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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121947
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】空気冷媒式空調機
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20240902BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20240902BHJP
   F25B 9/06 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F25B9/00 301
F24F3/044
F25B9/06 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029206
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 英俊
(72)【発明者】
【氏名】本間 雅也
(72)【発明者】
【氏名】白井 瑛一
【テーマコード(参考)】
3L053
【Fターム(参考)】
3L053BB04
(57)【要約】
【課題】本開示は、別熱源を用いることなく、運転効率のよい空調を行うことができる空気冷媒式空調機を提供する。
【解決手段】空気を昇圧させる圧縮機13と、空気を膨張させる膨張機14と、圧縮機13と膨張機14とを駆動するモータと、空調空間に空気を送る送風機と、膨張機14から吐出された空気と送風機から送られる空気とを熱交換する熱交換器23と、を備える。圧縮機13の吐出側と、膨張機14の吸込側とを連通する連通配管34を設け、暖房運転時に、圧縮機13の吐出側および膨張機14の吸込側を大気と遮断するとともに、連通配管34を開放する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を昇圧させる圧縮機と、空気を膨張させる膨張機と、前記圧縮機と前記膨張機とを駆動するモータと、空調空間に空気を送る送風機と、前記膨張機から吐出された空気と前記送風機から送られる空気とを熱交換する熱交換器と、を備え、
前記圧縮機の吐出側と、前記膨張機の吸込側とを連通する連通配管を設け、
暖房運転時に、前記圧縮機の吐出側および前記膨張機の吸込側を大気と遮断するとともに、前記連通配管を開放する、
空気冷媒式空調機。
【請求項2】
前記モータは、前記圧縮機を駆動する圧縮機モータと、前記膨張機を駆動する膨張機モータとで構成されている、
請求項1に記載の空気冷媒式空調機。
【請求項3】
圧縮機の吐出側から分岐し、前記熱交換器に接続される膨張機迂回配管を設け、
急速暖房運転時または強暖房運転時に、前記圧縮機から吐出された空気を前記膨張機迂回配管を介して前記熱交換器に直接送る、
請求項1に記載の空気冷媒式空調機。
【請求項4】
前記圧縮機および前記膨張機を収容する筐体に空気が流通する空気流路を設け、
前記圧縮機の吐出側の空気を前記空気流路に送る、
請求項1に記載の空気冷媒式空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気冷媒式空調機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、大気を吸引、膨張することにより温度を低下させ、室内に別途供給する空気の温度を調節する空気冷媒式空調機を開示する。この装置は、圧縮機と、圧縮機を回転させる電動機と、圧縮機と同軸に配置された膨張機と、室内供給用空気を送風するブロワと膨張機から吐出された空気と室内供給用空気との間で熱交換を行う熱交換器と、室内供給用空気を加熱し昇温するヒータと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許公開1177961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、別熱源を用いることなく、運転効率のよい空調を行うことができる空気冷媒式空調機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における空気冷媒式空調機は、空気を昇圧させる圧縮機と、空気を膨張させる膨張機と、前記圧縮機と前記膨張機とを駆動するモータと、空調空間に空気を送る送風機と、前記膨張機から吐出された空気と前記送風機から送られる空気とを熱交換する熱交換器と、を備え、前記圧縮機の吐出側と、前記膨張機の吸込側とを連通する連通配管を設け、暖房運転時に、前記圧縮機の吐出側および前記膨張機の吸込側を大気と遮断するとともに、前記連通配管を開放する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、圧縮機から吐出された高温の空気は、外部に排出されず、膨張機の吸込側に送られるため、膨張機の吸込空気温度を高めることができる。そのため、ヒータ等の別熱源を用いることなく、空調空間に送る空気を熱交換器により加熱して暖房用途として最適な温度に調節でき、簡易な構成で、且つ運転効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1における空気冷媒式空調機を示す概略図
図2】実施の形態1における空気冷媒式空調機を用いた冷凍サイクル回路の構成を示す図
図3】実施の形態1における制御構成を示すブロック図
図4】実施の形態2における空気冷媒式空調機を示す概略図
図5】実施の形態3における空気冷媒式空調機を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、圧縮機と、圧縮機を回転させる電動機と、圧縮機と同軸に配置された膨張機と、室内供給用空気を送風するブロワと膨張機から吐出された空気と室内供給用空気との間で熱交換を行う熱交換器と、室内供給用空気を加熱し昇温するヒータと、を備えた空気冷媒式空調機があった。
【0009】
しかしながら、このような従来の技術では、特に、暖房運転時において、膨張機により膨張するだけでは、空調に必要な温度を確保することができない場合があるため、室内に供給する空気を加熱するためのヒータが必要となっている。そのため、ヒータなどの別熱源を用いると、構造が複雑となり、余分なエネルギが必要となり、運転効率が低下してしまうという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
本開示は、別熱源を用いることなく、運転効率のよい空調を行うことができる空気冷媒式空調機を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図面を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1-1.空気冷媒式空調機の構成]
図1は、実施の形態1における空気冷媒式空調機を示す概略図である。
図1に示すように、空気冷媒式空調機1は、筒状の筐体10を備えている。筐体10の内部には、回転シャフト11が筐体10の軸方向に沿って配置されている。回転シャフト11は、筐体10の両側に設けられた軸受(図示せず)により回転自在に支持されている。
回転シャフト11には、回転シャフト11を回転駆動するためのモータ12が配置されている。
【0012】
回転シャフト11の一端には、圧縮機13が設けられている。圧縮機13は、回転シャフト11の回転により回転駆動されるインペラ(図示せず)を備えている。
回転シャフト11の他端には、膨張機14が設けられている。膨張機14は、回転シャフト11の回転により回転駆動されるホイール(図示せず)を備えている。
【0013】
筐体10の圧縮機13側の端部には、圧縮空気吸込口15が設けられている。筐体10の圧縮機13側の側部には、圧縮空気吐出口16が設けられている。
筐体10の膨張機14側の側部には、膨張空気吸込口17が設けられている。筐体10の膨張機14側の端部には、膨張空気吐出口18が設けられている。
そして、モータ12を駆動して回転シャフト11を回転駆動させることで、圧縮機13のインペラおよび膨張機14のホイールを一体に回転させる。これにより、圧縮空気吸込口15から吸い込まれた空気は、インペラの回転により圧縮され、高温高圧空気として圧縮空気吐出口16から吐出される。
一方、膨張空気吸込口17から吸い込まれた空気は、ホイールの回転により膨張され、膨張空気吐出口18から吐出される。
【0014】
また、筐体10のモータ12の外周側には、筐体10の内部を連通する空気流路19が形成されている。本実施の形態においては、圧縮機13の圧縮空気吐出口16は、空気流路19に接続されている。
これにより、圧縮機13の圧縮空気吐出口16から送られる空気は、筐体の空気流路19を循環した後、大気に放出される。
【0015】
[1-1-2.空気冷媒式空調機を用いた冷凍サイクル回路の構成]
図2は、空気冷媒式空調機1を用いた冷凍サイクル回路の構成を示す図である。
図2に示すように、空気冷媒式空調機1の圧縮空気吐出口16には、圧縮空気吐出配管20が接続されている。空気冷媒式空調機1の膨張空気吸込口17には、膨張空気吸込配管21が接続されている。
【0016】
空気冷媒式空調機1の膨張機14の膨張空気吸込口17と、圧縮機13の圧縮空気吸込口15とは、空気配管22により接続されている。
空気配管22の中途部には、熱交換器23が設けられている。
熱交換器23には、空気配管22を流れる空気と熱交換する空調空気配管24が設けられている。
空調空気配管24の端部には、外部空気を空調空気配管24を介して空調空間30に送る送風機25が接続されている。
【0017】
空調空間30の天井部分には、空調空間30の空気を吸い込む空気吸込口31および空調空間30に空気を吹き出す空気吹出口32がそれぞれ設けられている。空気吹出口32には、空調空気配管24が接続されている。
これにより、送風機25の駆動により、外部空気を空調空気配管24を介して熱交換器23に送り、空気配管22と熱交換した空気を空気吹出口32から空調空間30に吹き出すことができるように構成されている。
また、空気吸込口31には、環気配管33の一端が接続されている。環気配管33の他端は、送風機25の吸込側に接続されている。
【0018】
また、本実施の形態においては、圧縮機13の圧縮空気吐出配管20と、膨張機14の膨張空気吸込配管21と、を連通する連通配管34が設けられている。連通配管34の中途部には、連通開閉弁35が設けられている。
圧縮空気吐出配管20の連通配管34の接続部より下流側には、圧縮空気開閉弁36が設けられており、膨張空気吸込配管21の連通配管34の接続部より上流側には、膨張空気開閉弁37が設けられている。
【0019】
[1-1-3.制御構成]
次に、空気冷媒式空調機1の制御構成について説明する。
図3は、実施の形態1の制御構成を示すブロック図である。
図3に示すように、空気冷媒式空調機1は、制御部40を備えている。
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ、及び、記憶部を備える。制御部40の記憶部は、揮発性のメモリ、及び、不揮発性記憶部を有する。揮発性のメモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。不揮発性記憶部は、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリー等で構成される。
また、制御部40は、空気冷媒式空調機1の各部に対し、信号線等の有線の通信手段、または、無線通信回路等による無線の通信手段によって通信接続される。
制御部40は、記憶部が記憶するプログラムを実行することにより、モータ12および送風機25の駆動制御、連通開閉弁35、圧縮空気開閉弁36、膨張空気開閉弁37の開閉制御を行う。
【0020】
[1-2.動作]
次に、本実施の形態の動作について説明する。
まず、冷房運転を行う場合、制御部40は、モータ12および送風機25を駆動する。このとき、制御部40は、圧縮空気開閉弁36および膨張空気開閉弁37を開に制御するとともに、連通開閉弁35を閉に制御する。
モータ12を駆動することで、膨張機14および圧縮機13が駆動され、膨張空気吸込口17から吸い込まれた空気は、ホイールの回転により膨張され、低温空気として膨張空気吐出口18から空気配管22に送られる。空気配管22に送られた空気は、熱交換器23を介して圧縮機13の圧縮空気吸込口15に送られ、圧縮機13から圧縮空気吐出配管20を介して外部に排出される。
【0021】
一方、送風機25の駆動により、外部空気は空調空気配管24に取り込まれて熱交換器23に送られる。
空調空気配管24から熱交換器23に送られる空調空気は、熱交換器23において、膨張機14から送られる低温の膨張空気と熱交換し、冷却されて空調空間30に送られる。
これらの動作により、空調空間30の冷房が行われる。
【0022】
次に、暖房運転を行う場合は、制御部40は、圧縮空気開閉弁36および膨張空気開閉弁37を閉に制御するとともに、連通開閉弁35を開に制御する。
この状態で、制御部40により、モータ12および送風機25を駆動する。
モータ12を駆動することで、膨張機14および圧縮機13が駆動され、膨張空気吸込口17から吸い込まれた空気は、ホイールの回転により膨張され、膨張空気吐出口18から空気配管22に送られる。空気配管22に送られた空気は、熱交換器23を介して圧縮機13の圧縮空気吸込口15に送られる。
そして、圧縮機13により圧縮された高温の空気は、圧縮空気吐出配管20に送られ、空気流路19を介して筐体の内部に送られる。筐体10は、モータの駆動により高い温度となっているので、空気流路19を流れる空気は、さらに、高温となって連通配管34を介して膨張機14の膨張空気吸込配管21に送られる。
【0023】
すなわち、連通開閉弁35を開とし、圧縮機13から筐体の空気流路19を介して高温となった空気を膨張機14の吸込側に送ることにより、膨張機14の吸込空気温度を高めることが可能となる。
これにより、膨張機14において膨張過程を経た後も高温を保持することができるので、ヒータ等の加熱源を用いることなく、空調空気配管24を流れる空気を熱交換器23により加熱して暖房用途として最適な温度に調節でき、空調機として簡易な構成とし、且つ運転効率を向上できる。
【0024】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態においては、空気を昇圧させる圧縮機13と、空気を膨張させる膨張機14と、圧縮機13と膨張機14とを駆動するモータと、空調空間に空気を送る送風機と、膨張機14から吐出された空気と送風機から送られる空気とを熱交換する熱交換器23と、を備える。圧縮機13の吐出側と、膨張機14の吸込側とを連通する連通配管34を設け、暖房運転時に、圧縮機13の吐出側および膨張機14の吸込側を大気と遮断するとともに、連通配管34を開放する。
これにより、圧縮機13から吐出された高温の空気は、外部に排出されず、膨張機14の吸込側に送られるため、膨張機14の吸込空気温度を高めることができる。そのため、ヒータ等の別熱源を用いることなく、空調空気配管24を流れる空気を熱交換器23により加熱して暖房用途として最適な温度に調節でき、簡易な構成で、且つ運転効率を向上することができる。
【0025】
また、本実施の形態においては、圧縮機13および膨張機14を収容する筐体10に空気が流通する空気流路19を設け、圧縮機13の吐出側の空気を空気流路19に送る。
これにより、圧縮機13により圧縮された高温の空気を筐体10の空気流路19に送ることで、モータ12の駆動による熱により空気流路19を流れる空気は、さらに高温となって膨張機14の吸込側に送られる。そのため、膨張機14の吸込空気温度をより高めることができ、ヒータ等の別熱源を用いることなく、空調空気配管24を流れる空気を熱交換器23により加熱して暖房用途として最適な温度に調節でき、簡易な構成で、且つ運転効率を向上することができる。
【0026】
(実施の形態2)
次に、本開示の実施の形態2を説明する。
[2-1.構成]
図4は、実施の形態2における空気冷媒式空調機を示す概略図である。
図4に示すように、本実施の形態においては、モータは、圧縮機13を駆動する圧縮機モータ12aと、膨張機14を駆動する膨張機モータ12bとで構成されている。
すなわち、圧縮機13は圧縮機モータ12aで駆動され、膨張機14は膨張機モータ12bで駆動され、圧縮機13と膨張機14とは、個別の回転数で回転駆動可能とされている。
【0027】
圧縮機13を最も効率よく駆動するための駆動回転数と、膨張機14を最も効率よく駆動するための駆動回転数とは、異なっている。
圧縮機13と膨張機14とを1つのモータで駆動する場合、圧縮機13と膨張機14とは、同じ回転数になってしまい、圧縮機13と膨張機14のどちらか一方の能力が犠牲になることが考えられる。
本実施の形態においては、圧縮機13と膨張機14とを圧縮機モータ12aおよび膨張機モータ12bにより個別に駆動するようにしたので、圧縮機13と膨張機14とをそれぞれ最適な状態で駆動することが可能となる。
【0028】
なお、その他の構成に関しては、実施の形態1と同一であるので、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
[2-2.動作]
次に、本実施の形態の動作について説明する。
暖房運転を行う場合は、圧縮空気開閉弁36および膨張空気開閉弁37を閉に制御するとともに、連通開閉弁35を開にする。
この状態で、圧縮機モータ12a、膨張機モータ12bおよび送風機25を駆動する。
圧縮機モータ12aの駆動により圧縮機13が駆動されるとともに、膨張機モータ12bの駆動により膨張機14が駆動され、圧縮機13により圧縮された高温の空気は、圧縮空気吐出配管20に送られ、空気流路19を介して筐体10の内部に送られる。空気流路19を流れる空気は、圧縮機モータ12aおよび膨張機モータ12bの熱によりさらに高温となって連通配管34を介して膨張機14の吸込空気吸込配管に送られる。
【0030】
圧縮機13から筐体10の空気流路19を介して高温となった空気を膨張機14の吸込側に送ることにより、膨張機14の吸込空気温度を高めることができ、膨張機14により膨張された場合でも、高温を維持したまま、熱交換器23に送られる。
そして、熱交換器23において、膨張機14から送られた空気と空調空気配管24を流れる空気とが熱交換され、空調空気配管24の空気の温度が高められて空調空間に送られる。
【0031】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態においては、モータは、圧縮機13を駆動する圧縮機モータ12aと、膨張機14を駆動する膨張機モータ12bとで構成されている。
これにより、圧縮機13から吐出された高温の空気は、外部に排出されず、膨張機14の吸込側に送られるため、膨張機14の吸込空気温度を高めることができる。また、圧縮機13と膨張機14とを圧縮機モータ12aおよび膨張機モータ12bにより個別に駆動するようにしたので、圧縮機13と膨張機14とをそれぞれ最適な状態で駆動することが可能となる。そのため、ヒータ等の別熱源を用いることなく、空調空気配管24を流れる空気を熱交換器23により加熱して暖房用途として最適な温度に調節でき、簡易な構成で、且つ運転効率をさらに向上することができる。
【0032】
(実施の形態3)
次に、本開示の実施の形態3を説明する。
[3-1.構成]
図5は、実施の形態2における空気冷媒式空調機を示す概略図である。
図5に示すように、本実施の形態においては、実施の形態2と同様に、圧縮機13は圧縮機モータ12aで駆動され、膨張機14は膨張機モータ12bで駆動され、圧縮機13と膨張機14とは、個別の回転数で回転駆動可能とされている。
【0033】
また、本実施の形態においては、圧縮機13の吐出側から分岐し、熱交換器23に接続される膨張機迂回配管50が設けられている。膨張機迂回配管50の中途部には、迂回配管開閉弁51が設けられている。
なお、本実施の形態においては、前記各実施の形態の連通配管34は設けられていないが、膨張機迂回配管50とは別に連通配管34を設けるようにしてもよい。
なお、その他の構成に関しては、実施の形態1および実施の形態2と同一であるので、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0034】
[3-2.動作]
次に、本実施の形態の動作について説明する。
本実施の形態においては、暖房運転時に、急速暖房運転時または強暖房運転時など暖房の出力を高める必要がある場合には、迂回配管開閉弁51を開にするとともに、圧縮空気開閉弁36および膨張空気開閉弁37を閉にする。
この状態で、圧縮機モータ12a、膨張機モータ12bおよび送風機25を駆動する。
圧縮機モータ12aの駆動により圧縮機13が駆動されるとともに、膨張機モータ12bの駆動により膨張機14が駆動され、圧縮機13により圧縮された高温の空気は、圧縮空気吐出配管20に送られ、空気流路19を介して筐体10の内部に送られる。空気流路19を流れる空気は、圧縮機モータ12aおよび膨張機モータ12bの熱によりさらに高温となって、熱交換器23に直接送られる。
【0035】
圧縮機13から筐体10の空気流路19を介して高温となった空気を熱交換器23に直接送ることにより、膨張機14による膨張で空気の温度が低下してしまうことがなく、高い温度を維持したまま、熱交換器23において空気配管を流れる空気と熱交換することができる。
これにより、熱交換器23において、空調空気配管24を流れる空気の温度を高温にすることができ、高い出力での空調空間の暖房を行うことができる。
【0036】
[3-3.効果等]
以上のように、本実施の形態においては、圧縮機13の吐出側から分岐し、熱交換器23に接続される膨張機迂回配管50を設け、急速暖房運転時または強暖房運転時に、圧縮機13から吐出された空気を膨張機迂回配管50を介して熱交換器23に直接送る。
これにより、圧縮機13から吐出された高温の空気を直接熱交換器23に送ることで、膨張機14による膨張で空気の温度が低下してしまうことがなく、高い温度を維持したまま、熱交換器23において空気配管を流れる空気と熱交換することができる。そのため、空調空気配管24を流れる空気の温度を高温にすることができ、高い出力での空調空間の暖房を行うことができる。
【0037】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1から実施の形態3を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1から実施の形態3で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0038】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(技術1)空気を昇圧させる圧縮機と、空気を膨張させる膨張機と、前記圧縮機と前記膨張機とを駆動するモータと、空調空間に空気を送る送風機と、前記膨張機から吐出された空気と前記送風機から送られる空気とを熱交換する熱交換器と、を備え、前記圧縮機の吐出側と、前記膨張機の吸込側とを連通する連通配管を設け、暖房運転時に、前記圧縮機の吐出側および前記膨張機の吸込側を大気と遮断するとともに、前記連通配管を開放する、空気冷媒式空調機。
この構成により、圧縮機から吐出された高温の空気は、外部に排出されず、膨張機の吸込側に送られるため、膨張機の吸込空気温度を高めることができる。そのため、ヒータ等の別熱源を用いることなく、空調空間に送る空気を熱交換器により加熱して暖房用途として最適な温度に調節でき、簡易な構成で、且つ運転効率を向上することができる。
【0039】
(技術2)前記モータは、前記圧縮機を駆動する圧縮機モータと、前記膨張機を駆動する膨張機モータとで構成されている、技術1に記載の空気冷媒式空調機。
この構成により、圧縮機と膨張機とを圧縮機モータおよび膨張機モータにより個別に駆動するようにしたので、圧縮機と膨張機とをそれぞれ最適な状態で駆動することが可能となる。そのため、ヒータ等の別熱源を用いることなく、空調空間に送る空気を熱交換器により加熱して暖房用途として最適な温度に調節でき、簡易な構成で、且つ運転効率をさらに向上することができる。
【0040】
(技術3)圧縮機の吐出側から分岐し、前記熱交換器に接続される膨張機迂回配管を設け、急速暖房運転時または強暖房運転時に、前記圧縮機から吐出された空気を前記膨張機迂回配管を介して前記熱交換器に直接送る、技術1または技術2に記載の空気冷媒式空調機。
この構成により、圧縮機から吐出された高温の空気を直接熱交換器に送ることで、膨張機による膨張で空気の温度が低下してしまうことがなく、高い温度を維持したまま、熱交換器において空気配管を流れる空気と熱交換することができる。そのため、空調空間に送る空気の温度を高温にすることができ、高い出力での空調空間の暖房を行うことができる。
【0041】
(技術4)前記圧縮機および前記膨張機を収容する筐体に空気が流通する空気流路を設け、前記圧縮機の吐出側の空気を前記空気流路に送る、技術1から技術3のいずれか一項に記載の空気冷媒式空調機。
この構成により、圧縮機により圧縮された高温の空気を筐体の空気流路に送ることで、モータの駆動による熱により空気流路を流れる空気は、さらに高温となって膨張機の吸込側に送られる。そのため、膨張機の吸込空気温度をより高めることができ、ヒータ等の別熱源を用いることなく、空調空間に送る空気を熱交換器により加熱して暖房用途として最適な温度に調節でき、簡易な構成で、且つ運転効率を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示は、別熱源を用いることなく、運転効率のよい空調を行うことができる空気冷媒式空調機として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 空気冷媒式空調機
10 筐体
11 回転シャフト
12 モータ
12a 圧縮機モータ
12b 膨張機モータ
13 圧縮機
14 膨張機
15 圧縮空気吸込口
16 圧縮空気吐出口
17 膨張空気吸込口
18 膨張空気吐出口
19 空気流路
20 圧縮空気吐出配管
21 膨張空気吸込配管
22 空気配管
23 熱交換器
24 空調空気配管
25 送風機
30 空調空間
31 空気吸込口
32 空気吹出口
33 環気配管
34 連通配管
35 連通開閉弁
36 圧縮空気開閉弁
37 膨張空気開閉弁
40 制御部
50 膨張機迂回配管
51 迂回配管開閉弁
図1
図2
図3
図4
図5