(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122027
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】樹脂製キャップおよびキャップユニット
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B65D41/34 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029329
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 慎二
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA34
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KA13
3E084KB01
3E084LA01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】リシール時にキャップ本体とTEバンドとの隙間が容易に視認可能な樹脂製キャップおよびキャップユニットを提供する。
【解決手段】本発明の一形態における樹脂製キャップは、タンパーエビデントバンドを備えた樹脂製キャップであって、天面板と、天面板の周縁から降下するスカート壁と、スカート壁の下端部に設けられた破断可能なブリッジを介して連結されるタンパーエビデントバンドと、を含み、スカート壁の下端部にはタンパーエビデントバンドの側に向かうにつれて末広がるよう突出した裾下凸部が設けられる共に、タンパーエビデントバンドの上端には軸方向下方に凹んで裾下凸部が収容される収容凹部が設けられてなり、裾下凸部の周方向における最大幅はタンパーエビデントバンドの上端における収容凹部の周方向の開口幅よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパーエビデントバンドを備えた樹脂製キャップであって、
天面板と、
前記天面板の周縁から降下するスカート壁と、
前記スカート壁の下端部に設けられた破断可能なブリッジを介して連結されるタンパーエビデントバンドと、を含み、
前記スカート壁の前記下端部には前記タンパーエビデントバンドの側に向かうにつれて末広がるよう突出した裾下凸部が設けられる共に、前記タンパーエビデントバンドの上端には軸方向下方に凹んで前記裾下凸部が収容される収容凹部が設けられてなり、
前記裾下凸部の周方向における最大幅は、前記タンパーエビデントバンドの上端における前記収容凹部の前記周方向の開口幅よりも大きい、
ことを特徴とする樹脂製キャップ。
【請求項2】
前記裾下凸部は、
前記スカート壁の前記下端部から前記軸方向下方に降下する柱部と、
前記柱部から前記周方向に延びるように突出して前記タンパーエビデントバンドの上端を押下可能な押下部と、
を含んでなる、
請求項1に記載の樹脂製キャップ。
【請求項3】
前記タンパーエビデントバンドのうち前記軸方向の下端部にはスリットが設けられてなり、
閉栓時に前記押下部が前記タンパーエビデントバンドの上端を押下したとき、前記スリットの隙間が広がることで、少なくとも前記裾下凸部の分だけ広がって前記タンパーエビデントバンドと前記スカート壁の下端部との隙間が形成される、
請求項2に記載の樹脂製キャップ。
【請求項4】
前記裾下凸部および前記収容凹部は、前記周方向において一対となって複数設けられてなる、
請求項3に記載の樹脂製キャップ。
【請求項5】
前記スリットは、前記タンパーエビデントバンドの前記下端部において前記周方向に沿って複数設けられてなる、
請求項4に記載の樹脂製キャップ。
【請求項6】
前記裾下凸部および前記ブリッジは、前記スカート壁の下端部において互いに前記周方向に沿って複数設けられてなり、
少なくとも1つの前記裾下凸部は、前記周方向において隣り合う前記ブリッジの間に配置されてなる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂製キャップ。
【請求項7】
天面板と、前記天面板の周縁から降下すると共にその下端部から下方へ向かうにつれて末広がる裾下凸部が突出するように設けられたスカート壁と、前記スカート壁の前記下端部に設けられた破断可能なブリッジを介して連結されると共に前記裾下凸部が収容される収容凹部が形成されたタンパーエビデントバンドと、を備えた樹脂製キャップと、
注出筒部と、前記注出筒部の下方に形成されて前記タンパーエビデントバンドの内周面に形成された係止突起部と係合するカブラ部と、前記カブラ部の下方に形成されて前記タンパーエビデントバンドの外周面よりも外側へ末広がる傾斜面と、を備えた容器口部と、を含み、
前記樹脂製キャップによる前記容器口部の閉栓時に、前記裾下凸部が前記タンパーエビデントバンドの上端を押下して前記タンパーエビデントバンドが前記傾斜面に乗り上がる、
キャップユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器口部を封止する技術に関し、より詳細には合成樹脂で形成された樹脂製キャップと容器口部を含むキャップユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
水やお茶あるいは清涼飲料水などの飲料用容器として、PETボトルなどのボトル容器やスパウト付き紙パック容器など開閉が可能なものが広く使用されている。これらの容器に使用されるキャップとしては、例えば樹脂を射出成形して所望の形状に成形した合成樹脂製のキャップ(以下、「樹脂製キャップ」とも称する)などが用いられている。
【0003】
また、近年では、ゼリー状食品などを可撓性シートによって収容可能なパウチも広く使用されている。かようなパウチの口栓としては、容器本体と熱溶着したスパウトで容器口部を形成し、この容器口部に対して合成樹脂キャップを用いて開栓又は閉栓を行っている。
【0004】
このようなキャップには、容器口部に打栓によって嵌め込まれるタイプもあるが、例えば特許文献1に例示するように、容器口部の筒状側壁の外周面に形成された螺子部と螺子係合により装着される螺子タイプも多く存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記した特許文献を含む技術では、いまだ市場のニーズを満たしているとは言えず、少なくとも以下に述べる課題が存在する。すなわち、特許文献1などに例示される樹脂製キャップは、例えば牛乳パックなど種々の容器に適用が可能である。かような容器の一例として、ゲーブルトップとも称される頂点が切妻型の紙容器が知られている。
【0007】
ここで上記したゲーブルトップのように頂面(屋根に相当する部分)が斜めに傾斜した傾斜面に樹脂製キャップが設けられる場合には、容器の立設時には斜めに傾斜した樹脂製キャップが視認者の視野に入るため、リシール時にキャップ本体と開栓済みであることを示すTEバンドとの隙間が視認しにくいという課題がある。
【0008】
本発明の目的の1つは、リシール時にキャップ本体とTEバンドとの隙間が容易に視認可能な樹脂製キャップおよびキャップユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一形態における樹脂製キャップは、(1)タンパーエビデントバンドを備えた樹脂製キャップであって、天面板と、前記天面板の周縁から降下するスカート壁と、前記スカート壁の下端部に設けられた破断可能なブリッジを介して連結されるタンパーエビデントバンドと、を含み、前記スカート壁の前記下端部には前記タンパーエビデントバンドの側に向かうにつれて末広がるよう突出した裾下凸部が設けられる共に、前記タンパーエビデントバンドの上端には軸方向下方に凹んで前記裾下凸部が収容される収容凹部が設けられてなり、前記裾下凸部の周方向における最大幅は、前記タンパーエビデントバンドの上端における前記収容凹部の前記周方向の開口幅よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
また、上記した(1)に記載の樹脂製キャップにおいては、(2)前記裾下凸部は、前記スカート壁の前記下端部から前記軸方向下方に降下する柱部と、前記柱部から前記周方向に延びるように突出して前記タンパーエビデントバンドの上端を押下可能な押下部と、を含んでなることが好ましい。
【0011】
また、上記した(2)に記載の樹脂製キャップにおいては、(3)前記タンパーエビデントバンドのうち前記軸方向の下端部にはスリットが設けられてなり、閉栓時に前記押下部が前記タンパーエビデントバンドの上端を押下したとき、前記スリットの隙間が広がることで、少なくとも前記裾下凸部の分だけ広がって前記タンパーエビデントバンドと前記スカート壁の下端部との隙間が形成されることが好ましい。
【0012】
また、上記した(3)に記載の樹脂製キャップにおいては、(4)前記裾下凸部および前記収容凹部は、前記周方向において一対となって複数設けられてなることが好ましい。
【0013】
また、上記した(4)のいずれかに記載の樹脂製キャップにおいては、(5)前記スリットは、前記タンパーエビデントバンドの前記下端部において前記周方向に沿って複数設けられてなることが好ましい。
【0014】
また、上記した(1)~(5)のいずれかに記載の樹脂製キャップにおいては、(6)前記裾下凸部および前記ブリッジは、前記スカート壁の下端部において互いに前記周方向に沿って複数設けられてなり、少なくとも1つの前記裾下凸部は、前記周方向において隣り合う前記ブリッジの間に配置されてなることが好ましい。
【0015】
また、上記課題を解決するため、本発明の一形態におけるキャップユニットは、(7)天面板と、前記天面板の周縁から降下すると共にその下端部から下方へ向かうにつれて末広がる裾下凸部が突出するように設けられたスカート壁と、前記スカート壁の前記下端部に設けられた破断可能なブリッジを介して連結されると共に前記裾下凸部が収容される収容凹部が形成されたタンパーエビデントバンドと、を備えた樹脂製キャップと、注出筒部と、前記注出筒部の下方に形成されて前記タンパーエビデントバンドの内周面に形成された係止突起部と係合するカブラ部と、前記カブラ部の下方に形成されて前記タンパーエビデントバンドの外周面よりも外側へ末広がる傾斜面と、を備えた容器口部と、を含み、前記樹脂製キャップによる前記容器口部の閉栓時に、前記裾下凸部が前記タンパーエビデントバンドの上端を押下して前記タンパーエビデントバンドが前記傾斜面に乗り上がることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の樹脂製キャップおよびキャップユニットによれば、容器口部の閉栓時に裾下凸部がタンパーエビデントバンドの上端を押下することでタンパーエビデントバンドが容器口部の傾斜面に乗り上がることで、キャップ本体とTEバンドとの隙間が容易に視認することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る樹脂製キャップと容器口部を含むキャップユニットの形態を半断面で示した模式図である。
【
図2】
図1のキャップユニットのうちα部の拡大図である。
【
図3】実施形態に係るキャップユニットのうち、タンパーエビデントバンドが有る状態と無い状態とを比較して示した樹脂製キャップの模式図である。
【
図4】実施形態に係るキャップユニットのうち、容器口部の形態を半断面で示した模式図である。
【
図5】容器口部を再封止した際のキャップユニットの状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好適に実施するための実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、以下の説明中において適宜X方向、Y方向、およびZ方向をそれぞれ規定したが、本発明の権利範囲を減縮するものでないことは言うまでもない。
なお、以下で詳述する本発明の特徴事項以外の事項については、例えば特許文献1に開示されたキャップユニットの構成や他の公知のキャップ構造を適宜参照して製造することができる。
【0019】
[キャップユニット]
図1は、本実施形態に係るキャップユニット300を示している。
同図のとおり、キャップユニット300は、樹脂製キャップ100と、容器口部200と、を含んで構成されている。
なお、本実施形態の容器口部200は、例えば飲食物や薬品などの液体状又は固体状の内容物を収容する容器から内容物が注出される注出口を備えた部位である。かような容器口部200は、例えば内容物が収容される容器本体と一体構造となっていてもよいし、当該容器本体とは別体となっていてもよい。
【0020】
このような容器本体としては、例えばPETに例示される樹脂製ボトルや紙製パックあるいは樹脂製パウチなど、本実施形態の容器口部200が適用可能な限りにおいて種々の公知の容器形態を適用してもよい。このうち容器本体と一体構造の容器口部200の適用例としては、例えばPETボトルなどのボトル容器の口部などが挙げられる。また、容器本体と別体の容器口部200としては、例えばパウチや紙製容器に熱溶着されるスパウトなどが挙げられる。
以下では、容器口部200の一例としてスパウトを、容器本体として紙製パックをそれぞれ例にして説明するが、上述のとおり本発明はこの形態に限られるものではない。
【0021】
<樹脂製キャップ100>
図1~
図3などから理解されるとおり、樹脂製キャップ100は、天面板10と、この天面板10の周縁から降下するスカート壁20と、このスカート壁20の下端部20eに設けられた破断可能なブリッジBrを介して連結されるTE(タンパーエビデント)バンド30と、を含んで構成されている。なお樹脂製キャップ100を構成する樹脂としては、例えば低密度PE(ポリエチレン)、高密度PE、PP(ポリプロピレン)、あるいはPEとPPの混合樹脂など公知の合成樹脂が例示できる。また、本実施形態では、樹脂製キャップ100のうちTEバンド30を除いた構成をキャップ本体とも称する。
【0022】
天面板10は、容器口部200の注出口を閉塞する機能を有し、その下面(閉栓時に容器口部200と対向する側の面)には上記した注出口を封止する公知のインナーリング11を備えている。また、天面板10の下面のうちインナーリング11の外側には、後述する容器口部200における突出部211の頂面に接触可能なコンタクト突起12が形成されている。
【0023】
かようなコンタクト突起12は、例えばそれぞれが突出部211の頂面に接触可能なように、容器口部200の注出口周りに所定の間隙を隔てて断続的となるよう周方向に沿って複数配置されていてもよい。このようにコンタクト突起12は、天面板10の下面であってスカート壁20とインナーリング11との間で当該下面から突出(垂下)するように形成されている。なお本実施形態のコンタクト突起12は、上記した形態に限られず、例えば周方向に沿って天面板10の下面から突出した連続する環状凸部となっていてもよい。
【0024】
スカート壁20は、上記した天面板10の周縁から降下するとともに、後述する注出筒部210の外周面210aに形成された公知の螺子部212と螺合する螺条22を内周面に有するように構成されている。なお、
図1や
図5などに示すとおり、このスカート壁20の外周面には、例えば軸方向(Z方向)に延在する公知のナール部21(縦リブやローレットとも称される)が周方向(θz方向)に亘って複数形成されていてもよい。
【0025】
また
図1などに示すように、本実施形態の樹脂製キャップ100においては、スカート壁20の下端部20eに設けられた破断可能なブリッジBrを介してTEバンド(タンパーエビデントバンド)30が設けられていている。これにより樹脂製キャップ100の初期開封時には、上記したブリッジBrが破断して、TEバンド30は容器口部200におけるカブラ部220下の空間に残留することとなる。
【0026】
本実施形態のTEバンド30は、後述する収容凹部31及びスリット32が形成されると共に、内周面には容器口部200のカブラ部220と係合可能な係止突起部33が周方向に均等に5個設けられている。なお、本実施形態の上記したブリッジBrの具体的な構造としては、周方向に沿って断続的に複数設けられた公知の構造を採用してもよいし、周方向に沿って連続した弱化部(周囲よりも厚みが薄くなって容易に破断可能な薄肉部)となっていてもよい。また、係止突起部33は、上記した形態に限られず、例えば周方向に沿って連続する環状の係止突起となっていてもよい。
【0027】
<裾下凸部40の詳細な構造>
図1、
図2及び
図5などに示すように、本実施形態の樹脂製キャップ100は、リシール(再封止)時にTEバンド30を押下可能な裾下凸部40をさらに備えている。より具体的に本実施形態の樹脂製キャップ100においては、スカート壁20の下端部20eに、後述するTEバンド30の側に向かうにつれて末広がるよう突出した裾下凸部40が設けられている。
【0028】
裾下凸部40は、同図から理解されるとおり、スカート壁20の下端部20eから軸方向下方(図におけるマイナスZ方向)に降下する柱部41と、この柱部41から周方向(θz方向)に延びるように突出してTEバンド30の上端30uをリシール時に押下可能な押下部42と、を含んで構成されている。換言すれば、本実施形態の裾下凸部40は、スカート壁20の下端部20eから垂下する柱部41と、例えば柱部41の下端側から周方向に突出する押下部42を備えていると言える。
【0029】
なお、押下部42は、本実施形態では柱部41から閉栓方向(
図2ではマイナスX方向)に向けて突出するように設けられているが、開栓方向に向けて突出するように設けられていてもよい。また、押下部42における柱部41からの突出量としては、後述するとおりTEバンド30の上端30uを押下可能な限りにおいて特に制限はないが、柱部41の周方向における幅Wppよりも大きい量で突出していてもよい。すなわち、柱部41と押下部42とを合わせた最大幅Wprは、柱部41の幅Wppの2倍以上に設定されていてもよい。
【0030】
一方で
図1及び
図2などに示すように、TEバンド30には、その上端30uから軸方向下方に凹んで上記した裾下凸部40が収容される収容凹部31が設けられている。これらの図から理解されるとおり、収容凹部31は、裾下凸部40の形状に対応した外縁を有して構成されている。一例として、本実施形態の裾下凸部40は長靴状の形状を有して構成されていることから、収容凹部31も上記裾下凸部40を収容可能な正面視が靴状の外形となっている。
【0031】
図2に示すように、収容凹部31のうち周方向における最大幅Wmxは、裾下凸部40が収容された際に押下部42が配置される部位に位置付けられる。換言すれば、収容凹部31のうち裾下凸部40が挿入又は離脱する開口における開口幅Wopは、上記した周方向における最大幅Wmxよりも小さくなるように設定されている。従って、例えば初期封止の状態(すなわち容器本体に内容物を貯留して商品として販売されるときの状態)では、スカート壁20とTEバンド30とがブリッジBrを介して接続されると共に、TEバンド30の収容凹部31内に上記した裾下凸部40が収容される形態となる。
【0032】
このとき
図2に示すように、裾下凸部40下端の周方向における最大幅Wprは、TEバンド30の上端30uにおける収容凹部31の周方向の開口幅Wopよりも大きいことが好ましい。これにより、上記した初期開封時に収容凹部31から出た裾下凸部40が、樹脂製キャップ100で容器口部200を再封止するときに、再び収容凹部31内へ収容されてしまうことを抑制することが可能となっている。
【0033】
なお
図3も合わせて参照すると理解できるとおり、本実施形態の樹脂製キャップ100においては、上記した裾下凸部40および収容凹部31は、上記した周方向において一対となって複数設けられることが好ましい。
図3では合計4組の裾下凸部40および収容凹部31を樹脂製キャップ100が有しているが、4つ以外の組数であってもよいし、これらが周方向に沿って等間隔に配置されていてもよい。
【0034】
また
図1などに示すように、樹脂製キャップ100においてブリッジBrが周方向に沿って断続的に複数個設けられる場合には、裾下凸部40およびブリッジBrは、スカート壁20の下端部20eにおいて互いに周方向に沿って複数設けられると共に、少なくとも1つの裾下凸部40は周方向において隣り合うブリッジBrの間に配置されることが好ましい。
【0035】
また、
図1~
図3などに示すように、本実施形態の樹脂製キャップ100においては、TEバンド30のうち軸方向の下端30eには1又は複数のスリット32が設けられていることが好ましい。かようなスリット32は、例えば上記した裾下凸部40および収容凹部31の組に対応して、この組数と同数となるように収容凹部31の傍にそれぞれ設けられていてもよい。換言すれば、本実施形態のスリット32は、TEバンド30の下端30eにおいて周方向に沿って複数設けられていることが好ましい。
【0036】
なお
図3などから明らかなとおり、本実施形態における複数のスリット32は、上記した係止突起部33が形成されていない部位で周方向に沿って均等に配置されている。換言すれば、本実施形態では、1つの係止突起部33を挟むように周方向において隣り合う2つのスリット32が配置されている。これにより、上記したリシール時に裾下凸部40がTEバンド30を押下する際に、係止突起部33の下面が傾斜面230aに沿って案内されると共にスリット32が周方向に広がることで、過度な抵抗を受けることなくTEバンド30がハの字状に広がりながら傾斜面230aに乗り上がることを促進できる(
図5参照)。
【0037】
また、上述のとおり本実施形態のスリット32は周方向において係止突起部33を避けて設けられているため、ブリッジBrの破断性を阻害せずに初期開封時においてTEバンド30の係止突起部33がカブラ部220に係止してブリッジBrを確実に破断することも可能となっている。
【0038】
さらに
図1に示すように、スリット32の軸方向における高さhは、この軸方向に関して係止突起部33の最小内径部(最も内側に向けて出っ張る部位)とほぼ同じ位置に設定されていることが好ましい。これにより、過度な大きさのスリット32を形成した場合におけるTEバンド30の過剰なフレキシブル性を抑制しつつ、上述したスリット32の機能を発揮させることが可能となっている。
【0039】
<容器口部200>
次に
図4も参照しつつ、本実施形態における容器口部200の詳細な構造について説明する。
本実施形態における容器口部200は、一例として、容器本体とは分離して形成された合成樹脂製のスパウトである。この容器口部200は、例えば
図4などから理解されるとおり、注出筒部210、この注出筒部210の下方に配置された傾斜面230a、および、この傾斜面230aの下方に配置されたフランジ部240と、を含んで構成されている。
【0040】
注出筒部210は、容器口部200のうちで、その内部が中空となって内容物が注出される注出口を構成する内周面210bを備えた筒状(例えば円筒状)の部位である。また、注出筒部210の外周面210aには上記した螺子部212が形成されており、この螺子部212は、閉栓時に樹脂製キャップ100の螺条22と螺合する。
かような螺子部212は、例えば3条螺子など公知の多条ねじ構造を有していることが好ましい。
【0041】
また、上述したとおり、本実施形態の容器口部200のうち注出筒部210の上端には径方向の外側(
図4ではX軸方向)に向かって突出する突出部211が形成されている。より具体的に本実施形態の突出部211は、注出筒部210の上端面を上面として径方向外側に延在するように周方向に亘って設けられている。なお、内容物を容器に充填した後の初期密封時に樹脂製キャップ100を容器口部200に螺合する際に、この突出部211の上面に対して樹脂製キャップ100のコンタクト突起12が接触可能となっている。
【0042】
また、本実施形態の容器口部200のうち注出筒部210の下方には、TEバンド30の内周面に形成された係止突起部33と係合可能なカブラ部220が形成されている。
カブラ部220は、
図1及び
図4などから理解されるとおり、注出筒部210における外周面210aのうちの下方側において、径方向外側に向けて突出する突条(係止リング)の部位である。これにより、例えば初期開封時に樹脂製キャップ100を開栓方向に回すと樹脂製キャップ100が上昇し、TEバンド30の係止突起部33がカブラ部220に係止する(引っ掛かる)ことでブリッジBrが破断される。そして、ブリッジBrが破断しキャップ本体が容器口部200から離脱した後は、TEバンド30が容器口部200のカブラ部220下に残留することが可能となっている。
【0043】
傾斜部230は、上記したカブラ部220の下方であり且つ後述するフランジ部240との間に配置されて傾斜面230aを含んで構成されている。傾斜面230aは、
図1及び
図4を対比して理解されるように、上方から下方に向けて、TEバンド30の外周面よりも外側へ末広がる傾斜を有して構成されている。これにより、後述するリシール時において、裾下凸部40に押下されたTEバンド30が斜めに傾斜しながら傾斜面230aを乗り上げることが可能となっている。なお
図4に示すように、傾斜部230における内周面230bは、上述の注出筒部210の内周面210bよりも径方向外側に広がった内径を有して構成されていてもよい。
【0044】
フランジ部240は、容器口部200のうちで、上記した容器本体と熱溶着される部位である。なお、容器本体とフランジ部240の溶着態様に特に制限はなく、公知の種々の溶着態様を適用してもよい。例えば、フランジ部240の上面(
図4におけるZ方向の上側)で容器本体と溶着されてもよいし、フランジ部240の下面(
図4におけるZ方向の下側)で溶着されてもよい。
【0045】
<閉栓時におけるTEバンドの乗り上げ動作>
次に
図5を参照しつつ、樹脂製キャップ100が容器口部200を閉栓するときのTEバンド30の傾斜面230aへの乗り上げ動作について説明する。
すなわち、容器口部200から樹脂製キャップ100を開栓して初期開封した後において、使用者が容器口部200を樹脂製キャップ100で再び閉栓(リシール)することが想定できる。例えば容器本体がゲーブルトップとも称される切妻型容器であったり樹脂製キャップとTEバンドとの隙間が小さい場合などは、リシールした後でTEバンドの位置が視認し難い場合も想定できる。
【0046】
これに対して本実施形態の樹脂製キャップ100と容器口部200を含むキャップユニット300では、
図5に示すように、閉栓の過程において樹脂製キャップ100のうちスカート壁20の下端部から下方へ突出する裾下凸部40下端がTEバンド30の上端30uとまず接触する。そしてさらに使用者が閉栓動作を継続して樹脂製キャップ100を容器口部200と螺合させると、図示されるように、裾下凸部40下端がTEバンド30の上端30uを押下してTEバンド30が容器口部200の傾斜面230aに乗り上がる。
【0047】
このようにスカート壁20の下端部20eに設けられた裾下凸部40がTEバンド30を傾斜面230aへ押し上げることで、少なくとも柱部41の軸方向長さの分だけ、スカート壁20の下端部20eとTEバンド30の上端30uとの隙間が維持されることになる。これにより、例えば初期封止時に比して上記隙間が広がることから、使用者が容易に開封された証を視認することが可能となっている。
【0048】
また
図5から明らかなように、本実施形態のTEバンド30は上記したスリット32を具備していることから、この閉栓時に裾下凸部40(具体的には押下部42)がTEバンド30の上端30uを押下したとき、スリット32の隙間が広がることでTEバンド30が傾斜面230aに容易に乗り上がることが可能となっている。また、本実施形態のTEバンド30は上記したスリット32を具備していることから、上記閉栓時に少なくとも裾下凸部40の分だけ上記隙間が広がった状態でTEバンド30とスカート壁20との隙間が維持されることになる。
【0049】
このように本実施形態のキャップユニットは、天面板10と、前記天面板10の周縁から降下すると共に下端部から下方へ向かうにつれて末広がる裾下凸部40が突出するように設けられたスカート壁20と、前記スカート壁20の前記下端部20eに設けられた破断可能なブリッジBrを介して連結されると共に前記裾下凸部40が収容される収容凹部31が形成されたTEバンド30と、を備えた樹脂製キャップ100と、注出筒部210と、前記注出筒部210の下方に形成されて前記TEバンド30の内周面に形成された係止突起部33と係合するカブラ部220と、前記カブラ部220の下方に形成されて前記TEバンド30の外周面よりも外側へ末広がる傾斜面230aと、を備えた容器口部200と、を含み、前記樹脂製キャップ100による前記容器口部200の閉栓時に、前記裾下凸部40下端が前記TEバンド30の上端30uを押下して前記TEバンド30が前記傾斜面230aに乗り上がることを特徴としている。
【0050】
これにより容器口部200の閉栓時に裾下凸部40下端がTEバンド30の上端30uを押下することでTEバンド30が容器口部200の傾斜面230aに乗り上がることで、キャップ本体とTEバンドとの隙間が容易に視認することが可能となっている。なお、このときTEバンド30はハの字状に広がりながら傾斜面230aに乗り上がることから、TEバンド30の下部がスカート壁20よりも径方向外側に広がることになり、これによりキャップ上方側からの開封有無の視認性も向上することになる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0052】
例えば、上記した実施形態では、裾下凸部40における押下部42は、柱部41から周方向の一方へ向けて突出するように設けられていた。しかしながら本発明はこの態様には限定されず、押下部42は、柱部41から周方向の両側へ向けてそれぞれ突出するように設けられていてもよい。この場合、収容凹部31も、上記した押下部42の形状に対応した形態となることは言うまでもない。
【0053】
また、上記した実施形態では、裾下凸部40における柱部41は、軸方向(
図2におけるZ方向)に沿って同じ幅(幅Wpp)となるようにスカート壁20の下端部20eから垂下していた。しかしながら本発明はこの態様には限定されず、柱部41の幅Wppは、軸方向に沿って均一とならずともよく、例えばスカート壁20の下端部20eから下方に向かうにつれて末広がるように幅Wppが増加していく形態であってもよい。かような場合には、柱部41と押下部42との境界は厳密に規定される必要はなく、正面視が長靴状でなく直角三角形や二等辺三角形のごとき形状を呈してもよい。また、上記した実施形態では、裾下凸部40下端に周方向における最大幅Wprを設けていたが、この最大幅Wprは裾下凸部40下端に設定される形態に限らず、例えば、裾下凸部40下端から若干上方の位置を最大幅Wprとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、本発明の樹脂製キャップと容器口部を含んだキャップユニットは、閉栓時におけるTEバンドの位置を容易に視認することを実現するのに適している。
【符号の説明】
【0055】
100 樹脂製キャップ
10 天面板
20 スカート壁
30 TEバンド
200 容器口部
210 注出筒部
220 カブラ部
230 傾斜部
240 フランジ部
300 キャップユニット