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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122026
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】貨幣処理システム及び取引処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/20 20120101AFI20240902BHJP
【FI】
G06Q20/20 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029327
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】狩野 彩
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA39
5L055AA39
(57)【要約】
【課題】複数の口座を有する利用者にとっての貨幣処理システムの利便性を向上する。
【解決手段】口座取引を実行する貨幣処理システムを、口座取引を実行可能な処理装置と、利用者の識別情報、利用者が有する口座の情報、及び利用者が設定した口座の優先順位を管理する管理サーバと、口座取引を行う利用者の識別情報に基づいて管理サーバで特定された複数の口座の情報を各口座の優先順位に基づけた口座選択画面を表示して、口座取引の対象とする口座の選択を受け付ける操作端末とによって構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口座取引を実行する貨幣処理システムであって、
口座取引を実行可能な処理装置と、
利用者の識別情報、前記利用者が有する口座の情報、及び前記利用者が設定した口座の優先順位を管理する管理サーバと、
口座取引を行う利用者の識別情報に基づいて前記管理サーバで特定された複数の口座の情報を各口座の優先順位に基づけた口座選択画面を表示して、前記口座取引の対象とする口座の選択を受け付ける操作端末と
を備えることを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、前記利用者が口座取引の種類別に設定した各口座の優先順位を管理して、
前記操作端末は、前記利用者が行う口座取引の種類に応じた優先順位で前記複数の口座の情報を前記口座選択画面に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記口座取引には、預入取引、引出取引、振込取引の少なくともいずれか1つが含まれることを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、複数種類の口座取引のうち各口座を対象として行われる口座取引の種類を、各口座の情報と関連付けて管理し、
前記操作端末は、口座の選択と、前記口座に関連付けられた口座取引の種類の選択とを同時に行う取引ボタンを、前記口座選択画面に表示する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、利用者が各口座を区別するために用いる口座区別情報を、各口座の情報と関連付けて管理し、
前記操作端末は、前記口座区別情報を前記口座選択画面に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記管理サーバは、利用者が各口座の管理に利用する取引条件を、各口座の情報と関連付けて管理し、
前記操作端末は、前記取引条件に基づく情報を前記口座選択画面に表示する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記取引条件で引出取引を制限するための口座残高の下限金額が設定された場合、前記操作端末は、前記口座残高の下限金額に基づく情報を前記口座選択画面に表示して、
前記取引条件で引出取引を制限するための引出金額の上限金額が設定された場合、前記操作端末は、前記引出金額の上限金額に基づく情報を前記口座選択画面に表示する
ことを特徴とする請求項6に記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
前記管理サーバは、利用者が各口座の管理に利用する通知条件定を、各口座の情報と関連付けて管理し、
前記操作端末は、前記通知条件に基づく通知を前記口座選択画面に表示する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
前記管理サーバは、複数の口座を対象に口座取引を行う一括取引の対象に含める口座の選択と、選択した各口座における取引金額の割合とを、各口座の情報と関連付けて管理し、
前記操作端末は、各口座が前記一括取引の対象に含まれているか否かを示す情報と、前記一括取引の対象に含まれる各口座における前記割合を示す情報とを、前記口座選択画面に表示する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項10】
前記口座取引を行う利用者の識別情報は、前記利用者が操作する通信端末から取得することを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項11】
前記口座取引が振込取引である場合、前記操作端末は、前記口座選択画面における各口座の表示順序を、振込手数料に基づく順序に基づいて変更することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項12】
口座取引の選択を受け付けて前記口座取引を実行する取引処理方法であって、
利用者の識別情報、前記利用者が有する口座の情報、及び前記利用者が設定した口座の優先順位を管理する工程と、
口座取引を行う利用者の識別情報に基づいて前記管理サーバで特定された複数の口座の情報を各口座の優先順位に基づけた口座選択画面を表示する工程と、
前記口座取引の対象とする口座の選択を受け付ける工程と、
前記口座選択にかかわる貨幣処理を実行する工程と
を含むことを特徴とする取引処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、利用者が有する口座を管理する貨幣処理システム及び概貨幣処理システムが実行する取引処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の異なる金融機関の口座を対象に、預け入れ、引き出し、振り込み等の口座取引を行うことができるATM(現金自動預払機)が利用されている。このようなATMの利便性を向上させるために様々なシステムが構築されている。例えば、特許文献1には、利用者が振込取引を行う際に、利用者が有する複数の口座の中から手数料の安い口座を選択するシステムが開示されている。利用者は、複数口座それぞれの情報を予めシステムに登録する。振込取引を実行する利用者が、スマートフォンの通帳アプリケーションで振込先の口座番号及び振込金額を入力すると、複数口座の中から振込手数料が最も安くなる口座を利用して振込取引が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-148970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のように、自動的に振込手数料の安い口座を選択して振込取引が実行されれば振込取引に係る利便性は向上するが、他の口座取引の利便性は従来のままである。預入取引等の開始時に利用者が有する複数口座を一覧表示して、利用者に口座を手動選択させるシステムも存在するが、多数の口座の中から所望の口座を探すのに手間がかかる場合がある。例えば、アルファベット順或いは五十音順に一覧表示された口座の数が多いために全ての口座が一画面に収まりきらず、所望の口座を選択するために画面上でページをめくったり画面を下方へスクロールしたりする操作が必要となる場合がある。口座選択画面に表示される口座の数が多くなると、異なる口座を選択してしまう操作ミスにもつながりやすい。
【0005】
本開示は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、複数の口座を有する利用者にとって利便性の高い貨幣処理システム及び取引処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る貨幣処理システムは、口座取引を実行する貨幣処理システムであって、口座取引を実行可能な処理装置と、利用者の識別情報、前記利用者が有する口座の情報、及び前記利用者が設定した口座の優先順位を管理する管理サーバと、口座取引を行う利用者の識別情報に基づいて前記管理サーバで特定された複数の口座の情報を各口座の優先順位に基づけた口座選択画面を表示して、前記口座取引の対象とする口座の選択を受け付ける操作端末とを備える。
【0007】
上記構成において、前記管理サーバは、前記利用者が口座取引の種類別に設定した各口座の優先順位を管理して、前記操作端末は、前記利用者が行う口座取引の種類に応じた優先順位で前記複数の口座の情報を前記口座選択画面に表示してもよい。
【0008】
上記構成において、前記口座取引には、預入取引、引出取引、振込取引の少なくともいずれか1つが含まれていてもよい。
【0009】
上記構成において、前記管理サーバは、複数種類の口座取引のうち各口座を対象として行われる口座取引の種類を、各口座の情報と関連付けて管理し、前記操作端末は、口座の選択と、前記口座に関連付けられた口座取引の種類の選択とを同時に行う取引ボタンを、前記口座選択画面に表示してもよい。
【0010】
上記構成において、前記管理サーバは、利用者が各口座を区別するために用いる口座区別情報を、各口座の情報と関連付けて管理し、前記操作端末は、前記口座区別情報を前記口座選択画面に表示してもよい。
【0011】
上記構成において、前記管理サーバは、利用者が各口座の管理に利用する取引条件を、各口座の情報と関連付けて管理し、前記操作端末は、前記取引条件に基づく情報を前記口座選択画面に表示してもよい。
【0012】
上記構成において、前記取引条件で引出取引を制限するための口座残高の下限金額が設定された場合、前記操作端末は、前記口座残高の下限金額に基づく情報を前記口座選択画面に表示して、前記取引条件で引出取引を制限するための引出金額の上限金額が設定された場合、前記操作端末は、前記引出金額の上限金額に基づく情報を前記口座選択画面に表示してもよい。
【0013】
上記構成において、前記管理サーバは、利用者が各口座の管理に利用する通知条件を、各口座の情報と関連付けて管理し、前記操作端末は、前記通知条件に基づく通知を前記口座選択画面に表示してもよい。
【0014】
上記構成において、前記管理サーバは、複数の口座を対象に口座取引を行う一括取引の対象に含める口座の選択と、選択した各口座における取引金額の割合とを、各口座の情報と関連付けて管理し、前記操作端末は、各口座が前記一括取引の対象に含まれているか否かを示す情報と、前記一括取引の対象に含まれる各口座における前記割合を示す情報とを、前記口座選択画面に表示してもよい。
【0015】
上記構成において、前記口座取引を行う利用者の識別情報は、前記利用者が操作する通信端末から取得してもよい。
【0016】
上記構成において、前記口座取引が振込取引である場合、前記操作端末は、前記口座選択画面における各口座の表示順序を、振込手数料に基づく順序に基づいて変更してもよい。
【0017】
本開示に係る取引処理方法は、口座取引の選択を受け付けて前記口座取引を実行する取引処理方法であって、利用者の識別情報、前記利用者が有する口座の情報、及び前記利用者が設定した口座の優先順位を管理する工程と、口座取引を行う利用者の識別情報に基づいて前記管理サーバで特定された複数の口座の情報を各口座の優先順位に基づけた口座選択画面を表示する工程と、前記口座取引の対象とする口座の選択を受け付ける工程と、前記口座選択にかかわる貨幣処理を実行する工程と
を含む。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る貨幣処理システム及び取引処理方法によれば、利用者は、複数の金融機関の口座の中から、口座取引の対象とする口座を容易に選択できるようになり、口座処理システムの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本実施形態に係る貨幣処理システムの概要を説明するための模式図である。
図2図2は、管理サーバが管理する情報の例を示す図である。
図3図3は、管理サーバが管理する取引種別を説明する図である。
図4図4は、口座取引の種類指定後に口座選択画面が表示される処理の流れの例を示すフローチャートである。
図5図5は、管理サーバが管理する口座取引別の優先順位を説明する図である。
図6図6は、管理サーバが管理する口座区別情報を説明する図である。
図7図7は、管理サーバが管理する一括取引情報を説明する図である。
図8図8は、引き出しの一括取引を行う場合の画面例を示す図である。
図9図9は、管理サーバが管理する取引条件を説明する図である。
図10図10は、管理サーバが管理する通知条件を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る貨幣処理システム及び概貨幣処理システムが実行する取引処理方法の実施の形態について説明する。本開示に係る貨幣処理システムでは、複数の口座を有する利用者が、貨幣処理装置を利用して預け入れ、引き出し、振り込み等の口座取引を行う際に、所望の口座を容易に選択できる。例えば、貨幣処理装置の表示部に、利用者が予め設定した優先順位で複数の口座が一覧表示される。また、例えば、利用者の過去の取引履歴に基づく順序で口座が一覧表示される。取引の種類、取引金額、取引履歴等に関する所定条件に応じて口座の表示順序を変更し、口座の特定に役立つ情報を画面に表示することも可能となっている。
【0021】
図1は、本実施形態に係る貨幣処理システム1の概要を説明するための模式図である。貨幣処理システム1は、管理サーバ10及び貨幣処理装置20を含む。図1には1台の貨幣処理装置20の例を示しているが、貨幣処理システム1で利用される貨幣処理装置20の種類及び数は特に限定されない。
【0022】
貨幣処理装置20が処理する貨幣は、紙幣であってもよいし、硬貨であってもよいし、紙幣と硬貨の両方であってもよい。貨幣処理システム1で取扱可能な口座の種類及び口座を発行する金融機関の種類は特に限定されない。貨幣処理装置20が設置される場所も特に限定されない。以下、商品を販売する店舗に設置された貨幣処理装置20が、銀行の普通預金口座を対象とする口座取引時に、紙幣を入出金する場合を例に説明を続ける。
【0023】
管理サーバ10は、銀行サーバ40と通信可能に接続されている。管理サーバ10及び銀行サーバ40は、コンピュータ装置であってもよいし、クラウド上に構築された仮想サーバであってもよい。銀行サーバ40と管理サーバ10との間で、預け入れ、引き出し、振り込み等の口座取引に必要な取引情報が送受信される。銀行サーバ40は、取引情報に基づいて口座処理を実行する。図1には1台の銀行サーバ40を示しているが、管理サーバ10は、複数の異なる銀行の銀行サーバ40との間で取引情報を送受信することができる。これにより、貨幣処理システム1では、複数の異なる銀行の口座を対象に口座取引を実行できるようになっている。
【0024】
貨幣処理装置20は管理サーバ10と通信可能に接続されている。貨幣処理装置20は、操作端末21を介して操作される。例えば、タッチパネル式の液晶表示装置を備えるタブレット端末が、操作端末21として利用される。操作端末21の種類は特に限定されない。例えば、操作部と表示部とを別々に備える操作端末21が利用される態様であってもよい。貨幣処理装置20が操作端末21を含む態様であってもよい。
【0025】
貨幣処理システム1の利用者が預け入れの口座取引を行う際、貨幣処理装置20は、利用者から貨幣を受け付けて識別計数し、装置内の収納部に収納する入金処理を実行する。利用者が引き出しの口座取引を行う際には、貨幣処理装置20は、引出金額分の貨幣を装置内の収納部から繰り出して装置外へ排出する出金処理を実行する。入金処理、出金処理等の貨幣処理を実行する貨幣処理装置20の機能及び構成は従来知られているため詳細な説明は省略する。
【0026】
利用者は、貨幣処理システム1で口座取引を行う際に必要となる認証情報と、利用者が有する複数の銀行口座それぞれに関する情報とを、予め管理サーバ10に登録する。認証情報は、パスワード認証を行うための認証ID(識別情報)及びパスワードであってもよいし、生体認証を行うための顔、指紋等の生体情報であってもよい。管理サーバ10は、各利用者の認証情報と口座情報とを関連付けて管理する。
【0027】
利用者は、スマートフォン、タブレット端末等の通信端末30を操作して口座取引を開始する。利用者が通信端末30を操作して認証情報を入力すると、管理サーバ10は、図1に示すように、入力された認証情報に基づいて利用者の認証処理を実行する(S1)。認証処理によって利用者を特定した管理サーバ10は、利用者の認証情報と関連付けられた複数の口座の情報を特定する(S2)。
【0028】
管理サーバ10は、利用者が口座取引を行う貨幣処理装置20を特定する(S3)。管理サーバ10は、貨幣処理システム1を構成する各貨幣処理装置20の装置ID(識別情報)を、各貨幣処理装置20の設置場所と関連付けて管理している。設置場所には、貨幣処理装置20が設置されている店舗を特定可能な店舗ID(識別情報)が含まれている。管理サーバ10は、装置IDを取得することによって、貨幣処理システム1に含まれる複数の貨幣処理装置20の中から、利用者が口座取引を行う貨幣処理装置20を特定する。例えば、図1に示すように、貨幣処理装置20の操作端末21の画面上に、装置IDを含む情報を符号化した図形コードが表示される。利用者は、通信端末30が備えるカメラで図形コードを読み取って管理サーバ10へ送信する。管理サーバ10は、図形コードを復号化して得られた装置IDに基づいて、利用者が利用する貨幣処理装置20を特定する。図形コードが、貨幣処理装置20の装置IDに加えて、貨幣処理装置20が設置されている店舗の店舗IDを含み、図形コードから貨幣処理装置20及び店舗が特定される態様であってもよい。
【0029】
利用者の口座情報及び利用者が口座取引に使用する貨幣処理装置20を特定した管理サーバ10は、貨幣処理装置20と接続された操作端末21の画面上に、複数の口座の中から、口座取引の対象とする口座を選択するための口座選択画面を表示する(S4)。
【0030】
図1に示すように、口座選択画面上に 複数の口座それぞれに関する情報が一覧表示される。利用者は、口座選択画面で口座を選択すると共に、選択した口座を対象に行う取引の種類を選択することができる(S5)。利用者が口座と該口座を対象に行う口座取引の種類とを選択した後、必要に応じて、操作端末21の画面上に取引内容を指定する取引画面が表示される。例えば、引出取引が行われる際には引出金額を指定する取引画面が表示され、振込取引が行われる際には振込先の口座及び振込金額を指定する取引画面が表示される。
【0031】
口座取引の種類及び取引内容と、口座取引の対象となる口座とが決定すると、貨幣処理装置20は、口座取引に係る貨幣処理を実行する(S6)。管理サーバ10と銀行サーバ40との間で、口座番号及び取引内容を含む取引情報が送受信されて、銀行サーバ40で口座処理が実行される(S7)。
【0032】
例えば、利用者が、A銀行の口座及び預入取引を選択した場合、貨幣処理装置20は、利用者から貨幣の入金を受け付けて入金処理を実行する。貨幣処理装置20は、入金された貨幣を識別計数して、得られた入金金額を管理サーバ10へ出力する。管理サーバ10は、A銀行の口座処理を実行する銀行サーバ40へ、利用者のA銀行の口座番号と入金金額とを含む取引情報を送信する。銀行サーバ40が、預入取引の口座処理を実行することにより、利用者のA銀行の口座残高が入金金額の分だけ増加する。
【0033】
例えば、利用者が、B銀行の口座及び引出取引を選択して、引出金額を指定した場合、管理サーバ10は、B銀行の口座処理を実行する銀行サーバ40に、B銀行の口座から引出金額を引き出せるか否か、すなわち引出取引が実行可能か否かを問い合わせる。引出取引を実行可能であることが分かると、貨幣処理装置20は、引出金額分の貨幣を装置外へ排出する出金処理を実行する。貨幣処理装置20は、出金処理の完了を管理サーバ10へ通知する。管理サーバ10は、B銀行の口座処理を実行する銀行サーバ40へ、利用者のB銀行の口座番号と引出金額とを含む取引情報を送信する。銀行サーバ40が、引出取引の口座処理を実行して、利用者のB銀行の口座残高が出金金額の分だけ減少する。なお、例えば口座残高が少ないといった理由で、引出取引を実行できない場合は、引出取引のキャンセルする処理又は引出金額を変更する処理が行われることになる。
【0034】
例えば、利用者が、C銀行の口座及び振込取引を選択して、振込先口座及び振込金額を指定した場合、貨幣処理装置20は貨幣処理を実行しない。管理サーバ10は、C銀行の口座処理を実行する銀行サーバ40へ、利用者のC銀行の口座番号と、振込先口座の口座番号と振込金額とを含む取引情報を送信する。銀行サーバ40が、振込取引の口座処理を実行すると、利用者の口座から振込先口座へ振込金額分の資金が移動して、利用者の口座残高が振込金額の分だけ減少する。
【0035】
上述した預入取引、引出取引及び振込取引における各処理の内容及び順序は例示であって、各口座取引を実現できれば各処理の内容及び順序は特に限定されない。例えば、銀行サーバ40で先に口座処理を実行してから、貨幣処理装置20が貨幣処理を実行する態様であってもよい。各取引時に、利用者が銀行、店舗等へ支払う手数料に関する処理が実行される態様であってもよい。
【0036】
本実施形態に係る貨幣処理システム1は、利用者が口座取引を実行する際に、貨幣処理装置20の操作端末21に表示される口座選択画面の表示態様に1つの特徴を有している。以下、口座選択画面の表示態様について説明する。
【0037】
[口座選択画面]
利用者が認証されて、利用者が有する複数の口座が特定された後、操作端末21は、口座選択画面を表示する。口座選択画面には、複数の口座に関する情報が一覧表示される。例えば、図1に示すように、複数の口座枠101それぞれに、各口座に関する情報が表示される。例えば、各口座枠101内に、口座情報102と、口座取引の種類を選択するための取引ボタン103と、口座の区別に利用するマーク104とが表示される。口座情報102には、口座を発行した銀行名及び支店名と、口座番号とが含まれる。
【0038】
取引ボタン103は、口座と該口座を対象に行う口座取引の種類とを1回の操作で選択するためのボタンである。取引ボタン103には、預入ボタン、引出ボタン、振込ボタンが含まれる。
【0039】
取引ボタン103を押すと、各口座を対象とする口座取引で、取引内容を指定するための取引画面が表示される。例えば、利用者が、C銀行の口座枠101内の預入ボタンを押すと、管理サーバ10は、利用者がC銀行の口座を選択すると共に預入取引を選択したと認識する。管理サーバ10は、操作端末21の画面上に、C銀行の口座を対象とする預入取引の取引画面を表示する。同様に、C銀行の口座枠101で利用者が引出ボタンを押すと、操作端末21の画面が口座選択画面からC銀行の引出取引の取引画面に遷移して、振込ボタンを押すとC銀行の振込取引の取引画面に遷移する。他の銀行口座の口座枠101でも同様に、利用者が取引ボタン103を押すと、口座と該口座を対象として行う口座取引の種類との両方が決定されて、決定結果に基づく取引画面が表示される。
【0040】
なお、利用者が、口座枠101内で、取引ボタン103以外の領域を押す操作を行うと、操作端末21の画面上に、取引メニュー画面が表示される。口座枠101内で取引ボタン103以外の領域が押された場合、管理サーバ10は、利用者は口座を選択したと認識する一方で、利用者は口座取引の種類を選択していないと認識して、操作端末21に取引メニュー画面を表示させる。取引メニュー画面には、預け入れ、引き出し、振り込み、通帳記入、残高照会等、各口座を対象に利用者が実行可能な処理の選択肢が表示される。口座選択画面に表示された取引ボタン103の中に所望の取り引きがない場合、利用者は、取引メニュー画面を表示させてから取り引きを選択することができる。
【0041】
口座選択画面に表示されるマーク104については、初期設定では、口座を発行した銀行のシンボルマークが自動的に表示されるようになっている。マーク104が、シンボルマークにロゴタイプを加えたロゴマークであってもよい。銀行名、支店名、口座番号に加えてマーク104が表示されることで、利用者は、各口座を区別しやすくなる。利用者が、設定を変更して、マーク104として表示する内容を変更したり、マーク104と共に文字を表示させたりすることも可能となっているが、これについては後述する。
【0042】
管理サーバ10は、操作端末21の口座選択画面に一覧表示される口座の表示順序を、予め設定された所定条件に応じて変更する。例えば、利用者が予め各口座の優先順位を設定した場合、設定した優先順位で各口座が表示される。例えば、利用者が過去に行った取引履歴に応じた順序で各口座が表示される。
【0043】
図2は、管理サーバ10が管理する情報の例を示す図である。管理サーバ10は、これらの情報に基づいて、操作端末21の口座選択画面における複数口座の表示順序を決定できる。
【0044】
図2(a)は、管理サーバ10が管理する利用者情報の例を示している。利用者情報には、利用者ID、利用者、認証情報、銀行、口座番号及び優先順位の項目が含まれる。例えば、利用者は、管理サーバ10と通信接続した通信端末30を操作して、利用者情報への情報の登録、追加、削除、修正等を行うことができる。以下の説明における利用者による各種設定も、同様に、通信端末30を利用して行われる。
【0045】
図2(a)に示す利用者IDの項目には、貨幣処理システム1の利用者の中から各利用者を一意に特定するために、管理サーバ10が利用者に付与した識別情報が登録される。利用者の項目には、口座の名義人を特定するための情報が登録される。例えば、利用者の氏名、住所、電話番号等の情報が登録される。認証情報の項目には、利用者の認証に用いる認証情報が登録される。例えば、認証ID、パスワード、生体情報等の情報が登録される。
【0046】
銀行及び口座番号の項目に、利用者が有する複数の銀行口座それぞれの情報が登録される。例えば、銀行の項目に銀行名及び支店名が登録されて、口座番号の項目に口座番号及び口座名義が登録される。優先順位の項目には、利用者が設定した各口座の優先順位が登録される。
【0047】
管理サーバ10は、図2(a)に示すように、貨幣処理システム1の利用者それぞれの情報を管理している。認証処理を実行して利用者を認証した管理サーバ10は、利用者情報を参照して、利用者が有する複数口座それぞれの口座情報及び優先順位を特定できる。
【0048】
例えば、図2(a)に示す利用者ID「001」の利用者を認証した管理サーバ10は、この利用者が有するA銀行の口座、B銀行の口座、C銀行の口座の情報を特定する。管理サーバ10は、C銀行の口座、A銀行の口座、B銀行の口座の順で優先順位が設定されていることを認識する。管理サーバ10は、口座情報及び優先順位に基づいて、図1に示すように、操作端末21の口座選択画面にC銀行の口座、A銀行の口座、B銀行の口座の順で口座を一覧表示する。
【0049】
図2(a)では3つの口座の例を示しているが、口座の数は特に限定されず、1人の利用者が有する口座の数が2つ以下であってもよいし4つ以上であってもよい。利用者が有する全ての口座が、利用者が設定した優先順位に基づいて表示される。図1に示す例では、操作端末21の画面に3つの口座が一覧表示された例を示しているが、一画面に表示される口座の数も特に限定されない。
【0050】
利用者は、複数の口座全てに対して優先順位を設定することができるが、一部の口座にのみ優先順位を設定することもできる。例えば、利用者が、10個の口座のうち3つの口座について1~3の優先順位を設定した場合、口座選択画面の一番上から順に優先順位1~3の3つの口座が表示される。優先順位が設定されていない残り7つの口座は、優先順位が設定された3つの口座の後に続けて表示される。残り7つの口座は、例えば銀行名の頭文字に基づいてアルファベット順或いは五十音順で表示される。
【0051】
図2(b)は、管理サーバ10が管理する各利用者の取引履歴情報の例を示している。管理サーバ10は、各利用者が行った口座取引の内容を取引履歴情報に登録して管理している。例えば、管理サーバ10は、貨幣処理装置20から情報を取得して、取引履歴情報に登録する。
【0052】
取引履歴情報には、利用者ID、銀行、口座番号、取引日時、取引場所、取引の種類及び取引内容の項目が含まれる。利用者ID、銀行及び口座番号は、図2(a)に示す利用者情報と対応している。取引日時の項目には、利用者が口座取引を行った日時が登録される。取引場所の項目には、利用者が口座取引を行った貨幣処理装置20の装置IDが登録される。取引場所の項目に、貨幣処理装置20の設置店舗を示す店舗ID(識別情報)が含まれていてもよい。取引の種類の項目には、預入取引、引出取引、振込取引等の複数種類の口座取引のうち、利用者が行った口座取引の種類が登録される。取引内容の項目には、例えば、口座取引で処理された貨幣の金種、金種別枚数及び合計金額(取引金額)を含む情報が登録される。
【0053】
貨幣処理システム1では、操作端末21の口座選択画面に表示する口座の表示順序を、取引履歴情報に基づいて変更する設定とすることも可能となっている。例えば、図2(a)に示すように、利用者が口座の優先順位を設定した場合には、設定に従って口座を一覧表示して、利用者が優先順位を設定していない口座については、取引履歴に基づく順序で表示してもよい。
【0054】
例えば、貨幣処理システム1で口座取引を開始した利用者が、利用者情報に口座の優先順位を登録していない場合、管理サーバ10は、取引履歴情報に登録されている、この利用者の取引履歴を参照する。
【0055】
例えば、管理サーバ10は、取引日時に基づいて、利用者が一番最近口座取引を行った口座から順に、取引日時に登録されている日時の順で複数口座を一覧表示する。これにより、口座選択画面で、利用者が最近利用した口座を優先的に表示させることができる。
【0056】
例えば、管理サーバ10は、取引履歴情報から各口座の合計利用回数を算出して、利用回数が最も多いものから順に口座を一覧表示する。合計利用回数は、取引履歴情報に登録されている全ての取引を対象として算出される態様に限定されず、過去1週間或いは1ヶ月というように所定期間内に行われた取引を対象に算出される態様であってもよい。これにより、口座選択画面で、利用者が利用することが多い口座を優先的に表示させることができる。
【0057】
合計利用回数が、利用者が口座取引を開始した装置ID「M011」の貨幣処理装置20で過去に行われた口座取引、或いは貨幣処理装置20の設置店舗にあるいずれかの貨幣処理装置20で行われた口座取引というように、取引場所を限定して算出される態様であってもよい。これにより、口座選択画面で、利用者が、同じ貨幣処理装置20又は同じ店舗で利用することが多い口座を優先的に表示できる。
【0058】
管理サーバ10が、取引履歴をどのように利用して表示順序を決定するかは、貨幣処理システム1の管理者が設定により変更できるようにすればよい。例えば、管理サーバ10を管理する管理者が所定の通信端末を管理サーバ10に接続して設定を変更すればよい。管理サーバ10は、管理者が設定した内容に基づいて口座の表示順序を決定し、決定した順序で操作端末21の画面に口座選択画面を表示させる。表示形態は、優先順位に基づく順番での表示に限られず、利用者が好ましい形態で表示することができる。例えば、優先順位に応じて、表示サイズの変更などが挙げられる。
【0059】
貨幣処理システム1では、利用者が、各口座を対象として行う口座取引の種類を設定することも可能となっている。管理サーバ10は、利用者が設定した取引の種類を取引種別として管理する。図3は、管理サーバ10が管理する取引種別を説明するための図である。
【0060】
図3(a)は、管理サーバ10が管理する取引種別の例を示す図である。図3(a)に示す利用者ID、銀行及び口座番号は、図2(a)に示す利用者情報と対応している。図3(a)に示す取引の種類の項目には、預け入れ、引き出し等の口座取引の種類が含まれる。管理サーバ10で認証された利用者は、管理サーバ10と接続した通信端末30を操作して、口座毎に取引の種類を選択登録できる。
【0061】
図3(a)に示す例では、利用者ID「001」の利用者は、A銀行の口座、B銀行の口座、C銀行の口座を預入取引の対象に設定する一方で、これら3つの口座のうち、引出取引についてはB銀行の口座を除外して、振込取引についてはC銀行の口座を除外している。このように、利用者は各口座の利用目的を設定することができる。
【0062】
利用者が図3(a)に示すように取引種別を設定した場合、管理サーバ10は、設定に基づいて口座選択画面の表示を変更する。図3(b)は、図3(a)に示す設定に基づいて表示された口座選択画面の例を示している。図1に示した口座選択画面では、各口座に対応して預入ボタン、引出ボタン、振込ボタンの3つの取引ボタン103が表示されている。これに対して、図3(a)の設定に基づいて行われた図3(b)に示す口座選択画面では、C銀行の口座については振込ボタンが表示されておらず、B銀行の口座については引出ボタンが表示されていない。このように、管理サーバ10は、利用者が、各口座を対象として行う口座取引の種類を設定した場合、該設定に基づいて口座選択画面を表示する。なお、図3(b)に示す画面でも、利用者は、各口座の口座枠101内で取引ボタン103以外の領域を押して操作端末21に取引メニュー画面を表示させて、取引ボタン103として表示されなかった取り引きや処理を選択できるようになっている。
【0063】
[取引選択後の口座選択画面]
図1図3で説明した例では、利用者を認証した管理サーバ10が、操作端末21の画面上に口座選択画面を表示した後、利用者による口座の選択と該口座を対象として行う口座取引の種類の選択とを受け付ける例を示した。貨幣処理システム1では、利用者に先に口座取引の種類を選択させた後、口座選択画面を表示する設定とすることも可能となっている。
【0064】
図4は、口座取引の種類指定後に口座選択画面が表示される処理の流れの例を示すフローチャートである。管理サーバ10は、利用者による通信端末30上の操作を受けて認証処理を実行して、利用者を特定する(ステップS11)。管理サーバ10は、認証結果に基づいて利用者の複数口座を特定すると共に(ステップS12)、利用者が口座取引を行う貨幣処理装置20を特定する(ステップS13)。ここまでは図1図3の例と同様に処理が進められる。
【0065】
続いて、管理サーバ10は、利用者が行う口座取引の種類の選択を受け付ける(ステップS14)。口座取引の種類の選択は、例えば、管理サーバ10が、利用者が認証処理に利用した通信端末30の画面上に口座取引の種類を表示して、利用者に選択させることによって行えばよい。例えば、管理サーバ10が、貨幣処理装置20の操作端末21上に、口座取引の種類を表示して、利用者に選択させてもよい。
【0066】
利用者が口座取引の種類を選択した後、選択内容に基づいて、管理サーバ10が貨幣処理装置20と接続された操作端末21の画面上に口座選択画面を表示する(ステップS15)。その後、口座選択画面を確認した利用者が、口座を選択して該口座を対象として行う取引内容を指定すると(ステップS16)、貨幣処理装置20が必要に応じて貨幣処理を実行し(ステップS17)、管理サーバ10と取引情報を送受信する銀行サーバ40が口座処理を実行する(ステップS18)。これらの処理も図1図3の例と同様に進められる。
【0067】
図4に示すように口座取引の種類が選択された後に口座選択画面を表示する場合、管理サーバ10は、図3(a)の取引種別の設定に基づいて、利用者が選択した口座取引の対象に含まれる口座を一覧表示する。図3(a)に示す例では、預入取引が選択された場合、A銀行の口座、B銀行の口座及びC銀行の口座が口座選択画面に表示される。引出取引が選択された場合は、A銀行の口座及びC銀行の口座が口座選択画面に表示される一方で、B銀行の口座は表示されない。振込取引が選択された場合は、A銀行の口座及びB銀行の口座が口座選択画面に表示される一方で、C銀行の口座は表示されない。
【0068】
図2では口座別に優先順位が設定される例を示したが、貨幣処理システム1では、口座別かつ口座取引の種類別に優先順位を設定することも可能となっている。言い換えれば、利用者は、口座取引の種類別に、各口座の優先順位を設定することができる。
【0069】
管理サーバ10は、利用者が各口座について、口座取引の種類別に設定した優先順位を管理する。図5は、管理サーバ10が管理する口座取引別の優先順位を説明するための図である。
【0070】
図5(a)は、管理サーバ10が管理する口座取引別の優先順位の設定例を示す図である。図5(a)に示す利用者ID、銀行及び口座番号は、図2(a)に示す利用者情報と対応している。図5(a)に示す優先順位の項目には、預け入れ、引き出し等の口座取引の種類が含まれる。管理サーバ10で認証された利用者は、管理サーバ10と接続した通信端末30を操作して、口座毎にかつ口座取引の種類毎に優先順位を設定することができる。
【0071】
図5(a)に示す例では、利用者ID「001」の利用者は、A銀行の口座、B銀行の口座、C銀行の口座を預入取引の対象に設定すると共に、口座の優先順位をB銀行の口座、A銀行の口座、C銀行の口座の順に設定している。引出取引については、A銀行の口座及びC銀行の口座を取引対象に設定すると共に、C銀行の口座の優先順位をA銀行の口座よりも高く設定している。
【0072】
図5(a)の預入取引の優先順位の項目にある「-」の記号は、口座を取引対象に含めるが優先順位を設定しないことを示している。このように優先順位を設定しなかった口座は、優先順位が設定された各口座が表示された後に続けて、アルファベット順、五十音順或いは取引履歴に基づく順序で表示される。引出取引の優先順位の項目にある「除外」は、口座を取引対象から除外することを示している。除外された口座は口座選択画面には表示されない。
【0073】
利用者が図5(a)に示すように優先順位を設定した場合、管理サーバ10は、設定に基づいて口座選択画面を表示する。図5(b)は、預入取引が選択された場合に、図5(a)に示す設定に基づいて表示される口座選択画面の例を示している。
【0074】
利用者が預入取引を選択済みであるため、口座選択画面の上部に、実行する取引の種類を示す情報105が表示される。各口座の情報を表示する口座枠101内には、取引ボタン103として預入ボタンが表示される。口座選択画面には、図5(a)に示す預入取引の優先順位に基づいて、B銀行の口座、A銀行の口座、C銀行の口座の順で各口座の情報が表示されている。
【0075】
図5(a)に示すD銀行の口座のように、預入取引の対象に含まれているが、優先順位が設定されていない口座は、優先順位が設定された口座の後に続けて表示される。図5(b)に示す例では1画面に表示される口座の数が3つであるため、D銀行の口座は2ページ目に表示されることになる。このように1つの口座選択画面に全ての口座を表示できない場合は、複数の口座選択画面を利用して口座が表示される。例えば、図5(b)に示すように、口座選択画面の下部に、ページ切替用のツール106が表示される。ツール106には、例えば、口座選択画面のページ番号を変更するためのボックスと、総ページ数を示す数字と、ページの送りボタン及び戻りボタンとが含まれる。利用者は、ツール106に含まれるボックスに数値を入力して、表示するページを変更することができる。利用者は、ツール106に含まれる送りボタン及び戻りボタンを操作して1ページずつページを変更することもできる。
【0076】
図5(c)は、引出取引が選択された場合に、図5(a)に示す設定に基づいて表示される口座選択画面の例を示している。口座選択画面の上部には、利用者が引出取引を選択済みであることを示す情報105が表示される。各口座の情報を表示する口座枠101内には、取引ボタン103として引出ボタンのみが表示される。図5(a)に示す引出取引の優先順位に基づいて、C銀行の口座、A銀行の口座の順で各口座の情報が表示されている。図5(a)に示す例ではB銀行の口座及びD銀行の口座は引出取引の対象から除外されているため、口座選択画面には、C銀行の口座とA銀行の口座のみが表示されている。引出取引が選択された場合、図5(c)に示すように、口座選択画面に表示される口座情報102に、引出取引実行前の口座残高を含める設定とすることもできる。口座残高については、管理サーバ10が内部で各口座の口座残高を管理する態様であってもよいし、管理サーバ10が銀行サーバ40に問い合わせて口座残高を取得する態様であってもよい。
【0077】
[口座の区別]
貨幣処理システム1では、利用者が各口座を区別するために設定した口座区別情報を口座選択画面に表示する設定とすることができる。管理サーバ10は、利用者が各口座について設定した図形、記号、文字等の口座区別情報を管理する。図6は、管理サーバ10が管理する口座区別情報を説明するための図である。図6(a)は、管理サーバ10が管理する口座区別情報の設定例を示す図である。管理サーバ10で認証された利用者は、管理サーバ10と接続した通信端末30を操作して、口座毎に口座区別情報を設定することができる。
【0078】
図6(a)に示す利用者ID、銀行及び口座番号は、図2(a)に示す利用者情報と対応している。図6(a)に示す口座名称の項目には、利用者が設定した口座の呼び名が登録される。口座アイコンの項目には、利用者が設定した図形又は記号が登録される。図6(b)に示す例では、利用者ID「001」の利用者は、A銀行の口座名称は設定せず、B銀行の口座名称を「カードX」、C銀行の口座名称を「給与」に設定し、A銀行の口座及びB銀行の口座それぞれの口座アイコンを設定している。
【0079】
口座名称はテキスト、数字等の文字列を入力して設定することができる。口座アイコンは、予め管理サーバ10に用意されている図形及び記号から選択される態様であってもよいし、利用者が図形又は記号を通信端末30から管理サーバ10へ送信して登録する態様であってもよい。なお、A銀行の口座名称の項目にある「-」の記号は、口座名称が登録されていないことを示し、銀行の口座アイコンの項目にある「-」の記号は、口座アイコンが登録されていないことを示している。利用者は、必要に応じて、口座名称を設定することや、口座アイコンを設定することができる。
【0080】
利用者が図6(a)に示す口座区別情報を設定した場合、管理サーバ10は、設定に基づいて口座選択画面を表示する。図6(b)は、預入取引が選択された場合に表示される口座選択画面の例を示している。例えば、利用者が、図5(a)に示す設定に加えて、図6(a)に示す設定を行うと、図5(b)に示す口座選択画面に代えて、図6(b)に示す口座選択画面が表示される。
【0081】
図6(b)に示すB銀行の口座の口座枠101にあるように、利用者は、クレジットカードの引き落とし口座であることを示す口座アイコン107を表示させることや、複数枚のクレジットカードを区別するための口座名称108を表示させることができる。A銀行の口座のように、利用者は、所望の口座アイコン107を表示させる一方で口座名称108を表示させない設定とすることもできるし、C銀行の口座のように、銀行のシンボルマークであるマーク104は変更せずに口座名称108を表示させることもできる。
【0082】
[一括取引]
貨幣処理システム1では、複数口座を対象に口座取引を行う一括取引を実行する設定とすることができる。管理サーバ10は、利用者が、一括取引を行うために設定した一括取引情報を管理する。図7は、管理サーバ10が管理する一括取引情報を説明するための図である。
【0083】
図7(a)は、管理サーバ10が管理する一括取引情報の設定例を示す図である。図7(a)に示す利用者ID、銀行及び口座番号は、図2(a)に示す利用者情報と対応している。図7(a)に示す割合の項目には、預け入れ、引き出し等の口座取引の種類が含まれる。管理サーバ10で認証された利用者は、管理サーバ10と接続した通信端末30を操作して、口座別にかつ口座取引の種類別に一括取引に関する設定を行うことができる。
【0084】
例えば、利用者は、預入取引の一括取引を行う際に、貨幣処理装置20に入金した貨幣の預入先となる複数口座を選択すると共に、選択した各口座に預け入れる金額の割合を設定することができる。図7(a)に示す例では、貨幣処理装置20に入金された金額の50%をA銀行の口座に預け入れて、残り50%をB銀行の口座に預け入れる設定となっている。
【0085】
例えば、利用者は、引出取引の一括取引を行う際に、貨幣処理装置20から出金する貨幣金額の引出元となる複数口座を選択すると共に、選択した各口座から引き出す金額の割合を設定することができる。図7(a)に示す例では、貨幣処理装置20から出金される貨幣金額の60%をA銀行の口座から引き出して、残り40%をC銀行の口座から引き出す設定となっている。
【0086】
割合の項目にある「-」の記号は、利用者が、この口座を取引対象に選択しているが、一括取引の対象に含めていないことを示している。割合の項目にある「除外」は、利用者が、この口座を取引対象から除外しており、一括取引の対象に含めないことを示している。
【0087】
利用者が図7(a)に示すように一括取引情報を設定した場合、管理サーバ10は、設定に基づいて口座選択画面を表示する。図7(b)は、預入取引が選択された場合に表示される口座選択画面の例を示している。例えば、利用者が、上述した図5(a)及び図6(a)に示す設定に加えて図7(a)に示す設定を行うと、図6(b)に示す口座選択画面に代えて、図7(b)に示す口座選択画面が表示される。
【0088】
図7(b)に示す口座選択画面には、図6(b)に示す口座選択画面の表示内容に加えて、一括取引ボタン110と、一括取引の対象口座であることを示す選択ボックス111と、一括取引における取引金額の割合を示す数値ボックス12とが表示される。図7(b)に示す例では、預入取引の対象に設定されたA銀行の口座、B銀行の口座、C銀行の口座が優先順位の設定に基づく順序で表示されている。これら3つの口座のうち一括取引の対象に設定されたB銀行の口座及びA銀行の口座について、選択ボックス111は、取引対象として選択されていることを示すオン状態で表示され、数値ボックス112は、利用者が設定した割合が入力された状態で表示される。C銀行の口座は一括取引の対象に設定されていないため、選択ボックス111はチェックが外れたオフ状態で表示され、数値ボックス112は「0%」と表示されている。利用者は、口座選択画面の選択ボックス111のオンオフを変更して、一括取引の対象から口座を除外、又は追加することができる。利用者は、数値ボックス112の数値を変更して取引金額の割合を変更することもできる。
【0089】
利用者は、図7(b)に示す口座選択画面で各口座の口座枠101内に表示された取引ボタン103を押して各口座を対象に預入取引を行うことができる。また、利用者は、口座枠101内の取引ボタン103以外の領域を押して、取引メニュー画面を表示させてから取り引きを進めることができる。
【0090】
利用者は、口座選択画面の一括取引ボタン110を押して一括取引を行うことができる。一括取引ボタン110が押されると、管理サーバ10は、口座選択画面に表示された内容に基づいて一括取引を開始する。
【0091】
図7(c)は、預け入れの一括取引時に表示される取引画面の例を示す図である。利用者が図7(b)に示す口座選択画面で一括取引ボタン110を押すと、貨幣処理装置20の操作端末21に、預け入れる貨幣の入金処理を貨幣処理装置20で実行するよう利用者に促す情報が表示される。利用者が貨幣処理装置20に貨幣を入金して入金処理が完了すると、操作端末21に図7(c)に示す取引画面が表示される。画面上には、預け入れの一括取引を実行することを示す情報113と、貨幣処理装置20が入金処理を実行して得られた入金金額である預入合計金額114とが表示される。預入合計金額114の下側に、利用者が貨幣処理装置20に入金した貨幣の内訳、すなわち入金金額を構成する貨幣の金種別枚数が表示される。
【0092】
図7(c)に示すように、取引画面上には、一括取引の対象に選択された各口座の情報が口座枠115内に表示される。口座枠115内には、口座情報102に加えて、預入合計金額114のうち各口座に預け入れられる預入金額116と、預入合計金額114に対する預入金額116の割合117とが表示される。口座枠115に表示される割合117は、図7(b)の口座選択画面で数値ボックス112に表示されていた割合に対応している。貨幣処理装置20への入金金額をB銀行の口座及びA銀行の口座に50%ずつ預け入れる設定で一括取引が開始されたため、図7(c)に示す取引画面は、預入合計金額5万円がB銀行の口座及びA銀行の口座に2万5千円ずつ預け入れられることを示す画面となっている。
【0093】
利用者は、操作端末21を操作して、図7(c)に示す取引画面で預入合計金額114を変更することができる。預入合計金額を減らした場合は差額分の貨幣が貨幣処理装置20から返却されることになる。預入合計金額を増やした場合は貨幣処理装置20へ貨幣を追加入金する入金処理が行われることになる。取引画面の預入金額116及び割合117は数値ボックスになっており、利用者は、操作端末21を操作して、各口座への預入金額116を変更することもできるし、預入合計金額114に対する預入金額116の割合117を変更することもできる。利用者が、預入合計金額114、預入金額116及び割合117いずれかを変更する操作を行うと、変更後の内容に基づいて取引画面の表示が更新される。
【0094】
図7(c)に示す取引画面で、一括取引によって各口座を対象に行われる取引内容を確認した利用者は、画面下部にある実行ボタンを押して一括取引を実行することができる。利用者はキャンセルボタンを押して一括取引をキャンセルすることもできる。操作端末21で実行ボタンが押されると、管理サーバ10が、一括取引の対象に含まれる各口座に対応する1又は複数の銀行サーバ40に、口座番号、取引の種類、取引内容を含む取引情報を送信する。各銀行サーバ40が取引情報に基づく口座処理を実行して各口座の残高が更新される。このように、利用者は、預入取引を選択した後、図7(b)に示す口座選択画面で一括取引ボタン110を押す操作と、図7(c)に示す取引画面で実行ボタンを押す操作とを行うだけで、複数の口座それぞれを対象に預入取引を実行することができる。
【0095】
図8は、引き出しの一括取引を行う場合の画面例を示す図である。図7(a)に示すように一括取引の設定をした利用者が、引出取引を選択した場合に、操作端末21の画面上に、図8(a)に示す口座選択画面が表示される。口座選択画面には、一括取引ボタン110と、一括取引の対象口座であることを示す選択ボックス111と、取引金額の割合を示す数値ボックス12とが表示される。図8(a)に示す例では、引出取引の対象に設定されたA銀行の口座及びC銀行の口座が優先順位の設定に基づく順序で表示されている。これら2つの口座は一括取引の対象とされているため、各口座の選択ボックス111はオン状態で表示され、数値ボックス112は、利用者が設定した割合が入力された状態で表示される。利用者は、選択ボックス111のオンオフを切り換えて取引対象の口座を変更したり、数値ボックス112の数値を変更して取引金額の割合を変更したりすることができる。
【0096】
利用者は、図8(a)に示す口座選択画面で各口座の口座枠101内に表示された取引ボタン103を押して各口座を対象に預入取引を行うこともできるし、口座枠101内の取引ボタン103以外の領域を押して取引メニュー画面を表示させてから取り引きを進めることもできる。
【0097】
利用者は、口座選択画面の一括取引ボタン110を押して一括取引を行うことができる。一括取引ボタン110が押されると、管理サーバ10は、口座選択画面に表示された内容に基づいて一括取引を開始する。
【0098】
利用者が図8(a)に示す口座選択画面で一括取引ボタン110を押すと、図8(b)に示す取引画面が表示される。取引画面上部には、引き出しの一括取引を実行することを示す情報113が表示される。取引画面には、引出合計金額を入力するための金額入力ツール118と、一括取引の対象に選択された各口座の情報を示す口座枠115とが表示される。利用者が、金額入力ツール118で引出合計金額を入力すると取引画面が更新されて、各口座枠115内に引出合計金額の内訳が表示される。
【0099】
各口座枠115内には、引出合計金額のうち各口座から引き出される引出金額119と、引出合計金額に対する引出金額119の割合120とが表示される。口座情報102に、引出取引実行後の口座残高を含める設定とすることもできる。口座残高については、管理サーバ10が内部で各口座の口座残高を管理する態様であってもよいし、管理サーバ10が銀行サーバ40に問い合わせて口座残高を取得する態様であってもよい。
【0100】
引出合計金額の60%をC銀行の口座から引き出して、残り40%をA銀行の口座から引き出す設定で一括取引が開始されたため、図8(b)の取引画面は、貨幣処理装置20から出金する引出合計金額3万円のうち、1万8千円がC銀行の口座から引き出されて、1万2千円がA銀行の口座から引き出されることを示す画面となっている。
【0101】
利用者は、操作端末21を操作して、図8(b)に示す取引画面で各口座の引出金額119を変更することもできるし、割合120を変更することもできる。利用者が、引出金額119又は割合120を変更する操作を行うと、変更後の内容に基づいて取引画面が更新される。
【0102】
図8(b)に示す取引画面で、一括取引によって各口座を対象に行われる取引内容を確認した利用者は、画面下部にある実行ボタンを押して一括取引を実行することができる。利用者はキャンセルボタンを押して一括取引をキャンセルすることもできる。操作端末21で実行ボタンが押されると、貨幣処理装置20は引出合計金額分の貨幣を出金する出金処理を実行する。管理サーバ10は、一括取引の対象に含まれる各口座に対応する1又は複数の銀行サーバ40に、口座番号、取引の種類、取引内容等を含む取引情報を送信する。各銀行サーバ40が取引情報に基づく口座処理を実行して各口座の残高が更新される。このように、利用者は、引出取引を選択した後、図8(a)に示す口座選択画面で一括取引ボタン110を押す操作と、図8(b)に示す取引画面で引出金額を入力して実行ボタンを押す操作とを行うだけで、複数の口座それぞれを対象に引出取引を実行することができる。
【0103】
[取引条件]
貨幣処理システム1では、各口座について予め設定された取引条件に応じて、口座選択画面の表示を変更する設定とすることができる。管理サーバ10は、利用者が設定した取引条件を管理する。図9は、管理サーバ10が管理する取引条件を説明するための図である。
【0104】
図9(a)は、管理サーバ10が管理する取引条件の設定例を示す図である。図9(a)に示す利用者ID、銀行及び口座番号は、図2(a)に示す利用者情報と対応している。図9(a)に示す取引条件の項目には、預け入れ、引き出し等の口座取引の種類が含まれる。管理サーバ10で認証された利用者は、管理サーバ10と接続した通信端末30を操作して、口座別にかつ口座取引の種類別に取引条件を設定することができる。
【0105】
例えば、利用者は、預入取引について、各口座の残高の上限金額を指定して、残高が上限金額を超える場合は、貨幣処理システム1で預入取引を実行できないように取引条件を設定することができる。利用者は、各口座で預入取引を行うことができる期間を所定期間に限定して、所定期間以外は貨幣処理システム1で預入取引を実行できないように取引条件を設定することができる。期間の設定は、月、日、曜日、時刻の少なくともいずれか1つを指定して行うことができる。
【0106】
例えば、利用者は、引出取引について、各口座の残高の下限金額を指定して、残高が下限金額を下回る場合は、貨幣処理システム1で引出取引を実行できないように取引条件を設定することができる。利用者は、各口座で1回の引出取引で引出可能な上限金額を指定して、貨幣処理システム1で上限金額を超える引出取引を実行できないように取引条件を設定することができる。利用者は、各口座で所定期間内における引出金額の合計の上限金額を指定して、所定期間における引出金額の合計が上限金額を超える場合は、貨幣処理システム1で引出取引を実行できないように取引条件を設定することができる。利用者は、各口座で引出取引を実行可能な時間間隔を指定して、直前の引出取引から、指定した時間間隔が経過していなければ貨幣処理システム1で引出取引を行えないように取引条件を設定することができる。利用者は、各口座で引出取引を行うことができる期間を所定期間に限定して、所定期間以外は貨幣処理システム1で預入取引を実行できないように取引条件を設定することができる。期間の設定は、月、日、曜日、時刻の少なくともいずれか1つを指定して行うことができる。利用者は、各口座で引出取引を行うことができる貨幣処理装置20、店舗等の場所を指定して、指定した場所以外では貨幣処理システム1が引出取引を実行できないように設定することができる。
【0107】
例えば、利用者は、振込取引についても、引出取引と同様に、残高の下限金額、1回の振込取引で振込可能な上限金額、所定期間内の振込取引で振込可能な上限金額、振込取引を実行可能な時間間隔、振込取引を行うことができる所定期間、振込取引を行うことができる場所等の条件を指定して、貨幣処理システム1で条件を満たさない振込条件を実行できないように設定することができる。
【0108】
例えば、利用者は、振込取引について、振込手数料がかからないよう、利用者が有する複数口座のうち、振込先口座の銀行と同じ銀行の口座を、口座選択画面で優先して表示させる設定とすることができる。利用者は、管理サーバ10が、利用者が有する複数口座それぞれと振込先口座との間で振込取引を行う際に必要となる振込手数料を算出して、口座選択画面で振込手数料が安い順に口座を表示したり、口座選択画面の各口座の口座情報102に手数料を表示したりする設定とすることができる。図4に示すステップS14で振込取引が選択された場合は、管理サーバ10が、操作端末21の画面上に振込先の口座及び振込金額を入力する取引画面を表示して、この取引画面に入力された情報に基づいて各口座を振込元とする場合の手数料を算出して、口座選択画面を表示するようにすればよい。例えば、振込元口座、振込先口座、振込金額及び手数料の関係を示すテーブルを予め準備して、管理サーバ10がテーブルを利用して手数料を算出すればよい。例えば、管理サーバ10が、振込元となる利用者の各口座に対応する銀行サーバ40に、振込先口座及び振込金額を通知して、振込手数料の回答を得る態様であってもよい。
【0109】
管理サーバ10は、取引条件に基づいて、口座選択画面を表示する。図9(b)は、引出取引の際に、取引条件に基づいて表示された口座選択画面の例を示す図である。例えば、利用者が、A銀行の口座について、引出取引における口座残高の下限金額を含む取引条件を設定した場合、図9(b)に示すように、口座選択画面に、口座残高の下限金額に関する情報121が表示される。図9(b)に示す例では、利用者が指定した口座残高の下限金額と、下限金額に達するまでに口座から引出可能な金額とが表示されている。
【0110】
口座選択画面が、取引条件の設定を変更できるように表示されてもよい。図9(b)に示す例では、A銀行の口座残高の下限金額を変更するための変更ボタン122が表示されている。利用者は、変更ボタン122を押して下限金額を変更することができる。例えば、変更ボタン122を押すと下限金額の変更画面が表示されて、利用者は金額を入力し下限金額を変更することができる。利用者が下限金額を変更した場合は、続いて、変更後の下限金額を現在の取引にのみ適用するか、図9(a)に示す取引条件で下限金額を変更するかを選択する画面が表示される。
【0111】
利用者は、下限金額の変更を現在の取引にのみ適用することで一時的に引出可能な金額を変更することができる。例えば、取引条件に基づいて現在の引出取引で引出可能な金額が1万円である場合、利用者は、変更ボタン122を押して取引条件を一時的に変更し、1万円を超える金額を引き出せるようにする。利用者は、図9(b)に示す引出取引の取引ボタン103を押して、続いて表示される引出取引の取引画面で1万円を超える引出金額を指定すると、管理サーバ10は、貨幣処理装置20から利用者が指定した引出金額分の貨幣を出金させる。この場合、取引条件は変更されないため、次回以降の引出取引でも、一時変更前の口座残高の下限金額に基づいて、口座選択画面の表示や取引実行の可否判定が行われることになる。
【0112】
図9(b)に示す口座選択画面で口座残高の下限金額を変更した利用者が、変更後の下限金額を取引条件に反映する選択をした場合も、一時変更の場合と同様に、取引画面における引出金額の指定と、貨幣処理装置20からの引出金額分の貨幣の出金とが行われる。この場合、取引条件における口座残高の下限金額が変更されるため、次回以降の引出取引では、変更後の口座残高の下限金額に基づいて、口座選択画面の表示や取引実行の可否判定が行われることになる。
【0113】
管理サーバ10は、口座選択画面を表示する際に、表示する各口座について設定された取引条件を参照して、貨幣処理システム1で取引を実行できるか否かを判定する。管理サーバ10は、取引条件に基づいて取引を実行できないと判定した口座がある場合、口座選択画面で判定結果を報知する。
【0114】
例えば、C銀行の口座について、毎月の引出金額の上限金額を指定した取引条件が設定されており、引出金額の合計が既に上限金額に達している場合、管理サーバ10は、引出取引を実行できないと判定する。この場合、例えば図9(b)に示すように、管理サーバ10は、C銀行の口座枠101内に、判定結果及び判定理由を示す情報123を表示すると共に、引出取引の取引ボタン103を、引出取引を実行できないグレーアウト表示とする。
【0115】
管理サーバ10が、取引を実行できないと判定した口座の口座枠101を、取引を実行可能と判定した口座の口座枠101と区別可能に表示してもよい。例えば、図9(b)に示すように、A銀行の口座枠101を実線で表示する一方でC銀行の口座枠101を破線で表示してもよいし、A銀行の口座枠101とC銀行の口座枠101とを異なる色で表示してもよい。
【0116】
図9(b)に示すC銀行の口座枠101内でも、A銀行の口座枠101と同様に、取引条件を変更するためのボタン124が表示されている。利用者は、ボタン124を押して毎月の引出金額の上限金額を変更することができる。利用者が上限金額を変更する操作を行うと、上述したA銀行の引出取引の場合と同様に、変更後の上限金額を現在の取引にのみ一時的に適用するか、図9(a)に示す取引条件で上限金額を変更するかを選択する画面が表示される。利用者は、上限金額を一時的に変更するか、取引条件で上限金額を変更するかを選択することができる。上限金額が変更されると、管理サーバ10は、変更後の上限金額に基づいて、引出取引の実行可否を再判定する。
【0117】
引出取引が可能になると、口座選択画面が更新されて、取引条件に関する情報123が、変更後の引出上限金額及び引出上限金額に達するまでに引出可能な金額の表示に変更されると共に、クレーアウトされていた引出取引の取引ボタン103を押して引出取引を実行できるようになる。利用者は、取引ボタン103を押して表示される取引画面で引出金額を指定して、貨幣処理装置20から引出金額分の貨幣を出金することができる。
【0118】
[通知条件]
貨幣処理システム1では、各口座について予め準備された通知条件に基づいて、口座選択画面の表示を変更する設定とすることができる。管理サーバ10は、利用者が設定した通知条件を管理する。図10は、管理サーバ10が管理する通知条件を説明するための図である。
【0119】
図10(a)は、管理サーバ10が管理する通知条件の例を示す図である。図10(a)に示す利用者ID、銀行及び口座番号は、図2(a)に示す利用者情報と対応している。管理サーバ10で認証された利用者は、管理サーバ10と接続した通信端末30を操作して、通知の項目で、口座毎に、通知条件及び通知内容を設定することができる。
【0120】
例えば、利用者は、管理サーバ10が口座選択画面に各口座の情報を表示する際に、口座及び口座取引の種類によらず、予め設定した通知内容を表示するように通知条件を設定することができる。利用者は、口座、口座取引の種類、取引内容の少なくともいずれか1つを指定して条件を設定し、条件を満たす場合に、予め設定した通知内容を表示するように通知条件を設定することもできる。利用者は、条件に期間の限定を含めて、所定期間内にのみ通知を表示するように設定することもできる。期間の指定は、月、日、曜日、時刻の少なくともいずれか1つを指定して行うことができる。利用者は、条件に、貨幣処理装置20、店舗等の場所の限定を含めて、指定した場所で口座取引を行う場合にのみ通知を表示するように通知条件を設定することができる。
【0121】
管理サーバ10は、口座選択画面を表示する際に、表示する各口座について設定された通知条件を参照して、表示すべき通知があるか否かを判定する。表示すべき通知がある場合、管理サーバ10は、口座選択画面に通知を表示する。
【0122】
図10(b)は通知が表示された口座選択画面の例を示す図である。例えば、利用者が、公共料金等の引き落としが毎月25日に行われるB銀行の口座について、引き落とし日の1週間前から前日までの間、引き落とし日が近いことを示す通知を表示するように通知条件を設定する。管理サーバ10は、この通知条件に基づいて、毎月18日~24日までの間、口座選択画面にB銀行の口座を表示する際に、図10(b)に示すようにB銀行の口座枠101内に、利用者が設定した通知内容127を表示する。このように、貨幣処理システム1では、複数の口座を表示する口座選択画面に、口座の選択に役立つ情報を表示する設定とすることができる。
【0123】
本実施形態では、複数口座の優先順位の設定、口座を区別するための口座名称及び口座アイコンの設定、一括取引の設定、取引条件の設定、通知条件の設定等、貨幣処理システム1で行うことができる複数の設定を説明したが、貨幣処理システム1で全ての設定を利用可能である態様に限定されず、一部の設定のみを利用可能な態様であってもよい。また、説明を容易にするために、各設定を分けて説明したが、複数の設定がされた場合は、全ての設定を満たすように、操作端末21における口座選択画面の表示、貨幣処理装置20による貨幣処理、管理サーバ10及び銀行サーバ40による口座処理が実行されることになる。
【0124】
本実施形態では、主に、預入取引、引出取引及び振込取引を例に各設定が行われる例を説明したが、各設定が、預入取引、引出取引及び振込取引のうちいずれか1つ又は2つについてのみ行われる態様であってもよい。また、各設定が、他の口座取引について行われる態様であってもよい。
【0125】
本実施形態の図1では、管理サーバ10が、店舗に設置された貨幣処理装置20と通信可能に接続された例を示したが、管理サーバ10が、貨幣処理装置20に代えて又は加えて、貨幣処理装置20と接続された操作端末21と通信可能に接続される態様であってもよい。また、管理サーバ10が、店舗に設置された店舗サーバを介して、貨幣処理装置20と接続される態様であってもよい。例えば、店舗内にある複数の貨幣処理装置20が店舗サーバによって管理されている場合は、店舗サーバを管理サーバ10と接続して、貨幣処理装置20及び操作端末21が店舗サーバを介して管理サーバ10と情報を遣り取りすることによって、上述した各機能及び動作が実現される態様であってもよい。
【0126】
本実施形態では、貨幣処理システム1が、管理サーバ10と、貨幣処理装置20と、操作端末21とを含む例を示したが、該構成は機能概略的なものであり、貨幣処理システム1の構成が物理的に該構成に限定されるものではない。例えば、管理サーバ10が、上述した銀行サーバ40の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよい。貨幣処理装置20が、上述した管理サーバ10の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよいし、上述した操作端末21の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよい。操作端末21が、上述した通信端末30の機能及び動作の一部を実現する態様であってもよいし、上述した管理サーバ10の機能及び動作の一部を実現する態様であってもよい。例えば、管理サーバ10が口座取引を実行する処理装置として機能する例を示したが、口座取引を実行する処理装置が、管理サーバ10の機能及び動作の一部又は全部と、貨幣処理装置20の機能及び動作の一部又は全部と、操作端末21の機能及び動作の一部又は全部とを含んで構成される態様であってもよい。各装置の分散・統合の形態は上述した例に限定されず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0127】
上述したように、貨幣処理システムでは、複数の口座を有する利用者が口座取引を行う際に、表示端末に表示される口座選択画面の表示態様を、様々な設定に応じて変更することができる。例えば、利用者が設定した優先順位で口座を表示したり、利用者が各口座を区別するために設定した口座区別情報を表示したりすることで、利用者は口座を容易に選択することができる。また、複数口座を対象に口座取引を実行する必要がある場合でも、一括取引に係る設定を可能とすることで、利用者が誤った口座を選択する操作ミスの可能性を低減するだけでなく、複数口座を対象とする一括取引を容易に実行できるようになる。さらに、取引条件に基づいて所定情報を口座選択画面に表示したり、通知条件に基づいて所定通知を表示したりする設定とすることで、利用者による口座の選択が容易となり、利用者にとっての利便性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上のように、本開示に係る貨幣処理システム及び取引処理方法は、複数の口座を有する利用者にとっての利便性を向上するために有用である。
【符号の説明】
【0129】
1 貨幣処理システム
10 管理サーバ
20 貨幣処理装置
21 操作端末
30 通信端末
40 銀行サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10