流量に基づいて前記着座装置の動作を評価できる。
【0020】
前記評価部は、前記流量測定素子により測定した流量の時系列データと、前記圧力測定素子により測定した圧力の時系列データとの組み合わせに基づき前記空圧機器の動作を示す特徴量を決定してもよい。これにより、流量及び圧力の推移を利用して特徴量を決定できる。
【0021】
前記通常表示モードでは、前記配管に接続された前記空圧機器の種別と、プロセス量とが前記表示部に同時に表示されるように構成されていてもよい。これにより、空圧機器の種別の確認とプロセス量の確認とが同時に行えるようになる。また、前記評価結果表示モードでは、前記配管に接続された前記空圧機器の種別に応じたエラー表示を行うこともできる。
【0022】
前記表示部と前記切替スイッチとが並んで設けられていてもよい。これにより、表示部を見ながら、表示モードの切替が可能になる。
【0023】
流量センサの設定時の操作を行うための操作ボタンが、前記切替スイッチとは別に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、プロセス量を表示する通常表示モードと、自己の動作又は空圧機器の動作の評価結果を表示する評価結果表示モードとを操作に応じて交互に切り替えるための切替スイッチを備えているので、プロセス量と、空圧機器や流量センサの評価結果の表示を素早く、かつ、簡単に切り替えることができ、使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る流量センサの斜視図である。
図2】クランプオン型超音波流量計を配管に取り付ける前の状態を示す斜視図である。
図3】クランプオン型超音波流量計の端面図である。
図4図3におけるIV-IV線断面図である。
図5】配管内蔵型流量計を示す図4相当図である。
図6】配管内蔵型流量計の筐体を省略した状態を示す斜視図である。
図7】制御ユニットのブロック図である。
図8】アプリケーション選択画面の表示例を示す図である。
図9】エアブロー装置の作動状態を判定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】FIG.10Aは、エアブロー装置の場合の測定値表示画面であり、FIG.10Bは、流量の閾値設定画面であり、FIG.10Cは、圧力の閾値設定画面である。
図11】エアブロー装置を診断する場合に使用される流量と圧力との関係を示すグラフである。
図12】FIG.12Aはノズルに詰まりが生じていることを表すアラーム画面を示し、FIG.12Bは元圧低下が生じていることを表すアラーム画面を示す。
図13】エアシリンダー装置の作動状態を判定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図14】FIG.14Aは、エアシリンダー装置の場合の測定値表示画面であり、FIG.14Bは、リーク量表示画面であり、FIG.14Cは、推力余裕度の表示画面である。
図15】エアシリンダー装置の動作と、作動気体の流量及び圧力との関係を説明する図である。
図16】パッキンからのリークが生じている場合のエアシリンダー装置の動作と、作動気体の流量との関係を説明する図である。
図17】負荷が増加した場合の推力余裕度の変動を示す図である。
図18】FIG.18Aはリーク量が増加していることを表すアラーム画面を示し、FIG.18Bは推力余裕度が低下したことを表すアラーム画面を示す。
図19】吸着搬送装置の作動状態を判定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図20】FIG.20Aは、吸着搬送装置の場合の測定値表示画面であり、FIG.20Bは、吸着速度の閾値設定画面であり、FIG.20Cは、吸着力の閾値設定画面である。
図21】吸着搬送装置の動作と、作動気体の流量及び圧力との関係を説明する図である。
図22】フィルタが詰まった場合の吸着搬送装置の動作と、作動気体の流量及び圧力との関係を説明する図である。
図23】吸着パッドが劣化した場合の吸着搬送装置の動作と、作動気体の流量及び圧力との関係を説明する図である。
図24】FIG.24Aは吸着速度が低下していることを表すアラーム画面を示し、FIG.24Bは吸着力が低下したことを表すアラーム画面を示す。
図25】着座装置の作動状態を判定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図26】FIG.26Aは、着座装置の場合の測定値表示画面であり、FIG.26Bは、流量の閾値設定画面である。
図27】着座装置を診断する場合に使用される流量と圧力との関係を示すグラフである。
図28】流量及び圧力の時系列変化を示すグラフである。
図29】トレンド監視による評価手法の例を示す図である。
図30】初期設定モードで表示される画面の例を示す図である。
図31】通常表示モード及び評価結果表示モードで表示可能な画面の例を示す図である。
図32】自己評価結果の表示画面の例を示す図である。
図33】通常表示モード中の設定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る流量センサAを示すものである。流量センサAは、流量計1と制御ユニット7とを備えている。流量計1は、空圧機器に接続されるとともに作動気体の流路を形成する配管100における作動気体の流量を測定する部分である。制御ユニット7は、流量計1を制御するとともに、流量計1から送られてくる各種信号を処理して流量や圧力に換算する換算処理や、空圧機器の動作状態を評価する評価処理等を実行する。
【0028】
配管100は非金属材料からなる非金属配管であり、その材料としては、例えば樹脂材を挙げることができ、樹脂材で構成された場合、樹脂製配管100となる。配管100を構成する樹脂材としては、例えばナイロン、テフロン(登録商標)、ポリウレタン等を挙げることができ、これらのうち、いずれかの材料で構成することが可能である。
【0029】
配管100が接続される空圧機器は、特に限定されるものではなく、複数種の空圧機器が含まれる。すなわち、空圧機器には、例えばエアブロー装置、エアシリンダー装置、吸着搬送装置、着座装置等が含まれており、配管100は、これら複数種の空圧機器のうち、任意の一の空圧機器に接続可能に構成されている。
【0030】
エアブロー装置は、ノズルを有しており、作動気体としての圧縮空気をノズルから噴出させるように構成されている。エアシリンダー装置は、圧縮空気の圧力を利用してロッドをシリンダから進出させたり、後退させたりすることができるように構成されている。進出を押し出しと言うことができ、また後退を引き込みと言うこともできる。
【0031】
吸着搬送装置は、作動気体としての圧縮空気の圧力を利用して負圧力を発生させ、ある場所に載置されているワーク等を吸着して他の場所まで搬送可能に構成されている。着座装置は、作動気体としての圧縮空気を噴出する噴出口を有しており、この噴出口に例えばワーク等が載置されて塞がれたことを検出可能に構成されている。これら空圧機器には、工場エア等の圧縮空気が供給源から所定圧に調整された状態で配管100を介して供給されるようになっている。
【0032】
流量計1と制御ユニット7とは別体とされており、互いに接続線3によって通信可能に接続されている。流量計1と制御ユニット7を別体とすることで、特に流量計1の小型化が可能になり、配管100への設置自由度を向上させることができる。また、本実施形態では、制御ユニット7に図示しない電源から電力が供給され、制御ユニット7に供給された電力が接続線3を介して流量計1に供給されるようになっているが、これに限らず、流量計1に電源から電力が供給されてもよい。尚、流量計1と制御ユニット7とが一体化されていてもよい。
【0033】
まず、流量計1の構成について説明する。本実施形態では、流量計1が超音波信号を利用して流量計測を行う超音波式流量計の場合について説明するが、流量計1は超音波式流量計に限られるものではなく、例えば熱式流量計等の他の測定原理を利用した流量計であってもよい。また、超音波式流量計1は、配管100に対して着脱可能に取り付けられるクランプオン型流量計と、内蔵配管を有する流量計とがあり、本発明はいずれの流量計にも適用できる。つまり、流量計1の構成は以下に述べる構成に限定されるものではなく、どのような構成のものであってもよい。以下、クランプオン型流量計、内蔵配管を有する流量計の順に説明する。
【0034】
(クランプオン型流量計の構成)
図2に示すように、クランプオン型流量計1は、互いに分離可能な第1分割体10と第2分割体20とを備えている。図3及び図4に示すように、第1分割体10及び第2分割体20により、配管100が径方向両側から挟まれるようになっている。また、この実施形態の説明では、配管100の作動気体の流れ方向を基準として、「上流」、「下流」と定義するが、この定義は説明の便宜を図るためだけであり、本発明を限定するものではない。また、図2~4の上側を超音波流量計1の「上」といい、図2~4の下側を超音波流量計1の「下」というものとするが、これも説明の便宜を図るためだけであり、本発明を限定するものではない。
【0035】
図4に示すように、超音波流量計1は、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12と、第1のくさび材14及び第2のくさび材15とを備えている。第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、配管100における作動気体の流量を測定するための測定信号を生成する流量測定素子である。流量はプロセス量の一例であり、従って、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、配管における作動気体のプロセス量に応じた測定信号を生成するプロセス量測定素子の一例である。
【0036】
第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、具体的には、共に超音波信号を送受信する素子として例えば圧電素子等で構成されている。第1の超音波素子11は、配管100の外側において径方向一方(図4の上側)に位置しており、超音波信号を送受信する送受信面11aを有している。また、第2の超音波素子12は、配管100の外側において径方向他方(図4の下側)に位置しており、超音波信号を送受信する送受信面12aを有している。
【0037】
第1のくさび材14は、第1の超音波素子11と配管100との間で超音波信号を伝播するものであり、配管100の外側において第1の超音波素子11と配管100との間に配置されている。第1のくさび材14は、配管100の外面に対向する配管側面14aと、第1の超音波素子11の送受信面11aに対向する素子側面14bとを有している。第1のくさび材14の配管側面14aと、配管100の外面との間には、例えばゴムやグリス等からなる粘弾性体で構成された音響結合材13cが介在している。
【0038】
第2のくさび材15は、第2の超音波素子12と配管100との間で超音波信号を伝播するものであり、配管100の外側において第2の超音波素子12と配管100との間に配置されている。第2のくさび材15は、配管100の外面に対向する配管側面15aと、第2の超音波素子12の送受信面12aに対向する素子側面15bとを有している。第2のくさび材15の配管側面15aと、配管100の外面との間にも音響結合材13cが介在している。
【0039】
第1分割体10は、第1の超音波素子11と、第1のくさび材14と、第1の超音波素子11及び第1のくさび材14を収容する第1筐体30とを備えている。第1筐体30は、第1箱状部31と、第1ベース部32とを有している。第1のくさび材14の周縁部には、第1取付板部14cが設けられている。第1取付板部14cは第1箱状部31ないし第1ベース部32に固定されている。
【0040】
第1ベース部32は、第1箱状部31の下方に配置されて当該第1箱状部31に一体化されている。図3に示すように、第1ベース部32の中央部には、第1開放口32aが形成されている。第1のくさび材14の配管側面14aは、第1開放口32aから下方に臨むように配置される。図2に示すように、第1ベース部32の長手方向両側には、図3に一部のみ示すネジSが挿通するネジ挿通孔32bが形成されている。
【0041】
図4に示すように、第2分割体20は、第2の超音波素子12と、第2のくさび材15と、第2の超音波素子12及び第2のくさび材15を収容する第2筐体40とを備えている。第2筐体40は、第2箱状部41と、第2ベース部42とを有している。図4に示すように、第2ベース部42の中央部には、第2開放口42aが形成されている。第2のくさび材15の配管側面15aは、第2開放口42aから上方に臨むように配置される。
【0042】
図2に示すように、第2ベース部42の長手方向両側は、第2箱状部41から延出するように形成されている。第2ベース部42の長手方向両側には、第1ベース部32のネジ挿通孔32bに挿通したネジSが挿通するネジ挿通孔42bが形成されている。ネジ挿通孔42bに挿通したネジSには、図示しないナットが螺合するようになっている。図4に示すように、超音波流量計1の第1筐体30及び第2筐体40は、配管100を径方向に挟むように配置されてネジS(図3に示す)により互いに結合される。
【0043】
図4に示すように、超音波流量計1は、第1回路基板51及び第2回路基板52を更に備えている。第1回路基板51は、第1の超音波素子11と接続され、また、第2回路基板52は、第2の超音波素子12と接続されている。
【0044】
図示しないが、超音波流量計1は、配管100における作動気体の圧力を測定するための測定信号を生成する圧力測定素子を備えていてもよい。圧力測定素子は、例えばひずみゲージ等で構成されており、作動気体の圧力を電気信号に変換して出力するように構成されている。圧力測定素子は、超音波流量計1の本体部分と一体化されていてもよいし、別体とされていてもよい。
【0045】
(内蔵配管を有する流量計の構成)
図5及び図6は、内蔵配管13を有している流量計(配管内蔵型流量計という)1Aであり、クランプオン型の流量計1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0046】
図5に示すように、配管内蔵型流量計1Aは、内蔵配管13も構成要素の一部として含んでおり、上流側外部配管101と下流側外部配管102との間に設けられる。上流側外部配管101は、配管内蔵型流量計1Aよりも上流側に位置する外部配管であり、また、下流側外部配管102は、配管内蔵型流量計1Aよりも下流側に位置する外部配管である。上流側外部配管101及び下流側外部配管102は、配管100と同様な材料からなる。
【0047】
配管内蔵型流量計1Aを設置する際には、既存の配管の一部を切断した後、切断部よりも上流側を上流側外部配管101とし、切断部よりも下流側を下流側外部配管102として配管内蔵型流量計1Aを上流側外部配管101と下流側外部配管102との間に設置することが可能である。つまり、配管内蔵型流量計1Aは既存の配管を切断して設置することが可能である。尚、配管内蔵型流量計1Aは、空圧機器の新設時に当該空圧機器に組み込むこともできる。
【0048】
内蔵配管13は、作動気体が流れる流路を形成するとともに、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12から送信された超音波信号を減衰する部材からなり、ダンピング配管と呼ぶこともできる。具体的には、内蔵配管13は、超音波信号の減衰能を有する材料として、例えばナイロン、テフロン、ポリウレタン等からなり、第1のくさび材14及び第2のくさび材15を構成する材料よりも軟質な材料で構成されている。
【0049】
第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、内蔵配管13の外側に位置している。第1のくさび材14は、第1の超音波素子11と内蔵配管13との間に配置されている。内蔵配管13と第1のくさび材14との間には、音響結合材13cが介在している。第2のくさび材15は、第2の超音波素子12と内蔵配管13との間に配置されている。したがって、作動気体の流量は、内蔵配管13の流路を流れている時に測定される。
【0050】
配管内蔵型流量計1Aは、作動気体の流れ方向に長い形状のセンタブロック2をさらに備えている。センタブロック2は、例えば金属や硬質樹脂等の高剛性な部材からなるものである。内蔵配管13は、センタブロック2を構成する材料よりも軟質な材料で構成されていて、センタブロック2を構成する材料よりも超音波信号の減衰能が高くなっている。
【0051】
センタブロック2には、内蔵配管13が差し込まれる差込孔29が作動気体の流れ方向に貫通するように形成されている。内蔵配管13の上流側部分及び下流側部分は、差込孔29に差し込まれた状態でセンタブロック2に固定される。また、第1のくさび材14及び第2のくさび材15も、センタブロック2に固定されている。
【0052】
センタブロック2には、第1のくさび材14の内蔵配管13側が差し込まれる第1開口部25が形成されている。図6に示すように、第1のくさび材14には、センタブロック2の外面に重ね合わされる第1フランジ部14cが形成されている。第1フランジ部14cには、第1ホルダ16が重ね合わされている。第1ホルダ16には、固定用のネジ(図示せず)が挿通するネジ挿通孔16aが形成されている。ネジ挿通孔16aに挿通されたネジは、第1のくさび材14の第1フランジ部14cを貫通してセンタブロック2にねじ込まれる。これにより、第1のくさび材14がセンタブロック2に締結固定される。
【0053】
また、センタブロック2には、第2のくさび材15の内蔵配管13側が差し込まれる第2開口部26が形成されている。図6に示すように、第2のくさび材15には、センタブロック2の外面に重ね合わされる第2フランジ部15cが形成されている。第2フランジ部15cには、第2ホルダ17が重ね合わされている。第2ホルダ17には、固定用のネジ(図示せず)が挿通するネジ挿通孔(図示せず)が形成されている。従って、第1のくさび材14と同様に、第2のくさび材15をセンタブロック2に締結固定できる。
【0054】
図5に示すように、配管内蔵型流量計1Aは、上流側接続部60及び下流側接続部61と、上流側管路部材62及び下流側管路部材63とをさらに備えている。作動気体の流れ方向上流側から下流側に向かって、上流側接続部60、上流側管路部材62、内蔵配管13、下流側管路部材63及び下流側接続部61が順に配置されている。尚、上流側管路部材62及び下流側管路部材63は必要に応じて設けられるものであり、省略してもよい。
【0055】
内蔵配管13の上流側部分及び下流側部分の外面には、それぞれOリングからなる上流側配管シール材13a及び下流側配管シール材13bが密着するように設けられている。上流側配管シール材13aは、差込孔29の上流側の内面に密着するようになっており、上流側配管シール材13aによって内蔵配管13の上流側部分と差込孔29との間がシールされるようになっている。また、下流側配管シール材13bは、差込孔29の下流側の内面に密着するようになっており、下流側配管シール材13bによって内蔵配管13の下流側部分と差込孔29との間がシールされるようになっている。
【0056】
上流側接続部60は、上流側外部配管101の流路と内蔵配管13の流路とが連通するように、上流側外部配管101を接続するための部材である。上流側接続部60の下流側の外周面には、例えばネジ山60aが形成されており、このネジ山60aをセンタブロック2の差込孔29の上流側の内周面に形成されているネジ溝29aに螺合させることで、上流側接続部60がセンタブロック2に対して気密に接続される。
【0057】
上流側接続部60は、いわゆるワンタッチフィッティング、配管フィッティング等と呼ばれている接続構造を構成する部材であり、上流側外部配管101をワンタッチ操作、即ち、工具等を用いることなく、接続したり、その接続を解除することが可能なものである。上流側接続部60の構成は、上述した構成に限られるものではなく、各種フィッティング構造を採用することができる。また、上流側接続部60の形状も任意に設定することができる。
【0058】
下流側接続部61は、下流側外部配管102の流路と内蔵配管13の流路の下流側とが連通するように、下流側外部配管102を接続するための部材である。下流側接続部61は、上流側接続部60と同様に構成されており、下流側の外周面に形成されているネジ山61aをセンタブロック2の差込孔29の下流側の内周面に形成されているネジ溝29bに螺合させることで、下流側接続部61がセンタブロック2に対して気密に接続されるようになっている。尚、上流側接続部60及び下流側接続部61は、ネジ以外の固定構造を用いてセンタブロック2に固定することも可能である。
【0059】
上流側管路部材62は、内蔵配管13と上流側接続部60との間に設けられ、内蔵配管13の流路と上流側外部配管101の流路とを連通させるための部材である。具体的には、上流側管路部材62は、円筒状をなしており、センタブロック2の差込孔29の上流側に差し込まれた状態で保持されている。上流側管路部材62の流路の上流側は、上流側接続部60の流路と連通し、また、上流側管路部材62の流路の下流側は、内蔵配管13の流路と連通している。
【0060】
下流側管路部材63は、内蔵配管13と下流側接続部61との間に設けられ、内蔵配管13の流路と下流側外部配管102の流路とを連通させるための部材である。具体的には、下流側管路部材63は、円筒状をなしており、センタブロック2の差込孔29の下流側に差し込まれた状態で保持されている。下流側管路部材63の流路の下流側は、下流側接続部61の流路と連通し、また、下流側管路部材63の流路の上流側は、内蔵配管13の流路と連通している。
【0061】
配管内蔵型流量計1Aは、回路基板65を更に備えている。回路基板65には、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12が接続されている。さらに、回路基板65には、内蔵配管13における作動気体の圧力を測定するための測定信号を生成する圧力測定素子66が実装されている。
【0062】
センタブロック2の上流側部分には、圧力測定素子66の受圧部66aが嵌合する筒状部22が内蔵配管13の管軸線Xに対して直交する方向へ突出するように設けられている。筒状部22の内面と受圧部66aの外面との間には、Oリングからなるセンサ部シール材23が設けられおり、センサ部シール材23によって筒状部22と受圧部66aとの間の気密性が確保されるようになっている。
【0063】
さらに、センタブロック2の上流側部分には、内蔵配管13と上流側接続部60との間に、内蔵配管13の流路に連通する連通路24が設けられている。連通路24は、上流側管路部材62の周壁を貫通する第1通路62bと、当該第1通路62bと連通し、圧力測定素子66の受圧部66aに達するまで延びる第2通路2aとを含んでいる。第1通路62bは、センタブロック2の差込孔29の内部において上流側配管シール材13aと上流側接続部60の間の部分に連通している。また、第2通路2aも、センタブロック2の差込孔29の内部において上流側配管シール材13aと上流側接続部60の間の部分に連通している。これにより、内蔵配管13の流路は、連通路24を介して筒状部22の内部と連通し、圧力測定素子66の受圧部66aが連通路24に臨むように設けられることになる。尚、図示しないが、圧力測定素子66を内蔵配管13の下流側に設けてもよい。
【0064】
(制御ユニットの構成)
制御ユニット7は図1に示している。図4に示すクランプオン型流量計1が接続される制御ユニット7と、図5に示す配管内蔵型流量計1Aが接続される制御ユニット7とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。図4に示すクランプオン型流量計1の第1回路基板51及び第2回路基板52は、接続線3を介して制御ユニット7に接続可能である。また、図5に示す配管内蔵型流量計1Aの回路基板65は、接続線3を介して制御ユニット7に接続可能である。
【0065】
制御ユニット7は、細長い形状の筐体7Aを備えている。さらに、図7に示すように、制御ユニット7は、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12を制御する制御部70と、プロセス量決定部71と、ユーザの各種操作を受け付ける受付部72と、プロセス量決定部71により決定したプロセス量に基づき自己の動作又は空圧機器を評価する評価部73と、各種情報を表示する表示部74と、記憶部75とを備えている。プロセス量には、作動気体の流量及び圧力が含まれているが、これら以外の状態量が含まれていてもよい。
【0066】
制御部70、プロセス量決定部71、受付部72及び評価部73は、記憶部75等に予め記憶されたプログラムに従って動作するマイクロコンピュータ等を含んでいる。制御部70、プロセス量決定部71、受付部72及び評価部73の全てが同じマイクロコンピュータ等によって構成されていてもよいし、異なるマイクロコンピュータ等によって構成されていてもよい。
【0067】
受付部72は、上述したマイクロコンピュータ等の他、表示部74に表示させる2つの表示モードのうち、どちらを表示させるかを切り替えるための切替用の切替スイッチ72aと、設定時の操作を行うための操作ボタン72bとを含んで構成されている。切替スイッチ72aと操作ボタン72bとは別に設けられている。詳細は後述するが、図31に示すように、表示モードは、プロセス量決定部71により決定したプロセス量を表示する通常表示モードと、評価部73により評価した結果を表示する評価結果表示モードとの2つのモードがある。切替スイッチ72aは、通常表示モードと評価結果表示モードとを操作に応じて交互に切り替えるための部材である。
【0068】
図1に示すように、本実施形態の切替スイッチ72aは操作つまみ72cを有するスライドスイッチである。切替スイッチ72aは、操作つまみ72cのスライド方向が筐体7Aの長手方向と一致するように配設されているが、操作つまみ72cのスライド方向が筐体7Aの短手方向と一致するように配設されていてもよい。操作つまみ72cは、図1の矢印A1方向に移動した第1の位置から図1の矢印A2方向に移動した第2の位置へスライド可能であるとともに、第2の位置から第1の位置へスライド可能になっている。これら2つのポジションのみ取り得るようにスライドスイッチが構成されている。よって、ユーザが操作つまみ72cをスライド操作すると、操作つまみ72cが第1の位置と第2の位置の一方にのみ位置することになる。第1の位置に通常表示モードが割り当てられ、第2の位置に評価結果表示モードが割り当てられているが、これは反対であってもよい。
【0069】
切替スイッチ72aは、図示しないがトグルスイッチであってもよい。トグルスイッチの操作つまみは、第1の位置から第2の位置へ揺動可能であるとともに、第2の位置から第1の位置へ揺動可能になっている。トグルスイッチも操作つまみが2つのポジションのみ取り得るように構成されているので、ユーザが操作つまみを揺動させると、第1の位置と第2の位置の一方にのみ位置することになる。トグルスイッチの場合も、第1の位置に通常表示モードが割り当てられ、第2の位置に評価結果表示モードが割り当てられているが、これは反対であってもよい。
【0070】
操作ボタン72bは、1つであってもよいし、2つ以上であってもよく、例えば複数の選択肢やメニューがある場合にそれらを順に送る操作を行うための第1の操作ボタンと、選択した項目を決定操作するための第2の操作ボタンとが操作ボタン72bに含まれていてもよい。操作ボタン72bは、切替スイッチ72aと同様に筐体7Aの上面に設けられている。
【0071】
表示部74は、例えば有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ等で構成されており、制御部70によって制御される。表示部74も図1に示すように筐体7Aの上面に設けられており、筐体7Aの長手方向に長い形状となっている。詳細は後述するが、表示部74は、通常表示モード及び評価結果表示モードのうち、切替スイッチ72aによる切り替えに対応した表示モードの表示を行う部材である。切替スイッチ72aが第1の位置に切り替わると、表示部74は評価結果表示モードを表示せず、通常表示モードのみを表示する一方、切替スイッチ72aが第2の位置に切り替わると、表示部74は通常表示モードを表示せず、評価結果表示モードのみを表示する。
【0072】
表示部74と切替スイッチ72aとは、筐体7Aの長手方向に延びる面において当該長手方向に並んで設けられている。表示部74の近傍に切替スイッチ72aが配置されており、これにより、切替スイッチ72aは表示部74の表示モードを切り替えるためのスイッチであることが直感的に分かりやすくなる。また、表示部74の長手方向と、切替スイッチ72aの操作つまみ72cのスライド方向とが一致するように、表示部74の向きと操作つまみ72cのスライド方向とが設定されている。尚、表示部74と切替スイッチ72aとは、筐体7Aの別の面に設けてもよい。また、表示部74の長手方向と、切替スイッチ72aの操作つまみ72cのスライド方向とは一致していなくてもよい。
【0073】
また、表示部74の一部を切替スイッチとして利用してもよい。例えば、表示部74にタッチセンサを設けるとともに、第1の位置及び第2の位置を示す表示をしておき、ユーザが表示部74上の第1の位置に触れ、そのことがタッチセンサによって検知された場合には、切替スイッチが第1の位置に操作されたものとし、一方、ユーザが表示部74上の第2の位置に触れ、そのことがタッチセンサによって検知された場合には、切替スイッチが第2の位置に操作されたものとする。これにより、スライドスイッチやトグルスイッチ以外のスイッチで切替スイッチを構成することができる。
【0074】
また、記憶部75には、上記プログラムや表示部74に表示させる表示画面情報等が記憶されている。
【0075】
制御部70によって制御された第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、所定の超音波信号を送信する。また、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12で受信された超音波信号は、プロセス量決定部71に送信される。
【0076】
プロセス量決定部71は、流量演算部71aを含んでいる。流量演算部71aは、第1の超音波素子11と第2の超音波素子12との間で送受信する超音波信号のうち、配管100で励起される縦波の伝播時間差に基づいて配管100内の気体の流量を演算する部分である。流量演算部71aは、伝播時間差式の流量演算部で構成することができ、第1の超音波素子11と第2の超音波素子12との間で送受信する超音波信号は、流量演算部71aに入力される。
【0077】
図4に示すように、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、配管100の管軸線Xに対して傾斜しているので、配管100内を流れる作動気体に超音波が斜めに通ることになる。第1の超音波素子11は、流れに逆らった方向に超音波信号を送信し、第2の超音波素子12は、作動気体の流れに沿った方向に超音波信号を送信する。このように、作動気体の流れに沿った方向と流れに逆らった方向とに超音波信号を送信してそれぞれ検出することで、作動気体の流れに沿った方向と流れに逆らった方向と超音波信号の伝播時間に差が生じることになる。
【0078】
具体的には、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、制御部70によって制御されることで間欠的にバースト波超音波信号(数MHzオーダの超音波パルスが例えば10個程度の塊となっている信号)を出射する。流量演算部71aは、受信した波形を当該流量演算部71aのA/Dコンバータで高速サンプリングする。流量演算部71aは、往路受信波形と復路受信波形とをそれぞれの出射時点の時刻を原点として位置合わせし、その状態から時間方向に相対的にずらしながら波形形状のマッチングを行い、マッチング度が極大となる時間シフト量を伝播時間差として決定する。流量演算部71aは、決定した伝播時間差から流速・流量を算出する。流量演算部71aが算出する流量は、瞬時流量であってもよく、積算流量であってもよい。流量演算部71aが算出した流量が、プロセス量決定部71によってプロセス量の一つして決定される。
【0079】
流量演算部71aは、作動気体の圧力を使用することで、質量流量を算出することもできる。すなわち、プロセス量決定部71は、圧力演算部71bを含んでいる。圧力演算部71bには、圧力測定素子66から出力された測定信号が入力される。圧力演算部71bは、圧力測定素子66から入力された測定信号に基づいて作動気体の圧力を算出する。圧力演算部71bが算出した圧力が、プロセス量決定部71によって流量とは別のプロセス量として決定される。圧力演算部71bが算出した圧力を流量演算部71aが取得することで、質量流量の算出が可能になる。
【0080】
本発明のプロセス量測定素子には、配管100における作動気体の流量を測定するための測定信号を生成する第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12と、配管100における作動気体の圧力を測定するための測定信号を生成する圧力測定素子66とが含まれている。
【0081】
流量演算部71aが質量流量を算出する際、図5に示す内蔵配管13の流路を流れる作動気体の温度を測定する温度センサを設けておき、温度センサによって検出された作動気体の温度を用いてもよいし、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12で受信した超音波信号に基づいて音速を算出し、算出された音速から温度を推定し、質量流量の算出に用いてもよい。
【0082】
受付部72は、配管100に接続された空圧機器の種別の選択をユーザから受け付ける部分である。具体的には、流量センサAの運用を開始する前の設定時には、制御部70が、図8に示すようなアプリケーション選択画面200を生成して表示部74に表示させる。アプリケーション選択画面200は、評価部73で評価する空圧機器をユーザが選択するための画面である。図8中の矢印で示しているように、アプリケーション選択画面200には、操作ボタン72bを操作すると、エアブロー選択画面201、エアシリンダー選択画面202、吸着搬送選択画面203、着座選択画面204が順番に表示される。表示される順番や数は、これに限られるものはない。
【0083】
エアブロー選択画面201には、エアブロー装置を模式的に示す図が表示される図表示領域201aと、エアブロー装置を示す文字が表示される文字表示領域201bとが表示される。また、エアシリンダー選択画面202には、エアシリンダー装置を模式的に示す図が表示される図表示領域202aと、エアシリンダー装置を示す文字が表示される文字表示領域202bとが表示される。また、吸着搬送選択画面203には、吸着搬送装置を模式的に示す図が表示される図表示領域203aと、吸着搬送装置を示す文字が表示される文字表示領域203bとが表示される。また、着座選択画面204には、着座装置を模式的に示す図が表示される図表示領域204aと、着座装置を示す文字が表示される文字表示領域204bとが表示される。ユーザは、配管100に接続された空圧機器がアプリケーション選択画面200に表示されるまで操作ボタン72bにより送り操作を行い、配管100に接続された空圧機器がアプリケーション選択画面200に表示された状態で、操作ボタン72bによって決定操作を行うと、アプリケーション選択画面200に表示されている空圧機器が選択されて受付部72によって受け付けられる。
【0084】
(評価部の構成)
評価部73は、プロセス量決定部71により決定したプロセス量に基づき自己の動作又は空圧機器の動作を示す特徴量を決定し、当該特徴量に基づいて自己の動作又は空圧機器の動作を評価する部分である。「自己」とは流量センサ1のことであり、自己の動作を評価することを自己診断ともいう。また、空圧機器には複数種の空圧機器が含まれていることから、評価部73は、複数種の空圧機器の動作を個別に評価する。空圧機器の動作を評価することを空圧機器の診断ともいう。評価部73は、自己の動作のみを評価してもよいし、空圧機器の動作のみを評価してもよいし、自己の動作と空圧機器の動作の両方を評価してもよい。
【0085】
本実施形態では、プロセス量に流量と圧力とが含まれているので、評価部73は、特徴量を決定する際、流量と圧力との組み合わせに基づき自己の動作又は空圧機器の動作を示す特徴量を決定する。すなわち、評価部73は、プロセス量決定部71が第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12から出力された測定信号に基づいて決定した流量と、プロセス量決定部71が圧力測定素子66から出力された測定信号に基づいて決定した圧力との組み合わせに基づき自己の動作又は空圧機器の動作を示す特徴量を決定し、当該特徴量に基づいて、自己の動作又は配管100が接続された空圧機器の動作を評価する。評価部73が特徴量を決定する際には、配管100に接続された空圧機器の種別に応じた特徴量を決定する。配管100に接続された空圧機器の種別は、受付部72で受け付けた空圧機器の種別とすることができ、従って、評価部73は、受付部72で受け付けた空圧機器の種別に応じた特徴量を決定する。
【0086】
以下、配管100に接続された空圧機器ごとに詳細に説明する。まず、配管100にエアブロー装置が接続されている場合について説明する。配管100に接続されているエアブロー装置が作動状態(ブロー状態)にあるか、それとも停止状態(非ブロー状態)にあるかは、配管100における作動気体の流量に基づいて判定する。図9は、エアブロー装置の作動状態を判定するための処理手順を示すフローチャートである。ステップSA1では、評価部73が、プロセス量決定部71で決定した作動気体の流量を取得する。尚、評価部73が作動気体の流量を演算して取得してもよい。
【0087】
その後、ステップSA2では、ステップSA1で取得した流量が所定の閾値を超えるか否かを判定する。ステップSA1で取得した流量が所定の閾値を超える場合には作動気体の流量が多く、作動気体がブローに利用されていると推定されるので、ステップSA3に進み、エアブロー装置がブロー状態であると判定し、終了する。一方、ステップSA1で取得した流量が所定の閾値以下である場合にはステップSA4に進み、エアブロー装置が停止状態であると判定し、終了する。すなわち、この所定の閾値とは、作動気体がブローに利用されているか否かを判定することが可能な閾値である。
【0088】
また、評価部73は、エアブロー装置の動作を評価する際の基準となる評価基準値を決定する基準値決定処理を実行する。評価基準値は、エアブロー装置が外部からのトリガ信号の入力によって動作を繰り返している時に、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12で測定された複数の流量と、圧力測定素子66で測定された複数の圧力を用いて決定する。具体的には、エアブロー装置を動作させる際のトリガ信号を制御ユニット7が受信し、トリガ信号を受信したタイミングを開始タイミングとして、評価基準値の信頼度が所定の信頼度以上となるまで、複数の異なるタイミングで取得された流量及び圧力を用いて基準値決定処理を繰り返し実行する。例えば、エアブロー装置がブロー状態にあることはトリガ信号の受信によって検出でき、エアブロー装置がブロー状態にあるときの作動気体の流量及び圧力を計測して記憶する。これを複数回繰り返すことで、エアブロー装置がブロー状態にあるときの作動気体の流量及び圧力が概ね定まっていき、回数を経ても変動が小さくなった時点で、その時の流量及び圧力を評価基準値とする。この評価基準値は、記憶部75に記憶させておき、内部値として使用する。なお、この繰り返し実行回数は応答時間とトレードオフになるので、ユーザ側で回数を変更できるようにしてもよい。
【0089】
基準値決定処理は、ラーニング処理、ティーチング処理を呼ぶこともできる。基準値決定処理は、一度完了した後に、ユーザからの再実行指示によって再度実行させることが可能になっている。また、基準値決定処理は、ユーザからの中止指示によって中止させることが可能になっている。
【0090】
評価基準値は、表示部74に表示させる流量及び圧力の表示値を100%にする際の基準となる。すなわち、図10のFIG.10Aに示すように、制御部70は、エアブロー装置用の測定値表示画面210を生成して表示部74に表示させる。測定値表示画面210には、エアブロー装置であることを模式的に示す図が表示される図表示領域210aと、「F」で示す流量と、「P」で示す圧力とが個別に表示される測定値表示領域210bとが設けられている。測定値表示画面210に表示される流量と圧力が表示値であり、この表示値を100%にする際の基準として上記評価基準値が使用される。
【0091】
FIG.10Bは、流量の閾値設定画面211であり、ユーザが閾値設定操作を行うと、制御部70が流量の閾値設定画面211を生成して表示部74に表示させる。流量の閾値設定画面211には、FIG.10Aに示す測定値表示領域210bに表示されている流量の表示値が表示される流量表示領域211aと、評価を行う際の閾値が表示される閾値表示領域211bとが設けられている。
【0092】
FIG.10Cは、流量の閾値設定画面212であり、ユーザが閾値設定操作を行うと、制御部70が圧力の閾値設定画面212を生成して表示部74に表示させる。圧力の閾値設定画面212には、FIG.10Aに示す測定値表示領域210bに表示されている圧力の表示値が表示される圧力表示領域212aが設けられている。
【0093】
配管100にエアブロー装置が接続されている場合、評価部73は、エアブロー装置の動作を示す特徴量を、エアブロー装置が有するノズルから噴出する圧縮空気の質量流量であるブロー量として決定し、当該ブロー量に基づいてエアブロー装置の動作を評価する。評価部73が特徴量を決定する際には、流量の時系列データと、圧力の時系列データとの組み合わせに基づいて決定する。
【0094】
例えば、評価部73は、ブロー量が所定ブロー量以下となり、かつ、圧力測定素子66により測定した圧力が基準圧以上である場合には、エアブロー装置が有するノズルの詰まりであると評価する一方、ブロー量が所定ブロー量以下となり、かつ、圧力測定素子66により測定した圧力が基準圧未満である場合には、エアブロー装置に供給される圧縮空気の圧力低下であると評価する。エアブロー装置に供給される圧縮空気の圧力低下のことを元圧低下と呼ぶ。
【0095】
評価部73によるエアブロー装置の動作の評価について、図11に基づいてより具体的に説明する。図11のFIG.11Aは、エアブロー装置のノズルの詰まりを評価する場合を説明するグラフであり、上のグラフは、縦軸が流量、横軸が時間であり、よって流量の時系列データを示している。下のグラフは、縦軸が圧力、横軸が時間であり、よって圧力の時系列データを示している。エアブロー装置のノズルが詰まると、上のグラフに示すように作動気体の流量が低下して所定ブロー量(破線で示す)以下となるが、下のグラフに示すように圧力は基準圧力(破線で示す)に対して変わらないか、上昇していく。よって、流量と圧力の両方に基づくことで、エアブロー装置のノズルの詰まりを正確に評価できる。
【0096】
FIG.11Bは、元圧を評価する場合を説明するグラフであり、上のグラフは、縦軸が流量、横軸が時間であり、よって流量の時系列データを示している。下のグラフは、縦軸が圧力、横軸が時間であり、よって圧力の時系列データを示している。エアブロー装置の元圧低下が起こると、上のグラフに示すように作動気体の流量が低下して所定ブロー量(破線で示す)以下になるとともに、下のグラフに示すように圧力が基準圧力(破線で示す)未満になる。よって、流量と圧力の両方に基づくことで、エアブロー装置の元圧低下を正確に評価できる。
【0097】
評価部73がエアブロー装置のノズルの詰まりであると評価すると、制御部70は、図12のFIG.12Aに示すように、ノズルに詰まりが生じていることを表すアラーム画面220を生成して表示部74に表示させる。評価部73がエアブロー装置の元圧低下であると評価すると、制御部70は、図12のFIG.12Bに示すように、元圧低下が生じていることを表すアラーム画面221を生成して表示部74に表示させる。
【0098】
次に、配管100にエアシリンダー装置が接続されている場合について説明する。配管100に接続されているエアシリンダー装置のロッドが進出状態、後退状態、停止状態のいずれにあるかは、作動気体の流量と圧力に基づいて判定する。図13は、エアシリンダー装置の作動状態を判定する処理手順を示すフローチャートであり、ステップSB1では、評価部73が、プロセス量決定部71で決定した作動気体の流量及び圧力を取得する。評価部73が流量及び圧力を演算して取得してもよい。
【0099】
ステップSB2では、ステップSB1で取得した流量及び圧力がそれぞれ流量判定用閾値及び圧力判定用閾値を超えるか否かを判定する。流量が流量判定用閾値を超え、圧力が圧力判定用閾値を超えている場合(ステップSB3の場合)には、ステップSB4に進み、エアシリンダー装置が進出状態と判定し、終了する。流量が流量判定用閾値を超え、圧力が圧力判定用閾値を以下の場合(ステップSB5の場合)には、ステップSB6に進み、エアシリンダー装置が後退状態と判定し、終了する。流量が流量判定用閾値以下、圧力が圧力判定用閾値を超えている場合(ステップSB7の場合)には、ステップSB8に進み、エアシリンダー装置が停止状態と判定し、終了する。流量が流量判定用閾値以下、圧力が圧力判定用閾値を以下の場合(ステップSB9の場合)には、ステップSB10に進み、エアシリンダー装置が停止状態と判定し、終了する。
【0100】
また、評価部73は、エアシリンダー装置の動作を評価する際の基準となる評価基準値を決定する基準値決定処理を実行する。評価基準値は、エアシリンダー装置が動作を繰り返している時に、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12及び圧力測定素子66でそれぞれ測定された複数の流量及び圧力を用いて決定する。具体的には、エアシリンダー装置を動作させる際のトリガ信号を制御ユニット7が受信し、トリガ信号を受信したタイミングを開始タイミングとして、評価基準値の信頼度が所定の信頼度以上となるまで、複数の異なるタイミングで取得された流量及び圧力を用いて基準値決定処理を繰り返し実行する。例えば、エアシリンダー装置が進出状態、後退状態、停止状態のいずれにあるかはトリガ信号の受信によって検出でき、エアシリンダー装置が進出状態にあるとき、後退状態にあるとき、停止状態にあるときのそれぞれについて作動気体の流量及び圧力を計測して記憶する。これを複数回繰り返すことで、エアシリンダー装置が進出状態、後退状態、停止状態のそれぞれにあるときの作動気体の流量及び圧力が概ね定まっていき、回数を経ても変動が小さくなった時点で、その時の流量及び圧力を各評価基準値とする。各評価基準値は、記憶部75に記憶させておき、内部値として使用する。
【0101】
評価基準値は、表示部74に表示させる流量及び圧力の表示値を100%にする際の基準となる。すなわち、図14のFIG.14Aに示すように、制御部70は、エアシリンダー装置用の測定値表示画面230を生成して表示部74に表示させる。測定値表示画面230には、エアシリンダー装置であることを模式的に示す図が表示される図表示領域230aと、「L」で示すリーク量と、「F」で示す推力余裕度とが個別に表示される測定値表示領域230bとが設けられている。測定値表示画面230に表示されるリーク量と推力余裕度が表示値であり、推力余裕度の表示値を100%にする際の基準として上記評価基準値が使用される。
【0102】
ここで、エアシリンダー装置のリーク量及び推力余裕度について説明する。まず、エアシリンダー装置の動作と、作動気体の流量及び圧力との関係について図15に基づいて説明する。作動気体を所定量、エアシリンダー装置に供給することでロッドを後退させ、作動気体を所定量、エアシリンダー装置から排出することでロッドを進出させることができる。作動気体のリークが無い理想的なエアシリンダー装置の場合、ロッドが停止状態にあるときには作動気体の流量が0になる。しかし、図16に示すように、エアシリンダー装置のパッキンが劣化している等の理由によって作動気体がリークしていると、ロッドが停止状態であるにも関わらず、流量が0にならない。つまり、リーク量とは、エアシリンダー装置が停止状態にあるときの作動流体の流量であり、エアシリンダー装置のパッキンが劣化するとリーク量が多くなる。尚、リーク量が0のエアシリンダー装置を製造するのは困難であるため、新品のエアシリンダー装置であっても僅かなリークは生じており、これを考慮して閾値が設定される。
【0103】
また、図15の下側の図(圧力変化を示すグラフ)に示しているように、エアシリンダー装置の場合、作動気体の圧力によって全推力が定まる。その全推力のうち、仕事に利用される分が一部であるとすると、残りの推力が推力余裕度となる。推力余裕度は、進出時の圧力と停止時の圧力との比率によって求めることができる。図17に示すように、負荷が増大すると、推力余裕度が減少することになる。負荷は、例えばロッドの曲がり等に起因して増大することがある。
【0104】
図14のFIG.14Bは、リーク量の閾値設定画面231であり、ユーザが閾値設定操作を行うと、制御部70がリーク量の閾値設定画面231を生成して表示部74に表示させる。リーク量の閾値設定画面231には、FIG.14Aに示す測定値表示領域230bに表示されているリーク量の表示値が表示されるリーク量表示領域231aと、評価を行う際の閾値が表示される閾値表示領域231bとが設けられている。
【0105】
FIG.14Cは、推力余裕度の閾値設定画面232であり、ユーザが閾値設定操作を行うと、制御部70が推力余裕度の閾値設定画面232を生成して表示部74に表示させる。推力余裕度の閾値設定画面232には、FIG.14Aに示す測定値表示領域230bに表示されている推力余裕度の表示値が表示される推力余裕度表示領域232aと、評価を行う際の閾値が表示される閾値表示領域232bとが設けられている。
【0106】
配管100にエアシリンダー装置が接続されている場合、評価部73は、エアシリンダー装置の動作を示す特徴量を、エアシリンダー装置のリーク量と、エアシリンダー装置の推力余裕度として決定し、当該リーク量と推力余裕度とに基づいてエアシリンダー装置の動作を評価する。例えば、評価部73は、エアシリンダー装置の停止時におけるリーク量が所定リーク量以上である場合には、エアシリンダー装置が有するパッキンの劣化であると評価する。また、評価部73は、エアシリンダー装置の推力余裕度が所定未満になると、推力余裕度が低下したと評価する。
【0107】
評価部73がエアシリンダー装置のパッキンが劣化している(リーク量が増加している)と評価すると、制御部70は、図18のFIG.18Aに示すように、リーク量が増加していることを表すアラーム画面240を生成して表示部74に表示させる。評価部73がエアシリンダー装置の推力余裕度が低下したと評価すると、制御部70は、図18のFIG.18Bに示すように、推力余裕度が低下したことを表すアラーム画面241を生成して表示部74に表示させる。
【0108】
次に、配管100に吸着搬送装置が接続されている場合について説明する。配管100に接続されている吸着搬送装置が吸着状態、吸引状態、開放状態のいずれにあるかは、作動気体の流量と圧力に基づいて判定する。図19は、吸着搬送装置の作動状態を判定する処理手順を示すフローチャートであり、ステップSC1では、評価部73が、プロセス量決定部71で決定した作動気体の流量及び圧力を取得する。ステップSC2では、ステップSC1で取得した流量及び圧力がそれぞれ流量判定用閾値及び圧力判定用閾値を超えるか否かを判定する。流量が流量判定用閾値を超え、圧力が圧力判定用閾値を超えている場合(ステップSC3の場合)には、ステップSC4に進み、吸着搬送装置が吸引状態であると判定し、終了する。流量が流量判定用閾値を超え、圧力が圧力判定用閾値を以下の場合(ステップSC5の場合)には、ステップSC6に進み、吸着搬送装置が吸着状態であると判定し、終了する。流量が流量判定用閾値以下、圧力が圧力判定用閾値を超えている場合(ステップSC7の場合)には、ステップSC8に進み、吸着搬送装置が開放状態であると判定し、終了する。
【0109】
また、評価部73は、吸着搬送装置の動作を評価する際の基準となる評価基準値を決定する基準値決定処理を実行する。評価基準値は、吸着搬送装置が動作を繰り返している時に、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12及び圧力測定素子66でそれぞれ測定された複数の流量及び圧力を用いて決定する。具体的には、吸着搬送装置を動作させる際のトリガ信号を制御ユニット7が受信し、トリガ信号を受信したタイミングを開始タイミングとして、評価基準値の信頼度が所定の信頼度以上となるまで、複数の異なるタイミングで取得された流量及び圧力を用いて基準値決定処理を繰り返し実行する。例えば、吸着搬送装置が吸着状態、吸引状態、開放状態のいずれにあるかはトリガ信号の受信によって検出でき、吸着搬送装置が吸着状態にあるとき、吸引状態にあるとき、開放状態にあるときのそれぞれについて作動気体の流量及び圧力を計測して記憶する。これを複数回繰り返すことで、吸着搬送装置が吸着状態、吸引状態、開放状態のそれぞれにあるときの作動気体の流量及び圧力が概ね定まっていき、回数を経ても変動が小さくなった時点で、その時の流量及び圧力を各評価基準値とする。各評価基準値は、記憶部75に記憶させておき、内部値として使用する。
【0110】
評価基準値は、表示部74に表示させる流量及び圧力の表示値を100%にする際の基準となる。すなわち、図20のFIG.20Aに示すように、制御部70は、吸着搬送装置用の測定値表示画面250を生成して表示部74に表示させる。測定値表示画面250には、吸着搬送装置であることを模式的に示す図が表示される図表示領域250aと、「S」で示す吸着速度と、「P」で示す吸着力とが個別に表示される測定値表示領域250bとが設けられている。測定値表示画面250に表示される吸着速度と吸着力が表示値であり、これら表示値を100%にする際の基準として上記評価基準値が使用される。
【0111】
ここで、吸着搬送装置の動作と、作動気体の流量及び圧力との関係について図21に基づいて説明する。吸引中は作動気体の流量が多くなっており、ワークを吸着すると作動気体の流量は0になり、圧力が真空圧になる。真空破壊が起こると流量が変化する。
【0112】
図22に示すように、吸着搬送装置が有するフィルタが詰まると吸引中の流量が減少するとともに、吸着状態に移行する時の圧力の低下が緩やかになる。また、図23に示しているように、吸着搬送装置が有する吸着パッドが劣化すると、ワーク等を吸着しているときの真空圧が低下する。
【0113】
図20のFIG.20Bは、吸着速度の閾値設定画面251であり、ユーザが閾値設定操作を行うと、制御部70が吸着速度の閾値設定画面251を生成して表示部74に表示させる。吸着速度の閾値設定画面251には、FIG.20Aに示す測定値表示領域250bに表示されている吸着速度の表示値が表示される吸着速度表示領域251aと、評価を行う際の閾値が表示される閾値表示領域251bとが設けられている。
【0114】
FIG.20Cは、吸着力の閾値設定画面252であり、ユーザが閾値設定操作を行うと、制御部70が吸着力の閾値設定画面252を生成して表示部74に表示させる。吸着力の閾値設定画面252には、FIG.20Aに示す測定値表示領域250bに表示されている吸着力の表示値が表示される吸着力表示領域252aと、評価を行う際の閾値が表示される閾値表示領域252bとが設けられている。
【0115】
配管100に吸着搬送装置が接続されている場合、評価部73は、吸着搬送装置の動作を示す特徴量を、吸着速度と吸着力として決定し、当該吸着速度と吸着力とに基づいて吸着搬送装置の動作を評価する。例えば、評価部73は、吸着時、流量が所定流量以下の場合には、吸着搬送装置に供給される圧縮空気の圧力低下または吸着搬送装置が有する流路の詰まり(フィルタの詰まり)であると評価する。また、評価部73は、吸着時における吸着力が所定力以下の場合には、吸着搬送装置が有する吸着パッドの劣化であると評価する。
【0116】
評価部73が吸着搬送装置のフィルタの詰まりであると評価すると、制御部70は、図24のFIG.24Aに示すように、吸着速度が低下していることを表すアラーム画面260を生成して表示部74に表示させる。評価部73が吸着搬送装置の吸着パッドが劣化したと評価すると、制御部70は、図24のFIG.24Bに示すように、吸着パッドが劣化したことを表すアラーム画面261を生成して表示部74に表示させる。
【0117】
次に、配管100に着座装置が接続されている場合について説明する。配管100に接続されている着座装置がワークなし(ワーク未着座)状態にあるか、それともワークあり(ワーク着座)状態にあるかは、作動気体の流量に基づいて判定する。図25は、着座装置の作動状態を判定する処理手順を示すフローチャートであり、ステップSD1では、評価部73が、プロセス量決定部71で決定した作動気体の流量を取得する。ステップSD2では、ステップSD1で取得した流量が所定の閾値を超えるか否かを判定する。ステップSD1で取得した流量が所定の閾値を超える場合には作動気体の流量が多く、ワークが着座していないと推定されるので、ステップSD3に進み、ワークなし状態と判定し、終了する。一方、ステップSD1で取得した流量が所定の閾値以下である場合にはステップSD4に進み、ワークあり状態と判定し、終了する。
【0118】
評価部73は、着座装置の動作を評価する際の基準となる評価基準値を決定する基準値決定処理を実行する。評価基準値は、着座装置が動作を繰り返している時に、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12及び圧力測定素子66でそれぞれ測定された複数の流量及び圧力を用いて決定する。具体的には、着座装置を動作させる際のトリガ信号を制御ユニット7が受信し、トリガ信号を受信したタイミングを開始タイミングとして、評価基準値の信頼度が所定の信頼度以上となるまで、複数の異なるタイミングで取得された流量及び圧力を用いて基準値決定処理を繰り返し実行する。この評価基準値は、記憶部75に記憶させておき、内部値として使用する。
【0119】
評価基準値は、表示部74に表示させる流量の表示値を100%にする際の基準となる。すなわち、図26のFIG.26Aに示すように、制御部70は、着座装置用の測定値表示画面270を生成して表示部74に表示させる。測定値表示画面270には、着座装置であることを模式的に示す図が表示される図表示領域270aと、「F」で示す流量が表示される測定値表示領域270bとが設けられている。測定値表示画面270に表示される流量が表示値であり、この表示値を100%にする際の基準として上記評価基準値が使用される。
【0120】
FIG.26Bは、流量の閾値設定画面271であり、ユーザが閾値設定操作を行うと、制御部70が流量の閾値設定画面271を生成して表示部74に表示させる。流量の閾値設定画面271には、FIG.26Aに示す測定値表示領域270bに表示されている流量の表示値が表示される流量表示領域271aと、評価を行う際の閾値が表示される閾値表示領域271bとが設けられている。
【0121】
配管100に着座装置が接続されている場合、評価部73は、着座装置の動作を示す特徴量を、着座装置から噴出する圧縮空気の体積流量として決定し、当該体積流量に基づいて着座装置の動作を評価する。例えば、評価部73は、ワークなし状態における体積流量が所定流量以下となり、かつ、圧力が所定範囲である場合には、着座装置が有するノズルの詰まりであると評価する一方、ワークなし状態における体積流量が所定流量以下となり、かつ、圧力が所定範囲よりも低下した場合には、着座装置に供給される圧縮空気の圧力低下(元圧低下)であると評価する。
【0122】
評価部73による着座装置の動作の評価について、図27に基づいてより具体的に説明する。図27のFIG.27Aは、着座装置のノズルの詰まりを評価する場合を説明するグラフであり、上のグラフは、縦軸が体積流量、横軸が時間であり、よって体積流量の時系列データを示している。下のグラフは、縦軸が圧力、横軸が時間であり、よって圧力の時系列データを示している。着座装置のノズルが詰まると、上のグラフに示すように作動気体の体積流量が低下して所定流量(破線で示す)以下となるが、下のグラフに示すように圧力は使用圧力範囲(破線で示す)内である。よって、体積流量と圧力の両方に基づくことで、着座装置のノズルの詰まりを正確に評価できる。
【0123】
FIG.27Bは、元圧を評価する場合を説明するグラフであり、上のグラフは、縦軸が体積流量、横軸が時間であり、よって体積流量の時系列データを示している。下のグラフは、縦軸が圧力、横軸が時間であり、よって圧力の時系列データを示している。着座装置の元圧低下が起こると、上のグラフに示すように作動気体の体積流量が低下して所定流量(破線で示す)以下になるとともに、下のグラフに示すように圧力が使用圧力範囲(破線で示す)未満になる。よって、体積流量と圧力の両方に基づくことで、着座装置の元圧低下を正確に評価できる。また、この評価基準とは別に、評価部73は、圧力が所定の最低圧力(例えば0.1MPa付近)を下回ったときには圧力低下と評価する。
【0124】
評価部73が着座装置のノズルの詰まりであると評価すると、制御部70は、図12のFIG.12Aに示すように、ノズルに詰まりが生じていることを表すアラーム画面220を生成して表示部74に表示させる。評価部73が着座装置の元圧低下であると評価すると、制御部70は、図12のFIG.12Bに示すように、元圧低下が生じていることを表すアラーム画面221を生成して表示部74に表示させる。
【0125】
(トレンド監視機能)
流量センサAは、流量と圧力の時系列変化を監視するトレンド監視機能も備えている。図28のFIG.28Aに示すように、流量が変化した場合、現時点での流量を評価基準値に対する割合として表示部74に表示させることができる。また、FIG.28Bに示すように、圧力が変化した場合も同様に、現時点での圧力を評価基準値に対する割合として表示部74に表示させることができる。
【0126】
また、図29に示すように、流量と圧力のトレンドを監視することで、流量と圧力の両方が低下していく傾向を捉えることができ、流量と圧力の両方が低下していく場合には評価部73は、元圧低下であると評価する。また、流量が増加傾向にあるのに対し、圧力が低下していく傾向にある場合には、評価部73は、リークしていると評価する。また、流量が低下傾向にあるのに対し、圧力が増加していく傾向にある場合には、評価部73は、流路が詰まっていると評価する。このように、流量と圧力の時系列データに基づいて評価部73が評価することで、何らかのトラブルが空圧機器に生じたときに、トラブルの種別を切り分けることができる。
【0127】
(表示モード)
上述したように、流量センサAは、通常表示モードと評価結果表示モードを切り替えて表示部74に表示させることが可能になっている。その他、表示部74には、流量センサAの初期設定時に表示可能な初期設定モードの画面も表示可能である。以下、各モードで表示される画面の例について説明する。
【0128】
初期設定モードは、ユーザが流量センサAの使用を開始する際や、空圧機器の種別を変更する場合等に実行されるモードである。ユーザが流量センサAの立ち上げ操作等、所定の操作を行うと初期設定モードが実行される。
【0129】
初期設定モードでは、図30に示すような各画面が表示部74に表示される。すなわち、初期設定モードで表示可能な画面は、上位階層の画面と下位階層の画面とに分けられている。上位階層の画面は、初期設定モードが実行された直後に表示される画面である。上位階層の画面には、例えば、言語設定画面300、PNP/NPN設定画面301、流量方向設定画面302、アプリ選択画面303、流量単位設定画面304、圧力単位設定画面305、終了画面306等が含まれている。これら設定画面300~306は、制御部70が生成して表示部74に表示させる。ユーザが、操作ボタン72bのうち、選択肢を送るための操作ボタンを操作すると、設定画面300~306が順番に表示部74に表示される。設定画面300~306の表示順は図示した順番に限られるものではない。また、設定画面300~306の数や種類は、任意に設定することができる。
【0130】
言語設定画面300は表示部74に表示される言語を設定するための画面であり、言語設定画面300に対して操作ボタン72bによる決定操作がなされると、下位階層の英語選択画面300aと、日本語選択画面300bとの選択操作が可能になる。操作ボタン72bによる決定操作がなされた画面に対応する言語が表示部74に表示される言語となる。
【0131】
PNP/NPN設定画面301は、PNPとNPNのいずれかを設定するための画面であり、PNP/NPN設定画面301に対して操作ボタン72bによる決定操作がなされると、下位階層のNPN選択画面301aと、PNP選択画面301bとの選択操作が可能になる。操作ボタン72bによる決定操作がなされた画面に対応する方が選択される。
【0132】
流量方向設定画面302は、作動気体の流れ方向を設定するための画面であり、流量方向設定画面302に対して操作ボタン72bによる決定操作がなされると、下位階層の右方向選択画面302aと、左方向選択画面302bとの選択操作が可能になる。操作ボタン72bによる決定操作がなされた画面に対応する方が選択される。
【0133】
アプリ選択画面303は、空圧機器の種別を設定するための画面であり、アプリ選択画面303に対して操作ボタン72bによる決定操作がなされると、下位階層の画面として、図8に示すエアブロー選択画面201、エアシリンダー選択画面202、吸着搬送選択画面203、着座選択画面204が順番に表示される。詳細は上述したとおりである。
【0134】
流量単位設定画面304は、作動気体の流量の単位を設定するための画面であり、流量単位設定画面304に対して操作ボタン72bによる決定操作がなされると、下位階層の第1の流量単位選択画面304aと、第2の流量単位選択画面304bとの選択操作が可能になる。操作ボタン72bによる決定操作がなされた画面に対応する単位が選択される。第1の流量単位は例えばL/minであり、第2の流量単位は例えばm/hである。この設定は、通常表示モードで表示される画面に反映される。
【0135】
圧力単位設定画面305は、作動気体の圧力の単位を設定するための画面であり、圧力単位設定画面305に対して操作ボタン72bによる決定操作がなされると、下位階層の第1の圧力単位選択画面305aと、第2の圧力単位選択画面305bとの選択操作が可能になる。操作ボタン72bによる決定操作がなされた画面に対応する単位が選択される。第1の圧力単位は例えばkPaであり、第2の圧力単位は例えばMPaである。この設定は、通常表示モードで表示される画面に反映される。
【0136】
終了画面306が選択されると、設定が完了して通常表示モードまたは評価結果表示モードの表示が可能な状態になる。図31に一例を示しているが、上述したように切替スイッチ72aの操作つまみ72cが第1の位置にあることを制御部70が検出すると、表示部74が通常表示モードの表示を行う一方、切替スイッチ72aの操作つまみ72cが第2の位置にあることを制御部70が検出すると、表示部74が評価結果表示モードの表示を行う。
【0137】
通常表示モードで表示可能な画面には、例えば流量表示画面310、圧力表示画面311、積算流体量表示画面312及び圧力・流量表示画面313等が含まれている。これら表示画面310~313は、制御部70が生成して表示部74に表示させる。ユーザが、操作ボタン72bのうち、選択肢を送るための操作ボタンを操作すると、表示画面310~313が順番に表示部74に表示される。
【0138】
流量表示画面310には、プロセス量決定部71により決定した流量が表示されるとともに、流量の閾値も同時に表示される。圧力表示画面311には、プロセス量決定部71により決定した圧力が表示されるとともに、圧力の閾値も同時に表示される。積算流体量表示画面312には、現在の積算流体量が表示される。圧力・流量表示画面313には、圧力と流量の現在値が同時に表示される。
【0139】
評価結果表示モードで表示可能な画面には、例えばエアシリンダー装置が選択されている場合であり、かつ、上記基準値決定処理(ラーニング処理)が未完了の場合には、エアシリンダー選択画面202(図8も示す)及びラーニング未完了画面314が交互に表示される。所定の操作ボタン72bが操作されると、ラーニング処理が開始される。ラーニング処理の実行中は、ラーニング中であること及びラーニングの進捗状態を示すラーニング中画面315が表示される。
【0140】
ラーニングが完了すると、図14にも示しているように、空圧機器の動作状態と指標を表示可能な画面230、リーク量と閾値を同時に表示可能な画面231、推力余裕度と閾値とを同時に表示可能な画面232等が表示される。操作ボタン72bのうち、選択肢を送るための操作ボタンを操作すると、画面230、231、232が順番に表示部74に表示される。
【0141】
評価部73が、エアシリンダー装置のリーク量が増加していると評価すると、図18のFIG.18Aに示すアラーム画面240を制御部70が生成して表示部74に表示させる。評価部73が、エアシリンダー装置の推力余裕度が低下したと評価すると、図18のFIG.18Bに示すアラーム画面241を制御部70が生成して表示部74に表示させる。アラーム画面は、空圧機器の種別によって異なっており、空圧機器を評価した結果に応じて、例えば図12に示す画面、図24に示す画面等を表示することも可能である。アラーム画面はエラー表示の一例であり、その表示形態はユーザに対してエラーが生じたこと、生じたエラーの種別や内容等を報知可能な形態であればよく、特に限定されない。
【0142】
評価部73が、自己評価結果の結果、アラーム出力する必要があると判断すると、図32に示すような自己評価結果画面を制御部70が生成して表示部74に表示させる。自己評価結果画面には、信号強度に関するアラーム画面316、ノイズ影響に関するアラーム画面317、設定に関するアラーム画面318等が含まれている。評価部73が、第1の超音波素子11、第2の超音波素子12から出力される信号強度が低いと評価した場合には、信号強度に関するアラーム画面316を制御部70が生成して表示部74に表示させる。評価部73が、信号に多くのノイズが含まれていると評価した場合には、ノイズ影響に関するアラーム画面317を制御部70が生成して表示部74に表示させる。評価部73が、設定に問題があると評価した場合には、設定に関するアラーム画面318を制御部70が生成して表示部74に表示させる。
【0143】
尚、自己診断では、例えば、自己の超音波信号の位置、信号強度の絶対値、信号強度とフロアノイズの比率などの特徴量に基づいて、取り付けのミスや設定の間違い、ノイズ環境下などの評価を行う。
【0144】
超音波信号を元に検出の安定度をレベル表示できるインジケータと、検出状態を表す文言(安定検出中、検出不安定、検出不可、の3段階)を表示できてもよい。このうち、検出不安定、または検出不可の場合に、図32に示す自己評価結果を表す表示画面に遷移できるようにしてもよい。
【0145】
通常表示モード中に、操作ボタン72bによって設定操作が行われると、図33に示すように、通常表示モード中の設定画面を制御部70が生成し、表示部74に表示させるようになっている。通常表示モード中の設定画面には、例えば、入出力を設定するための入出力設定画面320、流量を設定する流量設定画面321、圧力を設定する圧力設定画面322、空圧機器の種別を設定するアプリ選択画面323、初期化選択画面324等が含まれている。初期化選択画面324に対して操作ボタン72bによる決定操作がなされると、アプリ初期化画面324aと、完全初期化画面324bとの選択操作が可能になる。アプリ初期化画面324aが選択されると、空圧機器の評価に関わる設定のみ初期化される。初期化後は初期設定画面に遷移する。初期設定画面では図8に示すような空圧機器の選択のみが表示され、他の設定は保持される。完全初期化画面324bが選択されると、全ての設定が初期化される。
【0146】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る流量センサAによれば、プロセス量決定部71が作動気体の流量や圧力等のプロセス量を決定し、流量や圧力等を取得することができる。一方、評価部73が、自己の動作又は空圧機器の動作を評価することで、自己の動作又は空圧機器の評価結果を取得できる。切替スイッチ72aが通常表示モードとされている場合には、流量や圧力等が表示部74に表示される一方、切替スイッチ72aが評価結果表示モードとされている場合には、自己の動作又は空圧機器の評価結果が表示部74に表示される。切替スイッチ72aは、通常表示モードと評価結果表示モードとを操作に応じて交互に切り替えることができるものなので、ユーザは切替スイッチ72aを一度操作するだけで、流量や圧力等の表示から評価結果の表示へ、またはその反対の表示へと素早く、かつ、簡単に切り替えること可能になる。
【0147】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0148】
以上説明したように、本開示に係る流量センサは、各種空圧機器に接続された配管内を流通する作動気体の流量を測定する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0149】
A 流量センサ
11、12 第1の超音波素子、第2の超音波素子(プロセス量測定素子)
66 圧力測定素子(プロセス量測定素子)
71 プロセス量決定部
73 評価部
72a 切替スイッチ
72c 操作つまみ
74 表示部
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