(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121920
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】音響監視システム
(51)【国際特許分類】
G08B 19/00 20060101AFI20240902BHJP
G08B 25/14 20060101ALI20240902BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240902BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G08B19/00
G08B25/14 Z
G08B17/00 C
H04R3/00 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029157
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 陽造
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5D220
5G405
【Fターム(参考)】
5C086AA01
5C086AA13
5C086AA22
5C086AA27
5C086BA01
5C086CA09
5C086CA25
5C086CB26
5C086DA15
5C086FA06
5C087AA37
5C087BB22
5C087DD02
5C087DD03
5C087DD04
5C087DD05
5C087DD24
5C087DD29
5C087DD30
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG65
5C087GG66
5C087GG68
5C087GG82
5C087GG84
5D220BA06
5G405AA01
5G405AB07
5G405AD06
5G405CA25
(57)【要約】
【課題】複数のマイクで収音された音響信号に基づいて監視対象エリア内における人物位置を特定する機能を備えた音響監視システムを得る。
【解決手段】監視対象エリアに設置され、監視対象エリアで発生する音を音響信号として収音する複数のマイクと、それぞれの音響信号に関して、周波数レベルおよび音圧レベルを算出するレベル算出部と、周波数レベルおよび音圧レベルに基づいて、監視対象エリア内での人物位置を特定する位置特定部とを備え、位置特定部は、許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある2以上の音響信号が存在する場合には、2以上の音響信号に同一人物の音声信号が含まれていると判断し、2以上の音響信号のそれぞれの音圧レベル、および2以上の音響信号を収音したそれぞれのマイクの固定位置に基づいて、監視対象エリア内での同一人物の位置を人物位置として特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象エリアにおけるあらかじめ決められた固定位置にそれぞれ設置され、前記監視対象エリアで発生する音を音響信号として収音する複数のマイクと、
前記複数のマイクで収音されたそれぞれの前記音響信号に関して、周波数レベルおよび音圧レベルを算出するレベル算出部と、
前記レベル算出部によって前記複数のマイクのそれぞれに対応して算出された前記周波数レベルおよび前記音圧レベルに基づいて、前記監視対象エリア内での人物位置を特定する位置特定部と
を備え、
前記位置特定部は、
あらかじめ決められた許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある2以上の音響信号が存在する場合には、前記2以上の音響信号に同一人物の音声信号が含まれていると判断し、
前記2以上の音響信号のそれぞれの音圧レベル、および前記2以上の音響信号を収音したそれぞれのマイクの固定位置に基づいて、前記監視対象エリア内での前記同一人物の位置を前記人物位置として特定する
音響監視システム。
【請求項2】
人物確認指令を受信することで、前記監視対象エリア内に存在する人に対して音声発生を促すアナウンスを行う放送設備
をさらに備え、
前記位置特定部は、
前記監視対象エリア内で人物位置を特定したい状況が発生した際に、前記人物確認指令を出力し、前記複数のマイクによる前記音響信号の収音を促進する
請求項1に記載の音響監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視対象エリアで発生する音響情報に基づいて監視対象エリア内の人物位置を特定する音響監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災発生が検知されたときに収音手段により収集された音信号に人の音声を示す信号が含まれているか否かを判別することによって、逃げ遅れた人がいるか否かを判定し、判定結果を表示する火災報知設備がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に係る火災報知設備によれば、各火災感知器の状態情報と各収音手段の音信号を同一の信号線で収集することができ、火災時に逃げ遅れた人がいることを火災受信機に表示できる。
【0004】
さらに、特許文献1に係る火災報知設備によれば、逃げ遅れた人がいると判定された収音手段に対応する音響出力手段へ音信号を出力することができ、火災時に逃げ遅れた人と火災受信機から通話することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、音信号に人の音声を示す信号が含まれているか否かを判別することで、逃げ遅れた人がいるか否かを判定している。しかしながら、特許文献1では、人物位置の特定までは行っていない。
【0007】
また、火災発生時の逃げ遅れの判定ばかりでなく、例えば、高齢者施設、病院などで転倒事故などの異常事態が発生した場合、地震が発生した場合などにおいても、監視対象エリア内での人物位置の特定を行うために音響情報を有効活用することが期待される。
【0008】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、複数のマイクで収音された音響信号に基づいて監視対象エリア内における人物位置を特定する機能を備えた音響監視システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る音響監視システムは、監視対象エリアにおけるあらかじめ決められた固定位置にそれぞれ設置され、監視対象エリアで発生する音を音響信号として収音する複数のマイクと、複数のマイクで収音されたそれぞれの音響信号に関して、周波数レベルおよび音圧レベルを算出するレベル算出部と、レベル算出部によって複数のマイクのそれぞれに対応して算出された周波数レベルおよび音圧レベルに基づいて、監視対象エリア内での人物位置を特定する位置特定部とを備え、位置特定部は、あらかじめ決められた許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある2以上の音響信号が存在する場合には、2以上の音響信号に同一人物の音声信号が含まれていると判断し、2以上の音響信号のそれぞれの音圧レベル、および2以上の音響信号を収音したそれぞれのマイクの固定位置に基づいて、監視対象エリア内での同一人物の位置を人物位置として特定するものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、複数のマイクで収音された音響信号に基づいて監視対象エリア内における人物位置を特定する機能を備えた音響監視システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る音響監視システムの機能ブロック図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る位置特定部により同一人物の位置を2箇所における音響信号の収音結果から特定する場合の説明図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る位置特定部により同一人物の位置を3箇所における音響信号の収音結果から特定する場合の説明図である。
【
図4】本開示の実施の形態2に係る音響監視システムの機能ブロック図である。
【
図5】本開示の実施の形態3に係る音響監視システムが組み込まれる自動火災報知設備の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の音響監視システムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る音響監視システムは、複数のマイクで収音されたそれぞれの音響信号に基づいて、周波数レベルの比較結果から同一人物を特定し、同一人物の音響信号が収音されたそれぞれのマイクの位置およびそれぞれの音圧レベルから同一人物の位置を特定することを技術的特徴とするものである。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る音響監視システムの機能ブロック図である。本実施の形態1に係る音響監視システムは、複数のマイク100(1)~100(N)と、コントローラ200とを備えている。
【0014】
複数のマイク100(1)~100(N)は、監視対象エリアにおけるあらかじめ決められた固定位置にそれぞれ設置される。ここで、監視対象エリアとは、火災発生時に人物位置を特定したいエリアには限定されず、例えば、高齢者施設、病院で転倒事故などの異常事態が発生した際、地震が発生した際、などに人物位置を特定したいエリアも含まれる。
【0015】
複数のマイク100(1)~100(N)のそれぞれは、監視対象エリア内での設置位置で発生する音を音響信号として収音する。コントローラ200は、複数のマイク100(1)~100(N)で収音されたそれぞれの音響信号に基づいて、監視対象エリア内の人物位置を特定する機能を有している。
【0016】
具体的には、コントローラ200は、レベル算出部201および位置特定部202を備えて構成され、人物位置を特定する機能を実現している。レベル算出部201は、複数のマイク100(1)~100(N)で収音されたそれぞれの音響信号に関して、周波数レベルおよび音圧レベルに関するレベル算出を行う。
【0017】
また、位置特定部202は、レベル算出部201によって複数のマイク100(1)~100(N)のそれぞれに対応して算出された周波数レベルおよび音圧レベルに基づいて、監視対象エリア内での人物位置を特定する。
【0018】
具体的には、位置特定部202は、あらかじめ決められた許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある2以上の音響信号が存在するか否かを判断する周波数レベルチェックを実行する。そして、位置特定部202は、周波数レベルチェックを実行した結果、許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある2以上の音響信号が存在した場合には、2以上の音響信号に同一人物の音声信号が含まれていると判断する。
【0019】
例えば、許容周波数差分範囲として±5Hzを設定した場合には、位置特定部202は、マイク100(1)で取得した音響信号に対応する周波数レベルを算出し、その値から±5Hzの周波数レベルである音響信号が他のマイク100(2)~100(N)で収音されているか否かをチェックすることで、許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある2以上の音響信号が存在するか否かを判断できる。
【0020】
位置特定部202は、周波数レベルチェックを実行した結果、許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある2以上の音響信号が存在した場合には、2以上の音響信号に同一人物の音声信号が含まれていると判断する。
【0021】
さらに、位置特定部202は、許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある2以上の音響信号のそれぞれの音圧レベル、および2以上の音響信号を収音したそれぞれのマイクの固定位置に基づいて、監視対象エリア内での同一人物の位置を人物位置として特定する。
【0022】
図2は、本開示の実施の形態1に係る位置特定部202により同一人物の位置を2箇所における音響信号の収音結果から特定する場合の説明図である。
図2では、監視対象エリア内において、固定位置P1にマイク100(1)が設置され、固定位置P2にマイク100(2)が設置され、これら2つのマイク100(1)、100(2)のそれぞれによって、許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある2つの音響信号が収音された場合の位置特定方法を例示している。
【0023】
この場合、位置特定部202は、マイク100(1)で収音された音響信号の音圧レベルの大きさから、音響信号の発生源とP1との距離をr1として推定でき、音響信号の発生源がP1を中心とした半径r1の円周上にあると推定することができる。
【0024】
同様に、位置特定部202は、マイク100(2)で収音された音響信号の音圧レベルの大きさから、音響信号の発生源とP2との距離をr2として推定でき、音響信号の発生源がP2を中心とした半径r2の円周上にあると推定することができる。
【0025】
従って、位置特定部202は、半径r1の円周と半径r2の円周との交点であるX1あるいはX2を、許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある同一人物の位置として特定することができる。
図2のケースでは、1点としての位置特定はできないものの、P2よりもP1に近い位置にいることが特定できる。
【0026】
従って、このようにして得られた人物位置の特定結果は、捜索作業や救出作業を行う際、あるいは最寄りのスピーカから適切なアナウンスを行う際、などに有効活用することができる。
【0027】
図3は、本開示の実施の形態1に係る位置特定部202により同一人物の位置を3箇所における音響信号の収音結果から特定する場合の説明図である。
図3では、監視対象エリア内において、固定位置P1、P2、P3の3箇所に設置されたマイク100(1)、100(2)、100(3)のそれぞれによって、許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある3つの音響信号が収音された場合の位置特定方法を例示している。
【0028】
この場合、位置特定部202は、さらに、マイク100(3)で収音された音響信号の音圧レベルの大きさから、音響信号の発生源とP3との距離をr3として推定でき、音響信号の発生源がP3を中心とした半径r3の円周上にあると推定することができる。
【0029】
従って、位置特定部202は、半径r1の円周と半径r2の円周と半径r3の円周の交点であるX2を、許容周波数差分範囲内に周波数レベルがある同一人物の位置として特定することができる。すなわち、
図3のケースでは、1点としての位置特定が可能となる。
【0030】
従って、このようにして得られた人物位置の特定結果は、捜索作業や救出作業を行う際、あるいは最寄りのスピーカから適切なアナウンスを行う際、などに有効活用することができる。
【0031】
なお、本実施の形態1に係る音響監視システムでは、レベル算出部201によって、音響信号に含まれている周波数が算出されている。従って、位置特定部202は、周波数の算出結果を参照することで、その周波数の大きさから、特定した人物位置にいる人物が女性であるか男性であるか、あるいは赤ちゃんであるか、といったさらなる属性情報を推定することも可能である。
【0032】
そこで、位置特定部202は、人物位置の特定結果を出力する際に、周波数レベルから推定した性別、赤ちゃんか否かといった属性情報も出力することが可能である。
【0033】
以上のように、実施の形態1によれば、複数のマイクで収音されたそれぞれの音響信号に基づいて、周波数レベルの比較結果から同一人物を特定し、同一人物の音響信号が収音されたそれぞれのマイクの位置およびそれぞれの音圧レベルから同一人物の位置を特定する機能を備えた音響システムを実現できる。
【0034】
さらに、周波数レベルの算出結果に基づいて、特定した人物が男性であるか、女性であるか、赤ちゃんであるか、といった属性情報を推定することも可能である。
【0035】
この結果、例えば、火災発生時の救出作業、避難誘導などに、人物位置の特定結果、および属性情報の推定結果を有効活用することができる。具体的には、人物位置の特定結果から、より適切な避難経路を用いた避難誘導を行ったり、火源に近い人から優先的に避難誘導を行ったりすることができる。また、属性情報の推定結果から、赤ちゃんや女性を優先して救出作業を行うことができる。
【0036】
また、高齢者施設や病院では、音響信号に基づく人物位置の特定結果を利用することで、夜間における不審者の侵入、施設や病人での徘徊者などを迅速に検知することができる。
【0037】
実施の形態2.
本実施の形態2では、監視対象エリア内に存在する人に対して音声発生を促すことで、人物位置の特定を積極的に行う機能を備えた音響監視システムについて説明する。
【0038】
図4は、本開示の実施の形態2に係る音響監視システムの機能ブロック図である。本実施の形態2に係る音響監視システムは、複数のマイク100(1)~100(N)と、放送設備110と、コントローラ200とを備えている。
【0039】
先の実施の形態1における
図1の構成と比較すると、本実施の形態2における
図4の構成は、放送設備110をさらに備えている点が相違している。そこで、相違点である放送設備110を中心に、本実施の形態2に係る音響監視システムの機能について説明する。
【0040】
放送設備110は、人物確認指令を受信することで、監視対象エリア内に存在する人に対して音声発生を促すアナウンスを行う機能を有しており、アナウンス制御部111、および複数のスピーカ112(1)~112(M)を備えて構成されている。
【0041】
なお、
図4では、N台として構成されているマイク100に対して、スピーカ112はM台として構成されており、NとMは、同一の正数であってもよく、異なる正数であってもよい。
【0042】
本実施の形態2に係る音響監視システムでは、監視対象エリア内で人物位置を特定したい状況が発生した際に、位置特定部202から人物確認指令を出力することで、複数のマイク100(1)~100(N)による音響信号の収音を促進する機能を備えている。
【0043】
例えば、監視対象エリアにおいて火災監視を行っており、逃げ遅れている人物、取り残されている人物などの位置を特定したい状況が発生した場合には、位置特定部202は、「逃げ遅れている人は叫んでください」というアナウンスを行わせるための人物確認指令をアナウンス制御部111に対して出力する。
【0044】
このような人物確認指令を受信したアナウンス制御部111は、複数のスピーカ112(1)~112(M)から、「逃げ遅れている人は叫んでください」という音声アナウンスを行う。このような音声アナウンスを行うことで、監視対象エリア内に存在する人に対して、助けを求める音声発生を促すことができる。
【0045】
なお、アナウンス制御部111は、音声アナウンスを行う際に、複数のスピーカ112(1)~112(M)から一斉に音声アナウンスを行うことができ、あらかじめ決められた順番で順次音声アナウンスを行うこともできる。
【0046】
また、アナウンス制御部111は、火源位置に関する情報が取得できる場合には、火源位置に近いスピーカから順に、音声アナウンスを行うこともできる。
【0047】
監視対象エリア内に存在する人は、このような音声アナウンスを聞くことで、音声により自分の位置を知らせることができることを認識し、積極的に助けを求める音声発生を行うことができる。
【0048】
このように、コントローラ200は、音響信号を待つ代わりに、自らが人物確認指令を出力することで、その返答としての音響信号を迅速に取得することができ、所望のタイミングで人物位置の特定を行うことが可能となる。
【0049】
以上のように、実施の形態2によれば、人物確認指令に基づいてアナウンスを行う放送設備を備えることで、先の実施の形態1での効果に加え、所望のタイミングで音響信号を迅速に取得し、人物位置の特定を行うことが可能となる。
【0050】
実施の形態3.
本実施の形態3では、先の実施の形態2で説明した音響監視システムを、自立した単独の装置として設置する代わりに、自動火災報知設備に組み込む場合について説明する。
【0051】
まず始めに、自動火災報知設備の全体像について説明する。
図5は、本開示の実施の形態3に係る音響監視システムが組み込まれる自動火災報知設備の全体構成図である。火災受信機10は、信号線SG1を介して、アドレッサブル発信機20、火災感知器31、32、感知器用中継器40、および防排煙制御用中継器50と接続されている。
【0052】
感知器用中継器40には、火災感知器が複数台接続されている。
図1では、2台の火災感知器41、42を例示している。また、防排煙制御用中継器50には、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54が接続されている。
【0053】
また、火災受信機10は、信号線SG2を介して、音響装置61、62、および音響装置用中継器70と接続されている。さらに、音響装置用中継器70には、音響装置が複数台接続されている。
図1では、2台の音響装置71、72を例示している。
【0054】
また、火災受信機10は、非常放送盤80とも接続されている。非常放送盤80には、スピーカが複数台接続されている。
図1では、2台のスピーカ81、82を例示している。
【0055】
ここで、火災感知器31、32、および火災感知器41、42は、あらかじめ設定されたそれぞれの火災監視エリアにおいて火災の発生を感知する複数の火災感知器に相当する。複数の火災感知器により感知器群が構成される。
【0056】
また、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54は、複数の火災感知器のそれぞれの感知結果と連動して動作し、火災、煙等の拡散を防止するために機能する複数の端末設備に相当する。複数の端末設備により、端末設備群が構成される。
【0057】
また、音響装置61、62、および音響装置71、72は、あらかじめ設定されたそれぞれの地区において火災の発生を報知する複数の地区音響装置に相当する。複数の地区音響装置により、音響設備群が構成される。
【0058】
また、スピーカ81、82は、あらかじめ設定されたそれぞれの地区において火災の発生、避難誘導などのメッセージ出力を行う複数の放送設備に相当する。複数の放送設備により、放送設備群が構成される。
【0059】
複数の火災感知器のそれぞれは、個々の火災感知器を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。そして、複数の火災感知器のそれぞれは、火災を感知した場合には、自身に割り付けられたアドレス情報を含めた信号として、火災信号を火災受信機10に対して送信することができる。一方、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の火災感知器に対して必要な情報を送信することができる。
【0060】
また、複数の端末設備のそれぞれにも、個々の端末設備を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の端末設備を稼働させる起動指令を送信することができる。
【0061】
また、複数の音響装置のそれぞれにも、個々の音響装置を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の音響装置を鳴動させる起動指令を送信することができる。
【0062】
さらに、複数の放送設備のそれぞれにも、個々の放送設備を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、非常放送盤80を介して、所望の放送設備から所望の音声メッセージを出力させる起動指令を送信することができる。
【0063】
このような構成により、火災受信機10は、あらかじめ決められた種々の火災監視エリアに設置されている複数の火災感知器、およびアドレッサブル発信機20から火災信号を収集する。そして、火災受信機10は、収集した火災信号に基づいて、火源位置を特定し、火災警報を行い、端末設備群を作動させることができる。
【0064】
また、火災受信機10は、収集した火災信号に基づいて、警報が必要な地区に設置された音響装置のベルを鳴動させることができ、音声メッセージによる避難誘導が必要な地区に設置された放送設備から所望の音声メッセージを出力させることができる。なお、複数の音響装置のそれぞれ、および複数の放送設備のそれぞれは、どの火災感知器の感知結果と連動して動作するかがあらかじめ規定されている。
【0065】
また、図示は省略しているが、火災受信機10は、収集した火災信号に基づいて、移報信号を出力し、消火設備を起動して消火作業を開始したり、ネットワークを介して上位装置に対して火災信号を伝送したりすることができる。
【0066】
このような
図5の構成を備えた自動火災報知設備に対して、
図4に示した複数のマイク100(1)~100(N)、放送設備110、およびコントローラ200を備えた音響監視システムを組み込むためには、以下のようなシステム構成を採用することが考えられる。
【0067】
まず、複数のマイク100(1)~100(N)は、単独機器として設置することも可能であるが、
図5に示した火災感知器31、32、41、42などに内蔵することも可能である。
【0068】
放送設備110は、
図5に示した非常放送盤80、および複数のスピーカ81、82を備えた放送設備群として構成することが可能である。
【0069】
コントローラ200の機能は、
図5に示した火災受信機10において実行させることが可能である。この場合には、コントローラ200は、火災受信機10の本来の機能により特定できる火源位置の情報を有効利用することができる。
【0070】
以上のように、実施の形態3によれば、本開示に係る音響監視システムを既存の設備に容易に組み込むことができ、複数のマイクで収音された音響信号に基づいて監視対象エリア内における人物位置を特定する機能を容易に実現できる。
【符号の説明】
【0071】
10 火災受信機、31、32、41、42 火災感知器、80 非常放送盤、81、82 スピーカ、100 マイク、110 放送設備、111 アナウンス制御部、112 スピーカ、200 コントローラ、201 レベル算出部、202 位置特定部。