(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122021
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】貨幣処理システム及び貨幣処理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/24 20190101AFI20240902BHJP
【FI】
G07D11/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029320
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】カスワン マダンモハン
(72)【発明者】
【氏名】橋谷 侑希
(72)【発明者】
【氏名】趙 亞男
(72)【発明者】
【氏名】シャーップ デービッド
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA12
3E141CA04
3E141CA05
3E141CA16
3E141CB04
3E141GA07
3E141JA10
3E141KB16
(57)【要約】
【課題】複数の貨幣処理装置内にある貨幣を補充又は回収する保守作業を効率よく行う。
【解決手段】貨幣処理システムを、貨幣処理を実行可能な複数の貨幣処理装置と、複数の貨幣処理装置と通信可能に接続され、各貨幣処理装置から装置内にある貨幣の種類別の在高に関する情報を取得する管理装置とによって構成する。管理装置は、複数の貨幣処理装置をグループ分けして、グループ別に、貨幣の種類別の在高を管理すると共に、グループで設定された貨幣の種類別の閾値と、貨幣処理装置内の貨幣の種類別の在高とに基づいて、各貨幣処理装置への貨幣の補充又は回収を依頼する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣処理を実行可能な複数の貨幣処理装置と、
前記複数の貨幣処理装置と通信可能に接続され、各貨幣処理装置から装置内にある貨幣の種類別の在高に関する情報を取得する管理装置と
を備え、
前記管理装置は、
前記複数の貨幣処理装置をグループ分けして、グループ別に、貨幣の種類別の在高を管理すると共に、
グループで設定された貨幣の種類別の閾値と、貨幣処理装置内の貨幣の種類別の在高とに基づいて、各貨幣処理装置への貨幣の補充又は回収を依頼する
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記管理装置は、グループ内での貨幣の在高が前記閾値に達するまでの時間を予測して、予測時間に基づいて、依頼するタイミングを決定することを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記予測時間と、グループ内での貨幣の補充又は回収に要する時間に基づいて設定された所定時間とに基づいて、依頼するタイミングを決定することを特徴とする請求項2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記閾値の変更条件を記憶し、前記変更条件が満たされた場合には前記閾値を変更して、変更後の閾値に基づいて前記タイミングを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記変更条件は、グループの貨幣在高の推移が所定条件を満たす場合に、前記閾値を変更するように設定されていることを特徴とする請求項4に記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、貨幣が補充又は回収されるグループに属する複数の貨幣処理装置のうち、貨幣を装置外へ排出させる1又は複数の貨幣処理装置と、各貨幣処理装置から排出させる貨幣の種類及び種類別貨幣量とを決定して、決定した各貨幣処理装置へ、決定した貨幣の種類及び種類別貨幣量を通知して、
前記管理装置から通知を受けた各貨幣処理装置は、通知された種類の貨幣を、通知された貨幣量分、装置外へ排出するための貨幣処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記管理装置は、貨幣が補充又は回収されるグループに属する複数の貨幣処理装置のうち、貨幣を装置内へ収納させる1又は複数の貨幣処理装置と、各貨幣処理装置に収納させる貨幣の種類及び種類別貨幣量とを決定して、決定した各貨幣処理装置へ、決定した貨幣の種類及び種類別貨幣量を通知して、
前記管理装置から通知を受けた各貨幣処理装置は、通知された種類の貨幣を、通知された貨幣量分、装置内へ収納するための貨幣処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は6に記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
前記管理装置は、
貨幣が補充又は回収されるグループに属する複数の貨幣処理装置のうち、
貨幣を装置外へ排出させる1又は複数の貨幣処理装置と各貨幣処理装置から排出させる貨幣の種類及び種類別貨幣量と、貨幣を装置内へ収納させる1又は複数の貨幣処理装置と各貨幣処理装置に収納させる貨幣の種類及び種類別貨幣量とを決定して、
決定内容に関する通知を、前記タイミングに基づいて送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
前記管理装置は、グループへの貨幣の補充又は回収を行う際に前記現金輸送会社が輸送する貨幣の枚数と、重量と、金額との少なくともいずれか1つを制限する上限値を記憶し、前記輸送会社が輸送する貨幣が前記上限値を超えないように、補充又は回収する貨幣の種類及び種類別貨幣量を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項10】
前記管理装置は、
貨幣が補充又は回収されるグループに属する複数の貨幣処理装置のうち、
貨幣を装置外へ排出させる1又は複数の貨幣処理装置と各貨幣処理装置から排出させる貨幣の種類及び種類別貨幣量と、貨幣を装置内へ収納させる1又は複数の貨幣処理装置と各貨幣処理装置に収納させる貨幣の種類及び種類別貨幣量とを決定して、
前記決定内容に基づいてグループ内での貨幣の輸送ルートを決定する、
ことを特徴とする請求項8に記載の貨幣処理システム。
【請求項11】
貨幣処理を実行可能な複数の貨幣処理装置と、前記複数の貨幣処理装置と通信可能に接続され、各貨幣処理装置から装置内にある貨幣の種類別の在高に関する情報を取得する管理装置とを用いた貨幣処理方法であって、
前記複数の貨幣処理装置をグループ分けして、グループ別に、貨幣の種類別の在高を管理する工程と、
グループで設定された貨幣の種類別の閾値と、貨幣処理装置内の貨幣の種類別の在高とに基づいて、各貨幣処理装置への貨幣の補充又は回収を依頼する工程と
を含むことを特徴とする貨幣処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の貨幣処理装置内にある貨幣を管理する貨幣処理システム及び貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な場所で、貨幣を入出金することができる貨幣処理装置が利用されている。例えば、小売店では、商品を購入する客が支払う貨幣の入金と、客へ返す釣銭の出金とを行う貨幣処理装置が利用されている。貨幣処理装置は、装置内の貨幣が不足したり貨幣が満杯になったりすると、貨幣処理を実行できなくなる。貨幣処理装置内の貨幣量を適切な量に保つため、装置内で不足した貨幣を補充する補充作業や、余剰となった貨幣を回収する回収作業が行われる。特許文献1には、複数の店舗を順に回りながら、各店舗の貨幣処理装置を対象に、貨幣の補充及び回収を行うための技術が開示されている。管理装置は、各店舗の貨幣処理装置内にある貨幣の金種及び数量を管理する。例えば、複数の店舗で貨幣の回収が必要となった場合、管理装置は、複数店舗を回るルート、各店舗で回収する貨幣の情報等を含む保守計画表を自動生成する。貨幣の補充及び回収を担当する保守員は、管理装置が生成した保守計画表に基づいて、各店舗を順に回りながら保守作業を容易に進めることができる。特許文献2及び3にも、同様に、複数の店舗それぞれにある貨幣処理装置を対象として保守作業を容易に行うための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6945509号公報
【特許文献2】特開平10-21446号公報
【特許文献3】特開2018-26010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、各貨幣処理装置内にある貨幣のみを対象に貨幣の補充及び回収の要否が判定されるため、保守作業を効率よく行うことができない場合があった。例えば、同一地域にある複数の店舗や、複数の貨幣処理装置が設置されている店舗で、1つの貨幣処理装置で不足した金種の貨幣が、他の貨幣処理装置内には多く収納されている状況が起こり得る。このような場合に、保守員が、不足した金種の貨幣を店舗に配送して貨幣処理装置に補充した後、同じ金種の貨幣が他の貨幣処理装置で余剰となり、補充された貨幣と同一金種の貨幣をすぐに回収しなければならなくなる可能性がある。
【0005】
本開示は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、複数の貨幣処理装置内にある貨幣を管理して貨幣を補充又は回収する保守作業を効率よく行うことができる貨幣処理システム及び貨幣処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る貨幣処理システムは、貨幣処理を実行可能な複数の貨幣処理装置と、前記複数の貨幣処理装置と通信可能に接続され、各貨幣処理装置から装置内にある貨幣の種類別の在高に関する情報を取得する管理装置とを備える。前記管理装置は、前記複数の貨幣処理装置をグループ分けして、グループ別に、貨幣の種類別の在高を管理すると共に、各グループで設定された貨幣の種類別の閾値と、貨幣処理装置内の貨幣の種類別の在高とに基づいて、各貨幣処理装置への貨幣の補充又は回収を依頼する。
【0007】
上記構成において、前記管理装置は、グループ内での貨幣の在高が前記閾値に達するまでの時間を予測して、予測時間に基づいて、依頼するタイミングを決定してもよい。
【0008】
上記構成において、前記管理装置は、前記予測時間と、グループ内での貨幣の補充又は回収に要する時間に基づいて設定された所定時間とに基づいて、依頼するタイミングを決定してもよい。
【0009】
上記構成において、前記管理装置は、前記閾値の変更条件を記憶し、前記変更条件が満たされた場合には前記閾値を変更して、変更後の閾値に基づいて前記タイミングを決定してもよい。
【0010】
上記構成において、前記変更条件は、グループの貨幣在高の推移が所定条件を満たす場合に、前記閾値を変更するように設定されていてもよい。
【0011】
上記構成において、前記管理装置は、貨幣が補充又は回収されるグループに属する複数の貨幣処理装置のうち、貨幣を装置外へ排出させる1又は複数の貨幣処理装置と、各貨幣処理装置から排出させる貨幣の種類及び種類別貨幣量とを決定して、決定した各貨幣処理装置へ、決定した貨幣の種類及び種類別貨幣量を通知してもよい。前記管理装置から通知を受けた各貨幣処理装置は、通知された種類の貨幣を、通知された貨幣量分、装置外へ排出するための貨幣処理を実行してもよい。
【0012】
上記構成において、前記管理装置は、貨幣が補充又は回収されるグループに属する複数の貨幣処理装置のうち、貨幣を装置内へ収納させる1又は複数の貨幣処理装置と、各貨幣処理装置に収納させる貨幣の種類及び種類別貨幣量とを決定して、決定した各貨幣処理装置へ、決定した貨幣の種類及び種類別貨幣量を通知してもよい。前記管理装置から通知を受けた各貨幣処理装置は、通知された種類の貨幣を、通知された貨幣量分、装置内へ収納するための貨幣処理を実行してもよい。
【0013】
上記構成において、前記管理装置は、貨幣が補充又は回収されるグループに属する複数の貨幣処理装置のうち、貨幣を装置外へ排出させる1又は複数の貨幣処理装置と各貨幣処理装置から排出させる貨幣の種類及び種類別貨幣量と、貨幣を装置内へ収納させる1又は複数の貨幣処理装置と各貨幣処理装置に収納させる貨幣の種類及び種類別貨幣量とを決定して、決定内容に関する通知を、前記タイミングに基づいて前記現金輸送会社に送信してもよい。
【0014】
上記構成において、前記管理装置は、グループへの貨幣の補充又は回収を行う際に前記現金輸送会社が輸送する貨幣の枚数と、重量と、金額との少なくともいずれか1つを制限する上限値を記憶し、前記輸送会社が輸送する貨幣が前記上限値を超えないように、補充又は回収する貨幣の種類及び種類別貨幣量を決定してもよい。
【0015】
上記構成において、前記管理装置は、貨幣が補充又は回収されるグループに属する複数の貨幣処理装置のうち、貨幣を装置外へ排出させる1又は複数の貨幣処理装置と各貨幣処理装置から排出させる貨幣の種類及び種類別貨幣量と、貨幣を装置内へ収納させる1又は複数の貨幣処理装置と各貨幣処理装置に収納させる貨幣の種類及び種類別貨幣量とを決定して、前記決定内容に基づいてグループ内での貨幣の輸送ルートを決定してもよい。
【0016】
本開示に係る貨幣処理方法は、貨幣処理を実行可能な複数の貨幣処理装置と、前記複数の貨幣処理装置と通信可能に接続され、各貨幣処理装置から装置内にある貨幣の種類別の在高に関する情報を取得する管理装置とを用いた貨幣処理方法であって、前記複数の貨幣処理装置をグループ分けして、グループ別に、貨幣の種類別の在高を管理する工程と、グループで設定された貨幣の種類別の閾値と、貨幣処理装置内の貨幣の種類別の在高とに基づいて、各貨幣処理装置への貨幣の補充又は回収を依頼する工程とを含む。
【発明の効果】
【0017】
本開示に係る貨幣処理システム及び貨幣処理方法によれば、複数の貨幣処理装置内をグループ分けして、貨幣の種類及び種類別貨幣量をグループ別に管理することにより、複数の貨幣処理装置に貨幣を補充又は回収する保守作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る貨幣処理システムの概要を説明するための模式図である。
【
図2】
図2は、管理装置及び貨幣処理装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、管理装置が管理する情報の例を示す図である。
【
図4】
図4は、貨幣処理システムで行われる処理を説明するための図である。
【
図5】
図5は、貨幣の在高を予測して貨幣の補充回収を決定する方法を説明するための図である。
【
図6】
図6は、補充閾値及び回収閾値の変更について説明するための図である。
【
図7】
図7は、在高の予測処理時に行う補充閾値及び回収閾値の変更について説明するための図である。
【
図8】
図8は、貨幣の補充回収に関する設定画面の例を示す図である。
【
図9】
図9は、在高情報の確認画面の例を示す図である。
【
図10】
図10は、管理装置が貨幣の補充が必要であると判定した場合に表示される画面例を示す図である。
【
図11】
図11は、管理装置が実行する処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、管理装置が予測処理を実行する場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る貨幣処理システム及び貨幣処理方法の実施の形態について説明する。貨幣処理システムでは、複数の貨幣処理装置を対象に、貨幣が不足して貨幣処理が実行できなくなったり、装置内が貨幣で満杯になって貨幣処理を実行できなくなったりすることがないように、貨幣の種類及び種類別貨幣量を管理する。貨幣処理システムでは、複数の貨幣処理装置を各装置の属性に基づいてグループ分けし、各装置内の貨幣の在高だけでなく、各グループにおける貨幣の不足及び余剰を検出することができる。貨幣の不足及び余剰の検出は、グループに属する各貨幣処理装置の現在の在高情報に基づいて行う他、在高の変化を予測して行う設定とすることも可能となっている。不足した貨幣を補充する必要があるか否かを判定するための補充閾値、及び、余剰な貨幣を回収する必要があるか否かを判定するための回収閾値は、各グループで管理される貨幣の種類別に設定することができる。補充閾値及び回収閾値は、グループにおける貨幣処理の状況に応じて、値を変更する設定とすることも可能となっている。言い換えれば、補充閾値を変更することにより貨幣を補充するタイミングを調整したり、回収閾値を変更することにより貨幣を回収するタイミングを調整したりすることができる。また、貨幣処理システムでは、例えば、貨幣処理装置から貨幣を回収して、該貨幣が不足している貨幣処理装置へ補充するというように作業順序や移動ルートを調節して、複数の貨幣処理装置の間で貨幣を移動することにより貨幣の補充や回収を行うことも可能である。
【0020】
以下、本実施形態で言う貨幣には、紙幣と硬貨の少なくともいずれか一方が含まれる。貨幣の種類には、少なくとも通貨及び金種が含まれるが、単に金種と言う場合がある。貨幣の在高は、貨幣の枚数であってもよいし金額であってもよいが、単に貨幣量と記載する場合がある。貨幣の補充要否を判定するための閾値を補充閾値、回収要否を判定するための閾値を回収閾値と記載するが、補充閾値と回収閾値の少なくともいずれか一方でよいときに閾値と記載する場合がある。貨幣の補充と回収についても、少なくともいずれか一方でよいときに補充回収と記載する場合がある。
【0021】
[貨幣処理システム概要]
図1は、本実施形態に係る貨幣処理システムの概要を説明するための模式図である。貨幣処理システムは、管理装置10と、複数の貨幣処理装置100(100a~100c)、200(200a~200c)とを含む。管理装置10と、各貨幣処理装置100、200の間は、ネットワーク2を介して通信可能に接続されている。
【0022】
管理装置10は、各貨幣処理装置100、200を、属性と関連付けて管理することができる。属性には、各貨幣処理装置100、200の設置場所を示す情報が含まれる。例えば、店舗1aに設置された貨幣処理装置100aは、店舗1aを示す店舗ID(識別情報)と関連付けられて、管理装置10で管理される。属性が、店舗IDに代えて又は加えて、店舗を運営する企業、企業における本店と支店の区別等、店舗を示す他の情報を含んでいてもよい。属性が、市町村等の地域を示す情報を含んでいてもよい。属性が、店舗の1階、2階等のフロア情報を含んでいてもよいし、食品売場、日用品売場等の売場情報を含んでいてもよい。
【0023】
管理装置10は、複数の貨幣処理装置100、200を、属性に基づいてグループ分けして、貨幣をグループ別に管理することができる。例えば、複数の貨幣処理装置100、200が、店舗別にグループ分けされる。例えば、複数の貨幣処理装置100、200が、ある地域に設置された装置を第1グループ、第1グループとは異なる地域に設置された装置を第2グループというように、地域別にグループ分けされる。グループ分けが、企業別に行われる態様であってもよいし、フロア別又は売場別に行われる態様であってもよい。
【0024】
以下、
図1に破線で示すように、店舗1a、店舗1b及び店舗1cの貨幣処理装置100が第1グループに分類され、店舗2a、店舗2b及び店舗2cの貨幣処理装置200が第2グループに分類された場合を例に説明を続ける。説明内容が各グループで同様になる場合は、第1グループを例に説明する。
図1には、2つのグループの各店舗に1台の貨幣処理装置を示しているが、貨幣処理システムを構成するグループの数、各グループに属する店舗の数、各店舗に設置される貨幣処理装置の数は特に限定されない。
【0025】
管理装置10は、貨幣の在高情報をグループ別に管理することができる(A)。各グループの貨幣の在高情報の管理は、各貨幣処理装置100、200の在高情報を取得することによって行われる。管理装置10は、各貨幣処理装置100、200に収納されている貨幣の種類及び種類別貨幣量をグループ別に集計して、各グループの貨幣の種類及び種類別貨幣量を管理する。以下、各貨幣処理装置100、200の在高情報を「装置在高情報」と記載して、管理装置10が管理するグループ別の「在高情報」と区別する。
【0026】
管理装置10は、各グループにおける貨幣補充の要否判定と、貨幣回収の要否判定とを行うことができる(B)。貨幣補充の要否判定及び貨幣回収の要否判定は、グループ別かつ貨幣の種類別に設定された、補充閾値及び回収閾値に基づいて行われる。
【0027】
補充回収の要否判定はグループ別に行われる。このため、第1グループに属する複数の貨幣処理装置100a~100cのうち、一部の貨幣処理装置100aで貨幣の補充が必要になっても、この種類の貨幣について、第1グループに属する全ての貨幣処理装置100a~100cに収納されている貨幣量を合計した数量が補充閾値より多くなる場合、例えば、管理装置10は、補充不要と判定する。また、例えば、管理装置10は、現金センター400からの補充を不要と判定する。この場合、例えば、貨幣の補充が必要になった貨幣処理装置100aへ、同じグループに属する他の貨幣処理装置100b、100cから貨幣を移動させることによって、グループ内で貨幣の補充を行うようにしてもよい。現金輸送会社300ではなく、貨幣の移動元及び移動先となる各貨幣処理装置又はこれらの貨幣処理装置が設置されている各店舗を通知先として、貨幣の移動に関する情報を通知するようにしてもよい。
【0028】
同様に、一部の貨幣処理装置100aで貨幣の回収が必要になっても、この種類の貨幣について、同じグループに属する全ての貨幣処理装置100a~100cに収納されている貨幣量を合計した数量が回収閾値より少なくなる場合、例えば、管理装置10は、回収不要と判定する。また、例えば、管理装置10は、現金センター400への貨幣の回収を不要と判定する。この場合、例えば、貨幣の回収が必要になった貨幣処理装置100aから、同じグループに属する他の貨幣処理装置100b、100cへ貨幣を移動させることによって、グループ内で貨幣の回収を行うようにしてもよい。現金輸送会社300ではなく、貨幣の移動元及び移動先となる各貨幣処理装置又はこれらの貨幣処理装置が設置されている各店舗を通知先として、貨幣の移動に関する情報を通知するようにしてもよい。
【0029】
管理装置10は、貨幣の補充タイミング及び回収タイミングを変更することができる(C)。言い換えれば、管理装置10は、貨幣の補充回収を現金輸送会社300へ依頼するタイミングを調整することができる。例えば、管理装置10は、各グループにおける貨幣量が補充閾値に達するまでの時間及び回収閾値に達するまでの時間を予測して、予測結果に基づいて、貨幣の補充タイミング及び回収タイミングを調整する。例えば、管理装置10は、各グループにおける補充閾値及び回収閾値を変更することにより、貨幣の補充タイミング及び回収タイミングを調整する。
【0030】
管理装置10は、貨幣の補充方法及び回収方法を決定することができる(D)。管理装置10が決定した貨幣の補充方法及び回収方法は、現金輸送会社300へ通知される。現金輸送会社300は、管理装置10から受信した通知内容に基づいて、貨幣の補充及び回収を行う。
【0031】
管理装置10は、貨幣が補充回収されるグループに属する複数の貨幣処理装置100、200のうち、補充回収時に、貨幣を装置外へ排出させる1又は複数の貨幣処理装置100、200と、各貨幣処理装置100、200から排出させる貨幣の種類及び種類別貨幣量とを決定することができる。同様に、管理装置10は、貨幣が補充回収されるグループに属する複数の貨幣処理装置100、200のうち、補充回収時に、貨幣を装置内へ収納させる1又は複数の貨幣処理装置100、200と、各貨幣処理装置100、200に収納させる貨幣の種類及び種類別貨幣量とを決定することができる。管理装置10は、決定した各貨幣処理装置100、200へ、決定した貨幣の種類及び種類別貨幣量を通知することができる。管理装置10から通知を受けた各貨幣処理装置100、200は、通知された種類の貨幣を、通知された貨幣量分、装置外へ排出又は収納するための貨幣処理を実行することができる。
【0032】
管理装置10は、補充回収時に貨幣の排出又は収納を行う各貨幣処理装置100、200が設置されている店舗を特定して、現金輸送会社300が行う各店舗及び各装置での作業の内容及び順序を決定することができる。管理装置10は、決定結果に基づいて、現金輸送会社300へ補充回収作業の依頼を通知することができる。通知には、貨幣を装置外へ排出又は収納させることを決定した1又は複数の貨幣処理装置100、200を示す情報と、各貨幣処理装置100、200から排出させる貨幣の種類及び種類別貨幣量とを示す情報とが含まれる。また、通知には、各貨幣処理装置100、200が設置されている店舗を示す情報と、各店舗及び各貨幣処理装置100、200を対象に行う作業内容及び作業順序を示す情報とが含まれる。
【0033】
管理装置10から通知を受けた現金輸送会社300の担当者は、通知に基づいて各店舗を回って各貨幣処理装置100、200で補充回収の作業を行う。例えば、担当者は、貨幣を排出するよう決定された貨幣処理装置100、200が備える読取装置に、現金輸送会社300の認証用に予め準備された所定の認証情報を含むカード媒体を読み取らせる。カード媒体から認証情報を読み取って認証処理を実行した貨幣処理装置100、200は、現金輸送会社300に対応するための貨幣処理が必要であることを認識して、管理装置10から通知された貨幣を装置外へ排出するための貨幣処理を実行する。例えば、貨幣処理装置100、200は出金部から装置外へ貨幣を排出する。例えば、貨幣処理装置100、200は貨幣を容器に収納して、容器を取り外すことによって貨幣を装置外へ排出できる状態とする。同様に、現金輸送会社300の担当者が、貨幣を収納させる貨幣処理装置100の読取装置にカード媒体を読み取らせると、貨幣処理装置100は、管理装置10から通知された貨幣を装置内へ収納するための貨幣処理を実行する。例えば、貨幣処理装置100、200は入金部に受けた貨幣を装置内に収納する。例えば、貨幣が収納された容器が貨幣処理装置100、200に装着されると、貨幣処理装置100、200は容器内の貨幣を繰り出して装置内に収納する。貨幣処理装置100、200の構成については後述する。
【0034】
現金輸送会社300は、管理装置10で決定された補充回収作業の内容及び順序に基づいて、複数の拠点間での貨幣の移動と、複数の貨幣処理装置100、200の間での貨幣の移動との少なくともいずれか一方を行う(E1~E3)。
【0035】
管理装置10は、貨幣の補充回収のために、現金センター400とグループとの間で貨幣を輸送することを決定する場合がある。管理装置10は、各グループに属する複数店舗のうち、いずれの店舗を対象に貨幣を輸送するかを決定して現金輸送会社300に通知することができる。管理装置10は、各グループに属する複数の貨幣処理装置のうち、いずれの貨幣処理装置を対象に貨幣を輸送するかを決定して現金輸送会社に通知することができる。
【0036】
通知を受けた現金輸送会社300は、
図1に示すように現金輸送車320を利用して、現金センター400と、管理装置10で決定された店舗又は貨幣処理装置との間で貨幣を輸送する(E1)。現金センター400は、現金輸送会社300が補充用の貨幣を準備したり、回収した貨幣の後処理を行ったりするための拠点である。
【0037】
例えば、第1グループに補充される貨幣が、現金センター400から店舗1aに輸送される。補充される貨幣が、現金センター400から同じグループの複数店舗へ輸送される場合もある。例えば、第1グループから回収される貨幣が、店舗1aから現金センター400に輸送される。同じグループの複数店舗から貨幣が回収されて現金センター400へ輸送される場合もある。
【0038】
例えば、第2グループに補充される貨幣が、現金センター400から店舗2bに輸送される。店舗2bに輸送された貨幣の一部又は全部が、店舗2bから、第2グループ内の他の店舗2a、2cへ届けられる場合もある。第2グループから回収される貨幣が、店舗1bから現金センター400へ輸送される。他の店舗2a、2cから店舗2bに集められた貨幣が、店舗2bから回収されて現金センター400へ輸送される場合もある。
【0039】
管理装置10は、貨幣の補充回収のために、同一グループの店舗間で貨幣を輸送することを決定する場合がある。管理装置10は、同一グループに属する複数店舗のうち、いずれの店舗の間で貨幣を輸送するかを決定して現金輸送会社300に通知することができる。管理装置10は、グループに属する複数の貨幣処理装置のうち、いずれの貨幣処理装置の間で貨幣を輸送するかを決定して現金輸送会社に通知することができる。
【0040】
通知を受けた現金輸送会社300は、管理装置10が決定した、同一グループの店舗間又は貨幣処理装置間で貨幣を輸送する(E2)。例えば、第1グループで、店舗1bの貨幣処理装置100bに補充する貨幣が、店舗1aの貨幣処理装置100a内に多くある場合、貨幣処理装置100aから回収された貨幣が、この貨幣が不足している店舗1bの貨幣処理装置100bへ輸送されて補充される。
【0041】
管理装置10は、貨幣の補充回収のために、異なるグループ間で現金を輸送することを決定する場合がある。管理装置10は、各グループに属する複数店舗のうち、いずれの店舗を対象に貨幣を輸送するかを決定して現金輸送会社300に通知することができる。管理装置10は、各グループに属する複数の貨幣処理装置のうち、いずれの貨幣処理装置を対象に貨幣を輸送するかを決定して現金輸送会社に通知することができる。管理装置10が、現金輸送会社300ではなく、貨幣の輸送元及び輸送先となる各貨幣処理装置又はこれらの貨幣処理装置が設置されている各店舗を通知先として、通知を行うようにしてもよい。
【0042】
通知を受けた現金輸送会社300は、管理装置10が決定した、異なるグループの店舗間又は貨幣処理装置間で貨幣を輸送する(E3)。例えば、第1グループで余剰な貨幣が、店舗1cから回収されて、第2グループの店舗2bへ輸送される。例えば、第1グループで不足した貨幣が、第2グループの店舗2bから回収されて、第1グループの店舗1cへ輸送される。
【0043】
現金センター400とグループとの間の現金輸送(E1)、グループ内での現金輸送(E2)、グループ間での現金輸送(E3)については、1回の補充回収作業で、E1~E3のいずれか2つが行われる場合もあるし、全てが行われる場合もある。このような例として、例えば、同一グループ内での貨幣の輸送後に、このグループ内で余剰となった貨幣を現金センター400へ輸送する場合が挙げられる。
【0044】
[装置の構成例]
図2は、管理装置10及び貨幣処理装置100、200の構成例を示す図である。貨幣処理システムは、管理装置10と、複数の貨幣処理装置100、200とを含む。例えば、制御部11、操作部12、表示部13、記憶部14及び通信部15を含むコンピュータ装置が、管理装置10として利用される。コンピュータ装置は従来知られているため、詳細な説明は省略する。
図2は例示であって、管理装置10の構成を限定するものではない。管理装置10が、操作部12及び表示部13を有さず、操作部及び表示部を含む操作端末を利用して操作される態様であってもよい。管理装置10がクラウド上に構築されてもよいし、複数台のコンピュータ装置を利用して管理装置10が実現される態様であってもよい。
【0045】
貨幣処理装置100、200の構成は、装置外から受けた貨幣の装置内へ収納する入金処理と、装置内にある貨幣の装置外へ排出する出金処理との少なくともいずれか一方を含む貨幣処理を実行可能であれば、特に限定されない。貨幣処理装置100、200が、金融機関で利用されるATM、テラー機等の装置であってもよいし、小売店で利用される釣銭機、セルフレジ等のチェックアウト用の装置であってもよいし、販売機、券売機、両替機等の装置であってもよい。
図2では、貨幣処理装置100、200の一例として、貨幣処理装置100の構成例を示している。
図2に示す貨幣処理装置100は、制御部110、操作部120、表示部130、記憶部140、通信部150及び貨幣処理部160を有する。
【0046】
表示部130は、貨幣処理及び貨幣処理の設定に関する各種情報を表示する。操作部120は、貨幣処理及び貨幣処理設定に関する各種操作を受け付ける。通信部150は、ネットワーク2を介して管理装置10と通信する。記憶部140は、貨幣処理装置100の動作に必要なデータ及びプログラムを保存する。貨幣処理部160は、貨幣現物を処理する貨幣処理を実行する。例えば、制御部110に対応するプログラムが記憶部140又は専用の記憶装置に予め記憶されており、このプログラムがCPU等のハードウェアによって実行されることにより、制御部110の機能及び動作が実現される。制御部110が、各部を制御することにより、貨幣処理装置100の機能及び動作が実現される。例えば、貨幣処理部160にある貨幣の種類及び種類別の貨幣量を特定するための装置在高情報が、ネットワーク2を介して管理装置10へ送信される。例えば、管理装置10から受信した通知に基づいて、貨幣処理部160が貨幣処理を実行する。
【0047】
貨幣処理部160は、入金処理及び出金処理を含む複数種類の貨幣処理を実行することができる。貨幣処理部160は、入金部161と、出金部162と、搬送部163と、識別部164と、1又は複数の収納部165と、容器166とを含む。入金部161は、装置外から貨幣を受けて装置内に送り出すことができる。搬送部163は、入金部161と、出金部162と、識別部164と、収納部165と、容器166との間を接続する搬送路に沿って貨幣を搬送することができる。識別部164は、搬送部163が搬送する貨幣の種類を識別することができる。識別される種類には、各貨幣の金種及び真偽が含まれる。識別される種類が、各貨幣の正損、すなわち所定基準に基づく傷み具合を含んでいてもよい。貨幣処理システムでは、識別部164が識別した種類に基づいて、貨幣の補充回収に関する処理が実行される。収納部165は、搬送部163が搬送した貨幣を収納することができる。例えば、複数の収納部165に貨幣が金種別に収納される。また、収納部165は、装置外へ排出する貨幣を繰り出すことができる。容器166は、貨幣処理部160に脱着可能に固定されている。容器166は、貨幣の収納及び繰出を実行可能なカセット型収納部であってもよいし、貨幣の収納のみを行う袋型収納部であってもよい。出金部162は、搬送部163が搬送した貨幣を装置外へ排出することができる。収納部165から繰り出された貨幣が出金部162から排出される。入金部161に受けて装置内へ繰り出した貨幣のうち、収納部165に収納できない種類の貨幣が出金部162から排出される。
【0048】
入金処理時には、入金部161に受けた貨幣が搬送部163によって搬送され、識別部164で識別されて計数された後、収納部165へ収納される。出金処理時には、収納部165の貨幣が繰り出されて搬送部163によって搬送され、識別部164で識別されて計数された後、出金部162から装置外へ排出される。
【0049】
容器166を利用する回収処理時には、収納部165から回収される貨幣が搬送部163によって搬送されて、識別部164で識別されて計数された後、容器166へ収納される。容器166を貨幣処理装置100から取り外すことによって貨幣が容器ごと回収される。出金部162を利用する回収処理時には、収納部165から回収される貨幣が搬送部163によって搬送されて、識別部164で識別されて計数された後、出金部162から排出されて装置外へ回収される。収納部165から回収される貨幣の種類を特定可能であれば、回収処理が識別部164を利用せずに行われる態様であってもよい。
【0050】
容器166を利用する補充処理時には、補充する貨幣が収納された容器166が貨幣処理装置100に装着される。補充する貨幣が、容器166から繰り出されて搬送部163によって搬送され、識別部164で識別されて計数された後、収納部165へ収納される。入金部161を利用する補充処理時には、入金部161に受けた貨幣が搬送部163によって搬送され、識別部164で識別されて計数された後、収納部165へ収納される。
【0051】
図2は例示であって、貨幣処理装置100、200の構成を限定するものではない。貨幣処理装置100、200が、
図2に示す構成の一部を含まない態様であってもよいし、
図2に示されていない構成を含む態様であってもよい。貨幣処理装置100、200が、上述した入金処理、出金処理、回収処理及び補充処理の一部を実行しない態様であってもよいし、上述した貨幣処理以外の処理を実行可能であってもよい。
【0052】
[在高情報の管理]
管理装置10は、貨幣の種類及び種類別貨幣量をグループ別にまとめた在高情報を管理することができる。管理装置10は、各貨幣処理装置100、200の装置在高情報を取得することができる。管理装置10は、第1グループに属する全ての貨幣処理装置100の装置在高情報に基づいて、第1グループの貨幣の種類及び種類別の貨幣量を管理する。同様に、管理装置10は、第2グループに属する全ての貨幣処理装置200の装置在高情報に基づいて、第2グループの貨幣の種類及び種類別の貨幣量を管理する。
【0053】
例えば、貨幣処理装置100、200で行われた貨幣処理内容を示す取引情報が管理装置10に送信される。管理装置10は、各貨幣処理装置100、200から受信した取引情報を管理すると共に、取引情報に基づいて、グループ別の在高情報を更新する。貨幣処理装置100、200で貨幣処理が実行されて変化した在高情報が、貨幣処理装置100、200から管理装置10へ送信されて、グループ別の在高情報が管理される態様であってもよい。
【0054】
図3は、管理装置10が管理する情報の例を示す図である。
図3(a)は、管理装置10が管理する取引情報の例を示している。管理装置10は、取引情報の送信元である各貨幣処理装置100、200の属性を認識することができる。属性には、グループID、店舗ID及び装置IDが含まれる。装置IDは、各貨幣処理装置100、200の識別情報である。店舗IDは、各貨幣処理装置100、200が設置されている店舗の識別情報である。グループIDは、各貨幣処理装置100、200が属するグループの識別情報である。例えば、管理装置10が、貨幣処理装置100、200と通信する際に各属性を示す情報を取得すればよい。例えば、管理装置10が、装置IDと他の属性とを関連付けて管理して、貨幣処理装置100、200と通信する際に装置IDを取得して、装置IDから他の属性を特定してもよい。
【0055】
図3(a)に示すように、取引情報には、グループID、店舗ID、装置ID及び取引内容の項目が含まれる。取引内容の項目には、種類及び貨幣内訳の項目が含まれる。種類の項目には、貨幣処理装置100、200が実行した貨幣処理の種類が登録される。貨幣内訳の項目には、貨幣処理によって処理された貨幣の種類と種類別貨幣量とが登録される。
【0056】
例えば、
図1に示す貨幣処理装置100aの装置IDが「M001」、店舗1aの店舗IDが「S001」、第1グループのグループIDが「G001」であるとする。貨幣処理装置100aで入金処理が行われた場合、
図3の一段目にあるように、入金処理に関する取引情報が登録される。取引内容の項目には、入金処理で入金された貨幣の金種と、金種別の枚数又は金額とが登録される。
【0057】
図3(b)は、管理装置10が管理する装置在高情報の例を示している。管理装置10は、
図3(a)に示す取引情報に基づいて、
図3(b)に示す装置在高情報を管理する。装置在高情報には、グループID、店舗ID及び装置IDに加えて、紙幣及び硬貨の項目が含まれる。紙幣及び硬貨の項目には、在高情報、すなわち貨幣の種類及び種類別貨幣量が登録される。管理装置10は、
図3(b)に示す装置在高情報に基づいて、各貨幣処理装置100、200に収納されている貨幣の種類と種類別貨幣量とを特定することができる。
【0058】
図3(c)は、管理装置10が管理する在高情報の例を示している。管理装置10は、
図3(a)に示す取引情報と、
図3(b)に示す装置在高情報との少なくともいずれか一方に基づいて、
図3(c)に示す在高情報を管理する。在高情報には、グループID、紙幣及び硬貨の項目が含まれる。紙幣及び硬貨の項目には、それぞれ金種(種類)、枚数(貨幣量)、閾値、及び閾値変更条件の項目が含まれる。閾値の項目には、補充閾値と回収閾値とが登録される。補充閾値及び回収閾値は、貨幣の種類別に設定することができる。例えば、管理装置10は、枚数が減少して補充閾値以下となった金種が発生すると、この金種の貨幣をグループに補充する必要があると判定して、枚数が増加して回収閾値以上となった金種が発生すると、この金種の貨幣をグループから回収する必要があると判定する。
【0059】
閾値変更条件の項目には、閾値を変更するか否かを判定するための判定条件と、判定条件を満たす際の閾値の変更方法を示す情報とが登録される。貨幣の種類別に、1又は複数の判定条件を設定して、判定条件別に閾値の変更方法を設定できるようになっている。閾値変更条件は、貨幣の種類別に設定することができる。閾値変更条件は、補充閾値のみについて設定することもできるし、回収閾値のみについて設定することもできるし、補充閾値と回収閾値の両方について設定することもできる。
【0060】
例えば、現在時刻から過去所定時間内の貨幣量の推移が所定条件を満たす場合に閾値を変更する設定とすることができる。例えば、現在日時が所定条件を満たす場合に閾値を変更する設定とすることができる。閾値の変更方法は、別の所定値に変更するように設定したり、所定割合だけ閾値を増加又は減少させるように設定したりすることができる。
【0061】
図3は、管理装置10が管理可能な情報の例を示すもので、情報の種類及び管理方法を限定するものではない。管理装置10が、
図3に示す情報の一部を管理しない態様であってもよいし、
図3には示していない情報を管理する態様であってもよいし、
図3に示す情報を異なる方法で管理する態様であってもよい。
【0062】
[貨幣補充回収の要否判定]
管理装置10は、
図3に示す各情報に基づいて、複数の貨幣処理装置100、200に収納されている貨幣を管理することができる。管理装置10は、
図3(c)に示す在高情報に基づいて、グループ別に、貨幣補充の要否及び貨幣回収の要否を判定することができる。
図4は、管理装置10による貨幣の補充回収の判定方法を説明するための図である。
【0063】
管理装置10は、複数の貨幣処理装置100、200に収納されている貨幣をグループ別に管理する。これは、
図4に示すように、第1グループに属する全ての貨幣処理装置100の貨幣が第1グループ仮想金庫21に収納されていて、第2グループに属する全ての貨幣処理装置200の貨幣が第2グループ仮想金庫22に収納されているかのように管理する概念である。
【0064】
例えば、第1グループの貨幣処理装置100に収納されている貨幣の在高が変化すると、管理装置10は、第1グループ仮想金庫21の貨幣の在高が変化したものとして、
図3(c)に示す在高情報でグループID「G001」の情報を更新する。第2グループの貨幣処理装置200に収納されている貨幣の在高が変化すると、管理装置10は、第2グループ仮想金庫22の貨幣の在高が変化したものとして、在高情報でグループID「G002」の情報を更新する。
【0065】
管理装置10は、在高情報に登録されている種類別の在高と、予め設定された種類別の閾値とを比較することによって貨幣補充の要否及び貨幣回収の要否を判定する。すなわち、
図3に示す在高情報の枚数と閾値とに基づいて貨幣の補充回収要否が判定される。
【0066】
例えば、貨幣処理装置100、200で貨幣処理が行われて、装置内に収納されている種類別の貨幣量が変化する度に、管理装置10が貨幣補充の要否及び貨幣回収の要否を判定する。在高が減少した各金種について、在高と補充閾値とを比較する貨幣補充の要否判定が行われる。在高が増加した各金種について、在高と回収閾値とを比較する貨幣補回収の要否判定が行われる。
【0067】
補充要否の判定時、
図4に示すように、第1グループの金種Aの在高Qaが、金種Aの補充閾値Ra以下であれば、管理装置10は、第1グループに金種Aの貨幣を補充する必要があると判定する。第1グループの金種Bの在高Qbは、金種Bの補充閾値Rbより多いため、管理装置10は金種Bの貨幣を補充する必要はないと判定する。回収要否の判定時、第1グループの金種Aの在高Qaが、金種Aの回収閾値Ca以上であれば、管理装置10は、第1グループから金種Aの貨幣を回収する必要があると判定する。第1グループの金種Bの在高Qbは、金種Bの回収閾値Cbより少ないため、管理装置10は金種Bの貨幣を回収する必要はないと判定する。このような貨幣補充の要否判定及び貨幣回収の要否判定が、各グループについて行われる。
【0068】
管理装置10は、貨幣の補充が必要であると判定したグループがある場合、貨幣の補充方法を決定して、現金輸送会社300に貨幣の補充作業を依頼することができる。同様に、管理装置10は、貨幣の回収が必要なグループがあると判定した場合、貨幣の回収方法を決定して、現金輸送会社300に貨幣の回収作業を依頼することができる。
【0069】
例えば、
図4に示すように、管理装置10から、現金輸送会社300にある所定の端末装置310に貨幣の補充回収の依頼通知が送信される。通知には、管理装置10が決定した補充方法及び回収方法が含まれる。例えば、端末装置310の表示部に通知内容が表示される。通知を受けた現金輸送会社300は、管理装置10で決定された補充方法及び回収方法に基づいて、
図1で説明したように貨幣の補充回収を行う。
【0070】
貨幣の補充回収が必要であると判定した場合、管理装置10は、現金輸送会社300以外の所定の通知先へ通知を送信することもできる。例えば、管理装置10は、貨幣処理装置100、200が備える表示部の画面上に通知を表示する。例えば、管理装置10は、貨幣処理装置100、200を管理する管理者が利用する通信端末に通知を表示する。通知内容には、管理装置10が決定した補充方法及び回収方法が含まれる。貨幣の補充又は回収が行われる貨幣処理装置100、200が設置された店舗では、管理装置10からの通知に基づいて、現金輸送会社300の来店に備えることができる。
【0071】
例えば、各貨幣処理装置100、200は、装置内で管理する装置在高情報と、装置内で予め設定された閾値とに基づいて、貨幣の補充回収の要否を判定し、各装置で補充回収が必要になると判定結果を報知する。一方、管理装置10は、同じグループに属する全ての貨幣処理装置100、200を対象に、貨幣の種類別に補充回収の要否を判定し、各グループで補充回収が必要になると判定結果を報知する。このため、貨幣処理装置100、200が貨幣の補充が必要であると判定する一方で、この貨幣処理装置100、200が属するグループについて、管理装置10が貨幣の補充が必要であると判定しない場合がある。同様に、貨幣処理装置100、200が回収を要すると判定する一方で、この貨幣処理装置100、200が属するグループについて、管理装置10が貨幣の回収が必要であると判定しない場合がある。
【0072】
店舗の店員及び管理者は、貨幣処理装置100、200が貨幣の補充回収が必要であることを報知する一方で、管理装置10から貨幣の補充回収の通知を受信していなければ、同じグループの貨幣処理装置100、200の間で貨幣の補充回収を行う必要があると認識することができる。各貨幣処理装置100、200が貨幣の補充回収が必要であると判定しても、管理装置10がグループ別の判定で貨幣の補充回収が必要であると判定していなければ、現金輸送会社300への通知は行われない。これにより、現金輸送会社300への現金輸送の依頼数を最低限に留めると共に、同じグループに属する複数の貨幣処理装置100、200の間で貨幣を有効活用することができる。管理装置10が、現金センター400への補充回収の依頼を行う必要はなく、同じグループ内で貨幣を移動すればよいと判定して、例えば、貨幣処理装置100aから、貨幣処理装置100bへの輸送を、現金輸送会社300に依頼通知を送信してもよい。また、例えば、管理装置10が、貨幣の移動元となる貨幣処理装置100a又は店舗1aと、貨幣の移動先となる貨幣処理装置100b又は店舗1bとを通知先として、貨幣処理装置100aから貨幣処理装置100bへ貨幣を移動するように指示する通知を送信してもよい。
【0073】
[貨幣補充回収のタイミング調整]
図4に示す例では、貨幣の補充回収が必要であると判定した管理装置10は、例えば判定直後に、現金輸送会社300へ貨幣の補充回収を依頼する通知を送信する。管理装置10は、予測した貨幣の在高に基づいて、現金輸送会社300への依頼通知を送信するタイミング、すなわち貨幣の補充回収のタイミングを、調整することもできる。説明を簡単にするため、第1グループの金種A、金種Bの2金種を例に説明を続けるが、以下に説明する内容は、必要に応じて、各グループの各金種について行われる。
【0074】
(在高予測)
管理装置10では、現在の貨幣の在高に基づいて、補充回収の要否を判定する設定の他、将来の貨幣の在高を予測して、補充回収の要否を判定する設定とすることができる。
図5は、貨幣の在高を予測して貨幣の補充回収を決定する方法を説明するための図である。
図5に示す矩形は管理装置10による判定処理を示している。
【0075】
図5(a)は貨幣補充の要否判定の例を示している。貨幣処理装置100で貨幣処理が実行されて、貨幣処理装置100が属する第1グループの在高情報で貨幣量が減少すると、管理装置10は、減少した各種類の貨幣量を、補充閾値と比較して補充要否を判定する。金種Aの貨幣が減少した場合、
図5(a)に示すように、管理装置10は、減少した金種Aの現在の在高Qaが、金種Aの補充閾値Raより多ければ、金種Aの貨幣の補充は不要と判定する。金種Bの貨幣は減少していないので金種Bの判定は行われないが、判定日時には、金種Bの現在の在高Qbは、金種Bの補充閾値Rbより多い状態にある。
【0076】
貨幣の補充は必要ないと判定した管理装置10は、続いて、第1グループの在高情報に登録されている全ての金種について、貨幣の補充が必要となるまでの時間を予測する。
図5(a)に示すように、管理装置10は、金種Aの貨幣の予測在高Qapが補充閾値Ra以下となるまでの時間T11と、金種Bの貨幣の予測在高Qbpが補充閾値Rb以下となるまでの時間T12とを特定する。
【0077】
管理装置10は、各金種で補充が必要になると予測した時間T11、T12を比較して、最も短い時間T11に基づいて、貨幣補充の依頼通知を現金輸送会社300へ送信するタイミング、すなわち送信日時を決定することができる。
【0078】
管理装置10では、現金輸送会社300に通知を送信してから貨幣の補充が完了するまでの時間に基づく所定の補充作業時間Twrを設定できるようになっている。管理装置10は、時間T11から補充作業時間Twrを差し引いて得られた時間Tr1に基づいて、貨幣補充の依頼通知を現金輸送会社300へ送信するタイミングを決定することができる。例えば、管理装置10は、判定日時から時間Tr1経過後の日時に、貨幣補充の依頼通知を現金輸送会社300へ送信することを決定する。
【0079】
例えば、金種Aの貨幣補充が必要になるまでの予測時間T11が3時間、金種Bの貨幣補充が必要になるまでの予測時間T12が4時間で、補充作業時間Twrが1時間に設定されている場合、予測時間T11から補充作業時間Twrを差し引いた2時間後に、現金輸送会社300に現金補充を依頼することが決定される。
【0080】
図5(b)は貨幣回収の要否判定の例を示している。貨幣処理装置100で貨幣処理が実行されて第1グループの在高情報で貨幣量が増加すると、管理装置10は、増加した各種類の貨幣量を回収閾値と比較して回収要否を判定する。金種Aの貨幣が増加した場合、
図5(b)に示すように、管理装置10は、増加した金種Aの在高Qaが、金種Aの回収閾値Caより少なければ、金種Aの貨幣の回収は不要と判定する。金種Bの貨幣は増加していないので金種Bの判定は行われないが、判定日時には、金種Bの現在の在高Qbは、金種Bの回収閾値Cbより少ない状態にある。
【0081】
貨幣の回収は必要ないと判定した管理装置10は、続いて、第1グループの在高情報に登録されている全ての金種について、貨幣の回収が必要となるまでの時間を予測する。
図5(b)に示すように、管理装置10は、金種Aの貨幣の予測在高Qapが回収閾値Ca以上となるまでの時間T21と、金種Bの貨幣の予測在高Qbpが回収閾値Cb以上となるまでの時間T12とを特定する。
【0082】
管理装置10は、各金種で回収が必要になると予測した時間T21、T22を比較して、最も短い時間T21に基づいて、貨幣回収の依頼通知を現金輸送会社300へ送信するタイミング、すなわち送信日時を決定することができる。
【0083】
管理装置10では、現金輸送会社300に通知を送信してから貨幣の回収が完了するまでの時間に基づく所定の回収作業時間Twcを設定できるようになっている。管理装置10は、時間T21から回収作業時間Twcを差し引いて得られた時間Tc1に基づいて、貨幣補充の依頼通知を現金輸送会社300へ送信するタイミングを決定することができる。例えば、管理装置10は、判定日時から時間Tc1経過後の日時に、貨幣回収の依頼通知を現金輸送会社300へ送信することを決定する。
【0084】
例えば、金種Aの貨幣回収が必要になるまでの予測時間T21が3時間30分、金種Bの貨幣回収が必要になるまでの予測時間T22が4時間で、回収作業時間Twcが30分に設定されている場合、予測時間T21から回収作業時間Twcを差し引いた3時間後に現金輸送会社300に現金補充を依頼することが決定される。
【0085】
各金種の貨幣の在高予測は、例えば、第1グループにおける過去の在高の推移に基づいて行えばよい。予測に用いる在高の推移情報は、判定日時から過去所定時間内の在高の推移に関する情報であってもよいし、過去の同じ日付、曜日、時間帯等の在高の推移に関する情報であってもよい。過去の在高の推移情報に基づいて、AI(人工知能)、統計的手法等、従来知られている各種予測技術を利用して貨幣の在高予測を行えばよい。
【0086】
管理装置10が、貨幣在高の変化に影響する事象に基づいて、在高の予測結果を補正してもよい。例えば、第1グループの店舗近隣にある企業の給与支払日、近隣の祭り等の祭事、店舗のセール日等の催事等の日付に関する情報に基づいて、在高の予測結果を補正すればよい。第1グループの店舗近隣にある企業の昼休み、タイムセール等の時間帯に関する情報に基づいて、在高の予測結果を補正してもよい。第1グループの店舗近隣の天候に関する情報に基づいて、在高の予測結果を補正してもよい。予測結果の補正に利用する情報が、管理装置10による現金の輸送ルートの変更に利用される態様であってもよい。例えば、催事等の所定の事象発生日には貨幣の輸送ルートを変更するように設定すれば、管理装置10は、この設定に基づいて貨幣ルートを決定する。
【0087】
例えば、ある金種の貨幣補充が必要になるまでの時間を予測した後、この金種の貨幣在高が減少しやすい事象の発生日又は発生時間帯である場合、管理装置10は、予測時間を短縮する補正を実行する。一方、貨幣在高が減少し難い事象の発生日又は発生時間帯である場合、管理装置10は、予測時間を延長する補正を実行する。同様に、管理装置10は、貨幣回収が必要になるまでの時間を予測した後、この金種の貨幣在高が増加しやすい事象の発生日又は発生時間帯である場合は予測時間を短くして、貨幣在高が増加し難い事象の発生日又は発生時間帯である場合は予測時間を長くする。
【0088】
予測時間の補正は、事象の発生日又は発生時間帯と補正方法とを予め管理装置10に登録し、管理装置10が、予測処理時に、登録された事象の発生日又は発生時間帯であるか否かを判定して、登録された補正方法で補正を実行するか否かを決定すればよい。予測時間の補正に利用する情報が、管理装置10による現金の輸送ルートの変更に利用される態様であってもよい。例えば、日付や時間帯に応じて貨幣の輸送ルートを変更するように設定すれば、管理装置10は、この設定に基づいて貨幣ルートを決定する。
【0089】
管理装置10が、事象に基づいて、現金輸送会社300による補充作業時間Twrを補正してもよいし、回収作業時間Twcを補正してもよい。この場合も、予め事象の発生日又は発生時間帯と、補正方法とを管理装置10に登録して、管理装置10が、予測処理時に、登録された事象の発生日又は発生時間帯であれば、登録された補正方法で補正を実行するようにすればよい。例えば、祭事、催事、天候等によって交通事情が変化して現金輸送会社300による現金輸送に時間がかかる場合には、日時、曜日、時間帯等に応じて作業時間を長くする設定を準備しておけばよい。例えば、現金輸送会社300による補充回収時の現金輸送ルートで道路工事が行われて現金輸送の時間が長くなることが分かっている場合、担当人員の減少等の現金輸送会社300の都合で作業時間が長くなることが分かっている場合も、期間を指定して作業時間を長くする設定を準備しておけばよい。
【0090】
管理装置10が、予測処理を実行して補充回収の依頼送信日時を決定した後、決定日時になるまでの間に、補充又は回収の要否判定が実行される場合がある。この場合、管理装置10が、予測処理を再度実行して、決定日時を更新してもよい。例えば、予測処理を実行して現金輸送会社300への依頼通知の送信日時を当日15時と決定した後、再び予測処理を実行して当日15時10分に依頼通知を送信すればよいとの結果が得られた場合、管理装置10は、依頼通知の送信日時を15時10分に更新すればよい。
【0091】
図5では、グループの在高情報で在高が変化して補充回収の要否判定が実行される際に、管理装置10が予測処理を実行する例を示したが、予測処理が他のタイミングで実行される態様であってもよい。例えば、所定時間毎に管理装置10が予測処理を実行して、補充及び回収の依頼通知の送信日時を更新する態様であってもよい。
【0092】
(閾値変更)
管理装置10では、現在の貨幣の在高と、補充閾値及び回収閾値とに基づいて、補充要否及び回収要否を判定する設定の他、補充閾値及び回収閾値を変更することにより、貨幣の補充及び回収のタイミングを決定する設定とすることができる。
図6は、補充閾値及び回収閾値の変更について説明するための図である。
図6に示す矩形は管理装置10による判定処理を示している。
【0093】
図6(a)は貨幣補充の要否判定の例を示している。
図3に示す在高情報で第1グループの在高が減少すると、管理装置10は、減少した各種類の貨幣について補充要否を判定する。金種Aの貨幣が減少した場合、
図6(a)に示すように、管理装置10は、金種Aの現在の在高Qaが補充閾値Ra以下であれば、補充が必要であると判定する。
図6(a)に示す例では、金種Bの貨幣在高に変化はないため、金種Bの貨幣補充要否の判定は行われていない。
【0094】
金種Aの貨幣の補充が必要であると判定した管理装置10は、続いて、
図3に示す在高情報の閾値変更条件を参照して、金種Aの補充閾値を変更するか否かを判定する。金種Aの補充閾値条件が満たされて、金種Aの補充閾値Raが、補充閾値Rapに変更された場合、管理装置10は、現在の在高Qaを変更後の補充閾値Rapと比較して補充要否を再判定する。例えば、
図6(a)に示すように補充閾値が小さい値に変更されて(Rap<Ra)、在高Qaが補充閾値Rapより多くなれば、管理装置10は、補充は必要ないとの最終判定結果を得る。
【0095】
図6(a)は例示であって、閾値変更条件が満たされなければ、補充閾値Raによる判定結果に基づいて貨幣補充の依頼通知が現金輸送会社300に送信されることになる。補充閾値が変更された場合でも、現在在高Qaが、変更後の補充閾値Rap以下であれば、補充が必要であると判定されて貨幣補充の依頼通知が現金輸送会社300に送信される。閾値変更条件が満たされて、補充閾値が大きい値に変更される場合もある(Rap>Ra)。
【0096】
管理装置10が、在高情報に登録された補充閾値Raで補充要否を判定した後、閾値変更条件に基づいて補充閾値を変更して再判定する態様に限定されず、先に閾値変更条件を満たすか否かを判定し、必要に応じて補充閾値を変更してから、補充要否を判定する態様であってもよい。
【0097】
図6(b)は貨幣回収の要否判定の例を示している。
図3に示す在高情報で第1グループの在高が増加すると、管理装置10は、増加した各種類の貨幣について回収要否を判定する。金種Aの貨幣が増加した場合、
図6(b)に示すように、管理装置10は、金種Aの現在の在高Qaが回収閾値Ca以上であれば、回収が必要であると判定する。
図6(b)に示す例では、金種Bの貨幣在高に変化はないため、金種Bの貨幣回収要否の判定は行われていない。
【0098】
金種Aの貨幣の回収が必要であると判定した管理装置10は、続いて、在高情報の閾値変更条件を参照して、金種Aの回収閾値を変更するか否かを判定する。金種Aの回収閾値条件が満たされて、金種Aの回収閾値Caが、回収閾値Capに変更された場合、管理装置10は、現在の在高Qaを変更後の回収閾値Capと比較して回収要否を再判定する。例えば、
図6(b)に示すように回収閾値が大きい値に変更されて(Cap>Ca)、在高Qaが回収閾値Capより少なくなれば、管理装置10は、回収は必要ないとの最終判定結果を得る。
【0099】
図6(b)は例示であって、閾値変更条件が満たされなければ、回収閾値Caによる判定結果に基づいて貨幣補充の依頼通知が現金輸送会社300に送信されることになる。回収閾値が変更された場合でも、現在在高Qaが、変更後の回収閾値Cap以上であれば、回収が必要であると判定されて貨幣回収の依頼通知が現金輸送会社300に送信される。閾値変更条件が満たされて、回収閾値が小さい値に変更される場合もある(Cap<Ca)。
【0100】
管理装置10が、在高情報に登録された回収閾値Caで回収要否を判定した後、閾値変更条件に基づいて回収閾値を変更して再判定する態様に限定されず、先に閾値変更条件を満たすか否かを判定し、必要に応じて回収閾値を変更してから、回収要否の判定を実行する態様であってもよい。
【0101】
閾値変更条件は、例えば、第1グループにおける在高の推移が所定条件を満たす場合に閾値を変更するように設定すればよい。例えば、判定日時から過去所定時間内の在高の推移が所定条件を満たす場合に閾値を変更する設定とすればよい。
【0102】
例えば、貨幣の補充は不要であると判定される状況下でも、直近の貨幣の減少具合が急激な場合は、貨幣の補充が必要であると判定されるように補充閾値を変更する閾値変更条件を設定すればよい。貨幣の補充が必要であると判定される状況下でも、直近の貨幣の減少具合が緩慢な場合は、貨幣の補充は不要であると判定されるように補充閾値を変更する閾値変更条件を設定してもよい。
【0103】
例えば、貨幣の回収は不要であると判定される状況下でも、直近の貨幣の増加具合が急激な場合は、貨幣の回収が必要であると判定されるように回収閾値を変更する閾値変更条件を設定すればよい。貨幣の回収が必要であると判定される状況下でも、直近の貨幣の増加具合が緩慢な場合は、貨幣の回収は不要であると判定されるように回収閾値を変更する閾値変更条件を設定してもよい。
【0104】
例えば、毎年12月24日、毎月25日、毎週土曜日、7時から9時等のように、日付、曜日、時間帯が所定条件を満たす場合に閾値を変更する設定としてもよい。例えば、貨幣の補充回収が不要と判定される状況下でも、所定の事象が発生する日や時間帯であれば、補充回収が必要であると判定されるように閾値変更条件を設定すればよい。第1グループの店舗近隣の天候に関する情報に応じて閾値を変更する設定としてもよい。例えば、天候によって客足が鈍る傾向がある場合は、貨幣の補充回収が必要であると判定される状況下でも、天候に応じて補充回収が不要と判定されるように閾値変更条件を設定すればよい。
【0105】
(在高予測及び閾値変更)
管理装置10では、
図5で説明した在高の予測処理時に、
図6で説明したように閾値変更条件に基づく閾値の変更を行う設定とすることもできる。
図7は、在高の予測処理時に行う補充閾値及び回収閾値の変更について説明するための図である。
図7に示す矩形は管理装置10による判定処理を示している。
【0106】
図5(a)で説明したように、将来の貨幣在高を予測して貨幣補充の要否を判定する際に、管理装置10は、閾値変更条件に基づく判定を行って、必要に応じて補充閾値を変更することができる。
【0107】
例えば、
図7(a)に示すように、管理装置10は、金種Aの閾値変更条件を満たす場合に補充閾値Raを補充閾値Rapに変更し、変更後の補充閾値Rapに基づいて補充が必要となるまでの時間T13を予測する。
図7(a)は、金種Bについては、閾値変更条件が満たされず、補充閾値Rbに基づいて予測時間T12が得られた例を示している。
図7(a)に示す例では、金種Aの補充閾値変更によって、金種Aの貨幣補充が必要となるまでの予測時間がT11からT13に変化している。このため、
図5(a)に示す例とは異なり、管理装置10は、金種Bの予測時間T12から補充作業時間Twrを差し引いて得られた、判定日時から時間Tr2経過後の日時に、貨幣補充の依頼通知を現金輸送会社300へ送信することを決定することになる。
【0108】
図5(b)で説明したように将来の貨幣在高を予測して貨幣回収の要否を判定する際に、管理装置10は、閾値変更条件に基づく判定を行って、必要に応じて回収閾値を変更することができる。
【0109】
例えば、
図7(b)に示すように、管理装置10は、金種Aの閾値変更条件を満たす場合に回収閾値Caを回収閾値Capに変更し、変更後の回収閾値Capに基づいて回収が必要となるまでの時間T23を予測する。
図7(b)は、金種Bについては、閾値変更条件が満たされず、回収閾値Cbに基づいて予測時間T22が得られた例を示している。
図7(b)に示す例では、金種Aの回収閾値変更によって、金種Aの貨幣回収が必要となるまでの予測時間がT21からT23に変化している。このため、
図5(b)に示す例とは異なり、管理装置10は、金種Bの予測時間T22から回収作業時間Twcを差し引いて得られた、判定日時から時間Tc2経過後の日時に、貨幣回収の依頼通知を現金輸送会社300へ送信することを決定することになる。
【0110】
図7で説明した例においても、
図5で説明したように、貨幣在高の変化に影響する事象に基づいて、在高の予測結果が補正される態様であってもよいし、補充作業時間Twr及び回収作業時間Twcが補正される態様であってもよい。グループの在高情報で在高が変化した際に予測処理を実行する態様に限定されず、所定時間毎に予測処理が実行される態様であってもよい。在高情報に登録された閾値で貨幣の補充回収の要否を判定した後、閾値変更条件に基づいて閾値を変更して再判定する態様に限定されず、先に閾値変更条件を満たすか否かを判定して閾値を変更してから、補充回収の要否を判定する態様であってもよい。
【0111】
[管理装置の操作]
図8~
図10を参照しながら管理装置10で行われる操作について説明する。貨幣処理システムの利用者は、管理装置10の操作部12及び表示部13、又は管理装置10と接続された操作端末の操作部及び表示部を利用して、貨幣の補充回収に関する設定を行ったり、在高情報を確認したりすることができる。
【0112】
図8は、貨幣の補充回収に関する設定画面の例を示す図である。設定画面に表示されるグループIDの項目を変更することにより、各グループの補充回収の設定画面が表示される。第1グループのグループID「G001」が選択された場合を例に説明を続ける。
【0113】
図8の収納部と表示された表には、第1グループにある貨幣全ての金種と、金種別の最小枚数、補充閾値、理想枚数、最大枚数及び回収閾値とが表示される。利用者は、収納部の表で、最小枚数、補充閾値、理想枚数、最大枚数及び回収閾値の設定を変更することができる。
【0114】
最小枚数は、第1グループで設定された貨幣の金種別最小枚数である。貨幣の補充要否を判定するための補充閾値は、閾値枚数を入力するか、最小枚数に対する割合を入力することによって設定することができる。補充閾値を110%と入力すると、
図8に示すように、補充閾値は、最小枚数300枚の110%である330枚に設定される。理想枚数は、第1グループで設定された理想とされる金種別の貨幣枚数である。最大枚数は、第1グループで設定された貨幣の金種別最大枚数である。貨幣の回収要否を判定するための回収閾値は、閾値枚数又は最大枚数に対する割合を入力して設定することができる。回収閾値を80%と入力すると、
図8に示すように、回収閾値は、最大枚数「3000枚」の「80%」である「2400枚」に設定される。
【0115】
収納部の表で設定された補充閾値及び回収閾値が、
図3(c)に示す在高情報の閾値である。理想枚数は、管理装置10が、貨幣の補充及び回収が必要であると判定した際に、補充量及び回収量を決定するために利用される。補充時には現在の貨幣枚数と理想枚数との差が補充量となる。回収時には現在の貨幣枚数と理想枚数との差が回収量となる。
【0116】
例えば、
図8に示す例で1ドル紙幣が310枚になって補充が必要であると判定された場合、管理装置10は、1ドル紙幣の補充枚数を、理想枚数2000枚と310枚との差である1690枚とする。同様に、1ドル紙幣が2500枚になって回収が必要であると判定された場合、管理装置10は、1ドル紙幣の回収枚数を、理想枚数2000枚と2500枚との差である500枚とする。
【0117】
図8の容器と表示された表には、第1グループの容器個数、最大枚数及び輸送上限値が表示される。利用者は、容器の表で、容器個数、最大枚数及び輸送上限値の設定を変更することができる。輸送上限値は、貨幣処理装置や容器の物理的な収納限界に基づいて決定される態様に限定されず、保険などの契約内容に基づいて決定される態様であってもよい。例えば、現金輸送会社との契約で現金輸送1回あたりに輸送する貨幣の枚数、重量、金額等が制限されている場合、契約に基づいて各上限値を決定すればよい。また、例えば、保険会社との契約で、1回の現金輸送で保険が適用される貨幣の枚数や金額が定められている場合は、この枚数や金額に基づいて各上限値を決定すればよい。
【0118】
容器個数は、第1グループで貨幣の補充回収に利用される容器166の個数である。最大枚数は、全容器166に収納可能な貨幣枚数である。輸送上限値は、現金輸送会社300が1回の輸送で輸送する貨幣を制限するための設定値である。輸送上限値は、貨幣の枚数、重量、金額の少なくともいずれか1つを入力して設定することができる。枚数の上限値は、枚数又は最大枚数に対する割合によって設定することができる。
【0119】
図8の例は、第1グループには紙幣用の容器166が「3個」あって、3個の容器166に最大「3000枚」の紙幣を収納可能であるが、紙幣の輸送は、最大枚数の「70%」である「2100枚」以下、かつ、硬貨と合わせた合計金額が「$7…」以下に制限されることを示している。同様に、第1グループには硬貨用の容器166が「4個」あって、4個の容器166に最大「8000枚」の硬貨を収納可能であるが、硬貨の輸送は、最大枚数の「70%」である「5600枚」、重量「1…kg」以下、かつ、紙幣と合わせた合計金額「$7…」以下に制限されることを示している。
【0120】
図8に示すように、容器166の設定で、輸送上限値が設定された場合、管理装置10は、補充閾値及び回収閾値に基づく判定に加えて、輸送上限値に基づく判定を実行する。例えば、貨幣の補充が必要であると判定した管理装置10は、補充量が輸送上限値を満たすか否かを判定する。補充量が輸送上限値を超える場合、管理装置10は、輸送上限値を超えないように、補充量を減らす。例えば、管理装置10は、現在の在高が最も多い金種から順に、金種別の補充量を所定量ずつ減らして、補充量が輸送上限値を超えないように調整する。例えば、管理装置10は、補充する貨幣全金種の金種別補充量を同じ割合で減らして、補充量が輸送上限値を超えないように調整する。
【0121】
補充量が輸送上限値より少ない場合、管理装置10が輸送上限値を超えない範囲で補充量を増やす設定とすることもできる。例えば、管理装置10は、補充量が輸送上限値を超えない範囲で、補充する貨幣全金種の補充量を同じ割合ずつ増加させる。例えば、管理装置10は、在高が理想枚数より少ない補充対象外の金種があれば、補充量が輸送上限値を超えない範囲で、在高が少ない金種から順に各金種の在高と理想枚数との差分を補充対象に加える。
【0122】
同様に、貨幣の回収が必要であると判定した管理装置10は、回収量が輸送上限値を満たすか否かを判定する。回収量が輸送上限値を超える場合、管理装置10は、輸送上限値を超えないように、回収量を減らす。例えば、管理装置10は、現在の在高が最も多い金種から順に、金種別の回収量を所定量ずつ減らして、回収量が輸送上限値を超えないように調整する。例えば、管理装置10は、回収する貨幣全金種の金種別回収量を同じ割合で減らして、回収量が輸送上限値を超えないように調整する。
【0123】
回収量が輸送上限値より少ない場合、管理装置10が輸送上限値を超えない範囲で回収量を増やす設定とすることもできる。例えば、管理装置10は、回収量が輸送上限値を超えない範囲で、回収する貨幣全金種の回収量を同じ割合ずつ増加させる。例えば、管理装置10は、在高が理想枚数より多い回収対象外の金種があれば、回収量が輸送上限値を超えない範囲で、在高が多い金種から順に各金種の在高と理想枚数との差分を回収対象に加える。
【0124】
図9は、在高情報の確認画面の例を示す図である。画面に表示されるグループIDの項目を変更することにより、各グループの在高情報が画面に表示される。第1グループのグループID「G001」が選択された場合を例に説明を続ける。
【0125】
店舗IDで「全店舗」を選択すると、
図9に示すように、第1グループの在高情報が表示される。店舗IDで、第1グループに属する複数の店舗1a~1cのうち1つの店舗の店舗IDを選択して、店舗別の在高を確認することも可能となっている。また、店舗IDを選択した状態で、装置IDを選択すれば、選択した店舗にある複数の貨幣処理装置100のうち1台の貨幣処理装置100の在高を確認することもできる。
【0126】
図9の収納部と表示された表には、第1グループにある貨幣全ての金種と、金種別の状態、在高、最大枚数、理想枚数及び最小枚数が表示される。最大枚数、理想枚数及び最小枚数は、
図8に示す設定画面で設定された枚数である。在高は、
図3(c)に示す在高情報の枚数である。すなわち、在高は、管理装置10が、各貨幣処理装置100から取引情報や装置在高情報を取得して管理している、第1グループに現在ある貨幣の金種別枚数である。
【0127】
状態は、貨幣の補充回収に関する状態が分かるように表示される情報である。
図9は、各金種の在高を「非常に多い」、「多い」、「適量」、「少ない」、「非常に少ない」の5段階に分類して表示した例を示している。例えば、在高が、最大枚数の90%以上である金種は「非常に多い」に分類されて、最小枚数の110%以下の金種は「非常に少ない」に分類される。「非常に多い」及び「非常に少ない」に分類されない金種のうち、在高が理想枚数よりも最大枚数に近い金種は「多い」に分類され、在高が理想枚数よりも最小枚数に近い金種は「少ない」に分類されて、それ以外の金種が「適量」に分類される。分類結果が図形や色を変えて「状態」として表示されるため、利用者は、補充回収に関して各金種の現在の在高がどのような状態にあるかを容易に認識することができる。在高の分類方法及び分類結果の表示方法は例示であって、他の方法で分類及び表示が行われる態様であってもよい。例えば、利用者が、分類方法及び表示方法を設定変更できる態様であってもよい。
【0128】
収納部の表近傍に、紙幣と硬貨のそれぞれについて、補充が必要であるか否かを示す情報と、回収が必要であるかを示す情報とが表示される。
図9は、紙幣の回収が必要であるために、収納部の表の右側に「紙幣要回収」との表示が、他の表示と色を変えて表示される一方で、硬貨の回収は不要であるために「硬貨適量」と表示された例を示している。補充が必要である場合は、補充が必要であることを示す情報が表示されることになる。利用者は、画面表示から、各グループで貨幣の補充回収が必要であるか否かを容易に認識することができる。画面上に要補充又は要回収の表示が出た場合には、画面上に、依頼内容ボタンが表示されて、管理装置10が決定した現金輸送会社300への依頼内容を確認できるようになっている(
図10参照)。
【0129】
図9の容器と表示された表には、第1グループの容器個数、最大枚数、輸送上限値及び在高が表示される。容器個数、最大枚数及び輸送上限値は、
図8に示す設定画面で設定された枚数である。在高は、容器166に現在収納されている貨幣の枚数、重量及び金額である。
図9は、容器166に貨幣が収納されていない例を示しているが、容器166に貨幣が収納されると、貨幣の枚数、重量及び金額が表示される。このように、管理装置10で容器166の在高情報を管理することも可能となっている。
【0130】
図4~
図7で説明したように、管理装置10が、貨幣の補充回収が必要であると判定した場合に、利用者は、管理装置10が決定した補充回収の内容を確認することができる。
図10は、管理装置10が貨幣の補充が必要であると判定した場合に表示される画面例を示す図である。
図10は、管理装置10が、
図5及び
図7で説明したように予測処理を実行する場合の画面例を示している。画面に表示されるグループIDの項目を変更することにより、各グループの在高情報が画面に表示される。第1グループのグループID「G001」が選択された場合を例に説明を続ける。
【0131】
画面上には、依頼日時として、管理装置10が決定した、現金輸送会社300へ補充回収の依頼通知を送信する日時が表示される。利用者は、画面上で依頼日時の項目を選択して、依頼通知の送信日時を変更することもできる。依頼内容の表には、管理装置10が決定した補充回収の内容が表示される。
図10は、管理装置10が、紙幣の補充が必要であることを判定した例を示している。管理装置10が、紙幣の回収が必要であると判定した場合、紙幣の回収が選択された状態となる。同様に、管理装置10が硬貨の補充又は回収が必要であると判定した場合は、硬貨の補充又は回収が選択された状態となる。利用者は、画面上で依頼内容を変更することもできる。
【0132】
依頼詳細の表には、第1グループにある貨幣全ての金種について、金種別の在高、利用予測、理想枚数、差異、単位、提案枚数、状態、依頼枚数が表示される。在高及び理想枚数は、
図8及び
図9の在高及び理想枚数に対応している。
【0133】
利用予測は、
図5及び
図7で説明したように、管理装置10が予測処理を実行して予測した貨幣の増減枚数である。予測在高は、利用予測に基づく貨幣の在高である。差異は、予測在高と理想枚数の差である。
図10は、現在の在高が「1770枚」である1ドル紙幣について、管理装置10が、利用予測が「1450枚」、予測在高が「320枚」(=1770-1450)、予測在高と理想枚数「2000枚」との差異が「-1680枚」(=320-2000)になることを予測した例を示している。
【0134】
単位は、各金種の貨幣が、何枚単位で補充回収されるかを示している。例えば、紙幣束や包装硬貨のように、現金輸送会社300が補充する単位が定められている場合に、単位の項目に枚数が表示される。利用者が、貨幣の補充回収の単位を予め設定すると、管理装置10は、設定された単位に基づいて、補充量及び回収量を決定することができる。提案枚数は、管理装置10が、差異及び単位の枚数に基づいて決定する補充量及び回収量である。
図10は、1ドル紙幣が「100枚」単位で補充されるため、管理装置10が、理想枚数との差異である「1680枚」を100枚単位で切り上げて、提案枚数、すなわち補充量を「1700枚」と決定した例を示している。状態は、補充が必要であるか否かを示している。
図10は、管理装置10が、1ドル紙幣の補充が必要であると判定した例を示している。管理装置10が、回収が必要であると判定した金種については「要回収」と表示されることになる。
【0135】
画面上に依頼日時、依頼内容及び依頼詳細として表示された内容を確認した利用者は、必要に応じて、内容を変更して適用ボタンを押すことにより、管理装置10が自動決定した内容を、手動で変更することができる。利用者は、画面上の在高ボタンを押して、
図9に示す在高情報を表示させることができる。利用者は、在高情報を確認しながら、現金輸送会社300への依頼内容を検討することができる。利用者は、依頼日時を「即時」に切り換えて依頼実行ボタンを押すことにより、現金輸送会社300への貨幣の補充回収依頼通知を即時実行することも可能となっている。利用者が、グループ内での貨幣量の変動履歴等に基づいて、現金輸送会社300への依頼内容を変更可能であってもよい。管理装置10は在高を時系列で継続して管理している。これを利用して、利用者が、貨幣量の変動履歴を確認できるようにすればよい。
【0136】
[管理装置の処理例]
図11は、管理装置10が実行する処理の流れの例を示すフローチャートである。例えば、管理装置10は、
図6で説明した処理を、
図11に示す流れで行うことができる。
【0137】
管理装置10は、グループの貨幣の在高が変化した際に、
図11に示す処理を開始して、現在の在高が閾値に達した金種の貨幣があるか否かを判定する(ステップS1)。在高が閾値に達した金種の貨幣がなければ(ステップS1;No)、管理装置10は処理を終了する。
【0138】
在高が閾値に達した金種の貨幣がある場合(ステップS1;Yes)、続いて、管理装置10は、閾値に達した金種が閾値変更条件を満たすか否かを判定する(ステップS2)。閾値変更条件を満たす場合(ステップS2;Yes)、管理装置10は、閾値を変更して(ステップS3)、現在の在高が変更後の閾値に達する貨幣の有無を再判定して(ステップS4)、閾値に達する貨幣がなくなれば(ステップS4;No)、処理が終了することになる。
【0139】
閾値変更条件を満たさなかった場合(ステップS2;No)、及び閾値変更条件を満たして閾値を変更したものの現在の在高が変更後の閾値に達している場合(ステップS4;Yes)、管理装置10は、閾値に達した金種の貨幣について、現金輸送会社300に依頼する補充回収の内容を決定して(ステップS5)、処理を終了する。
【0140】
管理装置10が、
図11に示す処理を所定時間毎に実行する態様であってもよい。管理装置10が、必要に応じて先に閾値を変更してから、現在の在高と閾値とを比較判定する処理を実行する態様であってもよい。
【0141】
図12は、管理装置10が予測処理を実行する場合の処理の流れの例を示すフローチャートである。例えば、管理装置10は、
図7で説明した処理を、
図12に示す流れで行うことができる。
【0142】
管理装置10は、グループの貨幣の在高が変化して予測処理を実行する際に、閾値変更条件を満たす金種があるか否かを判定する(ステップS11)。閾値変更条件を満たす金種がない場合(ステップS11;No)、管理装置10は、予測処理を実行して(ステップS13)、現金輸送会社300へ依頼する補充回収の内容と、依頼日時、すなわち依頼通知の送信日時を決定して(ステップS14)、処理を終了する。
【0143】
閾値変更条件を満たす金種がある場合(ステップS11;Yes)、管理装置10は、閾値を変更する(ステップS12)。その後、管理装置10は、予測処理を実行して(ステップS13)、現金輸送会社300へ依頼する補充回収内容及び依頼日時を決定して(ステップS14)、処理を終了する。
【0144】
管理装置10が、
図12に示す処理を所定時間毎に実行する態様であってもよい。管理装置10が、現在の在高に基づく補充回収の要否判定を行ってから、
図12に示す処理を実行する態様であってもよいし、現在の在高に基づく補充回収の要否判定を行わずに
図12に示す処理を実行する態様であってもよい。
【0145】
本実施形態では、主に第1グループを例に説明を行ったが、上述した各処理は、貨幣処理システムで管理される各グループについて実行される。主に2金種を例に説明を行ったが、上述した各処理は、1金種を対象に行われる場合もあるし、3金種以上で行われる場合もある。説明を簡単にするため、貨幣の回収と補充とに分けて説明を行ったが、補充と回収とが別々に行われる態様に限定されず、例えば金種Aの補充と金種Bの回収というように補充と回収の両方が行われる態様であってもよい。この場合も、貨幣処理システムが補充と回収のそれぞれに対応する処理を実行すればよい。貨幣処理システムが、貨幣の補充及び回収の両方に対応する態様に限定されず、補充と回収のいずれかのみに対応して他方に関する処理を実行しない態様であってもよい。
【0146】
本実施形態では、貨幣処理システムが、管理装置10と複数の貨幣処理装置100、200とによって構成される例を示したが、該構成は機能概略的なものであり、貨幣処理システムの構成が物理的に該構成に限定されるものではない。各装置の分散・統合の形態は上述した例に限定されず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0147】
上述したように、貨幣処理システムでは、複数の貨幣処理装置を所定の属性に基づいてグループ分けして各グループにある貨幣を管理し、グループ別に、貨幣の補充回収を現金輸送会社に依頼するタイミングを決定することができる。ある貨幣処理装置で貨幣の不足又は余剰が発生しても、同じグループの貨幣処理装置との間で貨幣の補充回収を行える間は、現金輸送会社への依頼は行われない。これにより、現金輸送会社への依頼数を最小限に留めて、グループにある貨幣を有効に利用することができる。グループ内で貨幣の補充回収を行える場合は、グループ内で貨幣を移動するために必要な情報が店舗に通知されるので、店舗間で貨幣を移動して、貨幣の不足や余剰を解消することができる。また、貨幣の補充回収を行うことが決まった場合には、補充回収の方法、輸送ルート等に関する情報が報知されるため、補充回収の作業を容易かつ効率よく行えるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
以上のように、本開示に係る貨幣処理システム及び貨幣処理方法は、複数の貨幣処理装置内にある貨幣を管理して貨幣を補充回収する作業を効率よく行うために有用である。
【符号の説明】
【0149】
2 ネットワーク
10 管理装置
11、110 制御部
12、120 操作部
13、130 表示部
14、140 記憶部
15、150 通信部
100(100a~100c)、200(200a~200c) 貨幣処理装置
160 貨幣処理部
161 入金部
162 出金部
163 搬送部
164 識別部
165 収納部
166 容器
310 端末装置