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  • 特開-運搬台車 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121925
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】運搬台車
(51)【国際特許分類】
   B60G 3/14 20060101AFI20240902BHJP
   B60B 19/00 20060101ALI20240902BHJP
   B62D 65/18 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
B60G3/14
B60B19/00 H
B62D65/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029167
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 錦一
(72)【発明者】
【氏名】金子 貴範
【テーマコード(参考)】
3D114
3D301
【Fターム(参考)】
3D114DA05
3D301AA03
3D301AA04
3D301AA05
3D301AA09
3D301BA10
3D301CA02
3D301DA12
3D301DA14
(57)【要約】
【課題】起伏がある路面を走行中にメカナムホイールを常に接地させつつ、車体の揺れを小さくして最大積載量を大きくする。
【解決手段】メカナムホイール3を備え、荷台の平面の上に物品を積載できる運搬台車10であって、メカナムホイール3の回転軸31を、荷台の平面に平行な状態を維持しつつ上下方向に移動可能に支持する支持機構6と、車体2と支持機構6との間に配置され、車体2及び支持機構6のいずれか一方のみに固定された第1バネ7と、一端が車体2に接続し他端が支持機構6に接続する第2バネ8と、を備え、第1バネ7のバネ定数は、第2バネ8のバネ定数よりも大きく、第2バネ8のバネ定数は、水平かつ平坦な路面上で荷台に物品を全く積載していない状態で、第1バネ7が車体2と支持機構6との間に挟まれて車体2を支持するように設定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の車輪としてメカナムホイールを備え、荷台の平面の上に物品を積載できる運搬台車であって、
前記メカナムホイールの回転軸を、前記荷台の平面に平行な状態を維持しつつ上下方向に移動可能に支持する支持機構と、
車体と前記支持機構との間に配置され、前記車体及び前記支持機構のいずれか一方のみに固定された第1バネと、
一端が前記車体に接続し他端が前記支持機構に接続する第2バネと、を備え、
前記第1バネのバネ定数は、前記第2バネのバネ定数よりも大きく、
前記第2バネのバネ定数は、水平かつ平坦な路面上で前記荷台に物品を全く積載していない状態で、前記第1バネが前記車体と前記支持機構との間に挟まれて前記車体を支持するように設定されていることを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
請求項1に記載の運搬台車であって、
前記支持機構が、前記メカナムホイールの回転軸を前記メカナムホイールの両側で支持することを特徴とする運搬台車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の運搬台車であって、
前記支持機構が、前記メカナムホイールの回転軸に垂直な方向にスイング可能なスイングアームであることを特徴とする運搬台車。
【請求項4】
請求項3に記載の運搬台車であって、
前記第1バネが前記車体を支持する状態では、前記第1バネが前記メカナムホイールの回転軸の上方に配置されていることを特徴とする運搬台車。
【請求項5】
請求項4に記載の運搬台車であって、
前記第1バネがゴム製のバネであることを特徴とする運搬台車。
【請求項6】
請求項5に記載の運搬台車であって、
前記第2バネがガススプリングであることを特徴とする運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メカナムホイールで走行する運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び非特許文献1~3には、走行用の車輪として4つのメカナムホイールを備える車両が開示されている。メカナムホイールは、ホイール本体と、ホイール本体の外周に回転自在に取り付けられた複数の樽型のローラを備える。各ローラは、ホイール本体の回転軸線に対して傾斜した回転軸線を中心として回転自在となるようにホイール本体に支持されている。このようなメカナムホイールを車輪として用いることにより、車体の前後方向の向きを固定したままの状態で、路面上の全ての方向へ向かって車両を走行させることができる。
【0003】
非特許文献1に開示された車両は、メカナムホイールの回転軸を上下方向のみ移動可能な状態で支持するリニアガイドとスプリングを備えるサスペンション機構を有する。非特許文献2に開示された車両のサスペンション機構は、スプリングを備えるマルチリンク式サスペンションである。そして、非特許文献3に開示された車両のサスペンション機構は、スプリングを備えるトレーリングアーム式サスペンションである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7134537号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ヴイストン株式会社:「メカナムローバーVer2.0」<URL:https://www.vstone.co.jp/products/wheelrobot/ver2.0.html>
【非特許文献2】マイナビニュース:「中国の大学生が熱狂するDJIのロボット競技会ROBOMASTER」<URL:https://news.mynavi.jp/techplus/article/robomaster-2/>
【非特許文献3】香川高弘:「全方向移動車輪機構による歩行支援ロボットの開発」<URL:https://www.ait.ac.jp/news/assets/docs/M09kagawa.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
メカナムホイールを走行用の車輪として用いる車両は、常に全てのメカナムホイールが路面に接地していなければ、車体の前後方向の向きを固定したまま路面上の全ての方向へ向かって走行できる機能(以下、全方向移動機能と略称する)を発揮することができない。そのため、メカナムホイールを用いて走行する車両では、起伏がある路面でも全てのメカナムホイールを確実に接地させるため、バネ定数が小さいバネをサスペンション機構に用いる必要がある。
【0007】
しかし、バネ定数が小さいバネをサスペンション機構に用いることにより、発進や停止や加減速の際に車体の揺れが大きくなる。特に、荷物を上に載せる運搬台車の場合、荷物を積載すると重心位置が高くなるため、発進する際や停止する際に車体が大きく傾き、転倒する危険性が高まる。また、バネ定数が小さいバネをサスペンション機構に用いると、積載量が大きい状態では積載した物品の重みでバネが縮み切ってしまい、起伏がある路面を走行中に路面から受ける衝撃をサスペンション機構で吸収できなくなるため、運搬台車の最大積載量を大きくすることができない。
【0008】
そこで、本発明は、起伏がある路面を走行中にメカナムホイールを常に接地させつつ、車体の揺れを小さくして最大積載量を大きくすることができる運搬台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る運搬台車は、走行用の車輪としてメカナムホイールを備え、荷台の平面の上に物品を積載できる運搬台車であって、前記メカナムホイールの回転軸を、前記荷台の平面に平行な状態を維持しつつ上下方向に移動可能に支持する支持機構と、前記車体と前記支持機構との間に配置され、前記車体及び前記支持機構のいずれか一方のみに固定された第1バネと、一端が前記車体に接続し他端が前記支持機構に接続する第2バネと、を備え、前記第1バネのバネ定数は、前記第2バネのバネ定数よりも大きく、前記第2バネのバネ定数は、水平かつ平坦な路面上で前記荷台に物品を全く積載していない状態で、前記第1バネが前記車体と前記支持機構との間に挟まれて前記車体を支持するように設定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明は、起伏がある路面を走行中にメカナムホイールを常に接地させつつ、車体の揺れを小さくして最大積載量を大きくすることができる。
【0011】
本発明に係る運搬台車の一態様において、前記支持機構が、前記メカナムホイールの回転軸を前記メカナムホイールの両側で支持してもよい。
【0012】
この態様によれば、メカナムホイールの回転軸がメカナムホイールの両側で支持されることにより支持部材が片持ち方式より変形し難くなるため、片持ち方式よりも最大積載量を増やすことができる。
【0013】
本発明に係る運搬台車の一態様において、前記支持機構が、前記メカナムホイールの回転軸に垂直な方向にスイング可能なスイングアームであってもよい。
【0014】
本発明に係る運搬台車の一態様において、前記第1バネが前記車体を支持する状態で、前記第1バネが前記メカナムホイールの回転軸の上方に配置されていてもよい。
【0015】
この態様によれば、第1バネで支持する荷重はスイングアームの曲げ剛性に影響せず、スイングアームの剛性を下げることが可能となるため、スイングアームを軽量化することができる。
【0016】
本発明に係る運搬台車の一態様において、前記第1バネがゴム製のバネであってもよい。
【0017】
この態様によれば、ゴムの特性により、メカナムホイール特有の走行振動を吸収することができる。また、金属製のスプリングと比較して、ゴム製のバネは安価であり、車体等に取り付けるための加工費用も小さいため、コストを下げることができる。
【0018】
本発明に係る運搬台車の一態様において、前記第2バネがガススプリングであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、起伏がある路面を走行中にメカナムホイールを常に接地させつつ、車体の揺れを小さくして最大積載量を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の実施形態の運搬台車の斜視図である。
図2】本実施形態の運搬台車が水平かつ平坦な路面上で停車している状態を示す側面図である。
図3】本実施形態の運搬台車が起伏のある路面を走行中にスイングアームが第1バネから離れた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1~3を参照しながら、本実施形態の運搬台車10について説明する。図1は、運搬台車10の斜視図である。ただし、図1では、後述する荷台1の記載が省略されている。図1に示すように、運搬台車10は、車体の一部として略四角枠形状の台車フレーム2を備える。台車フレーム2は、運搬台車10の左右両側でそれぞれ前後方向に延びる2つのサイドメンバ21と、車両幅方向に延びて左右両側のサイドメンバ21を連結する2つのクロスメンバ22を備える。クロスメンバ22は、運搬台車10の前側と後側に1つずつ配置されている。更に、台車フレーム2は、アーム取付板23を備える。アーム取付板23は、運搬台車10の左右両側に1つずつ配置されており、サイドメンバ21の前後方向の中央部の下側に固定されている。
【0022】
運搬台車10は、走行用の車輪として4つのメカナムホイール3を備える。メカナムホイール3は、運搬台車10の右側前方、右側後方、左側前方及び左側後方にそれぞれ1つずつ配置されている。各メカナムホイール3は、ホイール本体と、ホイール本体の外周に回転自在に取り付けられた複数の樽型のローラを備える。各ローラは、ホイール本体の回転軸線に対して傾斜した回転軸線を中心として回転自在となるようにホイール本体に支持されている。ただし、図1~3では、いずれも樽型のローラの記載を省略し、メカナムホイール3を円筒形に簡略化して記載している。
【0023】
運搬台車10は、メカナムホイール3を回転させる動力源として4つの電気モータ4を備える。4つの電気モータ4は、それぞれメカナムホイール3の回転軸31に接続されている。運搬台車10は、4つの電気モータ4の回転方向と回転速度を個別に制御することにより、車体の前後方向の向きを固定したまま路面上の全ての方向へ向かって走行することができる。そして、運搬台車10は、直方体の形状の防水ケース5を備える。4つの電気モータ4の制御装置は、防水ケース5に内蔵されている。
【0024】
図2は、運搬台車10が水平かつ平坦な路面上で停止している状態を示す側面図である。図2に示すように、台車フレーム2の上には、平板形状の荷台1が固定されている。荷台1の上側には平面11が形成されており、運搬台車10は、荷台1の平面11の上に物品を積載して走行することができる。運搬台車10は、例えば、自動車工場内で自動車部品を運搬する用途に用いることができる。また、運搬台車10は、例えば、自動車工場内で作業を行う作業用ロボットを載せて走行させるための台車として用いることもできる。
【0025】
運搬台車10は、スイングアーム6、第1バネ7及び第2バネ8で構成されるトレーリングアーム方式のサスペンション機構を備える。図3は、運搬台車10が起伏のある路面を走行中にスイングアーム6が第1バネ7から離れた状態を示す側面図である。
【0026】
図1図3に示すように、スイングアーム6は、メカナムホイール3の両側でメカナムホイール3の回転軸31を回動可能に支持する支持機構である。そして、スイングアーム6は、メカナムホイール3の回転軸31に垂直な方向へスイング可能となるようにアーム取付板23へ取り付けられている。スイングアーム6は、アーム取付板23に支持されたスイング軸61を回転の中心として上下方向にスイングすることができる。このようにスイングアーム6がアーム取付板23に取り付けられていることによって、スイングアーム6は、メカナムホイール3の回転軸31を荷台1の平面11に平行な状態を維持しつつ上下方向に移動させることができる。スイングアーム6は、平坦な上面62を有する。スイングアーム6は、上面62がサイドメンバ21の下方に配置されるようにアーム取付板23に取り付けられている。
【0027】
第1バネ7は、略直方体の形状を有するゴム製のバネである。第1バネ7は、サイドメンバ21とスイングアーム6との間に配置され、サイドメンバ21に固定されている。第1バネ7は、スイングアーム6のスイング角度によって、図2に示すようにスイングアーム6の上面62に接触することもあれば、図3に示すようにスイングアーム6の上面62から離れることもある。第1バネ7は、図2に示すように第1バネ7がスイングアーム6に接触して車体を支持する状態で、メカナムホイール3の回転軸31の上方に配置されている。
【0028】
第2バネ8は、一端がサイドメンバ21に接続して他端がスイングアーム6に接続するガススプリングである。第2バネ8のバネ定数は、第1バネ7のバネ定数よりも小さい値に設定されている。そして、第2バネ8のバネ定数は、図2に示すように水平かつ平坦な路面上で荷台1の上に物品を全く積載していない状態で、第1バネ7がスイングアーム6の上面62に接触するように設定されている。
【0029】
このように第1バネ7及び第2バネ8のバネ定数が設定されているため、運搬台車10が停車している際や平坦な路面を走行している際は、第2バネ8は車体の荷重で縮み、第2バネ8よりバネ定数が大きい第1バネ7が車体を支持する。つまり、図2に示すように第1バネ7がスイングアーム6の上面62に接触し、第1バネ7がサイドメンバ21とスイングアーム6との間に挟まれた状態となって車体を支持する。このように第1バネ7が車体を支持している状態では、ゴム製の第1バネ7は加わる荷重の大きさに対して変形量が小さいため、積載物の重量が大きい場合でも、発進や停止や加減速の際に車体は過度に傾斜せず、車体の揺れも小さくすることができる。
【0030】
また、起伏がある路面を運搬台車10が走行する場合、路面の隆起した部分をメカナムホイール3が乗り越える際には、路面からメカナムホイール3へ上向きの荷重が加わることがある。このように路面からメカナムホイール3へ上向きの荷重が加わった場合、サイドメンバ21とスイングアーム6との間に挟まれた状態となっている第1バネ7が縮んで、メカナムホイール3が路面から突き上げられる衝撃を吸収する。
【0031】
これに対して、路面の隆起した部分をメカナムホイール3が乗り越えた直後や、路面の陥没した部分にメカナムホイール3が入った際には、図3に示すように第2バネ8がスイングアーム6を下向きにスイングさせてメカナムホイール3を路面に押し付ける。この状態では、スイングアーム6は第1バネ7から離れた状態となる。このように路面の凹凸に応じて第2バネ8がメカナムホイール3を路面に押し付けるため、運搬台車10は、起伏がある路面を走行する場合でも常に全てのメカナムホイール3を接地させることができる。そのため、運搬台車10は、起伏がある路面を走行する場合でも、全てのメカナムホイール3の駆動力を確保して、全方向移動機能を損なわずに走行することができる。
【0032】
また、起伏がある路面を走行する場合でも、スイングアーム6が第1バネ7から離れるのは一瞬だけで、車体及び積載物の重量によって、すぐにスイングアーム6が第1バネ7に接触した状態に復帰するため、走行中のほとんどの時間は第1バネ7で車体を支持する。このように運搬台車10は起伏がある路面を走行中でも極めて短い時間を除いてバネ定数が大きい第1バネ7で車体を支持した状態を継続するため、荷台1に積載した物品の重量が大きい場合でも、車体の揺れを小さくすることができる。また、このようにバネ定数が大きい第1バネ7で車体を支持することにより、積載物の重量が大きい状態で走行しても、第1バネ7の変形量が小さく車体が容易には傾斜しないため、発進や停止や加減速の際に転倒する危険性が小さくなり、走行安定性も確保することができる。そのため、運搬台車10は、サスペンション機構にバネ定数が小さいバネのみを備える運搬台車と比較して、最大積載量を大きくすることができる。
【0033】
また、運搬台車10は、メカナムホイール特有の走行振動を低減させることもできる。メカナムホイール3は、走行中にメカナムホイール特有の振幅が小さい振動を発生させる。しかし、ゴム製の第1バネ7は、ゴムの特性により、メカナムホイール特有の振動を車体に伝達しないように吸収することができる。そのため、運搬台車10は、ゴム製の第1バネ7を用いることにより、走行中の車体の振動を低減させることができる。更に、ゴム製の第1バネ7は金属製のバネと比較して安価であり、車体に取り付けるための加工費用も金属製のバネと比較して小さいため、ゴム製の第1バネ7を用いることにより、運搬台車10のコストを下げることができる。
【0034】
また、運搬台車10では、スイングアーム6がメカナムホイール3の両側でメカナムホイール3の回転軸31を支持しているため、積載物の重量を大きくした場合でも、片持ち方式のスイングアームと比較して変形し難くなっている。そのため、運搬台車10は、サスペンション機構に片持ち方式のスイングアームを用いた場合よりも、最大積載量を増やすことができる。なお、スイングアーム6が変形すると、メカナムホイール3の回転軸31が荷台1の平面11と平行にならず、メカナムホイール3が路面に斜めに接地するため、想定外の振動の発生や、真っすぐ走行できないなどの不具合が発生し易くなる。
【0035】
また、既に述べたように、第1バネ7が、図2に示すように第1バネ7がスイングアーム6に接触して車体を支持する状態で、メカナムホイール3の回転軸31の上方に配置されている。このように第1バネ7を配置することにより、第1バネ7から受ける荷重はスイングアーム6の曲げ剛性に影響しなくなる。そのため、第2バネ8から受ける荷重までスイングアーム6の剛性を下げることが可能となり、薄肉や中抜きなどの形状変更によりスイングアーム6を軽量化することができる。
【0036】
<実施形態の補足>
本発明の運搬台車は、上述した形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。例えば、積載物の重量や運搬台車の重心の位置に合わせて、第1バネの厚さや面積や取り付け位置を変更してもよい。第1バネは、車体に固定せず、スイングアームに固定してもよい。また、運搬台車の走行振動の特性に応じて、第1バネの材質に振動吸収型のゴムを用いてもよい。また、ストローク量とメカナムホイールの接地圧が確保できれば、第2バネにコイルスプリングを用いてもよい。また、メカナムホイールの回転軸が運搬台車の水平基準と平行な状態を維持しつつ上下方向に移動できれば、サスペンション機構は、非特許文献1に開示されるリニアガイド方式や、非特許文献2に開示されるマルチリンク方式など、トレーリングアーム方式以外の方式であってもよい。
【0037】
[発明の構成]
[構成1]
走行用の車輪としてメカナムホイールを備え、荷台の平面の上に物品を積載できる運搬台車であって、
前記メカナムホイールの回転軸を、前記荷台の平面に平行な状態を維持しつつ上下方向に移動可能に支持する支持機構と、
車体と前記支持機構との間に配置され、前記車体及び前記支持機構のいずれか一方のみに固定された第1バネと、
一端が前記車体に接続し他端が前記支持機構に接続する第2バネと、を備え、
前記第1バネのバネ定数は、前記第2バネのバネ定数よりも大きく、
前記第2バネのバネ定数は、水平かつ平坦な路面上で前記荷台に物品を全く積載していない状態で、前記第1バネが前記車体と前記支持機構との間に挟まれて前記車体を支持するように設定されていることを特徴とする運搬台車。
[構成2]
構成1に記載の運搬台車であって、
前記支持機構が、前記メカナムホイールの回転軸を前記メカナムホイールの両側で支持することを特徴とする運搬台車。
[構成3]
構成1又は2に記載の運搬台車であって、
前記支持機構が、前記メカナムホイールの回転軸に垂直な方向にスイング可能なスイングアームであることを特徴とする運搬台車。
[構成4]
構成1~3のいずれか1項に記載の運搬台車であって、
前記第1バネが前記車体を支持する状態では、前記第1バネが前記メカナムホイールの回転軸の上方に配置されていることを特徴とする運搬台車。
[構成5]
構成1~4のいずれか1項に記載の運搬台車であって、
前記第1バネがゴム製のバネであることを特徴とする運搬台車。
[構成6]
構成1~5のいずれか1項に記載の運搬台車であって、
前記第2バネがガススプリングであることを特徴とする運搬台車。
【符号の説明】
【0038】
1 荷台、2 台車フレーム、3 メカナムホイール、4 電気モータ、5 防水ケース、6 スイングアーム、7 第1バネ、8 第2バネ、10 運搬台車、11 平面、21 サイドメンバ、22 クロスメンバ、23 アーム取付板、31 回転軸、61 スイング軸、62 上面。
図1
図2
図3