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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121946
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】空気冷媒式空調機
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20240902BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20240902BHJP
   F25B 9/06 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F25B9/00 301
F24F3/044
F25B9/06 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029205
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 雅也
(72)【発明者】
【氏名】田口 英俊
(72)【発明者】
【氏名】加藤 光洋
【テーマコード(参考)】
3L053
【Fターム(参考)】
3L053BB04
(57)【要約】
【課題】本開示は、高外気温の場合においても、空調性能を確保することができる空気冷媒式空調機を提供する。
【解決手段】空気を昇圧させる圧縮機13と、空気を膨張させる膨張機14と、空調空間30に空気を送る送風機25と、膨張機14から吐出された空気と送風機25から送られる空気とを熱交換する熱交換器23と、を備え、空調空間30から排気された空気によって膨張機14の吸込側空気温度を低下させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を昇圧させる圧縮機と、空気を膨張させる膨張機と、空調空間に空気を送る送風機と、前記膨張機から吐出された空気と前記送風機から送られる空気とを熱交換する熱交換器と、を備え、
前記空調空間から排気された空気によって前記膨張機の吸込側空気温度を低下させる、
空気冷媒式空調機。
【請求項2】
前記空調空間から排気された空気を、前記膨張機の吸込側に還気させる還気流路を備えている、
請求項1に記載の空気冷媒式空調機。
【請求項3】
前記膨張機の吸込側に前記膨張機に導入させる外気の流量を調整する第1流量制御弁と、前記膨張機の吸込側に還気させる空気の流量を調整する第2流量制御弁とを備えている、
請求項2に記載の空気冷媒式空調機。
【請求項4】
外気温検出手段と、室内温度検出手段と、を備え、
外気温が室内温度以下の場合は前記第1流量制御弁を開き、前記第2流量制御弁を閉じる、
請求項3に記載の空気冷媒式空調機。
【請求項5】
外気温検出手段と、室内温度検出手段とを備え、
外気温が室内温度より高い場合は、前記膨張機の吸込側の空気流量および前記還気流路の空気流量に基づいて、前記第1流量制御弁および前記第2流量制御弁の開度を調整する、
請求項3に記載の空気冷媒式空調機。
【請求項6】
前記膨張機の吸込側に、前記膨張機の吸込側の空気と前記空調空間から排気された空気とを熱交換させる熱回収熱交換器を設けている、
請求項1に記載の空気冷媒式空調機。
【請求項7】
前記膨張機と前記熱回収熱交換器との間または、前記膨張機と、前記膨張機の吸込側と前記還気流路との合流部との間に水分除去手段を設けている、
請求項6に記載の空気冷媒式空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気冷媒式空調機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、室内へ外気を送り込む室内ファンと、空気を加圧する第1の圧縮機と、第2の圧縮機と、高温空気を外気により冷却する第1の熱交換器と、膨張機と、膨張機で低温になった空気により室内ファンからの空気を冷却する第2の熱交換器とを備える空気冷媒式空調機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-175544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、高外気温の場合においても、空調性能を確保することができる空気冷媒式空調機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における空気冷媒式空調機は、空気を昇圧させる圧縮機と、空気を膨張させる膨張機と、空調空間に空気を送る送風機と、前記膨張機から吐出された空気と前記送風機から送られる空気とを熱交換する熱交換器と、を備え、前記空調空間から排気された空気によって前記膨張機の吸込側空気温度を低下させる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、空調空間から排気された空気によって膨張機の吸込側空気温度を低下させることで、膨張機による膨張空気の温度を低下させることができる。そのため、熱交換器において空調空気配管を流れる空気をより冷却することができ、高外気温の場合においても、空調空間に送られる空気温度を低下させることができ、空調性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1における空気冷媒式空調機を示す概略図
図2】実施の形態1における空気冷媒式空調機を用いた冷凍サイクル回路の構成を示す図
図3】実施の形態1における制御構成を示すブロック図
図4】実施の形態1における動作を示すフローチャート
図5】実施の形態2における空気冷媒式空調機を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、室内へ外気を送り込む室内ファンと、空気を加圧する第1の圧縮機と、第2の圧縮機と、高温空気を外気により冷却する第1の熱交換器と、膨張機と、膨張機で低温になった空気により室内ファンからの空気を冷却する第2の熱交換器とを備え、室内からの還気によって室内ファン出口の空気を冷却することで第1の熱交換器と第2の熱交換器における熱交換量を低減することができ、熱交換器の小型化が図れる空気冷媒式空調機があった。
【0009】
しかしながら、このような従来の技術では、膨張機入口空気は外気によって冷却されるため外気温度より低くすることはできず、膨張機出口空気温度を十分低下させることができない。よって、膨張機出口空気によって冷却されている室内ファンから空調室内に送風される空気温度も十分低下させることができない。特に高外気温の場合においては、それが顕著で、場合のよっては空調室の設定温度以下にできない可能性もある。よって、従来の構成では、特に高外気温において、空調性能が確保できないという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
本開示は、高外気温の場合においても、空調性能を確保することができる空気冷媒式空調機を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1-1.空気冷媒式空調機の構成]
図1は、実施の形態1における空気冷媒式空調機を示す概略図である。
図1に示すように、空気冷媒式空調機1は、筒状の筐体10を備えている。筐体10の内部には、回転シャフト11が筐体10の軸方向に沿って配置されている。回転シャフト11は、筐体10の両側に設けられた軸受(図示せず)により回転自在に支持されている。
回転シャフト11には、回転シャフト11を回転駆動するためのモータ12が配置されている。
【0012】
回転シャフト11の一端には、圧縮機13が設けられている。圧縮機13は、回転シャフト11の回転により回転駆動されるインペラ(図示せず)を備えている。
回転シャフト11の他端には、膨張機14が設けられている。膨張機14は、回転シャフト11の回転により回転駆動されるホイール(図示せず)を備えている。
【0013】
筐体10の圧縮機13側の端部には、圧縮空気吸込口15が設けられている。筐体10の圧縮機13側の側部には、圧縮空気吐出口16が設けられている。
筐体10の膨張機14側の側部には、膨張空気吸込口17が設けられている。筐体10の膨張機14側の端部には、膨張空気吐出口18が設けられている。
そして、モータ12を駆動して回転シャフト11を回転駆動させることで、圧縮機13のインペラおよび膨張機14のホイールを一体に回転させる。これにより、圧縮空気吸込口15から吸い込まれた空気は、インペラの回転により圧縮され、高温高圧空気として圧縮空気吐出口16から吐出される。
一方、膨張空気吸込口17から吸い込まれた空気は、ホイールの回転により膨張され、低温空気として膨張空気吐出口18から吐出される。
【0014】
[1-1-2.空気冷媒式空調機を用いた冷凍サイクル回路の構成]
図2は、空気冷媒式空調機1を用いた冷凍サイクル回路の構成を示す図である。
図2に示すように、空気冷媒式空調機1の圧縮空気吐出口16には、圧縮空気吐出配管20が接続されている。空気冷媒式空調機1の膨張空気吸込口17には、膨張空気吸込配管21が接続されている。
【0015】
空気冷媒式空調機1の膨張機14の膨張空気吸込口17と、圧縮機13の圧縮空気吸込口15とは、空気配管22により接続されている。
空気配管22の中途部には、熱交換器23が設けられている。
熱交換器23には、空気配管22を流れる空気と熱交換する空調空気配管24が設けられている。
空調空気配管24の端部には、外部空気を空調空気配管24に送る送風機25が接続されている。
【0016】
空調空間30(本実施の形態においては、2つ)の天井部分には、空調空間30の空気を吸い込む空気吸込口31および空調空間30に空気を吹き出す空気吹出口32がそれぞれ設けられている。空気吹出口32には、空調空気配管24が接続されている。
これにより、送風機25の駆動により、外部空気を空調空気配管24を介して熱交換器23に送り、空気配管22と熱交換した空気を空気吹出口32から空調空間30に吹き出すことができるように構成されている。
【0017】
また、空気吸込口31には、還気流路としての還気配管33の一端が接続されている。還気配管33の他端は、膨張空気吸込配管21の中途部に接続されている。還気配管33の中途部には、空調空間30の空気を外部に排気する排気配管34が接続されている。
また、本実施の形態においては、膨張空気吸込配管21の中途部であって還気配管33の合流部より上流側には、第1流量制御弁35が設けられている。また、排気配管34の中途部には、第2流量制御弁36が設けられている。
【0018】
また、外気温T1を検出する外気温センサ37および空調空間30の室内温度T2を検出する室内温度センサ38がそれぞれ設けられている。
【0019】
[1-1-3.制御構成]
次に、空気冷媒式空調機1の制御構成について説明する。
図3は、実施の形態1の制御構成を示すブロック図である。
図3に示すように、空気冷媒式空調機1は、制御部40を備えている。
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ、及び、記憶部を備える。制御部40の記憶部は、揮発性のメモリ、及び、不揮発性記憶部を有する。揮発性のメモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。不揮発性記憶部は、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリー等で構成される。
また、制御部40は、空気冷媒式空調機1の各部に対し、信号線等の有線の通信手段、または、無線通信回路等による無線の通信手段によって通信接続される。
制御部40は、記憶部が記憶するプログラムを実行することにより、外気温センサ37および室内温度センサ38による検出値を取得して、モータ12および送風機25の駆動制御、第1流量制御弁35および第2流量制御弁36の開度制御を行う。
【0020】
[1-2.動作]
次に、本実施の形態の動作についてフローチャートを参照して説明する。
図4は、実施の形態1の動作を示すフローチャートである。
まず、冷房運転を行う場合、運転を開始すると(SA1)、制御部40は、外気温センサ37および室内温度センサ38からの検出値を取得し、外気温センサ37および室内温度センサ38によって得られる外気温T1と空調空間30の室内温度T2とを比較する(SA2)。
そして、外気温T1が空調空間20室内温度T2より低いと判断した場合は(SA2:YES)、制御部40は、送風機25のみを駆動し(SA3)、第1流量制御弁35を閉にするとともに、第2流量制御弁36を開にする(SA4)。
【0021】
このように制御することで、空気冷媒式空調機1の膨張機14による空気の吸込は停止され、送風機25の駆動により、外部空気が熱交換器23による熱交換を行わずに、直接空調空間30に送られる。
これにより、外気温T1が空調空間30の室内温度T2より低い場合は、外部空気をそのまま空調空間30に送ることで、空調空間30の冷却を行うことができる。
【0022】
また、外気温T1が空調空間30の室内温度T2以上であると判断した場合は(SA2:NO)、制御部40は、モータ12および送風機25を駆動する(SA5)。
モータ12を駆動することで、膨張機14および圧縮機13が駆動され、膨張空気吸込口17から吸い込まれた空気は、ホイールの回転により膨張され、低温空気として膨張空気吐出口18から空気配管22に送られる。空気配管22に送られた空気は、熱交換器23を介して圧縮機13の圧縮空気吸込口15に送られ、圧縮機13から外部に排出される。
【0023】
一方、送風機25の駆動により、外部空気は空調空気配管24に取り込まれて熱交換器23に送られる。
空調空気配管24から熱交換器23に送られる空調空気は、熱交換器23において、膨張機14から送られる低温の膨張空気と熱交換し、冷却されて空気吹出口32から空調空間30に送られる。
これらの動作により、空調空間30の冷房が行われる。
【0024】
この場合に、制御部40は、モータ12および送風機25の回転数に基づいて、第1流量制御弁35および第2流量制御弁36の開度を調整する(SA6)。
モータ12および送風機25の回転数に基づくことで、膨張機14による膨張空気の流量および送風機25による外部空気の流量を認識することができる。
【0025】
例えば、膨張機14による膨張空気の吸込流量が送風機25による外気流量より多い場合は、第1流量制御弁35の開度を開くとともに、第2流量制御弁36も開に制御する。これにより、膨張機14による吸込量が増大し、膨張空気の吸込流量が増大する。
また、膨張機14による膨張空気の吸込流量が送風機25による外気流量より少ない場合は、第1流量制御弁35の開度を少なくするとともに、第2流量制御弁36を開に制御する。これにより、膨張機14による吸込量を少なくし、膨張機14による吸い込みきれない空気は、排気配管34および第2流量制御弁36を介して外部に排出される。
この場合に、第1流量制御弁35および第2流量制御弁36の開度は、膨張機14の吐出側の空気温度が最も低くなるように外気と還気との混合割合が調整される。
このように膨張空気の流量と外部空気の流量に基づいて、第1流量制御弁35および第2流量制御弁36の開度を制御することにより、効率のよい冷房運転を行うことができる。
【0026】
そして、第1流量制御弁35および第2流量制御弁36の制御をした後は、制御部40は、室内温度センサ38によって得られる外気温T1と空調空間30の室内温度T2とを比較する処理を継続して行う(SA2)。
【0027】
なお、本実施の形態においては、モータ12および送風機25の回転数に基づくそれぞれの空気の流量に基づいて、第1流量制御弁35および第2流量制御弁36の開度調整を行うようにしているが、例えば、膨張機14による膨張空気および排気空気の温度を加味して、第1流量制御弁35および第2流量制御弁36の開度調整を行うようにしてもよい。
また、バイパス配管と膨張空気配管との合流部に内部容量の大きいチャンバを設置し、膨張機14に送られる膨張空気と排気空気とをチャンバ内で合流させて、流速を低下させた状態で、膨張機14に送るようにしてもよい。
【0028】
また、還気配管33の還気配管33と排気配管34との接続部より下流側に第3の流量制御弁を設けるようにしてもよい。
この場合には、第3の流量制御弁により、還気配管33と排気配管34との接続部より下流側における空気の流量を調整することができる。
また、還気配管33と排気配管34との接続部に、還気配管33または排気配管34への空気の流れを切り換える2方向切換弁を設けるようにしてもよい。
この場合には、2方向切換弁を設けて還気配管33または排気配管34への空気の流れを切り換えることで、還気配管33から送られる空気を、膨張空気吸込配管21を介して膨張機14に戻すか、排気配管34により外部に排出するかを選択することができる。
【0029】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態においては、空気を昇圧させる圧縮機13と、空気を膨張させる膨張機14と、空調空間30に空気を送る送風機25と、膨張機14から吐出された空気と送風機25から送られる空気とを熱交換する熱交換器23と、を備え、空調空間30から排気された空気によって膨張機14の吸込側空気温度を低下させる。
これにより、空調空間30から排気された空気によって膨張機14の吸込側空気温度を低下させることができるので、膨張機14による膨張空気の温度を低下させることができる。そのため、熱交換器23において空調空気配管24を流れる空気をより冷却することができ、高外気温の場合においても、空調空間30に送られる空気温度を低下させることができ、空調性能を確保することができる。
【0030】
また、本実施の形態においては、空調空間30から排気された空気を、膨張機14の吸込側に還気させる還気配管33(還気流路)を備えている。
これにより、空調空間30から排気された空気が膨張機14の吸込側の空気に直接混合されるため、膨張機14の吸込側の空気温度を効率良く低下させることができる。そのため、熱交換器23において空調空気配管24を流れる空気をより冷却することができ、高外気温の場合においても、空調空間30に送られる空気温度を低下させることができ、空調性能を確保することができる。
【0031】
また、本実施の形態においては、膨張機14の吸込側に膨張機14に導入させる外気の流量を調整する第1流量制御弁35と、膨張機14の吸込側に還気させる空気の流量を調整する第2流量制御弁36とを備えている。
これにより、第1流量制御弁35と第2流量制御弁36との開閉により、膨張機14の出口空気温度が最も低くなるように外気と還気との混合割合を調整することができる。そのため、運転状態に応じて空調性能を更に確保することができる。
【0032】
また、本実施の形態においては、外気温センサ37(外気温検出手段)と、室内温度センサ38(室内温度検出手段)と、を備え、外気温が室内温度以下の場合は第1流量制御弁35を開き、第2流量制御弁36を閉じる。
これにより、第1流量制御弁35と第2流量制御弁36との開閉により、膨張機14の出口空気温度が最も低くなるように外気と還気との混合割合を調整することができる。そのため、運転状態に応じて空調性能を更に確保することができる。
【0033】
また、本実施の形態においては、外気温センサ37(外気温検出手段)と、室内温度センサ38(室内温度検出手段)と、を備え、外気温が室内温度より高い場合は、膨張機14の吸込側の空気流量および還気配管33(還気流路)の空気流量に基づいて、第1流量制御弁35および第2流量制御弁36の開度を調整する。
これにより、外気温や室内温度が変動した場合においても、空調空間30に送られる空気温度が最も低くなるように制御できるため、空調性能を更に確保することができる。
【0034】
(実施の形態2)
次に、本開示の実施の形態2を説明する。
[2-1.構成]
図5は、実施の形態2における空気冷媒式空調機を示す概略図である。
図5に示すように、本実施の形態においては、膨張空気吸込配管21を流れる空気と、還気配管33を流れる空気とを熱交換する熱回収熱交換器50を備えている。
その他の構成は、実施の形態1と同様であるため同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
[2-2.作用]
本実施の形態において冷房運転を行う場合、実施の形態1と同様に、制御部40により、モータ12を駆動して膨張機14および圧縮機13を駆動するとともに、送風機25を駆動する。
これにより、膨張空気吸込口17から吸い込まれた空気は、ホイールの回転により膨張され、低温空気として膨張空気吐出口18から空気配管22に送られる。空気配管22に送られた空気は、熱交換器23を介して圧縮機13の圧縮空気吸込口15に送られ、圧縮機13から外部に排出される。
【0035】
一方、送風機25の駆動により、外部空気は空調空気配管24に取り込まれて熱交換器23に送られる。空調空気配管24から熱交換器23に送られる空調空気は、熱交換器23において、膨張機14から送られる低温の膨張空気と熱交換し、冷却されて空気吐出口32から空調空間30に送られる。
これらの動作により、空調空間30の冷房が行われる。
【0036】
そして、空調空間30の冷却を行った空気は、空調空気吸込口から還気配管33に吸い込まれ、熱回収熱交換器50に送られる。
熱回収熱交換器50において、還気配管33を流れる低温の空気と、膨張空気吸込配管21を流れる空気と熱交換することで、膨張機14に送られる空気の温度を低下させることができる。
【0037】
以上述べたように、本実施の形態においては、膨張機14の吸込側に、膨張機14の吸込側の空気と空調空間30から排気された空気とを熱交換させる熱回収熱交換器50を設けている。
これにより、熱回収熱交換器50により膨張機14に送られる空気の温度を低下させることができるので、膨張機14による膨張空気の温度を低下させることができ、熱交換器23による熱交換により、空調空間30へ流入する空気温度を低下させることができる。そのため、空調性能を確保することができる。
【0038】
なお、膨張機14と熱回収熱交換器50との間または、膨張機14と、膨張空気吸込配管21と還気流路との合流部との間に水分除去手段を設けるようにしてもよい。ここで、水分除去手段としては、例えば、気液分離器、除湿器などが考えられる。さらに、水分除去手段として、熱回収熱交換器50自体に、排水バルブを備えた排水部を設ける構成であってもよい。
このように水分除去手段を設けることで、空調空間30から排気された空気によって膨張機14の吸込側の空気が冷却されることで、ドレン水が発生した場合に、ドレン水を除去することができる。
そのため、ドレン水を含んだ空気が膨張機14に流れることを抑制することができ、膨張機14の性能低下を抑制できるため、空調性能を更に確保できる。
【0039】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および実施の形態2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および実施の形態2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0040】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(技術1)空気を昇圧させる圧縮機と、空気を膨張させる膨張機と、空調空間に空気を送る送風機と、前記膨張機から吐出された空気と前記送風機から送られる空気とを熱交換する熱交換器と、を備え、前記空調空間から排気された空気によって前記膨張機の吸込側空気温度を低下させる、空気冷媒式空調機。
この構成により、空調空間から排気された空気によって膨張機の吸込側空気温度を低下させることができるので、膨張機による膨張空気の温度を低下させることができる。そのため、熱交換器において空調空気配管を流れる空気をより冷却することができ、高外気温の場合においても、空調空間に送られる空気温度を低下させることができ、空調性能を確保することができる。
【0041】
(技術2)前記空調空間から排気された空気を、前記膨張機の吸込側に還気させる還気流路を備えている、技術1に記載の空気冷媒式空調機。
この構成により、空調空間から排気された空気が膨張機の吸込側の空気に直接混合されるため、膨張機の吸込側の空気温度を効率良く低下させることができる。そのため、熱交換器23において空調空気配管を流れる空気をより冷却することができ、高外気温の場合においても、空調空間に送られる空気温度を低下させることができ、空調性能を確保することができる。
【0042】
(技術3)前記膨張機の吸込側に前記膨張機に導入させる外気の流量を調整する第1流量制御弁と、前記膨張機の吸込側に還気させる空気の流量を調整する第2流量制御弁とを備えている、技術2に記載の空気冷媒式空調機。
この構成により、第1流量制御弁と第2流量制御弁との開閉により、膨張機の出口空気温度が最も低くなるように外気と還気との混合割合を調整することができる。そのため、運転状態に応じて空調性能を更に確保することができる。
【0043】
(技術4)外気温検出手段と、室内温度検出手段と、を備え、外気温が室内温度以下の場合は前記第1流量制御弁を開き、前記第2流量制御弁を閉じる、技術3に記載の空気冷媒式空調機。
この構成により、第1流量制御弁と第2流量制御弁との開閉により、膨張機の出口空気温度が最も低くなるように外気と還気との混合割合を調整することができる。そのため、運転状態に応じて空調性能を更に確保することができる。
【0044】
(技術5)外気温検出手段と、室内温度検出手段とを備え、外気温が室内温度より高い場合は、前記膨張機の吸込側の空気流量および前記還気流路の空気流量に基づいて、前記第1流量制御弁および前記第2流量制御弁の開度を調整する、技術3または技術4に記載の空気冷媒式空調機。
この構成により、外気温や室内温度が変動した場合においても、空調空間に送られる空気温度が最も低くなるように制御できるため、空調性能を更に確保することができる。
【0045】
(技術6)前記膨張機の吸込側に、前記膨張機の吸込側の空気と前記空調空間から排気された空気とを熱交換させる熱回収熱交換器を設けている、技術1から技術5のいずれか一項に記載の空気冷媒式空調機。
この構成により、熱回収熱交換器により膨張機に送られる空気の温度を低下させることができるので、膨張機による膨張空気の温度を低下させることができ、熱交換器による熱交換により、空調空間へ流入する空気温度を低下させることができる。そのため、空調性能を確保することができる。
【0046】
(技術7)前記膨張機と前記熱回収熱交換器との間または、前記膨張機と、前記膨張機の吸込側と前記還気流路との合流部との間に水分除去手段を設けている、技術6に記載の空気冷媒式空調機。
この構成により、水分除去手段を設けることで、空調空間から排気された空気によって膨張機の吸込側の空気が冷却されることで、ドレン水が発生した場合に、ドレン水を除去することができる。そのため、ドレン水を含んだ空気が膨張機に流れることを抑制することができ、膨張機の性能低下を抑制できるため、空調性能を更に確保できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本開示は、高外気温の場合においても、空調性能を確保することができる空気冷媒式空調機として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 空気冷媒式空調機
10 筐体
11 回転シャフト
12 モータ
13 圧縮機
14 膨張機
15 圧縮空気吸込口
16 圧縮空気吐出口
17 膨張空気吸込口
18 膨張空気吐出口
20 圧縮空気吐出配管
21 膨張空気吸込配管
22 空気配管
23 熱交換器
24 空調空気配管
25 送風機
30 空調空間
30 直接空調空間
31 空気吸込口
32 空気吹出口
33 還気配管
34 排気配管
35 第1流量制御弁
36 第2流量制御弁
37 外気温センサ
38 室内温度センサ
40 制御部
50 熱回収熱交換器
図1
図2
図3
図4
図5