(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122024
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】反応器、及び、蓄熱装置
(51)【国際特許分類】
F28D 20/00 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
F28D20/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029324
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000108764
【氏名又は名称】タテホ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】中西 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】右田 翼
(57)【要約】
【課題】本発明は、蓄熱材を多く充填しやすく、加熱気体を蓄熱材に十分に接触させやすく、更に、加熱気体の圧力損失を抑制しやすい反応器などを提供する。
【解決手段】本発明は、筐体と、該筐体内に配された蓄熱体とを有する、反応器であって、前記蓄熱体が蓄熱材を含み、前記筐体内に配され、且つ、前記蓄熱体を収容する収容部を2つ以上有し、2つ以上の前記収容部が、上下方向に並んで前記筐体内に配され、隣り合う収容部どうしの間、最上段の収容部の上、及び、最下段の収容部の下それぞれには、気体が流通できる流路が設けられ、前記収容部は、底壁と、天壁とを有し、前記底壁及び天壁が、気体が通過可能な部材で形成された、反応器などである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体内に配された蓄熱体とを有する、反応器であって、
前記蓄熱体が蓄熱材を含み、
前記筐体内に配され、且つ、前記蓄熱体を収容する収容部を2つ以上有し、
2つ以上の前記収容部が、上下方向に並んで前記筐体内に配され、
隣り合う収容部どうしの間、最上段の収容部の上、及び、最下段の収容部の下それぞれには、気体が流通できる流路が設けられ、
前記収容部は、底壁と、天壁とを有し、
前記底壁及び天壁が、気体が通過可能な部材で形成された、反応器。
【請求項2】
前記流路は、第1の流路であり、
前記筐体は、該筐体内に気体を供給する供給口と、該筐体内の気体を該筐体外に排出する排出口とを有し、
前記供給口から供給された気体が流通できる第2の流路が設けられ、
前記第2の流路を流通した気体が前記第1の流路のそれぞれに供給されるように構成され、
前記第1の流路のそれぞれを流通した気体が流通できる第3の流路が設けられ、
前記第3の流路を流通した気体が前記排出口から前記筐体外に排出されるように構成された、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記収容部どうしでスペーサーを挟むことにより前記流路が設けられた、請求項1又は2に記載の反応器。
【請求項4】
前記スペーサーは、棒、波板、セラミックファイバーボード、多孔質セラミックボード、グラスウールボード、及び、シリカファイバークロスからなる群より選ばれた1種以上のスペーサーである、請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
カートリッジである、請求項1又は2に記載の反応器。
【請求項6】
前記蓄熱材は、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び、酸化カルシウムからなる群より選ばれた1種以上の化合物である、請求項1又は2に記載の反応器。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の反応器と、
前記加熱気体を加圧し、加圧した加熱気体を前記反応器に供給する加熱気体供給部とを備える、蓄熱装置。
【請求項8】
前記蓄熱材は、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び、酸化カルシウムからなる群より選ばれた1種以上の化合物であり、
前記反応器に水蒸気を供給する水蒸気供給部と、
前記蓄熱材と前記水蒸気との反応により得られた、加熱された気体を回収することで熱を回収する熱回収部とを更に備える、請求項7に記載の蓄熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応器、及び、蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、排熱などの熱を蓄える技術が求められている。
熱を蓄える蓄熱法としては、例えば、蓄熱材に水蒸気を吸脱着させる水蒸気吸脱着法等が知られている。
水蒸気吸脱着法に用いられる蓄熱材としては、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどが知られている。
蓄熱材は、粒子状(粉状、ペレット状などを含む概念。)で用いられている。
【0003】
前記水蒸気吸脱着法としては、下記式の可逆反応を利用した方法が知られている。
MgO + H2O ⇔ Mg(OH)2 ΔH=-81.2kJ/モル
すなわち、水酸化マグネシウムを熱(排熱など)で加熱することにより、酸化マグネシウム(蓄熱状態(脱水状態)の蓄熱材)及び水蒸気を生成する蓄熱反応と、酸化マグネシウム(蓄熱状態(脱水状態)の蓄熱材)及び水蒸気を接触させることにより、水酸化マグネシウム(放熱状態の蓄熱材)及び反応熱を得る発熱反応とを利用した方法が知られている。
【0004】
蓄熱装置としては、
図3に示すように、蓄熱材が充填されたカートリッジ4aと、カートリッジ4aが保持される蓄熱材保持部5と、カートリッジ4a及び蓄熱材保持部5を収納する蓄熱材容器2とを備えた蓄熱装置1bが知られている(例えば、特許文献1)。
前記特許文献1では、前記カートリッジは、袋体又は枠体で構成されている。
前記カートリッジを構成する袋体又は枠体は、流体が通過可能な部材で形成されている。
前記蓄熱装置1bでは、供給部7から供給された熱流体F(加熱気体など)は、カートリッジ4a内の蓄熱材と直接接触することにより、熱流体Fと蓄熱材とが効率よく熱交換できる。
また、特許文献1には、前記蓄熱材保持部5が、
図3のようにトレイ状容器となっていてもよく、また、カートリッジを吊るして保持するものとなっていてもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、蓄熱材容器内に多くの熱エネルギーを蓄えるには、蓄熱材容器内に多くの蓄熱材を充填することが好ましい。
しかし、蓄熱材容器内に多くの蓄熱材を充填するために、カートリッジに蓄熱材を多く詰め、且つ、カートリッジで熱流体の流路を塞いでしまうと、蓄熱材が繰り返しの使用により固着した際に、圧力損失が生じてしまう。これに対し、熱流体を十分な流量で蓄熱材容器を圧送しようすると、多くのエネルギーを費やしてしまうことになる。
よって、カートリッジで熱流体の流路を塞がないように、蓄熱材容器内に熱流体の流路を確保することが望ましい。
しかしながら、前記蓄熱材保持部がカートリッジを吊るして保持するものとなっている場合、熱流体Fの流路を確保しつつ、蓄熱材容器2内に多くの蓄熱材を充填することが難しい。
【0007】
また、前記蓄熱材保持部がトレイ状容器となっている場合、熱流体が、蓄熱材保持部に邪魔されて、カートリッジ内の蓄熱材に十分に接触できずに、排出部から排出されてしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、蓄熱材を多く充填しやすく、加熱気体を蓄熱材に十分に接触させやすく、更に、加熱気体の圧力損失を抑制しやすい反応器、及び、該反応器を備える蓄熱装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一は、筐体と、該筐体内に配された蓄熱体とを有する、反応器であって、
前記蓄熱体が蓄熱材を含み、
前記筐体内に配され、且つ、前記蓄熱体を収容する収容部を2つ以上有し、
2つ以上の前記収容部が、上下方向に並んで前記筐体内に配され、
隣り合う収容部どうしの間、最上段の収容部の上、及び、最下段の収容部の下それぞれには、気体が流通できる流路が設けられ、
前記収容部は、底壁と、天壁とを有し、
前記底壁及び天壁が、気体が通過可能な部材で形成された、反応器に関する。
【0010】
本発明の第二は、前記反応器と、
前記加熱気体を加圧し、加圧した加熱気体を前記反応器に供給する加熱気体供給部とを備える、蓄熱装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓄熱材を多く充填しやすく、加熱気体を蓄熱材に十分に接触させやすく、更に、加熱気体の圧力損失を抑制しやすい反応器、及び、該反応器を備える蓄熱装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る反応器の正面の概略断面図。
【
図3】従来技術の蓄熱装置の概略図(特開2020-153614号公報の
図4を引用。)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
まず、本実施形態に係る反応器について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る反応器1は、筐体2と、該筐体2内に配された蓄熱体3とを有する。
前記蓄熱体3は、蓄熱材を含む。
また、本実施形態に係る反応器1は、前記筐体2内に配され、且つ、前記蓄熱体3を収容する収容部4を2つ以上有する。
2つ以上の前記収容部が、上下方向に並んで前記筐体内に配されている。
隣り合う収容部4どうしの間、最上段の収容部4の上、及び、最下段の収容部4の下それぞれには、気体が流通できる流路(以下、「第1の流路5」ともいう。)が設けられている。
前記収容部4は、底壁4aと、天壁4bとを有する。
前記底壁4a及び天壁4bは、気体が通過可能な部材で形成されている。
【0015】
本実施形態に係る反応器1は、隣り合う収容部4どうしの間、最上段の収容部4の上、及び、最下段の収容部4の下それぞれには、気体が流通できる第1の流路5が設けられていることにより、各収容部4の上と下には、気体が流通できる第1の流路5がある。また、収容部4の底壁4a及び天壁4bが、気体が通過可能な部材で形成されていることにより、前記第1の流路に加熱気体を供給することで、加熱気体を収容部4内の蓄熱材3に十分に直接接触させやすくなる。
また、本実施形態に係る反応器1は、2つ以上の前記収容部4は、上下方向に並んで前記筐体2内に配され、上下方向に隣り合う収容部4どうしの間、最上段の収容部4の上、及び、最下段の収容部4の下には、気体が流通できる第1の流路5が設けられていることにより、収容部4と、第1の流路5とが上下方向に交互に配されている。よって、本実施形態に係る反応器1は、気体が流通できる第1の流路を確保しつつ、蓄熱材を多く充填しやすい反応器となる。その結果、本実施形態に係る反応器1は、加熱気体の圧力損失を抑制しつつ、蓄熱材を多く充填しやすい反応器となる。
すなわち、本実施形態によれば、蓄熱材を多く充填しやすく、加熱気体を蓄熱材に十分に接触させやすく、更に、加熱気体の圧力損失を抑制しやすい反応器を提供し得る。
【0016】
前記蓄熱材は、アルカリ土類金属の水酸化物及び酸化物による以下の可逆反応を利用した蓄熱材である。なお、以下の反応式では、アルカリ土類金属としてカルシウム又はマグネシウムを用いた場合について示す。
CaO+H2O⇔Ca(OH)2 △H=-109.2kJ/モル
MgO+H2O⇔Mg(OH)2 △H=-81.2kJ/モル
【0017】
各式中、右方向への反応は酸化カルシウム又は酸化マグネシウムの水和発熱反応である。反対に、左方向への反応は水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムの脱水吸熱反応である。すなわち、蓄熱材は、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムの脱水反応が進行することによって蓄熱することができ、また、蓄えられた熱エネルギーを、酸化カルシウム又は酸化マグネシウムの水和反応が進行することによって供給することができる。
【0018】
蓄熱状態(脱水状態)の蓄熱材は、アルカリ土類金属の酸化物である。
前記アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられる。これらを1種のみ含むものであってもよく、2種以上を組み合わせて含むものであっても良い。このうち、カルシウム及び/又はマグネシウムが好ましく、マグネシウムがより好ましい。
アルカリ土類金属の酸化物として、好ましくは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、マグネシウムとカルシウムの複合酸化物が挙げられ、これらを単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。
【0019】
なお、蓄熱状態(脱水状態)の蓄熱材たるアルカリ土類金属の酸化物は、水和発熱反応により、放熱状態の蓄熱材たるアルカリ土類金属の水酸化物となる。
よって、蓄熱材は、アルカリ土類金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の酸化物いずれかを含むものであればよく、双方を含むものであってもよい。言い換えれば、蓄熱材は、アルカリ土類金属の水酸化物及び/又は酸化物である。
【0020】
前記蓄熱材は、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び、酸化カルシウムからなる群より選ばれた1種以上の化合物であることが好ましい。
【0021】
前記蓄熱体3は、蓄熱材が粒子状となったものであってもよい。
なお、本実施形態において、「粒子状」は、細かな粒子の状態たる粉状、粉状よりも粒径が大きい粒子の状態たる顆粒状なども含む概念である。
また、「粒子状」は、棒状(ペレット状)、フレーク状なども含む概念である。
前記蓄熱体3は、粉体状の蓄熱材を成型して得られる蓄熱体であってもよい。
また、前記蓄熱体3は、担体に蓄熱材が担持されたものであってもよい。担体に蓄熱材が担持された蓄熱体3は、粒子状となっていてもよい。
前記担体としては、ゼオライト、炭素化合物、粘土化合物などが挙げられる。
前記蓄熱体3は、粒子状となっていることが好ましい。
【0022】
前記蓄熱体3は、金属の化合物(アルカリ金属の化合物等)を更に有してもよい。
例えば、前記蓄熱体3は、蓄熱材と前記金属の化合物とが粒子状となったものであってもよい。また、前記蓄熱体3は、担体に蓄熱材と前記金属の化合物とが担持されたものであってもよい。
前記蓄熱体3は、斯かる構成となっていることにより、蓄熱反応及び発熱反応の反応効率を高めることができる。
【0023】
前記筐体2は、該筐体2内に気体を供給する供給口2dと、該筐体2内の気体を該筐体2外に排出する排出口2eとを有する。
【0024】
蓄熱時では、前記供給口2dから加熱気体が前記筐体2内に供給されることにより、前記加熱気体が第1の流路5を流通する。
該第1の流路5を流通した加熱気体は、前記底壁4a及び/又は前記天壁4bを通じて(
図1の態様では、前記底壁4aを通じて)、前記収容部4内に供給される。
前記収容部4内に供給された加熱気体は、放熱状態の蓄熱材と前記収容部4内で直接接触することにより、蓄熱状態(脱水状態)の蓄熱材と、水蒸気と、使用済みの加熱気体とが得られる。
水蒸気と、使用済みの加熱気体とは、前記底壁4a及び/又は前記天壁4bを通じて(
図1の態様では、前記天壁4bを通じて)、前記収容部4から第1の流路5に排出され、そして、前記排出口2eから前記筐体2外に排出される。
【0025】
本実施形態に係る反応器1には、前記供給口2dから供給された気体が流通できる第2の流路6が設けられている。
本実施形態に係る反応器1は、前記第2の流路6を流通した気体が前記第1の流路5のそれぞれに供給されるように構成されている。
また、本実施形態に係る反応器1には、前記第1の流路5のそれぞれを流通した気体が流通できる第3の流路7が設けられている。
本実施形態に係る反応器1は、前記第3の流路7を流通した気体が前記排出口2eから前記筐体2外に排出されるように構成されている。
本実施形態に係る反応器1は、斯かる構成を有することにより、前記供給口2dから加熱気体を供給することで、加熱気体が第1の流路5を流通しやすくなり、その結果、加熱気体を収容部4内の蓄熱材3により一層十分に接触させやすくなる。
【0026】
前記筐体2は、底壁2aと、天壁2bと、前記底壁2aの外周縁部から前記天壁2bの外周縁部まで延びる側壁2cとを有する。
前筒体2は、直方体状となっている。
前記底壁2aは、矩形板状となっている。
前記天壁2bは、矩形板状となっている。前記天壁2bは、平面視において前記底壁2aと同形状となっている。
前記側壁2cは、筒状に形成されている。また、前記側壁2cは、平面視において矩形状となっている。すなわち、前記側壁2cは、角筒状に形成されている。
【0027】
前記側壁2cは、一辺の側壁2c1と、前記一辺の側壁2c1に対向する他辺の側壁2c2とを有する。
前記供給口2dは、前記一辺の側壁2c1に設けられ、前記排出口2eは、前記他辺の側壁2c2に設けられている。
図1では、前記供給口2dは、前記一辺の側壁2c1の下側に設けられ、前記排出口2eは、前記他辺の側壁2c2の上側に設けられている。
なお、前記供給口2dは、前記一辺の側壁2c1の上側に設けられ、前記排出口2eは、前記他辺の側壁2c2の下側に設けられていてもよい。
【0028】
前記筐体2の材質は、蓄熱材の蓄熱時及び放熱時に筐体2にかかる熱及び圧力に耐え得る材質であればよく、例えば、金属、セラミック、樹脂などが挙げられる。
前記金属としては、ニッケル、銅、アルミニウム等が挙げられる。また、前記金属としては、合金も挙げられる。合金としては、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
前記セラミックは、非金属無機材料である。
前記セラミックとしては、アルミナ、シリカ、ガラス等が挙げられる。前記ガラスとしては、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
前記セラミックは、結晶質のセラミックであってもよい。
前記樹脂としては、耐熱性の観点から、エンジニアリング・プラスチック(「エンプラ」とも呼ばれる。)が好ましい。なお、エンジニアリング・プラスチックは、スーパーエンジニアリング・プラスチック(「スーパーエンプラ」とも呼ばれる。)等も含む概念である。前記エンジニアリング・プラスチックとしては、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0029】
前記収容部4は、底壁4aと、天壁4bと、前記底壁4aの外周縁部から前記天壁4bの外周縁部まで延びる側壁4cとを有する。
前収容部4は、直方体状となっている。
前記底壁4aは、矩形板状となっている。前記天壁4bも、矩形板状となっている。前記天壁4bは、平面視において前記底壁4aと同形状となっている。
前記側壁4cは、筒状に形成されている。また、前記側壁4cは、平面視において矩形状となっている。すなわち、前記側壁4cは、角筒状に形成されている。
【0030】
前記底壁4a及び天壁4bは、気体が通過可能な部材で形成されている。
また、前記側壁4cは、気体が通過可能な部材で形成されていてもよい。
気体が通過可能な部材としては、例えば、多孔板などが挙げられる。
前記多孔板としては、例えば、メッシュ状の板などが挙げられる。
前記メッシュ状の板としては、網などが挙げられる。
【0031】
前記収容部4の材質は、蓄熱材の蓄熱時及び放熱時に収容部4にかかる熱及び圧力に耐え得る材質であればよく、例えば、金属、セラミック、樹脂などが挙げられる。
前記金属としては、ニッケル、銅、アルミニウム等が挙げられる。また、前記金属としては、合金も挙げられる。合金としては、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
前記セラミックは、非金属無機材料である。
前記セラミックとしては、アルミナ、シリカ、ガラス等が挙げられる。前記ガラスとしては、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
前記セラミックは、結晶質のセラミックであってもよい。
前記樹脂としては、耐熱性の観点から、エンジニアリング・プラスチックが好ましい。なお、エンジニアリング・プラスチックは、スーパーエンジニアリング・プラスチック等も含む概念である。前記エンジニアリング・プラスチックとしては、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0032】
前記第1の流路5では、気体が水平方向に流通する。
【0033】
本実施形態に係る反応器1では、前記収容部4どうしでスペーサー8を挟むことにより前記第1の流路5が設けられていることが好ましい。
また、本実施形態に係る反応器1では、前記筐体2の底壁2aの上面と、最下段の収容部4の底壁4aの下面とでスペーサー8を挟むことにより、前記第1の流路5が設けられていることが好ましい。
【0034】
前記スペーサー8の材質は、蓄熱材の蓄熱時及び放熱時にスペーサー8にかかる熱及び圧力に耐え得る材質であればよく、例えば、金属、セラミック、樹脂などが挙げられる。
前記金属としては、ニッケル、銅、アルミニウム等が挙げられる。また、前記金属としては、合金も挙げられる。合金としては、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。
前記セラミックは、非金属無機材料である。
前記セラミックとしては、アルミナ、シリカ、ガラス等が挙げられる。前記ガラスとしては、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
前記セラミックは、結晶質のセラミックであってもよい。
前記樹脂としては、耐熱性の観点から、エンジニアリング・プラスチックが好ましい。なお、エンジニアリング・プラスチックは、スーパーエンジニアリング・プラスチック等も含む概念である。前記エンジニアリング・プラスチックとしては、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0035】
前記スペーサー8は、棒、波板、セラミックファイバーボード、多孔質セラミックボード、グラスウールボード、及び、シリカファイバークロスからなる群より選ばれた1種以上のスペーサーであることが好ましい。
前記波板は、打ち抜き加工されたシート体で形成されていることが好ましい。打ち抜き加工されたシート体としては、パンチングメタルなどが挙げられる。
前記スペーサー8として棒を用いる場合には、前記第1の流路5を流通する気体の流れをスペーサー8で阻害するのを抑制すべく、前記第1の流路5の上流から下流に向けた方向と、前記棒の長手方向とが、略同じ方向となるように、前記棒が配されていることが好ましい。
【0036】
前記第2の流路6は、前記一辺の側壁2c1と、2つ以上の前記収容部4との間の隙間である。前記第2の流路6では、気体が鉛直方向に流通する。
【0037】
前記第3の流路7は、前記他辺の側壁2c2と、2つ以上の前記収容部4との間の隙間である。前記第3の流路7では、気体が鉛直方向に流通する。
【0038】
本実施形態に係る反応器1は、前記収容部4の一部又は全体を覆って該収容部4を補強する補強部材9を有してもよい。
前記補強部材9としては、例えば、打ち抜き加工されたシート体などが挙げられる。
打ち抜き加工されたシート体としては、パンチングメタルなどが挙げられる。
【0039】
放熱時では、前記供給口2dから水蒸気が供給されることにより、前記水蒸気が第1の流路5を流通する。
該第1の流路5を流通した水蒸気は、前記底壁4a及び/又は前記天壁4bを通じて(
図1の態様では、前記底壁4aを通じて)、前記収容部4内に供給される。
前記収容部4内に供給された水蒸気は、蓄熱状態(脱水状態)の蓄熱材と前記収容部4内で直接接触することにより、放熱状態の蓄熱材と、加熱された気体とが得られる。
加熱された気体は、前記底壁4a及び/又は前記天壁4bを通じて(
図1の態様では、前記天壁4bを通じて)、前記収容部4から第1の流路5に排出され、そして、前記排出口2eから前記筐体2外で回収される。
【0040】
本実施形態に係る反応器1は、後述する蓄熱装置に備えられて用いられる。
本実施形態に係る反応器1は、カートリッジである。すなわち、本実施形態に係る反応器1は、前記蓄熱装置から着脱自在となっている。
本実施形態に係る反応器1は、カートリッジであることにより、蓄熱した場所と異なる場所でも容易に熱エネルギーを得やすくなるという利点を有する。
【0041】
次に、本実施形態に係る蓄熱装置について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る蓄熱装置10は、本実施形態に係る反応器1と、前記加熱気体を加圧し、加圧した加熱気体を前記反応器1に供給する加熱気体供給部20とを備える。
また、本実施形態に係る蓄熱装置10は、前記反応器に水蒸気を供給する水蒸気供給部30と、前記蓄熱材と前記水蒸気との反応により得られた、加熱された気体を回収することで熱を回収する熱回収部40とを更に備える。
【0042】
蓄熱時には、前記加熱気体供給部20から加熱気体が前記反応器1に供給されることにより、加熱気体と、放熱状態の蓄熱材とが直接接触し、蓄熱状態(脱水状態)の蓄熱材と、水蒸気と、使用ずみの加熱気体とが得られる。
そして、水蒸気と、使用済みの加熱気体とは、前記水蒸気供給部30に移送される。
【0043】
放熱時には、前記水蒸気供給部30から水蒸気が前記反応器1に供給されることにより、水蒸気と、蓄熱状態(脱水状態)の蓄熱材とが直接接触し、放熱状態の蓄熱材と、加熱された気体とが得られる。
そして、加熱された気体が熱回収部40に移送される。
【0044】
〔開示項目〕
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0045】
〔項目1〕
筐体と、該筐体内に配された蓄熱体とを有する、反応器であって、
前記蓄熱体が蓄熱材を含み、
前記筐体内に配され、且つ、前記蓄熱体を収容する収容部を2つ以上有し、
2つ以上の前記収容部が、上下方向に並んで前記筐体内に配され、
隣り合う収容部どうしの間、最上段の収容部の上、及び、最下段の収容部の下それぞれには、気体が流通できる流路が設けられ、
前記収容部は、底壁と、天壁とを有し、
前記底壁及び天壁が、気体が通過可能な部材で形成された、反応器。
【0046】
〔項目2〕
前記流路は、第1の流路であり、
前記筐体は、該筐体内に気体を供給する供給口と、該筐体内の気体を該筐体外に排出する排出口とを有し、
前記供給口から供給された気体が流通できる第2の流路が設けられ、
前記第2の流路を流通した気体が前記第1の流路のそれぞれに供給されるように構成され、
前記第1の流路のそれぞれを流通した気体が流通できる第3の流路が設けられ、
前記第3の流路を流通した気体が前記排出口から前記筐体外に排出されるように構成された、項目1に記載の反応器。
【0047】
〔項目3〕
前記収容部どうしでスペーサーを挟むことにより前記流路が設けられた、項目1又は2に記載の反応器。
【0048】
〔項目4〕
前記スペーサーは、棒、波板、セラミックファイバーボード、多孔質セラミックボード、グラスウールボード、及び、シリカファイバークロスからなる群より選ばれた1種以上のスペーサーである、項目3に記載の反応器。
【0049】
〔項目5〕
カートリッジである、項目1~4の何れか1項に記載の反応器。
【0050】
〔項目6〕
前記蓄熱材は、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び、酸化カルシウムからなる群より選ばれた1種以上の化合物である、項目1~5の何れか1項に記載の反応器。
【0051】
〔項目7〕
項目1~6の何れか1項に記載の反応器と、
前記加熱気体を加圧し、加圧した加熱気体を前記反応器に供給する加熱気体供給部とを備える、蓄熱装置。
【0052】
〔項目8〕
前記蓄熱材は、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び、酸化カルシウムからなる群より選ばれた1種以上の化合物であり、
前記反応器に水蒸気を供給する水蒸気供給部と、
前記蓄熱材と前記水蒸気との反応により得られた、加熱された気体を回収することで熱を回収する熱回収部とを更に備える、項目7に記載の蓄熱装置。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明は、上記した作用効果によって限定されるものでもない。さらに、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:反応器、2:筐体、2a:底壁、2b:天壁、2c:側壁、2c1:一辺の側壁、2c2:他辺の側壁、2d:供給口、2e:排出口、3:蓄熱体、4:収容部、4a:底壁、4b:天壁、4c:側壁、5:第1の流路、6:第2の流路、7:第3の流路、8:スペーサー、9:補強部材、
10:蓄熱装置、20:加熱気体供給部、30:水蒸気供給部、40:熱回収部