(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121996
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】容量不足時のデプロイ制御
(51)【国際特許分類】
H04L 41/0806 20220101AFI20240902BHJP
H04L 41/40 20220101ALI20240902BHJP
【FI】
H04L41/0806
H04L41/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029282
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】323001546
【氏名又は名称】楽天シンフォニー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】319010088
【氏名又は名称】楽天モバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180002
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 君雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187126
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100195235
【弁理士】
【氏名又は名称】森 知紀
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴継
(72)【発明者】
【氏名】大野 誠
(72)【発明者】
【氏名】王 一道
(72)【発明者】
【氏名】田中 良寛
(72)【発明者】
【氏名】片桐 貴士
(57)【要約】
【課題】 障害の発生を防止しつつ迅速にサービスを追加すること。
【解決手段】 制御装置は、1又は複数のプロセッサを有し、前記1又は複数のプロセッサは、施設において稼働中のネットワーク機能によるリソースの使用状況に関する情報を収集することと、収集される情報に基づいて、前記施設に対して新たなネットワーク機能のデプロイを実行するか否かを決定することと、前記新たなネットワーク機能のデプロイを実行すると決定される場合に、収集される情報に基づいて、前記稼働中のネットワーク機能に割り当てられるリソースに関する容量を減少させるか否かを判定することとを含む処理を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のプロセッサを有し、
前記1又は複数のプロセッサは、
施設において稼働中のネットワーク機能によるリソースの使用状況に関する情報を収集することと、
収集される情報に基づいて、前記施設に対して新たなネットワーク機能のデプロイを実行するか否かを決定することと、
前記新たなネットワーク機能のデプロイを実行すると決定される場合に、収集される情報に基づいて、前記稼働中のネットワーク機能に割り当てられるリソースに関する容量を減少させるか否かを判定することと
を含む処理を実行する制御装置。
【請求項2】
前記処理は、
前記稼働中のネットワーク機能の実行に用いられる構成要素の数を減少させることによって、前記稼働中のネットワーク機能に割り当てられる前記容量を減少させること
をさらに含む請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記処理は、
前記稼働中のネットワーク機能及び前記新たなネットワーク機能によるリソース使用量の合計を推定すること
をさらに含み、
前記判定することは、
推定されるリソース使用量の合計が所定の閾値以上である場合に、前記稼働中のネットワーク機能に割り当てられる前記容量を減少させると決定すること
を含む請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記処理は、
前記稼働中のネットワーク機能の稼働実績に基づいて、各ネットワーク機能に割り当てられる前記容量に対するスケジューリングを実行すること
をさらに含む請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記処理は、
前記稼働中のネットワーク機能の優先度に応じて、各ネットワーク機能に割り当てられる前記容量の増減を調整すること
をさらに含む請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記処理は、
前記施設におけるリソース使用量が所定の閾値以上である場合に、前記稼働中のネットワーク機能の一部を他の施設において稼働させると決定すること
をさらに含む請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記決定することは、
前記新たなネットワーク機能のデプロイとして、第1のデプロイを実行するか、前記新たなネットワーク機能に割り当てられる前記容量が前記第1のデプロイよりも少ない第2のデプロイを実行するかを決定すること
を含む請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記決定することは、
前記施設において稼働中のネットワーク機能に割り当てられる前記容量の合計が所定の閾値以上である場合に、前記第2のデプロイを実行すると決定すること
を含む請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
施設において稼働中のネットワーク機能によるリソースの使用状況に関する情報を収集することと、
収集される情報に基づいて、前記施設に対して新たなネットワーク機能のデプロイを実行するか否かを決定することと、
前記新たなネットワーク機能のデプロイを実行すると決定される場合に、収集される情報に基づいて、前記稼働中のネットワーク機能に割り当てられるリソースに関する容量を減少させるか否かを判定することと
を有するデプロイ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容量不足時のデプロイ制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば5Gなどの無線通信システムにおいては、ネットワークの機能が仮想化されることがあり、仮想化されたネットワークの機能はVNF(Virtual Network Function)とも称される。VNFは、ネットワークの様々な箇所に展開(デプロイ)することができ、柔軟なネットワーク構成を可能にする。例えば、ネットワークサービスの遅延を小さくしたい場合には、エンドユーザにサービスを提供するVNFを、ネットワークの中央に構築されたCDC(Central Data Center)などの大規模施設ではなく、エンドユーザのより近くに存在するRDC(Regional Data Center)やGC(Group Center)といった中規模又は小規模施設に展開することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2022-530580号公報
【特許文献2】特表2019-519180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンドユーザの近くに配置される例えばGCは、規模が小さい施設であるため、比較的頻繁に容量が逼迫する。このため、新規のVNFのデプロイが困難になり、GCが収容するサービスの追加が制限されることがあるという問題がある。
【0005】
すなわち、GCにおいて、例えばCPU、メモリ及びストレージなどの物理リソースが不足すると、各種の機能を実行するための十分な仮想環境の構築が困難になる。このようにGCの容量が不足する状況でさらにGCにVNFをデプロイすると、仮想環境がフリーズして障害が発生する恐れがある。したがって、GCの容量が不足する状況では、新規のVNFをデプロイしてサービスを稼動させることは好ましくない。
【0006】
また、GCの容量を増強することも可能であるが、様々な制約から十分な容量を確保することが可能であるとは限らない。さらに、たとえ十分な容量の確保が可能であるとしても確保されるまでに時間を要し即応性が損なわれる。
【0007】
このように、容量の不足により、小規模施設であるGCへのVNFのデプロイが困難になり、ユーザへ提供されるサービスの追加が制限されることがある。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、障害の発生を防止しつつ迅速にサービスを追加することができる容量不足時のデプロイ制御を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、制御装置は、1又は複数のプロセッサを有する。前記1又は複数のプロセッサは、施設において稼働中のネットワーク機能によるリソースの使用状況に関する情報を収集することと、収集される情報に基づいて、前記施設に対して新たなネットワーク機能のデプロイを実行するか否かを決定することと、前記新たなネットワーク機能のデプロイを実行すると決定される場合に、収集される情報に基づいて、前記稼働中のネットワーク機能に割り当てられるリソースに関する容量を減少させるか否かを判定することとを含む処理を実行する。
【0010】
また、本開示の他の一態様によれば、デプロイ制御方法は、施設において稼働中のネットワーク機能によるリソースの使用状況に関する情報を収集することと、収集される情報に基づいて、前記施設に対して新たなネットワーク機能のデプロイを実行するか否かを決定することと、前記新たなネットワーク機能のデプロイを実行すると決定される場合に、収集される情報に基づいて、前記稼働中のネットワーク機能に割り当てられるリソースに関する容量を減少させるか否かを判定することとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る通信システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態に係るCDCノードの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態に係るGCノードの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、一実施の形態に係るデプロイ方法を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、デプロイ判定処理を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、CDCノードのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、GCノードのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は例示であり、この記載によって限定解釈されるものではない。
【0013】
図1は、一実施の形態に係る通信システムの一例を示す図である。
図1に示す通信システムは、大規模施設であるCDC10からの指示により小規模施設であるGC20にVNFをデプロイすることにより、種々の通信サービスを提供する。CDC10には、リング状に接続された複数のGC20が接続されており、各GC20には、アンテナを備えた無線基地局30が接続されている。なお、
図1においては図示を省略したが、CDC10とGC20の間には、RDCが接続されていてもよい。
【0014】
CDC10は、ネットワークの中央に構築されるデータセンターであり、CDCノード100を備える。
【0015】
CDCノード100は、例えば汎用サーバを用いて構成される制御装置であり、通信システムにおけるコアネットワーク機能を有する。具体的には、CDCノード100は、各GC20において稼働する仮想化されたネットワーク機能であるVNFの情報や、各GC20の容量に関する情報などを収集し、GC20に対して新規のVNFをデプロイすることを決定したり、VNFに対する容量の割り当てを変更したりする。CDCノード100の具体的な構成及び動作については、後に詳述する。
【0016】
複数のGC20は、エンドユーザの近くに配置される小規模施設であり、それぞれGCノード200を備える。複数のGC20は、互いに接続されてリングRを形成し、リングR上の少なくとも1つのGC20がCDC10(又は図示しないRDC)に接続される。
【0017】
GCノード200は、例えば汎用サーバを用いて構成される通信装置であり、CDCノード100からの指示に従って各種のVNFをデプロイし、仮想環境においてVNFを実行することにより通信サービスを提供する。また、GCノード200は、CDCノード100からの指示に従って、各VNFに割り当てる容量を調整し、GC20における容量不足を解消する。GCノード200の具体的な構成及び動作については、後に詳述する。
【0018】
無線基地局30は、図示しないユーザ端末との間で無線通信を実行し、通信サービスに応じたデータを送受信する。無線基地局30は、例えば通信サービスに関するリクエストをユーザ端末から無線受信し、GC20へ転送する。また、無線基地局30は、例えばVNFによって処理されたデータをGC20から受信し、ユーザ端末へ無線送信する。
【0019】
図2は、一実施の形態に係るCDCノード100の構成を示すブロック図である。
図2に示すCDCノード100は、情報収集部110、稼働実績管理部120、GC容量管理部130、デプロイ判定部140、デプロイ指示部150、容量変更指示部160、GC容量制御部170及び負荷分散指示部180を有する。
【0020】
情報収集部110は、GC20それぞれのGCノード200から、GC20に関する情報を収集する。具体的には、情報収集部110は、GC20において稼働するVNFを特定する稼動情報と、GC20において稼働するVNFに割り当てられるリソースに関する容量(以下「稼働容量」という)を示す容量情報とを、それぞれのGCノード200から収集する。VNFの稼働容量は、当該VNFが使用可能なリソースの最大量を意味する。また、リソースは、GCノード200の物理リソースを意味してもよい。この物理リソースは、プロセッサ、メモリ又はストレージであってもよい。また、リソースは、GCノード200の各VNFに割り当てられる、VNFの機能の実行に用いられる構成要素を意味してもよい。この構成要素は、例えばKubernetes(登録商標)におけるポッド(Pod)を意味してもよい。なお、GC20におけるVNFの稼働容量の合計は、このGC20に割り当てられる容量を超えることはない。以降、GC20におけるVNFの稼働容量の合計をGC容量と記載し、GC20に割り当てられる容量をGC最大容量と記載する。
【0021】
稼働実績管理部120は、情報収集部110によって収集される稼動情報に基づいて、GC20それぞれにおけるVNFの稼働実績を管理する。言い換えれば、稼働実績管理部120は、各GC20にデプロイされたVNFそれぞれの稼働実績を記憶する。稼働実績には、各VNFの負荷の状況(言い換えれば、リソースの使用量)や、各VNFが一時的に停止しているか否かなどが含まれる。したがって、稼働実績に基づいて、例えば、各VNFが昼間に負荷が高い(リソースの使用量が多い)か、夜間に負荷が高い(リソースの使用量が多い)かなどを認識することが可能である。
【0022】
GC容量管理部130は、情報収集部110によって収集される容量情報に基づいて、GC20それぞれにおけるGC容量を管理する。具体的には、GC容量管理部130は、各GC20にデプロイされたVNFそれぞれの稼働容量を記憶し、GC20におけるVNFごとの稼働容量の合計をGC容量として管理する。
【0023】
デプロイ判定部140は、GC20に新規のVNFをデプロイすることが決定された場合に、GC容量管理部130によって管理されるGC容量に基づいて、GC20への新規VNFのデプロイが可能であるか否かを判定する。具体的には、デプロイ判定部140は、GC20にデプロイ済みの既存VNFの稼働容量の合計であるGC容量が所定の閾値以上であるか否かを判定する。そして、デプロイ判定部140は、GC容量が所定の閾値未満である場合には、このGC20に新規VNFを通常通りにデプロイすることが可能であると判定する。なお、GC容量と比較される閾値は、例えばGC20ごとのGC最大容量に対する割合によって示される相対値であってもよいし、新規VNFの想定されるリソース使用量に応じた閾値であってもよい。
【0024】
また、デプロイ判定部140は、GC容量が所定の閾値以上である場合には、このGC20に新規VNFを簡易的にデプロイすると決定する。言い換えれば、デプロイ判定部140は、軽量デプロイを実行すると決定する。軽量デプロイは、通常のデプロイよりも稼働容量が縮小されたデプロイである。軽量デプロイにおいては、例えば、物理リソースの使用上限が通常より低く設定されてもよいし、ポッド数が通常より減少されてもよい。このようにして、軽量デプロイによれば、通常のデプロイと比較して稼働容量が縮小される。
【0025】
さらに、デプロイ判定部140は、新規VNFを軽量デプロイする場合のGC容量を推定し、推定されたGC容量が所定の閾値以上となる場合には、このGC20について、既存VNFの稼働容量を縮小すると決定する。例えば、デプロイ判定部140は、既にGC20において稼働している既存VNFが使用するプロセッサ、メモリ又はストレージなどの物理リソースの使用上限を設定したり、ポッド数を減少させたりすることを決定する。
【0026】
デプロイ指示部150は、デプロイ判定部140の判定に従って、新規VNFの通常デプロイ又は軽量デプロイを実行するように指示するデプロイ指示をGC20へ送信する。すなわち、デプロイ指示部150は、GC容量が所定の閾値未満である場合には、新規VNFを通常デプロイするようにGC20へ指示する。また、デプロイ指示部150は、GC容量が所定の閾値以上である場合には、新規VNFを軽量デプロイするようにGC20へ指示する。
【0027】
容量変更指示部160は、デプロイ判定部140の判定に従って、既存VNFへ割り当てられる稼働容量の変更を指示する変更指示をGC20へ送信する。すなわち、容量変更指示部160は、新規VNFを軽量デプロイする場合の推定されるGC容量が所定の閾値以上となる場合に、既存VNFの稼働容量を縮小するようにGC20へ指示する。
【0028】
また、容量変更指示部160は、GC容量制御部170からの指示に従って、VNFへ割り当てられる稼働容量の変更を指示する変更指示をGC20へ送信する。具体的には、容量変更指示部160は、例えば時間帯、VNFを利用するユーザのSLA(Service Level Agreement)及びVNFを利用するユーザ数等に応じて、各VNFの稼働容量の増減をGC20へ指示する。
【0029】
GC容量制御部170は、各GC20におけるVNFの稼働実績及びGC容量を参照し、それぞれのGC20におけるVNFへの容量割り当てを制御する。具体的には、GC容量制御部170は、例えばそれぞれのVNFの時間帯ごとの稼働実績から、時間帯ごとに各VNFへ割り当てる稼働容量の増減をスケジューリングする。また、GC容量制御部170は、VNFの優先度に応じて各VNFへ割り当てる稼働容量の増減を調整する。すなわち、GC容量制御部170は、例えば高いサービスレベルを要求するユーザが多いVNFやリアルタイムでの利用ユーザ数が多いVNFに対して割り当てる稼働容量を増加させるように決定する。GC容量制御部170は、決定した稼働容量の増減を容量変更指示部160へ通知し、稼働容量の変更指示をGC20へ送信させる。
【0030】
また、GC容量制御部170は、GC20におけるGC容量が所定レベル以上となり逼迫する場合には、このGC20の負荷をリングR上で隣接するGC20(以下「隣接GC20」という)へ分散させると決定する。具体的には、GC容量制御部170は、例えばGC20で稼働する一部のVNFの処理を隣接GC20に代行させたり、GC20で稼働するVNFを利用する一部のユーザからのリクエストを隣接GC20に処理させたりすると決定する。このとき、GC容量制御部170は、ユーザのSLAなどの優先度に応じて隣接GC20へ移管するVNF又はユーザを決定してもよい。
【0031】
なお、ここでは、GC容量制御部170がGC20の負荷を隣接GC20へ分散させるものとして説明するが、同じリングR上のGC20であれば隣接GC20以外の他のGC20へ負荷を分散させてもよい。ただし、例えばリングRにおける通信方向が一方向に固定されている場合には、通信方向の上流側に隣接する隣接GC20へ負荷を分散させることにより、通信の遅延を最小限に留めることができる。
【0032】
負荷分散指示部180は、GC容量制御部170がGC20の負荷を隣接GC20へ分散させると決定した場合に、このGC20及び隣接GC20へ分散指示を送信する。すなわち、負荷分散指示部180は、隣接GC20へ移管するVNF又はユーザの情報をGC20及び隣接GC20へ通知し、例えばネットワークスライスの変更などによりGC20から隣接GC20へ負荷を分散させる。なお、ネットワークスライスの変更により負荷分散をすることにより、ユーザ単位の負荷を隣接GC20へ分散することができ、例えば優先度が低いユーザのリクエストが隣接GC20によって処理されるようにすることなどができる。同様の負荷分散は、例えばロードバランサを用いて実現することも可能である。
【0033】
図3は、一実施の形態に係るGCノード200の構成を示すブロック図である。
図3に示すGCノード200は、デプロイ制御部210、容量調整部220及び仮想環境提供部230を有する。
【0034】
デプロイ制御部210は、CDCノード100からのデプロイ指示を取得し、デプロイ指示に従って新規VNFのデプロイを実行する。すなわち、デプロイ制御部210は、新規VNFの通常デプロイ又は軽量デプロイを実行する。新規VNFがデプロイされることにより、仮想環境提供部230によって提供される仮想環境において新規VNFが稼働するようになる。
【0035】
容量調整部220は、CDCノード100からの変更指示を取得し、変更指示に従って各VNFに割り当てる稼働容量を調整する。すなわち、容量調整部220は、仮想環境において稼働する各VNFが使用する物理リソースの上限値やポッド数を増減させる。
【0036】
仮想環境提供部230は、GCノード200にデプロイされる各VNFを稼働させるための仮想環境を提供する。このとき、仮想環境提供部230は、物理リソースやポッドを各VNFに割り当てる。そして、仮想環境提供部230は、VNFごとの稼働実績を示す稼動情報やVNFごとの稼働容量を示す容量情報を所定の周期でCDCノード100へ報告する。
【0037】
また、仮想環境提供部230は、CDCノード100からの分散指示を取得し、隣接GC20が代行する一部のVNFの処理を停止したり、隣接GC20が処理する一部のユーザからのリクエストの処理を停止したりする。すなわち、仮想環境提供部230は、隣接GC20へ移管されるVNF又はユーザに関する処理を停止して稼働容量を減少させることにより、GC20における容量不足を解消する。
【0038】
次いで、上記のように構成された通信システムにおける新規VNFのデプロイ方法について、
図4に示すシーケンス図を参照しながら説明する。
【0039】
各GC20のGCノード200は、VNFごとの稼働実績を示す稼動情報やVNFごとの稼働容量を示す容量情報を周期的にCDCノード100へ報告する(ステップS101)。稼働情報及び容量情報は、それぞれCDCノード100の稼働実績管理部120及びGC容量管理部130によって管理される。
【0040】
ここで、例えば新たなサービスを展開するために、GC20へ新規VNFをデプロイすることが決定されると(ステップS102)、CDCノード100によって、GC20のGCノード200に新規VNFをデプロイすることが可能であるか否かが判定される(ステップS103)。すなわち、デプロイ判定部140によって、既存VNFの稼働容量の合計であるGC容量が所定の閾値以上であるか否かが判定され、GC容量が所定の閾値未満であれば、新規VNFの通常デプロイを実行すると決定され、GC容量が所定の閾値以上であれば、新規VNFの軽量デプロイを実行すると決定される。軽量デプロイを実行すると判定された場合には、必要に応じて既存VNFの稼働容量を縮小することが決定される。
【0041】
そして、デプロイ判定部140による判定の結果に従って、通常デプロイ又は軽量デプロイを指示するデプロイ指示及び既存VNFの稼働容量の変更を指示する変更指示がGCノード200へ送信される(ステップS104)。デプロイ指示及び変更指示がGCノード200によって受信されると、デプロイ指示に従って新規VNFのデプロイが実行され(ステップS105)、変更指示に従って既存VNFの稼働容量が調整される(ステップS106)。具体的には、通常デプロイが指示された場合には、新規VNFが通常通りにデプロイされる一方、軽量デプロイが指示された場合には、物理リソースの使用上限が設定されるとともに、通常時よりも少ないポッドが割り当てられて新規VNFがデプロイされる。さらに、変更指示が受信されている場合には、既存VNFが使用する物理リソースの使用上限が設定されるとともに、既存VNFに割り当てられるポッド数が減少される。
【0042】
このように、GC20のGC最大容量が不足している場合には、GCノード200において新規VNFが軽量デプロイされるとともに、既存VNFの稼働容量が縮小される。このため、新規VNFのデプロイによる容量不足が解消され、障害の発生を防止しつつ迅速にサービスを追加することができる。
【0043】
新規VNFがデプロイされた後、引き続きGCノード200は、稼動情報及び容量情報を周期的にCDCノード100へ報告する(ステップS107)。稼働情報及び容量情報は、それぞれCDCノード100の稼働実績管理部120及びGC容量管理部130によって管理される。
【0044】
VNFごとの稼働実績及び稼働容量は、GC容量制御部170によって監視されており、各VNFへ割り当てられる適正な稼働容量が判定される(ステップS108)。具体的には、例えばそれぞれのVNFの時間帯ごとの稼働実績に基づいて各VNFの稼働容量の増減がスケジューリングされ、優先度が高いVNFほど稼働容量を増加させるように決定される。さらに、GC容量が所定レベル以上となり逼迫する場合には、このGC20の負荷を隣接GC20へ分散することが決定される。
【0045】
そして、GC容量制御部170による判定の結果に従って、VNFの稼働容量の変更を指示する変更指示及び隣接GC20への負荷分散を指示する分散指示がGCノード200へ送信される(ステップS109)。変更指示及び分散指示がGCノード200によって受信されると、変更指示に従って各VNFへ割り当てられる稼働容量が調整され(ステップS110)、分散指示に従って隣接GC20へ移管されるVNF又はユーザに関する処理が停止される(ステップS111)。
【0046】
このように、新規VNFがデプロイされた後も、状況に応じてVNFごとの稼働容量が調整されるため、GC20の容量不足による障害が発生することなく各VNFが稼働し、サービスを継続的に提供することができる。
【0047】
次に、GC20へ新規VNFがデプロイされる場合のデプロイ判定処理について、
図5に示すフロー図を参照しながら具体的に説明する。
図5に示すデプロイ判定処理は、主にCDCノード100のデプロイ判定部140によって実行される。
【0048】
GC20へ新規VNFをデプロイすることが決定されると(ステップS201)、GC容量管理部130が参照されることにより、GC20のGC容量が所定の閾値以上であるか否かが判定される(ステップS202)。この判定の結果、GC容量が所定の閾値未満である場合には(ステップS202No)、GC20のGC最大容量が不足していないことから、このGC20に対して新規VNFの通常デプロイを実行すると決定される(ステップS208)。
【0049】
これに対して、GC容量が所定の閾値以上である場合には(ステップS202Yes)、GC20のGC最大容量が不足することから、このGC20に対して新規VNFの軽量デプロイを実行すると決定される(ステップS203)。軽量デプロイによれば、新規VNFが稼働する場合の物理リソースの使用量やポッド数が通常デプロイ時よりも少なく、GC容量の増加幅が小さくて済む。そこで、新規VNFを軽量デプロイする場合のGC容量が推定され(ステップS204)、推定されたGC容量が所定の閾値以上であるか否かが判定される(ステップS205)。なお、ステップS202及びステップS205においてGC容量と比較される所定の閾値は、同一でもよいし異なっていてもよい。
【0050】
ステップS205の判定の結果、推定されたGC容量が所定の閾値未満である場合には(ステップS205No)、新規VNFの軽量デプロイを実行することにより、GC20の容量不足が解消されると判断される。一方、推定されたGC容量が所定の閾値以上である場合には(ステップS205Yes)、新規VNFの軽量デプロイを実行しても、GC20の容量不足が解消されないと判断される。このため、GC20において既に稼働している既存VNFの稼働容量を縮小することが決定される(ステップS206)。
【0051】
以上の判定により、新規VNFの通常デプロイ又は軽量デプロイを実行することが決定されるため、新規VNFの通常デプロイ又は軽量デプロイを指示するデプロイ指示がGC20へ送信される(ステップS207)。また、軽量デプロイが指示された場合には、必要に応じて既存VNFの稼働容量を縮小するように指示する変更指示がGC20へ送信される。これにより、GC20に新規VNFがデプロイされる場合の容量不足が解消され、障害の発生を防止しつつ迅速にサービスを追加することができる。
【0052】
以上のように、本実施の形態によれば、GCに新規VNFをデプロイする際、GC容量が所定の閾値以上であれば通常デプロイよりもリソース使用量が少ない軽量デプロイを実行し、必要に応じてGCで稼働中の既存VNFの稼働容量を縮小する。このため、新規VNFのデプロイによる容量不足が解消され、障害の発生を防止しつつ迅速にサービスを追加することができる。
【0053】
上記一実施の形態に係るCDCノード100は、プロセッサ及びメモリを用いて構成することができる。
図6は、一実施の形態に係るCDCノード100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、CDCノード100は、プロセッサ101、メモリ102、ストレージ103及び通信部104を有する。
【0054】
プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はDSP(Digital Signal Processor)などを有し、CDCノード100の全体を統括制御するとともに、各種の情報処理を実行する。
【0055】
メモリ102は、例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などを有し、プロセッサ101が実行する情報処理に用いられる情報を記憶する。
【0056】
ストレージ103は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などを有し、各種のデータを保存する。
【0057】
通信部104は、有線通信又は無線通信を実行するインタフェースを有し、GCノード200と通信する。
【0058】
なお、CDCノード100は、例えばディスプレイや操作スイッチなど、図示しない他の構成を有していてもよい。
【0059】
同様に、上記一実施の形態に係るGCノード200は、プロセッサ及びメモリを用いて構成することができる。
図7は、一実施の形態に係るGCノード200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図7に示すように、GCノード200は、プロセッサ201、メモリ202、ストレージ203及び通信部204を有する。
【0060】
プロセッサ201は、例えばCPU、FPGA又はDSPなどを有し、GCノード200の全体を統括制御するとともに、各種の情報処理を実行する。
【0061】
メモリ202は、例えばRAM又はROMなどを有し、プロセッサ201が実行する情報処理に用いられる情報を記憶する。
【0062】
ストレージ203は、例えばHDD又はSSDなどを有し、各種のデータを保存する。
【0063】
通信部204は、有線通信又は無線通信を実行するインタフェースを有し、CDCノード100と通信する。
【0064】
なお、GCノード200は、例えばディスプレイや操作スイッチなど、図示しない他の構成を有していてもよい。
【0065】
上記一実施の形態において説明したCDCノード100及びGCノード200による処理を、それぞれコンピュータが実行可能なプログラムとして記述することも可能である。この場合、これらのプログラムをコンピュータが読み取り可能かつ非一時的(non-transitory)な記録媒体に格納し、コンピュータに導入することも可能である。このような記録媒体としては、例えばCD-ROM、DVDディスク、USBメモリなどの可搬型記録媒体、及び例えばフラッシュメモリなどの半導体メモリが挙げられる。
【0066】
なお、本開示は、上記一実施の形態に限定されるものではなく、上述した構成に対して、構成要素の付加、削除又は転換を行った様々な変形例も含むものとする。
【0067】
また、本開示において用いられる「接続」という用語は、通信のための論理的接続を意味する。例えば、「Aに接続しているB」とは、AとBとが通信可能なように論理的に接続されていることを意味する。したがって、A及びBが物理的なケーブル等で物理的に直接接続されている必要はないし、AとBの間に複数の機器や無線通信が介在していてもよい。
【0068】
以上説明した本開示には、下記[1]から[9]が含まれる。
【0069】
[1] 1又は複数のプロセッサを有し、
前記1又は複数のプロセッサは、
施設において稼働中のネットワーク機能によるリソースの使用状況に関する情報を収集することと、
収集される情報に基づいて、前記施設に対して新たなネットワーク機能のデプロイを実行するか否かを決定することと、
前記新たなネットワーク機能のデプロイを実行すると決定される場合に、収集される情報に基づいて、前記稼働中のネットワーク機能に割り当てられるリソースに関する容量を減少させるか否かを判定することと
を含む処理を実行する制御装置。
【0070】
[2] 前記処理は、
前記稼働中のネットワーク機能の実行に用いられる構成要素の数を減少させることによって、前記稼働中のネットワーク機能に割り当てられる前記容量を減少させること
をさらに含む上記[1]に記載の制御装置。
【0071】
[3] 前記処理は、
前記稼働中のネットワーク機能及び前記新たなネットワーク機能によるリソース使用量の合計を推定すること
をさらに含み、
前記判定することは、
推定されるリソース使用量の合計が所定の閾値以上である場合に、前記稼働中のネットワーク機能に割り当てられる前記容量を減少させると決定すること
を含む上記[1]又は[2]に記載の制御装置。
【0072】
[4] 前記処理は、
前記稼働中のネットワーク機能の稼働実績に基づいて、各ネットワーク機能に割り当てられる前記容量に対するスケジューリングを実行すること
をさらに含む上記[1]から[3]のいずれか1つに記載の制御装置。
【0073】
[5] 前記処理は、
前記稼働中のネットワーク機能の優先度に応じて、各ネットワーク機能に割り当てられる前記容量の増減を調整すること
をさらに含む上記[1]から[3]のいずれか1つに記載の制御装置。
【0074】
[6] 前記処理は、
前記施設におけるリソース使用量が所定の閾値以上である場合に、前記稼働中のネットワーク機能の一部を他の施設において稼働させると決定すること
をさらに含む上記[1]から[3]のいずれか1つに記載の制御装置。
【0075】
[7] 前記決定することは、
前記新たなネットワーク機能のデプロイとして、第1のデプロイを実行するか、前記新たなネットワーク機能に割り当てられる前記容量が前記第1のデプロイよりも少ない第2のデプロイを実行するかを決定すること
を含む上記[1]に記載の制御装置。
【0076】
[8] 前記決定することは、
前記施設において稼働中のネットワーク機能に割り当てられる前記容量の合計が所定の閾値以上である場合に、前記第2のデプロイを実行すると決定すること
を含む上記[7]に記載の制御装置。
【0077】
[9] 施設において稼働中のネットワーク機能によるリソースの使用状況に関する情報を収集することと、
収集される情報に基づいて、前記施設に対して新たなネットワーク機能のデプロイを実行するか否かを決定することと、
前記新たなネットワーク機能のデプロイを実行すると決定される場合に、収集される情報に基づいて、前記稼働中のネットワーク機能に割り当てられるリソースに関する容量を減少させるか否かを判定することと
を有するデプロイ制御方法。
【符号の説明】
【0078】
10 CDC
20 GC
30 無線基地局
100 CDCノード
101、201 プロセッサ
102、202 メモリ
103、203 ストレージ
104、204 通信部
110 情報収集部
120 稼働実績管理部
130 GC容量管理部
140 デプロイ判定部
150 デプロイ指示部
160 容量変更指示部
170 GC容量制御部
180 負荷分散指示部
200 GCノード
210 デプロイ制御部
220 容量調整部
230 仮想環境提供部