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特開2024-121939口座移行支援システム、インターネットバンキングシステム、及び口座移行支援方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121939
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】口座移行支援システム、インターネットバンキングシステム、及び口座移行支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20230101AFI20240902BHJP
【FI】
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029194
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】松木 優
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB03
5L055BB03
(57)【要約】
【課題】移行元及び移行先の口座の正当性を確認した上で、口座の移行を円滑に行うことを可能にする口座移行支援システム、インターネットバンキングシステム、及び口座移行支援方法を提供する。
【解決手段】
顧客によって第1の口座から第2の口座への移行が行われる場合において、前記第1の口座に係るインターネットバンキングシステム2aを介して顧客から口座の移行要求を受け付け(S201)、前記第2の口座に係るインターネットバンキングシステム2bへのログインを前記顧客に対して要求し(S203)、前記ログインの承認が確認できた場合に、前記第1の口座の取引履歴を含む口座情報を前記第2の口座側へ提供する。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客による第1の口座から第2の口座への移行を支援する口座移行支援システムであって、
前記第1の口座及び前記第2の口座の何れか一方に係るインターネットバンキングシステムを介して前記顧客から口座の移行要求を受け付ける移行要求受付手段と、
他方に係るインターネットバンキングシステムへのログインを前記顧客に対して要求するログイン要求手段と、
前記ログインの承認が確認できた場合に、前記第1の口座の取引履歴を含む口座情報を前記第2の口座側へ提供する提供手段と
を備える、口座移行支援システム。
【請求項2】
前記提供手段は、前記一方に係るインターネットバンキングのログイン状態が保持されている場合において、前記ログインの承認が確認できたときに、前記口座情報を前記第2の口座側へ提供する、
請求項1に記載の口座移行支援システム。
【請求項3】
前記第1の口座に係るインターネットバンキングシステムに対して前記第1の口座の閉鎖を要求する口座閉鎖要求手段
をさらに備える、請求項1又は2に記載の口座移行支援システム。
【請求項4】
前記第1の口座から第2の口座への送金要求を、前記一方に係るインターネットバンキングシステムを介して前記顧客から受け付ける送金要求受付手段と、
前記ログインの承認が確認できた場合に、前記第1の口座から第2の口座への送金を前記第1の口座に係るインターネットバンキングシステムに対して指示する送金指示手段と
をさらに備える、請求項1又は2に記載の口座移行支援システム。
【請求項5】
顧客による第1の口座から第2の口座への移行を支援する前記第1の口座に係るインターネットバンキングシステムであって、
前記顧客から口座の移行要求を受け付ける受付手段と、
前記第2の口座に係るインターネットバンキングシステムへのログインを前記顧客に対して要求するログイン要求手段と、
前記ログインの承認が確認できた場合に、前記第1の口座の取引履歴を含む口座情報を前記第2の口座に係るインターネットバンキングシステムへ提供する提供手段と
を備える、インターネットバンキングシステム。
【請求項6】
顧客による第1の口座から第2の口座への移行を支援する前記第2の口座に係るインターネットバンキングシステムであって、
前記顧客から口座の移行要求を受け付ける受付手段と、
前記第1の口座に係るインターネットバンキングシステムへのログインを前記顧客に対して要求するログイン要求手段と、
前記ログインの承認が確認できた場合に、前記第1の口座の取引履歴を含む口座情報を第1の口座に係るインターネットバンキングシステムから取得する取得手段と
を備える、インターネットバンキングシステム。
【請求項7】
顧客による第1の口座から第2の口座への移行を支援する口座移行支援方法であって、
前記第1の口座及び前記第2の口座の何れか一方に係るインターネットバンキングシステムを介して前記顧客から口座の移行要求を受け付けた場合に、他方に係るインターネットバンキングシステムへのログインを前記顧客に対して要求し、
前記他方に係るインターネットバンキングシステムへのログインの承認が確認できた場合に、前記第1の口座の取引履歴を含む口座情報を前記第2の口座側へ提供する、
口座移行支援方法。
【請求項8】
前記一方に係るインターネットバンキングシステムにおいて前記顧客がログイン状態の場合において、前記他方に係るインターネットバンキングシステムへのログインの承認が確認できたときに、前記口座情報を前記第2の口座側へ提供する、
請求項7に記載の口座移行支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関の口座の移行を支援する口座移行支援システム、インターネットバンキングシステム、及び口座移行支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、新口座から旧口座への移管に関する処理を行う口座移管処理システムが開示されている。この口座移管処理システムでは、口座移管データの新旧の口座情報を参照して口座移管データの履歴情報について旧口座情報で記述されているデータ部分を新口座情報に書き換えて口座書き換え処理を行い、さらに、移管元報告書データをコピーして、ファイル名を移管先の報告書データのファイル名に書き換えて移管先報告書データを生成する。これにより、旧口座の情報を新口座に容易に引き継ぐことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-16097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の口座移管処理システムの場合、情報の引き継ぎを円滑に行うことが可能であるものの、その引き継ぎ先の正当性などが確認されていないため、不正な引き継ぎが行われるおそれがある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、移行元及び移行先の口座の正当性を確認した上で、口座の移行を円滑に行うことを可能にする口座移行支援システム、インターネットバンキングシステム、及び口座移行支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様の口座移行支援システムは、顧客による第1の口座から第2の口座への移行を支援する口座移行支援システムであって、前記第1の口座及び前記第2の口座の何れか一方に係るインターネットバンキングシステムを介して前記顧客から口座の移行要求を受け付ける移行要求受付手段と、他方に係るインターネットバンキングシステムへのログインを前記顧客に対して要求するログイン要求手段と、前記ログインの承認が確認できた場合に、前記第1の口座の取引履歴を含む口座情報を前記第2の口座側へ提供する提供手段とを備える。
【0007】
前記態様において、前記提供手段は、前記一方に係るインターネットバンキングのログイン状態が保持されている場合において、前記ログインの承認が確認できたときに、前記口座情報を前記第2の口座側へ提供してもよい。
【0008】
また、前記態様において、前記第1の口座に係るインターネットバンキングシステムに対して前記第1の口座の閉鎖を要求する口座閉鎖要求手段をさらに備えてもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記第1の口座から第2の口座への送金要求を、前記一方に係るインターネットバンキングシステムを介して前記顧客から受け付ける送金要求受付手段と、前記ログインの承認が確認できた場合に、前記第1の口座から第2の口座への送金を前記第1の口座に係るインターネットバンキングシステムに対して指示する送金指示手段とをさらに備えてもよい。
【0010】
本発明の一の態様のインターネットバンキングシステムは、顧客による第1の口座から第2の口座への移行を支援する前記第1の口座に係るインターネットバンキングシステムであって、前記顧客から口座の移行要求を受け付ける受付手段と、前記第2の口座に係るインターネットバンキングシステムへのログインを前記顧客に対して要求するログイン要求手段と、前記ログインの承認が確認できた場合に、前記第1の口座の取引履歴を含む口座情報を前記第2の口座に係るインターネットバンキングシステムへ提供する提供手段とを備える。
【0011】
本発明の他の態様のインターネットバンキングシステムは、顧客による第1の口座から第2の口座への移行を支援する前記第2の口座に係るインターネットバンキングシステムであって、前記顧客から口座の移行要求を受け付ける受付手段と、前記第1の口座に係るインターネットバンキングシステムへのログインを前記顧客に対して要求するログイン要求手段と、前記ログインの承認が確認できた場合に、前記第1の口座の取引履歴を含む口座情報を第1の口座に係るインターネットバンキングシステムから取得する取得手段とを備える。
【0012】
本発明の一の態様の口座移行支援方法は、顧客による第1の口座から第2の口座への移行を支援する口座移行支援方法であって、前記第1の口座及び前記第2の口座の何れか一方に係るインターネットバンキングシステムを介して前記顧客から口座の移行要求を受け付けた場合に、他方に係るインターネットバンキングシステムへのログインを前記顧客に対して要求し、前記他方に係るインターネットバンキングシステムへのログインの承認が確認できた場合に、前記第1の口座の取引履歴を含む口座情報を前記第2の口座側へ提供する。
【0013】
また、前記態様において、前記一方に係るインターネットバンキングシステムにおいて前記顧客がログイン状態の場合において、前記他方に係るインターネットバンキングシステムへのログインの承認が確認できたときに、前記口座情報を前記第2の口座側へ提供してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、移行元及び移行先の口座の正当性を確認することによって、口座の移行を安全に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】口座移行支援システム及びインターネットバンキングシステムの構成を示すブロック図。
図2】顧客マスタデータベースのレイアウトの一例を示す図。
図3】利用者端末の構成を示すブロック図。
図4A】口座移行支援処理の手順の一例を示すフローチャート(前半)。
図4B】口座移行支援処理の手順の一例を示すフローチャート(後半)。
図5A】振込・送金依頼画面の一例を示す図。
図5B】送金指示画面の一例を示す図。
図5C】自動遷移画面の一例を示す図。
図5D】ログイン画面の一例を示す図。
図5E】自動遷移画面の一例を示す図。
図5F】移行完了画面の一例を示す図。
図6】振込サービスを介して実行される口座移行支援処理の手順の一例を示すフローチャート。
図7A】振込指示画面の一例を示す図。
図7B】移行完了画面の一例を示す図。
図8】振込サービスを介して実行される口座移行支援処理の手順の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0017】
(システムの構成)
図1は、本実施の形態の口座移行支援システム及びインターネットバンキングシステムの構成を示すブロック図である。本実施の形態の口座移行支援システムは、個人間送金を実行するコンピュータシステムである送金システム1で構成される。インターネットバンキングシステム(以下「バンキングシステム」という)2は、各金融機関によって提供されるインターネットバンキングサービスを実現するためのコンピュータシステムである。なお、以下では、移行元の口座に係るバンキングシステム2をバンキングシステム2aと称し、移行先の口座に係るバンキングシステム2をバンキングシステム2bと称する。
【0018】
送金システム1及びバンキングシステム2は、インターネット101を介して相互に通信するとともに、同じくインターネット101を介して利用者端末3とも通信する。利用者端末3は、金融機関の口座の利用者(顧客)によって操作される情報端末である。
【0019】
(送金システムの構成)
送金システム1は、CPU、RAM、及びROMを含む制御部を備えるコンピュータで構成されており、この制御部によって後述する各処理が実行される。また、送金システム1は、個人間送金を行う利用者である顧客に関する顧客マスタデータベース(DB)11を有している。
【0020】
図2は、顧客マスタDB11のレイアウトの一例を示す図である。図2に示すとおり、顧客マスタDB11には、利用者の氏名、識別子、並びに利用者が利用する金融機関及び口座等の情報が格納されている。本実施の形態の場合、識別子として、利用者のメールアドレス及び電話番号などが用いられる。
【0021】
顧客マスタDB11に格納される各情報は利用者によって提供される。各利用者は、自身が使用している各金融機関の口座に関する情報を、識別子と紐付けて送金システム1側へ提供する。その他にも、各金融機関が、利用者からの要求に応じて当該利用者の口座に関する情報を送金システム1側へ提供してもよい。この顧客マスタDB11に格納されている識別子を用いることにより、送金システム1は、口座番号を用いることなく送金を行うことが可能になる。
【0022】
なお、各利用者は、複数の口座を送金システム1に登録することができる。本実施の形態の場合、口座の移行を希望する利用者が、移行元及び移行先の両口座を送金システム1に登録する。
【0023】
(バンキングシステムの構成)
バンキングシステム2は、CPU、RAM、及びROMを含む制御部を備えるコンピュータで構成されており、この制御部によって後述する各処理が実行される。また、バンキングシステム2は、各口座の名義人の氏名、口座番号、取引履歴、残高、及び登録済みの振込先の口座など、各口座に関する口座情報を格納する口座データベース(DB)21を有している。
【0024】
(利用者端末の構成)
利用者端末3は、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ及びタブレット端末等の情報端末である。口座の移行を希望する利用者は、利用者端末3を用いて口座の移行の支援を依頼する。以下、利用者端末3の詳細な構成について説明する。
【0025】
図3は、利用者端末3の構成を示すブロック図である。図3に示すように、利用者端末3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、表示部35と、マイク36と、スピーカ37とを備えている。
【0026】
制御部31は、図示しないCPUと、SRAM又はDRAM等のRAMとを少なくとも備えている。制御部31のCPUがRAMにロードされた各種のコンピュータプログラムを実行することにより、利用者端末3は後述するように動作する。
【0027】
記憶部32は、フラッシュメモリ等で構成されており、制御部31にて実行されるオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等の各種のコンピュータプログラム、並びにその実行の際に用いられるデータ等を記憶する。このコンピュータプログラムには、バンキングシステム2によるインターネットバンキングサービスを享受するためのプログラムであるダイレクトアプリ321が含まれる。
【0028】
ダイレクトアプリ321は、バンキングシステム2毎に異なるものが利用者端末3にインストールされている。以下では、移行元の口座に係るバンキングシステム2a用のものをダイレクトアプリ321aと称し、移行先の口座に係るバンキングシステム2b用のものをダイレクトアプリ321bと称する。
【0029】
通信部33は、3G(Generation)、4G、5G、及びLTE(Long Term Evolution)等の長距離無線通信方式、並びにNFC(Near Field Communication)、Wi-Fi(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)等の近距離無線通信方式に対応する通信モジュールで構成されている。利用者端末3は、この通信部33を介して送金システム1及びバンキングシステム2と通信を行う。
【0030】
入力部34は、静電容量方式のタッチパネル等で構成されており、利用者からの入力を受け付け、その入力に基づく電気信号を制御部31に出力する。利用者は、入力部34を用いることにより、利用者端末3に対して必要な操作を行う。
【0031】
表示部35は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等で構成されており、制御部31から入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0032】
マイク36は、外部から音声の入力を受け付けて、その入力に基づく電気信号を制御部31に出力する。上記の入力部34による入力に代えて、マイク36による音声入力を行うことも可能である。
【0033】
スピーカ37は、制御部31からの指示にしたがって、外部に音声を出力する。上記の表示部35による表示の代わりに、スピーカ37による音声出力によって各種のメッセージ等を出力することができる。
【0034】
(システムの動作)
口座の移行を希望する利用者は、移行先となる新たな口座を開設した後、その口座に係るバンキングシステム2bへの登録を済ませ、当該口座のインターネットバンキングサービスを利用可能な状態とする。なお、移行先の口座は既設のものであってもよく、その場合でも利用者は当該口座に係るバンキングシステム2bへの登録を済ませておく必要がある。また、利用者は移行元の口座に係るバンキングシステム2aへの登録もしておく必要がある。
【0035】
上記のとおり移行元及び移行先の両口座に係るバンキングシステム2a,2bへの登録が済んでいる状態において、利用者は、利用者端末3を用いてダイレクトアプリ321aを起動し、所定の情報(ユーザID及びパスワード等)を入力してログインを行う。これ以降、送金システム1及びバンキングシステム2a,2bによって下記の口座移行支援処理が実行される。
【0036】
図4A及び図4Bは、口座移行支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。バンキングシステム2aは、上記のようにして利用者により行われたログインの認証を実行する(S101)。ここで認証に成功した場合、利用者端末3の表示部35に、振込・送金を依頼するための振込・送金依頼画面が表示される。
【0037】
図5Aは、振込・送金依頼画面の一例を示す図である。図5Aに示すとおり、振込・送金依頼画面には、振込サービスを依頼するための振込依頼欄301と、送金システム1による送金サービスを依頼するための送金依頼欄302とが表示されている。利用者は、これらの振込サービス及び送金サービスの何れかを介して口座移行の支援を享受することになる。ここでは、送金サービスを介して当該支援を受けるものとして説明を続ける。振込サービスを介する場合については後述する。
【0038】
なお、図5Aに示す例では、画面の下方に「ABCダイレクト」の文字が表示されている。これは、移行元の口座に係るインターネットバンキングサービスの名称の例である。他の図面に示す画面例でも同様にインターネットバンキングサービスの名称が表示される。ここで、移行先の口座に係るインターネットバンキングサービスの名称としては「XYZダイレクト」が用いられる。
【0039】
利用者が送金依頼欄302を選択すると、送金を指示するための送金指示画面が表示部35に表示される。図5Bは、その送金指示画面の一例を示す図である。図5Bに示すとおり、送金指示画面には、送金先の口座の識別子である電話番号及びメールアドレスを入力するための送金先入力欄311と、送金額を入力するための送金額入力欄312とが表示されている。なお、本実施の形態の場合、電話番号又はメールアドレスのみで送金が行えるため、送金指示画面に口座番号等の入力欄が設けられていないが、そのような入力欄を設けることにより口座番号を用いた送金を行うようにしてもよい。
【0040】
また、送金指示画面には、口座の移行(以下「引っ越し」と称する場合がある)を指示するためのチェック欄も表示されている。口座の移行を希望する利用者は、移行先の口座の識別子である電話番号又はメールアドレスを送金先入力欄311に、移行先の口座への送金額を送金額入力欄312にそれぞれ入力するとともに、上記のチェック欄にチェックを入れる。これにより、口座の移行指示が完了する。
【0041】
図4Aに戻り、バンキングシステム2aは、利用者からの移行指示を受け付けると(S102)、移行先の口座の識別子及び送金額を含む移行指示情報を送金システム1に対して送信する(S103)。
【0042】
送金システム1は、バンキングシステム2aから移行指示情報を受信すると(S201)、その移行指示情報に含まれる識別子と紐付けられて顧客マスタDB11に格納されている口座を抽出し、これを移行先の口座として特定する(S202)。次に送金システム1は、その移行先の口座に係るバンキングシステム2bへのログイン要求を利用者端末3に対して送信する(S203)。
【0043】
本実施の形態の場合、上記のログイン要求は次のようにして行われる。まず、利用者端末3の表示部35には、移行先の口座に係るバンキングシステム2bに遷移する自動遷移画面が表示される。図5Cは、その自動遷移画面の一例を示す図である。図5Cに示すように、この自動遷移画面には、バンキングシステム2bの認証画面に自動遷移する旨のメッセージが表示される。
【0044】
上記の自動遷移が行われると、利用者端末3の表示部35には、バンキングシステム2bを利用するためのダイレクトアプリ321bの起動の許可を要求する画面が表示される。利用者がこの要求に応じて当該起動を許可した場合、ダイレクトアプリ321bが起動し、表示部35にログイン画面が表示される。
【0045】
図5Dは、上記のログイン画面の一例を示す図である。図5Dに示すように、ログイン画面には、移行先の口座の支店名、口座番号及びパスワードを入力するための入力欄321と、ログイン認証の実行を指示するためのログインボタン322とが表示されている。利用者は、支店名、口座番号及びパスワードを入力欄321に入力した上で、ログインボタン322をクリックする。これにより、入力された各情報がバンキングシステム2bに対して送信される。
【0046】
図4Aに戻り、バンキングシステム2bは、利用者端末3から受信した支店名、口座番号及びパスワードを用いて、ログインの認証を実行する(S301)。ここで認証に成功した場合、バンキングシステム2bは、認証が成功したことを示す認証成功情報を、利用者端末3及び送金システム1に対して送信する(S302)。
【0047】
バンキングシステム2bから認証成功情報を受信した利用者端末3は、移行元の口座に係るバンキングシステム2aに遷移する自動遷移画面を表示部35に表示する。図5Eは、その自動遷移画面の一例を示す図である。図5Eに示すように、この自動遷移画面には、バンキングシステム2aに自動遷移する旨のメッセージが表示される。
【0048】
上記の自動遷移が行われると、ダイレクトアプリ321aが作動し、後述するようにして口座情報の引き継ぎが行われた後に、口座の移行が完了したことを示す移行完了画面が表示部35に表示される。この移行完了画面については後述する。
【0049】
送金システム1は、バンキングシステム2bから認証成功情報を受信することによって(S204)、バンキングシステム2bのログインが承認されたことを確認できる。これにより、送金システム1は、移行先の口座が正当なものであると判断することができる。これ以降、送金システム1は、口座の移行を完了させるための処理を実行する。
【0050】
送金システム1はまず、移行元の口座から移行先の口座への送金要求及び引き継ぎ要求を、バンキングシステム2aに対して送信する(S205)。ここで、送金要求は、ステップS201にて受信した移行指示情報に含まれる送金額を移行先の口座に対して送金するよう指示するためのものである。また、引き継ぎ要求は、移行先の口座側への口座情報の引き継ぎを指示するためのものである。
【0051】
バンキングシステム2aは、送金システム1から送金要求及び引き継ぎ要求を受信すると(S104)、移行元の口座から移行先の口座への送金を行うための送金処理を実行する(S105)。次にバンキングシステム2aは、移行元の口座の口座情報を口座DB21から抽出し、その口座情報を送金システム1に対して送信する(S106)。なお、この口座情報には、移行元の口座の取引履歴、残高、及び登録済みの振込先の口座が含まれている。
【0052】
送金システム1は、バンキングシステム2aから口座情報を受信した場合(S206)、その口座情報をバンキングシステム2bに対して送信する(S207)。バンキングシステム2bは、この口座情報を受信すると(S303)、それを移行先の口座の口座情報として口座DB21に登録する(S304)。これにより、移行元の口座から移行先の口座への口座情報の引き継ぎが行われたことになる。
【0053】
次に、送金システム1は、移行元の口座の閉鎖を要求するための口座閉鎖要求をバンキングシステム2aに送信する(S208)。バンキングシステム2aは、この口座閉鎖要求を受信すると(S107)、当該口座を閉鎖するための口座閉鎖処理を実行する(S108)。なお、この移行元の口座の閉鎖は、利用者から閉鎖要求を明示的に受けた場合のみ行うようにしてもよい。また、移行元の口座の残高の全額が移行先の口座に送金された場合にのみ閉鎖要求を行うようにしてもよい。
【0054】
さらに、送金システム1は、顧客マスタDB11から移行元の口座の情報を削除して、顧客マスタDB11を更新する(S209)。このとき、送金システム1が、移行先の口座の識別子を、削除される移行元の口座の識別子に置き換えてもよい。これにより、これまで移行元の口座について使用していた識別子を、移行先の口座の識別子として引き続き使用することが可能になる。
【0055】
上述したように、利用者端末3の表示部35には、口座情報の引き継ぎが行われた後に移行完了画面が表示される。図5Fには、その移行完了画面の一例が示されている。図5Fに示すとおり、移行完了画面には、口座の引っ越しが完了したこと及び移行元の口座が閉鎖されることを示すメッセージが表示される。その後、利用者の操作によってダイレクトアプリ321aのログアウトが実行される。
【0056】
次に、振込サービスを介して口座移行の支援を受ける場合の処理について説明する。図5Aを参照しながら上述したように、振込・送金依頼画面において送金依頼欄302が選択された場合は図4A及び図4Bに示す口座移行支援処理が実行される一方で、振込依頼欄301が選択されると、振込サービスを介した口座移行支援処理が実行される。後者の場合、送金システム1は関与せず、バンキングシステム2a及び2bによって口座移行の支援が行われることになる。
【0057】
図6は、振込サービスを介して実行される口座移行支援処理の手順を示すフローチャートである。まずバンキングシステム2aは、上記のステップS101と同様にしてログインの認証を実行する(S401)。ここで認証に成功した場合、利用者端末3の表示部35に、振込・送金を依頼するための振込・送金依頼画面(図5Aを参照)が表示される。ここで、利用者によって振込依頼欄301が選択されると、振込を指示するための振込を指示するための振込指示画面が表示部35に表示される。
【0058】
図7Aは、振込指示画面の一例を示す図である。図7Aに示すとおり、振込指示画面には、振込先の口座に係る金融機関名、支店名、及び口座番号を入力するための振込先入力欄331と、振込額を入力するための振込額入力欄332とが表示されている。また、図5Bに示す送金指示画面の場合と同様、振込指示画面には、口座の移行を指示するためのチェック欄も表示されている。口座の移行を希望する利用者は、移行先の口座に関する情報を振込先入力欄331に、移行先の口座への振込額を振込額入力欄332にそれぞれ入力するとともに、上記のチェック欄にチェックを入れる。これにより、口座の移行指示が完了する。
【0059】
図6に戻り、バンキングシステム2aは、利用者からの移行指示を受け付けると(S402)、利用者によって入力された移行先の口座に関する情報に基づいて移行先の口座を特定し(S403)、その移行先の口座に係るバンキングシステム2bへのログイン要求を利用者端末3に対して送信する(S404)。このログイン要求は、図5Cを参照しながら上述した場合と同様に行われる。すなわち、移行先の口座に係るバンキングシステム2bに自動遷移されることによって、ログイン要求が行われる。
【0060】
ログイン要求の結果、利用者端末3の表示部35には、図5Dに示す例と同様のログイン画面が表示される。このログイン画面の入力欄321に必要な情報が入力された後、ログインボタン322がクリックされると、入力された各情報がバンキングシステム2bに対して送信される。
【0061】
図6に戻り、バンキングシステム2bは、ログインの認証を実行し(S501)、認証に成功した場合には認証成功情報を利用者端末3及びバンキングシステム2aに対して送信する(S502)。このステップS501及びS502は、上述したステップS301及びS302と同様の処理である。
【0062】
バンキングシステム2bから認証成功情報を受信した利用者端末3は、図5Eに示す例と同様の自動遷移画面を表示部35に表示する。その後自動遷移が行われると、ダイレクトアプリ321aが作動し、後述するようにして口座情報の引き継ぎが行われた後に、口座の移行が完了したことを示す移行完了画面が表示部35に表示される。この移行完了画面については後述する。
【0063】
バンキングシステム2aは、バンキングシステム2bから認証成功情報を受信することによって(S405)、バンキングシステム2bのログインが承認されたことを確認できる。これにより、バンキングシステム2aは、移行先の口座が正当なものであると判断することができる。これ以降、バンキングシステム2aは、口座の移行を完了させるための処理を実行する。
【0064】
バンキングシステム2aはまず、利用者によって入力された振込額を移行元の口座から移行先の口座へ振り込むための振込処理を実行する(S406)。次にバンキングシステム2aは、移行元の口座の口座情報を口座DB21から抽出し、その口座情報をバンキングシステム2bに対して送信する(S407)。なお、この口座情報には、移行元の口座の取引履歴、残高、及び登録済みの振込先の口座が含まれている。
【0065】
バンキングシステム2bは、バンキングシステム2aから送信された口座情報を受信すると(S503)、それを移行先の口座の口座情報として口座DB21に登録する(S504)。これにより、移行元の口座から移行先の口座への口座情報の引き継ぎが行われたことになる。
【0066】
このように口座情報の引き継ぎが行われた場合、利用者端末3の表示部35には、図7Bに示す移行完了画面が表示される。図7Bに示すとおり、移行完了画面には、口座の引っ越しが完了したことを示すメッセージが表示されるとともに、移行元の口座の閉鎖を指示するためのチェック欄が表示される。利用者がこのチェック欄にチェックを入れた場合、バンキングシステム2aに対して口座の閉鎖指示が行われる。
【0067】
バンキングシステム2aは、移行元の口座の閉鎖指示を受け付けると(S408)、当該口座を閉鎖するための口座閉鎖処理を実行する(S409)。この場合、利用者端末3の表示部35には、移行元の口座が閉鎖される旨のメッセージが表示される。その後、利用者の操作によってダイレクトアプリ321aのログアウトが実行される。
【0068】
上記のとおり、本実施の形態では、移行元及び移行先の両方の口座に係るバンキングシステム2に対するログインが確認できた場合、すなわち移行元及び移行先の両方の口座の正当性が確認できた場合に口座情報の引き継ぎが行われるため、不正な口座に口座情報が引き継がれることを防止することができる。
【0069】
また、本実施の形態の場合、移行元のバンキングシステム2aのログインが保持された状態において、移行先のバンキングシステム2bのログインの確認が行われる。このように、同時間帯に両システムのログインが確認できている場合に口座情報の引き継ぎが行われることになるため、より一層安全性が確保できる。
【0070】
また、本実施の形態では、口座情報の引き継ぎに加えて、移行元の口座の閉鎖を行うことができるため、不要となった口座の閉鎖を利用者が別途行う必要がなく、便宜である。
【0071】
さらに、本実施の形態では、口座情報の引き継ぎに加えて、移行元の口座から移行先の口座への送金・振込処理が行われるため、残高の移動も容易に実現することができる。
【0072】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、移行元の口座に係るダイレクトアプリ321aから口座の移行指示がなされているが、移行先の口座に係るダイレクトアプリ321bから同様に移行指示がなされてもよい。その場合でも、上記の実施の形態と同様に、送金システム1による送金サービスを介した口座移行支援、及び振込サービスを介した口座移行支援が実現可能である。
【0073】
送金サービスを介した口座移行支援は上記の実施の形態の場合と同様であるが、その概要を説明すると、まずバンキングシステム2bがダイレクトアプリ321bを介して移行指示を受け付け、その指示に係る移行指示情報を受信した送金システム1が、移行先の口座を特定した上で利用者端末3に対してバンキングシステム2aへのログイン要求を送信する。これを受けた利用者端末3においてダイレクトアプリ321aを介してログイン処理が行われ、そのログインが承認された場合、送金システム1を介してバンキングシステム2aからバンキングシステム2bへ口座情報の引き継ぎが行われる。また、バンキングシステム2aによって送金処理及び口座閉鎖処理が実行される。
【0074】
振込サービスを介した口座移行支援については、図8を参照しながらその概要を説明する。図8に示すとおり、移行先の口座に係るバンキングシステム2bは、上記のステップS101と同様にしてログインの認証を実行する(S601)。ここで認証に成功した場合、利用者端末3の表示部35に、図5Aに示す振込・送金依頼画面と同様の画面が表示され、ここで振込依頼欄が選択されると、図7Aに示す振込指示画面と同様の画面が表示される。なお、この振込指示画面には、移行先ではなく移行元の口座に係る口座番号等の入力欄が設けられている。
【0075】
バンキングシステム2bは、利用者端末3から移行指示を受け付けた後(S602)、利用者によって入力された情報を用いて移行元の口座を特定し(S603)、その移行元の口座に係るバンキングシステム2aへのログイン要求を利用者端末3に対して送信する(S604)。これを受けた利用者端末3においてダイレクトアプリ321bを介してログイン処理が行われ、バンキングシステム2aによるログイン認証(S701)の結果、ログインが承認された場合、認証成功情報及び口座情報がバンキングシステム2bに対して送信される(S702)。バンキングシステム2bがこの口座情報を口座DB21に登録することにより(S606)、口座情報の引き継ぎが行われる。
【0076】
また、バンキングシステム2aは、利用者によって入力された振込額を移行元の口座から移行先の口座へ振り込むための振込処理を実行し(S703)、さらに利用者端末3から閉鎖指示を受け付けた場合(S704)、移行元の口座を閉鎖するための口座閉鎖処理を実行する(S705)。
【0077】
上記のとおり、移行先の口座に係るダイレクトアプリ321bから口座の移行指示がなされる場合でも、移行元及び移行先の両方のバンキングシステム2に対するログインが確認できた場合に口座情報の引き継ぎが行われることになるため、不正な口座に口座情報が引き継がれることを防止することができる。
【0078】
なお、上記の各実施の形態では、移行元及び移行先の一方に係るバンキングシステム2のログインが保持された状態において、他方に係るバンキングシステム2のログインの確認を行っているが、これに限定されるわけではない。一方に係るバンキングシステム2のログイン後にログアウトされた状態において、他方に係るバンキングシステム2のログインが確認された場合に、口座情報の引き継ぎを行うようにしても構わない。この場合でも、移行元及び移行先の両方のバンキングシステム2に対するログインが確認できた場合に口座情報の引き継ぎが行われることになるため、安全性を確保することができる。
【0079】
また、上記の各実施の形態では、口座の移行と併せて送金・振込が行われているが、これらの送金・振込が行われなくても構わない。移行元の口座の閉鎖についても任意である。
【符号の説明】
【0080】
1 送金システム
11 顧客マスタデータベース
2 インターネットバンキングシステム
21 口座データベース
3 利用者端末
31 制御部
32 記憶部
321 ダイレクトアプリ
33 通信部
34 入力部
35 表示部
36 マイク
37 スピーカ
101 インターネット
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7A
図7B
図8