(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012197
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】紙製トレイ及び紙製トレイの展開体
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20240118BHJP
B65D 5/20 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B65D5/42 F
B65D5/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116693
(22)【出願日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2022113789
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)ザ・パック株式会社は、令和5年2月10日に株式会社赤福に、竹之内一浩が発明した紙製トレイ及び紙製トレイの展開体を納品した。 (2)ザ・パック株式会社は、令和5年2月27日に株式会社ユーハイムに、竹之内一浩が発明した紙製トレイ及び紙製トレイの展開体を納品した。 (3)株式会社赤福は、令和5年2月15日にジェイアール京都伊勢丹店において、竹之内一浩が発明した紙製トレイ及び紙製トレイの展開体を含む菓子を販売した。 (4)株式会社大丸松坂屋百貨店は、令和5年3月1日に大丸松坂屋オンラインストアにおいて、竹之内一浩が発明した紙製トレイ及び紙製トレイの展開体を含む菓子を販売した。 (5)株式会社三越伊勢丹ホールディングスは、令和5年3月1日に三越伊勢丹カタログギフトにおいて、竹之内一浩が発明した紙製トレイ及び紙製トレイの展開体を含む菓子を販売した。
(71)【出願人】
【識別番号】000106715
【氏名又は名称】ザ・パック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 雅也
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 一浩
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AB12
3E060BC02
3E060BC04
3E060DA26
3E060DA30
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】プラスチックごみの削減に貢献することができる紙製トレイ及び紙製トレイの展開体を提供する。
【解決手段】1枚の平たい厚紙又は段ボールを折り曲げることによって形成される紙製トレイ1であって、底壁10と、第1方向D1に延びる折り線Fに沿って底壁10から折り曲げられて底壁10から立ち上がる側壁20と、を備える。底壁10は、第1方向D1に直交する第2方向D2に折り線Fを越えて外側に突出する第1突出片13を備え、側壁20は、第1方向D1に直交する第3方向D3に折り線Fを越えて外側に突出して第1突出片13に係合する第2突出片24を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の平たい厚紙又は段ボールを折り曲げることによって形成される紙製トレイであって、
底壁と、
第1方向に延びる折り線に沿って前記底壁から折り曲げられて前記底壁から立ち上がる側壁と、を備え、
前記底壁は、前記第1方向に直交する第2方向に前記折り線を越えて外側に突出する第1突出片を備え、
前記側壁は、前記第1方向に直交する第3方向に前記折り線を越えて外側に突出して前記第1突出片に係合する第2突出片を備える、紙製トレイ。
【請求項2】
前記第1突出片は、前記第1方向の一方の向きに突出する突部を備え、
前記第2突出片は、前記第1方向の他方の向きに突出する突部を備え、
前記第1突出片の突部は前記第2突出片の突部に係合する、請求項1に記載の紙製トレイ。
【請求項3】
前記第1突出片は、前記第1方向に互いに対向する第1側縁であって、前記第1方向に規定される幅を、前記第2方向において外側に向かうにつれて減少させる領域を規定する第1側縁を規定し、
前記第2突出片は、前記第1方向に互いに背向する第2側縁であって、前記第1方向に規定される幅を、前記第3方向において外側に向かうにつれて増大させる領域を規定する第2側縁を規定し、
前記第1突出片及び前記第2突出片の係合は前記第1突出片の前記第1側縁及び前記第2突出片の前記第2側縁の係合によって実現される、又は、
前記第1突出片は、前記第1方向に互いに背向する第1側縁であって、前記第1方向に規定される幅を、前記第3方向において外側に向かうにつれて増大させる領域を規定する第1側縁を規定し、
前記第2突出片は、前記第1方向に互いに対向する第2側縁であって、前記第1方向に規定される幅を、前記第2方向において外側に向かうにつれて減少させる領域を規定する第2側縁を規定し、
前記第1突出片及び前記第2突出片の係合は前記第1突出片の前記第1側縁及び前記第2突出片の前記第2側縁の係合によって実現される、請求項1に記載の紙製トレイ。
【請求項4】
前記第1突出片が前記第2方向において外側に向かうにつれて前記幅を減少させ、前記第2突出片が前記第3方向において外側に向かうにつれて前記幅を増大させる場合、前記側壁は、前記第2突出片に対して前記第1方向に配列されて、前記第3方向に前記折り線を越えて外側に突出して前記第1突出片に係合する第3突出片をさらに備える、又は、
前記第1突出片が前記第3方向において外側に向かうにつれて前記幅を増大させ、前記第2突出片が前記第2方向において外側に向かうにつれて前記幅を減少させる場合、前記底壁は、前記第1突出片に対して前記第1方向に配列されて、前記第2方向に前記折り線を越えて外側に突出して前記第2突出片に係合する第3突出片をさらに備える、請求項3に記載の紙製トレイ。
【請求項5】
前記側壁は、
前記折り線に沿って前記底壁から折り曲げられる内板と、
前記内板の上縁の第2折り線で折り曲げられて前記内板に重ね合わせられ、その下縁に前記第2突出片を規定する外板と、を備え、
前記第1突出片及び前記第2突出片の係合は前記第1突出片の外縁と前記第2突出片の内面との係合によって実現される、請求項1に記載の紙製トレイ。
【請求項6】
1枚の平たい厚紙又は段ボールを折り曲げることによって形成される紙製トレイの展開体であって、
底壁と、
第1方向に延びる折り線に沿って前記底壁に隣接する側壁と、を備え、
前記底壁は、前記折り線に沿って形成された切れ目によって形成され、前記第1方向に直交する第2方向の一方の向きに前記折り線を越えて前記側壁内に突出する第1突出片を備え、
前記側壁は、前記切れ目によって形成され、前記第2方向の他方の向きに前記折り線を越えて前記底壁内に突出する第2突出片を備え、
前記側壁が前記折り線に沿って前記底壁に対して折り曲げられて前記底壁から立ち上がる時、前記第1突出片が前記第2突出片に係合する、紙製トレイの展開体。
【請求項7】
1枚の平たい厚紙又は段ボールを折り曲げることによって形成される紙製トレイの展開体であって、
底壁と、
第1方向に延びる第1折り線に沿って前記底壁に隣接する内板と、
前記第1方向に延びる第2折り線で折り曲げられて前記内板の外面に重ね合わせられる外板と、を備え、
前記底壁は、前記第1折り線に沿って形成された切れ目によって形成され、前記第1方向に直交する第2方向に前記第1折り線を越えて前記内板内に突出する第1突出片を備え、
前記外板は、前記第2方向に前記第1折り線を越えて前記底壁内に突出する第2突出片を備え、
前記内板が前記第1折り線に沿って折り曲げられて前記底壁から立ち上がる時、前記第1突出片が前記第2突出片に係合する、紙製トレイの展開体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙製トレイ及び紙製トレイの展開体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、プラスチックシートから成形されたプラスチックトレイが従来知られている。例えば菓子等の物体がこのプラスチックトレイに配置され、物体を収容したプラスチックトレイがさらに、例えば紙箱やプラスチック袋等の個包装に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のプラスチックごみの増大によって海洋汚染が拡大している。この問題に対処するため、上述したプラスチックトレイ等のプラスチックごみを削減していくことが求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、プラスチックごみの削減に貢献することができる紙製トレイ及び紙製トレイの展開体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る紙製トレイは、1枚の平たい厚紙又は段ボールを折り曲げることによって形成される紙製トレイであって、
底壁と、
第1方向に延びる折り線に沿って前記底壁から折り曲げられて前記底壁から立ち上がる側壁と、を備え、
前記底壁は、前記第1方向に直交する第2方向に前記折り線を越えて外側に突出する第1突出片を備え、
前記側壁は、前記第1方向に直交する第3方向に前記折り線を越えて外側に突出して前記第1突出片に係合する第2突出片を備える。
【0007】
本発明に係る紙製トレイの一態様では、
前記第1突出片は、前記第1方向の一方の向きに突出する突部を備え、
前記第2突出片は、前記第1方向の他方の向きに突出する突部を備え、
前記第1突出片の突部は前記第2突出片の突部に係合する。
【0008】
本発明に係る紙製トレイの一態様では、
前記第1突出片は、前記第1方向に互いに対向する第1側縁であって、前記第1方向に規定される幅を、前記第2方向において外側に向かうにつれて減少させる領域を規定する第1側縁を規定し、
前記第2突出片は、前記第1方向に互いに背向する第2側縁であって、前記第1方向に規定される幅を、前記第3方向において外側に向かうにつれて増大させる領域を規定する第2側縁を規定し、
前記第1突出片及び前記第2突出片の係合は前記第1突出片の前記第1側縁及び前記第2突出片の前記第2側縁の係合によって実現される、又は、
前記第1突出片は、前記第1方向に互いに背向する第1側縁であって、前記第1方向に規定される幅を、前記第3方向において外側に向かうにつれて増大させる領域を規定する第1側縁を規定し、
前記第2突出片は、前記第1方向に互いに対向する第2側縁であって、前記第1方向に規定される幅を、前記第2方向において外側に向かうにつれて減少させる領域を規定する第2側縁を規定し、
前記第1突出片及び前記第2突出片の係合は前記第1突出片の前記第1側縁及び前記第2突出片の前記第2側縁の係合によって実現される。
【0009】
本発明に係る紙製トレイの一態様では、
前記第1突出片が前記第2方向において外側に向かうにつれて前記幅を減少させ、前記第2突出片が前記第3方向において外側に向かうにつれて前記幅を増大させる場合、前記側壁は、前記第2突出片に対して前記第1方向に配列されて、前記第3方向に前記折り線を越えて外側に突出して前記第1突出片に係合する第3突出片をさらに備える、又は、
前記第1突出片が前記第3方向において外側に向かうにつれて前記幅を増大させ、前記第2突出片が前記第2方向において外側に向かうにつれて前記幅を減少させる場合、前記底壁は、前記第1突出片に対して前記第1方向に配列されて、前記第2方向に前記折り線を越えて外側に突出して前記第2突出片に係合する第3突出片をさらに備える。
【0010】
本発明に係る紙製トレイの一態様では、
前記側壁は、
前記折り線に沿って前記底壁から折り曲げられる内板と、
前記内板の上縁の第2折り線で折り曲げられて前記内板に重ね合わせられ、その下縁に前記第2突出片を規定する外板と、を備え、
前記第1突出片及び前記第2突出片の係合は前記第1突出片の外縁と前記第2突出片の内面との係合によって実現される。
【0011】
本発明に係る紙製トレイの展開体は、
1枚の平たい厚紙又は段ボールを折り曲げることによって形成される紙製トレイの展開体であって、
底壁と、
第1方向に延びる折り線に沿って前記底壁に隣接する側壁と、を備え、
前記底壁は、前記折り線に沿って形成された切れ目によって形成され、前記第1方向に直交する第2方向の一方の向きに前記折り線を越えて前記側壁内に突出する第1突出片を備え、
前記側壁は、前記切れ目によって形成され、前記第2方向の他方の向きに前記折り線を越えて前記底壁内に突出する第2突出片を備え、
前記側壁が前記折り線に沿って前記底壁に対して折り曲げられて前記底壁から立ち上がる時、前記第1突出片が前記第2突出片に係合する。
【0012】
本発明に係る紙製トレイの展開体は、
1枚の平たい厚紙又は段ボールを折り曲げることによって形成される紙製トレイの展開体であって、
底壁と、
第1方向に延びる第1折り線に沿って前記底壁に隣接する内板と、
前記第1方向に延びる第2折り線で折り曲げられて前記内板の外面に重ね合わせられる外板と、を備え、
前記底壁は、前記第1折り線に沿って形成された切れ目によって形成され、前記第1方向に直交する第2方向に前記第1折り線を越えて前記内板内に突出する第1突出片を備え、
前記外板は、前記第2方向に前記第1折り線を越えて前記底壁内に突出する第2突出片を備え、
前記内板が前記第1折り線に沿って折り曲げられて前記底壁から立ち上がる時、前記第1突出片が前記第2突出片に係合する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プラスチックごみの削減に貢献することができる紙製トレイ及び紙製トレイの展開体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の構造を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の底面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の正面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の左側面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の折り線F付近の拡大底面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の折り線F付近の拡大正面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の折り線F付近の拡大斜視図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1を展開した展開体40の平面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1を使用した商品41の斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの構造を概略的に示す斜視図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの平面図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの底面図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの正面図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの左側面図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの折り線F付近の拡大底面図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの折り線F付近の拡大正面図である。
【
図18】本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aを展開した展開体40Aの平面図である。
【
図19】本発明の第3実施形態に係る紙製トレイ1Bの構造を概略的に示す斜視図である。
【
図20】本発明の第3実施形態に係る紙製トレイ1Bの平面図である。
【
図21】本発明の第3実施形態に係る紙製トレイ1Bの底面図である。
【
図22】本発明の第3実施形態に係る紙製トレイ1Bの正面図である。
【
図23】本発明の第3実施形態に係る紙製トレイ1Bの左側面図である。
【
図24】本発明の第3実施形態に係る紙製トレイ1Bを展開した展開体40Bの平面図である。
【
図25】本発明の第3実施形態に係る紙製トレイ1Bを展開した展開体40Bの底面図である。
【
図26】本発明の第3実施形態に係る紙製トレイ1Bの展開体40Bをさらに展開したブランクシートBS3を示す平面図である。
【
図27】発明の第4実施形態に係る紙製トレイ1Cの構造を概略的に示す斜視図である。
【
図28】本発明の第4実施形態に係る紙製トレイ1Cの平面図である。
【
図29】本発明の第4実施形態に係る紙製トレイ1Cの底面図である。
【
図30】本発明の第4実施形態に係る紙製トレイ1Cの正面図である。
【
図31】本発明の第4実施形態に係る紙製トレイ1Cの左側面図である。
【
図32】本発明の第4実施形態に係る紙製トレイ1Cを展開した展開体40Cの底面図である。
【
図33】本発明の第4実施形態に係る紙製トレイ1Cを展開した展開体40Cの底面図である。
【
図34】本発明の第4実施形態に係る紙製トレイ1Cの展開体40Cをさらに展開したブランクシートBS4を示す平面図である。
【
図35】本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの構造を概略的に示す斜視図である。
【
図36】本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの平面図である。
【
図37】本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの底面図である。
【
図38】本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの正面図である。
【
図39】本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの左側面図である。
【
図40】本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの折り線F付近の拡大底面図である。
【
図41】本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの折り線F付近の拡大正面図である。
【
図42】本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの展開体40Dをさらに展開したブランクシートBS5を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の構造を概略的に示す斜視図である。紙製トレイ1は、1枚の平たい厚紙又は段ボールを折り曲げることによって形成される。厚紙は、例えば複数層の積層によって形成された厚手の紙であり、例えば板紙等である。厚紙の厚さは例えば0.15mm~2.5mm程度に設定される。段ボールの厚さの例には、例えばEフルート、Fフルート、Gフルート等が挙げられる。この紙製トレイ1は、後述するように、例えば菓子等の物体を収容するために使用され、物体を収容した状態で箱や袋等に収容される。紙製トレイ1の収容面には、耐水性、耐油性を有するコーティング層が形成されていることが好ましい。
【0016】
図2は、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の平面図であり、
図3は、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の底面図であり、
図4は、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の正面図であり、
図5は、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の左側面図である。なお、紙製トレイ1の背面図は
図4の正面図と同様であり、紙製トレイ1の右側面図は
図5の左側面図と同様であるので、図示を省略する。
【0017】
図1~
図5を併せて参照すると、紙製トレイ1は、平面に沿って広がる底壁10を備える。特に
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、底壁10の形状は平面視において四角形、例えば、概ね長方形に規定される。ただし、底壁10の形状は、正方形やひし形、平行四辺形、台形等の他の四角形であってもよい。底壁10は、第1方向D1に相互に平行に延びる長辺側の側縁11、11と、第1方向D1に直交する第2方向D2に相互に平行に延びる短辺側の側縁12、12と、を規定する。
【0018】
第1方向D1に規定される各側縁11の長さは例えば120mm程度に設定される。同様に、第2方向D2に規定される各側縁12の長さは例えば60mm程度に設定される。ただし、側縁11、12の各々の長さは、紙製トレイ1に収容される物体の形状や大きさに応じて適宜変更されてもよい。また、本実施形態では、底壁10の4つの角部には丸みが形成されている。ただし、底壁10の4つの角部は、丸みに代えて、例えば直線的又は他の形状に切り欠かれてもよく、また、丸みや切り欠きが形成されなくてもよい。
【0019】
紙製トレイ1は、底壁10の側縁11、11から立ち上がる1対の側壁20、20を備える。各側壁20は、平面に沿って、第1方向D1に直交する第3方向D3に立ち上がる。各側壁20は、側縁11に規定される折り線Fに沿って底壁10から折り曲げられて底壁10から立ち上がる。本明細書では、「折り線F」は、底壁10と側壁20との間の境界に沿って規定される物理的な折り目を含む仮想直線である。
【0020】
特に
図4に示すように、各側壁20の形状は正面視において例えば台形に規定される。第1方向D1に規定される側壁20の下縁21の長さは例えば90mm程度に設定される。同様に、第1方向D1に規定される側壁20の上縁22の長さは例えば70mm程度に設定される。第3方向D3に規定される側壁20の高さ(下縁21から上縁22の高さ)は例えば20mm程度に設定される。また、本実施形態では、側壁20の上縁22及び側縁23の間の角部に丸みが形成されている。なお、正面視における側壁20の形状や大きさは、紙製トレイ1に収容される物体の形状や大きさに応じて適宜変更されてもよい。
【0021】
特に
図5に示すように、本実施形態では、底壁10の上面に対して側壁20の内面のなす角度αは例えば90度に規定される。すなわち、第3方向D3は、第1方向D1だけでなく第2方向D2にも直交する。ただし、この角度αは、90度以外の他の角度に規定されてもよい。角度αは、例えば、100度や110度等の鈍角に規定されてもよく、80度や70度等の鋭角に規定されてもよい。
【0022】
紙製トレイ1は、各折り線Fに沿って形成された係合構造30を備える。各係合構造30は、底壁10に対して各側壁20を折り曲げた状態に各側壁20の姿勢を維持することができる。本実施形態では、係合構造30は、後述するように、紙製トレイ1を折り曲げて形成するための1枚のブランクシートにおいて、折り線Fに沿って形成された1筋の切れ目によって形成される。1枚のブランクシートから紙製トレイ1を組み立てる方法の詳細については後述する。
【0023】
図6は、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の折り線F付近の拡大底面図である。すなわち、
図6は、係合構造30を底壁10側から見た図である。
図7は、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の折り線F付近の拡大正面図である。すなわち、
図7は、係合構造30を側壁20側から見た図である。
図6及び
図7を併せて参照すると、各係合構造30は、底壁10の第1突出片13と側壁20の第2突出片24との間で係合を確立する構造である。
【0024】
図6を参照すると、第1突出片13は、底壁10が広がる平面に沿って、第2方向D2に折り線Fを越えて外側に突出する1対の突部14、15を備える。突部14、15は、第1方向D1に配列されて、折り線Fに直交する仮想平面に対して面対称に形成される。各突部14、15の形状は底面視において概ね三角形に規定される。一方の突部14は、第2方向D2に沿って外側に突出しつつ第1方向D1の一方の向きD1aに突出する。他方の突部15は、第2方向D2に沿って外側に突出しつつ第1方向D1の他方の向きD1bに突出する。すなわち、突部14、15同士は第1方向D1に互いに近づく方向に突出する。
【0025】
突部14、15は、第1方向D1に互いに対向する側縁14a、15aを規定する。本実施形態では、側縁14a、15aはそれぞれ少なくとも、底面視において、仮想円C1の外周の一部に沿って規定される。本実施形態では、仮想円C1の中心O1は、第2方向D2に折り線Fよりも内側に規定される。側縁14a、15aは、側縁14a、15a同士の間で第1方向D1に規定される第1幅W1を、第2方向D2において外側に向かうにつれて減少させる領域を少なくとも規定する。
【0026】
側縁14a、15aの第2方向D2における内端同士は底壁10の内縁16によって接続される。本実施形態では、内縁16は、折り線Fに平行に第1方向D1に直線的に延びる。内縁16は、第2方向D2に折り線Fよりも内側に後退した位置に規定される。こうして突部14の側縁14a、突部15の側縁15a及び内縁16によって、底壁10の側縁11に、第2方向D2において内側に窪む第1凹部17が規定される。
【0027】
一方で、突部14、15は、第1方向D1に互いに背向する側縁14b、15bを規定する。側縁14b、15bは、側縁14b、15b同士の間で第1方向D1に規定される第3幅W3を、第2方向D2において外側に向かうにつれて減少させる領域を少なくとも規定する。側縁14b、15bは、第2方向D2に折り線Fから内側に窪む第2凹部18、18を規定する。第2凹部18、18は、第1方向D1において第1凹部17の両側に規定される。第2凹部18、18は、折り線Fに直交する仮想平面に対して面対称に形成される。本実施形態では、第2方向D2における折り線Fからの深さは、第2凹部18、18よりも第1凹部17で大きく設定される。
【0028】
図7に示すように、側壁20の第2突出片24は、側壁20が広がる平面に沿って、第3方向D3に折り線Fを越えて外側に突出する。第2突出片24の形状は、正面視において概ね長方形に規定される。第2突出片24は、第1方向D1における両端に1対の突部25、26を備える。突部25、26は、第1方向D1において互いに離れる方向に突出する。すなわち、一方の突部25は、第3方向D3に沿って外側に突出しつつ第1方向D1の他方の向きD1bに突出する。他方の突部26は、第3方向D3に沿って外側に突出しつつ第1方向D1の一方の向きD1aに突出する。本実施形態では、突部25、26は互いに一体的に形成される。すなわち、2つの突部25及び突部26で1つの第2突出片24が形成される。
【0029】
突部25、26は、第1方向D1に互いに背向する側縁25a、26aを規定する。本実施形態では、側縁25a、26aはそれぞれ、正面視において、仮想円C2の外周の一部に沿って規定される。仮想円C2の中心O2は、第3方向D3に折り線Fよりも外側に規定される。この仮想円C2の半径は仮想円C1の半径に一致する。なお、第2方向D2に規定される仮想円C1の中心O1の折り線Fからの距離は、第3方向D3に規定される仮想円C2の中心O2の折り線Fからの距離に一致する。側縁25a、26aは、側縁25a、26a同士の間で第1方向D1に規定される第2幅W2を、第3方向D3において外側に向かうにつれて増大させる領域を少なくとも規定する。側縁25a、26aの第3方向D3における外端同士は側壁20の外縁27によって接続される。外縁27は、折り線Fに平行に(すなわち、第1方向D1に)直線的に延びる。第2突出片24の輪郭は、底面視における底壁10の第1凹部17の輪郭に一致する。
【0030】
係合構造30はさらに、側壁20が広がる平面に沿って、第3方向D3に折り線Fを越えて外側に突出する1対の第3突出片28、28を備える。第3突出片28、28は、第2突出片24に対して第1方向D1における両側に配列される。例えば突部25に隣接する第3突出片28の側縁28aは、第1方向D1の一方の向きD1aに向かって、第3方向D3において外側に突出した後、第3方向D3において内側に後退して突部25の側縁25aの内端に接続される。突部25に隣接する第3突出片28の側縁28aは、突部26に隣接する第3突出片28の側縁28aに対して、折り線Fに直交する仮想平面に対して面対称に形成される。側壁20の下縁21には、突部25、26の側縁25a、26aと第3突出片28、28の側縁28a、28aとによって1対の第3凹部29、29が規定される。こうして、側縁28a、28aは、側縁28a、28a同士の間で第1方向D1に規定される第4幅W4を、第3方向D3において外側に向かうにつれて増大させる領域を少なくとも規定する。第3凹部29、29の輪郭はそれぞれ、底面視における底壁10の突部14、15の輪郭に一致する。
【0031】
図8は、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の折り線F付近の拡大斜視図である。
図6~
図8を併せて参照すると、底壁10の第1突出片13の突部14、15はその側縁14a、15aで、側壁20の第2突出片24の突部25、26の側縁25a、26aにそれぞれ係合する。具体的には、側縁14aと側縁25aとの間の係合について説明すると、折り線F上に規定される係合点P1で、すなわち、第2方向D2において外側に向かうにつれて第1幅W1を減少させる突部14の側縁14aの領域と、第3方向D3において外側に向かうにつれて第2幅W2を増大させる突部25の側縁25aの領域と、の間で係合が確立される。
【0032】
同様に、側縁15aと側縁26aとの間の係合について説明すると、折り線F上に規定される係合点P2で、すなわち、第2方向D2において外側に向かうにつれて第1幅W1を減少させる突部15の側縁15aの領域と、第3方向D3において外側に向かうにつれて第2幅W2を増大させる突部26の側縁26aの領域と、の間で係合が確立される。また、第3突出片28、28の側縁28a、28aは、折り線F上に規定される係合点P3、P3で、第1突出片13の突部14及び15の側縁14b、15bに係合する。
【0033】
以上のような紙製トレイ1では、係合構造30において、側壁20が底壁10に対して折り線Fに沿って折り曲げられて底壁10から立ち上がった状態で、底壁10の第1突出片13の突部14、15が側壁20の第2突出片24の突部25、26にそれぞれ係合点P1、P2で係合する。その結果、係合構造30は、底壁10に対して側壁20を折り曲げた状態で側壁20の姿勢を維持することができる。こうした紙製トレイ1は従来のプラスチックトレイに代用可能である。本発明に係る紙製トレイ1はプラスチックごみの削減に貢献することができる。
【0034】
しかも、係合点P1、P2は、外側に向かうにつれて第1幅W1を減少させる突部14、15の側縁14a、15aと、外側に向かうにつれて第2幅W2を増大させる突部25、26の側縁25a、26aとの間に確立される。その結果、例えば、第1方向D1に規定される側縁(すなわち、第2方向D2に延びる側縁)同士の幅が一定である場合に確立される係合に比べて、より大きな力で係合を確立することができる。こうして側壁20の立ち上がり姿勢はより確実に維持される。
【0035】
また、係合構造30では、側壁20の第3突出片28、28は、底壁10の第1突出片13の突部14、15にそれぞれ係合点P3、P3でさらに係合する。このさらなる係合によれば、底壁10の第1突出片13の突部14、15と側壁20の第2突出片24の突部25、26との係合を補助することができる。その結果、底壁10に対する側壁20の立ち上がり姿勢はより確実に維持される。
【0036】
図9は、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1を展開した展開体40の平面図である。展開体40の底面図は平面図と同様であるため、図示は省略する。なお、
図9において、前述の紙製トレイ1の構成と同一の構成には同一の参照符号を付す。この展開体40は、例えば打ち抜き加工によって形成された1枚の平たいブランクシートBS1である。すなわち、展開体40は、平面に沿って広がる底壁10と、底壁10と同一の平面に沿って広がり、第1方向D1に延びる折り線Fに沿って底壁10に隣接する1対の側壁20、20と、を備える。
【0037】
底壁10と各側壁20との間の折り線Fに沿って、前述の係合構造30を形成する構成が形成される。
図9において、例えば上側の折り線Fについて説明すると、底壁10の第1突出片13及び側壁20の第2突出片24及び第3突出片28は、折り線Fに沿って形成された一筋の切れ目Cによって形成される。第1突出片13は、第2方向D2の一方の向きD2aに折り線Fを越えて側壁20内に突出する。一方で、第2突出片24及び第3突出片28は、第2方向D2の他方の向きD2bに折り線Fを越えて底壁10内に突出する。
【0038】
第1突出片13、第2突出片24及び第3突出片28は一筋の切れ目Cによって形成されるので、底壁10の第1凹部17内に第2突出部24がぴったり収容される。また、底壁10の第2凹部18、18内に第3突出部28、28がそれぞれぴったり収容される。一方で、側壁20の第3凹部29、29内に第1突出部13すなわち突部14、15がぴったり収容される。なお、折り線Fに沿って、展開体40の厚紙の半分程度の深さまで切れ刃を入れる半切り加工や、罫線と刃とを交互に入れたリード罫加工等が実施されてもよい。半切り加工やリード罫加工によって底壁10に対して側壁20、20を折り曲げやすくすることができる。
【0039】
次に、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1の組立方法について説明する。
図9に示すブランクシートBS1すなわち展開体40は、厚紙の原紙から例えば打ち抜き加工によって形成される。打ち抜き加工時、展開体40の外形とともに切れ目Cも同時に形成される。また、打ち抜き加工時、展開体40の折り線Fに対応する位置に対して、例えば罫線加工、半切り加工、リード罫加工が実施される。こうして製造された展開体40は、展開体40の製造業者から、例えば、展開体40すなわち紙製トレイ1を使用した商品の製造販売業者に対して供給される。紙製トレイ1の組立作業は例えば商品の製造販売業者側で実施される。
【0040】
紙製トレイ1の組み立てにあたって、展開体40において、側壁20、20が折り線F、Fに沿って底壁10に対してそれぞれ折り曲げられる。各側壁20の内面と底壁10の上面との間の角度αが、例えば90度になるまで側壁20は折り曲げられる。このとき、底壁10の第1突出片13は、
図6に示すように、折り線Fすなわち側壁20の外面を超えて外側に突出する。一方で、各側壁20の第2突出片24及び第3突出片28、28は、
図7に示すように、折り線Fすなわち底壁10の下面を越えて外側に突出する。
【0041】
こうして第1~第3突出片13、24、28がそれぞれ折り線Fを越えて外側に突出することから、第1突出片13と第2突出片24及び第3突出片28、28とは、折り線Fの第1~第3係合点P1~P3で互いに確実に係合することができる。しかも、第1突出片13の突部14と第2突出片24の突部25とは第1方向D1において互いに反対向きに突出するので、第1突出片13と第2突出片24との間の係合は確実に維持される。同様に、第1突出片13の突部15と第2突出片24の突部26とは第1方向D1において互いに反対向きに突出するので、第1突出片13と第2突出片24との間の係合は確実に維持される。
【0042】
図10は、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1を使用した商品41の斜視図である。
図10に示すように、商品41は、紙製トレイ1と、紙製トレイ1の底壁10の上面に配置された例えば菓子等の物体42と、紙製トレイ1及び物体42を収容する外袋43と、を備えている。この図では、物体42は、直方体に描かれているが、その他の形状を有してもよい。外袋43は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料から形成される。ただし、外袋43は例えば紙から形成されてもよい。また、外袋43は、少なくとも部分的に透明に形成されてもよい。また、外袋43に代えて、例えば紙箱が使用されてもよい。
【0043】
以上のように、本発明の第1実施形態に係る紙製トレイ1では、底壁10は平面視において概ね長方形に形成されたが、変形例として、折り曲げ可能な辺を有する限り、底壁10は、例えば台形、三角形や五角形等の他の多角形に形成されてもよい。また、側壁20は正面視において台形に形成されたが、紙製トレイ1に収容される物体の形状に応じて、例えば長方形、三角形や五角形等の他の多角形や半円形、半楕円形、何らかの外形を模した形状等に形成されてもよい。
【0044】
また、紙製トレイ1では、底壁10の長辺側の側縁11、11にのみ側壁20、20が形成されたが、短辺側の側縁12、12の少なくとも一方にも側壁が形成されてもよい。また、一方の側壁20の形成が省略されてもよい。第1突出片13及び第2突出片24はそれぞれ1つの突部(例えば、突部14及び突部25)のみを備えるように構成されてもよい。さらに、一方の第3突出片28の形成が省略されてもよい。また、第1実施形態とは逆に、第1突出片13が側壁20に形成され、第2突出片24及び第3突出片28が底壁10に形成されてもよい。
【0045】
図11は、本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの構造を概略的に示す斜視図である。第2実施形態に係る紙製トレイ1Aは第1実施形態に係る紙製トレイ1の変形例である。
図12~
図15は、
図2~
図5に対応し、それぞれ、本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの平面図、底面図、正面図及び左側面図である。
図11~
図15に示すように、第2実施形態に係る紙製トレイ1Aは、第1実施形態の係合構造30と異なる係合構造30Aを備える。その他、第1実施形態と同一の構造については同一の参照符号を付して、ここでの重複した説明を省略する。
【0046】
図16は、本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの折り線F付近の拡大底面図である。すなわち、
図16は、係合構造30Aを底壁10側から見た図である。
図17は、本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの折り線F付近の拡大正面図である。すなわち、
図17は、係合構造30Aを側壁20側から見た図である。
図16及び
図17に示すように、係合構造30Aは、底壁10の第1突出片13Aと側壁20の第2突出片24Aとの間で係合を確立する構造である。
【0047】
図11~
図16を併せて参照すると、第1突出片13Aは第1実施形態に係る紙製トレイ1の第1突出片13と概ね同様の形状を有している。すなわち、第1突出片13Aは、第1突出片13の突部14、15と同様の突部14A、15Aを備える。ただし、突部14A、15Aの側縁14a、15aの形状は突部14、15の側縁14a、14aの形状と異なる。すなわち、突部14A、15Aの側縁14a、15aはそれぞれ、底面視において、第2方向D2において折り線Fより内側に中心O1を規定する仮想円C1の外周の一部と、第2方向D2において折り線Fより外側に中心O4を規定する仮想円C4の外周の一部と、に沿って規定される。仮想円C1及び仮想円C4は、例えば、第2方向D2に沿って配列されて互いに外接する。例えば、仮想円C1の半径は仮想円C4の半径に一致する。側縁14a、15aは、側縁14a、15a同士の間で第1方向D1に規定される第1幅W1を、第2方向D2において外側に向かうにつれて減少させる領域を少なくとも規定する。
【0048】
側縁14a、15aの第2方向D2における内端同士は底壁10の内縁16Aによって接続される。内縁16Aは、その両端が折り線Fよりも第2方向D2において内側に後退した位置に規定される。本実施形態では、内縁16Aは、側縁14a、15aの内端から第1方向D1に離れるにつれて第2方向D2において外側に膨らむ曲線から形成され、折り線Fに最も近い点が側壁20の内面に突き当たる位置に形成される。こうして側縁14a、15a及び内縁16Aによって、底壁10の側縁11から第2方向D2において内側に窪む第1凹部17Aが規定される。
【0049】
一方で、第1方向D1に互いに背向する領域を少なくとも規定する側縁14b、15bは、折り線Fから第2方向D2において内側に後退する第2凹部18、18を規定する。第2凹部18、18の間に第1凹部17Aが配置される。第2凹部18、18は、折り線Fに直交する仮想平面に対して面対称に形成される。本実施形態では、第2方向D2における折り線Fからの深さは、第2凹部18、18よりも第1凹部17Aで大きく設定される。
【0050】
図11~
図15及び
図17を併せて参照すると、側壁20の第2突出片24Aは第1実施形態に係る紙製トレイ1の第2突出片24と概ね同様の形状を有している。すなわち、第2突出片24Aは、第2突出片24の突部24、25と同様の突部25A、26Aを備える。ただし、突部25A、26Aの側縁25a、26aの形状は突部25、26の側縁25a、26aの形状と異なる。すなわち、突部25A、26Aの側縁25a、26aはそれぞれ、正面視において、折り線Fよりも第3方向D3において内側に中心O3を規定する仮想円C3の外周の一部と、折り線Fよりも第3方向D3において外側に中心O2を規定する仮想円C2の外周の一部と、に沿って規定される。側縁25a、26aは、側縁25a、26a同士の間で第1方向D1に規定される第2幅W2を、第3方向D3において外側に向かうにつれて増大させる領域を少なくとも規定する。側縁25a、26aの第3方向D3における外端同士は側壁20の外縁27Aによって接続される。第2突出片24Aの輪郭は、底面視における底壁10の第1凹部17Aの輪郭に一致する。
【0051】
図16及び
図17を併せて参照すると、この係合構造30Aでは、底壁10の第1突出片13Aの突部14A、15Aはその内縁14a、15aで、側壁20の第2突出片24Aの突部25A、26Aの側縁25a、26aにそれぞれ係合する。具体的には、側縁14aと側縁25aとの間の係合について説明すると、折り線F上における係合点P1で、すなわち、第2方向D2において外側に向かうにつれて第1幅W1を減少させる突部14の側縁14aの領域と、第3方向D3において外側に向かうにつれて第2幅W2を増大させる突部25の側縁25aの領域と、の間で係合が確立される。
【0052】
同様に、側縁15aと側縁26aとの間の係合について説明すると、折り線F上における係合点P2で、すなわち、第2方向D2において外側に向かうにつれて第1幅W1を減少させる突部15Aの側縁15aの領域と、第3方向D3において外側に向かうにつれて第2幅W2を増大させる突部26Aの側縁26aの領域と、の間で係合が確立される。また、第3突出片28、28はその側縁28a、28aで、折り線F上における係合点P3で、第1突出片13Aの突部14A及び15Aの側縁14b、15bに係合する。また、底壁10の内縁16Aは、折り線F上における係合点P6で、側壁20の内面に突き当たる。このような紙製トレイ1Aによれば、第1実施形態の紙製トレイ1と同様の作用効果を実現することができる。
なお、底壁10の内縁16Aは、側壁20の内面に突き当てられず、折り線F上に係合点P6で、側壁20の外縁27Aに係合するように構成されてもよい。
【0053】
図18は、本発明の第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの展開体40Aの平面図である。なお、
図18において、前述の紙製トレイ1Aの構成と同一の構成には同一の参照符号を付す。この展開体40Aは、例えば打ち抜き加工によって形成された1枚の平たいブランクシートBS2である。すなわち、展開体40Aは、平面に沿って広がる底壁10と、底壁10と同一の平面に沿って広がり、第1方向D1に延びる折り線Fに沿って底壁10に隣接する1対の側壁20、20と、を備える。
【0054】
底壁10と各側壁20との間の折り線Fに沿って、前述の係合構造30Aを形成する構成が形成される。
図18において、例えば上側の折り線Fについて説明する。前述の底壁10の第1突出片13A及び側壁20の第2突出片24A及び第3突出片28は、折り線Fに沿って形成された一筋の切れ目Cによって形成される。第1突出片13Aは、第2方向D2の一方の向きD2aに折り線Fを越えて側壁20内に突出する。一方で、第2突出片24A及び第3突出片28は、第2方向D2の他方の向きD2bに折り線Fを越えて底壁10内に突出する。
【0055】
第1突出片13A、第2突出片24A及び第3突出片28が一筋の切れ目Cによって形成される結果、底壁10の第1凹部17A内に第2突出部24Aがぴったり収容される。また、底壁10の第2凹部18、18内に第3突出部28、28がそれぞれぴったり収容される。一方で、側壁20の第3凹部29、29内に第1突出部13Aすなわち突部14A、15Aがぴったり収容される。なお、折り線Fに沿って、展開体40の厚紙の半分程度の深さまで切れ刃を入れる半切り加工やリード罫加工が実施されてもよい。また、紙製トレイ1Aの組立方法及び使用態様については第1実施形態に係る紙製トレイ1のものと同様である。
【0056】
図19は、本発明の第3実施形態に係る紙製トレイ1Bの構造を概略的に示す斜視図である。
図20~
図23は、
図2~
図5に対応し、それぞれ、本発明の第3実施形態に係る紙製トレイ1Bの平面図、底面図、正面図及び左側面図である。
図24は、紙製トレイ1Bを展開した展開体40Bの平面図であり、
図25は、紙製トレイ1Bを展開した展開体40Bの底面図である。
図26は、展開体40Bをさらに展開したブランクシートBS3を示す平面図である。
【0057】
図19~
図23に示すように、第3実施形態に係る紙製トレイ1Bは、第1及び第2実施形態と同様に、平面視で例えば概ね長方形の底壁10を備える一方で、第1及び第2実施形態の側壁20及び係合構造30、30Aと異なる側壁20B及び係合構造30Bを備える。その他、第1及び第2実施形態と同一の構造については同一の参照符号を付して、ここでの重複した説明を省略する。
【0058】
特に
図24~
図26の展開体40B及びブランクシートBS3から明らかなように、第3実施形態に係る紙製トレイ1Bでは、各側壁20Bは、折り線Fに沿って底壁10から折り曲げられる内板20Baと、内板20Baの上縁の第2折り線F2で折り曲げられて内板20Baの外面に重ね合わせられる外板20Bbと、外板20Bbの下縁の第3折り線F3で折り曲げられて底壁10の下面に貼り付けられる貼付板20Bcと、を備えている。折り線F、第2折り線F2及び第3折り線F3はいずれも、第1方向D1に延びて互いに平行に規定される。また、紙製トレイ1B及び展開体40Bの状態では折り線Fは折り線F3に一致する。
【0059】
係合構造30Bは、底壁10の第1突出片13Bと側壁20の第2突出片24Bとの間で係合を確立する構造である。第1突出片13Bは、第2方向D2に折り線Fを越えて外側に突出する。特に
図24~
図26に示すように、第1突出片13Bの輪郭は、円弧及びその弦から形成され、円弧は、第2方向D2において外側に向かって膨らむ凸曲線から規定される。一方で、第2突出片24Bは、外板20Bbの下縁に形成されて、第3方向D3に折り線Fを越えて外側に突出する。特に
図19、
図22及び
図24~
図26に示すように、第2突出片24Bの輪郭は、円弧及びその弦から形成され、円弧は、第3方向D3において外側に向かって膨らむ凸曲線で規定される。
【0060】
特に
図21及び
図24~
図26に示すように、各側壁20Bの貼付板20Bcには、第1方向D1に折り線F3(F)に沿って延びる開口20Bdが形成される。開口20Bdは、外板20Bbの第1突出片24Bに隣接して延びる。本実施形態では、開口20Bdは、底面視において、例えば概ね長方形に規定される。一方で、特に
図19及び
図24~
図26に示すように、各側壁20Bの内板24Baには、第1方向D1に折り線Fに沿って延びる開口20Beが形成される。開口20Beの輪郭は、円弧及びその弦から形成され、底壁10の第1突出片13Bの輪郭に一致する。
【0061】
次に、本発明の第3実施形態に係る紙製トレイ1Bの組立方法について説明する。紙製トレイ1Bの組み立てに先立って展開体40Bが組み立てられる。組み立てにあたって、
図26に示すようなブランクシートBS3が製造される。このブランクシートBS3において、第2折り線F2に沿って各外板20Bbが折り曲げられる。貼付板20Bcは折り線F3で折り曲げられていないので、外板20Bbが内板20Baの裏面に重ね合わせられると同時に、貼付板20Bcが底壁10の下面に重ね合わせられる。その際、貼付板20Bcは例えば接着剤によって底壁10の下面に貼り付けられる。こうして展開体40Bが形成される。
【0062】
図24及び
図25に示すように、展開体40Bは、底壁10と、折り線Fに沿って底壁10に隣接する内板20Baと、第2折り線F2で折り曲げられて内板20Baの外面に重ね合わせられる外板20Bbと、第3折り線F3に沿って外板20Bbに隣接して底壁10の下面に貼り付けられる貼付板20Bcと、を備える。底壁10の第1突出片13B及び側壁20Bの開口20Beは、折り線Fに沿って形成された切れ目Cによって形成される。一方で、側壁20Bの第2突出片24B及び開口20Bdは、例えばブランクシートBS3の打ち抜き加工時に形成される。
【0063】
紙製トレイ1Bの組み立てにあたって、側壁20B、20Bが折り線Fに沿って折り曲げられる。貼付板20Bcは底壁10の下面に貼り付けられているので、内板20Ba及び外板20Bbが同時に折り線F、F3に沿って折り曲げられる。こうして側壁20B、20Bは底壁10から立ち上がる。側壁20Bの第2突出片24Bが第3方向Dに折り線Fを越えて外側に突出する一方で、底壁10の第1突出片13Bが第2方向D2に折り線Fを越えて外側に突出する。
【0064】
その結果、特に
図21に示すように、少なくとも、第2方向D2に折り線Fから最も遠い円弧上の点である第1突出片13Bの係合点P4で、第1突出片13Bの外縁は第2突出片24Bの内面に突き当たる。第1突出片13Bは折り線Fを越えて外側に突出するので、
図20、
図21及び
図23に示すように、外板20Bbは、第1突出片13Bに突き当たる領域で外側にわずかに膨らむ。こうして第1突出片13B及び第2突出片24Bが互いに係合する。なお、第1突出片13Bと第2突出片24Bとの係合は、係合点P4と係合点P4に隣接する領域とで確立される。
【0065】
以上のような紙製トレイ1Bでは、係合構造30Bにおいて、側壁20Bが底壁10に対して折り線Fに沿って折り曲げられて底壁10から立ち上がった状態で、底壁10の第1突出片13Bが側壁20Bの第2突出片24Bに係合点P4で係合する。その結果、係合構造30Bは、底壁10に対して側壁20Bを折り曲げた状態で側壁20Bの姿勢を維持することができる。こうした紙製トレイ1Bは従来のプラスチックトレイに代用可能である。紙製トレイ1Bはプラスチックごみの削減に貢献することができる。
【0066】
なお、第1突出片13Bの外縁を第2突出片24Bの内面に突き当てずに、第3方向D3に折り線Fから最も近い2突出片24Bの下縁で、第1突出片13Bの上面に突き当てて、係合させるようにしてもよい。この場合、底壁10は、第2突出片24Bに突き当たる領域で外側(下面側)にわずかに膨らむ。また、紙製トレイ1Bでは、内板20Baの外面と外板20Bbの内面とを貼り付けることによって、貼付板20Bcの形成を省略してもよい。貼付板20Bcの形成を省略した場合、紙製トレイ1Bでは、外板20Bbの外面が内板20Baの内面に重ね合わせられるように外板20Bbが折り曲げられてもよい。こうして底壁10の第1突出片13Bの外縁が外板20Bbの第2突出片24Bの内面に突き当たる。この変形例の場合、外板20Bbの外面と内板20Baの内面との貼り付けを省略することができる。
【0067】
図27は、本発明の第4実施形態に係る紙製トレイ1Cの構造を概略的に示す斜視図である。第4実施形態に係る紙製トレイ1Cは第3実施形態に係る紙製トレイ1Bの変形例である。
図28~
図31は、
図2~
図5に対応し、それぞれ、本発明の第4実施形態に係る紙製トレイ1Cの平面図、底面図、正面図及び左側面図である。
図32は、紙製トレイ1Bを展開した展開体40Cの平面図であり、
図33は、紙製トレイ1Cを展開した展開体40Cの底面図である。
図34は、展開体40Cをさらに展開したブランクシートBS4を示す平面図である。
【0068】
図27~
図31に示すように、第4実施形態に係る紙製トレイ1Cは、平面視で例えば正方形の底壁10と、第3実施形態と同様の側壁20B、20B及び係合構造30Bと、を備える。さらに、紙製トレイ1Cは、第2方向D2に互いに平行に延びる底壁10の1対の側縁12、12から立ち上がる1対の側壁20C、20Cと、底壁10に対して各側壁20C、20Cを折り曲げた状態に各側壁20C、20Cの姿勢を維持する係合構造30C、30Cと、をさらに備える。各側壁20Cは、折り線F4に沿って底壁10から折り曲げられる。底壁10、側壁20B、20B及び係合構造30B、30Bの構造については、底壁10が正方形で形成される点以外、第3実施形態に係る紙製トレイ1Bの構造と同様であるので、ここでの重複した説明を省略する。
【0069】
係合構造30Cは、側壁20Cの第4突出片24C、24Cと側壁20Bの貼付板20Bcの第5突出片24D、24Dとの間で係合を確立する構造である。各第4突出片24Cは、第3方向D3に折り線F4を越えて外側に突出する。特に
図31に示すように、各第4突出片24Cの輪郭は、円弧及びその弦から形成され、円弧は、第3方向D3において外側に向かって膨らむ凸曲線から規定される。一方で、各第5突出片24Dは、側壁20Bの貼付板20Bcの第1方向D1における両側縁に形成されて、第1方向D1に折り線F4を越えて外側に突出する。特に
図27~
図29、
図33及び
図34に示すように、第5突出片24Dの輪郭は例えば長方形に形成される。一方で、特に
図27、
図28及び
図32~
図34に示すように、底壁10には、第2方向D2に配列されて折り線F4に沿って延びる開口19が形成される。各開口19の輪郭は、円弧及びその弦から形成され、側壁20Cの第4突出片24Cの輪郭に一致する。
【0070】
次に、本発明の第4実施形態に係る紙製トレイ1Cの組立方法について説明する。紙製トレイ1Cの組み立てに先立って展開体40Cが組み立てられる。組み立てにあたって、
図34に示すようなブランクシートBS4が製造される。このブランクシートBS4において、第3実施形態と同様に、第2折り線F2に沿って各外板20Bbが折り曲げられ、貼付板20Bcが例えば接着剤によって底壁10の下面に貼り付けられる。
図32及び
図33に示すように、こうして展開体40Cが形成される。展開体40Cでは、底壁10の開口19及び側壁20Cの第4突出片24Cは、折り線F4に沿って形成された切れ目Cによって形成される。
【0071】
紙製トレイ1Cの組み立てにあたって、側壁20B、20Bが折り線Fに沿って折り曲げられる。こうして側壁20B、20Bは底壁10から立ち上がる。このとき、特に
図29に示すように、第1突出片13Bの外縁は第2突出片24Bの内面に突き当たる。第1突出片13Bは折り線Fを越えて外側に突出するので、外板20Bbは、第1突出片13Bに突き当たる領域で外側に膨らむ。こうして第1突出片13B及び第2突出片24Bが互いに係合する。
【0072】
同様に、側壁20C、20Cが折り線F4に沿って折り曲げられる。こうして側壁20C、20Cは底壁10から立ち上がる。このとき、特に
図27及び
図31に示すように、少なくとも第3方向D3に折り線F4から最も近い円弧上の点である第4突出片24Cの係合点P5で、第5突出片24Dの下縁は第2突出片24Bの上面に突き当たる。こうして第4突出片24C及び第5突出片24Dが互いに係合する。なお、第4突出片24Cと第5突出片24Dとの係合は、係合点P5と係合点P5に隣接する領域とで確立される。
【0073】
以上のような紙製トレイ1Cでは、係合構造30Bにおいて、側壁20Bが底壁10に対して折り線Fに沿って折り曲げられて底壁10から立ち上がった状態で、底壁10の第1突出片13Bが側壁20Bの第2突出片24Bに係合する。同様に、係合構造30Cにおいて、側壁20Cが底壁10に対して折り線F4に沿って折り曲げられて底壁10から立ち上がった状態で、側壁20Cの第4突出片24Cが側壁20Bの貼付板20Bcの第5突出片24Dに係合する。その結果、係合構造30B、30Cはそれぞれ、底壁10に対して側壁20B、20Cを折り曲げた状態で側壁20B、20Cの姿勢を維持することができる。こうした紙製トレイ1Cは従来のプラスチックトレイに代用可能である。紙製トレイ1Bはプラスチックごみの削減に貢献することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各実施形態における構成が適宜選択的に組み合わせられてもよい。例えば、1つの紙製トレイにおいて、複数の係合構造30、30A、30B、30Cが組み合わせて組み込まれてもよい。また、係合構造30、30A、30B、30Cの構成要素である、第1~第5突出片の形状や寸法は、本発明による効果を奏する限り、適宜変更されてもよい。
【0075】
図35は、本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの構造を概略的に示す斜視図である。第5実施形態に係る紙製トレイ1Dは第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの変形例である。
図36~
図39は、それぞれ、本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの平面図、底面図、正面図及び左側面図である。第5実施形態に係る紙製トレイ1Dは、第2実施形態に係る紙製トレイ1Aの係合構造30Aと類似した係合構造30Dを備える。この紙製トレイ1Dでは、各折り線Fに沿ってそれぞれ2つの係合構造30Dが形成されている。その他、第2実施形態に係る紙製トレイ1Aと同様の構造については同一の参照符号を付して、ここでの重複した説明を省略する。
【0076】
図35~
図39に示すように、底壁10の形状は平面視において概ね長方形であり、側縁11と側縁12とが交差する底壁10の4つの角部には小さな丸みが形成されている。また、側壁20の形状は正面視において概ね台形に規定される。第1方向D1に規定される側壁20の長さは、同様に第1方向D1に規定される底壁10の長さにほぼ等しい。側壁20の側縁23は、側壁20の上縁22から第1方向D1に離れるにつれて底壁10に近づく円弧によって規定される。この紙製トレイ1Dでは、4つの係合構造30Dはそれぞれ、底壁10の角部に隣接して配置されている。1対の折り線Fの間で、第1方向D1における係合構造30Dの位置は互いに一致している。
【0077】
図40は、本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの折り線F付近の拡大底面図である。すなわち、
図40は、係合構造30Dを底壁10側から見た図である。
図41は、本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの折り線F付近の拡大正面図である。すなわち、
図41は、係合構造30Dを側壁20側から見た図である。
図40及び
図41に示すように、係合構造30Dは、底壁10の第1突出片13Aと側壁20の第2突出片24Aとの間、及び、底壁10の第6突出片31と側壁20の第2突出片24Aとの間で係合を確立する構造である。なお、紙製トレイ1Aの係合構造30Aと同様の構造については同一の参照符号を付して、ここでの重複した説明を省略する。
【0078】
以下、係合構造30Dについて、係合構造30Aの構造と異なる構造に関して説明する。特に
図40から明らかなように、底壁10には、第1方向D1において、第1突出片13Aの突部14A、15Aの間に第6突出片31が形成される。第6突出片31は、折り線Fよりも第2方向D2において外側に突出する。この例では、第6突出片31は、例えば折り線Fに平行な直線から形成される外縁31aと、外縁31aの各端部と側縁14a、15aとを互いに接続する1対の側縁31b、31bと、を規定する。側縁31b及び側縁14aによって、かつ、側縁31b及び側縁15aによって、底壁10の側縁11から第2方向D2において内側に窪む1対の第1凹部17B、17Bが規定される。
【0079】
その他、係合構造30Aと比較して、第1方向D1に規定される係合構造30Dの全長が相対的に小さく設定されている。具体的には、第1方向D1における突部14A及び突部15Aの間の距離が小さくなっている。同様に、第1方向D1に沿った側縁14b、15b及び第2凹部18の長さが小さくなっているとともに、折り線Fに対する側縁14b、15bの交差角がより鈍角に規定されている。一方で、係合構造30Dの突部14A、15Aの形状は係合構造30Aの突部14A、15Aの形状と同一である。
【0080】
図41から明らかなように、側壁20には、第1方向D1において、第2突出片24Aの突部25A及び突部26Aの間に第4凹部32が形成される。第4凹部32は、折り線Fよりも第3方向D3において上側に窪む。この例では、第4凹部32は、例えば折り線Fに平行な直線から形成される内縁32aと、内縁32aの各端部と側縁25a、26aとを互いに接続する1対の側縁32b、32bと、を規定する。
図41の側面視における第4凹部32の輪郭は、
図40の底面視における第6突出片31の輪郭に一致する。同様に、側面視における突部25A、26Aの輪郭は、底面視における第1凹部17B、17Bの輪郭に一致する。
【0081】
図40及び
図41を併せて参照すると、係合構造30Dでは、係合構造30Aの場合と同様に、折り線F上の係合点P1で突部14Aの側縁14aと突部25Aの側縁25aとが係合するとともに、折り線F上の係合点P2で突部15Aの側縁15aと突部26Aの側縁26aとが係合する。また、折り線F上における係合点P3で、第3突出片28の側縁28aが突部14A及び15Aの側縁14b、15bに係合する。同時に、折り線F上の係合点P7で、第6突出片31の側縁31b、31bと第4凹部32の側縁32b、32bとが係合する。このような紙製トレイ1Dによれば、紙製トレイ1Aと同様の作用効果を実現することができる。
【0082】
図42は、本発明の第5実施形態に係る紙製トレイ1Dの展開体40Dをさらに展開したブランクシートBS5を示す平面図である。前述の紙製トレイ1Aの構成と同一の構成については同一の参照符号を付す。この展開体40Dは、例えば打ち抜き加工によって形成された1枚の平たいブランクシートBS5である。前述と同様に、突部14A、15A25A、26A、第3突出片28及び第6突出片31は、折り線Fに沿って形成された一筋の切れ目Cによって形成される。その結果、第1凹部17B内に突部25A、26Aが収容される一方で、第3凹部29内に突部14A、15Aが収容される。また、第4凹部32内に第6突出片31が収容される。
【符号の説明】
【0083】
1、1A、1B、1C、1D…紙製トレイ、10…底壁、11…側縁、12…側縁、13、13A、13B…第1突出片、14、14A、15、15A…突部、14a、15a…側縁、14b、15b…側縁、16、16A…内縁、17、17A、17B…第1凹部、18…第2凹部、19…開口、20、20B、20C…側壁、20Ba…内板、20Bb…外板、20Bc…貼付板、20Bd…開口、20Be…開口、21…下縁、22…上縁、23…側縁、24、24A、24B…第2突出片、24C…第4突出片、24D…第5突出片、25、25A、26、26A…突部、25a、26a…側縁、27、27A…外縁、28…第3突出片、28a…側縁、29…第3凹部、30、30A、30B、30C、30D…係合構造、31…第6突出片、32…第4凹部、40、40A、40B、40C、40D…展開体、41…商品、42…物体、43…外袋、BS1、BS2、BS3、BS4、BS5…ブランクシート、C…切れ目、C1、C2、C3、C4…仮想円、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、D1a…一方の向き、D1b…他方の向き、F、F2、F3、F4…折り線、O1、O2、O3、O4…中心、P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7…係合点、W1…第1幅、W2…第2幅、W3…第3幅、W4…第4幅、α…角度