(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121943
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】データセンター簡易コンテインメントシステムとコンテインメントパネル
(51)【国際特許分類】
F24F 3/044 20060101AFI20240902BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20240902BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F13/02 C
H05K7/18 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029201
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】300060403
【氏名又は名称】株式会社バーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
(72)【発明者】
【氏名】末松 仁彦
【テーマコード(参考)】
3L053
3L080
【Fターム(参考)】
3L053BB04
3L080AC02
(57)【要約】
【課題】サーバに過負荷な差圧での運転を抑制し、当該運転が継続していることを管理者等に早期に気づかせる。
【解決手段】通路を挟んで前後に配置されたサーバラック3間に渡されたコンテインメントパネル8を備える。コンテインメントパネル8は、第1調圧部11と第2調圧部21との少なくとも二つの調圧部を備える。第1調圧部11はパネル間流路12におけるエア流量を制限するブラシ部材13を備える。第2調圧部21は、磁着部材23を備え、コールドアイル内のエア圧力が所定の値を超えた時に開放流路22を開いて外部へエアを逃がすことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に伸びる通路と、前記通路を挟んで前後に配置されたサーバラックと、前記通路の床側に設けられた冷気の吹き出し口とによって少なくとも構成されたコールドアイルを有するデータセンター簡易コンテインメントシステムにおいて、
前後に配置された前記サーバラックの上部間に渡され前記冷気の上方への通過を規制するコンテインメントパネルを備え、
前記コンテインメントパネルは、左右方向に複数が配列されており、
前記コンテインメントパネルは、第1調圧部と第2調圧部との少なくとも二つの調圧部を備え、
前記第1調圧部は、左右に隣り合う前記コンテインメントパネル同士の間に形成されたパネル間流路と、前記パネル間流路におけるエア流量を制限するブラシ部材を備え、
前記第2調圧部は、前記コールドアイル内と外部との差圧が所定の値を超えた時に開放流路を開いて前記コールドアイルから前記開放流路を介して外部へエアを逃がすことができるように構成されたものであることを特徴とするデータセンター簡易コンテインメントシステム。
【請求項2】
前記第1調圧部の前記ブラシ部材は、前記コンテインメントパネルの左右少なくともいずれか一方の辺から、左右に隣り合う前記コンテインメントパネルに向けて伸びる調圧用のブラシフィラメントを備えたものであることを特徴とする請求項1に記載されたデータセンター簡易コンテインメントシステム。
【請求項3】
前記第2調圧部の前記開放流路は、前記コンテインメントパネルの前後の少なくともいずれか一方の辺と、前記サーバラックの上部との間に形成される隙間であり、
前記コンテインメントパネルの前後の少なくともいずれか一方の辺には、前記サーバラックとの間で磁着する磁着部材が配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載されたデータセンター簡易コンテインメントシステム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載されたデータセンター簡易コンテインメントシステムに用いられるコンテインメントパネルにおいて、
内部に複数のパネル内空間を備えたパネル本体と、
前記パネル本体又はその周囲に配置されたフレームの左右少なくともいずれか一方の辺に設けられた前記ブラシ部材と、
前記パネル本体又は前記フレームの前後少なくともいずれか一方の辺に設けられて前記サーバラックとの間で磁着する磁着部材とを備えたことを特徴とするコンテインメントパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データセンター簡易コンテインメントシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、データセンターにおけるエネルギー使用量は増加の一途を辿っており、データセンターにおけるサーバの安定した運用の実現はもとより、エネルギー政策やSDG’sや二酸化炭素排出量削減の観点からも、その対策が急務となっている。例えば、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律) 告示 工場等判断基準 別表第5(令和4年4月1日改正施行予定)によると、データセンター業(データの処理を目的とした、データセンター(コンピュータやデータ通信のための装置の設置及び運用に特化した建物又は室)を運営し、又は利用し、情報処理に係る設備又は機能の一部を提供する事業)においては、そのベンチマーク指標及び目指すべき水準は、1.4であるとされている。ベンチマーク指標とは、PUE(Power Usage Effectiveness)を意味し、[データセンター施設全体のエネルギー使用量]÷[IT機器のエネルギー使用量]で求められる値であり、この値を1.4以下とすることがデータセンター業においては目指すべき水準であるとされている。
【0003】
ところが、旧来の多くの稼働中のデータセンターにおいては、目標とされるこのPUEとはかけ離れたPUEで運営されているのが現状である。しかもデータセンターの大型化、サーバ設備の高密化は進む一方であるため、サーバから発生する熱を有効にコントロールすることができるようにデータセンターのリノベーションを図ることが急務となっている。
【0004】
このデータセンターの省エネで効果が高いものとして、特許文献1に示されたコンテインメントを用いることが提案されている。このコンテインメントは、空調の基本となる寒暖分離を有効に行うことができる手段として提案されている。すなわち、サーバラックにコンテインメントを施すことで、冷気の吹き出し口のある通路を挟んで前後に配置されたサーバラック間に構成されたコールドアイルを、外部のホットアイルと分離するものであり、吹き出し口からの冷気をサーバが効率的に吸気できるようにするものであり、コールドアイルの上部開口を略完全に閉ざすようにしたコンテインメントを施すことも行われている。
【0005】
ところが、コールドアイルの上部開口を略完全に閉ざした状態で冷気の送出量を高めると、コールドアイル内の圧力(気圧)が高まる結果、サーバに過負荷な圧力(気圧)を掛け続けることとなってしまう。その結果、サーバ内蔵ファンの故障が、数年後に多発する恐れがある。しかも、このサーバ内蔵ファンの故障は、過負荷な圧力(気圧)を掛けた直後に発生するものではなくて、当初は一見問題なく稼働することはできるが、サーバ内蔵ファンの電動機等に加わる負荷が継続的に加えられる結果、数年後に発生するものである。そのため、サーバを運営している者やその保守点検業務に従事している者には、認識することが困難であるという課題がある。
また、稼働しているデータセンターにおいては、サーバの稼働に影響が出る可能性のあるような、工具などを使った大規模なコンテインメント工事などは極力行わないのが業界の暗黙の了解になっているという現状がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、冷気の送出量を高めて運転した場合でも、コールドアイルと外部との差圧の上昇を抑制することができるデータセンター簡易コンテインメントシステムとこのシステムに用いることができるコンテインメントパネルの提供を課題とするものである。
【0008】
また本発明は、サーバに過負荷な運転状況になると、微差圧計を使用しなくてもパネルの浮き上がりによって過負荷を認知できるデータセンター簡易コンテインメントシステムとこのシステムに用いることができるコンテインメントパネルの提供を課題とする。
さらにまた本発明は、工具を必要とせずに設置出来ると共に、設置直後から差圧の過負荷を認識した場合でも、容易に撤去が可能となるデータセンター簡易コンテインメントシステムとこのシステムに用いることができるコンテインメントパネルの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、左右方向に伸びる通路と、前記通路を挟んで前後に配置されたサーバラックと、前記通路の床側に設けられた冷気の吹き出し口とによって少なくとも構成されたコールドアイルを有するデータセンター簡易コンテインメントシステムを提供する。本発明に係るデータセンター簡易コンテインメントシステムは、前後に配置された前記サーバラックの上部間に渡され前記冷気の上方への通過を規制するコンテインメントパネルを備える。前記コンテインメントパネルは、左右方向に複数が配列されており、前記コンテインメントパネルは、第1調圧部と第2調圧部との少なくとも二つの調圧部を備える。
前記第1調圧部は、左右に隣り合う前記コンテインメントパネル同士の間に形成されたパネル間流路と、前記パネル間流路におけるエア流量を制限するブラシ部材を備えるものである。
前記第2調圧部は、前記コールドアイル内と外部との差圧が所定の値を超えた時に開放流路を開いて前記コールドアイルから前記開放流路を介して外部へエアを逃がすことができるように構成されたものである。
【0010】
具体的には、前記第1調圧部の前記ブラシ部材は、前記コンテインメントパネルの左右少なくともいずれか一方の辺から、左右に隣り合う前記コンテインメントパネルに向けて伸びる調圧用のブラシフィラメントを備えたものとして実施することができる。
また前記第2調圧部の前記開放流路は、前記コンテインメントパネルの前後の少なくともいずれか一方の辺と、前記サーバラックの上部との間に形成される隙間であり、前記コンテインメントパネルの前後の少なくともいずれか一方の辺には、前記サーバラックとの間で磁着する磁着部材が配置されたものとして実施することができる。
【0011】
また本発明は上記のデータセンター簡易コンテインメントシステムに用いられるコンテインメントパネルを提供する。本発明に係るコンテインメントパネルは、内部に複数のパネル内空間を備えたパネル本体を備える。前記パネル本体又はその周囲に配置されたフレームの左右少なくともいずれか一方の辺には、前記ブラシ部材が設けられる。また前記パネル本体又は前記フレームの前後少なくともいずれか一方の辺には、前記サーバラックとの間で磁着する磁着部材が設けられたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、冷気の送出量を高めて運転した場合でも、コールドアイル内の圧力(気圧)の上昇を抑制することができるデータセンター簡易コンテインメントシステムとこのシステムに用いることができるコンテインメントパネルを提供することができたものである。
【0013】
また本発明は、サーバに過負荷な運転状況になると、微差圧計を使用しなくてもパネルの浮き上がりによって過負荷を認知できるデータセンター簡易コンテインメントシステムとこのシステムに用いることができるコンテインメントパネルを提供することができたものである。
さらにまた本発明は、磁石、両面テープなどを使い、工具を必要とせずに設置出来ると共に、設置直後から差圧の過負荷を認識した場合でも、容易に撤去が可能となるデータセンター簡易コンテインメントシステムとこのシステムに用いることができるコンテインメントパネルを提供することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるデータセンター簡易コンテインメントシステムの斜視図。
【
図2】同データセンター簡易コンテインメントシステムの要部平面図。
【
図3】同データセンター簡易コンテインメントシステムのコールドアイルの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(概要)
【0016】
この実施の形態にかかるデータセンター簡易コンテインメントシステムは、左右方向に伸びる通路2と、通路2を挟んで前後に配置されたサーバラック3を備えたデータセンターに適用することができる。サーバラック3内には上下左右に複数のサーバが配置されている。
【0017】
各サーバは図示は省略するが一般的なサーバを適宜採用できるものであり、各サーバの後面(通路2とは反対側の面)に、冷却ファンの排気口が配置されている。
【0018】
通路2の床4側には、
図2に示すように、冷気の吹き出し口5が設けられており、吹き出し口5からの冷気によって、通路2とサーバラック3によって規定された空間(コールドアイル6)を冷却する。吹き出し口5は多くの場合、床下に配置されたエア通路を介して、空冷装置9に接続されており、空冷装置9からの冷気が吹き出し口5から排出されることによってコールドアイル6内を冷却する。
(コンテインメントパネル8について)
【0019】
前後に配置されたサーバラック3の上部間には、コンテインメントパネル8が渡されている。また図示は省略するが、コンテインメントパネル8は、左右方向に複数が配列されており、これによって通路2の上方に天井が形成される。通路2の左右には、開閉可能な扉やカーテンが必要に応じて設けられて、ホットアイル7に対して略区画されたコールドアイル6が形成される。
【0020】
コンテインメントパネル8は、エアの流通を妨げる板状やシート状のパネル本体81を備えたものとして実施することができる。パネル本体81には、その内部に複数のパネル内空間を備えたものを採用することが、軽量で断熱性能を備えている点で好ましい。パネル本体81のパネル内空間としては、ハニカム構造の断面形状を備えたものや、一定方向に伸びる溝状の空間を備えたものなどを示すことができる。パネル本体81の素材としては適度な剛性を備えたプラスチックや発泡プラスチックを例示することができるが、これに限らず木材やガラスや布製のシートであっても構わない。パネル本体81の周囲には必要に応じてアルミフレームなどのフレーム(図示せず)が配置されており、これによってコンテインメントパネル8に適当な剛性が与えられる。
(第1調圧部11について)
【0021】
このコンテインメントパネル8は、第1調圧部11と第2調圧部21との少なくとも二つの調圧部を備える。
第1調圧部11は、左右に隣り合うコンテインメントパネル8同士の間に形成されたパネル間流路12と、パネル間流路12におけるエア流量を制限するブラシ部材13を備える。パネル間流路12は、コールドアイル6のエアを外部のホットアイル7に逃がすための空間であり、この空間からのエア流量と吹き出し口5からの冷気の流量とがほぼ釣り合うことによって、コールドアイル6とホットアイル7の気圧がほぼ等しく維持される。
ブラシ部材13は、パネル本体81又は必要に応じてその周囲に配置されたフレーム82の左右少なくともいずれか一方の辺に取り付けて実施することができる。
図2の例では、前後左右の4辺にフレーム82が設けられているが、いずれかの辺にのみ設けて実施しても構わないし、設けずにパネル本体81のみで実施しても構わない。また、
図2では、右側のコンテインメントパネル8では左右両側の辺にブラシ部材13を備えるが、左側のコンテインメントパネル8では左側の辺にのみブラシ部材13を備えるものであるというように、適宜変更して実施することができる。なお、フレーム82と、ブラシ部材13のブラシフィラメント14を支持するブラシ基部とは、別体に形成して後に接合するものでも構わないし、両者を予め一体に形成しておいても構わない。
【0022】
この実施の形態では、
図2に示すように、コンテインメントパネル8の左右いずれか一方の辺にのみブラシ部材13が設けられており、ブラシ部材13の多数のブラシフィラメント14が隣り合うコンテインメントパネル8に向けて伸びている。ブラシフィラメント14の先端は、隣り合うコンテインメントパネル8にまで達しており、コンテインメントパネル8の上に一部が乗り上げている。なお図示は省略するが、コンテインメントパネル8の左右両辺にブラシ部材13を設けた場合には、隣り合うブラシフィラメント14の先端同士が接触するように配置される。ただし、ブラシフィラメント14の先端が、隣り合うブラシフィラメント14の先端又はコンテインメントパネル8に対して接触することなく、わずかな空間を置いた状態に配置することもできる。
【0023】
このように多数のブラシフィラメント14をパネル間流路12に配置することによって、パネル間流路12からのエアの流通を制限する。ところがブラシフィラメント14は、エアの流通を完全に遮断するものではなく、ブラシフィラメント14同士の間を通ってエアがホットアイル7へ通過することを許すものである。そしてコールドアイル6の気圧が高まると、ブラシフィラメント14は弾性変形することにより、より多くのエアを通過させるため、コールドアイル6とホットアイル7との差圧が大きくなることを抑制することができる。
(第2調圧部21について)
【0024】
第2調圧部21は、コールドアイル6内と外部との差圧が所定の値を超えた時に開放流路22を開いて、コールドアイル6から開放流路22を介して外部へエアを逃がすことができるように構成されたものである。
【0025】
具体的には、コンテインメントパネル8の前後の少なくともいずれか一方の辺に、サーバラック3との間で磁着するマグネットテープやマグネットパネルなどの磁着部材23を配置して実施することができる。一般的なサーバラック3は鉄などの磁性体から構成されているため、コンテインメントパネル8に磁着部材23を配置するだけで、両者間の固定がなされるが、サーバラック3がアルミニウム製や合成樹脂製の非磁性体の場合には、サーバラック3にも磁着部材23に対して磁着する磁性体を配置して実施することができるし、たとえサーバラック3が磁性体から構成されている場合であっても、サーバラック3にも磁着部材23に対して磁着する磁性体を配置して実施することによって、所定の磁着力を確実に得ることができる。また、サーバラック3側にマグネットを設けて、コンテインメントパネル8にはマグネットに磁着する鉄などの磁性体などの磁着部材を設けて実施しても構わない。
【0026】
なお、
図2では、前後の2辺にフレーム82の左右長さを、パネル本体81の左右長さよりも長くして、磁着部材23が左右方向に連続しているものを示したが、適宜間隔を置いて断続的に配置しても構わない。また、面ファスナなどの他の離脱可能な固定手段を採用して実施しても構わない。
【0027】
コールドアイル6とホットアイル7との差圧が大きくなると、この磁着部材23などによるサーバラック3に対する固定が離れて、コンテインメントパネル8がサーバラック3から浮き上がる。これによって、コンテインメントパネル8の前後の少なくともいずれか一方の辺と、サーバラック3の上部との間に形成される隙間(すなわち、第2調圧部21の開放流路22)が開き、開放流路22からエアがホットアイル7へと流出する。なお、この例では、コンテインメントパネル8の全体が一端を支点として他端側がサーバラック3から浮き上がるものとしているが、パネル本体81に切り込みとヒンジ接続部で構成される窓(開放流路)を形成し、ヒンジ接続部と反対側に磁着部材23を設けるようにすることで、パネル本体81の一部分が開放流路となるように構成して実施しても構わない。
【0028】
このように、コールドアイル6とホットアイル7との差圧が過大となった状態(具体的にはコールドアイル6とホットアイル7との差圧が30Pa以上となった状態)で、第2調圧部21が作動して開放流路22が開くように磁着部材23の磁着力などの固定力を設定する。
磁着部材23の磁着力などの固定力は、下記のようにして求めることができる。
【0029】
X=マグネットの磁付力
Y=コンテインメントパネルの重量によって下向きに加わる重力
P1=コールドアイル側とホットアイル側の気圧差
F1=コンテインメントパネルに対してP1によって加わる力
P2=コールドアイル内の最大許容差圧
F2=コンテインメントパネルに対してP2によって加わる力
とすると
X+Y<F1となった時に、パネルが浮き上がる。
X+Y≧F2となっていると、パネルが浮き上がることなく、許容最大差圧で運転することができる。
従って、X=F2-YとなるXを求めることによって、パネルが浮き上がることなく、許容最大差圧で運転することができる。
なお、磁着部材23の選定に際しては、Xを上回らない磁着力(固定力)を発揮するものを選定して実施することが好ましい。
(実施の形態に係るデータセンター簡易コンテインメントシステムの作用について)
【0030】
前述のように、空調理念の基本である寒暖分離を有効に行う観点からは、コールドアイルの上部開口を略完全に閉ざした状態とすることが好ましいが、この状態で冷気の送出量を高めると、コールドアイル内の圧力(気圧)が高まり、外部のホットアイルとの差圧が高まる結果、サーバに過負荷な圧力(気圧)を掛け続けることとなり、サーバ内蔵ファンの故障が、数年後に多発する恐れがある。
【0031】
これに対して上述のデータセンター簡易コンテインメントシステムは、所定の差圧が生ずることによって、コンテインメントパネル8がサーバラック3から浮き上がって開放流路22が開くように構成されたものである。この状態は、サーバを運営している者やその保守点検業務に従事している者が、容易に視認することができる。その結果、コールドアイルと外部のホットアレイとの差圧が高まってしまって、サーバに過負荷な圧力(気圧)を掛け続けて運転していることを早期に認識することができ、空冷装置9からの流量を低下させるなどの必要な処置を取るように促すことができる。なお、コンテインメントパネル8の浮き上がりを、マイクロスイッチやリミットスイッチなどの接触式や近接スイッチなどの非接触式のセンサによって検知して、適宜な警報を発したり、自動的に空冷装置9の運転を調整したりするようにして実施しても構わない。
【符号の説明】
【0032】
2 通路
3 サーバラック
4 床
5 吹き出し口
6 コールドアイル
7 ホットアイル
8 コンテインメントパネル
9 空冷装置
11 第1調圧部
12 パネル間流路
13 ブラシ部材
14 ブラシフィラメント
21 第2調圧部
22 開放流路
23 磁着部材
81 パネル本体
82 フレーム