(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121955
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】発車標
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B61L25/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029219
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】390025737
【氏名又は名称】株式会社新陽社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 政光
(72)【発明者】
【氏名】鶴堀 悠介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 賢三
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161GG03
5H161GG11
5H161GG22
(57)【要約】
【課題】別途制御装置を設けることなく、旅客案内装置から受信した点灯色情報を変換可能な発車標を提供することを目的としたものである。
【解決手段】駅に設置され、駅利用者等に情報を表示する発車標5であって、旅客案内装置1から受信した、緑色あるいは橙色のいずれかに係る点灯色情報を、白色に係る点灯色情報に変換し、変換後の点灯色情報を含む点灯情報に基づいて、LEDランプを点灯させる発車標制御手段を有する構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅に設置され、情報を表示する発車標であって、
旅客案内装置から受信した、特定の色に点灯させる旨の点灯色情報を、異なる色に係る点灯色情報に変換し、変換後の点灯色情報に基づいて、LEDランプを点灯させる発車標制御手段を有することを特徴とする、発車標。
【請求項2】
前記発車標制御手段は、受信した緑色あるいは橙色のいずれかに係る点灯色情報を、白色に係る点灯色情報に変換することを特徴とする、請求項1に記載の発車標。
【請求項3】
前記発車標は、更に、変換後の点灯色情報に係る色の指定を受け付ける入力手段を有し、
前記発車標制御手段は、旅客案内装置から受信した点灯色情報を、入力手段を通じて指定された色に係る点灯色情報に変換することを特徴とする、請求項1又は2に記載の発車標。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駅のホームの番線から発車する列車や電車等の発車時刻や行先、列車や電車等の種別等の情報を駅利用者等に表示する発車標に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の各駅には、各プラットホーム(=ホーム)の各番線に発着する電車又は列車等の情報が記憶された旅客案内装置が設置されている。そして、旅客案内装置が発車標等に出力する旅客案内情報には、発車標に配列されたLED(=Light Emitting Diode)ランプのうち、どの箇所のLEDランプを特定の色に点灯させ、どの箇所のLEDランプを消灯する旨の点灯情報も含まれている。
【0003】
また、この点灯情報には、どの箇所のLEDランプを特定の色に点灯させる旨の点灯色情報が含まれている。そして、通常、旅客案内装置から出力される点灯色情報は、「赤」、「緑」、及び「橙」の3色である。これは従来、LEDが、赤色LED、緑色LEDしかなく、出力可能な色が、「赤色」、「緑色」及び「赤色」と「緑色」を混ぜた「橙色」であったことに由来する。
【0004】
例えば、特許文献1では、発車標が、旅客案内装置から受信した旅客案内情報について、「赤色」、「緑色」及び「橙色」でLED表示を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、発車標は、近年、512色を表現可能なRGBマルチカラーLEDランプを搭載したものや、約1670万色を表現可能なフルカラーランプを搭載したものが登場している。即ち、発車標側には、「赤色」、「緑色」及び「橙色」以外の色を表示できる機能が備わっている場合もある。
【0007】
そのような場合に、当該発車標に、「赤色」、「緑色」、「橙色」以外の色を表示させるには、旅客案内装置と発車標間に、別途、制御装置(情報処理装置)を設け、当該制御装置で、点灯色情報を変換(変更)させる必要があり、費用や手間がかかる。
【0008】
そこで、この発明は、上述の課題を解決するものとして、別途制御装置を設けることなく、旅客案内装置から受信した点灯色情報を変換可能な発車標を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、
駅に設置され、情報を表示する発車標であって、
旅客案内装置から受信した、特定の色に点灯させる旨の点灯色情報を、異なる色に係る点灯色情報に変換し、変換後の点灯色情報に基づいて、LEDランプを点灯させる発車標制御手段を有する、発車標とした。
【0010】
また、請求項2の発明は、
前記発車標制御手段は、受信した緑色あるいは橙色のいずれかに係る点灯色情報を、白色に係る点灯色情報に変換する、請求項1に記載の発車標とした。
【0011】
また、請求項3の発明は、
前記発車標は、更に、変換後の点灯色情報に係る色の指定を受け付ける入力手段を有し、
前記発車標制御手段は、旅客案内装置から受信した点灯色情報を、入力手段を通じて指定された色に係る点灯色情報に変換する、請求項1又は2に記載の発車標とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る発車標を用いることによって、旅客案内装置から出力された点灯色情報を、ユーザから指定された等、異なる色に係る点灯色情報に変換することができる。そのため、点灯色を変換(変更)するために、旅客案内装置と発車標の間に、別途、制御装置(情報処理装置)を設ける必要がなくなり、便宜である。
【0013】
また、通常、旅客案内装置から出力される点灯色情報は、「赤色」、「緑色」、及び赤色と緑色を混ぜて作る「橙色」の3色であり、駅利用者等が認識しやすい「白色」はない。一方、本発明に係る発車標では、旅客案内装置から出力される点灯色情報が、「赤色」、「緑色」及び「橙色」の3色に係るものであっても、これらの点灯色情報のうちいずれか、あるいは複数の点灯色情報を変換して「白色」を表示させることができ、便宜である。
【0014】
また特に、請求項3に係る発明によれば、駅員や作業員等のユーザが、変換(変更)する色を指定することができ、便宜である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態例1に係る発車標制御システムの構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態例1に係る発車標制御システムに係る発車標の構成図である。
【
図3】本発明の実施の形態例1に係る発車標制御システムに係る発車標の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態例1)
まず、本発明の実施の形態例1の発車標制御システムAの構成を、
図1に基づいて説明する。
【0017】
<発車標制御システムAの構成>
図1に示すように、鉄道の各駅には、各プラットホーム(=ホーム)の各番線に発着する電車又は列車等の情報が記憶された旅客案内装置1が設けられている。旅客案内装置1は、改札やホームに設置されている発車標5と、乗車口案内を構成する乗車口案内制御装置及び乗車口案内表示器と、案内放送装置(図示省略)とを制御し、実施ダイヤグラム、次列車の在線位置等の運行状況にあわせて、駅利用者へ次列車の発車時刻、行先、列車の種別、発車番線、停車駅等を自動案内する。そして旅客案内装置1は、運行乱れが発生した場合は、駅の改札やホームに設置されている発車標5、案内放送装置等を用いて、列車が遅延している旨の情報、遅れ時分などの旅客案内情報を乗客等の駅利用者へ伝達する。そのため、旅客案内装置1には、発車標5等が接続されている。発車標5は、軌道回路(図示省略)から軌道信号や、旅客案内装置1から旅客案内情報等を受信する。旅客案内情報には、LEDユニット52にドットマトリクス状に配列されたLEDランプ521のうち、どの箇所のLEDランプ521を特定の色に点灯させ、どの箇所のLEDランプ521を消灯するといった点灯情報が含まれている。
【0018】
図2は、発車標5の概略構成図である。発車標5は、
図2に示すように、主として1~複数枚の基板から成るCPU基板等のLEDユニット制御手段51(発車標制御手段の一例)、LEDユニット52、直流安定化電源53、入力手段54から構成されている。
【0019】
LEDユニット制御手段51は、旅客案内装置1から伝送された、点灯情報を含む旅客案内情報の受信、記憶及び発車標5全体の制御・監視を行う機能を有し、例えば、8ビットのマイクロコンピュータが組み込まれている。
【0020】
また、LEDユニット制御手段51は、旅客案内装置1から伝送された点灯情報を、LEDユニット52にドットマトリクス状に配列されたLEDランプ521のうち、どの箇所のLEDランプ521を特定の色に点灯させ、どの箇所のLEDランプ521を消灯するといった情報に変換(変更)して、変換後の表示情報をLEDユニット52に出力する。以下、詳しく説明する。
【0021】
LEDユニット制御手段51は、旅客案内装置1から受信した点灯情報のうち、特定の箇所のLEDランプ521を特定の色に点灯させる旨の点灯色情報を、異なる色に係る点灯色情報に変換する。例えば、旅客案内装置1から受信した「緑色」に係る点灯色情報を、「白色」に係る点灯色情報に変換する。または、旅客案内装置1から受信した「橙色」に係る点灯色情報を、「白色」に係る点灯色情報に変換する。または、旅客案内装置1から受信した「赤色」に係る点灯色情報を、「白色」に係る点灯色情報に変換する。
【0022】
なお、LEDユニット制御手段51は、入力手段54を通じて、駅員や作業者等のユーザから変換後の点灯色情報に係る色の指定を受け付けると、旅客案内装置1から受信した点灯色情報を、指定された色に係る点灯色情報に変換する。
【0023】
また、後述するLEDランプ制御手段522が、変換後の点灯色情報を含む点灯情報に基づいて、LEDランプ521を点灯させることができるように、LEDランプ制御手段522が1個(=ドット)のLEDランプ521を点灯させるために用いる点灯情報の複数のクロック単位と同一のクロック単位で、LEDユニット制御手段51は、LEDランプ521の1個(=ドット)分の点灯情報を出力する。
【0024】
入力手段54は、駅員や作業者等のユーザから変換後の点灯色情報に係る色の指定を受け付ける、例えば、ディップスイッチ、ボタンである。
【0025】
LEDユニット52は、主としてドットマトリクス状に配列された複数のLEDランプ521とLEDランプ521を制御する、ロジック回路等のLEDランプ制御手段522と、RAM等の記憶手段523とから構成されている。
【0026】
LEDランプ521は、赤色LED素子、青色LED素子、及び緑色LED素子を有し、各素子の光の強さを調整することで、512色を表現可能なRGBマルチカラーLEDランプである。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、LEDランプ521は、約1670万色を表現可能なフルカラーランプや赤緑(RG)2色ランプ、あるいは単色LEDのランプを用いる構成としても良い。
【0027】
LEDランプ制御手段522は、LEDユニット制御手段51から伝送された変換後の点灯色情報を含む点灯情報を記憶手段523に記憶させる。そして、LEDランプ制御手段522は、記憶手段523に記憶された変換後の点灯色情報を含む点灯情報の内容に基づいて、所定の周期で必要箇所のLEDランプ521を点灯させる。なお、本発明の実施の形態例1では、LEDランプ521を点けるという意味で、「点灯」と述べている。この「点灯」語には、LEDランプ521を点けたり、消したりする「点滅」も含む。
【0028】
<発車標5の動作の流れ>
次に、発車標5の動作の流れについて、
図3を用いて説明する。
【0029】
発車標5は、旅客案内装置1から点灯情報を含む旅客案内情報等を受信する(ステップS301)。発車標5のLEDユニット制御手段51は、旅客案内装置1から受信した点灯情報のうち、どの箇所のLEDランプ521を特定の色に点灯させる旨の点灯色情報を、ユーザから指定された異なる色に係る点灯色情報に変換する(ステップS302)。発車標5のLEDユニット制御手段51は、変換後の点灯色情報を含む点灯情報をLEDユニット52に出力する(ステップS303)。LEDランプ制御手段522は、LEDユニット制御手段51から伝送された変換後の点灯情報を記憶手段523に記憶させる。そして、LEDランプ制御手段522は、記憶手段523に記憶された変換後の点灯情報を呼び出し、その内容に基づいて、必要箇所のLEDランプ521を点灯させる(ステップS304)。
【0030】
このように、本発明の実施の形態例1の発車標5では、旅客案内装置1から出力された点灯色情報を、ユーザから指定された異なる色に係る点灯色情報に変換することができる。そのため、点灯色を変換(変更)するために、旅客案内装置1と発車標の間に、別途、制御装置(情報処理装置)を設ける必要がなくなり、便宜である。
【0031】
また、通常、旅客案内装置1から出力される点灯色情報は、「赤色」、「緑色」、及び赤色と緑色を混ぜて作る「橙色」の3色であり、駅利用者等が認識しやすい「白色」はない。一方、本発明の実施の形態例1の発車標5では、旅客案内装置1から出力される点灯色情報が、「赤色」、「緑色」及び「橙色」の3色であっても、これらの点灯色情報のうちいずれか、あるいは複数の点灯色情報を変換して「白色」を表示させることができ、便宜である。
【0032】
本発明の実施の形態例1では、LEDユニット制御手段51が、旅客案内装置1から受信した「緑色」に係る点灯色情報を、「白色」に係る点灯色情報に変換する。あるいは、旅客案内装置1から受信した「橙色」に係る点灯色情報を、「白色」に係る点灯色情報に変換するといった、1つの点灯色情報を、異なる色に係る点灯色情報に変換する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、LEDユニット制御手段51が、旅客案内装置1から受信した「緑色」及び「橙色」に係る点灯色情報を、「白色」に係る点灯色情報に変換するといった、複数の点灯色情報を、異なる色に係る点灯色情報に変換する構成としても良い。
【0033】
本発明の実施の形態例1では、LEDユニット制御手段51が、旅客案内装置1から受信した「緑色」に係る点灯色情報を、「白色」に係る点灯色情報に変換する。または、旅客案内装置1から受信した「橙色」に係る点灯色情報を、「白色」に係る点灯色情報に変換する。または、旅客案内装置1から受信した「赤色」に係る点灯色情報を、「白色」に係る点灯色情報に変換する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。即ち、旅客案内装置1から受信する点灯色情報に係る色は、限定されるわけではなく、LEDユニット制御手段が変換する点灯色情報に係る色も限定されるわけではない。そのため例えば、旅客案内装置1から受信した点灯色情報に係る色が「青色」であって、LEDユニット制御手段51が、当該点灯色情報を、「赤色」に係る点灯色情報に変換する構成としても良い。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施の形態例について述べたが、本発明に係る発車標は上述した実施の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0035】
1:旅客案内装置、
5:発車標、
51:LEDユニット制御手段、52:LEDユニット、521:LEDランプ、522:LEDランプ制御手段、523:記憶手段、53:直流安定化電源、54:入力手段