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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121931
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/165 20200101AFI20240902BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20240902BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029180
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克磨
(72)【発明者】
【氏名】落合 睦
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA11
3K273QA21
3K273QA29
3K273RA12
3K273RA13
3K273SA10
3K273SA35
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA18
3K273TA27
3K273TA78
3K273UA17
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】本開示は照明制御システムに関し、ユーザが、予測電気料金を確認したうえで照明制御を実施できる照明制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の照明制御システムは、照明コントローラと、照明器具とを備える。照明コントローラは、照明器具を点灯制御するための第一の制御値に基づき、照明器具の予測電気料金を計算する処理と、予測電気料金が、照明器具の目標電気料金を超過するか否かを判定する処理と、判定の結果をユーザに通知する処理とを実行するように構成される。ユーザにより第一の制御値が第二の制御値に変更された場合は、照明コントローラは、第二の制御値に基づき、照明器具を点灯制御する処理をさらに実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明コントローラと、
照明器具と、
を備え、
前記照明コントローラは、
前記照明器具を点灯制御するための第一の制御値に基づき、前記照明器具の予測電気料金を計算する第一電気料金予測処理と、
前記予測電気料金が、前記照明器具の目標電気料金を超過するか否かを判定する第一判定処理と、
前記第一判定処理の結果をユーザに通知する処理と、
を実行するように構成され、
ユーザにより前記第一の制御値が第二の制御値に変更された場合は、
前記照明コントローラは、
前記第二の制御値に基づき、前記照明器具を点灯制御する処理をさらに実行するように構成される、照明制御システム。
【請求項2】
照明コントローラと、
照明器具と、
デマンド計測システムと、
エネルギーマネジメントシステムと、
前記エネルギーマネジメントシステムに接続される電化機器と、
を備え、
前記デマンド計測システムは、
前記デマンド計測システムが配備された施設における一定時間あたりの消費電力の平均値である、デマンド値を計測する処理を実行するように構成され、
前記エネルギーマネジメントシステムは、
前記電化機器の電気使用量を取得する処理を実行するように構成され、
前記照明コントローラは、
前記照明器具を点灯制御するための第一の制御値に基づき、前記照明器具の予測電気料金を計算する第一電気料金予測処理と、
前記デマンド値、前記電気使用量、および前記照明器具の前記予測電気料金に基づき、前記施設における予測電気料金を計算する第二電気料金予測処理と、
前記施設における前記予測電気料金が、目標電気料金を超過しているか否かを判定する第二判定処理と、
前記第二判定処理の結果をユーザに通知する処理と、
を実行するように構成され、
ユーザにより前記第一の制御値が第二の制御値に変更された場合は、
前記照明コントローラは、
前記第二の制御値に基づき、前記照明器具を点灯制御する処理をさらに実行するように構成される、照明制御システム。
【請求項3】
前記照明コントローラは、
前記第一の制御値に基づき前記照明器具を点灯制御する処理を更に実行する、請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記照明コントローラは、
前記予測電気料金が前記目標電気料金を超過しない前記第一の制御値を生成する処理を更に実行する、請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記照明コントローラは、
前記施設における予測電気料金が前記施設における目標電気料金を超過しない前記第一の制御値を生成する処理を更に実行する、請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項6】
ユーザから前記第一の制御値を受け付ける操作端末をさらに備え、
前記第一の制御値および前記第二の制御値は、前記操作端末から通知される、請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記第一の制御値を複数備え、
前記照明コントローラは、
前記予測電気料金と前記目標電気料金との差額または時間帯に応じて、前記第一の制御値の中から1つを選択し、前記照明器具を点灯制御する処理をさらに実行する、請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記第一の制御値を複数備え、
前記照明コントローラは、
前記施設における予測電気料金と前記施設における目標電気料金との差額または時間帯に応じて、前記第一の制御値の中から1つを選択し、前記照明器具を点灯制御する処理をさらに実行する、請求項2に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
受変電設備の一次側、および電化機器の入力部に制御機器を設置して、30分あたりに使用する平均電力を抑制するように当該電化機器を制御するデマンド制御システムが知られる。例えば、特許文献1では、照明器具を含む多数の受電設備を備える制御システムにおいて、顧客等の利用者に不快感を与えずに効率的に消費電力を削減する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-240032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の方法では、ユーザが、予測電気料金を確認したうえで照明制御を実施できないといった課題がある。
【0005】
本開示は上述の問題を解決するため、ユーザが、予測電気料金を確認したうえで照明制御を実施できる照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の態様は、
照明コントローラと、
照明器具と、
を備え、
前記照明コントローラは、
前記照明器具を点灯制御するための第一の制御値に基づき、前記照明器具の予測電気料金を計算する第一電気料金予測処理と、
前記予測電気料金が、前記照明器具の目標電気料金を超過するか否かを判定する第一判定処理と、
前記第一判定処理の結果をユーザに通知する処理と、
を実行するように構成され、
ユーザにより前記第一の制御値が第二の制御値に変更された場合は、
前記照明コントローラは、
前記第二の制御値に基づき、前記照明器具を点灯制御する処理をさらに実行するように構成される、照明制御システムであることが好ましい。
【0007】
また、第二の態様は、
照明コントローラと、
照明器具と、
デマンド計測システムと、
エネルギーマネジメントシステムと、
前記エネルギーマネジメントシステムに接続される電化機器と、
を備え、
前記デマンド計測システムは、
前記デマンド計測システムが配備された施設における一定時間あたりの消費電力の平均値である、デマンド値を計測する処理を実行するように構成され、
前記エネルギーマネジメントシステムは、
前記電化機器の電気使用量を取得する処理を実行するように構成され、
前記照明コントローラは、
前記照明器具を点灯制御するための第一の制御値に基づき、前記照明器具の予測電気料金を計算する第一電気料金予測処理と、
前記デマンド値、前記電気使用量、および前記照明器具の前記予測電気料金に基づき、前記施設における予測電気料金を計算する第二電気料金予測処理と、
前記施設における前記予測電気料金が、目標電気料金を超過しているか否かを判定する第二判定処理と、
前記第二判定処理の結果をユーザに通知する処理と、
を実行するように構成され、
ユーザにより前記第一の制御値が第二の制御値に変更された場合は、
前記照明コントローラは、
前記第二の制御値に基づき、前記照明器具を点灯制御する処理をさらに実行するように構成される、照明制御システムであることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の第一から第二の態様によれば、ユーザが、予測電気料金を確認したうえで照明制御を実施できる照明制御システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態1に係る、照明制御システムの構成例である。
図2】本開示の実施の形態1に係る、照明制御システムの詳細なブロック図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る、操作端末の表示部に表示する画面の一例である。
図4】本開示の実施の形態1に係る、制御テーブルの一例である。
図5】本開示の実施の形態1に係る、照明制御システムが実行する処理のフローチャートである。
図6】本開示の実施の形態2に係る、照明制御システムの構成例である。
図7】本開示の実施の形態2に係る、サーバーが行う処理のフローチャートである。
図8】本開示の実施の形態2に係る、照明制御システムが行う処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
図1は、本開示の実施の形態1に係る、照明制御システム100の構成例である。照明制御システム100は、照明コントローラ110、複数の照明器具120、およびユーザが使用する操作端末130を備える。
【0011】
操作端末130は、ユーザが制御パラメータ10を入力するインタフェースを備え、当該制御パラメータ10を照明コントローラ110に通知する。操作端末130は、たとえばタブレット端末、スマートフォン端末、パーソナルコンピュータである。
【0012】
ユーザが入力する制御パラメータ10は、照明器具120の目標電気料金5、電気料金プラン6、各照明器具120の定格消費電力7、点灯日時情報8、制御テーブル9を含む。電気料金プラン6は、住宅、施設などが契約する電力会社が定める1kWh(キロ・ワット・アワー)あたりの電気料金の情報である。また、定格消費電力7は、照明器具120を定格電圧で使用した場合の消費電力である。また、点灯日時情報8は、照明器具120を点灯させる時間帯の情報である。
【0013】
照明コントローラ110は、操作端末130から受け付けた制御パラメータ10に基づき、照明器具120の予測電気料金11を計算する処理(以下、第一電気料金予測処理と称する)を実行する。第一電気料金予測処理において、予測電気料金11は、電気料金プラン6と、各照明器具120の定格消費電力7と、点灯日時情報8から求めることができる。
【0014】
さらに、照明コントローラ110は、計算した予測電気料金11が、照明器具120の目標電気料金5を超過するか否かを判定する処理(以下、第一判定処理と称する)を実行する。さらに、照明コントローラ110は、第一判定処理の結果をユーザに通知する。これによりユーザは、目標電気料金5に対して予測電気料金11が超過するか否かを把握することができる。制御パラメータ10の変更を望む場合、ユーザは、操作端末130に制御パラメータ10を再入力することで、照明コントローラ110にフィードバックすることが可能となる。
【0015】
通信部12は、操作端末130と照明コントローラ110間、および照明コントローラ110と複数の照明器具120間における通信を仲介する。通信部12は、たとえばwi-fi(登録商標)あるいは特定小電力無線の無線通信である。なお、通信方式は無線通信に限定されず、有線接続でも良い。
【0016】
〈変形例〉
なお、制御パラメータ10は、必ずしもユーザが操作端末130に入力した値を用いなくともよい。例えば、制御パラメータ10を、照明コントローラ110にあらかじめ記憶させてもよい。これにより、操作端末130と接続することなく、照明コントローラ110は照明器具120に対する点灯制御を実施することができる。また、制御パラメータ10は、照明コントローラ110がインターネット経由で外部のサーバーから受け付けてもよいし、照明器具120から受け付けても良く、他の方法であってもよい。
【0017】
なお、照明コントローラ110は、照明器具120と一体の構造でも良い。
【0018】
図2は、本開示の実施の形態1に係る、照明制御システム100の詳細なブロック図である。操作端末130の表示部18は、ユーザが所望の制御パラメータ10を入力するディスプレイなどのインタフェースである。制御部19は、表示部18に入力された制御パラメータ10を、通信部12を介して照明コントローラ110に通知する。
【0019】
照明コントローラ110の通信部12は、操作端末130から制御パラメータ10を受け付ける通信インタフェースである。処理部16は、通信部12が受け付けた制御パラメータ10にもとづき、上述の第一電気料金予測処理および第一判定処理を行う。記憶部17は、通信部12が受け付けた制御パラメータ10を記憶する。また、記憶部17は、制御パラメータ10に基づき計算された予測電気料金11なども記憶する。
【0020】
さらに、処理部16は、制御テーブル9に割り当てられた制御値に基づき、通信部12を介して照明コントローラ110を点灯制御するための信号を送信する。なお、制御値は、たとえば調光率である。
【0021】
照明器具120の通信部12は、照明コントローラ110から信号を受け付ける通信インタフェースである。点灯制御部15は、照明コントローラ110から受け付けた信号に応じて、点灯回路部14を制御する。点灯制御部15は、たとえばプロセッサとメモリを備える。プロセッサは点灯制御部15の機能を実現するための各種演算を行う。メモリは、点灯制御部15が制御を実施するために必要な情報を格納する。なお、点灯制御部15はマイコンであっても良い。
【0022】
点灯回路部14は、光源部13を点灯駆動する。例えば、点灯回路部14は、昇圧チョッパ回路およびバックコンバータ回路などから構成される、スイッチング電源回路である。光源部13は、LEDなどの発光素子である。
【0023】
図3は、本開示の実施の形態1に係る、操作端末130の表示部18に表示する画面の一例である。ここでは例として、照明制御システム100が300台の照明器具120を備える場合を説明する。
【0024】
まず、図3(a)は、照明器具120の目標電気料金5が未達成である場合の画面表示である。ユーザは、操作端末130に、目標電気料金5a、電気料金プラン6a、定格消費電力7a、点灯日時情報8a、制御テーブル9aを含む、制御パラメータ10を入力する。操作端末130から制御パラメータ10を受け付けた照明コントローラ110は、上述の第一電気料金予測処理を実行する。すなわち、定格消費電力7aの値(ここでは20W)を用いて、300台の照明器具120を調光率100%で、点灯させた場合の予測電気料金11aを計算する。さらに、上述の第一判定処理を実行する。第一判定処理の結果、予測電気料金11aが目標電気料金5aを上回っているため、照明コントローラ110は、未達成である旨と、その差額とを操作端末130に通知する。結果として、操作端末130の表示部18に図3(a)の画面が表示される。
【0025】
一方、図3(b)は、照明器具120の目標電気料金5が達成される場合の画面表示である。図3(b)において、目標電気料金5b、電気料金プラン6b、定格消費電力7b、点灯日時情報8bの入力値は図3(a)と同じである。しかしながら、制御テーブル9bの調光率として、図3(a)よりも低い値が入力されている。図3(a)の場合と同様に、照明コントローラ110は、300台の照明器具120を調光率70%で点灯させた場合の予測電気料金11bを計算し、第一判定処理を実行する。第一判定処理の結果、予測電気料金11bが目標電気料金5bを下回っているため、照明コントローラ110は、達成である旨と、その差額とを操作端末130に通知する。結果として、操作端末130の表示部18に図3(b)の画面が表示される。
【0026】
図4は、本開示の実施の形態1に係る、制御テーブル9の一例である。ここでは、例として、照明制御システム100が30台の照明器具120を備える場合を説明する。
【0027】
制御テーブル9において、超過料金91は、目標電気料金5に対する予測電気料金11の超過分の料金である。時間帯92は、照明器具120、および照明器具120が備える各種センサの使用時間帯である。制御テーブル9においては、照明器具120に対する制御値が、超過料金91の大きさ、または時間帯92に応じて割り当てられている。
【0028】
制御テーブルの1行目(以下、テーブル#1と称する)は、超過料金91が発生しない場合である。そこでは、すべての照明器具120の調光率として、100%が割り当てられている。これにより、照明コントローラ110は、超過料金91が発生しない場合には、すべての照明器具120に対して調光率100%となるような点灯制御を実施することができる。
【0029】
また、テーブル#1においては、それぞれの照明器具120が備える各種センサに対しても制御値が割り当てられている。たとえば、照明器具120(1)が備える焦電センサには、オフが割り当てられている。このことは、照明器具120が調光率100%となるように点灯制御されることから、焦電センサを使用する必要が無いことに基づく。
【0030】
次に、テーブル#2は超過料金91が1万円以上3万円未満の場合である。そこでは、照明器具120(1)から照明器具120(3)の調光率として、70%が割り当てられている。このように、特定の照明器具120の調光率70を下げた制御テーブル9を作成することで、人の目につきにくい場所などに設置された照明器具120の照明を落とし、消費電力を削減することができる。一方で、危険場所や来客場所など、照度を落とせない場所に設置された照明器具120に対しては、テーブル#1と同様の点灯制御を実施できる。
【0031】
また、テーブル#2において、照明器具120(1)が備える焦電センサには、オンが割り当てられている。これにより、焦電センサが人を検知した場合にのみ、点灯制御を実施する等、さらなる省エネを実施することができる。
【0032】
なお、テーブル#3は、超過料金91が3万円以上の場合であるが、そこでは特定の照明器具120に対してさらに低い調効率が割り当てられている。加えて、照明器具120(2)の音響センサには、停止が割り当てられている。また、照明器具120(3)の赤外線センサは、エアコンなどに温度調整のための赤外線信号を送信するものであるが、当該赤外線センサに対しても、エアコンを停止するための制御値が割り当てられている。同様に、照明器具120(30)の照度センサには、テーブル#2よりも目標照度を落とした制御値が割り当てられている。
【0033】
また、テーブル#4から#5に示すように、深夜の0時から6時の時間帯においては照明器具120に調光率0%が割り当てられ、来客時間がピークになる17時から18時の時間帯においては照明器具120に調光率100%が割り当てられている。このように、超過料金91に関係なく、時間帯92に応じて点灯制御することも可能である。
【0034】
このように、超過料金91または時間帯92に応じて複数の制御値を制御テーブル9に割り当てることで、照明コントローラ110は、超過料金91または時間帯92に応じた制御値を当該制御テーブル9の中から選択し、照明器具120を点灯制御することができる。
【0035】
〈変形例〉
なお、照明コントローラ110が記憶する制御テーブル9は複数あってもよい。複数の制御テーブル9を備えることで、目標電気料金5を達成できる可能性を高めることができる。
【0036】
図5は、本開示の実施の形態1に係る、照明制御システム100が実行する処理のフローチャートである。まず、照明コントローラ110が、自身と照明器具120との接続を確認する(ステップS01)。次に、照明コントローラ110が、記憶部17を参照し、制御テーブル9が存在するかを確認する(ステップS02)。
【0037】
制御テーブル9が存在する場合、照明コントローラ110は、当該制御テーブル9に割り当てられた第一の制御値に従い、照明器具120を点灯制御する(ステップS03)。以降では、ステップS03で使用した制御テーブル9を制御テーブル9(1)と称する。
【0038】
さらに、照明コントローラ110は、当月における照明器具120の累積点灯時間を計測する(ステップS04)。累積点灯時間を計測することで、当月における照明器具120の累積の電気料金を計算することができる。さらには、照明コントローラ110が、計算結果を操作端末130に通知し、表示部18に表示させることで、ユーザは電気料金をリアルタイムで確認することができる。なお、当月における照明器具120の累積の電気料金は、まず電気料金プラン6、定格消費電力7、当月の累積点灯時間、および調光率を乗算する。さらに、乗算した結果を、予測電気料金11から減算することで、求めることができる。
【0039】
さらに、照明コントローラ110は、第一電気料金予測処理および第一判定処理を実行する(ステップS05)。第一判定処理の結果、現行の制御テーブル9(1)により目標電気料金5を達成可能であると判定された場合、照明コントローラ110は、現行の制御テーブル9(1)をそのまま使用する(ステップS06)。
【0040】
一方、第一判定処理の結果、目標電気料金5を達成できないと判定された場合、照明コントローラ110は、記憶部17を参照し、目標電気料金5を達成できる制御テーブル9が存在するかを確認する(ステップS07)。
【0041】
目標電気料金5を達成できる制御テーブル9(2)が存在する場合、照明コントローラ110は、制御テーブル9(2)に割り当てられた制御値に従い、照明器具120を点灯制御する(ステップS08)。
【0042】
一方、目標電気料金5を達成できる制御テーブル9が存在しない場合、照明コントローラ110は、目標電気料金5を達成できる制御テーブル9の生成を試みる(ステップS09)。目標電気料金5を達成できる制御テーブル9(3)を生成できた場合、照明コントローラ110は、当該制御テーブル9(3)により点灯制御を行うかを、操作端末130を介してユーザに確認する(ステップS10)。ユーザから許可があった場合は、制御テーブル9(3)に割り当てられた制御値に従い、照明器具120を点灯制御する(ステップS11)。
【0043】
一方、ステップS09において目標電気料金5を達成できる制御テーブル9(3)を生成できなかった場合、およびステップS10においてユーザの許可がなかった場合、照明コントローラ110は、新しい制御テーブル9の入力を、ユーザに要請する(ステップS12)。その後は、後述するステップS15に進む。
【0044】
ここで、ステップS02において、制御テーブル9が存在しない場合は、操作端末130から制御テーブル9を受け付ける必要がある。そこで、照明コントローラ110は、操作端末130との接続を確認する(ステップS13)。接続が確認できない場合、照明コントローラ110は自身があらかじめ記憶する照明器具120の設定仕様に基づき、照明器具120を点灯制御する(ステップS14)。
【0045】
ステップS13において、接続が確認できた場合、操作端末130が、ユーザから制御パラメータ10を受け付ける(ステップS15)。さらに、操作端末130が、当該制御パラメータ10を、照明コントローラ110へ送信する(ステップS16)。
【0046】
さらに照明コントローラ110が、操作端末130から受け付けた制御テーブル9に割り当てられた第一の制御値に従い、照明器具120を点灯制御する(ステップS17)。これにより、ユーザは、自身が選択し第一の制御値に基づき点灯された照明の見た目を確認することができる。なお、以降では、ステップS17で使用した制御テーブル9を制御テーブル9(1)と称する。
【0047】
さらに照明コントローラ110は、第一電気料金予測処理および第一判定処理を実行し、結果を操作端末130に通知する(ステップS18)。これにより、ユーザは、自身が設定した制御テーブル9(1)により、目標電気料金5が達成可能か否かを把握することができる。
【0048】
さらに、照明コントローラ110は、操作端末130から制御テーブル9(1)の変更通知があるか否かを判定する(ステップS19)。変更通知が無い場合は、現行の照明の見た目と予測電気料金11に対して、ユーザが問題なしと判断したことを意味する。したがって、照明コントローラ110は、制御テーブル9(1)を記憶部17に保存する(ステップS20)。
【0049】
以上フローチャートで説明したように、本開示の照明制御システム100においては、ユーザは照明の見た目を確認し、電気料金とのバランスを比較したうえで照明制御を実施することができる。
【0050】
〈変形例〉
なお、ステップS09においては、照明コントローラ110は、ユーザに最適と思われる照明器具120の制御値を生成し、提案してもよい。たとえば、過去1年間の電気料金と照度、点灯日時、季節などから、ユーザの行動パターンに応じた調光率、調色率を提案してもよい。さらに、照明コントローラ110は、照明器具120に対する制御値だけでなく、照明器具120が備える各種のセンサに対する制御値を提案してもよい。
【0051】
実施の形態2
図6は、本開示の実施の形態2に係る、照明制御システム200の構成例である。照明制御システム200は、実施の形態1の照明制御システム100の構成要素に加えて、デマンド計測システム210と、エネルギーマネジメントシステム220、およびサーバー240をさらに備える。
【0052】
デマンド計測システム210は、受変電設備230の一次側に設置され、照明制御システム200が配備される施設において一定時間あたりに消費された電力の平均値(以下、デマンド値と称する)を取得する。なお、一定時間とは例えば30分である。
【0053】
エネルギーマネジメントシステム220は、照明制御システム200が備える電化機器250の電気使用量を取得する。なお、ここでの電化機器250は、照明器具120、及び照明器具120が備える各種のセンサ機器を含まない。
【0054】
サーバー240は、デマンド計測システム210、エネルギーマネジメントシステム220、および操作端末130と接続され、これらから取得したデータの管理、演算処理などを行う。なお、サーバー240が操作端末130から取得するデータには、操作端末130を介して取得した照明コントローラ110のデータを含む。
【0055】
さらに、サーバー240は、電気料金プラン6、およびデマンド計測システム210から取得したデマンド値に基づき、施設における基本電気料金20を計算する。これにより、照明制御システム200が配備される施設における当月の基本料金を予測することができる。
【0056】
ここで、ひと月の電気料金は、基本料金と電気使用量に基づく料金から構成されることに留意されたい。基本料金は、電気使用量にかかわらず、契約電力量に応じて算出される料金である。基本料金は、電力会社の算定式によって異なるが、たとえば基本料金の単価と、契約電力量(過去1年間におけるデマンド値の最大値)と、力率の割引(もしくは割増)の乗算で求められる。
【0057】
さらに、サーバー240は、電気料金プラン6、およびエネルギーマネジメントシステム220から取得した電化機器250の電気使用量に基づき、電化機器250の電気料金21を計算する。これにより、照明制御システム200が配備される施設における当月の電気使用量に基づく料金を予測することができる。
【0058】
照明コントローラ110は、施設における基本電気料金20と、電化機器250の電気料金21の計算結果をサーバー240から受け付ける。計算結果を用いて、照明コントローラ110は、施設における予測電気料金22を計算する処理(以下、第二電気料金予測処理と称する)を実行する。第二電気料金予測処理において、施設における予測電気料金22は、例えば、施設における基本電気料金20、電化機器250の電気料金21、および照明器具120の予測電気料金11の合計から求めることができる。
【0059】
さらに、照明コントローラ110は、計算した施設における予測電気料金22が、施設における目標電気料金27を超過しているか否かを判定する処理(以下、第二判定処理と称する)を実行する。さらに、照明コントローラ110は、第二判定処理の結果をユーザに通知する。これによりユーザは、施設における目標電気料金27対して施設における予測電気料金22が超過するか否かを把握することができる。
【0060】
このように、ユーザは、施設における予測電気料金22と、施設における目標電気料金27とを考慮したうえで、照明制御を実施することができる。
【0061】
〈変形例〉
なお、デマンド計測システム210の代わりに、デマンド値を制御するデマンド制御システムを使用してもよい。
【0062】
同様に、エネルギーマネジメントシステム220は、HEMS(Home Energy Management System)、RFID監視システム(Radio Frequency IDentification)を使用してもよい。電気使用量を可視化するシステムであれば、上述と同様の効果を得ることができる。HEM(Home Energy Manager)を使用してもよいが、HEMは、HEMに対応可能な専用の電化機器250のみでしか電気使用量を確認できないため、HEMSのほうがより好ましい。
【0063】
照明コントローラ110は、操作端末130およびサーバー240を介さずに、デマンド計測システム210、およびエネルギーマネジメントシステム220に接続されてもよい。
【0064】
サーバー240が行う、施設における基本電気料金20の計算は、デマンド計測システム210または操作端末130が行ってもよい。同様に、電化機器250の電気料金21の計算は、エネルギーマネジメントシステム220または操作端末130が実施してもよい。
【0065】
照明コントローラ110は、第二電気料金予測処理および第二判定処理の結果に応じて、消費電力を抑制する指令信号をエネルギーマネジメントシステム220に対して送信してもよい。また照明コントローラ110に、スマートリモコン等の赤外線センサを搭載し、外部の電化機器250に対して消費電力を抑制する指令信号を送信してもよい。また電化機器250が照明器具120に接続されている場合は、当該照明器具120に対して、電化機器250の電力を抑制する指令信号を送信してもよい。
【0066】
また、照明コントローラは、施設における予測電気料金22と施設における目標電気料金27との差額に応じて、制御テーブル9から制御値を選択し、照明器具120を点灯制御する処理をさらに実行してもよい。
【0067】
なお、施設における基本電気料金20、電化機器250の電気料金21、および施設における予測電気料金22の計算方法は、契約する電力会社の電気料金プラン6等に応じて変更しても良い。
【0068】
図7は、本開示の実施の形態2に係る、サーバー240が行う処理のフローチャートである。まず、サーバー240は、デマンド計測システム210からデマンド値を、エネルギーマネジメントシステム220から電化機器250の電気使用量を、照明コントローラ110から電気料金プラン6を、それぞれ取得する(ステップS21)。つぎに、サーバー240が、施設における基本電気料金20と、電化機器250の電気料金21を計算する(ステップS22)。
【0069】
さらに、サーバー240が、施設における基本電気料金20と、電化機器250の電気料金21の計算結果を照明コントローラ110に送信する(ステップS23)。
【0070】
図8は、本開示の実施の形態2に係る、照明制御システム200が行う処理のフローチャートである。ステップS31からステップS44までは実施の形態1の図5におけるステップS01からステップS14までと同様であるので説明は省略する。ただし、ステップS35は、図5のステップS05と同様であるが、照明コントローラ110は、第二電気料金予測処理および第二判定処理を実行する。
【0071】
ステップS43において、接続が確認できた場合、照明コントローラ110は、施設における基本電気料金20と、電化機器250の電気料金21の計算結果をサーバー240から受け付ける(ステップS45)。また、ステップS46は図5のステップS15と同様であるが、ここでの制御パラメータ10には施設における目標電気料金27がさらに含まれる。ステップS47からステップS48は、図5のステップS16からステップS17と同様である。
【0072】
さらに、ステップS49は、図5のステップS18と同様であるが、照明コントローラ110は、第二電気料金予測処理および第二判定処理を実行し、結果を操作端末130に通知する。ステップS50以降の処理は、図5のステップS19以降と同様である。
【0073】
以上説明したように、本開示によれば、ユーザが、予測電気料金を確認したうえで照明制御を実施できる照明制御システムを提供することが可能となる。
【0074】
なお、照明コントローラ110が照明器具120の点灯制御に用いる制御値は、必ずしも制御テーブル9の形式で照明コントローラ110に与えなくともよく、制御値そのものとして与えてもよい。
【0075】
以上、本開示の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもよい。
【符号の説明】
【0076】
5 目標電気料金、6 電気料金プラン、7 定格消費電力、8 点灯日時情報、9 制御テーブル、10 制御パラメータ、11 予測電気料金、12 通信部、13 光源部、14 点灯回路部、15 点灯制御部、16 処理部、17 記憶部、18 表示部、19 制御部、20 施設における基本電気料金、21 電化機器の電気料金、22 施設における予測電気料金、27 施設における目標電気料金、91 超過料金、92時間帯、100 照明制御システム、110 照明コントローラ、120 照明器具、130 操作端末、200 照明制御システム、210 デマンド計測システム、220 エネルギーマネジメントシステム、230 受変電設備、240 サーバー、250 電化機器
図1
図2
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図6
図7
図8