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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121948
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】保護リングおよび加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/14 20060101AFI20240902BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F24C15/14 E
A47J37/06 321
A47J37/06 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029207
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】591031902
【氏名又は名称】シンポ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 寿夫
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA06
4B040AA08
4B040AC02
4B040AE13
4B040CA04
4B040CA19
(57)【要約】
【課題】加熱調理器の使用中に、使用者がドレインパンに触れることを防止できる保護リングを提供する。
【解決手段】保護リング70は、ドレインパンの上部外周を囲う円筒状のリング本体71と、リング本体71に設けられ、保護リング70の水平移動を規制する規制部72と、を備える。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器用のドレインパンに取付可能な保護リングであって、
前記ドレインパンの上部外周を囲う円筒状のリング本体と、
前記リング本体に設けられ、前記保護リングの水平移動を規制する規制部と、
を備える保護リング。
【請求項2】
前記ドレインパンは、取っ手を備え、
前記規制部は、前記リング本体から下方に延出しており、前記取っ手内に挿入される、
請求項1に記載の保護リング。
【請求項3】
前記ドレインパンは、取っ手を備え、
前記規制部は、前記取っ手の少なくとも一部が挿入される切欠きである、
請求項1に記載の保護リング。
【請求項4】
前記保護リングは、前記リング本体の中心に対して対称に配置された2つの前記規制部を備え、
前記ドレインパンに取り付けられた前記保護リングの形状は、平面視で、前記2つの規制部を結ぶ直線が短軸、前記直線に直交する直線が長軸となる楕円形である、
請求項1に記載の保護リング。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の保護リングを備える加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器用の保護リングに関する。本発明は、当該保護リングを備えた加熱調理器にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食材を調理する加熱調理器が知られている。このような加熱調理器の中には、加熱調理器の使用時に内部に水を収容するドレインパンを備えているものもある。
【0003】
特許文献1は、上方開口状の外箱と、該外箱の内部に配置されたドレインパンと、前記外箱の内部に配置された、内部に誘導加熱部を有する中央加熱部と、該中央加熱部を取り囲んで配置された、通電により発熱する外周加熱部とを有した加熱調理器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-119129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大部分がテーブル内に収容される埋込型の加熱調理器において、ドレインパンが外面に取っ手を備える場合、ドレインパン全体をテーブル内に収容することができず、ドレインパンの上方部分が、天板よりも上方にはみ出てしまう。加熱調理器の使用時にドレインパンは熱くなるため、使用者(喫食者)がドレインパンの上方部分に触れると、やけどをするおそれがある。また、加熱調理器全体が天板上に配置される卓上型の加熱調理器においても、ドレインパンの上方部分が露出しているため、同様の問題が生じる。
【0006】
本発明は、加熱調理器の使用中に、使用者がドレインパンに触れることを防止できる保護リングを提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、上記保護リングを備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、以下に掲げる態様の発明を提供する。
(項目1)
加熱調理器用のドレインパンに取付可能な保護リングであって、
前記ドレインパンの上部外周を囲う円筒状のリング本体と、
前記リング本体に設けられ、前記保護リングの水平移動を規制する規制部と、
を備える保護リング。
【0009】
(項目2)
前記ドレインパンは、取っ手を備え、
前記規制部は、前記リング本体から下方に延出しており、前記取っ手内に挿入される、
項目1に記載の保護リング。
【0010】
(項目3)
前記ドレインパンは、取っ手を備え、
前記規制部は、前記取っ手の少なくとも一部が挿入される切欠きである、
項目1に記載の保護リング。
【0011】
(項目4)
前記保護リングは、前記リング本体の中心に対して対称に配置された2つの前記規制部を備え、
前記ドレインパンに取り付けられた前記保護リングの形状は、平面視で、前記2つの規制部を結ぶ直線が短軸、前記直線に直交する直線が長軸となる楕円形である、
項目1から3のいずれか1項に記載の保護リング。
【0012】
(項目5)
項目1から4のいずれか1項に記載の保護リングを備える加熱調理器。
【発明の効果】
【0013】
ドレインパンに保護リングが取り付けられていることにより、リング本体によって、ドレインパンの上部外周を囲うことができる。これにより、使用者が、熱くなったドレインパンの上部外周に触れることを防止できる。その結果、使用者のやけどを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】加熱調理器の分解斜視図である。
図2】テーブルに配置された加熱調理器の斜視図である。
図3A】保護リングの斜視図である。
図3B】保護リングの平面図である。
図3C】保護リングの底面図である。
図3D】保護リングの正面図である。
図3E】保護リングの右側面図である。
図4A】保護リングが装着されたドレインパンの平面図である。
図4B】ドレインパンに装着したときの保護リングの平面図である。
図4C】保護リングが装着されたドレインパンの正面図である。
図5A】保護リングの変形例を示す正面図である。
図5B】保護リングの変形例を示す正面図である。
【0015】
保護リングの背面図は、保護リングの正面図と対称に表れる。また、保護リングの左側面図は、保護リングの右側面図と対称に表れる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<1.加熱調理器>
図面を参照しつつ、本発明について説明する。本発明の加熱調理器100は、例えば焼肉や焼き鳥といった、食材を焼いて調理する加熱調理器である。
【0017】
図1に示すように、加熱調理器100は、ケーシング10、ドレインパン20、加熱装置30、熱板受け40、熱板50、調理器具60および保護リング70を備える。
【0018】
ケーシング10は、テーブルの天板200の下に設けられた筐体210(図2参照)内に配置されている。
【0019】
図1および図4Aに示すように、ドレインパン20は、ドレインパン本体21と、ドレインパン本体21の外面に設けられた2つの取っ手22と、を備える。2つの取っ手22は、ドレインパン本体21の中心に対して対称に配置されている(図4A参照)。各取っ手22は、ドレインパン本体21の外面から外方に延出する、互いに離隔した2つの基部221と、2つの基部221を結合する結合部222と、を有する。取っ手22の内側(すなわち、2つの基部221および結合部222によって囲まれる部分)は、空洞になっている。
【0020】
図2に示すように、ドレインパン20は、ドレインパン本体21の下方部分が天板200よりも下方に位置し、取っ手22およびドレインパン本体21の上方部分が天板200よりも上方に位置するように、配置される。
【0021】
加熱装置30、熱板受け40および熱板50は、ドレインパン20内に配置されている。加熱装置30は、例えば、ガスバーナまたは電気ヒータである。調理器具60は、熱板50よりも上方で、かつ、ドレインパン20の段差上に配置されている。調理器具60は、食材を載置するための部材であり、例えば、網やロストルである。保護リング70は、ドレインパン20の上部に配置されている。
【0022】
<2.保護リング>
図3Aから図3Eを参照して、保護リング70の詳細な構造について説明する。
【0023】
保護リング70は、リング本体71と、少なくとも1つの規制部72と、を含む。保護リング70は、例えば、金属材料製である。また、保護リング70は、弾性変形可能であることが好ましい。
【0024】
リング本体71は、保護リング70をドレインパン20に装着する前の状態において、平面視で真円の円筒形である。リング本体71の内径は、ドレインパン本体21の上部外周211の外径よりも大きい。
【0025】
規制部72は、取っ手22と係合することにより、保護リング70の水平移動を防止する。その結果、リング本体71がドレインパン本体21と同心状に配置された状態を維持できる。
【0026】
規制部72は、リング本体71と一体形成されており、リング本体71から下方に延出している。規制部72は、取っ手22の内側の空洞内に挿入される。保護リング70は、複数の規制部72を備えていてもよい。規制部72の数は、取っ手22の数と同数であることが好ましい。図3Aに示す保護リング70は、2つの規制部72を備え、2つの規制部72はリング本体71の中心に対して対称に配置されている。保護リング70をドレインパン20に装着する前の状態において、2つの規制部72の外面間の間隔は、2つの取っ手22の結合部222の内面間の間隔よりも大きくなっている。
【0027】
図4Aおよび図4Cに示すように、保護リング70がドレインパン20に装着されたとき、リング本体71は、ドレインパン本体21の上部外周211を囲っている。2つの規制部72は、2つの取っ手22の空洞内にそれぞれ挿入され、リング本体71の下端は、2つの取っ手22の基部221上に接触している。
【0028】
既に述べたように、リング本体71の内径は、ドレインパン本体21の上部外周211の外径よりも大きい。したがって、リング本体71はドレインパン本体21の上部外周211よりも径方向外方に位置しており、リング本体71の内面と上部外周211との間には隙間が存在する。
【0029】
図4Bは、図4Aから保護リング70のみを取り出した図に相当する。既に述べたように、2つの規制部72の外面間の間隔は、2つの取っ手22の結合部222の内面間の間隔よりも大きいため、2つの規制部72を2つの取っ手22の空洞内にそれぞれ挿入すると、保護リング70は、平面視で、2つの規制部72を結ぶ直線が短軸、その直線に直交する直線が長軸となるような楕円形に変形する。規制部72の外面の少なくとも一部は、取っ手22の結合部222の内面に接触している。図4Aに示すように、長軸の両端部において、リング本体71の内面と上部外周211との間の隙間は、リング本体71が真円であったとき(すなわち、保護リング70をドレインパン20に装着する前)よりも大きくなっている。
【0030】
図4Cに示すように、保護リング70が水平方向に移動しようとしても、規制部72の外面が、取っ手22の結合部222の内面に接触し、規制部72の端部が、取っ手22の基部221の内面に接触するため、保護リング70は、水平方向に移動できない(すなわち、保護リング70は、ドレインパン20に接近できない)。
【0031】
<3.効果>
保護リング70をドレインパン20に取り付けたとき、リング本体71は、ドレインパン本体21の上部外周211を囲う。これにより、加熱調理器100の使用中に、使用者(喫食者)が、熱くなったドレインパン20の上部外周211に直接触れてしまうことを防止できる。その結果、使用者のやけどを防止できる。
【0032】
リング本体71の内面とドレインパン本体21の上部外周211との間に隙間が存在することにより、上部外周211からリング本体71への熱伝導を抑えることができる。
【0033】
保護リング70が規制部72を備えていることにより、保護リング70が水平方向に移動することを防止できる。その結果、リング本体71が、ドレインパン本体21と同心状に配置された状態を維持できる。したがって、リング本体71と上部外周211との間の隙間を一定に維持できる。
【0034】
ドレインパン20に装着されたときの保護リング70の形状が、平面視で、2つの規制部72を結ぶ直線が短軸、その直線に直交する直線が長軸となるような楕円形であることにより、リング本体71のうち長軸の両端の部分と、ドレインパン本体21の上部外周211との間の隙間を大きくできる。これにより、上部外周211から保護リング70への熱伝導をより抑えることができる。
【0035】
<4.変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、本発明の変形例を説明する。以下で説明する変形例は、単独で、または、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせて、上記実施形態に適用できる。
【0036】
(4-1)規制部72は、リング本体71に設けられた切欠きであってもよい。切欠き内には、取っ手22の少なくとも一部が配置される。図5Aに示すリング本体71は、規制部72として、各取っ手22の2つの基部221がそれぞれ挿入される切欠きを有しており、リング本体71のうち、切欠きの間の部分は取っ手22の空洞内に挿入される。図5Bに示すリング本体71は、規制部72として、取っ手22全体が挿入される切欠きを有している。
【0037】
(4-2)保護リング70は、ドレインパン20に装着されたときに楕円形に変形するのではなく、ドレインパン20に装着する前に既に平面視で楕円形であってもよい。
【0038】
(4-3)上記では、加熱調理器100の大部分が筐体210内に収容される埋込型の加熱調理器について説明したが、加熱調理器100は、加熱調理器100全体が天板200上に配置される卓上型であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
100 加熱調理器
20 ドレインパン
211 上部外周
22 取っ手
70 保護リング
71 リング本体
72 規制部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B