(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121988
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】磁性体含有シート
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20240902BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240902BHJP
H01F 1/34 20060101ALI20240902BHJP
H01F 1/375 20060101ALI20240902BHJP
H01L 23/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H05K9/00 W
H05K9/00 U
H05K7/20 F
H01F1/34 140
H01F1/375
H01L23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029268
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000155229
【氏名又は名称】株式会社明治ゴム化成
(74)【代理人】
【識別番号】100118119
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 大典
(72)【発明者】
【氏名】菅原 孝大
(72)【発明者】
【氏名】劉 嘉偉
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 輝一
(72)【発明者】
【氏名】河野 祐希
(72)【発明者】
【氏名】堀 浩之
【テーマコード(参考)】
5E041
5E321
5E322
【Fターム(参考)】
5E041AB02
5E041BC05
5E041CA13
5E041HB14
5E321AA23
5E321BB04
5E321BB32
5E321BB44
5E321BB51
5E321CC16
5E321GG05
5E321GH03
5E322AB06
5E322EA11
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】電子機器から発生する電磁波や電子機器に影響する外部からの電磁波を低減、制御するための磁性体含有シートにおいて、電磁波吸収能力と充分な可撓性を両立させた磁性体含有シートを提供することを目的とする。
【解決手段】可撓性を有する高分子材料製シートの内部に複数の粉状又は/及び粒状の磁性体としてのフェライトを含有していることを特徴とする磁性体含有シート。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料製シートの内部に複数の粉状又は/及び粒状の磁性体を含有していることを特徴とする磁性体含有シート。
【請求項2】
前記磁性体はフェライトであることを特徴とする請求項1に記載の磁性体含有シート。
【請求項3】
前記高分子材料製シートの高分子材料はゴムであることを特徴とする請求項1に記載の磁性体含有シート。
【請求項4】
前記磁性体はフェライトであり、前記高分子材料製シートの高分子材料はゴムであることを特徴とする請求項1に記載の磁性体含有シート。
【請求項5】
前記高分子材料製シートに基布が設置されていることを特徴とする請求項1から4のうち何れか1項に記載の磁性体含有シート。
【請求項6】
前記高分子材料製シートは放熱体を備えていることを特徴とする請求項1から4のうち何れか1項に記載の磁性体含有シート。
【請求項7】
前記高分子材料製シートに基布が設置されていると共に、放熱体を備えていることを特徴とする請求項1から4のうち何れか1項に記載の磁性体含有シート。
【請求項8】
前記放熱体は粉状又は/及び粒状の熱伝導性物質であることを特徴とする請求項6に記載の磁性体含有シート。
【請求項9】
前記放熱体はシート状であることを特徴とする請求項6に記載の磁性体含有シート。
【請求項10】
前記高分子材料製シートはシート状の高分子材料製シート用基材と接着剤が積層されて構成され、前記高分子材料製シート用基材上に設置された粉状又は/及び粒状の磁性体が接着剤で封入されていることを特徴とする請求項1から4のうち何れか1項に記載の磁性体含有シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器から発生する電磁波や電子機器に影響する電磁波を低減、制御するための磁性体含有シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁波対策には電磁波を吸収するフェライト等の電磁波吸収体が用いられ、電磁波対策の部品として、平板状のフェライトコアを保護シートに貼り付けたフェライトシートが用いられていた(特許文献1)。
【0003】
しかし、平板状のフェライトを用いたフェライトシートでは、設置する部品や部材の曲面、凹凸、柔軟性のある部分に対応することが出来ないので、フレキシブル性を備えた電磁波抑制のシートが望まれていた。
【0004】
そこで、シートの内部に、複数枚の小さな板状のフェライト板を水平方向に並べた電磁波抑制シートが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-273671号公報
【特許文献2】特開2009-170548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に記載の電磁波抑制シートは、小さな板状のフェライト板をシート内に並べて設置して構成されているため、可撓性が充分ではないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、固形の板状フェライトでは両立が難しい、電磁波を吸収、遮蔽、低減、制御する能力と充分な可撓性を両立させたシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段としての本発明は、高分子材料製シートの内部に複数の粉状又は/及び粒状の磁性体を含有している磁性体含有シートである。
【0009】
又、上記磁性体含有シートにおいて、前記磁性体はフェライトである磁性体含有シートである。
【0010】
又、上記磁性体含有シートにおいて、前記高分子材料製シートの高分子材料はゴムである磁性体含有シートである。
【0011】
又、上記磁性体含有シートにおいて、前記磁性体はフェライトであり、前記高分子材料製シートの高分子材料はゴムである磁性体含有シートである。
【0012】
又、上記磁性体含有シートにおいて、前記高分子材料製シートに基布が設置されている磁性体含有シートである。
【0013】
又、上記磁性体含有シートにおいて、前記高分子材料製シートは放熱体を備えている磁性体含有シートである。
【0014】
又、上記磁性体含有シートにおいて、前記高分子材料製シートに基布が設置されていると共に、放熱体を備えている磁性体含有シートである。
【0015】
又、上記磁性体含有シートにおいて、前記放熱体は粉状又は/及び粒状の熱伝導性物質である磁性体含有シートである。
【0016】
又、上記磁性体含有シートにおいて、前記放熱体はシート状である磁性体含有シートである。
【0017】
又、上記磁性体含有シートにおいて、前記高分子材料製シートはシート状の高分子材料製シート用基材と接着剤が積層されて構成され、前記高分子材料製シート用基材上に設置された粉状又は/及び粒状の磁性体が接着剤で封入されている磁性体含有シートである。
【発明の効果】
【0018】
以上のような本発明によれば、磁性体含有シートに充分な可撓性を備えさせることが可能となった。又、電磁波を吸収、遮蔽、低減、制御する能力と充分な可撓性を両立させた磁性体含有シートを提供することが可能となった。又、充分な可撓性を備えているため、自由な形状で電磁波を吸収、遮蔽、低減、制御する機能を付与することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の磁性体含有シートは、高分子材料製シートの内部に複数の粉状又は/及び粒状の磁性体を含有させた磁性体含有シートである。
【0021】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、磁性体含有シート1は、高分子材料製シート2の内部に複数の粉状又は/及び粒状の磁性体3が設置されて構成されている。
【0022】
磁性体含有シート1の厚さは、曲げられる程度の厚さであれば特に限定されないが、柔軟性、可撓性が高く、平坦以外の使用箇所に対応し易いので、0.1~20mmが好ましく、1~10mmがより好ましい。
【0023】
高分子材料製シート2は、柔軟性、可撓性を備えたシートであって、原材料の高分子材料はゴム、合成樹脂、シリコン樹脂等を用いることが出来るが、柔軟性、可撓性、弾性、価格、配合内容を変えることにより様々な機能を付加することが可能であること等の観点からゴムが好ましい。
【0024】
ゴムは特に限定されず、天然ゴムでも、合成ゴムでもよく、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴムのどちらでもよく、可撓性を有する範囲内の配合で構成されたゴムであればよい。
【0025】
合成樹脂は柔軟性を備える合成樹脂であり、これらに限定されないが、熱可塑性樹脂の共重合体エチレン酢酸ビニル(EVA)樹脂、ポリ塩化ビニル、熱硬化性樹脂のポリウレタン等を用いることが出来る。又、合成樹脂はゴム的弾性を備えるものが好ましい。
【0026】
磁性体3は粉状又は/及び粒状の形状で、高分子材料製シート2から露出せず、高分子材料製シート2の内部に分散して設置されている。磁性体としては、軟質磁性体であれば特に限定されず、フェライト、鉄、パーマロイ、ケイ素鉄等を用いることが出来る。
【0027】
磁性体3は、粉状又は/及び粒状であり、高分子材料製シート2から露出せず、高分子材料製シート2の内部に位置出来ればその大きさは特に限定されないが、特にフェライトの場合は、粒径が0.35~5mm程度の粒子が好ましく、粒径が1~2mm程度の粒子がより好ましい。粒径が0.35mm以上の方が、電磁波を吸収、制御する性能が周波数に関係なくよく、5mmより大きく粗過ぎる場合には、磁性体含有シート1の可撓性が不十分となるからである。又、高分子材料製シート2内に設置する複数の磁性体3の粒径は全て同じでもよいが、異ならせてもよい。
【0028】
磁性体3は電磁波吸収能力が高く、電気抵抗が高いことから、フェライト(ソフトフェライト)で構成されていることが好ましい。又、フェライトは、電気抵抗が高いので、電流が流れ難く、絶縁体に近い物質であり、このため、発熱が少ない、言い換えれば発熱ロスが少ないという特徴があり、電磁波の磁気エネルギーの損失が少ないので、効率よく磁力(エネルギー)を伝達することも出来る。そのためフェライトは、EV向けやAGV向けの充電用装置等においても好適に用いることが出来る。近年特にワイヤレス給電用コイルと共に使用する電磁波調整部材としてフェライトが使用されている場合が多いことからも、磁性体としては、フェライトを選定することが好ましい。
【0029】
フェライトは磁束をよく吸収する材料であるが、フェライトの中でも、比較的低周波数(1MHz以下)の電磁波に対して効果が高く、透磁率が高く、磁束密度も高いので、Mn-Zn系フェライトがより好ましい。
【0030】
磁性体3の充填率は、体積比で、高分子材料製シート2の高分子材料が100に対して、磁性体3は10~150vol%が好ましい。高分子材料に対する磁性体3の比率がこれより少なければ電磁波を吸収、制御する能力が不十分となり、これより多ければ柔軟性、可撓性及び弾性が低く、充分に曲げることが出来ず、又、コストアップになるからである。又、これらの観点から、磁性体3の充填率は、より好ましくは、体積比で、高分子材料製シート2の高分子材料が100に対して、磁性体は40~125vol%、更には、60~105vol%が好ましい。
【0031】
ここで、磁性体含有シート1の製造方法について、高分子材料製シート2がゴムの場合を例に説明する。
図3に示すように、高分子材料製シート2と同じ材質であって、未加硫ゴムのシート状の高分子材料製シート用基材21を2枚と複数の磁性体3を準備し(
図3(a))、一方の高分子材料製シート用基材21上に磁性体3を分散させて設置し(
図3(b))、その上に他方の高分子材料製シート用基材21を被せて設置し、磁性体3を2枚の高分子材料製シート用基材21で挟み込む(
図3(c))。そして、ゴムを加硫し、磁性体3を高分子材料製シート2内に分散させた状態で固定する(
図3(d))。このようにして、フェライト粒子等の磁性体3含有の磁性体含有シート1が完成する。尚、このようにして製造された磁性体含有シート1は、磁性体3が略同一平面上に分散している。
【0032】
又、
図4に示すように、磁性体含有シート10は、高分子材料製シート2内において、磁性体3が略同一平面上に分布しているのではなく、3次元方向に分散して設置された構成としてもよい。このような磁性体含有シート10の製造方法としては、図示はしないが、有機溶剤にゴムを溶解させた、スラリー状のゴム溶液中に磁性体3の粒子を分散させ、平坦な台上に流して板状にし、溶剤を揮発させてシート状にした後に、そのまま加硫して製造する方法を採用することが出来る。又、所定の大きさの磁性体3の粒子を未加硫ゴム中に配合して混練し、シート状に加工した後に加硫して製造する方法を採用することも出来る。
【0033】
又、
図5に示すように、磁性体含有シート11は基布4を備えて構成することとしてもよい。磁性体含有シート11に基布4は必ずしも設置する必要はないが、磁性体含有シート11に強度が要求される場合に使用することが出来る。基布4は磁性体含有シート11の強度を向上させるための部材であり、織物、編物、不織布のいずれでもよく、材質は、綿、麻、絹等の天然繊維、ポリエステル、レーヨン、ナイロン等の合成繊維のいずれでもよい。尚、基布の材質としては、シートの所定の可撓性を確保するために、炭素繊維、ガラス繊維、シリカ繊維は除外される。
【0034】
基布4の厚さは、磁性体含有シート11の所定の可撓性を確保することが出来れば特に限定されず、0.1~1mm程度の厚さのものを使用することが出来るが、0.3~0.4mm程度の厚さのもので充分に強度を向上させることが出来る。又、基布4は、高分子材料製シート2の全面に設置してもよいが、一部に設置してもよい。又、基布4の設置数は特に限定されず、設置する基布4は、1枚でもよいが、必要に応じて複数枚を設置することとしてもよく、複数枚を設置する場合、略同一平面上に設置してもよく、積層して設置してもよい。又、基布4の設置位置は磁性体含有シート2の内部でも表面でもよい。
【0035】
基布4を備えた磁性体含有シート11の製造方法について、高分子材料製シート2がゴムの場合を例に説明する。
図6に示すように、高分子材料製シート2と同じ材質であって、未加硫ゴムの高分子材料製シート用基材21を2枚と1枚の基布4と複数の磁性体3を準備し(
図6(a))、一方の高分子材料製シート用基材21上に磁性体3を分散させて設置し(
図6(b))、磁性体3の上に基布4を被せて設置し(
図6(c))、更に基布4の上に他方の高分子材料製シート用基材21を被せて設置し、磁性体3及び基布4を2枚の高分子材料製シート用基材21で挟み込む(
図6(d))。そして、ゴムを加硫し、磁性体3を高分子材料製シート2内に分散させた状態で固定すると共に、基布4を磁性体含有シート2の内部に固定設置する(
図6(e))。このようにして、フェライト粒子等の磁性体3及び基布4含有の磁性体含有シート11が完成する。尚、このようにして製造された磁性体含有シート1は、磁性体3が略同一平面上に分散している。
【0036】
又、
図7(a)に示すように、磁性体含有シート12は放熱体5を備えることとしてもよい。粉状又は/及び粒状の放熱体5は磁性体含有シート12に放熱性を付与するための部材であり、粉状や粒状の熱伝導性物質を用いて構成することが出来る。熱伝導性物質としては、例えばアルミナ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム等の熱伝導率[W/(m・K)]が2桁以上のセラミックス系固体物質を好適に用いることが出来る。一方、金属や合金は導電性があり、電流が流れやすいため本発明において放熱体へ使用されることはない。
【0037】
放熱体5は、高分子材料製シート2の高分子材料100重量部に対し、1~200重量部を配合することが好ましい。これより配合量が少ないと熱伝導性が充分でなく、これより配合量が多いと磁性体含有シートの可撓性が悪化するからである。又、熱伝導性と可撓性のバランスよい両立のため高分子材料製シートの高分子材料100重量部に対し、放熱体を5~100重量部配合することがより好ましい。放熱体5は高分子材料製シート2の内部又は/及び表面に分散して設置されている。
【0038】
又、
図7(b)に示すように、放熱体6はシート状に形成された公知の熱伝導シートを用いて構成することとしてもよい。シート状に形成された放熱体6の設置位置は磁性体含有シート2の内部でも表面でもよいが、放熱性の観点から表面への設置が好ましい。
【0039】
又、
図8(a)に示すように、磁性体含有シート14は、高分子材料製シート2に磁性体3、基布4及び、粉状又は/及び粒状の放熱体5を備える構成や、
図8(b)に示すように、磁性体含有シート15は、高分子材料製シート2に磁性体3、基布4及びシート状の放熱体6を備える構成としてもよい。
【0040】
更に、高分子材料製シートに難燃性物質を含有させて磁性体含有シートに難燃性を付与することとしてもよい。難燃性物質としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)等のハロゲン系化合物、トリフェニルホスフェート等のリン系化合物、三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物等を用いることが出来る。尚、難燃性物質としては、金属箔、めっき等の金属や合金は導電性があり、電流が流れやすいため本発明においては除外される。又、磁性体含有シートには、公知の物質を配合して耐熱性、耐オゾン性等を付与することとしてもよい。
【0041】
磁性体含有シートに、粉状や粒状の放熱体、難燃性物質、耐熱性物質、耐オゾン性物質を含有させる場合、その製造方法としては、磁性体含有シート又は高分子材料製シート用基材に含有させる。具体的には、図示はしないが、有機溶剤にゴムを溶解させた、スラリー状のゴム溶液中に磁性体3と共にそれらの物質の粒子を分散させ、平坦な台上に流して板状にし、溶剤を揮発させてシート状にした後に、そのまま加硫して製造することが出来、又、磁性体3と共にそれらの物質の粒子を未加硫ゴム中に配合して混練し、シート状に加工した後に加硫して製造することも出来る。
【0042】
又、
図9に示すように、磁性体含有シート18は、シート状の高分子材料製シート用基材21と接着剤が積層されて構成され、高分子材料製シート用基材21上に複数の磁性体3を載置し、接着剤7を塗布して、高分子材料製シート用基材21上に磁性体3を固定すると共に、磁性体3を接着剤7で被覆して構成することも出来る。又、接着剤7は、磁性体3の酸化防止、塩素系ガスの金属腐食防止の作用も備えている。接着剤7は柔軟性、可撓性を有する合成樹脂製のものを用いることが出来る。
【0043】
接着剤7を用いて磁性体含有シート18を構成する場合、
図9(a)に示すように、接着剤7が高分子材料製シート用基材21の上面をすべて略均一の厚みで被覆している構成としてもよく、
図9(b)に示すように、接着剤7が高分子材料製シート用基材21の上面の磁性体3の凹凸に沿って被覆している構成としてもよい。
【0044】
又、図示はしないが、磁性体含有シートの下面又は上面に粘着剤や接着剤等で構成される接着層を設けて、磁性体含有シートを電子機器や電子部品に接着可能に構成することとしてもよい。
【0045】
本発明の磁性体含有シートは、これらに限定されないが、ケーブルや基盤パターンからのノイズ輻射防止、基板間でのノイズの誘導防止、ワイヤレス給電システムの伝送効率低下の防止等に用いることが出来る。
【実施例0046】
表1に示す磁性体含有シートを作製し、磁力エネルギーの散逸の少なさと可撓性を測定した。磁性体含有シートの作製は、
図3に示すように、高分子材料製シート2と同じ材質であって、未加硫ゴムのシート状の高分子材料製シート用基材21を2枚と複数の磁性体3としてのMn-Zn系フェライトPC95(TDK株式会社製)の粒子を準備し(
図3(a))、一方の高分子材料製シート用基材21上に磁性体3を分散させて設置し(
図3(b))、その上に他方の高分子材料製シート用基材21を被せて設置し、磁性体3を2枚の高分子材料製シート用基材21で挟み込み(
図3(c))、ゴムを加硫し、磁性体3を高分子材料製シート2内に分散させた状態で固定し(
図3(d))、フェライト粒子の磁性体含有シート1を作製した。比較例として、板状のフェライトPC95を用いて測定した。
【0047】
測定装置は、IM3570(日置電機株式会社製)
測定条件は、測定周波数:100kHz及び1MHz、定電圧:5.0V、測定電流:10mA
使用コイルは、 大きさ:53.5×53.5×6.5mm、Q値:100、(ウルトエレクトロニクス社製)
測定方法は、アルミ板の上に作製した磁性体含有シートを置き、さらにその上にコイルを置いて、Q値を測定した。
【0048】
Q値は、磁力エネルギーの散逸の少なさの値であり、大きいほど効率がよい。表1においては、比較例の測定値を100とした場合の指数で表示した。可撓性は、手で容易に曲げることが出来る場合に合格として、表1中○で示し、手で曲げることが出来ず、無理に曲げようとすると破損する場合に不合格として、表1中×で示した。結果を表1に示す。
【0049】
【0050】
表1から明らかなように、フェライトの粒径を1~1.9mmにした実施例1では、100kHz及び1MHzにおいて比較例よりもQ値が大きいと共に、可撓性も優れていた。フェライトの粒径を0.34mmにした実施例2では、100kHzにおいて比較例よりもQ値が少なかったが、1MHzにおいて比較例よりもQ値が大きいと共に、可撓性も優れていた。従って、実施例2も1MHz程度の低周波数帯においては、充分に効果があり、好適に使用出来ることが分かる。
以上のような本発明の磁性体含有シートは、電磁波を吸収、遮蔽、低減、制御することが出来ると共に、充分な可撓性を備えているので、電子部品、電子機器の部品として極めて有用に利用することが出来る。