(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122005
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】リハビリテーションのメニュー選定を支援するシステム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240902BHJP
G06Q 50/22 20240101ALI20240902BHJP
【FI】
G16H20/00
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029296
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 望
(72)【発明者】
【氏名】坂本 優衣
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】多岐にわたる分野のリハビリテーションを統一的な手法によって検索する技術を提供する。
【解決手段】システムは、1つ以上のリハビリテーションと、1つ以上の期待される効果とを格納する記憶部210を備える。1つ以上の期待される効果の各々は、1つ以上のリハビリテーションの少なくとも1つに関連付けられる。システムはさらに、1つ以上の期待される効果の少なくとも一部を含む検索条件を取得するためのクエリー取得部205と、記憶部210から、検索条件に含まれる期待される効果に関連付けられたリハビリテーションを検索するための検索部206と、検索結果を出力するための出力部207とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リハビリテーションのメニュー選定を支援するシステムであって、
1つ以上のリハビリテーションと、1つ以上の期待される効果とを格納する記憶部を備え、
前記1つ以上の期待される効果の各々は、前記1つ以上のリハビリテーションの少なくとも1つに関連付けられ、
前記システムはさらに、
前記1つ以上の期待される効果の少なくとも一部を含む検索条件を取得するためのクエリー取得部と、
前記記憶部から、前記検索条件に含まれる前記期待される効果に関連付けられたリハビリテーションを検索するための検索部と、
検索結果を出力するための出力部とを備える、システム。
【請求項2】
前記1つ以上のリハビリテーションは、理学療法における複数の分野のリハビリテーションを含み、
前記検索条件は、少なくとも前記リハビリテーションを適用する対象者の疾患をさらに含み、
前記検索部は、前記検索条件に含まれる前記疾患および前記期待される効果を検索キーとして、前記複数の分野のリハビリテーションの全てを検索対象として検索し、
前記検索結果は、前記疾患の改善に関連するリハビリテーションを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記記憶部は、1つ以上の体の部位の情報をさらに格納し、
前記1つ以上の体の部位の情報の各々は、前記1つ以上のリハビリテーションの少なくとも1つに関連付けられ、
前記検索部は、前記検索条件が前記1つ以上の期待される効果の少なくとも一部と共に前記1つ以上の体の部位の情報の少なくとも一部を含む場合、前記検索条件に含まれる前記期待される効果および前記体の部位の情報に関連付けられたリハビリテーションを検索する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記対象者毎の状態情報を格納し、
センサー装置から対象者の前記状態情報を取得して、前記記憶部に前記状態情報を格納するログ取得部と、
前記状態情報に基づいて、前記対象者の現在の状態と前記対象者の現在より前の状態とを比較する比較部とをさらに備え、
前記出力部は、前記対象者の現在の状態と前記対象者の現在より前の状態とが異なる場合、前記対象者のリハビリテーション計画の更新を促す通知を出力する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
前記出力部は、前記対象者のための新しいリハビリテーションを検索するための検索キーの候補として、前記1つ以上の期待される効果の少なくとも一部を提示する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記検索結果は、前記1つ以上のリハビリテーションの少なくとも一部と、各リハビリテーションの推奨度およびエビデンス強度とを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項7】
前記記憶部は、1つ以上のアウトカムをさらに格納し、
前記1つ以上のアウトカムの各々は、
前記1つ以上のリハビリテーションに含まれる少なくとも1つのリハビリテーションに関連付けられており、
前記1つ以上の期待される効果に含まれる少なくとも1つの期待される効果に関連付けられており、
前記検索条件に含まれる前記期待される効果に関連付けられたリハビリテーションを検索することは、
前記検索条件に含まれる前記期待される効果に対応するアウトカムを検索することと、
前記検索されたアウトカムに関連付けられるリハビリテーションを検索することとを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項8】
リハビリテーションのメニュー選定を支援する方法であって、
1つ以上の期待される効果の各々を1つ以上のリハビリテーションの少なくとも1つに関連付けることと、
前記1つ以上の期待される効果の少なくとも一部を含む検索条件を取得することと、
前記検索条件に含まれる前記期待される効果に関連付けられたリハビリテーションを検索することと、
検索結果を出力することとを含む、方法。
【請求項9】
リハビリテーションのメニュー選定を支援する方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
1つ以上の期待される効果の各々を1つ以上のリハビリテーションの少なくとも1つに関連付けることと、
前記1つ以上の期待される効果の少なくとも一部を含む検索条件を取得することと、
前記検索条件に含まれる前記期待される効果に関連付けられたリハビリテーションを検索することと、
検索結果を出力することとを前記コンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リハビリテーションのメニュー選定を支援するシステムに関し、より特定的には、リハビリテーションのメニューの検索技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者等に対する理学療法は、科学的根拠に基づいて実施されることが奨励されている。また、科学的根拠に基づいた理学療法のための理学療法ガイドライン等が存在する。理学療法ガイドラインは、学術的な観点で各リハビリテーションのエビデンスをまとめた資料である。医師および理学療法士は、理学療法ガイドラインまたは論文等を参照することで、科学的根拠に基づいて高齢者等に対する理学療法を行い得る。理学療法は、様々な学術分野における膨大な数の治リハビリテーションを含む。そのため、医師および理学療法士がこれらの膨大な数の治リハビリテーションを統一された方法によって容易に検索するシステムが望まれている。すなわち、介護施設または病院等において、リハビリテーションのメニューを支援するシステムが望まれている。
【0003】
リハビリテーションのメニューを支援するシステムに関し、例えば、特開2005-018653号公報(特許文献1)は、リハビリメニュー提示装置を開示している。当該リハビリメニュー提示装置は、「登録された介護施設に関する施設情報やこの介護施設と契約している被介護者に関する被介護者情報が格納された顧客管理データベースや、介護サービスとして実施可能な各種リハビリメニューの情報が蓄積されたリハビリメニューデータベースを情報処理サーバーに接続する。情報処理サーバーは、施設端末を用いた介護施設側からの要求に応じて、顧客管理データベースに格納された施設情報や被介護者情報を適宜参照し、介護施設からの要求に沿ったリハビリメニューをリハビリメニューデータベースから検索して介護施設側に提示する」というものである([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術によると、例えば、脳卒中理学療法、小児理学療法および心血管理学療法等の多岐にわたる分野のリハビリテーションを統一的な手法によって検索できない。したがって、多岐にわたる分野のリハビリテーションを統一的な手法によって検索するための技術が必要とされている。
【0006】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、多岐にわたる分野のリハビリテーションを統一的な手法によって検索するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施の形態に従うと、リハビリテーションのメニュー選定を支援するシステムが提供される。システムは、1つ以上のリハビリテーションと、1つ以上の期待される効果とを格納する記憶部を備える。1つ以上の期待される効果の各々は、1つ以上のリハビリテーションの少なくとも1つに関連付けられる。システムはさらに、1つ以上の期待される効果の少なくとも一部を含む検索条件を取得するためのクエリー取得部と、記憶部から、検索条件に含まれる期待される効果に関連付けられたリハビリテーションを検索するための検索部と、検索結果を出力するための出力部とを備える。
【0008】
ある局面において、1つ以上のリハビリテーションは、理学療法における複数の分野のリハビリテーションを含む。検索条件は、少なくともリハビリテーションを適用する対象者の疾患をさらに含む。検索部は、検索条件に含まれる疾患および期待される効果を検索キーとして、複数の分野のリハビリテーションの全てを検索対象として検索し、検索結果は、疾患の改善に関連するリハビリテーションを含む。
【0009】
ある局面において、記憶部は、1つ以上の体の部位の情報をさらに格納する。1つ以上の体の部位の情報の各々は、1つ以上のリハビリテーションの少なくとも1つに関連付けられる。検索部は、検索条件が1つ以上の期待される効果の少なくとも一部と共に1つ以上の体の部位の情報の少なくとも一部を含む場合、検索条件に含まれる期待される効果および体の部位の情報に関連付けられたリハビリテーションを検索する。
【0010】
ある局面において、記憶部は、対象者毎の状態情報を格納する。システムは、センサー装置から対象者の状態情報を取得して、記憶部に状態情報を格納するログ取得部と、状態情報に基づいて、対象者の現在の状態と対象者の現在より前の状態とを比較する比較部とをさらに備える。出力部は、対象者の現在の状態と対象者の現在より前の状態とが異なる場合、対象者のリハビリテーション計画の更新を促す通知を出力する。
【0011】
ある局面において、出力部は、対象者のための新しいリハビリテーションを検索するための検索キーの候補として、1つ以上の期待される効果の少なくとも一部を提示する。
【0012】
ある局面において、検索結果は、1つ以上のリハビリテーションの少なくとも一部と、各リハビリテーションの推奨度およびエビデンス強度とを含む。
【0013】
ある局面において、記憶部は、1つ以上のアウトカムをさらに格納する。1つ以上のアウトカムの各々は、1つ以上のリハビリテーションに含まれる少なくとも1つのリハビリテーションに関連付けられており、1つ以上の期待される効果に含まれる少なくとも1つの期待される効果に関連付けられている。検索条件に含まれる期待される効果に関連付けられたリハビリテーションを検索することは、検索条件に含まれる期待される効果に対応するアウトカムを検索することと、検索されたアウトカムに関連付けられるリハビリテーションを検索することとを含む。
【0014】
他の実施の形態に従うと、リハビリテーションのメニュー選定を支援する方法が提供される。方法は、1つ以上の期待される効果の各々を1つ以上のリハビリテーションの少なくとも1つに関連付けることと、1つ以上の期待される効果の少なくとも一部を含む検索条件を取得することと、検索条件に含まれる期待される効果に関連付けられたリハビリテーションを検索することと、検索結果を出力することとを含む。
【0015】
さらに、他の実施の形態に従うと、リハビリテーションのメニュー選定を支援する方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。プログラムは、1つ以上の期待される効果の各々を1つ以上のリハビリテーションの少なくとも1つに関連付けることと、1つ以上の期待される効果の少なくとも一部を含む検索条件を取得することと、検索条件に含まれる期待される効果に関連付けられたリハビリテーションを検索することと、検索結果を出力することとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
ある実施の形態に従うと、多岐にわたる分野のリハビリテーションを統一的な手法によって検索できる。
【0017】
この開示内容の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の技術を適用可能なシステムの一例を示す図である。
【
図2】サーバー100の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図3】システム30に含まれる各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】対象者DB204に含まれる各種テーブルの一例を示す図である。
【
図5】臨床DB208に含まれる各種テーブルの一例を示す図である。
【
図6】臨床DB208の検索キーの一例を示す図である。
【
図7】システム30が提供する第1画面700の一例を示す図である。
【
図8】システム30が提供する第2画面800の一例を示す図である。
【
図9】システム30が提供する第3画面900の一例を示す図である。
【
図10】サーバー100によって実行されるリハビリテーション計画の見直しをユーザーに促す処理の流れの一例を示す図である。
【
図11】サーバー100によって実行されるリハビリテーションの検索処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
<A.適用例>
図1は、本開示の技術を適用可能なシステムの一例を示す図である。
図1を参照して、本開示の技術を適用可能なシステム30(
図3参照)の概要について説明する。併せて、システム30のユーザーが、リハビリテーションのメニューを選定する場合の課題について説明する。これ以降、リハビリテーションを受ける対象となる人物を単に「対象者」と呼ぶ。さらに、本明細書で使用する用語についても説明する。これ以降の説明では、リハビリテーションは、理学療法に基づくリハビリテーションとして説明するが、本開示の技術の適用例は理学療法に限られない。ある実施の形態に従うと、本開示の技術は、作業療法または言語聴覚療法等に基づくリハビリテーションに対しても適用可能である。
【0021】
(a.本開示の技術を適用可能なシステムの構成)
システム30は、介護施設および病院等の任意の施設150において使用され得る。システム30は、主に、対象者のリハビリテーション計画の作成および更新に使用される。施設150は、対象者の居室120を備える病院または介護施設であってもよい。もしくは、施設150は、外来の対象者に対するリハビリテーションを行うための施設であってもよい。これ以降、対象者の居室120を備える施設150を例に、本開示の技術について説明する。
【0022】
システム30は、サーバー100と、センサー装置110と、端末140とを備える。ある実施の形態に従うと、システム30は、サーバー100と、センサー装置110とを備えて、端末140を備えなくてもよい。また、他の実施の形態に従うと、システム30は、サーバー100と、端末140とを備えて、センサー装置110を備えなくてもよい。さらに、他の実施の形態に従うと、システム30は、サーバー100を備えて、センサー装置110と、端末140とを備えなくてもよい。
【0023】
サーバー100は、リハビリテーションの検索機能およびリハビリテーション作成機能を備える。また、サーバー100は、対象者情報の登録機能を備える。さらに、サーバー100は、センサー装置110から各種情報を取得して、対象者の状態変化を検出する機能を備える。
【0024】
新しい対象者が施設150に入居することになったとする。この場合、ユーザー(施設150のスタッフ等のシステム30の対象者)は、新しい対象者の情報をサーバー100に登録する。新しい対象者の情報は、対象者DB(Database)204(
図2参照)に登録される。また、ユーザーは、サーバー100の検索機能を用いて、新しい対象者のリハビリテーション計画を作成する。リハビリテーション計画は、対象者DB204に登録される。ユーザーは、作成されたリハビリテーション計画に基づいて、対象者に対して治療または訓練を提供する。
【0025】
ある実施の形態に従うと、ユーザーは、定期的に、リハビリテーション計画を更新してもよい。他の実施の形態に従うと、ユーザーは、サーバー100から提示された対象者の状態変化の情報を参照して、リハビリテーション計画を更新してもよい。
【0026】
リハビリテーション計画は、対象者に対して提供されるリハビリテーションを含む。リハビリテーションは、歩行訓練、日常動作訓練および食事の仕方の訓練等の身体機能の改善に寄与する任意の行為を含む。リハビリテーションは、リハビリテーションによって得られることが期待される効果を検索キーとして、検索される。サーバー100は、科学的根拠に基づく各種リハビリテーションが登録された臨床DB208を備える。ユーザーは、期待される効果を検索キーとしてサーバー100に投入する。サーバー100は、期待される効果を検索キーとして、臨床DB208を検索する。サーバー100は、検索キーに含まれる期待される効果に関連するリハビリテーションをユーザーに提示する。ユーザーは、提示されたリハビリテーションの一部または全てを選択し、リハビリテーション計画を作成し得る。
【0027】
ある実施の形態に従うと、サーバー100は、施設150内に配置されてもよい。この場合、サーバー100は、ローカルエリアネットワークを介して、センサー装置110および端末140と通信する。他の実施の形態に従うと、サーバー100は、施設150外に配置されてもよい。この場合、サーバー100は、公開ネットワークを介して、センサー装置110および端末140と通信する。また、サーバー100は、施設150に設置されたゲートウェイサーバーを介して、センサー装置110および端末140と通信してもよい。ゲートウェイサーバーは、ローカルエリアネットワークおよび公開ネットワークを接続する装置であり、ファイアウォール機能等を備える。また、他の実施の形態に従うと、サーバー100は、1つ以上の装置から構成されてもよい。さらに、他の実施の形態にしたがうと、サーバー100は、クラウド環境上に構築された仮想マシン、インスタンスまたはコンテナ等であってもよい。
【0028】
センサー装置110は、一例として、対象者の居室120に備え付けられる。センサー装置110は、1つ以上のセンサーを内蔵する。センサー装置110は、センサーによって取得した情報をサーバー100に送信する。ある実施の形態に従うと、センサー装置110は、1つ以上の他のセンサーから情報を取得してもよい。この場合、センサー装置110は、1つ以上の他のセンサーから取得した情報をサーバー100に送信する。一例として、1つ以上の他のセンサーは、ケアコール子機128、ドアセンサー127、トイレセンサー125、臭いセンサー123およびバイタルセンサー124を含む。また、1つ以上の他のセンサーは、これ以外の任意のセンサーを含み得る。臭いセンサー123は、ベッド等に設置され得る。
【0029】
端末140は、ユーザーによって使用される。端末140は、サーバー100と通信する。端末140は、対象者登録画面、リハビリテーション計画作成画面およびリハビリテーションの検索画面等の任意の画面をディスプレイに表示する。ある実施の形態に従うと、端末140のディスプレイに表示される各種画面は、サーバー100から提供されたウェブアプリケーションのUI(User Interface)であってもよい。他の実施の形態に従うと、端末140のディスプレイに表示される各種画面は、端末140にインストールされたアプリケーションのUIであってもよい。端末140は、ユーザーから、対象者の情報の入力を受け付けると、入力された対象者の情報をサーバー100に送信する。サーバー100は、端末140から受信した対象者の情報を対象者DB204に登録する。また、端末140は、ユーザーから、リハビリテーション計画の入力を受け付けると、リハビリテーション計画をサーバー100に送信する。サーバー100は、端末140から受信したリハビリテーション計画を対象者DB204に登録する。さらに、端末140は、ユーザーから、リハビリテーションの検索キーの入力を受け付けると、リハビリテーションの検索キーをサーバー100に送信する。サーバー100は、端末140から受信した検索キーに基づいて、臨床DB208を検索する。サーバー100は、リハビリテーションの検索結果を端末140に返す。端末140は、サーバー100から受信したリハビリテーションの検索結果をディスプレイに表示する。
【0030】
アクセスポイント130は、無線アンテナを備えており、無線通信を介して、各機器をローカルエリアネットワークに接続する。ある実施の形態に従うと、アクセスポイント130は、Wi-Fi(登録商標)ルーターであってもよい。他の実施の形態に従うと、システム30は、アクセスポイント130を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0031】
ユーザーは、システム30を使用して、対象者の情報の登録、リハビリテーション計画の作成および更新を行い得る。また、ユーザーは、システム30を使用して、リハビリテーション計画に含めるべきリハビリテーションを検索し得る。
【0032】
(b.リハビリテーション計画の作成時の課題)
次に、リハビリテーション計画の作成時に発生し得る課題について説明する。理学療法は、科学的根拠に基づいて行われることが奨励される。そのため、ユーザーは、期待される効果(アウトカムと呼ばれる)を得るためのリハビリテーションを科学的根拠に基づいて選択する必要がある。
【0033】
実際に、科学的根拠に基づくリハビリテーションをまとめて理学療法ガイドライン等の資料が存在する。これらの資料は、各専門学会等が公表する学術的見解をまとめたものである。他にも、各学会が公表したリハビリテーションに関する論文等が存在する。これらの資料に記載された学術的見解は、リハビリテーション毎のアウトカムの粒度および表現が統一されていない。そのため、ユーザーは、これらの資料から、適切なリハビリテーションを探し出すことが困難であった。また、これらの資料をデータベース化したとしても、リハビリテーション毎のアウトカムの表現が統一されていない。そのため、ユーザーは、アウトカムを想像してリハビリテーション等のリハビリテーションをデータベースから検索することが困難であった。
【0034】
そこで、システム30は、複数の分野のリハビリテーションに統一的かつ同じ粒度で関連付け可能な期待される効果の一覧を検索キーとして保存する。各期待される効果は、複数の分野のリハビリテーションの少なくとも1つ以上に関連付けられる。また、システム30は、検索キーの候補として、期待される効果の一覧をユーザーに提示する。ユーザーは、提示された期待される効果の一覧から、1つ以上の期待される効果を検索キーとして選択し得る。システム30は、ユーザーにより選択された検索キーに基づいて、臨床DB208から、1つ以上のリハビリテーションを検索する。こうすることで、ユーザーは、システム30が提示する期待される効果の一覧の中から検索キーを選択するだけで、複数の分野にわたるリハビリテーションを横断的に検索し得る。ある実施の形態に従うと、臨床DB208は、理学療法ガイドラインまたは各種論文等から抽出された1つ以上のリハビリテーションを格納し得る。
【0035】
上記の検索処理を実現するために、リハビリテーションのメニュー選定を支援するシステム30は、1つ以上のリハビリテーションと、1つ以上の期待される効果とを格納する記憶部を備える。1つ以上の期待される効果の各々は、1つ以上のリハビリテーションの少なくとも1つに関連付けられる。さらに、システム30は、1つ以上の期待される効果の少なくとも一部を含む検索条件を取得するためのクエリー取得部205(
図2参照)と、記憶部から、検索条件に含まれる期待される効果に関連付けられたリハビリテーションを検索するための検索部206(
図2参照)と、検索結果を出力するための出力部207(
図2参照)とを備える。システム30が備える記憶部は、臨床DB208である。または、記憶部は、臨床DB208を含む記憶領域210である。
図5に示されるように、1つ以上の期待される効果の各々は、1つ以上のリハビリテーションの少なくとも1つに、直接的または間接的に関連付けられる。
【0036】
(c.本明細書で使用される用語)
次に、本明細書において使用される主要な用語について説明する。
【0037】
本明細書において、「施設」は、対象者に対して理学療法またはリハビリテーションを行うための場所である。施設は、対象者が入居するための居室またはベッドを備えていてもよい。ある実施の形態に従うと、施設は、病院、診療所、介護施設およびリハビリテーションを行うためのその他の任意の場所を包含する。
【0038】
本明細書において、「ユーザー」は、システム30を利用する人である。ユーザーは、医者、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士および対象者に対して何らかのリハビリテーションを提供する任意の人を包含する。さらに、ユーザーは、対象者に対して何らかのリハビリテーションを提供する人の代わりにシステム30を操作する人を含む。
【0039】
本明細書において、「対象者」は、理学療法等によるリハビリテーションを受ける人である。対象者は、介護施設の入居者、患者、高齢者、怪我人、病人および何らかのリハビリテーションを受ける任意の人を包含する。例えば、病院で怪我のリハビリテーションを受ける人は対象者である。また、高齢者介護施設で運動機能の維持のためにリハビリテーションを受ける人は対象者である。
【0040】
本明細書において、「リハビリテーション」は、リハビリテーションは、運動訓練等のリハビリテーション、投薬、食事管理および生活習慣の改善指導等の対象者の身体機能改善または維持に関係する任意の行動または介入を含む。理学療法等において提供されるリハビリテーションは、介入と呼ばれることもある。例えば、リハビリテーションの一環として対象者に歩行訓練をさせることはリハビリテーションである。対象者に食事の訓練をさせることはリハビリテーションである。システム30は、リハビリテーションだけでなく、医療行為も含む幅広いリハビリテーションの検索に使用され得る。
【0041】
本明細書において、「期待される効果」は、あるリハビリテーションが対象者に対して行われた結果得られることが期待される効果である。
図6を例に説明すると、例えば、リハビリテーション「歩行訓練」に関連付けられる期待される効果は、「歩行機能(の改善)」および「呼吸機能(の改善)」等を含み得る。期待される効果601および期待される詳細効果602の項目は、その項目の改善を意味する。例えば、「バランス機能」は、バランス機能の改善を意味する。
【0042】
期待される効果は、階層構造として表現され得る。例えば、
図6に示される「呼吸機能」、「歩行機能」、「バランス機能」、「身体活動量」、「筋力」および「関節可動域」等は、同じ粒度の期待される効果である。これに対して、「身体機能の維持改善」は、「呼吸機能」等を包含する上位の期待される効果である。この場合、「呼吸機能」等は、「身体機能の維持改善」の下の階層の項目として定義される。
図6に示される分類は一例であり、期待される効果および期待される詳細効果の分類例はこれに限られない。ある実施の形態の従うと、期待される効果および期待される詳細効果は、
図6の例とは異なる分類をされてもよい。
【0043】
本明細書において、「アウトカム」は、あるリハビリテーションが対象者に対して行われた結果得られることが期待される結果であり、期待される効果に近い意味を持つ。アウトカムは、理学療法ガイドライン等に記載されている項目である。本明細書では、区別のために、システム30がリハビリテーションの検索キーとして使用するものを「期待される効果」と呼ぶ。また、理学療法ガイドライン等の従来から存在する資料にリハビリテーションと関連付けられて記載されている効果をアウトカムと呼ぶ。「アウトカム」は、論文等に記載される両方に対する効果であり、特に決まったフォーマットは存在しない。これに対して、「期待される効果」は、検索キーとして使用できるように、統一されたフォーマットおよび粒度で定義される。
【0044】
本明細書において、「システム」は、1または複数の装置からなる構成、サーバーを包含する。また、システムは、クラウド環境に構築された仮想マシンもしくはコンテナ、または、これらの少なくとも一部からなる構成も包含する。装置は、パーソナルコンピューター、ワークステーション、サーバー装置、タブレットまたはスマートフォン等の任意の情報処理装置であってもよい。また、装置は、これらの組合せであってもよい。
【0045】
ある実施の形態に従うと、システム30は、ディスプレイおよびキーボード等の入出力機器と接続されて、ユーザーに使用されてもよい。他の実施の形態に従うと、システム30は、ネットワークを介して、サービスまたはウェブアプリケーションとして、ユーザーに各種機能を提供してもよい。この場合、ユーザーは、自身の端末140にインストールされたブラウザまたはクライアントソフトウェアを介して、システム30の機能を使用し得る。さらに、他の実施の形態に従うと、システム30は、ソフトウェアとして提供されてもよい。この場合、システム30は、クラウド環境またはサーバー装置上で動作する。
【0046】
<B.システムの構成>
図2は、サーバー100の機能ブロックの一例を示す図である。ある実施の形態に従うと、
図2に示される各機能ブロックは、プログラムとして実現されても良い。この場合、制御装置301は、記憶装置307から各機能ブロックを実現するためのプログラムをRAM(Random Access Memory)303に読み出して実行する。
【0047】
サーバー100は、登録部201と、ログ取得部202と、比較部203と、対象者DB204と、クエリー取得部205と、検索部206と、出力部207と、臨床DB208と、記憶領域210とを備える。
【0048】
登録部201は、対象者の情報の入力を受け付けて、当該対象者の情報を対象者DB204に登録する。ある実施の形態に従うと、端末140またはサーバー100は、対象者DB204に新しく対象者を登録するためのUIを提供する。この場合、ユーザーは、当該UIを介して、端末140に対象者の情報を入力する。端末140は、ネットワークを介して、入力された対象者の情報を登録部201に送信する。登録部201は、受信した対象者の情報を対象者DB204に保存する。他の実施の形態に従うと、サーバー100は、キーボード、マウスおよび/またはタッチパネル等の入力機器と、ディスプレイ等の出力機器とを備える。この場合、ユーザーは、サーバー100に接続された入力機器を介して、サーバー100に対象者の情報を入力し得る。登録部201は、入力された対象者の情報を取得する。登録部201は、取得した対象者の情報を対象者DB204に保存する。
【0049】
また、登録部201は、新しい対象者の情報だけでなく、対象者DB204に既に登録された対象者についての更新情報を取得し得る。この場合、登録部201は、取得した更新情報に基づいて、対象者DB204内の登録情報を更新し得る。さらに、登録部201は、対象者DB204に既に登録された対象者の情報の削除要求を取得し得る。この場合、登録部201は、取得した削除要求に基づいて、対象者DB204内の登録情報を削除し得る。
【0050】
ログ取得部202は、センサー装置110から各種情報を取得し、当該各種情報を対象者DB204に保存する。ある実施の形態に従うと、ログ取得部202は、センサー装置110から、1つ以上のセンサーの出力信号の値を取得し得る。この場合、ログ取得部202は、1つ以上のセンサーの出力信号の値をログとして対象者DB204に保存する。ログ取得部202は、各ログを対象者のID(Identifier)と関連付ける。
【0051】
他の実施の形態に従うと、ログ取得部202は、センサー装置110から、対象者の状態を示す情報を取得する。この場合、センサー装置110は、1つ以上のセンサーの出力信号の値に基づいて、対象者の状態を推定する。そして、センサー装置110は、推定された対象者の状態をログ取得部202に送信する。推定された対象者の状態は、歩行能力および認知機能等の対象者の身体機能の程度を表す任意の情報を含む。
【0052】
比較部203は、対象者DB204に格納されたログに基づいて、対象者の現在の状態と、対象者の現在より前の状態とを比較する。例えば、比較部203は、カメラ映像のログ等に基づいて、対象者の現在の歩行能力と、対象者の現在より前の歩行能力とを比較する。比較部203は、対象者の現在の状態が対象者の現在より前の状態と異なる場合、出力部207に通知を行う。出力部207は、当該通知を受けたことに基づいて、端末140に対象者の状態変化を通知する。出力部207は、対象者の状態変化の通知と併せて、端末140に対象者のリハビリテーション計画の更新を促すメッセージ等を通知する。ある実施の形態に従うと、比較部203は、毎日、1週間、1ヶ月間または半年間毎等の任意のタイミングで、対象者の現在の状態と、対象者の現在より前の状態とを比較し得る。
【0053】
対象者DB204は、対象者の情報を格納する。対象者の情報は、年齢、身長、体重、疾患、性別、リハビリテーション計画、対象者の現在の状態、センサー装置110から得られた対象者についてのログ等を含み得る。対象者の現在の状態は、歩行能力および認知機能等の複数の項目を含み得る。また、ログは、1つ以上のセンサーから得られた各種信号の値またはデータを含み得る。
【0054】
クエリー取得部205は、リハビリテーションの検索条件を取得する。ある実施の形態に従うと、クエリー取得部205は、端末140からリハビリテーションの検索条件を取得する。他の実施の形態に従うと、クエリー取得部205は、サーバー100に接続された入力機器からリハビリテーションの検索条件を取得する。クエリー取得部205は、取得した検索条件を検索部206に出力する。
【0055】
検索部206は、クエリー取得部205から取得した検索条件に基づいて、臨床DB208を検索する。検索部206は、臨床DB208から、検索結果として1つ以上のリハビリテーションを取得する。検索部206は、検索条件に合致するリハビリテーションが0の場合、「検索条件に合致するリハビリテーション無し」を示す検索結果を臨床DB208から取得する。検索部206は、取得した検索結果を出力部207に出力する。
【0056】
出力部207は、検索結果を端末140に送信する。ある実施の形態に従うと、出力部207は、検索結果をサーバー100に接続された出力機器に表示し得る。また、他の実施の形態に従うと、出力部207は、端末140に各種UIまたは各種UIを表示すためのデータを送信する。各種UIは、対象者の登録画面、リハビリテーションの検索画面、検索結果の表示画面、対象者の状態変化の通知画面およびその他の任意の画面を含み得る。各種UIを表示すためのデータは、HTML(HyperText Markup Language)、CSS(Cascading Style Sheets)およびJavascript(登録商標)等を含み得る。
【0057】
臨床DB208は、1つ以上のリハビリテーションと、1つ以上の期待される効果とを格納する。各期待される効果は、1つ以上のリハビリテーションと関連付けられる。1つ以上のリハビリテーションは、例えば、理学療法ガイドライン等に記載される各分野のリハビリテーションを横断的に含む。
【0058】
記憶領域210は、対象者DB204および臨床DB208が保存される領域である。ある実施の形態に従うと、記憶領域210は、記憶装置307内に存在し得る。他の実施の形態に従うと、記憶領域210は、サーバー100以外の装置の記憶装置内に存在し得る。また、他の実施の形態に従うと、サーバー100および記憶領域210は、同一のクラウド環境上に存在してもよい。
【0059】
図3は、システム30に含まれる各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3を参照して、センサー装置110、サーバー100および端末140のハードウェア構成および各構成の機能の一例について説明する。
【0060】
(a.センサー装置110)
センサー装置110は、制御装置311と、ROM(Read Only Memory)312と、RAM313と、通信インターフェイス314と、カメラ315と、ドップラーセンサー316と、無線通信装置317と、記憶装置318とを備える。
【0061】
制御装置311は、センサー装置110を制御する。制御装置311は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらの組み合わせ等によって構成される。
【0062】
ROM312は、制御装置311が実行する各種プログラムおよび設定を保存し得る。RAM313は、ROM312または記憶装置318からロードされたプログラム等を一時的に記憶する。制御装置311は、RAM313に読み込まれたプログラムを実行する。ある実施の形態に従うと、RAM313は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)等によって実現され得る。
【0063】
通信インターフェイス314には、アンテナ(図示せず)等が接続される。センサー装置110は、当該アンテナを介して、他の通信機器との間でデータをやり取りする。他の通信機器は、例えば、サーバー100、端末140、アクセスポイント130およびその他の通信端末等を含む。
【0064】
カメラ315は、居室120内等を撮影する。ある実施の形態に従うと、カメラ315は、近赤外カメラであってもよい。近赤外カメラは、近赤外光を投光するIR(Infrared)投光器を含み、夜間でも居室120の内部を表わす映像および/または写真を撮影し得る。他の実施の形態に従うと、カメラ315は、可視光のみを受光するカメラであってもよい。さらに他の実施の形態に従うと、カメラ315は、3Dセンサーやサーモグラフィーカメラであってもよい。センサー装置110およびカメラ315は、一体的に構成されてもよいし、別体で構成されてもよい。
【0065】
ドップラーセンサー316は、例えばマイクロ波ドップラーセンサーである。ドップラーセンサー316は、電波を放射および受信して、居室120内の物体の挙動(動作)を検出する。これにより、居室120内の対象者の生体情報が検出され得る。ある実施の形態に従うと、ドップラーセンサー316は、24GHz帯のマイクロ波を各居室120内に放射し、その反射波を受信する。反射波は、対象者の動作により、ドップラーシフトし得る。センサー装置110またはサーバー100は、当該反射波のデータから、対象者の呼吸状態および/または心拍数を推定し得る。
【0066】
無線通信装置317は、センサー装置110に内蔵されていない各種センサーから信号を取得し得る。各種センサーは、ケアコール子機128、ドアセンサー127、トイレセンサー125、臭いセンサー123、および、バイタルセンサー124等を含み得る。無線通信装置317は、受信した信号を制御装置311に出力する。例えば、ケアコール子機128は、ケアコールボタン350を備える。ケアコールボタン350が操作されると、ケアコール子機128は、当該操作があったことを示す信号を無線通信装置317へ送信する。ドアセンサー127、トイレセンサー125、臭いセンサー123、および、バイタルセンサー124の各々は、検出した信号を無線通信装置317に送信する。無線通信装置317と通信する各種センサーは、無線通信機能を備え得る。
【0067】
記憶装置318は、不揮発性メモリーであり、制御装置311によって実行されるプログラムおよび制御装置311によって参照されるデータを格納する。ある実施の形態に従うと、記憶装置318は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)またはフラッシュメモリー等によって実現され得る。
【0068】
ある実施の形態に従うと、センサー装置110は、定期的に、各種センサーの信号の値をサーバー100に送信し得る。他の実施の形態に従うと、センサー装置110は、定期的に、各種センサーの信号の値から対象者の状態を推定し得る。この場合、センサー装置110は、推定された対象者の状態の情報をサーバー100に送信する。さらに他の実施の形態に従うと、センサー装置110は、各種センサーの信号の値および推定された対象者の状態の情報をサーバー100に送信し得る。
【0069】
(b.サーバー100)
サーバー100は、制御装置301と、ROM302と、RAM303と、通信インターフェイス304と、表示インターフェイス305と、操作インターフェイス306と、記憶装置307とを含む。
【0070】
制御装置301は、サーバー100を制御する。制御装置301は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはこれらの組み合わせ等によって構成される。
【0071】
ROM302は、制御装置301が実行する各種プログラムおよび設定を保存し得る。RAM303は、ROM302または記憶装置307からロードされたプログラム等を一時的に記憶する。制御装置301は、RAM303に読み込まれたプログラムを実行する。ある実施の形態に従うと、RAM303は、DRAMまたはSRAM等によって実現され得る。
【0072】
通信インターフェイス304には、アンテナ(図示せず)等が接続される。サーバー100は、当該アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、例えば、センサー装置110および端末140を含む。
【0073】
表示インターフェイス305は、ディスプレイ308と接続され、制御装置301等からの指令に従って、ディスプレイ308に対して、画像を表示するための画像信号を出力する。
【0074】
操作インターフェイス306は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子であり、入力デバイス309に接続される。操作インターフェイス306は、入力デバイス309からユーザーの操作を示す信号を受ける。入力デバイス309は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネルおよび/またはその他の任意の装置である。
【0075】
記憶装置307は、不揮発性メモリーであり、制御装置301によって実行されるプログラムおよび制御装置301によって参照されるデータを格納する。ある実施の形態に従うと、記憶装置307は、HDD、SSD、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリー等によって実現され得る。
【0076】
(c.端末140)
端末140は、制御装置341と、RAM343と、通信インターフェイス344と、ディスプレイ345と、入力デバイス346と、記憶装置347とを含む。
【0077】
制御装置341は、端末140を制御する。制御装置341は、例えば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせ等によって構成される。
【0078】
RAM343は、記憶装置347からロードされたプログラム等を一時的に記憶する。制御装置341は、RAM343に読み込まれたプログラムを実行する。ある実施の形態に従うと、RAM343は、DRAMまたはSRAM等によって実現され得る。
【0079】
通信インターフェイス344には、アンテナ(図示せず)等が接続される。端末140は、当該アンテナおよびアクセスポイント130を介して、外部の通信機器と通信し得る。外部の通信機器は、例えば、センサー装置110およびサーバー100等を含む。
【0080】
ディスプレイ345は、各種情報を表示する。一例として、ディスプレイ345は、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイによって実現される。ディスプレイ345は、端末140に組み込まれてもよいし、端末140に接続されてもよい。
【0081】
入力デバイス346は、ユーザーからの入力を受け付ける。一例として、入力デバイス346は、ディスプレイ345に重ねられたタッチセンサーによって実現される。当該タッチセンサーは、端末140に対する各種操作をタッチ操作で受け付け、当該操作の内容を制御装置341へ出力する。
【0082】
記憶装置347は、不揮発性メモリーであり、制御装置341によって実行されるプログラムおよび制御装置341によって参照されるデータを格納する。ある実施の形態に従うと、記憶装置347は、HDD、SSD、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリー等によって実現され得る。
【0083】
<C.データの構成>
次に、
図4~
図6を参照して、サーバー100に格納される各種データと、サーバー100に格納されるリハビリテーションを検索するための検索キーとについて説明する。また、検索キーからリハビリテーションを検索する手順ついて説明する。ある実施の形態に従うと、
図4及び
図5に示されるデータは、リレーショナルデータベースのテーブルとして実現されてもよい。他の実施の形態に従うと、
図4及び
図5に示されるデータは、JSON(JavaScript Object Notation)等の他の任意のデータ形式で表現されてもよい。
【0084】
(a.対象者DBの構成)
図4は、対象者DB204に含まれる各種テーブルの一例を示す図である。対象者DB204は、対象者自身の情報、リハビリテーション計画および対象者の健康状態の記録等を含む。対象者DB204は、一例として、第1テーブル400と、第2テーブル410と、第3テーブル420とを備える。
【0085】
第1テーブル400は、対象者のプロフィール等を含む。第1テーブル400は、一例として、IDの項目401と、氏名の項目402と、年齢の項目403と、性別の項目404と、疾患の項目405と、備考の項目406とを備える。ある実施の形態に従うと、第1テーブル400は、家族の連絡先等の対象者に関する任意の情報をさらに含み得る。
【0086】
IDの項目401は、対象者を一意に識別するためのIDに関する項目である。氏名の項目402は、対象者の氏名に関する項目である。年齢の項目403は、対象者の年齢に関する項目である。性別の項目404は、対象者の性別に関する項目である。疾患の項目405は、対象者が抱える疾患に関する項目である。備考の項目406は、対象者に対するその他の任意の情報に関する項目である。
【0087】
第2テーブル410は、リハビリテーション計画等を含む。第2テーブル410は、一例として、IDの項目411と、開始日の項目412と、状態の項目413と、リハビリテーション計画の項目414と、対象者IDの項目415とを備える。ある実施の形態に従うと、第2テーブル410は、過去のリハビリテーションの記録等のリハビリテーション計画に関する任意の情報をさらに含み得る。
【0088】
IDの項目411は、リハビリテーション計画を一意に識別するためのIDに関する項目である。開始日の項目412は、リハビリテーションの開始日に関する項目である。状態の項目413は、対象者の状態に関する項目である。リハビリテーション計画の項目414は、リハビリテーション計画の内容に関する項目である。一例として、リハビリテーション計画の項目414は、対象者に提供される1つ以上のリハビリテーションを含む。対象者IDの項目415は、対象者を一意に識別するためのIDに関する項目である。対象者IDの項目415は、IDの項目401に対応する。対象者DB204は、対象者IDの項目415およびIDの項目401を参照して、JOIN等の処理を行い得る。
【0089】
第3テーブル420は、対象者についてのログ等を含む。より具体的には、第3テーブル420は、センサー装置110から取得された各種情報が格納される。ある実施の形態に従うと、各種情報は、1つ以上のセンサーが出力する各信号の値である。この場合、サーバー100は、センサー装置110から各センサーの信号の値を受信する。他の実施の形態に従うと、各種情報は、センサー装置110が1つ以上のセンサーが出力する各信号の値から推定した対象者の状態の情報である。この場合、サーバー100は、センサー装置110から対象者の状態の情報を取得する。第3テーブル420は、一例として、IDの項目421と、ログの項目422と、対象者IDの項目423とを備える。
【0090】
IDの項目421は、ログを一意に識別するためのIDに関する項目である。ログの項目422は、ログの内容に関する項目である。対象者DB204は、センサー装置110から取得したログをログの項目422として保存する。比較部203は、ある期間のログの項目422と、他の期間のログの項目422とを比較することで、対象者の状態の変化を検出し得る。対象者IDの項目423は、対象者を一意に識別するためのIDに関する項目である。対象者IDの項目423は、IDの項目401に対応する。対象者DB204は、対象者IDの項目423およびIDの項目401を参照して、JOIN等の処理を行い得る。
【0091】
(b.臨床DBの構成)
図5は、臨床DB208に含まれる各種テーブルの一例を示す図である。
図5を参照して、臨床DB208の構成およびリハビリテーションの検索の流れについて説明する。臨床DB208は、科学的根拠に基づくリハビリテーションを含む。ユーザーは、システム30が提供するUIを使用して、臨床DB208から適切なリハビリテーションを検索することで、リハビリテーション計画を作成する。臨床DB208は、一例として、第1テーブル500と、第2テーブル510とを備える。
【0092】
第1テーブル500は、リハビリテーション、および当該リハビリテーションに関連付けられた各種項目の情報を含む。第1テーブル500は、一例として、IDの項目501と、年齢の項目502と、性別の項目503と、疾患の項目504と、介入の項目505と、推奨度の項目506と、エビデンス強度の項目507と、比較対象の項目508と、アウトカムの項目509とを備える。
【0093】
IDの項目501は、リハビリテーションを一意に識別するためのIDに関する項目である。年齢の項目502は、リハビリテーションに関連付けられた年齢に関する項目である。ある実施の形態に従うと、年齢の項目502は、年齢の範囲を含んでもよい。例えば、リハビリテーション「A」に「70~80歳」が関連付けられているとする。この場合、リハビリテーション「A」は、「70~80歳」の対象者に適していることを意味する。性別の項目503は、リハビリテーションに関連付けられた性別に関する項目である。例えば、リハビリテーション「A」に性別「男性」が関連付けられているとする。この場合、リハビリテーション「A」は、「男性」の対象者に適していることを意味する。疾患の項目504は、リハビリテーションに関連付けられた疾患に関する項目である。例えば、リハビリテーション「A」に疾患「X」が関連付けられているとする。この場合、リハビリテーション「A」は、疾患「X」を抱える対象者に適していることを意味する。介入の項目505は、ユーザーが対象者に対して行う行為に関する項目である。介入は、身体的訓練、食事リハビリテーション等の対象者に対して行われる任意の行動を含む。介入は、本明細書におけるリハビリテーションに相当する。推奨度の項目506は、介入(リハビリテーション)の推奨の度合いを示す。ある実施の形態に従うと、推奨の度合いは、数値等で段階的に示されてもよい。また、他の実施の形態に従うと、推奨の度合いは、「推奨する、してもよい、推奨しない」等の文字で表現されてもよい。エビデンス強度の項目507は、介入(リハビリテーション)に対するエビデンスの正確性を示す。介入(リハビリテーション)の効果は、様々な実験等によって求められる。また、エビデンスの正確性は、行われる実験手法、期間およびサンプル母数等によって変化する。介入(リハビリテーション)のエビデンス強度が高い程、当該介入(リハビリテーション)の信頼性が高いと言える。比較対象の項目508は、介入(リハビリテーション)を行った場合とそうでない場合とでどのような差がでるかに関する項目である。ある実施の形態に従うと、比較対象の項目508は、ある介入(リハビリテーション)を行った場合と別の介入(リハビリテーション)を行った場合とでどのような差がでるかに関する項目であってもよい。アウトカムの項目509は、介入(リハビリテーション)によって得られる効果である。アウトカムは、理学療法ガイドライン等に記載されている項目である。
【0094】
第2テーブル510は、アウトカム、およびアウトカムに関連付けられた検索項目の情報を含む。第2テーブル510は、一例として、IDの項目511と、アウトカムの項目512と、部位の項目513と、期待される効果の項目514と、期待される詳細効果の項目515とを備える。
【0095】
IDの項目511は、アウトカムを一意に識別するためのIDである。アウトカムの項目512は、介入(リハビリテーション)によって得られる効果である。アウトカムの項目512は、アウトカムの項目509に対応する。部位の項目513は、対象者の体の部位に関する項目である。一例として、対象者の体の部位は、全身、脳、呼吸器、体幹、上肢および下肢等を含む。他の例として、対象者の体の部位は、目(視力)、耳(聴覚)、各間接、手、腕、足、膝および腰等の任意の部位を含み得る。また、対象者の体の部位は、体の部位の組み合わせを含み得る。期待される効果の項目514は、介入(リハビリテーション)の検索キーとして使用される期待される効果に関する項目である。一例として、期待される効果の項目514は、
図6の期待される効果601の内容を含む。期待される詳細効果の項目515は、検索キーとして使用される期待される詳細効果に関する項目である。一例として、期待される詳細効果の項目515は、
図6の期待される詳細効果602の内容を含む。
【0096】
理学療法ガイドラインまたは学術論文等に記載されるリハビリテーションは、アウトカムと関連付けられる。しかしながら、アウトカムは、分野毎に記載および粒度が異なっており、検索キーとして使用できない。そこで、システム30は、統一されたフォーマットの検索キー(部位、期待される効果および期待される効果詳細)を1つ以上のアウトカムに関連付ける。こうすることで、システム30は、統一されたフォーマットの検索キーを受け付けるだけで、対応するアウトカムを取得し得る。そして、システム30は、アウトカムに基づいて、多岐にわたる分野のリハビリテーションを検索し得る。ある実施の形態に従うと、第2テーブル510は、部位、期待される効果および期待される効果詳細の一部または全ての任意の組み合わせを1つ以上のアウトカムに関連付け得る。
【0097】
(c.介入(リハビリテーション)の検索の流れ)
次に、ユーザーが介入(リハビリテーション)を検索する流れについて説明する。ユーザーは、システム30が提供する第1画面700(
図7参照)を介して、システム30に、対象者の年齢、性別、疾患、体の部位、期待される効果を入力する。ある実施の形態に従うと、ユーザーは、システム30に、期待される効果の代わりに期待される詳細効果を入力してもよい。他の実施の形態に従うと、ユーザーは、システム30に、期待される効果および期待される詳細効果の組み合わせを入力してもよい。また、ユーザーは、システム30に、複数の部位を入力してもよい。さらに、ユーザーは、システム30に、複数の期待される効果および/または期待される詳細効果を入力してもよい。
【0098】
システム30は、検索キーとして、対象者の年齢、性別、疾患、体の部位、期待される効果および期待される詳細効果を取得する。ある実施の形態に従うと、検索キーは、期待される効果および期待される詳細効果の片方または両方を含み得る。
【0099】
システム30は、体の部位、期待される効果および期待される詳細効果を検索キーとして、第2テーブル510から、アウトカムを検索する。これにより、システム30は、検索キーに含まれる体の部位、期待される効果および期待される詳細効果に対応する1つ以上のアウトカムを取得する。
【0100】
次に、システム30は、対象者の年齢、性別、疾患、および、1つ以上のアウトカムを検索キーとして、第1テーブル500から、介入(リハビリテーション)を検索する。システム30は、検索された介入(リハビリテーション)と、当該介入(リハビリテーション)に関連する推奨度およびエビデンス強度等の任意の情報を第2画面800(
図8参照)に出力する。
【0101】
理学療法ガイドライン等の書籍に記載されているアウトカムは、表現および粒度が統一されていないことがある。そこで、システム30は、統一された検索項目として、期待される効果および期待される詳細効果を提供する。システム30は、体の部位、期待される効果および期待される詳細効果の組み合わせから、これらの組み合わせに対応するアウトカムを検索する。システム30は、アウトカムに関連する介入(リハビリテーション)を検索する。こうすることで、ユーザーは、統一されたフォーマットおよび粒度の検索キーに基づいて、各分野におけるリハビリテーションを横断的に検索し得る。
【0102】
ある実施の形態に従うと、各アウトカムは、1つ以上の期待される効果と関連付けられる。また、各アウトカムは、1つ以上の期待される詳細効果と関連付けられる。他の実施の形態に従うと、期待される効果の各々は、1つ以上のアウトカムと関連付けられる。また、期待される詳細効果の各々は、1つ以上のアウトカムと関連付けられる。すなわち、体の部位、期待される効果および期待される詳細効果は、アウトカムを介して、介入(リハビリテーション)に間接的に関連付けられる。
【0103】
ある実施の形態に従うと、第1テーブル500および第2テーブル510は、1つのテーブルとして定義されてもよい。この場合、システム30は、対象者の年齢、性別、疾患、体の部位、期待される効果および期待される詳細効果から、介入(リハビリテーション)を直接検索し得る。この場合、体の部位、期待される効果および期待される詳細効果は、介入(リハビリテーション)に直接的に関連付けられる。
【0104】
上記のように、記憶部(記憶領域210、臨床DB208)は、1つ以上のアウトカムを格納する。1つ以上のアウトカムの各々は、第1テーブル500において、1つ以上のリハビリテーションに含まれる少なくとも1つのリハビリテーションに関連付けられる。また、1つ以上のアウトカムの各々は、第2テーブル510において、1つ以上の期待される効果に含まれる少なくとも1つの期待される効果に関連付けられる。検索条件に含まれる期待される効果に紐付けられたリハビリテーションを検索することは、次の2つの手順を含む。1つ目の手順は、検索条件に含まれる期待される効果に対応するアウトカムを第2テーブル510から検索することである。2つ目の手順は、検索されたアウトカムに関連付けられるリハビリテーションを第1テーブル500から検索することである。
【0105】
(d.検索キーの分類)
図6は、臨床DB208の検索キーの一例を示す図である。臨床DB208の検索キーは、
図6に示される項目に加えて、対象者の年齢、性別、疾患およびその他の項目を含み得る。
【0106】
対象者に対するリハビリテーションは、理学療法ガイドライン等に記載のアウトカムに基づいて、検索されることが理想的である。しかしながら、アウトカムは、標記および粒度が統一されておらず、検索キーとして使用しにくい。そこで、システム30は、期待される効果601と、期待される詳細効果602と、体の部位610とを検索キーとして提供する。期待される詳細効果602は、期待される効果601の下位の検索キーとして提供される。例えば、期待される効果「運動機能の維持改善」が検索キーとして選択されたとする。この場合、検索キーは、期待される詳細効果「呼吸機能」~「関節可動域」を含むことになる。
【0107】
システム30は、期待される効果601と、期待される詳細効果602と、体の部位610との組み合わせから、対応するアウトカムを特定する。そして、システム30は、当該アウトカムに関連付けられたリハビリテーションを特定し、当該リハビリテーションをユーザーに提示する。これにより、ユーザーは、体の部位610、期待される効果601および期待される詳細効果602の一覧から検索キーを選択するだけで、複数の分野におけるリハビリテーションを検索し得る。
【0108】
上記のように、記憶部(記憶領域210、臨床DB208)に格納される1つ以上のリハビリテーションは、理学療法における複数の分野のリハビリテーションを含む。また、検索条件は、少なくとも対象者の疾患をさらに含む。検索部206は、検索条件に含まれる疾患および期待される効果を検索キーとして、複数の分野のリハビリテーションの全てを検索対象として検索する。こうすることで、ユーザーは、1つ以上の期待される効果を検索条件に、理学療法における複数の分野のリハビリテーションを横断的に検索し得る。さらに、対象者の疾患および期待される効果を検索キーに含めることで、ユーザーは、対象者の疾患の改善に関連するリハビリテーションのみを検索し得る。
【0109】
また、検索条件が1つ以上の期待される効果の少なくとも一部と共に1つ以上の体の部位の情報の少なくとも一部を含むとする。この場合、検索部206は、検索条件に含まれる期待される効果および体の部位の情報に関連付けられたリハビリテーションを検索する。ここでの検索条件に含まれる期待される効果は、期待される効果または期待される詳細効果である。
【0110】
さらに、記憶部(記憶領域210、対象者DB204)は、対象者毎の状態情報を格納する。ログ取得部202は、センサー装置110から対象者の状態情報を取得して、記憶部に状態情報を格納する。比較部203は、状態情報に基づいて、対象者の現在の状態と対象者の現在より前の状態とを比較する。出力部207は、対象者の現在の状態と対象者の現在より前の状態とが異なる場合、対象者のリハビリテーション計画の更新を促す通知を出力する。こうすることで、ユーザーは、対象者の変化を容易に把握し得る。また、ユーザーは、当該通知を受けたことをトリガーに、対象者のリハビリテーション計画を更新し得る。
【0111】
<D.UI>
次に、
図7~
図9を参照して、システム30がユーザーに提供する画面について説明する。システム30は、リハビリテーションの検索画面、検索結果画面、および、対象者の状態を通知する画面をユーザーに提供する。
【0112】
ある実施の形態に従うと、
図7~
図9に示される各画面は、ウェブアプリケーションの画面として提供される。この場合、サーバー100は、
図7~
図9に示される各画面を表示するためのデータを端末140に送信する。端末140は、受信したデータに基づいて、端末140のディスプレイに
図7~
図9に示される各画面を表示し得る。
【0113】
他の実施の形態に従うと、
図7~
図9に示される各画面は、サーバー100または端末140にインストールされたアプリケーションの画面として提供される。この場合、一例として、7~
図9に示される各画面は、サーバー100に接続されたディスプレイに表示され得る。他の例として、7~
図9に示される各画面は、端末140にインストールされたクライアントアプリケーションの画面としてディスプレイに表示される。クライアントアプリケーションは、サーバー100と通信する。
【0114】
図7は、システム30が提供する第1画面700の一例を示す図である。第1画面700は、リハビリテーションの検索画面である。第1画面700は、第1検索項目701と、第2検索項目702と、第3検索項目703とを備える。ユーザーは、第1検索項目701、第2検索項目702および第3検索項目703から、1つ以上の検索キーを選択することにより、複数の分野におけるリハビリテーションを一括して検索し得る。ある実施の形態に従うと、第1検索項目701、第2検索項目702および第3検索項目703は、検索キーを入力可能に構成されてもよい。
【0115】
第1検索項目701は、対象者の年齢、性別および疾患を選択可能または入力可能に構成される。第1検索項目701は、疾患以外にも、損傷、機能障害およびその他の対象者に関する任意の情報を選択可能または入力可能に構成され得る。
【0116】
第2検索項目702は、対象者の体の部位を選択可能または入力可能に構成される。一例として、第2検索項目702は、選択項目として、全身、脳機能、呼吸器、体幹、上肢および下肢を含む。第2検索項目702は、選択項目として、その他の任意の体の部位を含み得る。第2検索項目702は、体の部位610に対応する。ユーザーは、第2検索項目702から、1つ以上の体の部位を選択し得る。または、ユーザーは、第2検索項目702に、1つ以上の体の部位を入力し得る。
【0117】
第3検索項目703は、期待される効果および期待される詳細効果を選択可能または入力可能に構成される。第3検索項目703は、期待される効果601および期待される詳細効果602に対応する。
図7中の「全て選択」は、期待される効果601の選択に相当する。例えば、「全て選択」により期待される効果「運動機能の維持改善」が選択されたとする。この場合、期待される詳細効果「呼吸機能」~「関節可動域」の全てが検索キーとして選択される。ユーザーは、第3検索項目703から、1つ以上の期待される効果および/または1つ以上の期待される詳細効果を選択し得る。または、ユーザーは、第3検索項目703に、1つ以上の期待される効果および/または1つ以上の期待される詳細効果を入力し得る。
【0118】
例えば、期待される効果601および期待される詳細効果602の数が非常に多いとする。この場合、第3検索項目703は、期待される効果601および期待される詳細効果602の一部を第1画面700に表示し得る。さらに、第1画面700は、第3検索項目703の表示内容を切り替え可能に構成され得る。例えば、第1画面700に表示される期待される効果601および期待される詳細効果602がA~Dの4つに分割されるとする。この場合、第1画面700は、第3検索項目703の表示をA~Dの4つのいずれかに切り替え得る。
【0119】
ユーザーは、第1検索項目701、第2検索項目702および第3検索項目703において、検索キーを選択又は入力することで、複数の分野のリハビリテーションを容易に検索し得る。サーバー100は、選択又は入力された検索キーに基づいて、臨床DB208を検索する。サーバー100は、検索キーに対応する1つ以上のリハビリテーションおよび当該リハビリテーションに関連する情報を端末140に送信する。
【0120】
第1画面700は、出力部207により端末140のディスプレイまたはサーバー100に接続されたディスプレイ308に出力される。すなわち、出力部207は、対象者のための新しいリハビリテーションを検索するための検索キーの候補として、1つ以上の期待される効果の少なくとも一部を提示する。提示される項目は、第3検索項目703を含む。また、出力部207は、対象者のための新しいリハビリテーションを検索するための検索キーの候補として、体の部位の情報(第2検索項目702)を提示し得る。
【0121】
図8は、システム30が提供する第2画面800の一例を示す図である。第2画面800は、リハビリテーションの検索結果画面である。第2画面800は、第1検索結果810と、第2検索結果820とを備える。一例として、第1検索結果810は、推奨されるリハビリテーション(介入)の情報を含む。一例として、第2検索結果820は、実施に問題のないリハビリテーション(介入)の情報を含む。
【0122】
第1検索結果810および第2検索結果820は、個別のリハビリテーションを選択可能に構成される。第2画面800において個別のリハビリテーションが選択された場合、第2画面800は、選択されたリハビリテーションの詳細情報画面に遷移する。選択されたリハビリテーションの詳細情報画面は、リハビリテーションの具体的な実施方法、アウトカム、推奨度、エビデンス強度および引用元情報等の任意の情報を含み得る。ある実施の形態に従うと、リハビリテーションの具体的な実施方法、アウトカム、推奨度、エビデンス強度および引用元情報等の任意の情報は、第2画面800に直接表示されても良い。
【0123】
ある実施の形態に従うと、第2画面800は、推奨度別に、リハビリテーションを3つ以上に分類して表示しても良い。他の実施の形態に従うと、第2画面800は、エビデンス強度に基づいて、リハビリテーションを分類して表示しても良い。また、他の実施の形態に従うと、第2画面800は、推奨度およびエビデンス強度に基づいて、リハビリテーションを分類して表示しても良い。
【0124】
図9は、システム30が提供する第3画面900の一例を示す図である。第3画面900は、対象者の状態変化をユーザーに通知するための画面である。また、第3画面900は、リハビリテーション計画の更新をユーザーに促す画面でもある。ある実施の形態に従うと、第3画面900は、第1画面700(検索画面)と同一画面であってもよい。第3画面900は、第1検索項目701、第2検索項目702および第3検索項目703に加えて、アイコン910と、第1通知項目920と、第2通知項目930とを備える。
【0125】
アイコン910は、第1通知項目920の表示および非表示を切り替えるためのアイコンである。第3画面900上に第1通知項目920が表示されていない状態でアイコン910が押されると、第3画面900上に第1通知項目920が表示される。第3画面900上に第1通知項目920が表示されている状態でアイコン910が押されると、第3画面900上から第1通知項目920が消える。ある実施の形態に従うと、サーバー100は、一人以上の対象者の状態の変化を検出した場合、一人以上の対象者の状態の変化についての通知を端末140に送信し得る。端末140は、一人以上の対象者の変化についての通知を受信したことに基づいて、アイコン910の表示を変更し得る。これにより、ユーザーは、対象者の状態の変化に気づきやすくなる。
【0126】
第1通知項目920は、対象者のリストを示す。また、第1通知項目920は、状態が変化した対象者を強調表示する。端末140は、サーバー100から受信した一人以上の対象者の変化についての通知に基づいて、強調表示する対象者を選択する。ユーザーは、第1通知項目920を参照することで、状態が変化した対象者を把握し得る。ある実施の形態に従うと、第1通知項目920は、対象者の氏名、部屋番号または連絡先等の情報を含み得る。ユーザーは、第1通知項目920から一人の対象者を選択し得る。第1通知項目920から一人の対象者が選択されると、第2通知項目930に選択された対象者の情報が表示される。
図9の例では、対象者Aの項目921が選択されている。この場合、第2通知項目930に対象者Aの情報が表示される。
【0127】
第2通知項目930は、第1通知項目920において選択された対象者の状態についての情報を表示する。対象者の状態が変化している場合、端末140は、第2通知項目930に、対象者の何の状態がどのように変化したのかを示す情報を表示する。また、端末140は、対象者の状態の変化の情報と併せて、第2通知項目930に、対象者のリハビリテーション計画の更新を促すメッセージを表示し得る。なぜならば、対象者の状態が変化したことにより、当該対象者に適用すべきリハビリテーションも変化する可能性があるためである。
【0128】
ある実施の形態に従うと、端末140は、第1通知項目920から一人の対象者が選択されたことに基づいて、検索キーを自動的に選択してもよい。より具体的には、端末140は、選択された対象者の情報をサーバー100に問い合せる。サーバー100は、対象者DB204から、対象者に関する情報を検索して、検索結果を端末140に返信する。検索結果は、一例として、対象者の氏名、年齢、性別、疾患、現在のリハビリテーション計画、および、当該対象者に関する過去の検索履歴等を含み得る。端末140は、受信した検索結果に基づいて、第1検索項目701、第2検索項目702および第3検索項目703から、検索キーを自動的に選択する。一例として、端末140は、現在のリハビリテーション計画または当該対象者に関する過去の検索履歴に基づいて、第2検索項目702および第3検索項目703から検索キーを選択し得る。
図9の例では、検索キー940として、第3検索項目703から「歩行機能」および「バランス機能」が選択されている。
【0129】
ある実施の形態に従うと、端末140は、第1通知項目920から一人の対象者が選択されたことに基づいて、第1検索項目701中から、項目を自動選択してもよい。または、端末140は、第1検索項目701および第2検索項目702中から、項目を自動選択してもよい。
【0130】
ユーザーは、第3画面900を参照することで、各対象者の状態の変化を把握し得る。また、対象者は、第3画面900を介して、状態が変化した対象者に対する新しいリハビリテーションを検索し得る。
【0131】
<E.フローチャート>
次に、
図10および
図11を参照して、サーバー100の内部処理の手順について説明する。ある局面において、制御装置301は、
図10および
図11の処理を行うためのプログラムをROM302または記憶装置307からRAM303に読み込んで、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0132】
図10は、サーバー100によって実行されるリハビリテーション計画の見直しをユーザーに促す処理の流れの一例を示す図である。サーバー100(システム30)は、
図10に示される処理を実行することで、ユーザーに対象者のリハビリテーション計画を更新するように促し得る。
【0133】
ステップS1010において、サーバー100は、ログを受信したか否かを判定する。より具体的には、サーバー100は、センサー装置110から、1つ以上のセンサーの信号の値を受信したか否かを判定する。ある実施の形態に従うと、サーバー100は、センサー装置110から、センサー装置110が推定した対象者の状態情報を受信したか否かを判定してもよい。サーバー100は、ログを受信したと判定した場合(ステップS1010にてYES)、制御をステップS1020に移す。そうでない場合(ステップS1010にてNO)、サーバー100は、処理を終了する。
【0134】
ステップS1020において、サーバー100は、ログ及び対象者DB204を参照して、対象者の状態に変化があるか否かを判定する。ある実施の形態に従うと、ログは対象者DB204に一旦格納されてから参照されてもよい。この場合、サーバー100は、対象者DB204を参照して、対象者の状態に変化があるか否かを判定する。
【0135】
ステップS1030において、サーバー100は、対象者の状態に変化があると判定した場合(ステップS1030にてYES)、制御をステップS1040に移す。そうでない場合(ステップS1030にてNO)、サーバー100は、処理を終了する。
【0136】
ステップS1040において、サーバー100は、リハビリテーション計画の更新を促すための通知を出力する。ある実施の形態に従うと、サーバー100は、リハビリテーション計画の更新を促すための通知を端末140に送信する。端末140は、当該通知を受信したことに基づいて、例えば、アイコン910の表示を変更する。
【0137】
図11は、サーバー100によって実行されるリハビリテーションの検索処理の流れの一例を示す図である。サーバー100(システム30)は、
図11に示される処理を実行することで、ユーザーが複数の分野におけるリハビリテーションを検索することを容易にする。
【0138】
ステップS1110において、サーバー100は、検索クエリーを取得したか否かを判定する。検索クエリーは、端末140からサーバー100に送信される。端末140は、第1検索項目701、第2検索項目702および第3検索項目703から選択された1つ以上の項目を検索キーの値として検索クエリーに含める。サーバー100は、検索クエリーを取得したと判定した場合(ステップS1110にてYES)、制御をステップS1120に移す。そうでない場合(ステップS1110にてNO)、サーバー100は、処理を終了する。
【0139】
ステップS1120において、サーバー100は、臨床DB208を検索する。より具体的には、サーバー100は、受信した検索キーに基づいて、第2テーブル510および第1テーブル500を順に検索する。
【0140】
ステップS1130において、サーバー100は、検索結果を出力する。ある実施の形態に従うと、サーバー100は、端末140に送信し得る。他の実施の形態に従うと、サーバー100は、検索結果をサーバー100に接続されたディスプレイ308に表示し得る。さらに、他の実施の形態に従うと、サーバー100は、検索結果を端末140に送信し、かつ、ディスプレイ308に表示し得る。
【0141】
以上説明した通り、本実施の形態に従うシステム30は、複数の分野のリハビリテーションに統一的かつ同じ粒度で関連付け可能な期待される効果の一覧を検索キーの候補として提供する。各期待される効果は、複数の分野のリハビリテーションの少なくとも1つ以上に関連付けられる。また、システム30は、検索キーの候補として、期待される効果の一覧をユーザーに提示する。ユーザーは、システム30が提示する期待される効果の一覧の中から検索キーを選択するだけで、複数の分野にわたるリハビリテーションを横断的に検索し得る。
【0142】
さらに、システム30は、センサー装置110から、1つ以上のセンサーの信号の値を取得する。システム30は、受信した1つ以上のセンサーの信号の値から、各対象者の状態の変化を検出する。システム30は、対象者の状態が変化したことに基づいて、対象者の状態が変化したことを端末140に通知し、ユーザーにリハビリテーション計画の更新を促す。ユーザーは、通知を確認することで対象者の状態の変化を把握し、対象者のリハビリテーション計画を適切に更新し得る。
【0143】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0144】
30 システム、100 サーバー、110 センサー装置、120 居室、123 臭いセンサー、124 バイタルセンサー、125 トイレセンサー、127 ドアセンサー、128 ケアコール子機、130 アクセスポイント、140 端末、150 施設、201 登録部、202 ログ取得部、203 比較部、204 対象者DB、205 クエリー取得部、206 検索部、207 出力部、208 臨床DB、210 記憶領域、301,311,341 制御装置、302,312 ROM、303,313,343 RAM、304,314,344 通信インターフェイス、305 表示インターフェイス、306 操作インターフェイス、307,318,347 記憶装置、308,345 ディスプレイ、309,346 入力デバイス、315 カメラ、316 ドップラーセンサー、317 無線通信装置、350 ケアコールボタン、400,500 第1テーブル、401,411,421,501,511 IDの項目、402 氏名の項目、403,502 年齢の項目、404,503 性別の項目、405,504 疾患の項目、406 備考の項目、410,510 第2テーブル、412 開始日の項目、413 状態の項目、414 リハビリテーション計画の項目、415,423 対象者IDの項目、420 第3テーブル、422 ログの項目、505 介入の項目、506 推奨度の項目、507 エビデンス強度の項目、508 比較対象の項目、509,512 アウトカムの項目、513 部位の項目、514 期待される効果の項目、515 期待される詳細効果の項目、601 期待される効果、602 期待される詳細効果、610 部位、700 第1画面、701 第1検索項目、702 第2検索項目、703 第3検索項目、800 第2画面、810 第1検索結果、820 第2検索結果、900 第3画面、910 アイコン、920 第1通知項目、930 第2通知項目、940 検索キー。