(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121960
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】複合機能車載装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240902BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240902BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240902BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240902BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08B21/00 H
G08B25/00 510M
G08B25/10 A
G07C5/00 Z
G08B21/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029228
(22)【出願日】2023-02-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載日:2022年(令和4年)12月15日(金)、掲載アドレス:https://www.cellstar.co.jp/ https://www.cellstar.co.jp/info/2023/OAM2023/ https://www.cellstar.co.jp/info/2023/TAS2023/ 公開日:2023年(令和5年)2月10日(金)~12日(日)、展示会名:第26回 大阪オートメッセ2023、展示会場:インテックス大阪(大阪国際見本市会場、大阪府大阪市住之江区南港北1-5-102) 公開日:2023年(令和5年)1月13日(金)~15日(日)、展示会名:東京オートサロン2023、展示会場:幕張メッセ(日本コンベンションセンター、千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
(71)【出願人】
【識別番号】593026627
【氏名又は名称】セルスター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100178331
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 宏二
(72)【発明者】
【氏名】小林 恭二
(72)【発明者】
【氏名】帆苅 努
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 勇治
(72)【発明者】
【氏名】宮林 俊也
【テーマコード(参考)】
3E138
5C086
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138DA06
3E138DB01
3E138HA06
3E138MA02
3E138MB08
3E138MC03
3E138MC12
3E138MF07
5C086AA52
5C086BA22
5C086CA06
5C086CA11
5C086CA28
5C086CB15
5C086CB27
5C086CB36
5C086DA08
5C086DA33
5C086FA02
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA25
5C087AA32
5C087BB19
5C087BB20
5C087DD13
5C087EE07
5C087FF01
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5C087GG02
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5C087GG66
5H181AA01
5H181BB12
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL15
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】ドライブレコーダー機能と探知機機能とを備えた場合に、運転者等に対してより役立つ動作をさせる。
【解決手段】複合機能車載装置1は、車両前方を撮影するための本体カメラ16と、車両後方を撮影するためのサブカメラ21と、予め設定された録画要件を満たすと、本体カメラ16及びサブカメラ21の少なくとも何れかが撮影した画像を録画するイベント録画部122と、予め設定された警報要件を満たすと、車両の速度測定装置への接近警報を報知するレーダ波判定部221及びレーザ光判定部224とを有し、レーダ波判定部221及びレーザ光判定部224は、予め設定された警報要件を満たす場合でも、イベント録画部122による録画中、報知を行わない。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方を撮影するための第1撮影手段と、
車両後方を撮影するための第2撮影手段と、
前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を録画する録画手段と、
走行中の車両の走行速度を測定するための、電波の受信手段及び光の受光手段の少なくとも何れかを基に警報を報知する警報手段と、
を有する複合機能車載装置。
【請求項2】
車両前方を撮影するための第1撮影手段と、
車両後方を撮影するための第2撮影手段と、
予め設定された録画要件を満たすと、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を録画する録画手段と、
予め設定された警報要件を満たすと、道路交通に関する情報収集又は測定を行う装置、当該装置の設置場所、及び道路にて潜在的に危険が潜む場所又は区域の少なくとも何れかへの接近警報を報知する第1警報手段と、を有し、
前記第1警報手段は、前記予め設定された警報要件を満たす場合でも、前記録画手段による録画中、報知を行わない複合機能車載装置。
【請求項3】
前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を基に予め設定された要件を満たすと、車両が運転者の意図しない走行状況又は停止状況になっていることを報知する第2警報手段をさらに有し、
前記第2警報手段は、前記画像を基に予め設定された要件を満たす場合でも、前記録画手段による録画中、及び前記第1警報手段による接近警報の報知中の少なくとも何れかの場合、前記車両が運転者の意図しない走行状況又は停止状況になっている報知を行わない請求項2に記載の複合機能車載装置。
【請求項4】
車両前方を撮影するための第1撮影手段と、
車両後方を撮影するための第2撮影手段と、
予め設定された録画要件を満たすと、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を録画する録画手段と、
前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を基に予め設定された要件を満たすと、車両が運転者の意図しない走行状況又は停止状況になっていることを報知する第1警報手段と、
予め設定された警報要件を満たすと、道路交通に関する情報収集又は測定を行う装置、当該装置の設置場所、及び道路にて潜在的に危険が潜む場所又は区域の少なくとも何れかへの接近警報を報知する第2警報手段と、を有し、
前記第1警報手段は、前記予め設定された要件を満たす場合でも、前記第2警報手段による接近警報の報知中、報知を行わない複合機能車載装置。
【請求項5】
車両前方を撮影するための第1撮影手段と、
車両後方を撮影するための第2撮影手段と、
予め設定された録画要件を満たすと、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を録画する録画手段と、
予め設定された警報要件を満たすと、道路交通に関する情報収集又は測定を行う装置、当該装置の設置場所、及び道路にて潜在的に危険が潜む場所又は区域の少なくとも何れかへの接近警報を報知する警報手段と、を有し、
前記録画手段は、前記予め設定された警報要件を満たすと、前記予め設定された録画要件を満たさない場合でも、前記画像を録画する複合機能車載装置。
【請求項6】
車両前方を撮影するための第1撮影手段と、
車両後方を撮影するための第2撮影手段と、
予め設定された録画要件を満たすと、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を録画する録画手段と、
前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を基に予め設定された要件を満たすと、車両が運転者の意図しない走行状況又は停止状況になっていることを報知する警報手段と、を有し、
前記録画手段は、前記予め設定された要件を満たすと、前記予め設定された録画要件を満たさない場合でも、前記画像を録画する複合機能車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダー及び探知機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドライブレコーダー機能と探知機機能とを備える車両用警報装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
この車両用警報装置は、自車両の前方物との距離に基づく車間警報報知機能による報知と自車位置に基づく車速測定装置接近警報報知機能による報知の双方が必要な場合、車間警報報知機能による報知を優先させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、車両用警報装置は、車間警報報知機能による報知と車速測定装置接近警報報知機能による報知を対象にしているのに過ぎず、さらに、車間警報報知機能による報知を優先させているだけである。
【0006】
これに対して、ドライブレコーダー機能と探知機機能とを備えた場合に、どちらの機能を優先させるべきか、又は協調させるべきか、様々な課題がある。例えば、ドライブレコーダー機能による録画と探知機機能による報知とを同時に実行してしまうと、双方に悪い影響が及び様々な事象が発生する。その結果、録画映像や報知が運転者等にとって役立たなくなってしまうこともある。
【0007】
本発明の目的は、ドライブレコーダー機能と探知機機能とを備えた場合に、運転者等に対してより役立つ動作をさせることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、車両前方を撮影するための第1撮影手段と、車両後方を撮影するための第2撮影手段と、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を録画する録画手段と、走行中の車両の走行速度を測定するための、電波の受信手段及び光の受光手段の少なくとも何れかを基に警報を報知する警報手段と、を有する複合機能車載装置である。
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、車両前方を撮影するための第1撮影手段と、車両後方を撮影するための第2撮影手段と、予め設定された録画要件を満たすと、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を録画する録画手段と、予め設定された警報要件を満たすと、道路交通に関する情報収集又は測定を行う装置、当該装置の設置場所、及び道路にて潜在的に危険が潜む場所又は区域の少なくとも何れかへの接近警報を報知する第1警報手段と、を有し、前記第1警報手段は、前記予め設定された警報要件を満たす場合でも、前記録画手段による録画中、報知を行わない複合機能車載装置である。
【0010】
本発明の第3の態様では、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を基に予め設定された要件を満たすと、車両が運転者の意図しない走行状況又は停止状況になっていることを報知する第2警報手段をさらに有し、前記第2警報手段は、前記画像を基に予め設定された要件を満たす場合でも、前記録画手段による録画中、及び前記第1警報手段による接近警報の報知中の少なくとも何れかの場合、前記車両が運転者の意図しない走行状況又は停止状況になっている報知を行わないことが好ましい。
【0011】
前記課題を解決するために、本発明の第4の態様は、車両前方を撮影するための第1撮影手段と、車両後方を撮影するための第2撮影手段と、予め設定された録画要件を満たすと、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を録画する録画手段と、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を基に予め設定された要件を満たすと、車両が運転者の意図しない走行状況又は停止状況になっていることを報知する第1警報手段と、予め設定された警報要件を満たすと、道路交通に関する情報収集又は測定を行う装置、当該装置の設置場所、及び道路にて潜在的に危険が潜む場所又は区域の少なくとも何れかへの接近警報を報知する第2警報手段と、を有し、前記第1警報手段は、前記予め設定された要件を満たす場合でも、前記第2警報手段による接近警報の報知中、報知を行わない複合機能車載装置である。
【0012】
前記課題を解決するために、本発明の第5の態様は、車両前方を撮影するための第1撮影手段と、車両後方を撮影するための第2撮影手段と、予め設定された録画要件を満たすと、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を録画する録画手段と、予め設定された警報要件を満たすと、道路交通に関する情報収集又は測定を行う装置、当該装置の設置場所、及び道路にて潜在的に危険が潜む場所又は区域の少なくとも何れかへの接近警報を報知する警報手段と、を有し、前記録画手段は、前記予め設定された警報要件を満たすと、前記予め設定された録画要件を満たさない場合でも、前記画像を録画する複合機能車載装置である。
【0013】
前記課題を解決するために、本発明の第6の態様は、車両前方を撮影するための第1撮影手段と、車両後方を撮影するための第2撮影手段と、予め設定された録画要件を満たすと、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を録画する録画手段と、前記第1撮影手段及び第2撮影手段の少なくとも何れかが撮影した画像を基に予め設定された要件を満たすと、車両が運転者の意図しない走行状況又は停止状況になっていることを報知する警報手段と、を有し、前記録画手段は、前記予め設定された要件を満たすと、前記予め設定された録画要件を満たさない場合でも、前記画像を録画する複合機能車載装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の前記第1の態様によれば、複合機能車載装置は、第1撮影手段と、第2撮影手段と、走行中の車両の走行速度を測定するための、電波の受信手段及び光の受光手段の少なくとも何れかとの組み合わせにより、運転者等に応じた画像提供ができたり、報知ができたりする等、運転者等に対してより役立つ動作をすることができる。
【0015】
本発明の前記第2の態様によれば、複合機能車載装置は、第1警報手段による報知よりも、録画手段による録画を優先させることができる。これにより、複合機能車載装置は、第1警報手段による報知中でも、録画手段による録画が開始されると、当該報知を中止する。また、複合機能車載装置は、録画手段による録画中でなければ、予め設定された警報要件を満たす場合には報知をするので、録画手段による録画が終了すると、予め設定された警報要件を満たしていれば、報知を開始又は再開する。
【0016】
本発明の前記第3の態様によれば、複合機能車載装置は、第2警報手段による報知よりも、第1警報手段による報知や録画手段による録画を優先させることができる。これにより、複合機能車載装置は、第2警報手段による報知中でも、録画手段による録画が開始されたり、第1警報手段による接近警報の報知が開始されたりすると、第2警報手段による報知を中止する。また、複合機能車載装置は、録画手段による録画中でなく、かつ第1警報手段による接近警報の報知がなされていなければ、画像を基に予め設定された要件を満たす場合には第2警報手段による報知をするので、録画手段による録画が終了し、かつ、第1警報手段による接近警報の報知が終了すると、予め設定された要件を満たしていれば、第2警報手段による報知を開始又は再開する。
【0017】
本発明の前記第4の態様によれば、複合機能車載装置は、第1警報手段による報知よりも、第2警報手段による接近報知を優先させることができる。これにより、複合機能車載装置は、第1警報手段による報知中でも、第2警報手段による報知が開始されると、第1警報手段による報知を中止する。また、複合機能車載装置は、第2警報手段による報知がなされていなければ、予め設定された要件を満たす場合には第1警報手段による報知をするので、第2警報手段による報知が終了すると、予め設定された要件を満たしていれば、第1警報手段による報知を開始又は再開する。
【0018】
本発明の前記第5の態様によれば、複合機能車載装置は、警報手段により接近警報を報知するとともに、録画手段による画像の録画ができる。
【0019】
本発明の前記第6の態様によれば、複合機能車載装置は、警報手段により車両が運転者の意図しない走行になっていることを報知するとともに、録画手段による画像の録画ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、複合機能車載装置の外観構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、複合機能車載装置の本体の外観構成の一例を示す背面斜視図である。
【
図3】
図3は、複合機能車載装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、ドライブレコーダー部の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、探知部の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、探知部の構成例を示す他のブロック図である。
【
図7】
図7は、レーザ光判定部の判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図7のレーザ光判定部の判定処理に基づく作用を示す模式図である。
【
図9】
図9は、協調制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第1協調処理部による第1協調処理の一例を示す前半のフローチャートである。
【
図11】
図11は、第1協調処理部による第1協調処理の一例を示す後半のフローチャートである。
【
図12】
図12は、第2協調処理部による第2協調処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第3協調処理部による第3協調処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第4協調処理部による第4協調処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
本実施形態では、複合機能車載装置を挙げている。複合機能車載装置は、車両周囲を撮影しその映像を保存するドライブレコーダーの機能、及びレーダ波及びレーザ光等による探知機の機能を有している。複合機能車載装置は、自動車、トラック及びバス等の車両に設置される。
【0023】
(構成)
図1は、複合機能車載装置1の外観構成の一例を示す図である。
図2は、複合機能車載装置1の本体部10の外観構成の一例を示す背面斜視図である。
図3は、複合機能車載装置1の構成例を示すブロック図である。
【0024】
図3に示すように、複合機能車載装置1は、ドライブレコーダー部100、探知部200、及び協調制御部300を有している。ドライブレコーダー部100は、ドライブレコーダーの機能を有しており、探知部200は、探知機の機能を有しており、協調制御部300は、ドライブレコーダー部100と探知部200との協調制御を行う。
【0025】
図1及び
図2に示すように、複合機能車載装置1は、本体部10、及びサブカメラ部20を有している。本体部10は、当該本体部10が備える後述の本体カメラ16が車両前方に向くようにして車室内でフロントガラス付近に設置され、サブカメラ部20は、当該サブカメラ部20が備えるサブカメラ21が車両後方に向くようにして車室内でリアガラス付近に設置される。車室内でフロントガラス付近は、速度計測装置が照射するレーダ波及びレーザ光を受信し易く、且つ運転者に情報報知が可能な場所の一例である。以下の説明では、レーダ波及びレーザ光を総称して電磁波と言うこともある。
【0026】
本体部10は、略直方体形状の筐体を有し、裏面10a側に、ディスプレイ11、ボタン12、ランプ13、及び音声入力口14等を有している。ここで、ディスプレイ11は、液晶等であり、警報等の報知情報を含めて各種の情報を表示する装置である。ボタン12は、使用者によって操作されて各種の指示入力がなされるボタンである。ランプ13は、警報等の報知情報を含めて各種の情報を発光により表示する。音声入力口14は、マイクに音声を入力するために開口されている。また、本体部10には、上部10b側に、当該本体部10を車体に取り付けるための取り付け部15が設けられている。また、本体部10は、正面10c側に、本体カメラ16、及び音声出力部17を有している。ここで、本体カメラ16は、車両の外部を撮像する装置である。音声出力部17は、スピーカーによって音声を出力する。スピーカーは、警報等の報知情報を含めて各種の情報を音声で出力する。また、本体部10の図示しない底面には、メモリカード収容部が設けられており、後述のメモリカード110が、メモリカード収容部に対して着脱可能とされている。
【0027】
サブカメラ部20は、本体部10よりも小さい略直方体形状の筐体を有し、表面20a側にサブカメラ21を有している。また、サブカメラ部20には、上部20b側に、当該サブカメラ部20を車体に取り付けるための取り付け部22が設けられている。サブカメラ部20は、無線又は有線にて本体部10と通信可能とされている。
【0028】
図4は、ドライブレコーダー部100の構成例を示すブロック図である。
図4に示す構成は、ドライブレコーダー部100がドライブレコーダーとして機能するための構成である。
【0029】
図4に示すように、ドライブレコーダー部100は、本体カメラ16及びサブカメラ21からの撮像データの処理を行うための構成として、メモリカード110、及びドライブレコーダー制御部120を有している。ドライブレコーダー制御部120は、メモリカード110と同様、本体部10に搭載されている。
【0030】
メモリカード110は、本体カメラ16及びサブカメラ21が撮像した映像データを記憶する。メモリカード110は、常時録画記憶部111、イベント録画記憶部112、モーション録画記憶部113、及び安全運転支援録画記憶部114を有している。ここで、常時録画記憶部111には、後述の常時録画処理による映像データが記憶される。イベント録画記憶部112には、後述のイベント録画処理やクイック録画処理による映像データが記憶される。モーション録画記憶部113には、後述のモーション録画処理による映像データが記憶される。安全運転支援録画記憶部114には、後述の安全運転録画処理による映像データが記憶される。
【0031】
ドライブレコーダー制御部120は、CPU、FPGA又はマイコン等のプロセッサ、プログラム及びデータを記憶するストレージ、並びにワークメモリを含み構成されるいわゆるコンピュータである。ドライブレコーダー制御部120は、ドライブレコーダー部100の各構成について各種の処理を実行する。本例では、ドライブレコーダー制御部120は、各種の処理を実行する構成として、常時録画部121、イベント録画部122、クイック録画部123、モーション録画部124、及び安全運転支援部125を有している。ドライブレコーダー制御部120を構成するこれら各部は、プロセッサによるプログラム処理等によって実現されている。
【0032】
ここで、常時録画部121は、本体カメラ16及びサブカメラ21からの映像を常時録画するための常時録画処理を実行する。イベント録画部122は、常時録画中に予め設定されたイベントの発生時(予め設定されている値を超えた衝撃の発生時等)の映像を録画するためのイベント録画処理を実行する。例えば、イベント録画部122は、イベント録画として、イベントの発生時の所定の時間区間の映像、例えば、イベントの発生時の5秒前からイベントの発生時から20秒後の合計25秒間の映像を録画する。クイック録画部123は、乗員により手動で録画操作されたときのイベントの映像を録画するためのクイック録画処理を実行する。モーション録画部124は、車室内外で動作を検出したときの本体カメラ16やサブカメラ21からの映像を録画するためのモーション録画処理を実行する。これら各処理の実行によって、メモリカード110の各録画部に映像データが記憶される。また、安全運転支援部125は、本体カメラ16及びサブカメラ21からの映像を利用して安全運転支援機能を実行する。
【0033】
ここで、安全運転支援機能として、車間距離報知機能、前車発信報知機能、車線逸脱警告機能、及び後方接近警告機能がある。車間距離報知機能、前車発信報知機能、車線逸脱警告機能は、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems、先進運転支援システム)とも言われる。後方接近警告機能は、BCWS(Backward Collision Warning Systems、後方接近警告システム)とも言われる。
【0034】
安全運転支援部125は、車間距離報知機能として、本体カメラ16の映像を解析処理することで自車両が前方車両に接近している車間距離警告を報知する。例えば、安全運転支援部125は、本体カメラ16の映像内から前方車両の大きさを認識するとともに、1秒間に約30コマ撮影した各画像で前方車両の大きさを比較し、前方車両が大きくなっている場合には自車両が前方車両に接近していると判定する。そして、安全運転支援部125は、その前方車両の大きさが、予め設定されている車間距離判定用の閾値を超えると、車間距離警告を報知する。すなわち、安全運転支援部125は、本体カメラ16の映像において前方車両が大きくなっており、かつその前方車両の大きさが車間距離判定用の閾値を超えるといった、車間距離判定要件を満たすと判定すると、車間距離警告を報知する。このとき、安全運転支援部125は、表示や音によって報知する。
【0035】
また、安全運転支援部125は、自車両が走行中でありかつ自車速が予め設定されている車速判定用の閾値を超えていることを車間距離報知機能が動作するための要件とすることもできる。また、車間距離判定用の閾値を調整可能にすることで、安全運転支援部125は、適切なタイミングで車間距離警告を報知できるようになる。
【0036】
また、安全運転支援部125は、前車発信報知機能として、本体カメラ16の映像を解析処理することで前方車両が自車両から離反している離反警告を報知する。例えば、安全運転支援部125は、本体カメラ16の映像内から前方車両の大きさを認識するとともに、1秒間に約30コマ撮影した各画像で前方車両の大きさを比較し、前方車両が小さいくなっている場合には前方車両が自車両から離反していると判定する。そして、安全運転支援部125は、その前方車両の大きさが、予め設定されている前方車両の離反判定用の閾値を超えると、離反警告を報知する。すなわち、安全運転支援部125は、本体カメラ16の映像において前方車両が小さくなっており、かつその前方車両の大きさが前方車両の離反判定用の閾値を超えるといった、離反判定要件を満たすと判定すると、離反警告を報知する。このとき、安全運転支援部125は、表示や音によって報知する。
【0037】
また、安全運転支援部125は、自車両が停車中であることを前車発信報知機能が動作するための要件とすることもできる。これにより、安全運転支援部125は、自車両が停車中に前方車両が発進すると、離反警告を報知できる。
【0038】
また、安全運転支援部125は、車線逸脱警告機能として、本体カメラ16の映像を解析処理することで自車両が車線逸脱している車線逸脱警告を報知する。例えば、安全運転支援部125は、本体カメラ16の映像内から自車両が走行している走行車線の白線等の車線境界線を認識するとともに、1秒間に約30コマ撮影した各画像で車線境界線と自車両の位置との距離を算出し、その距離が予め設定されている車線逸脱判定用の閾値を超えると、車線逸脱警告を報知する。すなわち、安全運転支援部125は、本体カメラ16の映像から車線境界線と自車両の位置との距離が車線逸脱判定用の閾値を超えるといった、車線逸脱判定要件を満たすと判定すると、車線逸脱警告を報知する。このとき、安全運転支援部125は、表示や音によって報知する。
【0039】
また、安全運転支援部125は、自車両が走行中でありかつ予め設定されている車速判定用閾値を超えていることを車線逸脱警告機能が動作するための要件とすることもできる。
【0040】
また、安全運転支援部125は、後方接近警告機能として、サブカメラ21の映像を解析処理することで後方車両が自車両に接近している後方接近警告を報知する。例えば、安全運転支援部125は、サブカメラ21の映像内から後方車両の大きさを認識するとともに、1秒間に約30コマ撮影した各画像で後方車両の大きさを比較し、後方車両が大きくなっている場合には後方車両が自車両に接近していると判定する。そして、安全運転支援部125は、その後方車両の大きさが、予め設定されている後方車両の接近判定用の閾値を超えると、後方接近警告を報知する。すなわち、安全運転支援部125は、サブカメラ21の映像において後方車両が大きくなっており、かつその後車両の大きさが後方車両の接近判定用の閾値を超えるといった、後方車両接近判定要件を満たすと判定すると、後方接近警告を報知する。このとき、安全運転支援部125は、表示や音によって報知する。
【0041】
また、安全運転支援部125は、自車両が走行中でありかつ自車速が予め設定されている車速判定用閾値を超えていることを後方接近警告機能が動作するための要件とすることもできる。また、後方車両の接近判定用の閾値を調整可能にすることで、安全運転支援部125は、適切なタイミングで後方接近警告を報知できるようになる。
【0042】
なお、本体部10、サブカメラ部20を車両に設置した後、画像認識の基準を設定するキャリブレーションを行うことで、以上の各機能の精度を向上させることができる。
【0043】
また、常時録画処理、イベント録画処理、クイック録画処理は、車両走行中及び駐車中に実行可能とされている。また、モーション録画処理は、駐車中のみ実行可能とされている。
【0044】
次に、探知部200について説明する。
【0045】
探知部200は、速度遵守を促すべきイベントを契機に、直接的又は間接的な内容によって速度遵守を促す情報を報知する。また、探知部200が探知する速度計測装置としては、レーダ波を照射するレーダ式、ループコイルや光電管を有する非レーダ式、及びレーザ光を照射するレーザ光式が挙げられ、レーダ式及びレーザ光式には固定式及び移動式がある。速度遵守を促すべきイベントは、設置場所が既知の速度計測装置から所定距離内に車両が到達したとき、及び速度測定装置が照射する電磁波を受信したときである。報知する情報としては、例えば速度計測装置の存在、速度計測装置の種類、速度測定装置が照射する電磁波の受信と種類、若しくは速度遵守の注意喚起等、又はこれらの複数である。
【0046】
図5及び
図6は、探知部200の構成例を示すブロック図である。
図5及び
図6に示す構成は、探知部200が探知機として機能するための構成である。
【0047】
図5及び
図6に示すように、探知部200は、電波センサ201、測位信号受信部202、光センサ210、報知部203、及び探知制御部220を有している。
図1に示すように、本体部10の正面10cには受信エリア10dが形成されており、受信エリア10dに位置するように、電波センサ201、測位信号受信部202、及び光センサ210が本体部10の筐体内に収容されている。
【0048】
電波センサ201は、アンテナ及びスーパーヘテロダイン方式等の復調器を有し、レーダ式の速度計測装置が照射するXバンド及びKバンドの波長帯域のレーダ波を受信して検波する。電波センサ201は、速度計測装置のレーダ波を受信すると、検知信号を探知制御部220に出力する。
【0049】
測位信号受信部202は、測位衛星の電波信号を受信可能なアンテナと復調器とプロセッサを有し、GNSS(Global Navigation Satellite System)の測位信号を受信して復調し、現在位置の緯度及び経度により成る自車位置を算出する。測位信号受信部202は、算出した自車位置を探知制御部220に出力する。
【0050】
光センサ210は、光を受信すると、検知信号を出力する。そのため、光センサ210は、光学フィルタ211、受光素子212、及び変換部213を有している。検知信号は、光の受光時間に合致するパルス幅を有する電圧信号であり、受光間隔に合致したパルス間隔で出力される。
【0051】
ここで、光学フィルタ211は、斜めからでも光を透過させ易い材料によりなることが望ましく、例えば、アクリル樹脂製によりなる。これにより、速度計測装置が道路沿線に設置されることにより、速度計測装置が照射するレーザ光の光軸に対して、光学フィルタ211のフィルタ表面が斜交する場合であっても、受信漏れを抑制できる。ただし、光学フィルタ211としてはアクリル樹脂製に限らず、公知の材料を広く用いることができる。また、光学フィルタ211は、速度計測装置が照射するレーザ光の波長を含む波長帯域を透過させるフィルタである。この波長帯域には、例えば、VICS(登録商標)、Nシステム、車載の距離計測センサ、その他の道路上の施設や走行中の車両が照射する光の波長を含んでいても良い。例えば、車両が搭載する電光掲示板が発する光を光学フィルタ211が透過させる波長帯域に含めても良い。
【0052】
受光素子212は、光学フィルタ211が透過させる波長帯域を含んで応答し、受光によって電流を通す検出器である。受光素子212は、光学フィルタ211の背後に設置され、光学フィルタ211を透過した光を受け取る。受光素子212は、受光量に応じた電流信号を出力する。受光素子212は、例えば、フォトトランジスタ又はフォトダイオードである。
【0053】
変換部213は、受光素子212が出力する電流信号を電圧信号に変換して検知信号として探知制御部220に出力する。変換部213は、例えば、オペアンプを含み構成され、受光素子212から電流信号が入力されると、基準電圧から立ち下げてLo信号を出力し、受光素子212からの電流信号が途絶えると立ち上げて基準電圧に戻す。すなわち、光センサ210は、受光素子212での受光開始に合致したタイミングで電圧をLoレベルに立ち下げ、受光素子212での受光時間に合致させて電圧のLoレベルを維持する。この電圧がLoレベルの期間を検知信号と呼ぶ。ただし、基準電圧を含む電圧レベルの論理は逆であってもよい。
【0054】
以上のように、電波センサ201、測位信号受信部202、光センサ210は、各信号、情報を探知制御部220に出力する。
【0055】
報知部203は、本体部10に配置されたディスプレイ11、ランプ13、及びスピーカー又はこれらの複数である。このような構成によって、報知部203は、種々の警報を報知する。報知部203は、探知制御部220によって制御される。
【0056】
探知制御部220は、CPU、FPGA又はマイコン等のプロセッサ、プログラム及びデータを記憶するストレージ、並びにワークメモリを含み構成されるいわゆるコンピュータである。探知制御部220は、探知部200の各構成について各種の処理を実行する。具体的には、探知制御部220は、電波センサ201、及び光センサ210が速度計測装置の電磁波を受信したか否かを判定する。また、探知制御部220は、測位信号受信部202が出力する自車位置と設置場所が既知の速度計測装置、及び過去に速度計測装置が設置されたことがある位置(以下、総じて登録速度計測装置という。)との距離を判定する。そして、探知制御部220は、判定結果に応じて報知部203を制御し報知部203に各種の情報を報知させる。このような処理を実現するため、本例では、探知制御部220は、レーダ波判定部221、距離判定部222、記憶部223、及びレーザ光判定部224を有している。探知制御部220を構成するこれら各部は、プロセッサによるプログラム処理等によって実現されている。なお、探知制御部220は、ドライブレコーダー制御部120と一体となり1つの制御部として構成されることもできる。
【0057】
レーダ波判定部221は、レーダ波を検知すると報知部203による報知を行う。具体的には、レーダ波判定部221は、電波センサ201の検知信号が探知制御部220に入力されると、割り込み処理を行い、速度遵守を促す情報を報知部203に報知させる。特に、レーダ波判定部221は、レーダ式の速度計測装置の存在及び速度計測装置が照射するレーダ波の受信を報知する情報を報知部203に報知させることが望ましい。
【0058】
記憶部223は、複合機能車載装置1が備えるストレージ又はSDカード等の可搬記憶媒体により構成され、登録速度計測装置の緯度及び経度を記憶している。例えば、記憶部223は、メモリカード110内に構成されるものでも良く、メモリカード110とは別に構成されるものでも良い。
【0059】
距離判定部222は、登録速度計測装置に基づく報知を行う。すなわち、距離判定部222は、測位信号受信部202が出力する自車位置と記憶部223に記憶されている登録速度計測装置との距離を計算する。さらに、距離判定部222は、予め設定されている装置間距離判定用の閾値を有しており、計算結果と装置間距離判定用の閾値とを比較する。距離判定部222は、計算結果が装置間距離判定用の閾値以下であると判定すると、すなわち、自車位置が登録速度計測装置から所定距離内であると判定すると、報知部203を制御して情報を報知させる。特に、距離判定部222は、登録速度計測装置の存在及び種類、並びに登録速度計測装置と自車位置との距離を報知する情報を報知部203に報知させることが望ましい。
【0060】
レーザ光判定部224は、レーザ光を検知すると報知部203による報知を行う。具体的には、レーザ光判定部224は、光センサ210の検知信号が探知制御部220に入力されると、割り込み処理を行い、光センサ210が速度計測装置のレーザ光を受光したか判定する。レーザ光判定部224は、判定条件を有しており、光センサ210が出力する検知信号と判定条件との一致を判定し、その結果としてレーザ光を受光したか判定する。レーザ光判定部224は、光センサ210が出力した検知信号が判定条件と一致すると、報知部203を制御して情報を報知させる。特に、レーザ光判定部224は、レーザ式の速度計測装置の存在及び速度計測装置が照射するレーザ光の受信を報知する情報を報知部203に報知させることが望ましい。
【0061】
図7は、レーザ光判定部224の判定処理の一例を示すフローチャートである。レーザ光判定部224は、状況に応じて判定条件を変化させて、判定処理に伴う遅延を抑制することで、速度計測装置のレーザ光を受信したことを素早く報知させている。
【0062】
図7に示すように、先ずステップS1の処理として、レーザ光判定部224は、光センサ210が出力した検知信号のパルス幅が所定パルス幅A以下であるか否かを判定する。ここで、パルス幅は、例えばクロック周波数に基づいたサンプリングレートで電圧をサンプリングし、Loレベルの電圧がサンプリングされた数、又は当該数を時間に換算して取得される。レーザ光判定部224は、取得したパルス幅と所定パルス幅Aとの大小を比較する。
【0063】
ここで、所定パルス幅Aは、予め設定されている値であり、レーザ光判定部224に予め記憶されている。所定パルス幅Aは、速度計測装置のレーザ光に対して、他の幾つかの既知の光発信源の光を分別する閾値である。所定パルス幅Aは、速度計測装置がレーザ光を一度に発信する発信時間以上の値を有し、また、例えば、Nシステム等の他の光発信源が一度に発信する光の発信時間未満の値を有する。そして、所定パルス幅A以下は、速度計測装置のレーザ光の発信時間を含む範囲である。ただし、所定パルス幅A以下には、速度計測装置と発信時間が似ているため、所定パルス幅Aでは分別できない正体不明又は既知の光発信源の発信時間を含む。
【0064】
レーザ光判定部224は、検知信号のパルス幅が所定パルス幅Aよりも大きいと判定すると、ステップS10の処理に進む。一方、レーザ光判定部224は、検知信号のパルス幅が所定パルス幅A以下であると判定すると、ステップS2の処理に進む。
【0065】
ステップS10の処理として、レーザ光判定部224は、条件成就カウンタを初期値であるゼロに戻して、当該判定処理を終了する。すなわち、レーザ光判定部224は、光センサ210が速度計測装置のレーザ光を受光した可能性は低いため、割り込み処理を終了する。
【0066】
ステップS2の処理として、レーザ光判定部224は、自車両と登録速度計測装置との間の距離が予め設定されている所定距離B以下であるか否かを判定する。自車位置と登録速度計測装置との間の距離は、距離判定部222が測位信号受信部202の割り込みを受けて算出しており、又は定期的に算出しており、レーザ光判定部224は、距離判定部222の算出結果と所定距離Bとの大小を比較する。また、所定距離Bは、予め設定されている値であり、レーザ光判定部224に予め記憶されている。所定距離Bは、指向性の高いレーザ光が車両に届き得る距離である。すなわち、所定距離B内に位置し、かつ光センサ210が所定パルス幅A以下の検知信号を出力していれば、光センサ210が、正体不明な光発信源の光、又は速度計測装置のレーザ光に似た発信時間で光を照射する既知の光発信源の光を受光したのではなく、速度計測装置のレーザ光を受光した可能性がより高まる。
【0067】
レーザ光判定部224は、自車両と登録速度計測装置との間の距離が所定距離B以下と判定すると、ステップS9の処理に進む。
【0068】
ステップS9の処理として、レーザ光判定部224は、報知部203を制御して、レーザ光の受光等の情報を報知させる。その後、レーザ光判定部224は、ステップS10の処理に進む。
【0069】
このように、レーザ光判定部224は、速度計測装置のレーザ光を受ける可能性が高い既知の場所に自車位置が存在するときは、検知信号のパルス幅のみで報知処理を行っている。その結果、探知部200は、1パルスの受光のみという迅速なタイミングで報知を行うことができる。
【0070】
なお、所定パルス幅A以下のパルス幅を有する光を受けてから、所定距離B以下に自車位置が存在するか判定する態様を説明したが、レーザ光判定部224は、距離判定部222が距離を算出する度に、算出結果と所定距離Bとの比較を行っておき、光センサ210が受光し、検知信号が所定パルス幅A以下であれば、直ちに報知処理を行うようにしても良い。この場合、受光後の距離判定が省かれる分、更に迅速なタイミングで報知を行うことができる。
【0071】
一方、レーザ光判定部224は、自車両と登録速度計測装置との間の距離が所定距離Bよりも大きいと判定すると、所定パルス幅Aのみでは高い信頼性が得られないので、ステップS3の処理に進む。レーザ光判定部224は、ステップS3の処理以降で、他の条件を加えた判定条件によって、速度計測装置のレーザ光であるか否かを判定する。すなわち、自車位置が登録速度計測装置から所定距離B以内であるか否かによって、判定条件が変更される。
【0072】
先ずステップS3の処理として、レーザ光判定部224は、条件成就カウンタがゼロであるか否かを判定する。ここで、条件成就カウンタは、変更可能な変数としてレーザ光判定部224に記憶されている。条件成就カウンタは、判定条件を満たす受光の連続回数である。条件成就カウンタがゼロとは、所定パルス幅A以下のパルス幅を有する受光が初回であることを意味する。すなわち、条件成就カウンタがゼロは、速度計測装置のレーザ光の条件を満たす1パルス目を受光したことを意味する。レーザ光判定部224は、条件成就カウンタがゼロであると判定すると、ステップS5の処理に進む。一方、レーザ光判定部224は、条件成就カウンタがゼロでないと判定すると、ステップS4の処理に進む。
【0073】
ステップS5の処理として、レーザ光判定部224は、条件成就カウンタを「1」にする。その後、レーザ光判定部224は、当該判定処理を終了する。
【0074】
ステップS4の処理として、レーザ光判定部224は、検知信号のパルス間隔が所定パルス間隔C以上であるか否かを判定する。ここで、パルス間隔は、前回の検知信号の終端、すなわち、電圧がHiレベルに立ち上がるタイミングから、最新の検知信号の終端までの時間である。パルス間隔は、例えば、クロック周波数に基づいたサンプリングレートで電圧をサンプリングし、Hiレベルの電圧がサンプリングされた数、又は当該数を時間に換算して得る。また、所定パルス間隔Cは、予め設定されている値であり、レーザ光判定部224に予め記憶されている。所定パルス間隔Cは、指向性の高いレーザ光の受光失敗を考慮しても、速度計測装置のレーザ光を受光し得る間隔と比べて長過ぎるため、速度計測装置のレーザ光の条件を満たす1パルス目の受光と見做せる間隔である。レーザ光判定部224は、検知信号のパルス間隔が所定パルス間隔C以上であると判定すると、ステップS5の処理に進む。これにより、レーザ光判定部224は、条件成就カウンタを「1」に設定する。
【0075】
以上のステップS3乃至ステップS5の処理によって、レーザ光判定部224は、条件成就カウンタがゼロであったり、パルス間隔が所定パルス間隔C以上であったりすれば、速度計測装置のレーザ光の可能性がある初回の受光として、条件成就カウンタを「1」に設定している。
【0076】
一方、レーザ光判定部224は、検知信号のパルス間隔が所定パルス間隔C未満であると判定すると、ステップS6の処理に進む。 ステップS6の処理に進む場合は、条件成就カウンタがゼロでなく、且つパルス間隔が所定パルス間隔C以上でないため、速度計測装置のレーザ光の可能性がある初回を受光済みであることを意味する。
【0077】
ステップS6の処理として、レーザ光判定部224は、パルス間隔が所定パルス間隔Dの整数倍であるか否かを判定する。ここで、所定パルス間隔Dの整数倍には、1倍も含まれる。また、所定パルス間隔Dは、予め設定されている値であり、レーザ光判定部224に予め記憶されている。所定パルス間隔Dは、速度計測装置のレーザ光の発信間隔である。ここで、レーザ光が高い指向性を有することに起因して、光センサ210がレーザ光の全てを受けられず、又は車両の前方にトラック等の遮蔽物があったことに起因して光センサ210がレーザ光の全てを受けられないことがある。特に、速度計測装置は、道路上の所定範囲をスキャンしているので、自車両が速度計測装置に対して遠方であると、レーザ光の光路上に自車両の光センサ210が存在するタイミングが少なくなり、光センサ210が受光できないタイミングが発生し易い。
【0078】
光センサ210が受光できないタイミングが合間に存在する場合に、所定パルス間隔Dに一致しないことによってレーザ光でないと判定すると、レーザ光を確実に受光できる位置まで自車が速度計測装置に近づかなければならず、報知が遅れてしまう。しかしながら、レーザ光判定部224は、所定パルス間隔Dの整数倍と比較することによって、受光できないタイミングの存在を考慮し、報知の迅速性を高めている。
【0079】
レーザ光判定部224は、パルス間隔が所定パルス間隔Dの整数倍であると判定すると、ステップS7の処理に進む。一方、レーザ光判定部224は、パルス間隔が所定パルス間隔Dの整数倍でないと判定すると、ステップS10の処理に進む。すなわち、パルス間隔が所定パルス間隔Dの整数倍でなければ、速度計測装置のレーザ光を受光した可能性が低くなるため、レーザ光判定部224は、条件成就カウンタをゼロに初期化して、判定処理を終了する。
【0080】
ステップS7の処理として、レーザ光判定部224は、条件成就カウンタを1増加させる。増加された条件成就カウンタは、速度計測装置のレーザ光の可能性が高い受光を連続して受けた回数を示す。
【0081】
続くステップS8の処理として、レーザ光判定部224は、条件成就カウンタが閾値Nに到達しているか否かを判定する。閾値Nは、予め設定されている値であり、レーザ光判定部224に予め記憶されている。レーザ光判定部224は、条件成就カウンタと閾値Nの大小を比較する。レーザ光判定部224は、条件成就カウンタが閾値Nに到達していると判定すると、ステップS9の処理に進む。レーザ光判定部224は、ステップS9の処理として、報知処理を行い、続くステップS10の処理として、条件成就カウンタを初期値であるゼロに戻して、当該判定処理を終了する。一方、レーザ光判定部224は、条件成就カウンタが閾値Nに到達していないと判定すると、条件成就カウンタの値をそのままにして当該判定処理を終了する。
【0082】
図8は、
図7のレーザ光判定部224の判定処理に基づく作用を示す模式図である。条件成就カウンタの閾値Nは3であるものとする。このとき、第1回目の受光において、パルス幅が所定パルス幅A以下であり、また、自車位置が登録速度計測装置との所定距離B以内にいるときには、第1回目の受光で素早く報知を行う。
【0083】
自車位置が登録速度計測装置との所定距離B以内にいないときは、第2回目の受光が、所定パルス幅A以下であり、また所定パルス間隔Dの1倍であるので、レーザ光判定部224は、条件成就カウンタを2にする。第3回目の受光は失敗していても、第4回目の受光が、所定パルス幅A以下であり、また第2回目の受光を基準にパルス間隔が所定パルス間隔Dの2倍であるので、第4回目の受光で条件成就カウンタを3にできる。そして、条件成就カウンタが3に到達したので、報知を行う。
【0084】
なお、光学フィルタ211は斜めの光を透過させ易いために、受光失敗の可能性は抑制されている。従って、所定パルス間隔Dの整数倍と比較することは、この光学フィルタ211と相俟って、指向性が高いレーザ光であっても、より素早く報知できる可能性を高めている。
【0085】
ここで、条件成就カウンタは2以上であればよく、条件成就カウンタが2であれば、第2回目の受光で報知することができる。高い信頼性を担保するために、条件成就カウンタを2にする場合には、第2回目の受光に対して判定可能な更に他のAND条件を付加するようにしても良い。
【0086】
また、第2回目の受光以降も所定パルス幅A以下の条件のみを判定するようにしても良い。ただし、パルス間隔というパルス幅とは異なる観点を条件に含めることで、パルス幅が似通った他の光発信源によって誤報となってしまう虞をより低減できる。
【0087】
このように、レーザ光判定部224は、自車位置が登録速度計測装置から所定距離B内でなければ、判定条件を変更して、所定パルス幅A以下の検知信号が所定パルス間隔Dの整数倍の間隔で連続してN回得られることで、速度計測装置のレーザ光であるとの高い信頼性を得て、報知処理を行っている。また、レーザ光判定部224は、所定パルス間隔Dの整数倍と光センサ210が出力する検知信号のパルス間隔とを比較することで、確実に受光可能な距離まで速度計測装置に近づかずとも、また遮蔽物が一時的に存在しようとも、速度計測装置からのレーザ光の受光を報知している。
【0088】
次に、協調制御部300について説明する。
【0089】
協調制御部300は、ドライブレコーダー部100と探知部200とを協調動作させる協調制御を行う。協調制御部300は、CPU、FPGA又はマイコン等のプロセッサ、プログラム及びデータを記憶するストレージ、並びにワークメモリを含み構成されるいわゆるコンピュータである。協調制御部300は、ドライブレコーダー部100や探知部200とは別に構成されることもでき、ドライブレコーダー部100のドライブレコーダー制御部120、及び探知部200の探知制御部220と一体化されて1つの制御部として構成されることもできる。
【0090】
図9は、協調制御部300の構成例を示すブロック図である。
【0091】
図9に示すように、協調制御部300は、第1乃至第4協調処理部301,302,303,304を有している。ここで、第1協調処理部301は、ドライブレコーダー部100によるADASの処理に対して探知部200の処理やイベント録画を優先させる第1協調処理を実行する。第2協調処理部302は、レーダ波又はレーザ光(電磁波)を検知すると、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知を行うとともに、イベント録画を行う第2協調処理を実行する。第3協調処理部303は、登録速度計測装置に基づく報知要件を満たすと、登録速度計測装置に基づく報知を行うとともに、イベント録画を行う第3協調処理を実行する。第4協調処理部304は、ADASによる報知要件を満たすと、ADASに基づく報知を行うとともに、イベント録画を行う第4協調処理を実行する。以下に、第1乃至第4協調処理の具体例を説明する。
【0092】
図10は、第1協調処理部301による第1協調処理の一例を示す前半のフローチャートである。
図11は、第1協調処理部301による第1協調処理の一例を示す後半のフローチャートである。
【0093】
図10に示すように、先ずステップS21の処理として、第1協調処理部301は、ADASによる報知要件を満たすか否かを判定する。すなわち、第1協調処理部301は、安全運転支援部125が車間距離報知機能による前述の車間距離判定要件を満たすと判定するか、前述の離反判定要件を満たすと判定するか、又は車線逸脱判定要件を満たすと判定すると、ADASによる報知要件を満たすと判定する。第1協調処理部301は、ADASによる報知要件を満たすと判定すると、割り込み処理によって、ステップS22の処理以降を実行する。一方、第1協調処理部301は、ADASによる報知要件を満たさないと判定すると、
図11に示すステップS41の処理に進む。
【0094】
ステップS22の処理として、第1協調処理部301は、レーダ波又はレーザ光を検知したか否かを判定する。すなわち、第1協調処理部301は、探知部200のレーダ波判定部221によりレーダ波を検知したか、又は探知部200のレーザ光判定部224によりレーザ光を検知したか否かを判定する。すなわち、第1協調処理部301は、レーダ波判定部221の処理結果及びレーザ光判定部224の処理結果(
図9の判定処理の結果)を基に、レーダ波やレーザ光を検知したか否かを判定する。第1協調処理部301は、レーダ波又はレーザ光を検知していないと判定すると、ステップS23の処理に進む。一方、第1協調処理部301は、レーダ波又はレーザ光を検知したと判定すると、ステップS24の処理に進む。
【0095】
ステップS24の処理として、第1協調処理部301は、ADASに基づく報知を行わない。すなわち、第1協調処理部301は、ドライブレコーダー制御部120を制御し安全運転支援部125の処理を無効にして、ADASに基づく報知を行わないようにする。その後、第1協調処理部301は、
図11に示すステップS42の処理に進む。
【0096】
ステップS23の処理として、第1協調処理部301は、イベント録画処理中か否かを判定する。すなわち、第1協調処理部301は、イベント録画部122によるイベント録画が開始されたか、又はイベント録画中か否かを判定する。第1協調処理部301は、イベント録画処理中でないと判定すると、ステップS25の処理に進む。一方、第1協調処理部301は、イベント録画処理中であると判定すると、ステップS26の処理に進む。
【0097】
ステップS25の処理として、第1協調処理部301は、ADASに基づく報知を行う。すなわち、第1協調処理部301は、ドライブレコーダー制御部120を制御し安全運転支援部125の処理を有効にして、ADASに基づく報知を行う。そして、第1協調処理部301は、当該第1協調処理を終了する。
【0098】
一方、ステップS26の処理として、第1協調処理部301は、ADASに基づく報知を行わない。すなわち、第1協調処理部301は、ステップS24の処理と同様に、ドライブレコーダー制御部120を制御し安全運転支援部125の処理を無効にして、ADASに基づく報知を行わないようにする。そして、第1協調処理部301は、当該第1協調処理を終了する。
【0099】
一方、
図11に示すように、ステップS41の処理として、第1協調処理部301は、レーダ波又はレーザ光を検知したか否かを判定する。この判定処理は、ステップS22の判定処理と同じである。第2協調処理部302は、レーダ波又はレーザ光を検知したと判定すると、割り込み処理によって、ステップS42の処理以降を実行する。一方、第1協調処理部301は、レーダ波又はレーザ光を検知していないと判定すると、当該第1協調処理を終了する。
【0100】
ステップS42の処理として、第1協調処理部301は、イベント録画処理中か否かを判定する。この判定処理は、ステップS23の判定処理と同じである。第1協調処理部301は、イベント録画処理中でないと判定すると、ステップS43の処理に進む。一方、第1協調処理部301は、イベント録画処理中であると判定すると、ステップS44の処理に進む。
【0101】
ステップS43の処理として、第1協調処理部301は、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知を行う。すなわち、第1協調処理部301は、ステップS22やステップS41の処理でレーダ波を検知したと判定していれば、探知制御部220を制御しレーダ波判定部221の処理を有効にして、レーダ波の検知に基づく報知を行う。また、第1協調処理部301は、ステップS22やステップS41の処理でレーザ光を検知したと判定していれば、探知制御部220を制御しレーザ光判定部224の処理を有効にして、レーザ光の検知に基づく報知を行う。
【0102】
一方、ステップS44の処理として、第1協調処理部301は、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知を行わない。すなわち、第1協調処理部301は、ステップS22やステップS41の処理でレーダ波を検知したと判定していれば、探知制御部220を制御しレーダ波判定部221の処理を無効にして、レーダ波の検知に基づく報知を行わないようにする。また、第1協調処理部301は、ステップS22やステップS41の処理でレーザ光を検知したと判定していれば、探知制御部220を制御しレーザ光判定部224の処理を無効にして、レーザ光の検知に基づく報知を行わないようにする。
【0103】
以上のようにして、第1協調処理部301は、ADASによる報知要件を満たし、レーダ波又はレーザ光を検知していなく、かつイベント録画処理中でないと判定すると、ADASに基づく報知を行う。一方、第1協調処理部301は、ADASによる報知要件を満たすが、レーダ波又はレーザ光を検知している、又はイベント録画処理中であると判定すると、安全運転支援部125の処理を無効にしてADASに基づく報知を行わないようにする。すなわち、第1協調処理部301は、ADASに基づく報知よりも、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知やイベント録画処理を優先させる。
【0104】
さらに、第1協調処理部301は、ADASによる報知要件を満たさない場合において、レーダ波又はレーザ光を検知し、かつイベント録画処理中であると判定すると、レーダ波判定部221やレーザ光判定部224の処理を無効にして当該レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知を行わないようにする。すなわち、第1協調処理部301は、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知よりも、イベント録画処理を優先させる。
【0105】
図12は、第2協調処理部302による第2協調処理の一例を示すフローチャートである。
【0106】
図12に示すように、先ずステップS61の処理として、第2協調処理部302は、レーダ波又はレーザ光を検知したか否かを判定する。この判定処理は、ステップS22の判定処理と同じである。第2協調処理部302は、レーダ波又はレーザ光を検知したと判定すると、割り込み処理によって、ステップS62の処理以降を実行する。
【0107】
ステップS62の処理として、第2協調処理部302は、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知を行う。この処理は、ステップS43の処理と同じである。
【0108】
続くステップS63の処理として、第2協調処理部302は、ドライブレコーダー制御部120を制御しイベント録画部122によりイベント録画処理を実行させてイベント録画を行う。
【0109】
以上のようにして、第2協調処理部302は、レーダ波又はレーザ光を検知したと判定すると、当該レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知を行うとともに、イベント録画をするイベントが発生していない状況(イベント録画処理の実行要件を満たしていない場合)でも強制的にイベント録画を行う。
【0110】
なお、第2協調処理よりも第1協調処理を優先させることが好ましい。これにより、レーダ波又はレーザ光を検知した場合でも、イベント録画処理中であれば、第1協調処理によって、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知が行われることなく、イベント録画処理が実行され、イベント録画処理中でなければ、第2協調処理によって、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知が行われるとともに、イベント録画が行われる。
【0111】
図13は、第3協調処理部303による第3協調処理の一例を示すフローチャートである。
【0112】
図13に示すように、先ずステップS81の処理として、第3協調処理部303は、登録速度計測装置に基づく報知要件を満たすか否かを判定する。すなわち、第3協調処理部303は、距離判定部222が自車位置と記憶部223に記憶されている登録速度計測装置との距離が装置間距離判定用の閾値以下と判定しているか否かを判定する。第3協調処理部303は、距離判定部222が当該距離が装置間距離判定用の閾値以下と判定していると、登録速度計測装置に基づく報知要件を満たすと判定する。第3協調処理部303は、登録速度計測装置に基づく報知要件を満たすと判定すると、割り込み処理によって、ステップS82の処理以降を実行する。
【0113】
ステップS82の処理として、第3協調処理部303は、登録速度計測装置に基づく報知を行う。すなわち、第3協調処理部303は、探知制御部220を制御し距離判定部222の処理を有効にして、当該距離判定部222による報知を行う。
【0114】
続くステップS83の処理として、第3協調処理部303は、ドライブレコーダー制御部120を制御しイベント録画部122によりイベント録画処理を実行させてイベント録画を行う。
【0115】
以上のようにして、第3協調処理部303は、登録速度計測装置に基づく報知要件を満たすと判定すると、登録速度計測装置に基づく報知を行うとともに、イベント録画をするイベントが発生していない状況(イベント録画処理の実行要件を満たしていない場合)でも強制的にイベント録画を行う。
【0116】
図14は、第4協調処理部304による第4協調処理の一例を示すフローチャートである。
【0117】
図14に示すように、先ずステップS101の処理として、第4協調処理部304は、ADASによる報知要件を満たすか否かを判定する。この判定処理は、ステップS21の処理と同じである。第4協調処理部304は、ADASによる報知要件を満たすと判定すると、割り込み処理によって、ステップS102の処理以降を実行する。
【0118】
ステップS102の処理として、第4協調処理部304は、ADASに基づく報知を行う。この処理は、ステップS25の処理と同じである。
【0119】
続くステップS103の処理として、第4協調処理部304は、ドライブレコーダー制御部120を制御しイベント録画部122によりイベント録画処理を実行させてイベント録画を行う。
【0120】
以上のようにして、第4協調処理部304は、ADASによる報知要件を満たすと判定すると、ADASに基づく報知を行うとともに、イベント録画をするイベントが発生していない状況(イベント録画処理の実行要件を満たしていない場合)でも強制的にイベント録画を行う。
【0121】
(動作、作用等)
複合機能車載装置1における動作、及びその作用等の一例について説明する。
【0122】
複合機能車載装置1では、ドライブレコーダー部100が、ドライブレコーダーの機能として、状況に応じて本体カメラ16やサブカメラ21からの映像を録画する。また、探知部200も、探知機の機能として、状況に応じて報知を行う。
【0123】
そして、複合機能車載装置1では、第1協調処理部301による第1協調処理によって、探知部200が報知を行っていなく、かつイベント録画処理中でなければ、ドライブレコーダー部100がADASに基づく報知を行うが、探知部200が報知を行っていたり、イベント録画処理中であったりすれば、ドライブレコーダー部100がADASに基づく報知を行わないようにする。これより、ドライブレコーダー部100がADASに基づく報知を行っている最中でも、探知部200による報知が開始されたり、イベント録画処理が開始されていたりすれば、ADASに基づく報知を中止する。又は、探知部200が報知を既に開始している状況だったり、イベント録画処理が既に開始されていたりする状況では、ドライブレコーダー部100はADASに基づく報知を行わない。
【0124】
また、ドライブレコーダー部100は、前述のようにADASに基づく報知を中止した場合でも、探知部200による報知がなされていなく、かつ、イベント録画処理もなされていない状態になれば、ADASによる報知要件を満たしている限り、ADASに基づく報知を開始又は再開する。
【0125】
また、複合機能車載装置1では、第1協調処理部301による第1協調処理によって、ドライブレコーダー部100においてイベント録画処理中でなければ、探知部200が、状況に応じて報知を行うが、イベント録画処理中であれば、イベント録画処理を優先させて、探知部200による報知を行わないようにする。これより、探知部200は、報知を行っている最中でも、イベント録画処理が開始されれば、報知を中止し、又は、イベント録画処理が既に開始されている状況では、報知を開始しない。
【0126】
また、探知部200は、前述のように報知を中止した場合でも、イベント録画処理がなされていない状態になれば、レーダ波又はレーザ光を検知している限り、報知を開始又は再開する。
【0127】
また、複合機能車載装置1では、第2協調処理部302による第2協調処理によって、レーダ波又はレーザ光を検知したと判定すると、探知部200が、当該レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知を行うとともに、ドライブレコーダー部100が、強制的にイベント録画を行う。
【0128】
また、複合機能車載装置1では、第3協調処理部303による第3協調処理によって、登録速度計測装置に基づく報知要件を満たすと判定すると、探知部200が、登録速度計測装置に基づく報知を行うとともに、ドライブレコーダー部100が、強制的にイベント録画を行う。
【0129】
また、複合機能車載装置1では、第4協調処理部304による第4協調処理によって、ADASによる報知要件を満たすと判定すると、ドライブレコーダー部100が、ADASに基づく報知を行うとともに、強制的にイベント録画を行う。
【0130】
(本実施形態における効果)
(1)複合機能車載装置1は、第1協調処理によって、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知よりも、イベント録画を優先させることができる。これにより、例えば、イベント録画の映像にレーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知音が入ってしまい、イベント録画の映像中の報知音以外の重要な音声に対してノイズになってしまうのを防止できる。このように、複合機能車載装置1は、運転者等に対してより役立つよう動作する。
【0131】
(2)複合機能車載装置1は、第1協調処理によって、ADASに基づく報知よりも、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知やイベント録画を優先させることができる。これにより、例えば、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知とADASに基づく報知とが被ってしまい、運転者が、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知に気づくのが遅くなってしまうといったことを防止できる。また、イベント録画の映像にADASに基づく報知音が入ってしまい、イベント録画の映像中の報知音以外の重要な音声に対してノイズになってしまうのを防止できる。このように、複合機能車載装置1は、運転者等に対してより役立つよう動作する。
【0132】
(3)複合機能車載装置1は、第1協調処理によって、イベント録画、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知、及びADASに基づく報知を、これらの優先順位で行うことができる。
【0133】
(4)複合機能車載装置1は、第2及び第3協調処理によって、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知や登録速度計測装置に基づく報知を行うとともに、イベント録画を行うことができる。これにより、例えば、複合機能車載装置1は、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知や登録速度計測装置に基づく報知がされた際の映像をイベント録画によって録画しておくことができる。このように、複合機能車載装置1は、運転者等に対してより役立つよう動作する。
【0134】
(5)複合機能車載装置1は、第4協調処理によって、ADASに基づく報知を行うとともに、イベント録画を行うことができる。これにより、例えば、複合機能車載装置1は、ADASに基づく報知がされた際の映像をイベント録画として録画しておくことができる。このように、複合機能車載装置1は、運転者等に対してより役立つよう動作する。
【0135】
なお、前記の実施形態では、電波センサ201は、例えば、受信手段を構成している。また、光センサ210は、例えば、受光手段を構成している。また、本体カメラ16は、例えば、第1撮影手段を構成している。また、サブカメラ21は、例えば、第2撮影手段を構成している。また、イベント録画部122は、例えば、録画手段を構成している。また、レーダ波判定部221、距離判定部222、レーザ光判定部224は、例えば、車両の速度測定装置への接近警報を報知する警報手段を構成している。また、安全運転支援部125は、例えば、車両が運転者の意図しない走行状況又は停止状況(走行状態、停止状態、走行環境等も含む)になっていることを報知する警報手段を構成している。また、イベント録画処理が実行されるための要件は、例えば、予め設定された録画要件を構成している。また、レーダ波判定部221、距離判定部222、レーザ光判定部224が報知を行うための要件は、例えば、予め設定された警報要件を構成している。
【0136】
(変形例等)
前記の実施形態の他の例として、複合機能車載装置1は、本体カメラ16及びサブカメラ21を有するドライブレコーダー部100と、電波センサ201を備えて機能するレーダ波判定部221及び光センサ210を備えて機能するレーザ光判定部224の何れかを有する探知部200とを有して構成されることもできる。この場合、複合機能車載装置1は、本体カメラ16と、サブカメラ21と、電波センサ201又は光センサ210との組み合わせにより、運転者等に応じた画像提供ができたり、報知ができたりする等、運転者等に対してより役立つ動作をすることができる。
【0137】
また、前記の実施形態の他の例として、探知部200は、レーダ波判定部221やレーザ光判定部224に限らず、道路交通に関する情報収集又は測定を行う装置、当該装置の設置場所、及び道路にて潜在的に危険が潜む場所又は区域の少なくとも何れかを有して構成されることもできる。この場合、探知部200は、予め設定された警報要件を満たすと、道路交通に関する情報収集又は測定を行う装置、当該装置の設置場所、及び道路にて潜在的に危険が潜む場所又は区域の少なくとも何れかへの接近警報を報知する。
【0138】
また、前記の実施形態の他の例として、複合機能車載装置1は、第1乃至第4協調処理部301~304の少なくとも何れかを有することもできる。これにより、複合機能車載装置1は、ADASによる報知要件を判定することなく、レーダ波又はレーザ光の検知の有無とイベント録画処理中の有無の関係だけで、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知とイベント録画との優先順位を決めることができる。
【0139】
また、前記の実施形態の他の例として、複合機能車載装置1は、第1協調処理として、
図11に示す後半の処理だけを実行することもできる。
【0140】
また、前記の実施形態の他の例として、第1協調処理では、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく処理に代えて登録速度計測装置に基づく処理を適用することもできる。これにより、例えば、第1協調処理部301は、ADASによる報知要件を満たし、登録速度計測装置に基づく報知要件を満たしていなく、かつイベント録画処理中でないと判定すると、ADASに基づく報知を行う。一方、第1協調処理部301は、ADASによる報知要件を満たすが、登録速度計測装置に基づく報知要件を満たしている、又はイベント録画処理中であると判定すると、安全運転支援部125の処理を無効にしてADASに基づく報知を行わないようにする。すなわち、第1協調処理部301は、ADASに基づく報知よりも、登録速度計測装置に基づく報知やイベント録画処理を優先させる。さらに、第1協調処理部301は、ADASによる報知要件を満たさない場合において、登録速度計測装置に基づく報知要件を満たし、かつイベント録画処理中であると判定すると、距離判定部222の処理を無効にして登録速度計測装置に基づく報知を行わないようにする。すなわち、第1協調処理部301は、登録速度計測装置に基づく報知よりも、イベント録画処理を優先させる。
【0141】
また、前記の実施形態の他の例として、第1協調処理では、レーダ波又はレーザ光の検知とイベント録画処理中の何れかがなされている場合に、ADASに基づく報知を行わないようにしているが、当然であるが、レーダ波又はレーザ光の検知とイベント録画処理中との両方がなされている場合でも、ADASに基づく報知を行わないようにすることもできる。
【0142】
また、前記の実施形態の他の例として、第1協調処理では、ADASに基づく処理に代えてBCWSに基づく処理を適用することもできる。
【0143】
また、前記の実施形態の他の例として、登録速度計測装置に基づく報知よりもレーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知を優先されることができる。これにより、例えば、登録速度計測装置に基づく報知とよりもレーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知とを同時に行わなければならない状況下で、レーダ波又はレーザ光の検知に基づく報知だけを行うことができる。
【0144】
また、前記の実施形態の他の例として、レーダ波の検知に基づく報知よりもレーザ光の検知に基づく報知を優先されることができる。これにより、レーダ波の検知に基づく報知要件とレーザ光の検知に基づく報知要件とが同時に満たされる状況下で、レーザ光の検知に基づく報知だけを行うことができる。
【0145】
また、前記の実施形態の他の例として、第1協調処理では、イベント録画処理を優先させているが、イベント録画処理以外の他の録画処理に適用し、当該他の録画処理を優先させることもできる。
【0146】
また、前記の実施形態の他の例として、第2乃至第4協調処理では、イベント録画処理を実行しているが、既存のイベント録画処理ではなく、当該協調処理専用の新たな録画処理によって録画処理を実行することもできる。
【0147】
また、前記の実施形態の他の例として、レーザ光判定部224は、
図7及び
図8に示すレーザ光の判定処理を実行しているが、この判定処理以外の他のロジックによる判定処理を実行することもできる。
【0148】
また、本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0149】
1 複合機能車載装置1、16 本体カメラ、21 サブカメラ、100 ドライブレコーダー部、120 ドライブレコーダー制御部、122 イベント録画部、125 安全運転支援部、200 探知部、220 探知制御部、221 レーダ波判定部、222 距離判定部、224 レーザ光判定部、300 協調制御部、301,302,303,304 協調処理部