(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012198
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】画像内に放射線不透過性基準を使用しない手術ナビゲーション及びロボット誘導のための3D及び2D画像の位置合わせ
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240118BHJP
【FI】
A61B34/20
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116723
(22)【出願日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】63/389,691
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/193,800
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ペイドン トロクセル
(72)【発明者】
【氏名】キャロライン コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】マート エラッド
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス マリタート
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ブラウクマン
(72)【発明者】
【氏名】ニール アール. クロフォード
(57)【要約】 (修正有)
【課題】好ましくは医用画像に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内の患者の医用画像を物理空間内の患者に位置合わせするシステム及び方法が提供される。
【解決手段】1つの方法では、術中2D医用画像を使用して、術前未位置合わせ3D医用画像を位置合わせする。2D医用画像は、画像捕捉時に追跡デバイスによって撮像デバイス上及び患者上の追跡マーカの同時追跡に基づいて位置合わせされる。2D画像は、術前3D画像体積から生成された対応するシミュレートされた2D画像に一致させられる。したがって、患者に対する術前3D画像の位置合わせは、患者の別の3Dスキャンを実行することなく達成される。
【選択図】
図28
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D画像体積の位置合わせを復元するためのシステムであって、
撮像追跡マーカ配列(ITMA)を有する携帯型撮像システムと、
患者追跡マーカを含み、患者に取り付け可能な動的基準基部(DRB)と、
前記ITMA及び前記DRBの両方の位置及び配向を同時に追跡するように構成された追跡デバイスと、
前記患者の外科手術を支援し、前記撮像システムと通信するように構成された外科用ロボットであって、基部と、前記基部に結合されたロボットアームと、前記ロボットアームに結合されたエンドエフェクタと、を含む外科用ロボットと、
前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタの移動を制御するように動作可能であり、前記患者に対する前記3D画像体積の位置合わせが損なわれていることを検出し、そのように実行された場合、前記検出後に、
前記撮像システムによって術中に捕捉された異なる配向での第1及び第2の2D画像を受信し、
画像捕捉時に前記追跡デバイスから前記患者の対応する光学画像であって、前記ITMA及び前記DRBを含む、光学画像を受信し、
前記撮像システムからの前記捕捉された画像と、前記ITRA及び前記DRBを含む前記光学画像とを使用して、前記第1及び第2の2D画像を前記患者に位置合わせし、
前記第1及び第2の2D画像を、前記3D画像体積から生成された対応するシミュレートされた2D画像に一致させ、
前記一致したシミュレートされた2D画像に基づいて、前記患者に対する前記3D画像体積の位置合わせを復元する、ように適合されたプロセッサと、を備える、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記受信された2D画像を、複数の対応する蛍光透視画像をシミュレートする異なる配向での複数の2Dデジタル再構成放射線写真(DRR)画像と比較することによって、前記受信された2D画像を一致させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
選択された配向で前記3D画像体積のデジタル再構成放射線写真(DRR)画像を合成的に生成することと、
前記受信された2D画像を前記生成されたDRR画像と比較することと、
前記受信された2D画像と前記DRR画像との間に一致が見つかるまで、前記合成生成及び比較を繰り返すことと、によって前記受信された2D画像を一致させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記2D画像として術中超音波画像を受信し、
前記3D画像体積からシミュレートされた超音波画像を合成的に生成する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記受信された2D画像の骨縁部のコントラストの勾配を対応するDRR画像と比較するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記以前の比較が前記一致の改善又は悪化をもたらしたかどうかに基づいて、新しいDRR画像を合成的に生成するための新しい配向及びオフセットを合成的に選択するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記2D画像は、第1の2D画像と、前記第1の2D画像から選択された角度での第2の2D画像と、を含み、
前記プロセッサによる前記受信された2D画像の一致は、
前記3D画像体積と、前記第1のDRR画像から前記選択された角度での第2のDRR画像とから第1のデジタル再構成放射線写真(DRR)画像を合成的に生成することと、
前記第1及び第2の2D画像を前記3D画像体積の前記第1及び第2のDRR画像と同時に比較することと、
前記第1及び第2の2D画像と前記3D画像体積の前記第1及び第2のDRR画像との間に一致が見つかるまで、前記生成するステップ及び前記比較するステップを繰り返すことと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記受信された光学画像に基づいて、前記第1の2D画像が捕捉されるときの前記物理空間内の前記DRBに対する前記撮像空間内の前記撮像システムの姿勢を表す変換Aを判定することによって、位置合わせを復元するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記受信された光学画像に基づいて、前記物理空間内の前記撮像システムに対する前記撮像空間内の前記第1の2D画像の姿勢を表す変換Bを判定することによって、位置合わせを復元するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記第1の2D画像と、前記撮像システムの異なる配向での撮像アームの屈曲の量に関連する較正データを用いて調整された前記ITMAとの間の空間関係を判定することによって、前記変換Bを判定するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記ITMAの前記位置に対する検出器パネルの位置を判定することによって、前記変換Bを判定するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記受信された光学画像に基づいて、前記第1の2D画像が捕捉されるときの前記物理空間内の前記DRBに対する前記撮像空間内の前記撮像システムの姿勢を表す変換Aを判定することと、
前記受信された光学画像に基づいて、前記物理空間内の前記撮像システムに対する前記撮像空間内の前記第1の2D画像の姿勢を表す変換Bを判定することと、
変換Aに変換Bを乗算することにより、前記物理空間内の前記DRBに対する前記第1の2D画像の前記姿勢の位置合わせを表す変換Cを判定することと、によって、前記第1の2D画像を前記患者に位置合わせするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記3D画像体積をディスプレイ上に表示し、外科用器具の計画された軌道を重ね合わせ、前記軌道が前記3D画像体積の前記復元された位置合わせ情報に基づいてユーザによって変更されるにつれて、前記表示された軌道を前記表示された3D画像体積上に動的に調整するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記撮像システムの制御下で、前記プロセッサは、
前記第1及び第2の2D画像の画像ファイルに位置合わせ情報を付加し、
前記2D画像と前記位置合わせ情報とを含む前記画像ファイルを前記撮像システムから前記外科用ロボットに転送する、ように構成されており、
前記外科用ロボットは、前記転送された画像ファイルに基づいて、前記患者に対する前記3D画像体積の位置合わせを復元するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記撮像システム内に常駐する撮像システムプロセッサと、前記外科用ロボット内に常駐するロボットプロセッサとを含み、
前記撮像システムプロセッサは、前記撮像システムからの前記捕捉された画像と、前記ITMA及び前記DRBを含む前記光学画像とを使用して、前記第1及び第2の2D画像を前記患者に位置合わせするように構成されており、
前記ロボットプロセッサは、前記第1及び第2の2D画像と、前記第1及び第2の2D画像の前記位置合わせ情報とに基づいて、前記患者に対する前記3D画像体積の位置合わせを復元するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
3D画像体積の位置合わせを復元するためのシステムであって、
撮像追跡マーカ配列(ITMA)を有する携帯型撮像システムと、
患者追跡マーカを含み、患者に取り付け可能な動的基準基部(DRB)と、
前記ITMA及び前記DRBの両方の位置及び配向を同時に追跡するように構成された複数のカメラを有する追跡デバイスと、
前記患者の外科手術を支援し、前記撮像システムと通信するように構成された外科用ロボットであって、基部と、前記基部に結合されたロボットアームと、前記ロボットアームに結合されたエンドエフェクタと、を含む外科用ロボットと、
前記ロボットアーム及び前記エンドエフェクタの移動を制御するように動作可能であり、前記患者に対する前記3D画像体積の位置合わせが損なわれていることを検出し、そのように実行された場合、前記検出後に、
前記撮像システムによって捕捉された、異なる配向での前記患者解剖学的の第1及び第2の術中2D画像を受信し、
画像捕捉時に前記カメラから前記患者の対応する光学画像であって、前記患者解剖学的構造に取り付けられた前記DRB及び前記ITMAを含む、光学画像を受信し、
放射線不透過性基準を使用せずに、前記受信された光学画像に含まれるDRB及びITMAに基づいて、前記受信された2D画像を位置合わせし、
前記受信された2D画像を、異なる配向での前記3D画像体積の複数のシミュレートされた2D画像と比較することに基づいて、前記受信された2D画像を、前記3D画像体積から生成された対応するシミュレートされた2D画像と一致させ、
前記一致したシミュレートされた2D画像と、前記2D画像の前記位置合わせ情報とに基づいて、前記DRBに対する前記3D画像体積の位置合わせを復元する、ように適合されたプロセッサと、を含む、システム。
【請求項17】
前記プロセッサは、
前記受信された光学画像に基づいて、前記第1の2D画像が捕捉されるときの前記物理空間内の前記DRBに対する前記撮像空間内の前記撮像システムの姿勢を表す変換Aを判定することによって、位置合わせを復元するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、
前記受信された光学画像に基づいて、前記物理空間内の前記撮像システムに対する前記撮像空間内の前記2D画像の姿勢を表す変換Bを判定することによって、位置合わせを復元するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記第1の2D画像と、前記撮像システムの異なる配向での撮像アームの屈曲の量に関連する較正データを用いて調整された前記ITMAとの間の空間関係を判定することによって、前記変換Bを判定するように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、
前記受信された光学画像に基づいて、前記第1の2D画像が捕捉されるときの前記物理空間内の前記DRBに対する前記撮像空間内の前記撮像システムの姿勢を表す変換Aを判定することと、
前記受信された光学画像に基づいて、前記物理空間内の前記撮像システムに対する前記撮像空間内の前記第1の2D画像の姿勢を表す変換Bを判定することと、
変換Aに変換Bを乗算することにより、前記物理空間内の前記DRBに対する前記第1の2D画像の前記姿勢の位置合わせを表す変換Cを判定する、ことによって、前記第1の2D画像を位置合わせするように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年7月15日に出願された米国特許出願第63/389,691号に優先権を主張する、2023年3月15日に出願された米国特許出願第18/184,192号の継続出願であり、これらの出願の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願はまた、(1)2016年6月13日に出願された米国特許出願第15/180,126号(米国特許第10,842,453号)、及び(2)2016年5月18日に出願された米国特許出願第15/157,444号(米国特許公開第2016/0256225号)に関連するが、それに対する優先権を主張せず、これらの出願の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、ナビゲーションシステムに関し、より詳細には、撮像空間内の患者の医用画像を物理空間内の患者に位置合わせするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
手術ナビゲーションは、外科医が、従来の外科的技法とは対照的に、低減された放射線及び手術時間で、インプラントハードウェアを正確かつ反復可能に留置することを可能にすることによって、低侵襲性脊椎手術に変革をもたらした。手術ナビゲーションにおいて、位置センサは、患者基準フレームに位置合わせされた医用画像に対する外科用器具の完全な剛体運動を追跡するために使用される。位置感知の最も一般的な形態は、光学追跡であり、具体的には、配列と呼ばれるパターンで配置された近赤外線(NIR)受動型再帰反射マーカ又は能動型NIR LEDである。追跡される器具の位置は、典型的には、医用画像上に重ねられた器具のCADモデルとして外科医ユーザに表示される。
【0005】
ロボット誘導は、ロボットアームが所望の軌道上に位置付けられ、正確かつ反復可能な軌道上で器具を誘導するために使用される技術である。Globus Medical,Inc.(Audubon,PA)からのExcelsiusGPS(「eGPS」)の発売により、ロボット誘導は、ロボットナビゲーションと呼ばれる単一のシステムにおいて手術ナビゲーションと統合されている。ロボットナビゲーションは、単一の合理化されたシステムにおいて両方の技術の利点を提供する。
【0006】
全ての手術ナビゲーション、ロボット誘導、及びロボットナビゲーションシステムは、システムの基準フレームの使用を通じて患者の解剖学的構造に対する医用画像の位置合わせを必要とする。光学ナビゲーションシステムの位置合わせは、典型的には、埋め込まれた放射線不透過性基準の配列に対して既知の場所に配置された追跡マーカの配列を含む位置合わせ固定具の使用を伴う。固定具は、基準が医用画像に埋め込まれ、追跡マーカが位置センサ(例えば、追跡デバイスの立体カメラ)に見えるように、患者及び撮像システムなどの周囲構造に取り付けられる。画像が捕捉された後、ソフトウェアアルゴリズムは、コンピュータビジョン及び画像処理を使用して、画像内の放射線不透過性基準場所を識別する。固定具上の追跡マーカに対する基準の場所は既知であり、カメラは、患者基準配列(動的基準配列又はDRBとしても知られる)に対する固定具配列内の追跡マーカの位置を識別することができるので、システムは、次いで、医用画像を追跡システムに位置合わせするために複数の変換を計算することができる。
【0007】
術中に位置合わせ固定具を使用することにはいくつかの欠点がある。主な欠点は、患者上の所定の位置に既にある放射線不透過性基準で画像体積を捕捉する必要があることであり、これは術前に撮影された患者のスキャンがナビゲーションに使用できないことを意味する。更なる欠点は、画像体積/領域内に固定具基準を含めることによる、使用可能な画像空間の損失である。加えて、基準は、時に、重要な解剖学的構造の視野を妨げる可能性がある。位置合わせ固定具を用いて画像を捕捉するとき、必要な数の基準が含まれ、背景に対して十分なコントラストで見えることを確実にするように、特別な注意を払わなければならない。最後に、位置合わせ固定具は、保管され、洗浄され、ドレープ/滅菌され、術中に設置されなければならない追加のハードウェア構成要素であり、手術スタッフの時間及び複雑さの増加につながる。
【0008】
これに応じて、いくつかの会社(例えば、Medtronic O-arm及びSteathStation)は、位置合わせ固定具を必要とせずに位置合わせされた術中画像を取得する方法(自動位置合わせ)を開発している。これを達成するために、これらのシステムは、撮像システムの既知の場所で一体化された又は取り外し可能な追跡配列を有する。次いで、関連付けられたナビゲーションシステムを使用して、患者基準配列に対する撮像システムナビゲーション配列の位置を追跡し、画像位置合わせを完了することができる。
【0009】
しかしながら、既存の解決策は、合理化されたシステムにおける手術ナビゲーション及びロボットワークフローに適応するため柔軟性が制限されている。医用画像体積への追跡を位置合わせするための術中スキャナの使用は、患者に再び照射して、新しい画像を捕捉することを必要とする。基準が存在しない状態で撮影された既存の医用画像体積を使用することができる解決策が依然として必要とされている。
【0010】
更に、ナビゲートされた手術の主な失敗の状態は、患者基準配列に対する患者解剖学的構造の移動による位置合わせの喪失である。位置合わせが外科的処置中に喪失した場合、外科チームは、3D撮像システムを手術部位に戻し、新たな位置合わせされた画像を捕捉する必要がある。この追加の3D画像の必要性は、患者をかなりの追加の放射線に曝し、麻酔下の時間を増加させ、病院の効率を低下させる。
【0011】
したがって、埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、医用画像を患者の解剖学的構造に位置合わせするためのシステム及び方法を提供することが望ましい。更に、手術中に位置合わせが喪失した場合、患者の別の完全な3Dスキャンを使用せずに位置合わせを迅速に復元するためのシステム及び方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0012】
本発明の一態様によれば、撮像空間内の患者の術前3D医用画像を追跡空間内の患者に位置合わせするシステム及び方法が開示される。本方法は、術前に撮像デバイスで撮影された患者解剖学的構造の3D画像を受信する。この時点で、3D画像は、手術台に横たわっている患者と位置合わせされていない。いったん患者が準備され、手術台上に横たわると、撮像デバイスが巻かれ、患者解剖学的構造の術中2D画像が、追跡デバイス(例えば、光学又は電磁追跡システム)によって追跡可能な撮像追跡マーカを有する撮像デバイスによって捕捉される。
【0013】
システムは、画像捕捉時に追跡デバイスから患者の対応する光学画像を受信し、光学画像は、撮像追跡マーカと、追跡デバイスによって追跡可能な患者追跡マーカを含む動的基準基部(DRB)とを含む。
【0014】
次に、2D画像は、術前3D画像からデジタル的に再構成された、選択された配向及び位置における合成的に生成された医用画像である、対応する2Dシミュレート医用画像と一致させられる。X線医用撮像デバイスの場合、シミュレートされた画像は術前3D画像のDRR(デジタル再構成放射線写真)である。図示される実施形態では、DRRは、術前3D画像(例えば、3D画像体積の2Dスライスのセット/スタック)からデジタル的に再構成された、選択された配向及び角度でのシミュレートされた2D蛍光透視画像である。超音波の場合、それは、術前3D画像からの特定の配向及び位置での超音波スキャンを表す合成的に生成された2D画像である。
【0015】
次に、システムは、一致したDRRと、受信された光学画像に含まれる患者追跡マーカ及び撮像追跡マーカとに基づいて、動的基準基部に対する受信された術前3D画像の姿勢の位置合わせを判定する。一致したDRRの姿勢は、実際の2D画像の追跡された姿勢に対応するため、位置合わせが達成される。
【0016】
次に、本方法は、位置合わせされた3D画像及び3D画像の任意の選択された2D DRRを、視覚ナビゲーション支援のために表示された3D画像の上に重ね合わされた、追跡された外科用器具、その計画された軌道、及びエンドエフェクタと共にディスプレイ上に表示する。
【0017】
有利なことに、位置合わせ方法は、放射線不透過性基準が医用画像内に存在することを必要とせず、以前必要であったような位置合わせ固定具を撮像デバイスに取り付ける必要がない。その結果、本発明の方法は、処置時間を実質的に短縮し、患者の安全性を高め得る。
【0018】
本発明の別の態様によれば、画像内に基準(例えば、放射線不透過性マーカ)を埋め込むことなく、撮像空間内の患者の術中3D画像(3D CT又はMRI画像など)を、追跡される物理空間内の物理的患者に位置合わせするシステム及び方法が開示される。本システムは、追跡デバイスによって追跡可能な撮像追跡マーカを有する撮像デバイスによって捕捉された患者解剖学的構造の術中画像を受信し、患者は、追跡デバイスによって追跡可能な患者追跡マーカを含む動的基準基部を有する。本システムはまた、画像捕捉時に追跡デバイスから患者の光学画像を受信し、光学画像は、患者追跡マーカ及び撮像追跡マーカを含む。
【0019】
次に、本方法は、変換A、B及びCを判定する。動的基準基部に対する撮像デバイスの姿勢を表す変換Aは、受信された光学画像に基づいて判定される。撮像デバイスに対する患者解剖学的構造の受信された画像の姿勢を表す変換Bは、受信された光学画像に基づいて判定される。動的基準基部に対する受信画像の姿勢を表す変換Cは、変換Aと変換Bとを乗算することによって判定される。変換Cは、撮像空間内の患者画像の、物理空間内の物理的患者への位置合わせを表し、変換の全ては、いかなる基準も使用せずに行われる。
【0020】
次いで、本方法は、視覚ナビゲーション支援のために、位置合わせされた画像を、表示された3D画像の上に重ね合わされた追跡された外科用器具、その計画された軌道、及びエンドエフェクタと共にディスプレイ上に表示する。
【0021】
有利なことに、位置合わせ方法は、医用画像内に放射線不透過性基準を必要としないため、本方法は、処置時間を実質的に短縮し、患者の安全性を高め得る。また、患者の術前スキャンが必要ないため、コストを節約することができ、患者への不要な放射線被曝を排除し得る。
【0022】
本発明の別の態様によれば、撮像空間内の患者の3D画像の、物理空間内の物理的患者への位置合わせを復元するためのシステム及び方法が提供される。本システムは、患者解剖学的構造の3D画像を受信し、患者追跡マーカを含む動的基準基部に対して受信された3D画像の姿勢を位置合わせする。次いで、位置合わせされた3D画像は、外科的処置中に使用される。
【0023】
しかしながら、位置合わせが失われると、位置合わせは、患者の別の完全な3Dスキャンを実行することなく再確立される。本システムは、追跡デバイス(例えば、光学又は電磁)によって追跡可能な撮像追跡マーカを有する撮像デバイスによって捕捉された、異なる配向での患者解剖学的構造の2つ以上の術中2D画像(例えば、蛍光透視又は超音波)を受信する。本システムはまた、画像捕捉時に追跡デバイスから患者の対応する光学画像を受信し、光学画像は、患者追跡マーカ及び撮像追跡マーカを含む。
【0024】
受信された2D画像は、3D画像の対応するシミュレートされた2D画像(例えば、DRR)と一致させられる。3D画像の位置合わせは、一致した対応するDRRと、光学画像に含まれる患者追跡マーカ及び撮像追跡マーカとに基づいて再確立される。
【0025】
次いで、本方法は、視覚ナビゲーション支援のために、位置合わせされた3D画像を、表示された3D画像の上に重ね合わされた追跡された外科用器具、その計画された軌道、及びエンドエフェクタと共にディスプレイ上に表示する。
【0026】
有利なことに、位置合わせは、患者の別の完全な3Dスキャンを行うことなく少数の2D画像のみを用いて復元されるため、本方法は、処置時間を実質的に短縮し、患者の安全性を高め得る。
【0027】
本発明の別の態様によれば、撮像空間内の患者の術中2D医用画像を物理空間内の物理的患者に位置合わせするシステム及び方法が提供される。本システムは、追跡デバイスによって追跡可能な撮像追跡マーカを有する撮像デバイスによって捕捉された、異なる配向での患者解剖学的の術中2D画像を受信し、患者は、追跡デバイスによって追跡可能な患者追跡マーカを含む動的基準基部を有する。本システムはまた、画像捕捉時に追跡デバイスから患者の対応する光学画像を受信し、光学画像は、患者追跡マーカ及び撮像追跡マーカを含む。
【0028】
受信された各2D画像について、本方法は、次に、上述のように変換A、B及びCを判定する。変換Cは、撮像空間内の患者画像を物理空間内の物理的患者に位置合わせすることを表し、変換の全ては、放射線不透過性基準を使用せずに実行される。
【0029】
次いで、本方法は、視覚ナビゲーション支援のために、位置合わせされた2D画像を、表示された2D画像の上に重ね合わされた追跡された外科用器具、その計画された軌道、及びエンドエフェクタと共にディスプレイ上に表示する。
【0030】
本発明の別の態様によれば、撮像空間内の患者の術中2D画像を、物理空間内の物理的患者に位置合わせするシステム及び方法が提供される。本システムは、追跡デバイスによって追跡可能な撮像追跡マーカを有する撮像デバイスによって捕捉された、異なる配向での患者解剖学的の術中2D画像を受信し、患者は、追跡デバイスによって追跡可能な患者追跡マーカを含む動的基準基部を有する。本システムはまた、画像捕捉時に追跡デバイスから患者の対応する光学画像を受信し、光学画像は、患者追跡マーカ及び撮像追跡マーカを含む。
【0031】
受信された2D画像及び汎用3Dモデルに基づいて、本方法はカスタマイズされた3Dモデルを作成する。受信された各2D画像について、本方法は、2D画像を位置合わせするために、上述のように変換A、B、及びCを判定する。2D画像は、カスタマイズされた3Dモデルの対応するDRRに一致させられ、それにより、カスタマイズされたモデルは、一致したDRRに基づいて位置合わせすることができる。
【0032】
次いで、本方法は、視覚ナビゲーション支援のために、位置合わせされた3D画像を、表示された2D画像の上に重ね合わされた追跡された外科用器具、その計画された軌道、及びエンドエフェクタと共にディスプレイ上に表示する。この方法は、3Dスキャン撮像デバイスへのアクセスが利用可能でない場合であっても、合成的に作成された3Dモデルによるナビゲーションを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態による撮像システムの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による撮像コントローラシステム40の概略図である。
【
図4】ガントリがX軸の周りに90度回転された
図1の撮像システムの斜視図である。
【
図5】ケーブル配置を部分的に示すガントリの斜視図である。
【
図6】ケーブル配置を示すガントリの斜視図である。
【
図7】ケーブル配置を示すガントリの側面図である。
【
図8】ガントリのCアームを入れ子式に制御するためのモータアセンブリを示す。
【
図9A】60度増分でのガントリの360度回転を示す。
【
図9B】60度増分でのガントリの360度回転を示す。
【
図9C】60度増分でのガントリの360度回転を示す。
【
図9D】60度増分でのガントリの360度回転を示す。
【
図9E】60度増分でのガントリの360度回転を示す。
【
図9F】60度増分でのガントリの360度回転を示す。
【
図9G】60度増分でのガントリの360度回転を示す。
【
図10】外科的処置中のロボットシステム、患者、外科医、及び他の医療従事者の場所に関する潜在的な配置の俯瞰図である。
【
図11】一実施形態による患者に対する外科用ロボット及びカメラの位置決めを含むロボットシステムを示す。
【
図12】例示的な一実施形態による外科用ロボットシステムを示す。
【
図13】例示的な一実施形態による外科用ロボットの一部分を示す。
【
図14】例示的な一実施形態による外科用ロボットのブロック図を示す。
【
図15】例示的な一実施形態による外科用ロボットを示す。
【
図16A】例示的な一実施形態によるエンドエフェクタを示す。
【
図16B】例示的な一実施形態によるエンドエフェクタを示す。
【
図16C】例示的な一実施形態によるエンドエフェクタを示す。
【
図17】一実施形態による、外科用器具をエンドエフェクタのガイド管に挿入する前後の、外科用器具及びエンドエフェクタを示す。
【
図18A】例示的な一実施形態によるエンドエフェクタ及びロボットアームの部分を示す。
【
図18B】例示的な一実施形態によるエンドエフェクタ及びロボットアームの部分を示す。
【
図18C】例示的な一実施形態によるエンドエフェクタ及びロボットアームの部分を示す。
【
図19】例示的な一実施形態による、動的参照配列、撮像配列、及び他の構成要素を示す。
【
図20】例示的な一実施形態による位置合わせの方法を示す。
【
図21A】例示的な実施形態による撮像デバイスの実施形態を示す。
【
図21B】例示的な実施形態による撮像デバイスの実施形態を示す。
【
図22A】例示的な一実施形態による、ロボットアーム及びエンドエフェクタを含む、ロボットの一部分を示す。
【
図22B】
図22Aに示される、複数の追跡マーカがその上に堅固に取り付けられたエンドエフェクタの拡大図である。
【
図22C】一実施形態による、複数の追跡マーカがその上に堅固に取り付けられたツール又は器具である。
【
図23A】第1の構成における可動追跡マーカを伴うエンドエフェクタの代替バージョンである。
【
図23B】可動追跡マーカが第2の構成にある、
図23Aに示されるエンドエフェクタである。
【
図24A】単一の追跡マーカのみが取り付けられたエンドエフェクタの代替バージョンを示す。
【
図24C】器具が2つの異なる位置にある
図24Aのエンドエフェクタと、器具がガイド管内に配置されているかガイド管の外側に配置されているかを判定するための結果として生じる論理とを示す図である。
【
図24D】
図24Aのエンドエフェクタを示し、器具が2つの異なるフレームでガイド管内にあり、ガイド管上の単一の追跡マーカまでのその相対距離を示す。
【
図25】ロボットのエンドエフェクタを所望の標的軌道にナビゲート及び移動させるための方法のブロック図である。
【
図26A】固定追跡マーカ及び可動追跡マーカをそれぞれ収縮及び拡張位置に有する、拡張可能インプラントを挿入するための器具を示す。
【
図26B】固定追跡マーカ及び可動追跡マーカをそれぞれ収縮及び拡張位置に有する、拡張可能インプラントを挿入するための器具を示す。
【
図27A】それぞれ挿入位置及び傾斜位置にある固定追跡マーカ及び可動追跡マーカを有する連接インプラントを挿入するための器具を示す。
【
図27B】それぞれ挿入位置及び傾斜位置にある固定追跡マーカ及び可動追跡マーカを有する連接インプラントを挿入するための器具を示す。
【
図28】本発明の一態様による、好ましくは画像内に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内の患者画像をカメラ空間内の物理的患者に位置合わせするシステムを示す。
【
図29】本発明の別の態様による、好ましくは画像内に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内の患者の術中3D画像を物理空間内の物理的患者に位置合わせする方法のフローチャートである。
【
図30】本発明の別の態様による、好ましくは画像内に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内の患者の術中3D画像を物理空間内の物理的患者に位置合わせし、術中2D画像との3D画像の位置合わせを復元する方法のフローチャートである。
【
図31】本発明の別の態様による、好ましくは画像内に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内の患者の術前3D画像を物理空間内の物理的患者に位置合わせし、術中2D画像との3D画像の位置合わせを復元する方法のフローチャートである。
【
図32】本発明の別の態様による、好ましくは画像内に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内の患者の術中2D画像を物理空間内の物理的患者に位置合わせし、術中2D画像の別のセットとの2D画像の位置合わせを復元する方法のフローチャートである。
【
図33】好ましくは画像内に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、患者の術中2D画像に基づいて合成的に作成された3D画像を位置合わせする方法のフローチャートである。
【
図34】本発明の別の態様による撮像デバイスを較正するための較正固定具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本出願の目的上、「コード」、「ソフトウェア」、「プログラム」、「アプリケーション」、「ソフトウェアコード」、「ソフトウェアモジュール」、「モジュール」及び「ソフトウェアプログラム」という用語は、プロセッサによって実行可能なソフトウェア命令を意味するために互換的に使用される。「ユーザ」は、医師又は他の医療専門家であり得る。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態による、コンピュータ断層撮影(CT)X線スキャナなどの撮像システム10を示す概略図である。撮像システム10は、可動ステーション60及びガントリ56を含む。可動ステーションは、垂直シャフト59と、垂直シャフトに回転可能に取り付けられたガントリマウント58とを含む。可動ステーション60は、2つの前側全方向車輪62と2つの後側全方向車輪64とを含み、これらは共に可動ステーション60をX-Y平面内の任意の方向に移動させる。全方向車輪62、64は、例えば、Active Robots Limited of Somerset,U.K.から入手することができる。可動ステーション60のハウジングに取り付けられた一対のハンドル13は、ユーザがステーションを手動で操作することを可能にする。
【0036】
垂直シャフト59に取り付けられたモータ66は、ガントリマウント58をX軸を中心に完全に360度回転させるように設計され、モータ67は、制御モジュール51の制御下でガントリマウント58をz軸に沿って垂直に移動させる。
【0037】
ガントリ56は、ガントリマウント58に摺動可能に結合された第1のCアーム70と、第1のCアームに摺動可能に結合された第2のCアーム72とを含む。図示される実施形態では、第1及び第2のCアーム70、72は、それぞれ外側及び内側Cアームである。図示される実施形態では、外側及び内側Cアーム70、72は、形状が円形であり、中心軸線を中心に円周方向に回転して、ベッド16に横たわっている患者を移動させる必要なしに患者の撮像を可能にする。
【0038】
X線ビーム送信器などの撮像信号送信器74が第2のCアーム72の一方の側に取り付けられ、X線検出器配列などの撮像センサ74が第2のCアームの他方の側に取り付けられ、送信器に面している。動作中、X線送信器74は、患者(図示せず)の関連部分を通過した後にX線検出器76によって受信されるX線ビームを送信する。
【0039】
一実施形態では、システム10は、手術を念頭において設計されたマルチモダリティX線撮像システムである。3つの撮像モダリティは、蛍光透視法、2D放射線撮影、及びコーンビームCTを含む。蛍光透視法は、X線動画によく似た連続的なX線画像をモニタ上に示す医療撮像技術である。2D放射線撮影は、X線を使用して、人体などの不均一に構成された不透明な物体の内部構造を見る撮像技術である。CアームCTとも呼ばれるCBCT(コーンビーム3D撮像又はコーンビームコンピュータ断層撮影)は、X線が発散してコーンを形成するX線コンピュータ断層撮影からなる医療撮像技術である。
【0040】
可動ステーション60は、(1)患者に対して撮像信号送信器74を位置決めするために全方向車輪62、64、ガントリマウント58、及びガントリ56の動きを制御する機能と、(2)ガントリ56が適切に位置決めされた後に患者を撮像するための撮像機能を制御する機能との二重機能を果たす撮像コントローラシステム40を含む。
【0041】
ここで
図2を参照すると、本発明の撮像コントローラシステム40は、USB(ユニバーサルシリアルバス)インターフェースなどのI/Oインターフェース42を介して通信リンク52に接続され、I/Oインターフェースは、通信リンク52から情報を受信し、通信リンク52を介して情報を送信する。撮像コントローラシステム40は、RAM(ランダムアクセスメモリ)などのメモリ記憶装置44、プロセッサ(CPU)46、ROM又はEEPROM(登録商標)などのプログラム記憶装置48、及びハードディスクなどのデータ記憶装置50を含み、これらは全てバス53を介して互いに共通に接続される。プログラム記憶装置48は、とりわけ、撮像制御モジュール54及び動き制御モジュール51を記憶し、それぞれがプロセッサ46によって実行されるソフトウェアを含む。プロセッサ46によって実行される動き制御モジュール51は、可動ステーション60の車輪62、64と、ガントリマウント58及びガントリ56内の様々なモータとを制御して、患者の近くにステーション60を位置決めし、患者の関連部分を撮像するために適切な位置にガントリを位置決めする。
【0042】
プロセッサ46によって実行される撮像制御モジュール54は、撮像信号送信器74及び検出器配列76を制御して、患者の身体を撮像する。一実施形態では、撮像制御モジュールは、身体の異なる平面層を撮像し、それらをメモリ44に記憶する。加えて、撮像制御モジュール54は、メモリ44に記憶された画像のスタックを処理し、三次元画像を生成することができる。あるいは、記憶された画像は、画像処理のためにホストシステム(図示せず)に送信することができる。
【0043】
動き制御モジュール51及び撮像制御モジュール54は、ディスプレイデバイス11a及び11b、並びにキーボード及びボタン12及びジョイスティック14などの入力デバイスを介してユーザと対話するユーザインターフェースモジュールを含む。ハンドル15に取り付けられた歪みゲージ13は、I/Oデバイス42に結合され、以下でより詳細に説明するように、ユーザがハンドル15を手で保持している間に、任意の方向(X、Y、揺動)への可動ステーション12の移動を簡便に提供する。ユーザインターフェースモジュールは、ユーザがガントリ56を位置決めするのを支援する。プログラム記憶装置48内のソフトウェアプログラムモジュール及びデータ記憶装置50からのデータのいずれも、必要に応じてメモリ44に転送することができ、CPU46によって実行される。ディスプレイデバイス11aは、ガントリマウント58の近くで可動ステーション60のハウジングに取り付けられ、ディスプレイデバイス11bは、3つの回転可能なディスプレイアーム16、18及び20を介して可動ステーションに結合される。第1のディスプレイアーム16は可動ステーション60に回転可能に取り付けられ、第2のディスプレイアーム18は第1のアーム16に回転可能に取り付けられ、第3のディスプレイアーム20は第2のディスプレイアームに回転可能に取り付けられる。ディスプレイデバイス11a、11bは、ユーザに最大の柔軟性を提供するために、モジュール51及び54内のユーザインターフェースモジュールの使用を通じて入力デバイスとしても機能するタッチスクリーンを有することができる。
【0044】
ガントリマウント58上に配置されたナビゲーションマーカ68は、リンク52を介して撮像コントローラシステム40に接続される。動き制御モジュール51の制御下で、マーカ68は、ナビゲーションシステム(図示せず)を介して患者ベッド又はOR(手術室)台に対するガントリ56の自動又は半自動位置決めを可能にする。マーカ68は、光学的、電磁気的などとすることができる。
【0045】
情報は、ナビゲーションシステムによって提供されて、ガントリ56又はシステム10に正確な場所を命じることができる。一例は、外科医がナビゲートされるプローブを所望の配向に保持し、撮像システム10にその指定された軌道に沿ってX線透視画像又は放射線撮影画像を取得するように指示することであろう。有利なことに、これは偵察ショットの必要性を排除し、したがって患者及びORスタッフへのX線被曝を低減する。ガントリ56上のナビゲーションマーカ68はまた、システム10によって取得された2D又は3D画像の自動位置合わせを可能にする。マーカ68はまた、患者が移動した場合に、システム10の正確な再配置を可能にする。
【0046】
図示の実施形態では、システム10は、全6自由度(「DOF」)で大きな範囲の動きを提供する。動き制御モジュール51の制御下では、2つの主な動きモード、すなわち、可動ステーション60の位置決めとガントリ56の位置決めとがある。
【0047】
可動ステーション60の位置決めは、4つの全方向車輪62、64を介して達成される。これらの車輪62、64は、可動ステーション60が水平面(X、Y、揺動)の周りの3つのDOF全てにおいて位置決めされることを可能にする。「揺動」は、垂直軸(Z軸)を中心としたシステム10の回転であり、「X」は、X軸に沿ったシステムの前後位置決めであり、「Y」は、Y軸に沿ったシステム10の横方向の動きである。制御モジュール51の制御下で、システム10は、X、Y、及び揺動(全方向車輪62、64の使用による任意のZ軸を中心とした揺動)の任意の組み合わせにおいて、無制限の運動範囲で位置決めすることができる。特に、全方向車輪62、64は、狭い空間、狭い廊下に位置決めすること、又は手術台若しくは患者ベッドの長さを正確に上下に移動することを可能にする。
【0048】
ガントリ56の位置決めは、(Z、傾斜、回転)について達成される。「Z」はガントリ56の垂直位置決めであり、「傾斜」は上述したようにX軸に平行な水平軸の周りの回転であり、「回転」は上述したようにY軸に平行な水平軸の周りの回転である。
【0049】
可動ステーション60の位置決め及びガントリ56の位置決めと共に、システム10は、可動ステーション60並びに撮像送信器74及びセンサ76をそれらが必要とされる場所に正確に配置するために、全6DOF(X、Y、揺動、Z、傾斜、及び回転)における移動範囲を提供する。有利なことに、3D撮像は、患者が立っているか、座っているか、ベッドに横たわっているかにかかわらず、かつ患者を動かす必要なく実行することができる。
【0050】
システム10の正確な位置は、記憶メモリ50に記憶され、動き制御モジュール51によっていつでも呼び出すことができる。これは、ガントリ56の位置決めに限定されず、全方向車輪62、64によるシステム10の位置決めも含む。
【0051】
図3に示されるように、ガントリマウント58、外側Cアーム70、及び内側Cアーム72の各々は、互いに対向する一対の側方フレーム86、88、90をそれぞれ有する。等間隔に配置された複数のローラ84が、ガントリマウント58の側方フレーム86の内側に取り付けられている。外側Cアーム70は、側方フレーム88の外側に一対のガイドレール78を有している。ローラ84は、ガイドレール78に結合されている。図示されるように、ローラ84及びガイドレール78は、外側Cアーム78がガントリマウント58に沿って伸縮自在に摺動して、Cアームがガントリマウントに対してその中心軸を中心に少なくとも180度回転できるように設計されている。
【0052】
外側Cアーム70の側方フレーム88の内側には、等間隔に配置された複数のローラ80が取り付けられている。内側Cアーム72は、側方フレーム90の外側に一対のガイドレール82を有する。ローラ80は、ガイドレール82に結合されている。図示されるように、ローラ80及びガイドレール82は、内側Cアーム72が外側Cアーム70に沿って入れ子式に摺動して、外側Cアームに対してCアームがその中心軸を中心に少なくとも180度回転できるように設計されている。
【0053】
したがって、本明細書で開示する本発明は、有利なことに、ガントリ56がその中心軸の周りを完全に360度回転することを可能にして、患者の妨害を最小限に抑えながら撮像システム10を位置決めする際に最大の柔軟性を提供する。
【0054】
本発明の別の態様では、撮像システム10をよりコンパクトにし、視覚的により魅力的にするような、独自のケーブル配置が提供される。
図5及び
図6に示されるように、ケーブルキャリア/ハーネス92は、撮像コントローラシステム40とガントリ56内の様々なモータ、X線送信器74、撮像センサ76及び様々な電子回路との間で信号を搬送するための電気ケーブルを含む。第1のケーブルルータ94が外側Cアーム70の外面に取り付けられ、第2のケーブルルータ96が内側Cアーム72の外面に取り付けられている。各ケーブルルータ94、96は、ケーブルキャリア92が通過する貫通孔95、97を有する。
【0055】
ケーブルキャリア92は、ガントリマウント56から第1のCアーム70の外面上を延び、第1のケーブルルータ94の貫通孔95を通り、第2のCアーム72の外面上を延びる。第1のCアーム70を覆うケーブルキャリア92は、第1の周方向(図示されるように時計回り)98に延在し、第1の周方向とは反対の第2の周方向(図示されるように反時計回り)99に第1のケーブルルータ94に入り、第1のCアームの外面上に180度のサービスループを形成する。
【0056】
そこから、ケーブルキャリア92は、第1の円周方向98に延在し、第2の円周方向99に第2のケーブルルータに入り、第2のCアーム72の外面上に別のサービスループを形成する。
【0057】
サービスループと組み合わされた第1及び第2のケーブルルータ94、96の特定の場所は、ケーブルキャリア92の緩みを可能にして、ケーブルキャリアにおいてもつれたり、応力を引き起こしたりすることなく、ガントリ56に完全な360度回転を提供する。図示される実施形態では、ルータはCアームの中間点付近に取り付けられている。
【0058】
図8は、外側Cアーム70をガントリマウント58に対して伸縮自在に回転させ、内側Cアーム72を外側Cアームに対して伸縮自在に回転させるために使用することができるモータアセンブリ101の一実施形態を示す。各モータアセンブリ101は、エンコーダフィードバックを有するサーボモータ103と、回転比を変更するためのギアボックス105と、駆動プーリ107と、アイドラプーリ108と、駆動プーリとアイドラプーリとの間に通されたベルト111とを含む。1つのモータアセンブリ101は、ガントリマウントに対して外側Cアーム70を移動させるようにガントリマウントに搭載され、別のモータアセンブリは、外側Cアーム70に対して内側Cアーム70を移動させるようにアームの中心付近で外側Cアーム70に搭載される。
【0059】
図9A~
図9Gは、60度刻みで反時計回り方向にガントリ56を360度回転させた状態を示しており、
図9Aは、撮像センサ76及び送信器74の0度位置を表している。
図9Bは、ガントリ56の60度の回転/位置を表す。ガントリ56が60度回転する毎に、モータアセンブリ101は、動き制御モジュール51の制御下で、60度の複合回転のために、内側Cアーム72を反時計回りに30度回転させ、外側Cアーム70も反時計回りに30度回転させる。
図9Gは、ガントリ56の完全な360度回転を表している。図から分かるように、外側Cアーム70及び内側Cアーム72はそれぞれ、
図9Aの元の0度の位置から180度移動している。
【0060】
上記で詳細に説明したように、様々な実施形態における本発明は、以下の利点を提供する:(1)全方向車輪62、64の使用による任意のZ軸の周りの揺動を伴う任意のX-Y方向におけるシステムの移動、(2)撮像ビームを完全に360度回転させるための二重入れ子式Cガントリ、(3)立位CBCTのような、臥床中、座位、又は立位中の撮像、(4)システム10及びガントリ56の位置の記憶及び呼び出し、(5)準同時多断面X線撮像、(6)ロボット又はナビゲーション座標を介した位置の呼び出し。
【0061】
ここで図面を参照すると、
図10及び
図11は、例示的な一実施形態による外科用ロボットシステム100を示す。外科用ロボットシステム100は、例えば、外科用ロボット102と、1つ以上のロボットアーム104と、基部106と、ディスプレイ110と、例えばガイド管114を含むエンドエフェクタ112と、1つ以上の追跡マーカ118と、を含み得る。外科用ロボットシステム100は、患者210に(例えば、患者210の骨に)直接固定されるように適合された1つ以上の追跡マーカ118も含む患者追跡デバイス116を含み得る。外科用ロボットシステム100はまた、例えば、カメラスタンド202上に位置付けられたカメラ200を利用し得る。カメラスタンド202は、カメラ200を所望の位置に移動、配向、及び支持するための任意の好適な構成を有し得る。カメラ200は、1つ以上の赤外線カメラ(例えば、二焦点又は立体写真測量カメラ)などの任意の好適なカメラ(単数又は複数)を含んでもよく、例えば、カメラ200の視点から視認可能な所与の測定体積において、アクティブ及びパッシブ追跡マーカ118を識別し得る。カメラ200は、所与の測定体積をスキャンし、三次元においてマーカ118の位置を識別し、判定するためにマーカ118に由来する光を検出し得る。例えば、アクティブマーカ118は、電気信号(例えば、赤外線発光ダイオード(light emitting diode、LED))によってアクティブ化される赤外線発光マーカを含み得、パッシブマーカ118は、例えば、カメラ200又は他の好適なデバイス上の照明器によって発せられる赤外光を反射する(例えば、入射光の方向への入射IR放射を反射する)再帰反射マーカを含み得る。
【0062】
図10及び
図11は、手術室環境における外科用ロボットシステム100の配置に関する潜在的な構成を示す。例えば、ロボット102は、患者210の近く又はその隣に位置付けられてもよい。患者210の頭部の近くに示されているが、ロボット102は、手術を受ける患者210の領域に応じて、患者210の近くの任意の適切な場所に位置付けられ得ることが理解されよう。カメラ200は、ロボットシステム100から分離され、患者210の足元に位置付けられてもよい。この場所により、カメラ200は、術野208に対する直接的な視線を有することが可能になる。繰り返すが、カメラ200は、術野208への視線を有する任意の適切な位置に配置され得ることが企図される。図示の構成では、外科医120は、ロボット102の向かい側に位置付けられてもよいが、依然としてエンドエフェクタ112及びディスプレイ110を操作することができる。外科助手126は、エンドエフェクタ112及びディスプレイ110の両方にアクセスできるように、同じく外科医120の向かい側に位置付けられてもよい。必要に応じて、外科医120及び助手126の場所は逆にされてもよい。麻酔医122及び看護師又は外科技術師124の従来の領域は、ロボット102及びカメラ200の場所にとらわれない。
【0063】
ロボット102の他の構成要素に関して、ディスプレイ110は、外科用ロボット102に装着することができ、他の例示的な実施形態では、ディスプレイ110は、外科用ロボット102のある手術室内又は遠隔場所のいずれかにおいて、外科用ロボット102から取り外すことができる。エンドエフェクタ112は、ロボットアーム104に結合され、少なくとも1つのモータによって制御され得る。例示的な実施形態では、エンドエフェクタ112は、患者210に手術を行うために使用される外科用器具608(本明細書で更に説明される)を受容し、配向することができるガイド管114を含み得る。本明細書で使用される場合、「エンドエフェクタ」という用語は、「エンドエフェクチュエータ」及び「エフェクチュエータ要素」という用語と互換的に使用される。一般的にガイド管114と共に示されるが、エンドエフェクタ112は、手術での使用に適した任意の好適な器具類に置き換えられてもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ112は、所望の方法で外科用器具608の移動をもたらすための任意の既知の構造を含むことができる。
【0064】
外科用ロボット102は、エンドエフェクタ112の並進及び配向を制御することが可能である。ロボット102は、例えば、x、y、及びz軸に沿ってエンドエフェクタ112を移動させることが可能である。エンドエフェクタ112は、x、y、及びz軸、並びにZフレーム軸(エンドエフェクタ112に関連するオイラー角(例えば、ロール、ピッチ、及び/又はヨー)のうちの1つ以上が選択的に制御され得るように)のうちの1つ以上を中心に選択的に回転するように構成され得る。いくつかの例示的な実施形態では、エンドエフェクタ112の並進及び配向の選択的制御は、例えば、回転軸のみを含む6自由度ロボットアームを利用する従来のロボットと比較して、著しく改善された精度を有する医療処置の実行を可能にすることができる。例えば、外科用ロボットシステム100は、患者210上で動作するために使用され得、ロボットアーム104は、患者210の身体の上に位置決めすることができ、エンドエフェクタ112は、患者210の身体に向かってz軸に対して選択的に角度付けされている。
【0065】
いくつかの例示的な実施形態では、外科用器具608の位置は、外科用ロボット102が処置中に常に外科用器具608の場所を認識することができるように、動的に更新することができる。その結果、いくつかの例示的な実施形態では、外科用ロボット102は、医師からの更なる支援なしに(医師がそのように望む場合を除いて)、外科用器具608を所望の位置に迅速に移動させ得る。いくつかの更なる実施形態では、外科用ロボット102は、外科用器具608が選択された予め計画された軌道から外れる場合、外科用器具608の経路を補正するように構成することができる。いくつかの例示的な実施形態では、外科用ロボット102は、エンドエフェクタ112及び/又は外科用器具608の移動の停止、修正、及び/又は手動制御を可能にするように構成することができる。したがって、使用中、例示的な実施形態では、医師又は他のユーザは、システム100を動作させることができ、エンドエフェクタ112及び/又は外科用器具608の自律移動を停止、修正、又は手動制御する選択肢を有する。外科用ロボット102による外科用器具608の制御及び移動を含む外科用ロボットシステム100の更なる詳細は、同時係属中の米国特許出願第13/924,505号に見出すことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
ロボット外科用システム100は、ロボットアーム104、エンドエフェクタ112、患者210、及び/又は外科用器具608の移動を三次元で追跡するように構成された1つ以上の追跡マーカ118を備え得る。例示的な実施形態では、複数の追跡マーカ118は、例えば、限定することなく、ロボット102の基部106上、ロボットアーム104上、又はエンドエフェクタ112上などのロボット102の外側表面上に取り付けられ得る(ないしは別の方法で固定され得る)。例示的な実施形態では、複数の追跡マーカ118のうちの少なくとも1つの追跡マーカ118は、エンドエフェクタ112に取り付けられるか、又は別の方法で固定され得る。1つ以上の追跡マーカ118が、更に患者210に取り付けられ得る(ないしは別の方法で固定され得る)。例示的な実施形態では、複数の追跡マーカ118は、外科医、外科用ツール、又はロボット102の他の部分によって覆い隠される可能性を低減するために、術野208から離間して患者210上に位置決めすることができる。更に、1つ以上の追跡マーカ118は、外科用ツール608(例えば、ねじ回し、拡張器、インプラント挿入器など)に更に取り付けられ得る(ないしは別の方法で固定され得る)。このようにして、追跡マーカ118は、マーキングされた物体(例えば、エンドエフェクタ112、患者210、及び外科用ツール608)のそれぞれがロボット102によって追跡されることを可能にする。例示的な実施形態では、システム100は、マーキングされた物体のそれぞれから収集された追跡情報を使用して、例えば、エンドエフェクタ112、外科用器具608(例えば、エンドエフェクタ112の管114内に位置付けられている)、及び患者210の相対位置の配向及び場所を計算し得る。
【0067】
例示的な実施形態では、マーカ118のうちの1つ以上は、光学マーカであってもよい。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ112上の1つ以上の追跡マーカ118の位置決めは、エンドエフェクタ112の位置をチェック又は検証する役割を果たすことによって、位置測定の精度を最大化し得る。外科用ロボット102及び外科用器具608の制御、移動、及び追跡を含む外科用ロボットシステム100の更なる詳細は、同時係属中の米国特許出願第13/924,505号に見出すことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
例示的な実施形態は、外科用器具608に結合された1つ以上のマーカ118を含む。例示的な実施形態では、例えば、患者210及び外科用器具608に結合されたこれらのマーカ118、並びにロボット102のエンドエフェクタ112に結合されたマーカ118は、従来の赤外線発光ダイオード(LED)、又はOptotrak(登録商標)などの市販の赤外線光学追跡システムを使用して追跡することができるOptotrak(登録商標)ダイオードを含み得る。Optotrak(登録商標)は、Northern Digital Inc.,Waterloo,Ontario,Canadaの登録商標である。他の実施形態では、マーカ118は、Polaris Spectraなどの市販の光学追跡システムを使用して追跡することができる従来の反射球を含み得る。Polaris Spectraも、Northern Digital,Inc.の登録商標である。例示的な一実施形態では、エンドエフェクタ112に結合されたマーカ118は、オン及びオフにすることが可能な赤外線発光ダイオードを含むアクティブマーカであり、患者210及び外科用器具608に結合されたマーカ118は、パッシブ反射球を含む。
【0069】
例示的な実施形態では、マーカ118から放射された光及び/又はマーカ118によって反射された光は、カメラ200によって検出され得、マーキングされた物体の場所及び移動を監視するために使用され得る。代替の実施形態では、マーカ118は、無線周波数及び/又は電磁反射器若しくはトランシーバを含み得、カメラ200は、無線周波数及び/若しくは電磁トランシーバを含むか、又は無線周波数及び/若しくは電磁トランシーバに置き換えられ得る。
【0070】
外科用ロボットシステム100と同様に、
図12は、本開示の例示的な一実施形態と一致する、ドッキング構成の外科用ロボットシステム300及びカメラスタンド302を示す。外科用ロボットシステム300は、ディスプレイ304、上部アーム306、下部アーム308、エンドエフェクタ310、垂直カラム312、キャスター314、キャビネット316、タブレットドロワ318、コネクタパネル320、制御パネル322、及び情報のリング324を含むロボット301を備え得る。カメラスタンド302は、カメラ326を含み得る。これらの構成要素は、
図14に関してより詳細に説明される。
図12は、例えば、使用されていないときに、カメラスタンド302がロボット301と入れ子になるドッキング構成の外科用ロボットシステム300を示す。カメラ326及びロボット301は、例えば、
図10及び
図11に示されるように、外科的処置中に相互から分離され、任意の適切な場所に位置付けられてもよいことが、当業者には理解されよう。
【0071】
図13は、本開示の例示的な一実施形態と一致する基部400を示す。基部400は、外科用ロボットシステム300の一部分であってもよく、キャビネット316を含んでもよい。キャビネット316は、バッテリ402、配電モジュール404、プラットフォームインターフェースボードモジュール406、コンピュータ408、ハンドル412、及びタブレットドロワ414を含むがこれらに限定されない、外科用ロボットシステム300の特定の構成要素を収容し得る。これらの構成要素間の接続及び関係は、
図14に関してより詳細に説明される。
【0072】
図14は、外科用ロボットシステム300の例示的な一実施形態の特定の構成要素のブロック図を示す。外科用ロボットシステム300は、プラットフォームサブシステム502、コンピュータサブシステム504、動き制御サブシステム506、及び追跡サブシステム532を備え得る。プラットフォームサブシステム502は、バッテリ402、配電モジュール404、プラットフォームインターフェースボードモジュール406、及びタブレット充電ステーション534を更に備え得る。コンピュータサブシステム504は、コンピュータ408、ディスプレイ304、及びスピーカ536を更に備え得る。動き制御サブシステム506は、ドライバ回路508、モータ510、512、514、516、518、安定器520、522、524、526、エンドエフェクタ310、及びコントローラ538を更に備え得る。追跡サブシステム532は、位置センサ540及びカメラコンバータ542を更に備え得る。システム300はまた、フットペダル544及びタブレット546を備え得る。
【0073】
入力電力は、配電モジュール404に提供され得る電源548を介してシステム300に供給される。配電モジュール404は、入力電力を受信し、システム300の他のモジュール、構成要素、及びサブシステムに提供される異なる電源電圧を生成するように構成されている。配電モジュール404は、プラットフォームインターフェースモジュール406に異なる電圧供給を提供するように構成されてもよく、異なる電圧供給は、コンピュータ408、ディスプレイ304、スピーカ536、ドライバ508などの他の構成要素に提供され、例えば、モータ512、514、516、518及びエンドエフェクタ310、モータ510、リング324、カメラコンバータ542、並びにシステム300の他の構成要素、例えば、キャビネット316内の電気構成要素を冷却するためのファンに電力を供給し得る。
【0074】
配電モジュール404はまた、タブレットドロワ318内に位置し得るタブレット充電ステーション534などの他の構成要素に電力を供給し得る。タブレット充電ステーション534は、テーブル546を充電するためにタブレット546と無線又は有線通信し得る。タブレット546は、本開示と一致し、本明細書に記載される外科医によって使用され得る。
【0075】
配電モジュール404はまた、配電モジュール404が入力電力548から電力を受信しない場合に一時的な電源として機能するバッテリ402に接続されてもよい。他の時点で、配電モジュール404は、必要に応じてバッテリ402を充電するのに役立ち得る。
【0076】
プラットフォームサブシステム502の他の構成要素はまた、コネクタパネル320、制御パネル322、及びリング324を含み得る。コネクタパネル320は、異なるデバイス及び構成要素をシステム300並びに/又は関連付けられた構成要素及びモジュールに接続するのに役立ち得る。コネクタパネル320は、異なる構成要素からの回線又は接続を受容する1つ以上のポートを含み得る。例えば、コネクタパネル320は、システム300を他の機器に接地し得る接地端子ポートと、フットペダル544をシステム300に接続するためのポートと、位置センサ540、カメラコンバータ542、及びカメラスタンド302に関連付けられたカメラ326を備え得る追跡サブシステム532に接続するためのポートと、を有し得る。コネクタパネル320はまた、コンピュータ408などの他の構成要素へのUSB、イーサネット(登録商標)、HDMI(登録商標)通信を可能にするための他のポートを含み得る。
【0077】
制御パネル322は、システム300の動作を制御する、及び/又はシステム300に関する情報を提供する、様々なボタン又はインジケータを提供し得る。例えば、制御パネル322は、システム300の電源をオン又はオフにするためのボタン、垂直カラム312を上げ下げするためのボタン、及びキャスター314と係合してシステム300が物理的に移動しないようにロックするように設計され得る安定器520~526を上げ下げするためのボタンを含み得る。全てのモータ電力を除去し、機械的ブレーキを適用して全ての運動が発生するのを停止させ得る他のボタンは、緊急時にシステム300を停止させ得る。制御パネル322はまた、バッテリ402の回線電力インジケータ又は充電状態などの特定のシステム状態をユーザに通知するインジケータを有し得る。
【0078】
リング324は、システム300が動作している種々のモードと、ユーザへの特定の警告とをシステム300のユーザに通知するための視覚的インジケータであり得る。
【0079】
コンピュータサブシステム504は、コンピュータ408と、ディスプレイ304と、スピーカ536と、を含む。コンピュータ504は、システム300を動作させるためのオペレーティングシステム及びソフトウェアを含む。コンピュータ504は、情報をユーザに表示するために、他の構成要素(例えば、追跡サブシステム532、プラットフォームサブシステム502、及び/又は動き制御サブシステム506)から情報を受信し、処理し得る。更に、コンピュータサブシステム504は、ユーザに音声を提供するために、スピーカ536も含み得る。
【0080】
追跡サブシステム532は、位置センサ504及びコンバータ542を含み得る。追跡サブシステム532は、
図12に関して説明したようなカメラ326を含むカメラスタンド302に対応し得る。位置センサ504はカメラ326であってもよい。追跡サブシステムは、システム300の異なる構成要素及び/又は外科的処置中にユーザによって使用される器具上に位置する特定のマーカの場所を追跡し得る。この追跡は、LED又は反射マーカなどのアクティブ要素又はパッシブ要素の場所をそれぞれ追跡する赤外線技術の使用を含む、本開示と一致する方法で行われ得る。これらのタイプのマーカを有する構造の場所、配向、及び位置は、コンピュータ408に提供され、ディスプレイ304上でユーザに示されてもよい。例えば、これらのタイプのマーカを有し、(ナビゲーション空間と称され得る)この方法で追跡される外科用器具608は、患者の解剖学的構造の三次元画像に関連してユーザに示されてもよい。
【0081】
動き制御サブシステム506は、垂直カラム312、上部アーム306、下部アーム308を物理的に移動させるか、又はエンドエフェクタ310を回転させるように構成され得る。物理的な移動は、1つ以上のモータ510~518の使用を通じて行われ得る。例えば、モータ510は、垂直カラム312を垂直に上げ下げするように構成され得る。モータ512は、
図12に示されるように、垂直カラム312との係合点の周りで上部アーム308を横方向に移動させるように構成され得る。モータ514は、
図12に示されるように、上部アーム308との係合点の周りで下部アーム308を横方向に移動させるように構成され得る。モータ516及び518は、1つがロールを制御し得、1つが傾斜を制御し得るような方法でエンドエフェクタ310を移動させるように構成されてもよく、それによって、エンドエフェクタ310が移動され得る複数の角度を提供する。これらの移動は、エンドエフェクタ310上に配設され、ユーザによって起動されるロードセルを介してこれらの移動を制御し、これらのロードセルに係合してシステム300を所望の方法で移動させ得るコントローラ538によって達成され得る。
【0082】
更に、システム300は、ユーザがディスプレイ304(タッチスクリーン入力デバイスであってもよい)上で、ディスプレイ304上の患者の解剖学的構造の三次元画像上の外科用器具又は構成要素の場所を示すことを通じて、垂直カラム312、上部アーム306、及び下部アーム308の自動移動を提供し得る。ユーザは、フットペダル544を踏むか又は他の何らかの入力手段によって、この自動移動を開始することができる。
【0083】
図15は、例示的な一実施形態に一致する外科用ロボットシステム600を示す。外科用ロボットシステム600は、エンドエフェクタ602と、ロボットアーム604と、ガイド管606と、器具608と、ロボット基部610と、を備え得る。器具ツール608は、1つ以上の追跡マーカ(マーカ118など)を含む追跡配列612に装着され得、関連付けられた軌道614を有し得る。軌道614は、器具ツール608が、ガイド管606を通して位置付けられるか又はガイド管606内に固定されると進行するように構成される移動の経路、例えば、器具ツール608の患者内への挿入経路を表し得る。例示的な手術において、ロボット基部610は、外科用ロボットシステム600が、患者210を手術する際にユーザ(例えば、外科医)を支援し得るように、ロボットアーム604及びエンドエフェクタ602と電子通信するように構成され得る。外科用ロボットシステム600は、前述の外科用ロボットシステム100及び300と一致し得る。
【0084】
追跡配列612は、器具ツール608の場所及び配向を監視するために、器具608上に取り付けられ得る。追跡配列612は、器具608に装着され得、追跡マーカ804を含み得る。
図17に最もよく見られるように、追跡マーカ804は、例えば、発光ダイオード及び/又は他のタイプの反射マーカ(例えば、本明細書の他の場所に記載されるようなマーカ118)であってもよい。追跡デバイスは、外科用ロボットシステムに関連付けられた1つ以上の視線デバイスであってもよい。一例として、追跡デバイスは、外科用ロボットシステム100、300に関連付けられた1つ以上のカメラ200、326であってもよく、また、ロボットアーム604、ロボット基部610、エンドエフェクタ602、及び/又は患者210に対する器具608の画定された範囲又は相対的な配向について追跡配列612を追跡してもよい。追跡デバイスは、カメラスタンド302及び追跡サブシステム532に関連して説明される構造と一致してもよい。
【0085】
図16A、
図16B、及び
図16Cは、例示的な一実施形態に一致するエンドエフェクタ602の上面図、正面図、及び側面図をそれぞれ示す。エンドエフェクタ602は、1つ以上の追跡マーカ702を含み得る。追跡マーカ702は、発光ダイオード、又は前述した追跡マーカ118などの他のタイプのアクティブマーカ及びパッシブマーカであり得る。例示的な一実施形態では、追跡マーカ702は、電気信号(例えば、赤外線発光ダイオード(LED))によってアクティブ化される赤外線発光のアクティブマーカである。したがって、追跡マーカ702は、赤外線マーカ702がカメラ200、326に可視であるようにアクティブ化されてもよく、又は赤外線マーカ702がカメラ200、326に不可視であるように非アクティブ化されてもよい。したがって、マーカ702がアクティブであるとき、エンドエフェクタ602は、システム100、300、600によって制御され得、マーカ702が非アクティブ化されているとき、エンドエフェクタ602は、所定の位置にロックされ、システム100、300、600によって移動させることが不可能になり得る。
【0086】
マーカ702は、マーカ702が1つ以上のカメラ200、326又は外科用ロボットシステム100、300、600に関連付けられた他の追跡デバイスに可視であるように、エンドエフェクタ602上又はその内部に配設されてもよい。カメラ200、326又は他の追跡デバイスは、エンドエフェクタ602が異なる位置及び視野角に移動する際に、追跡マーカ702の移動に追従することによってエンドエフェクタ602を追跡し得る。マーカ702及び/又はエンドエフェクタ602の場所は、外科用ロボットシステム100、300、600に関連付けられたディスプレイ110、304、例えば、
図11に示されるディスプレイ110及び/又は
図12に示されるディスプレイ304上に表示され得る。このディスプレイ110、304は、エンドエフェクタ602がロボットアーム604、ロボット基部610、患者210、及び/又はユーザに対して望ましい位置にあることをユーザが確実にすることを可能にし得る。
【0087】
例えば、
図16Aに示されるように、マーカ702は、術野208から離れて配置され、ロボット102、301及びカメラ200、326の方を向いている追跡デバイスが、追跡デバイス100、300、600に対するエンドエフェクタ602の共通配向の範囲を通して、マーカ702のうちの少なくとも3つを視認することができるように、エンドエフェクタ602の表面の周りに配置されてもよい。例えば、このようにマーカ702を分散させることにより、エンドエフェクタ602が術野208内で並進及び回転されるときに、エンドエフェクタ602が追跡デバイスによって監視されることが可能になる。
【0088】
加えて、例示的な実施形態では、エンドエフェクタ602は、外部カメラ200、326がマーカ702を読み取る準備ができているときを検出し得る赤外線(IR)受信機を装備してもよい。この検出に際し、エンドエフェクタ602は次いで、マーカ702を照明してもよい。外部カメラ200、326がマーカ702を読み取る準備ができていることがIR受信機によって検出されると、発光ダイオードであり得るマーカ702のデューティサイクルを外部カメラ200、326に同期させる必要があることが信号で知らされ得る。これはまた、ロボットシステム全体としてのより低い電力消費を可能にし得、マーカ702は、連続的に照明される代わりに、適切な時間にのみ照明されることになる。更に、例示的な実施形態では、マーカ702は、異なるタイプの外科用器具608などの他のナビゲーションツールとの干渉を防止するために、電源オフにされてもよい。
【0089】
図17は、追跡配列612及び追跡マーカ804を含む1つのタイプの外科用器具608を示す。追跡マーカ804は、発光ダイオード又は反射球を含むがこれらに限定されない、本明細書に記載の任意のタイプのものであり得る。マーカ804は、外科用ロボットシステム100、300、600に関連付けられた追跡デバイスによって監視され、視線カメラ200、326のうちの1つ以上であり得る。カメラ200、326は、追跡配列612及びマーカ804の位置及び配向に基づいて、器具608の場所を追跡し得る。外科医120などのユーザは、例えば、例示的外科用ロボットシステムのディスプレイ110上に器具608及びマーカ804を表示するために、追跡配列612及びマーカ804が追跡デバイス又はカメラ200、326によって十分に認識されるように、器具608を配向することができる。
【0090】
外科医120が器具608をエンドエフェクタ602のガイド管606内に配置し、器具608を調整し得る方法は、
図17で明らかである。エンドエフェクタ112、310、602の中空管又はガイド管114、606は、外科用器具608の少なくとも一部分を受容するようにサイズ決めされ、構成される。ガイド管114、606は、外科用器具608の挿入及び軌道が患者210の身体の中又はその上の所望の解剖学的標的に到達することができるように、ロボットアーム104によって配向されるように構成される。外科用器具608は、概ね円筒形の器具の少なくとも一部分を含み得る。ねじ回しが外科用ツール608として例示されているが、任意の好適な外科用ツール608がエンドエフェクタ602によって位置付けられ得ることが理解されよう。例として、外科用器具608は、ガイドワイヤ、カニューレ、レトラクタ、ドリル、リーマ、ねじ回し、挿入ツール、除去ツールなどのうちの1つ以上を含み得る。中空管114、606は、概して、円筒形構成を有するものとして示されているが、ガイド管114、606は、外科用器具608を収容し、手術部位にアクセスするために所望される任意の好適な形状、サイズ、及び構成を有し得ることが、当業者には理解されよう。
【0091】
図18A~
図18Cは、例示的な一実施形態と一致するエンドエフェクタ602及びロボットアーム604の一部分を示す。エンドエフェクタ602は、本体1202及びクランプ1204を更に含み得る。クランプ1204は、ハンドル1206、ボール1208、ばね1210、及びリップ1212を含み得る。ロボットアーム604は、凹部1214、取り付けプレート1216、リップ1218、及び磁石1220を更に含み得る。
【0092】
エンドエフェクタ602は、1つ以上の結合を介して外科用ロボットシステム及びロボットアーム604と機械的に干渉及び/又は係合し得る。例えば、エンドエフェクタ602は、位置決め結合部及び/又は補強結合を介してロボットアーム604と係合し得る。これらの結合によって、エンドエフェクタ602は、可撓性の無菌バリアの外側でロボットアーム604と締結し得る。例示的な一実施形態では、位置決め結合は、磁気運動学的マウントであり得、補強結合は、5棒オーバーセンタークランプリンケージであり得る。
【0093】
位置決め結合に関して、ロボットアーム604は、非磁性材料であり得る取り付けプレート1216、1つ以上の凹部1214、リップ1218、及び磁石1220を含み得る。磁石1220は、凹部1214のそれぞれの下に取り付けられる。クランプ1204の部分は、磁性材料を含み、1つ以上の磁石1220によって引き付けられ得る。クランプ1204及びロボットアーム604の磁気引力によって、ボール1208は、それぞれの凹部1214内に着座する。例えば、
図18Bに示されるようなボール1208は、
図18Aに示されるような凹部1214内に着座することになる。この着座は、磁気的に補助された運動学的結合と見なされ得る。磁石1220は、エンドエフェクタ602の配向にかかわらず、エンドエフェクタ602の全重量を支持するのに十分な強度を有するように構成され得る。位置決め結合は、6自由度を独自に拘束する任意の形式の運動学的マウントであり得る。
【0094】
補強結合に関して、クランプ1204の部分は、固定接地リンクであるように構成されてもよく、したがって、クランプ1204は、5棒リンケージとして役立ち得る。リップ1212及びリップ1218が、エンドエフェクタ602及びロボットアーム604を固定するようにクランプ1204に係合する際、クランプハンドル1206を閉鎖することにより、エンドエフェクタ602はロボットアーム604に締結され得る。クランプハンドル1206が閉鎖されると、クランプ1204がロック位置にある一方、ばね1210は伸張されるか又は応力が加えられ得る。ロック位置は、中心を越えたリンケージを提供する位置であってもよい。閉鎖位置が中心を越えているため、クランプ1204を解放するためにクランプハンドル1206に力が加えられなければリンケージは開放されない。したがって、ロック位置では、エンドエフェクタ602は、ロボットアーム604に堅固に固定され得る。
【0095】
ばね1210は、張力がかかった湾曲ビームであってもよい。ばね1210は、バージンPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの高い剛性及び高い降伏歪みを呈する材料から構成されてもよい。エンドエフェクタ602とロボットアーム604との間のリンケージは、2つの結合の締結を妨げることなく、エンドエフェクタ602とロボットアーム604との間に無菌バリアを提供し得る。
【0096】
補強結合は、複数のばね部材を有するリンケージであってもよい。補強結合は、カム又は摩擦ベースの機構でラッチしてもよい。補強結合はまた、エンドエフェクタ102をロボットアーム604に締結することを支持する十分に強力な電磁石であってもよい。補強結合は、エンドエフェクタ602及び/又はロボットアーム604のいずれかから完全に分離したマルチピースカラーであってもよく、エンドエフェクタ602とロボットアーム604との間の境界面上を摺動し、ねじ機構、オーバーセンターリンケージ、又はカム機構で締め付ける。
【0097】
図10及び
図11を参照すると、外科的処置の前又は最中に、ナビゲーション空間及び画像空間の両方において物体及び患者210の標的解剖学的構造を追跡するために、特定の位置合わせ処置が行われ得る。このような位置合わせを行うために、
図19に示すような位置合わせシステム1400が使用され得る。
【0098】
患者210の位置を追跡するために、患者追跡デバイス116は、患者210の剛性解剖学的構造に固定される患者固定器具1402を含み得、動的基準基部(DRB)1404は、患者固定器具1402にしっかりと装着され得る。例えば、患者固定器具1402は、動的基準基部1404の開口部1406内に挿入され得る。動的基準基部1404は、追跡サブシステム532などの追跡デバイスに可視であるマーカ1408を含み得る。これらのマーカ1408は、本明細書で前述したように、追跡マーカ118などの光学マーカ又は反射球であり得る。
【0099】
患者固定器具1402は、患者210の硬い解剖学的構造に装着され、外科的処置を通して装着されたままであってもよい。例示的な一実施形態では、患者固定器具1402は、患者210の硬い領域、例えば、外科的処置を受ける標的解剖学的構造から離れて位置する骨に装着される。標的解剖学的構造を追跡するために、動的基準基部1404は、標的解剖学的構造の場所に動的基準基部1404を位置合わせするために、標的解剖学的構造上又はその近くに一時的に配置される位置合わせ固定具を使用することによって、標的解剖学的構造に関連付けられる。
【0100】
位置合わせ固定具1410は、枢動アーム1412を使用することによって患者固定器具1402に装着される。枢動アーム1412は、位置合わせ固定具1410の開口部1414を通して患者固定器具1402を挿入することによって患者固定器具1402に装着される。枢動アーム1412は、例えば、枢動アーム1412の開口部1418を通してノブ1416を挿入することによって、位置合わせ固定具1410に装着される。
【0101】
位置合わせ固定具1410は、枢動アーム1412を使用して、標的解剖学的構造の上に配置されてもよく、その場所は、位置合わせ固定具1410上の追跡マーカ1420及び/又は基準1422を使用して、画像空間及びナビゲーション空間内で決定され得る。位置合わせ固定具1410は、ナビゲーション空間内で可視であるマーカ1420の集合を含み得る(例えば、マーカ1420は、追跡サブシステム532によって検出可能であり得る)。追跡マーカ1420は、本明細書で前述したように、赤外光で可視の光学マーカであってもよい。位置合わせ固定具1410はまた、撮像空間(例えば、三次元CT画像)内で可視である、例えば、ベアリングボールなどの基準1422の集合を含み得る。
図20に関してより詳細に説明されるように、標的解剖学的構造は、位置合わせ固定具1410を使用して動的基準基部1404と関連付けられ得、それによって、ナビゲーション空間内の物体の描写を解剖学的構造の画像上に重ね合わせることが可能になる。標的解剖学的構造から離れた位置に配置された動的基準基部1404は、基準点になり得、それによって、位置合わせ固定具1410及び/又は枢動アーム1412を手術領域から除去することが可能になる。
【0102】
図20は、本開示と一致する位置合わせのための例示的な方法1500を示す。方法1500は、ステップ1502で始まり、標的解剖学的構造のグラフィカル表現(又は画像(複数可))が、システム100、300、600、例えばコンピュータ408にインポートされ得る。グラフィカル表現は、位置合わせ固定具1410及び基準1420の検出可能な撮像パターンを含む、患者210の標的解剖学的構造の三次元CT又は蛍光透視スキャンであり得る。
【0103】
ステップ1504において、基準1420の撮像パターンが検出され、撮像空間において位置合わせされ、コンピュータ408に記憶される。任意選択的に、この時点でステップ1506において、位置合わせ固定具1410のグラフィカル表現が、標的解剖学的構造の画像上に重ね合わされてもよい。
【0104】
ステップ1508において、マーカ1420を認識することによって、位置合わせ固定具1410のナビゲーションパターンが検出され、位置合わせされる。マーカ1420は、位置センサ540を介して追跡サブシステム532によって赤外光を通してナビゲーション空間内で認識される光学マーカであってもよい。したがって、標的解剖学的構造の場所、配向、及び他の情報は、ナビゲーション空間内で位置合わせされる。したがって、位置合わせ固定具1410は、基準1422の使用による画像空間と、マーカ1420の使用によるナビゲーション空間との両方において認識され得る。ステップ1510において、画像空間における位置合わせ固定具1410の位置合わせがナビゲーション空間に転送される。この転送は、例えば、マーカ1420のナビゲーションパターンの位置と比較した基準1422の撮像パターンの相対位置を使用することによって行われる。
【0105】
ステップ1512において、(画像空間と位置合わせされた)位置合わせ固定具1410のナビゲーション空間の位置合わせは、患者固定器具1402に装着された動的位置合わせ配列1404のナビゲーション空間に更に転送される。したがって、ナビゲーション空間が画像空間に関連付けられているため、位置合わせ固定具1410は除去されてもよく、動的基準基部1404が、ナビゲーション空間と画像空間の両方で標的解剖学的構造を追跡するために使用されてもよい。
【0106】
ステップ1514及び1516において、ナビゲーション空間は、ナビゲーション空間内で可視のマーカを有する画像空間及び物体(例えば、光学マーカ804を有する外科用器具608)に重ね合わされてもよい。物体は、標的解剖学的構造の画像上の外科用器具608のグラフィカル表現を通じて追跡され得る。
【0107】
図21A~
図21Bは、患者210の術前、術中、術後、及び/又はリアルタイムの画像データを取得するためにロボットシステム100、300、600と併せて使用され得る撮像デバイス1304を示す。任意の適切な対象物が、任意の適切な処置のために、撮像システム1304を使用して撮像され得る。撮像システム1304は、撮像デバイス1306及び/又はCアーム1308デバイスなどの任意の撮像デバイスであり得る。X線システムにおいて必要とされ得る患者210の頻繁な手動再配置を必要とせずに、多数の異なる位置から患者210のX線を撮ることが望ましい場合がある。
図21Aに示されるように、撮像システム1304は、「C」字形状の対向する遠位端1312で終端する細長いC字形部材を含むCアーム1308の形態であってもよい。C字形部材1130は、X線源1314及び画像レセプタ1316を更に含んでもよい。アームのCアーム1308内の空間は、医師がX線支持構造1318からの干渉を実質的に受けずに患者に接する余地を提供し得る。
図21Bに示されるように、撮像システムは、図示されない画像捕捉部分を囲い込み得る、車輪1332を伴う車輪付き移動カート1330などの支持構造撮像デバイス支持構造1328に装着されるガントリハウジング1324を有する、撮像デバイス1306を含み得る。画像捕捉部分は、X線源及び/又は発光部分並びにX線受信部分及び/又は画像受信部分を含み、これらは、互いに約180度に配設され、画像捕捉部分の軌道に対してロータ(図示せず)に取り付けられてもよい。画像捕捉部分は、画像取得中に360度回転するように動作可能であってもよい。画像捕捉部分は、中心点及び/又は軸の周りを回転してもよく、患者210の画像データが複数の方向から又は複数の平面内で取得されることを可能にする。特定の撮像システム1304が本明細書において例示されるが、任意の好適な撮像システムが当業者によって選択され得ることが理解されよう。
【0108】
ここで
図22A~22Cを参照すると、外科用ロボットシステム100、300、600は、所望の術野に対するエンドエフェクタ112、602、外科用器具608、及び/又は患者210(例えば、患者追跡デバイス116)の正確な位置決めに依存する。
図22A~22Cに示される実施形態では、追跡マーカ118、804は、器具608及び/又はエンドエフェクタ112の一部に堅固に取り付けられる。
【0109】
図22Aは、基部106、ロボットアーム104、及びエンドエフェクタ112を含むロボット102を伴う外科用ロボットシステム100の一部を示す。ディスプレイやカメラなどの図示されていない他の要素も、本明細書で説明されるように存在し得る。
図22Bは、エンドエフェクタ112に堅固に取り付けられたガイド管114及び複数の追跡マーカ118を有するエンドエフェクタ112の拡大図を示す。本実施形態では、複数の追跡マーカ118が、ガイド管112に取り付けられている。
図22Cは、器具608に堅固に取り付けられた複数の追跡マーカ804を有する器具608(この場合、プローブ608A)を示す。本明細書の他の場所で説明されるように、器具608は、限定ではないが、ガイドワイヤ、カニューレ、開創器、ドリル、リーマ、ねじ回し、挿入ツール、除去ツール、又は同等物などの任意の好適な外科用器具を含むことができる。
【0110】
器具608、エンドエフェクタ112、又は3Dで追跡される他の物体を追跡するとき、追跡マーカ118、804の配列は、ツール608又はエンドエフェクタ112の一部に堅固に取り付けられ得る。好ましくは、追跡マーカ118、804は、マーカ118、804が邪魔にならないように(例えば、外科手術、可視性などを妨げないように)取り付けられる。マーカ118、804は、器具608、エンドエフェクタ112、又は例えば配列612を用いて追跡される他の物体に取り付けられてもよい。通常、3つ又は4つのマーカ118、804が、配列612と共に使用される。配列612は、線形部分、横材を含んでもよく、マーカ118、804が互いに対して異なる相対位置及び場所にあるように非対称であり得る。例えば、
図22Cに示されるように、4マーカ追跡配列612を伴うプローブ608Aが示され、
図22Bは、異なる4マーカ追跡配列612を伴うエンドエフェクタ112を示す。
【0111】
図22Cでは、追跡配列612は、プローブ608Aのハンドル620として機能する。したがって、4つのマーカ804は、シャフト622及び先端624の邪魔にならないプローブ608Aのハンドル620に取り付けられる。これらの4つのマーカ804の立体写真測量追跡は、器具608が剛体として追跡されることを可能にし、プローブ608Aが追跡カメラ200、326の前であちこち移動される間に、追跡システム100、300、600が、先端624の位置及びシャフト622の配向を正確に判定することを可能にする。
【0112】
1つ以上のツール608、エンドエフェクタ112、又は3Dで追跡される他の物体(例えば、複数の剛体)の自動追跡を可能にするために、各ツール608、エンドエフェクタ112などのマーカ118、804は、既知のマーカ間間隔で非対称に配置される。非対称位置合わせの理由は、どのマーカ118、804が剛体上の特定の場所に対応するか、及びマーカ118、804が前面から見られているか後面から見られているか、すなわち鏡像化されているかが明確になるようにするためである。例えば、マーカ118、804がツール608又はエンドエフェクタ112上で正方形に配置された場合、システム100、300、600にとって、どのマーカ118、804が正方形のどの角に対応したかは不明瞭である。例えば、プローブ608Aでは、どのマーカ804がシャフト622に最も近いかが不明である。したがって、シャフト622が配列612からどの方向に延びているかは不明である。したがって、各配列612、したがって各ツール608、エンドエフェクタ112、又は追跡されるべき他の物体は、追跡されている他のツール608又は他の物体から識別されることを可能にするために、固有のマーカパターンを有するべきである。非対称性及び固有のマーカパターンは、システム100、300、600が個々のマーカ118、804を検出し、次いで、記憶されたテンプレートに対してマーカ間隔をチェックして、どのツール608、エンドエフェクタ112、又は他の物体を表わすかを判定することを可能にする。次に、検出されたマーカ118、804を自動的にソートし、正しい順序で各追跡対象に割り当てることができる。この情報がなければ、ユーザが、どの検出されたマーカ118、804が各剛体上のどの位置に対応するかを手動で指定しない限り、剛体計算を実行して、例えば、ツール先端624及びシャフト622の位置合わせなどの重要な幾何学的情報を抽出することができない。これらの概念は、3D光学追跡の方法の当業者に一般的に知られている。
【0113】
ここで
図23A~23Dを参照すると、可動追跡マーカ918A~918Dを有するエンドエフェクタ912の代替バージョンが示されている。
図23Aでは、可動追跡マーカ918A~918Dを有する配列が第1の構成で示されており、
図23Bでは、可動追跡マーカ918A~918Dが、第1の構成に対して角度が付けられた第2の構成で示されている。
図23Cは、例えば、
図23Aの第1の構成においてカメラ200、326によって見られるような追跡マーカ918A~918Dのテンプレートを示し、
図23Dは、例えば、
図23Bの第2の構成においてカメラ200、326によって見られるような追跡マーカ918A~918Dのテンプレートを示す。
【0114】
本実施形態では、マーカ918A~918Dが全て剛体に対して固定位置にあるわけではなく、その代わりに、配列マーカ918A~918Dのうちの1つ以上を、例えば試験中に調整して、追跡されるマーカ918A~918Dの自動検出及びソートのためのプロセスを中断することなく、追跡されている剛体に関する更新された情報を与えることができる4マーカ配列追跡が企図される。
【0115】
ロボットシステム100、300、600のエンドエフェクタ912に接続されたガイド管914などの任意のツールを追跡するとき、追跡配列の主な目的は、カメラ座標系におけるエンドエフェクタ912の位置を更新することである。例えば、
図22Bに示されるように、剛性システムを使用するとき、反射マーカ118の配列612は、ガイド管114から剛性的に延在する。追跡マーカ118は堅固に接続されているため、カメラ座標系におけるマーカ場所を知ることはまた、カメラ座標系におけるガイド管114の中心線、先端、及び後端の正確な場所を提供する。典型的には、そのような配列612からのエンドエフェクタ112の位置についての情報、及び別の追跡されたソースからの目標軌道の場所についての情報は、ガイド管114を軌道と整列するように移動させ、先端を軌道ベクトルに沿って特定の場所に移動させるロボット102の各軸に対して入力しなければならない必要な移動を計算するために使用される。
【0116】
時には、所望の軌道は厄介な場所又は到達不可能な場所にあるが、ガイド管114を旋回させることができれば、到達することができる。例えば、ロボット102の基部106から離れる方向を指す非常に急勾配の軌道は、ガイド管114がピッチ(手首の上下角度)軸の限界を超えて上方に旋回され得る場合に到達可能であり得るが、ガイド管114が手首の端部にそれを接続するプレートに平行に取り付けられる場合には到達可能でなくなる可能性がある。そのような軌道に到達するために、ロボット102の基部106が移動されてもよく、又は異なるガイド管アタッチメントを伴う異なるエンドエフェクタ112が、作業エンドエフェクタと交換されてもよい。これらの解決策は両方とも、時間がかかり、面倒であり得る。
【0117】
図23A及び23Bに最もよく示されるように、配列908が、マーカ918A~918Dのうちの1つ以上が固定位置になく、代わりに、マーカ918A~918Dのうちの1つ以上を調整、旋回、旋回、又は移動することができるように構成される場合、ロボット102は、検出及び追跡プロセスを中断することなく、追跡されている物体に関する更新された情報を提供することができる。例えば、マーカ918A~918Dのうちの1つは、定位置に固定されてもよく、他のマーカ918A~918Dは、移動可能であってもよい。マーカ918A~918Dのうちの2つは所定の位置に固定されてもよく、他のマーカ918A~918Dは移動可能であってもよい。マーカ918A~918Dのうちの3つは所定の位置に固定されてもよく、他のマーカ918A~918Dは移動可能であってもよい。又は、マーカ918A~918Dの全てが移動可能であってもよい。
【0118】
図23A及び23Bに示される実施形態では、マーカ918A、918Bは、エンドエフェクタ912の基部906に直接堅く接続され、マーカ918C、918Dは、管914に堅く接続される。配列612と同様に、配列908が、マーカ918A~918Dをエンドエフェクタ912、器具608、又は追跡される他の物体に取り付けるために設けられてもよい。しかしながら、この場合、配列908は、複数の別個の構成要素からなる。例えば、マーカ918A、918Bは、第1の配列908Aで基部906に接続されてもよく、マーカ918C、918Dは、第2の配列908Bでガイド管914に接続されてもよい。マーカ918Aは、第1の配列908Aの第1の端部に取り付けられてもよく、マーカ918Bは、直線距離だけ分離され、第1の配列908Aの第2の端部に取り付けられてもよい。第1の配列908は、実質的に直線状であるが、第2の配列908Bは、屈曲又はV字形構成を有し、それぞれの根元端部は、ガイド管914に接続され、そこから遠位端にV字形に分岐し、マーカ918Cが一方の遠位端にあり、マーカ918Dが他方の遠位端にある。本明細書では特定の構成が例示されているが、異なる数及びタイプの配列908A、908B、並びに異なる配置、数、及びタイプのマーカ918A~918Dを含む他の非対称設計が企図されることが理解されよう。
【0119】
ガイド管914は、例えば、ヒンジ920又は基部906への他のコネクタを横切って、基部906に対して移動可能、旋回可能、又は枢動可能であってもよい。したがって、マーカ918C、918Dは、ガイド管914が枢動、旋回、又は移動するとき、マーカ918C、918Dも枢動、旋回、又は移動するように移動可能である。
図23Aに最もよく示されるように、ガイド管914は、マーカ918A~918Dが第1の構成を有するように、実質的に垂直又は垂直配向で整列される長手方向軸916を有する。ここで
図23Bを参照すると、ガイド管914は、マーカ918A~918Dが第1の構成とは異なる第2の構成を有するように、長手方向軸916が垂直配向に対して角度をなすように枢動、旋回、又は移動される。
【0120】
図23A~
図23Dに関して説明した実施形態とは対照的に、4つのマーカ918A~918Dの全てがガイド管914に堅固に取り付けられたままである状態で、ガイド管914とアーム104(例えば、手首取付具)との間にスイベルが存在し、このスイベルがユーザによって調整された場合、ロボットシステム100、300、600は、ガイド管914の配向が変化したことを自動的に検出することができない。ロボットシステム100、300、600は、マーカ配列908の位置を追跡し、ガイド管914が以前の配向で手首(ロボットアーム104)に取り付けられたと仮定して、不正確なロボット軸移動を計算する。1つ以上のマーカ918A~918D(例えば、2つのマーカ918C、918D)を管914上に堅固に保持し、1つ以上のマーカ918A~918D(例えば、2つのマーカ918A、918B)をスイベルにわたって保持することによって、新しい位置の自動検出が可能になり、ロボットアーム104の端部上の新しいツール又はエンドエフェクタ112、912の検出に基づいて正しいロボット移動が計算される。
【0121】
マーカ918A~918Dのうちの1つ以上は、任意の好適な手段に従って、移動、枢動、旋回などされるように構成される。例えば、マーカ918A~918Dは、クランプ、ばね、レバー、スライド、トグルなどのヒンジ920、又はマーカ918A~918Dを個別に又は組み合わせて移動させ、配列908A、908Bを個別に又は組み合わせて移動させ、エンドエフェクタ912の任意の部分を別の部分に対して移動させ、又はツール608の任意の部分を別の部分に対して移動させるための任意の他の適切な機構によって移動させることができる。
【0122】
図23A及び23Bに示されるように、配列908及びガイド管914は、単にクランプ又はヒンジ920を緩め、配列908A、908Bの一部を他の部分908A、908Bに対して移動させ、ガイド管914が異なる位置に配向されるようにヒンジ920を締め直すことによって再構成可能になり得る。例えば、2つのマーカ918C、918Dは、管914と堅固に相互接続されてもよく、2つのマーカ918A、918Bは、ヒンジ920を横断して、ロボットアーム104に取り付けられるエンドエフェクタ912の基部906に堅固に相互接続されてもよい。ヒンジ920は、ユーザが第1の構成(
図23A)と第2の構成(
図23B)との間で迅速に切り替えることを可能にするように、緩められ、再び締められることができる、蝶ナットなどのクランプの形態であってもよい。
【0123】
カメラ200、326は、例えば、
図23C及び23Dにおいて識別されるテンプレートのうちの1つにおいて、マーカ918A~918Dを検出する。配列908が第1の構成(
図23A)にあり、追跡カメラ200、326がマーカ918A~918Dを検出した場合、追跡されたマーカは、
図23Cに示すように配列テンプレート1に一致する。配列908が第2の構成(
図23B)であり、追跡カメラ200、326が同じマーカ918A~918Dを検出した場合、追跡されたマーカは、
図23Dに示すように配列テンプレート2に一致する。配列テンプレート1及び配列テンプレート2は、システム100、300、600によって、2つの別個のツールとして認識され、各々は、ガイド管914と、マーカ918A~918Dと、ロボットアタッチメントとの間で独自に定義された空間関係を有する。したがって、ユーザは、システム100、300、600に変化を通知することなく、第1の構成と第2の構成との間でエンドエフェクタ912の位置を調整することができ、システム100、300、600は、軌道上に留まるようにロボット102の動きを適切に調整する。
【0124】
本実施形態では、システム100、300、600がアセンブリを2つの異なるツール又は2つの異なるエンドエフェクタとして認識することを可能にする固有のテンプレートにマーカ配列が一致する2つのアセンブリ位置がある。これらの2つの位置(すなわち、それぞれ、
図23C及び23Dに示される配列テンプレート1及び配列テンプレート2)の間又は外側の旋回の任意の位置において、マーカ918A~918Dは、任意のテンプレートと一致せず、システム100、300、600は、個々のマーカ918A~918Dがカメラ200、326によって検出されているにもかかわらず、存在する任意の配列を検出せず、その結果、マーカ918A~918Dがカメラ200、326の視野から一時的に遮断された場合と同じである。他の配列テンプレートが、例えば、異なる器具608又は他のエンドエフェクタ112、912などを識別する、他の構成のために存在し得ることが理解されるであろう。
【0125】
説明される実施形態では、2つの別個のアセンブリ位置が、
図23A及び23Bに示される。しかしながら、スイベルジョイント、線形ジョイント、スイベルジョイントと線形ジョイントとの組み合わせ、ペグボード、又は他のアセンブリ上に複数の別個の位置が存在する可能性があり、そこで、配列の1つ以上のマーカ918A~918Dの位置を他のマーカに対して調整することによって固有のマーカテンプレートが作成され得、各別個の位置は、特定のテンプレートに整合し、異なる既知の属性を有する固有のツール608又はエンドエフェクタ112、912を画定することを理解されたい。加えて、エンドエフェクタ912について例示されているが、可動及び固定マーカ918A~918Dは、任意の好適な器具608又は追跡される他の物体と共に使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0126】
(例えば、
図22A及び22Bに描写されるように)ロボットのエンドエフェクタ112に取り付けられた3つ以上のマーカの完全剛体配列を追跡するために外部3D追跡システム100、300、600を使用するとき、カメラ200、326の座標系におけるロボット102のあらゆる区分の3D位置を直接追跡又は計算することが可能である。トラッカに対するジョイントの幾何学的配向は、設計によって知られており、ジョイントの直線位置又は角度位置は、ロボット102の各モータのエンコーダから既知であり、エンドエフェクタ112から基部116までの可動部品の全ての3D位置を完全に定義する。同様に、トラッカがロボット102の基部106(図示せず)上に搭載された場合、各モータのエンコーダからの既知のジョイント形状及びジョイント位置に基づいて、基部106からエンドエフェクタ112までのロボット102のあらゆるセクションの3D位置を追跡又は計算することが同様に可能である。
【0127】
いくつかの状況では、エンドエフェクタ112に堅固に取り付けられた3つ未満のマーカ118からロボット102の全てのセグメントの位置を追跡することが望ましい場合がある。具体的には、ツール608がガイド管114内に導入される場合、1つの追加マーカ118のみが追跡される状態で、ロボット902の完全剛体運動を追跡することが望ましい場合がある。
【0128】
ここで
図24A~24Eを参照すると、単一の追跡マーカ1018のみを有するエンドエフェクタ1012の代替バージョンが示されている。エンドエフェクタ1012は、本明細書に記載される他のエンドエフェクタと同様であってもよく、長手方向軸1016に沿って延在するガイド管1014を含み得る。本明細書で説明される他の追跡マーカと同様の単一の追跡マーカ1018が、ガイド管1014に堅固に取り付けられてもよい。この単一のマーカ1018は、完全な剛体追跡を可能にするために失われた自由度を追加する目的を果たすことができる、及び/又はロボット及びカメラの位置決めに関する仮定が有効であることを保証するために監視マーカとして機能する目的を果たすことができる。
【0129】
単一の追跡マーカ1018は、任意の好都合な方向に突出し、外科医の視界を妨げない、エンドエフェクタ1012への剛性延長部としてロボットエンドエフェクタ1012に取り付けられてもよい。追跡マーカ1018は、ガイド管1014又はエンドエフェクタ1012上の任意の他の好適な場所に取り付けられてもよい。ガイド管1014に取り付けられると、追跡マーカ1018は、ガイド管1014の第1の端部と第2の端部との間の場所に位置決めされ得る。例えば、
図24Aでは、単一の追跡マーカ1018は、ガイド管1014から前方に延在し、ガイド管1014の中点の上でガイド管1014の入口の下に長手方向に配置された細いシャフト1017の端部に搭載された反射球として示されている。この位置は、マーカ1018がカメラ200、326によって概ね可視であることを可能にするが、外科医120の視界を妨げたり、手術の近くの他のツール又は物体と衝突したりすることがない。更に、この位置にマーカ1018を有するガイド管1014は、ガイド管1014上の単一のマーカ1018が見えるのと同時に、ガイド管1014に導入された任意のツール608上のマーカ配列が見えるように設計されている。
【0130】
図24Bに示されるように、ぴったりと適合するツール又は器具608がガイド管1014内に配置されるとき、器具608は、6自由度のうちの4つで機械的に拘束されるようになる。すなわち、器具608は、ガイド管1014の長手方向軸1016の周りを除いて任意の方向に回転させることができず、器具608は、ガイド管1014の長手方向軸1016に沿った方向を除いて任意の方向に並進させることができない。換言すれば、器具608は、ガイド管1014の中心線に沿って並進し、その中心線を中心に回転することのみが可能である。(1)ガイド管1014の長手方向軸1016を中心とした回転角、及び(2)ガイド管1014に沿った位置など、更に2つのパラメータが既知である場合、カメラ座標系におけるエンドエフェクタ1012の位置が完全に定義される。
【0131】
ここで
図24Cを参照すると、システム100、300、600は、ツール608が実際にガイド管1014の内側に位置決めされ、代わりにガイド管1014の外側ではなく、カメラ200、326の視野内のどこかにあるときを知ることができるはずである。ツール608は、長手方向軸又は中心線616と、複数の追跡されるマーカ804を有する配列612とを有する。剛体計算は、ツール608上の配列612の追跡された位置に基づいて、ツール608の中心線616がカメラ座標系においてどこに位置するかを判定するために使用され得る。
【0132】
単一のマーカ1018からガイド管1014の中心線又は長手方向軸1016までの固定された法線(垂直)距離DFは固定されており、幾何学的に既知であり、単一のマーカ1018の位置を追跡することができる。したがって、ツール中心線616から単一のマーカ1018までの検出された距離DDが、ガイド管中心線1016から単一のマーカ1018までの既知の固定距離DFと一致するとき、ツール608がガイド管1014内にある(ツール608及びガイド管1014の中心線616、1016が一致する)か、又はこの距離DDが固定距離DFと一致する可能性のある位置の軌跡内のある点にたまたま位置するかのいずれかであると判定することができる。例えば、
図24Cでは、ツール中心線616から単一のマーカ1018までの通常の検出距離DDは、2つの位置における透明なツール608によって表されるデータの両フレーム(追跡されたマーカ座標)において、ガイド管中心線1016から単一のマーカ1018までの固定距離DFと一致し、したがって、ツール608がいつガイド管1014内に位置するかを判定するために、追加の考慮事項が必要とされ得る。
【0133】
次に
図24Dを参照すると、プログラムされた論理を使用して、ツール608がガイド管1014内で移動しているという条件を満たすために、ツール608が単一球1018に対してある最小距離を超えて空間内で移動しているにもかかわらず、ツール中心線616から単一のマーカ1018までの検出距離DDが正しい長さに固定されたままである追跡データのフレームを探すことができる。例えば、第1のフレームF1は、ツール608が第1の位置にある状態で検出され得、第2のフレームF2は、ツール608が第2の位置にある(すなわち、第1の位置に対して直線的に移動された)状態で検出され得る。ツール配列612上のマーカ804は、第1のフレームF1から第2のフレームF2に所与の量より多く(例えば、合計5mm超)移動し得る。この移動があっても、ツール中心線ベクトルC’から単一のマーカ1018までの検出距離DDは、第1フレームF1及び第2フレームF2の両方において実質的に同一である。
【0134】
論理的には、外科医120又はユーザは、ツール608をガイド管1014内に配置し、それをわずかに回転させるか、又はガイド管1014内に滑り込ませることができ、システム100、300、600は、5つのマーカ(ツール608上の4つのマーカ804に加えてガイド管1014上の単一のマーカ1018)の追跡から、ツール608がガイド管1014内にあることを検出することができる。ツール608がガイド管1014内にあることを知って、空間内のロボットエンドエフェクタ1012の位置及び配向を定義する6自由度全てを計算することができる。単一のマーカ1018がなければ、ツール608がガイド管1014内にあることが確実に分かっていても、ガイド管1014がツールの中心線ベクトルC’に沿ってどこに位置しているか、及びガイド管1014が中心線ベクトルC’に対してどのように回転しているかが不明である。
【0135】
図24Eに着目すると、ツール608上の4つのマーカ804と同様に追跡される単一のマーカ1018の存在により、ガイド管1014及びツール608の中心線ベクトルC’と、単一のマーカ1018及び中心線ベクトルC’を通る法線ベクトルとを構築することが可能である。この法線ベクトルは、手首から遠位のロボットの前腕に対して既知の配向(この例では、そのセグメントに平行に向けられている)であり、特定の固定位置で中心線ベクトルC’と交差する配向を有する。便宜上、
図24Eに示されるように、ガイド管1014の剛体位置及び配向を定義する3つの相互に直交するベクトルk’、j’、i’を構築することができる。3つの相互に直交するベクトルk’のうちの1つは、中心線ベクトルC’から構築され、第2のベクトルj’は、単一のマーカ1018を通る法線ベクトルから構築され、第3のベクトルi’は、第1及び第2のベクトルk’、j’のベクトル外積である。これらのベクトルk’、j’、i’に対するロボットのジョイント位置は既知であり、全てのジョイントが0であるときに固定され、したがって、剛体計算を使用して、ロボットがホーム位置にあるときのこれらのベクトルk’、j’、i’に対するロボットの任意のセクションの場所を判定することができる。ロボットの移動中、ツールマーカ804の位置(ツール608がガイド管1014内にある間)及び単一のマーカ1018の位置が追跡システムから検出され、各ジョイントの角度/直線位置がエンコーダから既知である場合、ロボットの任意の部分の位置及び配向を判定することができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、ガイド管1014に対するツール608の配向を固定することが有用であり得る。例えば、エンドエフェクタガイド管1014は、機械加工又はインプラントの位置決めを可能にするために、その軸1016を中心とした特定の位置に配向され得る。ガイド管1014に挿入されたツール608に取り付けられたものの配向は、ツール608上の追跡されたマーカ804から分かるが、カメラ座標系におけるガイド管1014自体の回転配向は、ガイド管1014上の追加の追跡マーカ1018(又は他の実施形態では複数の追跡マーカ)なしでは分からない。このマーカ1018は、中心線ベクトルC’に対するマーカ1018の配向に基づいて、本質的に-180度から+180度の「クロック位置」を提供する。したがって、単一のマーカ1018は、完全な剛体追跡を可能にする追加の自由度を提供することができ、及び/又はロボット及びカメラの位置決めに関する仮定が有効であることを保証する監視マーカとして機能することができる。
【0137】
図25は、ロボット102のエンドエフェクタ1012(又は本明細書に説明される任意の他のエンドエフェクタ)を所望の目標軌道にナビゲート及び移動させるための方法1100のブロック図である。ロボットエンドエフェクタ1012又はガイド管1014上の単一マーカ1018の別の使用は、方法1100の一部として、ロボット102に取り付けられたフル追跡配列なしでロボット102の自動化された安全な移動を可能にすることである。この方法1100は、追跡カメラ200、326がロボット102に対して移動せず(すなわち、それらが固定位置にある)、追跡システムの座標系及びロボットの座標系が相互に位置合わせされ、ガイド管1014の位置及び配向が各ロボット軸の符号化された位置のみに基づいてロボットのデカルト座標系において正確に判定され得るようにロボット102が較正されるときに機能する。
【0138】
この方法1100では、トラッカ及びロボットの座標系は相互に位置合わせされなければならず、これは、追跡システムのデカルト座標系からロボットのデカルト座標系への座標変換が必要であることを意味する。便宜上、この座標変換は、ロボット工学の分野でよく知られている並進及び回転の4×4行列とすることができる。この変換は、「カメラからロボットへの変換」を指すためにTcrと呼ばれる。この変換が知られると、追跡データの任意の新しいフレームは、各追跡されたマーカに対するベクトル形式のx、y、z座標として受信され、4×4行列によって乗算されることができ、結果として生じるx、y、z座標は、ロボットの座標系にある。Tcrを得るために、ロボット上の完全な追跡配列は、ロボットの座標系において既知な場所でロボットに堅固に取り付けられている間に追跡され、次いで、既知な剛体法を使用して座標の変換を計算する。ロボット102のガイド管1014に挿入された任意のツール608は、追加のマーカ1018も読み取られるときに、堅固に取り付けられた配列と同じ剛体情報を提供することができることは明らかである。すなわち、ツール608は、固定された位置及び配向ではなく、ガイド管1014内の任意の位置及びガイド管1014内の任意の回転で挿入される必要があるだけである。したがって、追跡配列612を有する任意のツール608をガイド管1014に挿入し、ツールの配列612とガイド管1014の単一のマーカ1018とを読み取ると同時に、各軸上のエンコーダからロボットの座標系におけるガイド管1014の現在場所を判定することによって、Tcrを判定することが可能である。
【0139】
ロボット102を目標軌道にナビゲートして移動させるためのロジックは、
図25の方法1100において提供される。ループ1102に入る前に、変換Tcrが以前に記憶されたと仮定する。したがって、ループ1102に入る前に、ステップ1104において、ロボット基部106が固定された後、ロボットが静止している間にガイド管に挿入されたツールの追跡データの1フレーム以上が記憶され、ステップ1106において、カメラ座標からロボット座標Tcrへのロボットガイド管位置の変換が、この静止データ及び以前の較正データから計算される。Tcrは、カメラ200、326がロボット102に対して移動しない限り、有効なままであるべきである。カメラ200、326がロボット102に対して移動し、Tcrを再取得する必要がある場合、システム100、300、600は、ユーザにツール608をガイド管1014に挿入するように促し、次いで必要な計算を自動的に実行するようにすることができる。
【0140】
方法1100のフローチャートでは、収集されたデータの各フレームは、患者210上のDRB1404の追跡された位置、エンドエフェクタ1014上の単一マーカ1018の追跡された位置、及び各ロボット軸の位置のスナップショットからなる。ロボットの軸の位置から、エンドエフェクタ1012上の単一マーカ1018の場所が計算される。この計算された位置は、追跡システムから記録されたマーカ1018の実際の位置と比較される。値が一致する場合、ロボット102が既知の場所にあることを保証することができる。変換Tcrは、ロボット102の目標がロボットの座標系に関して提供され得るように、DRB1404の追跡された位置に適用される。次いで、ロボット102は、移動して目標に到達するように命令され得る。
【0141】
ステップ1104、1106の後、ループ1102は、追跡システムからDRB1404の剛体情報を受信するステップ1108、目標先端及び軌道を画像座標から追跡システム座標に変換するステップ1110、及び目標先端及び軌道をカメラ座標からロボット座標に変換する(Tcrを適用する)ステップ1112を含む。ループ1102は、追跡システムからロボットの単一の迷走マーカ位置を受信するステップ1114と、単一の迷走マーカを追跡システム座標からロボット座標に変換する(記憶されたTcrを適用する)ステップ1116とを更に含む。ループ1102はまた、順運動学からロボット座標系における単一ロボットマーカ1018の現在場所を判定するステップ1118を含む。ステップ1116及び1118からの情報は、ステップ1120において、変換された追跡位置からの迷走マーカ座標が、所与の許容差未満である計算された座標と一致するかどうかを判定するために使用される。はいの場合、ステップ1122に進み、ロボット移動を計算し、目標x、y、z及び軌道に適用する。いいえの場合、ステップ1124に進み、停止し、進む前にガイド管1014への完全な配列挿入を要求する。ステップ1126では、配列が挿入された後、Tcrを再計算し、次いで、ステップ1108、1114、及び1118を繰り返すことに進む。
【0142】
この方法1100は、場所を確認するための単一のマーカ1018の連続的な監視が省略される方法よりも有利である。単一のマーカ1018がない場合、Tcrを使用してエンドエフェクタ1012の位置を判定し、エンドエフェクタ1012を目標場所に送ることは依然として可能であるが、ロボット102が実際に予想場所にあったことを検証することはできない。例えば、カメラ200、326が衝突し、Tcrがもはや有効でなくなった場合、ロボット102は誤った場所に移動する。このため、単一のマーカ1018は、安全性に関する価値を提供する。
【0143】
ロボット102の所与の固定位置に対して、追跡カメラ200、326を新たな場所に移動させることが理論的に可能であり、単一の追跡されたマーカ1018は、配列ではなく単一の点であるために移動されないままである。そのような場合、システム100、300、600は、単一のマーカ1018の計算され追跡された場所が一致するため、いかなるエラーも検出しない。しかしながら、ロボットの軸がガイド管1012を新たな場所に移動させると、計算された位置と追跡された位置とが一致せず、安全性チェックが有効になる。
【0144】
「監視マーカ」という用語は、例えば、DRB1404に対して固定された場所にある単一のマーカに関して使用され得る。この例では、DRB1404がぶつかるか、又は他の方法で外れた場合、監視マーカの相対場所が変化し、ナビゲーションに問題がある可能性があることを外科医120に警告することができる。同様に、本明細書で説明される実施形態では、ロボットのガイド管1014上の単一のマーカ1018を用いて、システム100、300、600は、カメラ200、326がロボット102に対して移動したかどうかを連続的にチェックすることができる。ロボットの座標系に対する追跡システムの座標系の位置合わせが、例えば、カメラ200、326が衝突又は誤動作することによって、あるいはロボットが誤動作することによって失われた場合、システム100、300、600は、ユーザに警告することができ、補正を行うことができる。したがって、この単一のマーカ1018は、ロボット102のための監視マーカと考えることもできる。
【0145】
ロボット102に恒久的に搭載された完全な配列(例えば、
図16A~16Cに示されるエンドエフェクタ602上の複数の追跡マーカ702)では、カメラ200、326がロボット102に対して固定位置にあることが必要とされず、Tcrがロボット102の追跡された位置に基づいて各フレームで更新されるため、ロボット監視マーカとしての単一のマーカ1018のそのような機能は必要とされないことは明らかであろう。完全な配列の代わりに単一のマーカ1018を使用する理由は、完全な配列は、よりかさばり、邪魔であり、それによって、単一のマーカ1018よりも外科医の視野及び術野208へのアクセスを遮断し、完全な配列への視線は、単一のマーカ1018への視線よりも容易に遮断されるからである。
【0146】
ここで
図26A~26B及び27A~27Bを参照すると、固定及び可動追跡マーカ804、806の両方を含む、インプラントホルダ608B、608Cなどの器具608が描写される。インプラントホルダ608B、608Cは、ハンドル620と、ハンドル620から延在する外側シャフト622とを有し得る。シャフト622は、図示されるように、ハンドル620に対して実質的に垂直に、又は任意の他の好適な配向で位置決めされ得る。内側シャフト626は、一端にノブ628を有する外側シャフト622を通って延在してもよい。インプラント10、12は、当業者に公知の典型的な接続機構を使用して、インプラントホルダ608B、608Cの先端624において、他端でシャフト622に接続する。ノブ628は、例えば、インプラント10、12を拡張又は連接するために回転されてもよい。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,709,086号及び同第8,491,659号は、拡張可能な固定デバイス及び設置方法を記載している。
【0147】
インプラントホルダ608B、608Cなどのツール608を追跡するとき、追跡配列612は、配列612を構成するか、又はインプラントホルダ608B、608Cに別様に取り付けられる、固定マーカ804及び1つ以上の可動マーカ806の組み合わせを含み得る。ナビゲーション配列612は、インプラントホルダ器具608B、608Cに対して既知の場所に位置付けられる少なくとも1つ以上(例えば、少なくとも2つ)の固定位置マーカ804を含んでもよい。これらの固定マーカ804は、器具の幾何学的形状に対していかなる配向にも動くことができず、器具608が空間内のどこにあるかを定義するのに有用である。加えて、少なくとも1つのマーカ806が存在し、これは、配列612又は器具自体に取り付けることができ、固定マーカ804に対して所定の境界内で移動(例えば、摺動、回転など)することができる。システム100、300、600(例えば、ソフトウェア)は、可動マーカ806の位置をインプラント10の特定の位置、配向、又は他の属性(
図26A~
図26Bに示す拡張可能な椎体間スペーサの高さ、又は
図27A~
図27Bに示す連接椎体間スペーサの角度など)に相関させる。したがって、システム及び/又はユーザは、可動マーカ806の場所に基づいてインプラント10、12の高さ又は角度を判定することができる。
【0148】
図26A-26Bに示される実施形態では、4つの固定マーカ804が、インプラントホルダ608Bを画定するために使用され、第5の可動マーカ806は、インプラント高さ(例えば、収縮位置又は拡張位置)に関するフィードバックを提供するために、所定の経路内で摺動することが可能である。
図26Aは、初期高さにある拡張可能スペーサ10を示し、
図26Bは、可動マーカ806が異なる位置に並進した拡張状態にあるスペーサ10を示す。この場合、可動マーカ806は、インプラント10が拡張されるときに固定マーカ804に近づくが、この移動は、逆であってもよく、又は他の方法で異なってもよいことが企図される。マーカ806の線形並進量は、インプラント10の高さに対応する。2つの位置のみが示されているが、これを連続関数として有することが可能であり、それによって、任意の所与の拡張高さを可動マーカ806の特定の位置に相関させることができる。
【0149】
ここで
図27A~27Bを参照すると、4つの固定マーカ804が、インプラントホルダ608Cを画定するために使用され、第5の可動マーカ806は、インプラント連接角度に関するフィードバックを提供するために、所定の経路内で摺動するように構成される。
図27Aは、その初期線形状態にある連接スペーサ12を示し、
図27Bは、可動マーカ806が異なる位置に並進した、あるオフセット角度にある連接状態にあるスペーサ12を示す。マーカ806の直線並進量は、インプラント12の連接角度に対応する。2つの位置のみが示されているが、これを連続関数として有することが可能であり、それによって、任意の所与の連接角度を可動マーカ806の特定の位置に相関させることができる。
【0150】
これらの実施形態では、可動マーカ806は、位置に基づいてインプラント10、12の属性に関するフィードバックを提供するように連続的に摺動する。また、インプラント属性についての更なる情報を提供することも可能である、可動マーカ806が存在しなければならない別個の位置が存在し得ることも企図される。この場合、全てのマーカ804、806の各離散構成は、特定の配向又は特定の高さにおけるインプラントホルダ608B、608C及びインプラント10、12の特定の幾何学形状に相関する。加えて、可動マーカ806の任意の動きは、任意の他のタイプのナビゲートされるインプラントの他の可変属性のために使用され得る。
【0151】
可動マーカ806の線形移動に関して図示及び説明されているが、可動マーカ806は、マーカ806の回転又は他の移動がインプラント10、12に関する情報を提供するのに有用であり得る用途が存在し得るため、摺動のみに限定されるべきではない。一組の固定マーカ804と可動マーカ806との間の位置の任意の相対的変化は、インプラント10、12又は他のデバイスに関する関連情報であり得る。加えて、拡張可能な連接インプラント10、12が例示されているが、器具608は、スペーサ、ケージ、プレート、締結具、釘、ねじ、ロッド、ピン、ワイヤ構造、縫合糸、アンカークリップ、ステープル、ステント、骨移植片、生物製剤などの他の医療デバイス及び材料と共に機能することができる。
【0152】
本発明の原理によれば、画像に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内のナビゲートされる撮像デバイス10からの患者画像をカメラ空間内の実際の患者解剖学的構造に位置合わせするためのシステム420が提供される。本発明の一般的な実施形態は、術中撮像システム10と、ナビゲーション及び/又はロボット誘導システム100と、撮像転送及びデータ追跡デバイス(I/O)42、52とを含む。
【0153】
術中撮像システム10は、(1)三次元(3D)画像(例えば、CT、CBCT、MCT、PET、血管造影図、MRI、超音波など)を捕捉すること、(2)2次元(2D)画像(例えば、蛍光透視法、デジタル放射線撮影、超音波など)を捕捉すること、及び(3)2D及び3D画像の画像空間に対して較正される追跡マーカ(例えば、NIR再帰反射、NIR LED、可視など)を有する一体型又は着脱可能なナビゲーション配列68を含むことが可能である。
【0154】
ナビゲーション及び/又はロボット誘導システム100は、(1)様々なワークフロー(例えば、術中3D、術中2D、術前3D-2D、及び術中3D-2Dなど)における手術計画、ナビゲーション、及び誘導のために位置合わせされた2D及び/又は3D画像を使用すること、(2)マーカ116、68、702を追跡することができる一体型又は着脱可能な立体追跡カメラ200を含むことができる。612、804(例えば、NIR再帰反射、NIR LED、可視光など)。
【0155】
患者基準配列(DRB116)は、(1)患者解剖学的構造に堅固に取り付けることができ、(2)追跡マーカ(例えば、NIR再帰反射、NIR LED、可視光など)の配列を含む。
【0156】
撮像システム10とナビゲーションシステム100との間に接続された撮像転送及びデータ追跡デバイス(I/O)42、52(例えば、有線データ転送、無線データ転送、携帯型記憶デバイスを介したデータ転送など)は、(1)完全な患者登録情報及び関連する画像を転送することができ、(2)画像の送信側(術中撮像システム)及び画像の受信側(ナビゲーション及び/又はロボット誘導システム)のシステムタイプ互換性に基づいて一意のピアツーピア接続を識別及び確立することができる。
【0157】
ガントリを移動させるモータ66、67、102は、内側及び外側Cアーム70、72の位置、したがって、X線透過を検出する検出器パネルの位置を追跡するエンコーダを有する。具体的には、システムは、(垂直シャフト59を回転させるモータ内のエンコーダを使用して)ピッチ(レインボー)、ロール(チルト)、更にはヨーを追跡する。あるいは、検出器位置を追跡するために、別個の追跡配列をX線送信器又は検出器パネルのいずれかの既知の場所に取り付けることができる。
【0158】
図28に示す実施形態では、位置合わせは、変換行列、特に以下で説明する同次変換行列Tを使用して実行されるが、任意の他の処理方法を使用することもできる。
【0159】
本明細書で使用されるように、同次変換行列Tは、2つの剛体間の三次元幾何学的配置を表す4つの行及び4つの列を有し、その一例を以下に示す。
【0160】
【表1】
この行列T内で符号化されるのは、相対的な回転/配向と位置/並進の両方である。配向は、上に示したように、3つの行及び3つの列からなる回転行列として表され、各列は、x軸、y軸、及びz軸を中心とした回転を定義し、x成分、y成分、及びz成分を有する三次元の相互に直交する単位ベクトルからなる。相対位置/並進は、これらの2つの物体のx、y、及びz成分(上で「px」、「py」、及び「pz」で示されている)からなる三次元ベクトルとして表される。[0,0,0,1]の最後の行は、任意選択の行であり、数式を単純化して単一の行列演算で変換全体(回転及び並進の両方)を可能にするために使用される。次いで、この変換行列Tを使用して、三次元空間内の2つの物体間の三次元姿勢(位置及び配向)のシフトを完全に定義することができる。
【0161】
空間に2つの類似の物体(物体A及び物体B)があるか、又は同じ物体の2つの位置(位置A及び位置B)があると仮定すると、Aの姿勢に対するBの姿勢からのシフトを定義する同次変換Tは、A_X_Bと表すことができる。第3の物体又は位置Cがあり、Bに対するその姿勢がB_X_Cとして定義される場合、Aに対するCの姿勢は、これらの2つの変換を乗算することによって計算することができる。
【0162】
ナビゲートされる手術における位置合わせの文脈において、1つの目的は、患者と撮像デバイス10によって撮影された画像IMとの間の同次変換Tを計算することとして定義され得る。患者姿勢の場合、DRB116は、患者にしっかりと取り付けられているので使用することができる。したがって、患者と画像IMとの間の変換は、「DRB_X_lM」、すなわち、X線画像IMの位置及び配向に対する撮像時のDRB116の相対位置及び配向を定義する変換として表すことができる。
【0163】
前述したように、DRB116は、画像追跡マーカの配列を含み、患者の座標系を示す光学トラッカとして機能する。画像IMは、Audubon,PAのGlobus Medical,Inc.で入手可能なExcelsius3D(以下「E3D」)などの撮像システム10によって捕捉された画像の座標系である。画像IMは、3Dスキャン(例えば、CTスキャン又はMRI)又は2D蛍光透視/放射線撮影ショットであってもよい。
【0164】
剛体間の同次変換Tへの上記の導入により、好ましくは患者画像に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内の患者画像IMを物理空間内の物理的患者に位置合わせする方法を次に説明する。
【0165】
DRB_X_Imageは、DRBの座標系の原点と画像の座標系の原点との間の変換である。医用画像の座標系の場所及び方向性を定義することに関して、多くの異なる規格が存在する。例えば、画像空間の前方、下方、患者の右隅に原点を置くLPS(左、後、上)規格が使用され得る。この3D座標系の軸は、後方、上方、及び原点から左の患者の方を指す(したがって、略してLPS)。
【0166】
したがって、このDRB_X_Image変換(変換C)は、物理空間内の患者基準配列DRB116を介した患者の物理座標系と、画像空間内の画像IMに埋め込まれた患者の仮想座標系との間の相対姿勢をもたらす。これを「患者位置合わせ」と定義する。この変換プロセスは、外科用ロボットシステム100が3Dスキャン/2Dショット上でツールを仮想的に追跡し、ロボットアーム104及びエンドエフェクタ112にナビゲートされたガイダンスを提供して、仮想画像IM空間内の軌道計画に基づいて患者に対してどこに移動すべきかを知ることを可能にするものである。この位置合わせは、画像IMが取り込まれたときに撮像システム10のプロセッサによって自動的に計算される。
【0167】
DRB_X_Image(変換C)を計算するために、いくつかの中間変換(変換A及びB)が、画像IMが撮影されるときに計算される。追跡デバイス200(カメラシステム)は、
図2のシステム40と同様のコンピューティングシステムを含み、ガントリマウント58に搭載されたDRB116及びE3D配列68(変換表記のために「E3D」として示される)の両方の光学追跡マーカを追跡し、カメラ:DRB_X_Camera及びE3D_X_Cameraに対するそれらの相対姿勢を収集することができる。E3D_X_Cameraは、Camera_X_E3Dを生成するために反転させることができる(行列反転の数学的演算)。これら2つの行列を乗算すると、DRB_X_Camera*Camera_X_E3D=DRB_X_E3Dが得られる。したがって、この変換(変換A)、DRB_X_E3Dは、DRB116に対するE3Dマーカ68の姿勢を示す。
【0168】
第2の変換(変換B)E3D_X_Imageも計算される。E3D_X_Imageは、E3D_X_Detector76及びDetector_X_Image(「Detector」は、E3D上のX線検出器パネル76の座標系を示す)の二重演算で導出される。
【0169】
E3D_X_Detectorは、E3D10の運動学的構成から計算される。これは、本質的に機械的であり、E3D配列68と検出器パネル76との間の幾何学的構成を表す。配列68に対する検出器パネル76の位置及び配向は、モータ66、67、102、並びにガントリマウント58及びガントリ56内の他のモータ内のエンコーダからの情報から導出される。あるいは、検出器パネル76又はX線送信器74のいずれかに搭載された別個の光学配列固定具が使用されてもよい。
【0170】
Detector_X_Imageは、画像構成プロセスから収集され、X線検出器/送信器のレイアウト、及び撮像デバイス10が結果画像をどのように構成するかの特性である。これら2つの変換を乗算すると、E3D_X_Detector*Detector_X_Image=E3D_X_Image(変換B)が得られる。
【0171】
全体的な患者位置合わせを計算するために、2つの前に計算された変換、DRB_X_E3D(変換A)及びE3D_X_lmage(変換B)が一緒に乗算されて、DRB_X_E3D*E3D_X_lmage=DRB_X_lmage(全体的な患者位置合わせ変換を表す変換C)が得られる。
【0172】
変換Bを導出することの一部としてE3D_X_Detectorを判定する際に、撮像デバイス10は、Cアームがそれらの配向に応じて様々な量で屈曲するため、較正される必要があり得る。E3Dマーカ10がガントリ70を0でない角度に傾斜させるとき、ガントリを引き下げる重力のためにある量の機械的屈曲が存在する。この屈曲は、これら2つの機械部品の運動学的構成が(場合によっては約数ミリメートルで)変化するので、E3D_X_Detector変換に軽微な不一致を引き起こす可能性がある。屈曲の量は、システム自体と、どの程度のガントリ傾斜が使用されるかに依存する。したがって、この較正プロセスは、個々のシステム10毎に、ガントリ傾斜角及びロータ角のグリッドにわたって完了する。この較正プロセスは、X線下で可視である、埋め込まれた放射線不透過性基準418(例えば、BBs)を伴う、放射線透過性較正固定具416を要する。固定具416はまた、カメラ200に可視である光学マーカ420を一方の側に有し、Fixture_X_Camera変換をもたらす。固定具416上のマーカ420に対する基準418の場所は、固定具自体の製造に基づく既知の変換である。この変換は、本質的に機械的であり、BBs_X_Fixtureをもたらす。これら2つの変換を乗算すると、BBs_X_Fixture*Fixture_X_Camera=BBs_X_Cameraが得られる。カメラ200に対するE3D(又はその配列68)の位置E3D_X_Cameraが既知であるため、BBs_X_Camera変換を逆にすることができ、以下E3D_X_Camera*Camera_X_BBs=E3D_X_BBsを計算することができる。このE3D_X_BBs変換は、E3D配列68に対する固定具BBs416の真の屈曲補償された物理的姿勢を表す。
【0173】
較正固定具416のX線画像/CTスキャンがE3D10で撮影されると、放射線不透過性BBs416が画像内に現れる。画像内のそれらの位置は、画像処理アルゴリズムを利用して検出することができる。この位置決めを既知のE3D_X_Imageと組み合わせると、E3D_X_Detector*Detector_X_lmage*lmage_X_DetectedBBs=E3D_X_DetectedBBsとなる。このE3D_X_DetectedBBs変換は、計算の位置合わせ経路に従って、E3D配列68に対するBBs418の検出された物理的姿勢を表し、したがって、E3D_X_Detector変換による潜在的誤差を含む。
【0174】
ここで、BBs418とE3D配列68との間に同じ物理的姿勢を表す2つの変換、すなわちE3D_X_BBs及びE3D_X_DetectedBBsが存在する。E3D_X_BBsは、真の姿勢(制御値)を表し、E3D_X_DetectedBBsは、検出された潜在的に誤りがちな姿勢を表す。E3D_X_BBsとE3D_X_DetectedBBsとの間の、配向及び並進の両方に関する差を分析する。この差は、重力によって引き起こされる機械的屈曲を説明するE3D_X_Detectorに適用されるオフセットとして撮像デバイス10のメモリに記憶される。このオフセットは、E3D_X_BBs及びE3D_X_DetectedBBsが同じ結果として生じる変換を有することを保証し、患者位置合わせプロセスにおいてE3D_X_Detector変換を利用する際に十分な精度を保証する。
【0175】
この較正プロセスは、ガントリ56の傾斜角及びロータ角の大きな組み合わせにわたって完了され、好ましくは、個々のシステム10毎に別々に完了される。オフセット較正データは、システム10のメモリに記憶され、位置合わせプロセスを完了するときに利用され、計算されたDRB_X_Image患者位置合わせ変換における精度を保証する。
【0176】
一例として、較正手順中、システム10は、特定のピッチ角で10度回転する毎に較正フレーム/固定具416の画像を撮影し、これは36個の画像が撮影されることを意味する。同じ手順が、10度高いピッチで繰り返される。したがって、Cアームを較正するために1,296個の画像が全て一緒に撮影され、記憶される。撮像システム10を使用して10度増分以外の角度で実際の患者を撮像する場合、10度離れた2つの周囲較正データ間の補間を使用して較正データをその場で微調整し、これを使用して特定の位置及び配向でのガントリ56の機械的屈曲を補償した患者位置合わせ変換を求める。
【0177】
一実施形態では、2D較正のために、E3D_X_FocalSpot(送信器/撮像デバイス10の焦点)及びE3D_X_Detector(撮像デバイスの検出器パネル)がメモリに記憶される。所与の取得画像について、カメラモデルを使用して、E3D10撮像マーカ68に対する焦点及び検出器パネルの場所を計算する。これらの較正場所は、一連の傾斜角及びレインボー角について判定され、将来の使用のためにメモリ/ファイルに記憶される。使用中、所望の位置合わせ場所が捕捉され、境界較正点が判定される。4つの角がある。焦点及び検出器パネル変換は、結果として生じる焦点及び検出器位置に球面双線形補間され、これらは、ナビゲーション/ロボットシステム100によって使用される4×4投影行列を計算するために使用される。
【0178】
一実施形態では、3D較正のために、E3D_X_image3D(3D画像)が一連の傾斜角で変換され、将来の使用のためにメモリ/ファイルに記憶される。使用中、所望の位置合わせ場所が捕捉され、境界較正点が判定される。2つの較正変換が存在する。これらの変換は、球面補間されて、現在場所の所望のE3D_X_image3D変換を生成する。これは、撮像デバイス10からナビゲーション/ロボットシステム100に送信される位置合わせ情報(撮像デバイス10によって計算される)である。
【0179】
図29は、好ましくは画像内に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内の患者の術中3D画像を物理空間内の物理的患者に位置合わせする方法のフローチャートである。この方法は、患者位置合わせ目的のために術前画像を必要としない。
【0180】
図29のステップ及び他の図面における他の全てのフローチャートは、特に断りのない限り、主に撮像デバイス10の撮像制御モジュール54によって実行される。
【0181】
ステップ422において、患者210が手術台に配置され、患者追跡マーカ118の配列を有する動的基準基部(「DRB」)116が患者解剖学的構造(例えば、患者の骨盤骨)にしっかりと取り付けられる。
【0182】
ステップ424において、撮像システム10は、カメラ200がDRB116及びガントリマウント58の両側にある撮像追跡マーカ68の配列に対して良好な可視性を有するように、手術領域内に位置決めされる。
【0183】
ステップ426において、ロボットシステム100の追跡システム/プロセッサ532は、カメラ200から来る光学画像に含まれる撮像追跡マーカ68から撮像デバイス10の較正された姿勢(すなわち、位置及び配向)を連続的に追跡し始める。
【0184】
ステップ428において、ロボットシステム100の追跡システム532はまた、DRB116を介して患者姿勢を連続的に追跡し始める。
【0185】
ロボットシステム100から撮像デバイス10への接続がロボットシステムのI/Oを介して確立されると、ロボットシステムのプロセッサ408は、通信リンク52を介して撮像デバイス10にカメラフレームデータを送信し始め、カメラフレームデータは、撮像追跡マーカ68からカメラ空間内のDRB116までの相対場所(例えば、撮像デバイス10及びDRB116の連続的に追跡されるデータ)を含む。カメラ200は、どんな可視の基準配列68(ガントリマウント58の両側の左配列又は右配列)でも使用する。
【0186】
ステップ430において、カメラ200がDRB116を追跡して追跡マーカ68を撮像している間に、関心のある患者解剖学的構造の3D画像が撮像デバイス10によって捕捉される。先に論じたように、撮像デバイス10は、内側及び外側Cアーム70、72を回転させて、完全な360度の回転で患者を撮像することが可能である。例えば、撮像デバイスは、完全な3DX線CTスキャンを実行し、次いで、これは、周知のCT変換プロセスに基づいて3D画像又は画像体積に変換され、このプロセスでは、患者解剖学的構造の周りの異なる角度から撮影された一連のX線画像がプロセッサ46によって処理されて、患者解剖学的構造の一連の断面スライスが作成される。一連の断面スライスは、ヘッダファイルと、各々が典型的に対応する断面スライスを表す一連の画像データとを含むDICOM(医療におけるデジタル撮像及び通信)ファイルとしてメモリに記憶される。
【0187】
ステップ432において、ステップ430から取得された3D画像は、上述したように位置合わせされる。具体的には、変換Cによって表されるDRB_X_Imageは、変換Aと変換Bとを乗算することによって導出される。様々な変換によって必要とされる追跡データは、ロボットシステム100から受信され、位置合わせアルゴリズムによる使用のためにメモリ44に記憶される。
【0188】
上述のように、変換Cは、カメラ200によって見られるような物理空間内の患者基準配列DRB116を介した患者の物理座標系と、画像空間内の画像IMに埋め込まれた患者の仮想座標系との間の相対姿勢を表す。次いで、変換Cデータは、患者解剖学的構造の3D画像を表すDICOMファイルのプライベートタグ/ヘッダセクションに埋め込まれる。
【0189】
ステップ434において、ヘッダに位置合わせ情報を含むDICOMファイルの形式の位置合わせされた3D画像(変換C)が、撮像デバイス10からロボットシステム100に転送される。
【0190】
ロボットシステム100内のソフトウェアは、次いで、3D画像から患者基準-スキャン変換(変換C)を抽出し、それをメモリ内に記憶し、ロボットシステムが変換Cを使用して器具が画像空間内のどこにあるかを把握しているため、他の外科用器具配列がDRBマーカ116に対して追跡される際に、それをナビゲーションのために使用する。
【0191】
ステップ436において、撮像デバイス10は、ここで、手術領域から取り外すことができる。ステップ438において、ロボットシステム100は、ナビゲーション及びロボット手術のために位置合わせされた3D画像を使用する。例えば、ロボットシステム100は、骨ねじを挿入するための選択された軌道に沿ってエンドエフェクタを配置するように、エンドエフェクタ(マーカ702を通じてカメラ200によっても追跡されている)を移動させてもよい。ロボットシステム100はまた、位置合わせされた3D画像をディスプレイ上に表示し、エンドエフェクタが移動されるにつれて、表示された画像を操作し得る。システム100はまた、計画された器具軌道と、光学的に追跡される外科用器具608及びエンドエフェクタ112/114の動的に更新された軌道と、追跡される器具の仮想表現とを表示し、これらの全ては、表示された3D画像及び他の表示された2D画像(A/P、横方向、及び軸方向)に重ね合わされる。更に、システム100はまた、シミュレートされた蛍光透視ショット(例えば、DRR画像)又は画像処理によって3D画像から生成された平面スライスである、例えば、A/P、側方、及び軸方向ビューなどの3D医用画像の任意の数の2Dビューを表示することができる。
【0192】
ロボットシステム100はまた、医師の視覚化を支援するために、表示された3D画像上に重ね合わされる追跡された外科用器具を表示してもよい。
【0193】
ロボットシステムはまた、医師を支援するために、ディスプレイ上に種々の画像を表示することができる。例えば、Ap、側方、軸方向、及びプローブの眼(3D)画像を含む4つの別個の画像を、同時に表示することができる。計画された軌道の点における骨の水平スライスのビューを表す軸方向ビュー(DRR画像又はスライス画像のいずれか)が特に有用であり、3D画像から正しい配向で正しいスライス又はDRR画像を合成することによって生成され得る。
【0194】
ステップ439において、ロボットシステム100は、位置合わせが損なわれていることを検出する。これは、例えば、監視マーカからDRB116までの距離が閾値量を超えて変化する場合に検出することができる。次いで、ステップ424~438が繰り返されて、患者を再位置合わせする。
【0195】
図30は、好ましくは画像内に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内の患者の術中3D画像を物理空間内の物理的患者に位置合わせし、術中2D画像との3D画像の位置合わせを復元する方法のフローチャートである。
【0196】
術中3D画像を位置合わせする際の
図30のステップ422~439は、
図29のステップと同じである。ステップ439において位置合わせの喪失が検出されると、ステップ440が撮像デバイス10のプロセッサ46によって実行される。
【0197】
ステップ440において、撮像システム10は取り出され、カメラ200がDRB116及びガントリマウント58のいずれかの側の撮像追跡マーカ68の配列に対して良好な可視性を有するように、手術領域内に位置決めされる。
【0198】
ステップ442において、ロボットシステム100の追跡システム/プロセッサ532は、カメラ200から来る光学画像に含まれる撮像追跡マーカ68から撮像デバイス10の較正された姿勢(すなわち、位置及び配向)を連続的に追跡し始める。
【0199】
ステップ444において、ロボットシステム100の追跡システム532はまた、DRB116を介して患者姿勢を連続的に追跡し始める。
【0200】
ロボットシステム100から撮像デバイス10への接続がロボットシステムのI/Oを介して確立されると、ロボットシステムのプロセッサ408は、通信リンク52を介して撮像デバイス10にカメラフレームデータを送信し始め、カメラフレームデータは、撮像追跡マーカ68からカメラ空間内のDRB116までの相対位置(例えば、撮像デバイス10及びDRB116の連続的に追跡されるデータ)を含む。カメラ200は、どんな可視の基準配列68(ガントリマウント58の両側の左配列又は右配列)でも使用する。
【0201】
ステップ446において、関連する患者解剖学的構造の2つの異なる配向、例えばA/P及び横方向での2D画像のセットが、撮像デバイス10によって捕捉される。これらの画像は、ユーザによって手動で撮影されてもよいし、撮像デバイス10によって自動的に撮影されてもよく、撮像デバイス10は、第2の画像を第1の画像から予め選択された角度、例えば90度だけ回転する。
【0202】
各画像について、上述した変換(変換A、B、及びC)は、画像空間内の各画像が、DRBマーカ116の形式で表されるような患者座標系において物理的患者に位置合わせされるように実行される。
【0203】
各画像の位置合わせは、いくつかの異なる方法で行うことができる。第1の方法では、撮像デバイス10は、蛍光収集器(映像増幅器又はフラットパネル)に一時的に搭載された蛍光固定具を使用して追跡される。フルオロ固定具2100の一例は、2016年9月16日に出願された米国特許出願第15/267,950号(特許第10,799,298号)に開示されており、これは本明細書に組み込まれる。この固定具は、BBsの2つの平面を有し、撮像デバイス10の蛍光X線エミッタの追跡された位置が、蛍光コレクタの追跡された位置から、したがって撮像空間内の画像IM位置から正確に外挿され得るように、蛍光画像が処理されることを可能にする。
【0204】
本方法の別の変形例では、好ましくは、撮像デバイスは、例えば、撮像追跡マーカ68を用いて光学的に追跡され、エミッタ及びコレクタの場所、したがって、画像IMは、上述のような変換(変換A、B、及びC)を使用して正確に外挿される。
【0205】
各画像を用いて、患者に取り付けられたDRB116の位置は、撮像追跡マーカ68の位置を追跡しながら、同じ光学追跡システム200によって同時に追跡され、その結果、撮像空間内の画像位置は、患者の物理空間を表すDRB116座標系に相関される。換言すれば、各画像について、変換Cが上述のように計算され、画像は、関連する位置合わせ情報を含むヘッダを有するDICOMファイルとして記憶される。
【0206】
ステップ446において、DICOMファイルは、更なる処理のために通信リンク52を介して外科用ロボットシステム100に送信される。理解され得るように、2D画像のDICOMファイルは、一方の2D画像の他方の2D画像に対する角度及びオフセット(変位)を含む間隔情報を含み、この情報は、後でマージ動作のために使用され得る。
【0207】
ステップ450において、撮像デバイス10は、ここで、手術領域から取り外すことができる。
【0208】
ステップ452は、ロボットシステム100のコンピュータ408内のプロセッサによって実行される。ステップ452において、位置合わせされた2D画像は、ステップ430において取得された3D画像とマージされる。
【0209】
1つのマージ方法では、デジタル再構成放射線写真又はDRRと呼ばれるシミュレートされた透視ショットが3D画像から作成される。各DRR画像は、画像処理を通じてスキャン体積に対する理論的な透視装置の特定の配向及び位置に基づく人工的に又は合成的に作成された蛍光透視画像を表す。CTスキャン体積から導出される3D画像の場合、DRR画像は、CT体積の一方の側の点源(エミッタ)から発散経路を通って他方の側の平面(コレクタ)へとCTスキャン体積を通過する光線によって交差及び蓄積されるピクセル強度を計算することによって生成される。任意選択的に、DRR画像、2D画像又は3D画像体積は、骨境界の周りのコントラストを強調するためにハイパスフィルタで処理されてもよい。
【0210】
各比較において、2つのDRR画像が、選択された角度で生成され、互いにオフセットされる。選択された角度及びオフセットは、ステップ446において2つの2D画像(A/P及び横方向)を捕捉するために使用された既知の(追跡された)角度及びオフセットに基づく。このようにして、生成された2つのDRR画像は、画像処理アルゴリズムを介して同時に2つの2D画像と比較することができる。DRR画像及び2D画像上の画像内容(骨縁部のコントラストの勾配)が所与の閾値内でどこでも一致しない場合、2D画像からのX線コレクタ及びエミッタの固定場所に対する3D画像の理論的位置及び配向がわずかに修正され、2つの新しいDRR画像が生成される。
【0211】
新しいDRR画像を生成するとき、理論的なX線コレクタ及びエミッタの固定位置に対して3D画像体積をナッジ(位置及び配向の増分変化)する方向及び角度は、以前のナッジ(増分変化)が実際の2D蛍光透視画像に対するDRR画像の画像内容のオフセットの改善又は悪化を引き起こしたかどうかに基づく。
【0212】
理論的なX線コレクタ及びエミッタの固定位置に対する3D画像体積の配向及び位置の更なる微調整がもはや2D画像コンテンツのDRR画像へのより良好なマッチングを提供しなくなると、反復が停止する。
【0213】
代替の実施形態では、マッチングは、2つのステッププロセスを使用して実行され、それによって、2つの2D画像のうちの一方が、上述のマージ方法を使用して特定のDRR画像にマッチングされ、次いで、2つの2D画像のうちの他方が、上述のマージ方法でマッチングされる。
【0214】
理論的なエミッタ及びコレクタの位置が画像体積(3D画像)に対して分かると、理論的なエミッタ及びコレクタの位置は、DRB116空間内の実際のエミッタ及びコレクタの既知の追跡された位置に対する撮像空間(例えば、CT空間)における対応する場所を提供するため、位置合わせが達成される。これにより、3D画像の位置合わせが復元され、位置合わせ情報がロボットシステム100のメモリに記憶される。
【0215】
代替のマージの方法では、ステップ446において、撮像追跡マーカを有する超音波トランスデューサが、撮像デバイス10の代わりに2D画像を捕捉するために使用されるとき、シミュレートされた2D超音波画像が3D画像体積から作成される。各2D超音波画像は、3D体積に対して特定の位置に保持された理論上の超音波撮像ハンドピースから人工的に又は合成的に作成された超音波画像を表す。CTスキャン体積から導出される3D画像の場合、合成2D超音波画像は、超音波源(エミッタ)からCTスキャン体積を通過し、異なるタイプの組織(骨、軟組織、血液)から反射し、超音波受信機によって監視される音波によって交差及び蓄積されるピクセル強度を計算することによって生成される。任意選択で、シミュレートされた2D超音波画像、3D画像体積、又はその両方は、骨境界の周りのコントラストを強調するためにハイパスフィルタで処理され得る。
【0216】
各比較において、2つのシミュレートされた超音波画像が、選択された角度で生成され、互いにオフセットされる。ステップ446において、選択された角度は、2つの2D追跡超音波画像(A/P及び横方向)を捕捉するために使用された角度及びオフセットに基づく。このようにして、2つのシミュレートされた2D超音波画像は、画像処理アルゴリズムを介して同時に2つの実際の2D超音波画像と比較することができる。シミュレートされた画像上及び実際の画像上の画像内容(骨縁部のコントラストにおける勾配)が所与の閾値内のどこでも一致しない場合、2D画像からの理論的超音波ハンドピースの固定場所に対する3D画像体積の理論的位置及び配向はわずかに修正され、2つの新しいシミュレートされた2D超音波画像が生成される。
【0217】
新しい2Dシミュレートされた超音波画像を生成するとき、理論上の超音波ハンドピースの位置に対して画像体積をナッジする(位置及び配向の増分変化)方向及び角度は、以前のナッジ(増分変化)が、2D実際の超音波画像に対する2Dシミュレートされた超音波画像の画像コンテンツのオフセットの改善又は悪化を引き起こしたかどうかに基づく。
【0218】
画像体積の配向及び位置の更なる微調整が、シミュレートされた2D超音波画像に対する実際の2D超音波画像コンテンツのより良好なマッチングをもはや提供しなくなると、反復は停止する。上述したように2D画像を生成するための超音波トランスデューサの使用は、撮像デバイス10を使用する任意の位置合わせ又は位置合わせ復元手順における代替方法として使用されてもよい。
【0219】
ステップ454において、ロボットシステム100は、位置合わせされた3D画像(復元された位置合わせを有する3D画像)を、そのアーム104及びエンドエフェクタ112、並びにディスプレイ110の内容を制御するためなどのナビゲーション及びロボット手術のために使用する。ステップ438と同様に、プロセッサ/コンピュータ408は、位置合わせされた3D画像及び2つの2D画像(A/P及び横方向)を、計画された器具軌道、並びに光学的に追跡された外科用器具608及びエンドエフェクタ112/114の動的に更新された軌道、並びに追跡された器具の仮想表現と共にディスプレイ304上に表示し、これらは全て、表示された3D及び2D画像上に重ね合わされる。
【0220】
ステップ456において、ロボットシステム100は、位置合わせが再び損なわれていることを検出する。その場合、制御はステップ440に戻り、患者の別の完全な3Dスキャンを必要とする代わりに、2D画像のみが3D画像を再位置合わせするために必要とされる。
【0221】
図31は、好ましくは画像内に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内の患者の術前3D画像を物理空間内の物理的患者に位置合わせし、術中2D画像との3D画像の位置合わせを復元する方法のフローチャートである。
【0222】
ステップ458では、関連する患者解剖学的構造の3D画像が、手術前に撮像デバイス10によって捕捉される。例えば、撮像デバイス10は、完全な3DX線CTスキャンを実行することができ、これは次に、周知のCT変換プロセスに基づいて3D画像又は画像体積に変換される。次いで、3D画像は、DICOMファイルとしてメモリに記憶される。
【0223】
先の図と同じ参照番号を有するステップの説明は、簡潔にするために省略されている。
【0224】
ステップ456において、ロボットシステム100は、位置合わせが損なわれていることを検出する。そうである場合、制御はステップ424に移り、2つの2D画像(例えば、A/P画像及び横方向画像)のみを使用して位置合わせを復元し、患者の別の完全な3Dスキャンを行うことなくそれらを術前3D画像にマージすることができ、それにより、全体の処置時間を短縮し、患者の有害なX線被曝を低減する。
【0225】
図32は、好ましくは画像内に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、撮像空間内の患者の術中2D画像を(
図28に示されるようなカメラ/光学空間によって表されるような)物理空間内の物理的患者に位置合わせし、2D画像の別のセットとの2D画像の位置合わせを復元する方法のフローチャートである。
【0226】
この方法は、利用可能な3D撮像システムがない場合に有用であり得る。
図32のステップ422~428、446~454は、他の図のステップと同様である。
【0227】
ステップ454の一部として、プロセッサ/コンピュータ408は、位置合わせされた2D画像(A/P及び横方向)を、光学的に追跡された外科用器具608及びエンドエフェクタ112/114の動的に更新された軌道、並びに追跡された器具の仮想表現と共にディスプレイ304上に表示する。
【0228】
ステップ456において、位置合わせが損なわれていることが、ロボットシステム100によって検出される。その場合、制御はステップ424に移り、ここで、2つの追加の2D画像が撮像デバイス10から取得され、変換A、B、及びCを実行することによって位置合わせされ、変換Cは最終的に、撮像空間内の2D画像とカメラ200空間(物理的患者座標系)におけるDRB116との間の位置合わせ情報を表す。
【0229】
しかしながら、当業者によって理解され得るように、ディスプレイ304上に表示される2つの2D画像のみに基づいてナビゲートすることが容易ではない場合がある。3D撮像デバイスへのアクセスがない
図32の方法の代替として、3D画像を、アトラスモデルなどの汎用モデルから合成的に作成することができる。
【0230】
図33は、好ましくは画像内に埋め込まれた放射線不透過性基準を使用せずに、患者の術中2D画像に基づいて合成的に作成された3D画像を位置合わせする方法のフローチャートである。患者からの2D画像(例えば、A/P及び横方向)を使用して汎用モデルをカスタマイズするために、統計的形状モデリング及び人工知能又は機械学習モデル技術などの画像処理技術を使用することができる。したがって、ステップ448の後、ステップ460において、ロボットシステム100は、一般モデル及び2D画像に基づいて合成的に作成された3D画像を生成する。これを行う1つの方法は、2D画像に基づいて汎用3Dモデルを伸張及び圧縮することである。そうする前に、2D画像をセグメント化のために処理して、各椎骨レベル及びそれらの周知の点を識別することができる。
【0231】
ステップ452において、位置合わせされた2D画像は、ステップ460において得られたカスタマイズされた3D画像とマージされ、次いで、2つの2D画像に加えて位置合わせされた合成3D画像がディスプレイ304上に表示される。このようにして、表示され、表示された3D画像及び2D画像上に重ね合わされる、追跡器具、その軌道、及びエンドエフェクタを使用するナビゲーションは、視覚化するのがより容易であり、より正確であり得る。
【0232】
あるいは、汎用3Dモデルがカスタマイズされると、カスタマイズされたモデルの姿勢は既に2D画像に同期されているので、ステップ460及び452は同時に又は逆の順序で実行される。その場合、位置合わせステップは、単に、3D画像姿勢情報(2D画像の配向に一致するもの)を、外科用ロボットシステム100によって使用され得る形態に変換することである。
【0233】
本発明のこれら及びその他の利点は、前述の明細書から当業者には明らかであろう。したがって、発明の広範な発明概念から逸脱することなく、上述の実施形態に対して変更又は修正を行い得ることが、当業者によって認識されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではないが、特許請求の範囲に定義される本発明の範囲及び趣旨内にある全ての変更及び修正を含むことが意図されることを、理解されたい。