(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122028
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】駐輪管理システムおよび駐輪管理方法
(51)【国際特許分類】
B62H 3/08 20060101AFI20240902BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240902BHJP
E05B 71/02 20060101ALI20240902BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240902BHJP
B62H 5/16 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B62H3/08
G07B15/00 S
G07B15/00 510
E05B71/02 Z
E05B49/00 R
B62H5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029331
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北林 功一
(72)【発明者】
【氏名】井澤 雅夫
【テーマコード(参考)】
2E250
3E127
【Fターム(参考)】
2E250AA11
2E250BB02
2E250BB04
2E250BB47
2E250CC16
2E250DD08
2E250FF11
3E127AA02
3E127AA18
3E127BA11
3E127BA30
3E127CA25
3E127CA36
3E127CA41
3E127CA47
3E127EA04
3E127EA18
3E127EA33
3E127FA16
3E127FA18
3E127FB18
(57)【要約】
【課題】駐輪管理システムにおいて、利用者の利便性を向上させ、不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止する。
【解決手段】駐輪場内を撮像する1つ以上のカメラ250と、自転車を施錠する1つ以上の駐輪ロック装置350と、駐輪場管制装置200とを備える駐輪管理システム。駐輪場管制装置200は、カメラ250の撮像画像を解析して人物及び自転車を認識する画像解析部263と、画像解析部263による認識結果に応じて、駐輪ロック装置350の施錠又は解錠のタイミングを制御する施錠・解錠制御部261を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐輪場内を撮像する1つ以上の撮像部と、自転車を施錠する1つ以上のロック装置と、駐輪場管制装置とを備える駐輪管理システムであって、
前記駐輪場管制装置は、
前記撮像部の撮像画像を解析して人物及び自転車を認識する画像解析部と、
前記画像解析部による認識結果に応じて、前記ロック装置の施錠又は解錠のタイミングを制御するロック装置制御部を有する
駐輪管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駐輪管理システムであって、
前記画像解析部は、前記認識された人物の移動状態を判定し、
前記ロック装置制御部は、
前記画像解析部により、人物の前記移動状態が、自転車とともに移動している状態であると判定され、その後に、自転車を前記ロック装置のいずれかに施錠準備状態に配置した状態であると判定された場合、前記施錠準備状態にある前記ロック装置を施錠する
駐輪管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の駐輪管理システムであって、
前記施錠した前記ロック装置を識別するための識別情報と、自転車を前記施錠準備状態に配置した人物の外観の撮像画像と、前記ロック装置を前記施錠した日時情報とを紐づけて記憶する預け入れ情報記憶部を有し、
前記ロック装置制御部は、前記画像解析部により、人物の前記移動状態が、自転車とともに移動していない状態であると判定され、当該人物の外観が、前記預け入れ情報記憶部に記憶された撮像画像中の人物の外観と一致する場合、当該人物の外観に紐づいた前記識別情報に対応する前記ロック装置に関する駐輪料金の精算の要否を判定し、精算の必要がないと判定された場合に、施錠状態にある前記ロック装置を解錠する
駐輪管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の駐輪管理システムであって、
前記ロック装置制御部は、前記画像解析部により、前記外観が一致する人物の、前記識別情報に対応する前記ロック装置への接近が検出された場合に、前記ロック装置を解錠する
駐輪管理システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の駐輪管理システムであって、
前記画像解析部により、人物の前記移動状態が、自転車とともに移動していない状態であると判定され、当該人物の外観が、前記預け入れ情報記憶部に記憶された撮像画像中の人物の外観と一致しない場合、当該人物を注意対象人物として、前記撮像画像から当該人物の行動を監視する行動監視部を有する
駐輪管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の駐輪管理システムであって、
前記行動監視部は、前記注意対象人物が前記ロック装置のいずれかに駐輪中の自転車を持ち出すまたは当該自転車に対して損害を与える行動をしていることを検出した場合、アラート情報を出力する
駐輪管理システム。
【請求項7】
請求項3に記載の駐輪管理システムであって、
前記ロック装置に自転車を預け入れた利用者が駐輪料金の精算を要求する情報とともに当該利用者の外観を撮像した画像を受信し、当該利用者の外観を撮像した画像が前記預け入れ情報記憶部に記憶された撮像画像中の人物の外観と一致する場合、当該人物の外観に紐づいた前記識別情報に対応する前記ロック装置に関する駐輪料金を精算する料金精算部を有する
駐輪管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の駐輪管理システムであって、
前記ロック装置制御部は、前記駐輪場に自転車を預け入れた利用者が駐輪料金の精算を要求する情報とともに代理の者が自転車を引き取りに来ることを示す情報を受信した場合、前記料金精算部により駐輪料金が精算されたあと、所定時間内に前記ロック装置への人物の接近が検出された場合に、前記ロック装置を解錠する
駐輪管理システム。
【請求項9】
駐輪場内を撮像するステップと、ロック装置で自転車を施錠するステップを有する駐輪管理方法であって、
撮像画像を解析して人物及び自転車を認識するステップと、
認識結果に応じて、前記ロック装置の施錠又は解錠のタイミングを制御するステップを有する
駐輪管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐輪管理システムおよび駐輪管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有料の駐輪場において、複数の駐輪ロック装置を備えて利用者は自転車をロック装置に持ち出し不能な状態に施錠しておき、駐輪料金を精算するとロック装置を解錠して自転車を取り出して利用する駐輪管理システムが実現している。
【0003】
また、昨今の有料の駐輪場では、駐輪料金の精算に現金でなくスマートフォン等の利用者の携帯端末を利用して、電子決済により料金の精算をおこない、駐輪ロック装置の解錠をおこなう駐輪管理システムも実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、有料駐車(駐輪)場で駐車料金を精算するに際して、スマートフォンを使用して実行する方法に係り、特に、駐車料金の精算時に、スマートフォンに予めインストールされた特定の駐車場用アプリを起動させ、駐車場名と駐車位置番号をそのアプリから入力し、駐車料金を管理装置に照会し、駐車料金の精算時は、そのアプリからアカウント情報やパスワード情報を入力して、精算を完了する技術が開示されている。
【0006】
特許文献1の技術では、駐車料金の精算を携帯端末から実行することができるという利点を有する。また、アカウント情報およびパスワード情報を端末装置に入力するだけで駐車料金の精算を実行できるので、現金を持ち運ぶ煩わしさもなくなる。さらに、車両を駐車する際に、利用駐車場名と駐車位置番号を管理装置に入力して、ロック要求を設定すると、精算時に要求される利用駐車場名と駐車位置番号が設定されたものと一致しないと精算が中止されるので、他人が無断で精算し、車両を退出するという危険性を防止することができる。
【0007】
ところが、特許文献1の技術では、駐輪場で他人が無断で精算して自転車を不正に持ち去ることを防止するためには、自転車を駐輪する時にロック要求と同時に入力した利用駐車場名と駐車位置番号を再度携帯端末に入力する必要があり、利用者にとっては利便性がよいとは言えない。
さらに、利用者が自転車のロック装置とある程度離れた位置で精算した場合に、利用者の自転車のロック装置の近くに居た他人が、ロック解除したロック装置から不正に自転車を持ち去ることも出来てしまう。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、利用者の利便性を向上させ、不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止することが出来る駐輪管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の第1の駐輪管理システムは、
駐輪場内を撮像する1つ以上の撮像部と、自転車を施錠する1つ以上のロック装置と、管理装置とを備える駐輪管理システムであって、
前記駐輪場管制装置は、
前記撮像部の撮像画像を解析して人物及び自転車を認識する画像解析部と、
前記画像解析部による認識結果に応じて、前記ロック装置の施錠又は解錠のタイミングを制御するロック装置制御部を有する。
【0010】
本発明の第1の駐輪管理システムによれば、駐輪場内の人物と自転車の認識結果に応じてロック装置の施錠又は解錠のタイミングが制御されるため、利用者の利便性が向上し、不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止することができる。
【0011】
(2)本発明の第2の駐輪管理システムは、上記(1)において、
前記画像解析部は、前記認識された人物の移動状態を判定し、
前記ロック装置制御部は、
前記画像解析部により、人物の前記移動状態が、自転車とともに移動している状態であると判定され、その後に、自転車を前記ロック装置のいずれかに施錠準備状態に配置した状態であると判定された場合、前記施錠準備状態にある前記ロック装置を施錠する。
【0012】
本発明の第2の駐輪管理システムによれば、人物の移動状態に応じてロック施錠のタイミングが制御されるため、駐輪時の施錠が簡単になり利用者の利便性が向上する。
【0013】
(3)本発明の第3の駐輪管理システムは、上記(2)において、
前記施錠した前記ロック装置を識別するための識別情報と、自転車を前記施錠準備状態に配置した人物の外観の撮像画像と、前記ロック装置を前記施錠した日時情報とを紐づけて記憶する預け入れ情報記憶部を有し、
前記ロック装置制御部は、前記画像解析部により、人物の前記移動状態が、自転車とともに移動していない状態であると判定され、当該人物の外観が、前記預け入れ情報記憶部に記憶された撮像画像中の人物の外観と一致する場合、当該人物の外観に紐づいた前記識別情報に対応する前記ロック装置に関する駐輪料金の精算の要否を判定し、精算の必要がないと判定された場合に、施錠状態にある前記ロック装置を解錠する。
【0014】
本発明の第3の駐輪管理システムによれば、利用者の外観と精算の要否に基づいてロック解除のタイミングを制御するため、利用者は駐輪場利用時に特にロック装置番号等を管理装置に入力する必要がなく、引き取り時の解錠が簡単になり利用者の利便性が向上する。また自転車を預けた利用者本人が引き取りに来た時にだけロック解錠するので不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止することができる。
【0015】
(4)本発明の第4の駐輪管理システムは、上記(3)において、
前記ロック装置制御部は、前記画像解析部により、前記外観が一致する人物の、前記識別情報に対応する前記ロック装置への接近が検出された場合に、前記ロック装置を解錠する。
【0016】
本発明の第4の駐輪管理システムによれば、利用者がロック装置と離れた場所で精算した場合でも、ロック装置への接近が検出されて初めてロック解除するので、不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止することができる。
【0017】
(5)本発明の第5の駐輪管理システムは、上記(3)~(4)において、
前記画像解析部により、人物の前記移動状態が、自転車とともに移動していない状態であると判定され、当該人物の外観が、前記預け入れ情報記憶部に記憶された撮像画像中の人物の外観と一致しない場合、当該人物を注意対象人物として、前記撮像画像から当該人物の行動を監視する行動監視部を有する。
【0018】
本発明の第5の駐輪管理システムによれば、駐輪場の不正利用を抑止できる。また不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止することができる。
【0019】
(6)本発明の第6の駐輪管理システムは、上記(5)において、
前記行動監視部は、前記注意対象人物が前記ロック装置のいずれかに駐輪中の自転車を持ち出すまたは当該自転車に対して損害を与える行動をしていることを検出した場合、アラート情報を出力する。
【0020】
本発明の第6の駐輪管理システムによれば、駐輪場の不正利用を抑止できる。
【0021】
(7)本発明の第7の駐輪管理システムは、上記(3)において、
前記ロック装置に自転車を預け入れた利用者が駐輪料金の精算を要求する情報とともに当該利用者の外観を撮像した画像を受信し、当該利用者の外観を撮像した画像が前記預け入れ情報記憶部に記憶された撮像画像中の人物の外観と一致する場合、当該人物の外観に紐づいた前記識別情報に対応する前記ロック装置に関する駐輪料金を精算する料金精算部を有する。
【0022】
本発明の第7の駐輪管理システムによれば、利用者が精算要求する際に駐輪場名やロック装置番号を入力する必要がなく、利便性が向上する。また、精算を要求する情報を送信する利用者側の手段として、利用者の携帯端末装置か、駐輪場の案内端末装置か、駐輪場の精算装置を使うことも可能になるため、利用者が精算要求する手段が複数選択できて、駐輪場内の混雑時にも有用であり、利便性がさらに向上する。
【0023】
(8)本発明の第8の駐輪管理システムは、上記(7)において、
前記ロック装置制御部は、前記駐輪場に自転車を預け入れた利用者が駐輪料金の精算を要求する情報とともに代理の者が自転車を引き取りに来ることを示す情報を受信した場合、前記料金精算部により駐輪料金が精算されたあと、所定時間内に前記ロック装置への人物の接近が検出された場合に、前記ロック装置を解錠する。
【0024】
本発明の第8の駐輪管理システムによれば、自転車を預け入れた利用者の代理の者が自転車を引き取りに来た場合でも、ロック解錠が可能になるため、利便性が向上する。また正当な権利を持たず、不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止することができる。
【0025】
(9)本発明の第1の駐輪管理方法は、
駐輪場内を撮像するステップと、ロック装置で自転車を施錠するステップを有する駐輪管理方法であって、
撮像画像を解析して人物及び自転車を認識するステップと、
認識結果に応じて、前記ロック装置の施錠又は解錠のタイミングを制御するステップを有する。
【0026】
本発明の第1の駐輪管理方法によれば、駐輪場内の人物と自転車の認識結果に応じてロック装置の施錠又は解錠のタイミングが制御されるため、利用者の利便性が向上し、不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、利用者の利便性を向上させ、不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止することが出来る駐輪管理システムを実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本実施形態の駐輪管理システムの構成の概念図である。
【
図2】本実施形態の管理装置の機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態の駐輪場管制装置の機能ブロック図である。
【
図5】本実施形態の駐輪場の入口カメラの画像の説明図である。
【
図6】本実施形態の場内カメラの画像説明図である。
【
図7】本実施形態のデータベースの構成の説明図である。
【
図8】本実施形態の駐輪ロック装置の施錠と解錠のタイミング制御のフロー図である。
【
図9】本実施形態の駐輪ロック装置の動作のフロー図である。
【
図10】本実施形態の携帯端末での精算動作の説明図である。
【
図11】本実施形態の携帯端末での警報出力の説明図である。
【
図12】本実施形態の携帯端末での監視出力の説明図である。
【
図13】本実施形態の携帯端末での監視出力の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る駐輪管理システムについて説明する。
図1は駐輪管理システムの構成の概念図である。以下、本実施形態の駐輪管理システム1の全体構成について説明する。
【0030】
[駐輪管理システムの全体構成]
駐輪管理システム1は、管理装置100、駐輪場管制装置200、精算機300、複数のロック装置350などを含む。管理装置100と駐輪場管制装置200はインターネットなどの通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続している。管理装置100は、駐輪場利用者が使う携帯端末M(1つ1つを区別するときは「携帯端末M1、M2・・・」とする)と相互に通信可能に接続している。
【0031】
管理装置100は、Web/APIサーバ、DBサーバ、メールサーバ等のサーバ110と、複数のデータベース120(DB120)を含む。サーバ110は典型的にはコンピュータであり、インストールされているソフトウェアプログラムが、図示しない演算装置などのハードウェアを用いて、所定の情報処理を実行するように構成されている。管理装置100はインターネット経由で、図示しない外部決済機関とも通信可能となっている。
【0032】
駐輪場管制装置200は、駐輪場内に配置されている。駐輪場管制装置200は典型的にはコンピュータであり、インストールされているソフトウェアプログラムが、図示しない演算装置などのハードウェアを用いて、所定の情報処理を実行するように構成されている。駐車場管制装置200は表示器210と複数のカメラ250(入口カメラ255と、第1~第4の場内カメラ251~254)と接続する。カメラ250は撮像部であり、撮影画像の動画あるいは静止画を駐車場管制装置200に提供する。
【0033】
精算機300は、中央演算装置(CPU)311とメモリ312がバス310、インターフェイス320と接続して制御部を構成し、制御部は外部通信部321、操作キー群322、音声出力装置323、表示画面装置324、入出力部325、係員呼び出し釦326、コインセレクタ327、紙幣リーダ328、コイン払出装置329、精算機カメラ330を制御して、表示機能・操作機能・精算機能・案内機能等を提供する。精算機300は、外部通信部321を介して駐輪場管制装置200と接続される。入出力部325経由で複数の駐輪ロック装置350と接続されていて、駐輪ロック装置350を制御する。
【0034】
精算機300の一部が駐車場管制装置200の役割を担っていてもよい。たとえば、精算機カメラ330は、カメラ250の機能を担っていてもよい。
【0035】
各駐輪ロック装置350は、制御部351を有する。制御部351は、ソレノイド352と、フックスイッチ353と、ロックスイッチ354と、LED(Light Emitting Diode)355等と電気的に接続され、ソレノイド352やLED355への通電およびその解除を制御し、ロックスイッチ354やフックスイッチ353のON/OFF状態を検出する。制御部351は、典型的にはコンピュータで構成され、自身の駐輪ロック装置番号に対応したIDを記録する記憶部等を有する。
【0036】
ソレノイド352が初期状態であり、フックスイッチ353やロックスイッチ354がOFF状態のとき、駐輪ロック装置350に自転車の駐輪が可能な状態である。この状態を「解錠状態」と呼ぶ。解錠状態で自転車の車輪が駐輪ロック装置350に押し込まれると、制御部351はこれを検知して、フックスイッチ353、ロックスイッチ354、LED355をON状態にして、自転車を駐輪ロック装置350に確保する。この状態を「施錠状態」と呼ぶ。駐輪ロック装置350は、制御部351による各種ロック機構の制御により、自転車のロック状態を変更することができる。駐輪ロック装置350は、精算機300の制御により作動でき、精算機300は駐輪場管制装置200や管理装置100からの制御により作動させることができる。したがって、駐輪ロック装置350は、精算機300、駐輪場管制装置200、管理装置100の遠隔からの制御を受けて自転車を施錠することも、解錠することもできる。
【0037】
[管理装置の機能構成]
図2は、本実施形態の管理装置の機能ブロック図である。管理装置100は、精算受付部131、決算要求部132、情報出力部133、利用者画像取得部134、精算情報出力部135の機能を備えるように構成される。管理装置100は、基本的に、携帯端末Mからの精算要求に対応する機能と、外部に決済を要求する機能を担うが、駐車場管制装置200の機能の一部を担ってもよい。
【0038】
精算受付部131は、携帯端末M経由での精算要求を受け付ける。
決済要求部132は、受け付けた精算要求に基づいて外部の決済サーバに決済を要求する。
情報出力部133は、受け付けた精算要求やデータベース120から精算の実行処理に必要な情報を取得して外部の決済サーバに出力する。
利用者画像取得部134は、駐輪場管制装置200から撮像された利用者画像を取得する。
精算情報出力部135は、外部の決済サーバからの出力を駐輪場管制装置200に出力する。
【0039】
[駐輪場管制装置の機能構成]
図3は、本実施形態の駐輪場管制装置の機能ブロック図である。駐輪場管制装置200は、施錠・解錠制限部261、画像取得部262、画像解析部263、移動追跡部264、精算情報取得部265、在車情報取得部266、行動監視部267、体温計測部268、案内・警報部269の機能を備えるように構成される。ただし、これは駐輪場管制装置の機能構成の一例であって、画像解析部263、移動追跡部264、行動監視部267、体温計測部268等の機能は、ネットワーク経由で全て管理装置100に持たせてもよい。
【0040】
施錠・解錠制御部261は、「ロック装置制御部」の一例であり、駐輪ロック装置350を制御して、自転車を施錠または解錠する。
画像取得部262は、カメラ250から撮像画像を取得する。
画像解析部263は、取得した撮像画像を画像解析する。特に、移動物体の抽出、移動物体が人物であるか否か、あるいは、移動物体が自転車であるか否かを判断する。
移動追跡部264は、移動物体の移動状態を判断し、移動状態を追跡する。
精算情報取得部265は、駐輪ロック装置番号が指定された場合などに、当該番号の駐輪にかかった費用の精算に必要な情報を精算機300または管理装置100から取得する。
在車情報取得部266は、駐輪ロック装置番号が指定された場合などに、データベース120に当該番号の在車情報を問い合わせて取得する。
行動監視部267は、駐輪場内の移動物体が人物であり、さらに、行動監視するべきと判断される場合に、行動を監視する。
体温計測部268は、入口カメラ255で取得された人物の顔画像などから人物(利用者)の体表の温度を取得する。
案内・警報部269は、案内情報やアラーム情報を出力する。出力の方法は表示器110による表示である。不図示のスピーカで音声を出力してもよい。
【0041】
図4は本実施形態の駐輪場の平面図である。
駐輪場の出入口から自転車と共に利用者が入場すると、入口カメラ255の撮像領域を必ず通過することになる。また、第1~第4の場内カメラ251~254など、複数のカメラ250のいずれかの撮像領域に、場内の通路を移動し、いずれかの番号の駐輪ロック装置350に自転車を置き(ラック部に挿入し)、さらに徒歩で移動する利用者も撮像されるように、場内カメラ251~254の数と画角が設定されている。
【0042】
表示器210は、満空状況や、空いている駐輪ロック装置350の装置番号や、後述する体温情報などを表示可能なモニター画面で構成されている。内部にスピーカによる音声出力機能を有している。
【0043】
駐輪ロック装置350は複数の駐輪エリアに分けて、多数の群として整然と設置されている。各駐輪ロック装置350には外部から視認できるように駐輪ロック装置番号が付されている(
図4中では、No.1,2,12が図示されている。
図6も参照)。精算機300から各駐輪ロック装置350への制御はローカルエリアネットワーク(LAN)などの場内通信手段を用いる。制御通信には中継器を介してもよい。
【0044】
駐輪場管制装置200は、人物(利用者を含む)が入場してきたか否かを判定し、また、その入場人物の移動状態を判定する。
【0045】
[人物の入場の判定]
図5は、本実施形態の駐輪場の入口カメラの画像の説明図である。
入口カメラ255で撮像された画像からは、駐輪場管制装置200の画像解析部263の機能によって、利用者画像IM1と、利用者顔画像IM2と、自転車画像IM3に分けて認識される。これらの画像は、駐輪場管理装置100の内部処理的に、矩形の枠で示されるバウンディングボックス(Bounding Box)BBが夫々設定され、そのバウンディングボックスBBの重心位置の移動経路を画像のフレーム毎に追跡して、認識された物体(顔・人体・自転車)毎の移動経路が認識される。
【0046】
また、利用者が場内を移動するに際して、入口カメラ255の撮像範囲を超えても、他の第1~第4の場内カメラ251~254のいずれかによって、少なくとも利用者画像IM1と自転車画像IM3は、逐一移動軌跡が追跡される。
【0047】
駐輪場管制装置200は、入口カメラ255の撮像画像から、利用者顔画像IM2を取得したうえで、赤外線成分を計測する。これにより、さらに利用者の体温を認識でき、計測した体温を表示器210に都度表示できる。
駐輪場管制装置200は、利用者顔画像IM2をデータベース120(入場画像データベース123)に記憶する。
【0048】
[移動状態の判定]
図6は、本実施形態の場内カメラの画像説明図である。
図では、利用者が自転車を牽いて駐輪場内のいずれかの駐輪ロック装置350に移動してラック部に自転車の前輪を挿入して駐輪するシチュエーションが示されている。このシチュエーションにおいて、移動追跡部264は、図において利用者が太破線の軌跡を辿って移動していることを認識する。また、自転車が太破線の軌跡を辿って移動していることも認識する。
【0049】
図6には示されていないが、移動追跡部264は、駐輪ロック装置番号12に自転車を挿入させた後、さらに、利用者のみが移動して駐輪場から退場するところまで認識する。画像解析部263は、他の自転車や他の利用者、人物が、画像取得部262の取得した画像内に映っている場合でもそれぞれに対して画像解析を行う。これにより、移動追跡部264は複数の移動する利用者や利用者と自転車を追跡して認識することができる。
【0050】
[駐輪ロック装置の状態]
利用者の駐輪行為により、自転車が駐輪ロック装置番号12の駐輪ロック装置350に挿入されたことは、当該駐輪ロック装置350のフックスイッチ353のONによって検出される。フックスイッチ353がONでロックスイッチ354がOFFの状態を「施錠準備状態」という。駐輪場管制装置200は、施錠準備時状態の駐輪ロック装置350を、たとえば所定の時間が経過した後や、利用者の駐輪場からの退出を検出した後に、「施錠状態」にする。駐輪場管制装置200は、ロックスイッチ354をONにする信号(ソレノイド352を解放する信号)を送信し、自転車をロック装置350に施錠する。
【0051】
駐輪装置350の制御部351は、施錠が完了したことを示す情報を駐輪場管制装置200に送信する。駐輪場管制装置200は、前述の利用者顔情報とともに、その日時などの時間情報をデータベース120に記録する。記録する日時情報は、施錠準備状態になった時点などの、自転車の入庫した時間に関する情報でもよい。自転車の入庫した時間に関する情報は、データベース120において、利用者顔画像IM2と紐づけられる。
【0052】
[データベースの構成]
図7は、本実施形態のデータベースの構成の説明図である。
データベース120は、在車データベース121と、履歴データベース122と、入場画像データベース123を含む。
【0053】
在車データベース121は、自転車が入場あるいは入庫されるごとに新規作成されるレコードを蓄積するデータベースである。在車データベース121は、レコードごとに記憶する情報として、「管理番号」、「入場(画像撮像)日時」、「入場画像番号」、「ロック装置番号」、「ロック装置検知日時」、「ロック装置施錠日時」、「ロックステータス」、「精算日時」、「駐輪料金」、「ロック装置解錠日時」を含む情報を有する。
【0054】
「管理番号」は、ユニークな番号であり、各データベース間のデータ紐づけにも利用される。
「入場(画像撮像)日時」は、自転車と利用者の入場時の移動状態を、入口カメラ255で撮像した日時を表す情報である。
「入場画像番号」は、入場画像のユニークな番号である。
「ロック装置番号」は、移動経路から推定した駐輪ロック装置350の番号あるいは駐輪ロック装置350が駐輪を検出したことにより確定した番号である。
「ロック装置検知日時」は、駐輪ロック装置350のフックスイッチ353がONした日時を表す情報である。
「ロック装置施錠日時」は、駐輪ロック装置350のロックスイッチ354がONした日時を表す情報である。
「ロックステータス」は、駐輪ロック装置350の状態(ステータス)を示す情報であり、たとえば、解錠状態あるいは未施錠状態のときは「0」と定義される。同様に、カメラ250の撮像画像の解析により利用者と自転車の移動状態から施錠準備状態であると推定される場合は「1」と定義される。同様に、駐輪ロック装置350により施錠状態が確定した場合は「2」と定義される。
「精算日時」は、利用者が精算した日時を表す情報である。
「駐輪料金」は、料金である。
「ロック装置解錠日時」は、駐輪ロック装置350のロックスイッチ354をOFFした日時を表す情報である。
【0055】
履歴データベース122は、すでに出庫した自転車の、入庫時の情報のレコードを蓄積するデータベースである。履歴データベース122は、レコードごとに記憶する情報として、「管理番号」、「入場(画像撮像)日時」、「入場画像番号」、「ロック装置番号」、「精算日時」、「駐輪料金」、「ロック装置検知OFF日時」、「出場画像番号」を含む情報を有する。
【0056】
駐輪場管制装置200は、画像解析により出場を確認した自転車に係る在車データベース121のレコードをコピーして、履歴データベース122のレコードを新規作成する。履歴データベース122は、在車データベース121の持つ情報のうち、「ロック装置検知日時」、「ロック装置施錠日時」、「ロックステータス」、「ロック装置解錠日時」は持たなくてもよい。
【0057】
履歴データベース122の持つ情報のうち、「管理番号」、「入場(画像撮像)日時」、「入場画像番号」、「ロック装置番号」、「精算日時」、「駐輪料金」は、在車データベース121と同様である。ただし、「ロック装置番号」は、駐輪を検知した駐輪ロック装置350の駐輪ロック装置番号であり、確定した番号になる。
「ロック装置検知OFF日時」は、駐輪ロック装置350のフックスイッチ353がOFFした日時を表す情報である。ロックスイッチ354がOFFしただけでは自転車が駐輪ロック装置350から引き出されたか不明であるため、フックスイッチ353がOFFした日時を記録する。「出場画像番号」は、たとえば出口カメラを設置した場合、出場画像の番号である。
【0058】
入場画像データベース123は、駐輪場に入場した人物の画像を蓄積する。画像解析部263が入口カメラ255の撮像画像から人物を検出した場合、その撮像画像が蓄積される。入場画像データベース123は、「入場時画像」、「入場画像番号」、「管理番号」、「入場(画像撮像)日時」、「画像ステータス」を含む情報を有する。
【0059】
「入場時画像」は、入場時の利用者画像IM1である。利用者画像IM1に含まれる利用者顔画像IM2を予め抽出して別画像として記憶してもよい。
「入場画像番号」は、入場画像のユニークな番号である。
「管理番号は、ユニークな番号であり、各データベース間のデータ紐づけにも利用される。
「入場(画像撮像)日時」は、自転車と利用者の入場時の移動状態を、入口カメラ255で撮像した日時を表す情報である。
「画像ステータス」は、撮像画像中の人物の顔認証の照会として、たとえば利用者顔画像IM2を登録者データベース(不図示)と照合し、登録者であることが確認された場合に「1」を付与し、確認されなかった場合にその他の値を付与するものである。その他の値としては、一般利用者(利用者登録しないで都度利用する利用者)として「2」を付与する。
【0060】
以上でデータベースの構成、あるいは、本実施形態において記憶される情報について説明した。
以下では、本実施形態に係る駐輪場管理システム1において、駐輪場管制装置200(ロック装置制御部の実施形態)が、駐輪ロック装置350の施錠と解錠のタイミングを制御する情報処理について説明する。
【0061】
[施錠と解錠のタイミング制御]
図8は、本実施形態の駐輪ロック装置の施錠と解錠のタイミング制御のフロー図である。駐輪場に人物が入場してきた場合の、駐車場管制装置200の情報処理を説明する。ここで、「人物」が入場してきた場合としたのは、駐輪場に入場するのは駐輪場の利用者のみとは限らず、駐輪場の監視や清掃、メンテナンスのために入場する者や、不正な目的で利用しようとする者(不正利用者)もいるからである。
【0062】
まず、ステップS101で入口カメラ255の画像から移動物体の検知を監視する。ここでは、画像取得部262が入口カメラ255の撮像画像を取得して、画像解析部263が移動物体の有無を検知する。移動物体が検知されるとYESとなってステップS102に移行する。
【0063】
続いてステップS102では、画像解析部263が撮像画像を画像解析して、撮像画像中に認識される移動物体が、人物(のみ)か、あるいは、人物と自転車かが識別される([人物の入場の判定]参照)。続いてステップS103では、解析結果に応じて移動状態を判定する([移動状態の判定]参照)。人物と自転車が認識される場合は新規入場と推定し、ステップS104へ移行する。人物のみが認識される場合は、預け入れている自転車を引き取りに来た(出庫)と推定し、ステップS111へ移行する。
【0064】
新規入場の場合、続いてステップS104において、体温計測部268の機能で利用者の体温が計測され、異常(閾値以上の高体温)の場合はステップS105に移行して、案内・警報部269の機能により、図示しないスピーカや表示器210において警報を出力する。または、別途開閉ゲート等を設けて入場を拒否することも可能であるが、実施例では警報(注意喚起等)にとどめている。
【0065】
なお、体温測定を入場の条件とすることで、利用者は入口カメラ255か別途の体温計測用カメラに顔を向けることになり、後述する利用者確認(照会)機能が精度よく実施することができるという効果がある。
【0066】
体温が正常であれば、ステップS106に移行し、第1~第4の場内カメラ251~254からの画像による移動追跡部264の機能によって利用者と自転車の移動軌跡が追跡される。
【0067】
続いてステップS107で、利用者がいずれかの駐輪ロック装置350のラック部に自転車の前輪を挿入すると、当該駐輪ロック装置350のフックスイッチ353がONになる。これにより、精算機300及び駐輪場管制装置200は、利用者が自転車を施錠準備状態に配置した状態であると認識する。駐輪場管制装置200はさらに撮像画像に基づく人物と自転車の移動軌跡の監視を停止する。またこの時に、利用者が自転車を配置した駐輪ロック装置番号が決定する。駐輪ロック装置番号は、在車データベース121に現在の日時情報とともに利用者顔画像IM2と紐づけられて記録される。
【0068】
続いてステップS108に移行して、場内カメラ画像から、利用者でない他の利用者(他人)が当該駐輪ロック装置350の近傍にいる、または接近してきたことが認識できるか否かを判定する。認識できる場合は、ステップS109に移行して駐輪ロック装置350に対して強制施錠の指令を出力する。これにより、他人による自転車の不正な持ち出しを防止することができる。
認識できない場合は強制施錠の必要はないため、サービスタイム終了後に自動施錠される(ステップS110、
図9参照)。
【0069】
なお、サービスタイムは利用者が他の駐輪ロック装置350に移動させようとして、一旦自転車を配置した当該駐輪ロック装置から取り出したり、極めて短時間の利用により利用料金の精算を必要とせずに自転車を取り出したりできる猶予時間であり、通常は数分程度に設定される。
【0070】
このように、駐輪場管制装置200は、人物の移動状態が、自転車とともに移動している状態であると判定され(ステップS103、人物と自転車)、その後に、自転車を前記ロック装置のいずれかに施錠準備状態に配置した状態であると判定された場合(ステップS107、Yes)、自転車が配置されたことにより施錠準備状態にある駐輪ロック装置350を施錠する。これにより、人物の移動状態に応じてロック施錠のタイミングが制御されるため、駐輪時の施錠が簡単になり利用者の利便性が向上する。
【0071】
一方、ステップS103で出庫と推定される場合の処理の流れを説明する。
入場カメラ255で撮像した画像から画像解析部263で解析した結果、人物のみが認識された場合、ステップS111に移行して、駐輪中の利用者か否かが判断される。具体的には、在車情報取得部266の機能により、在車データベース121や入場画像データベース123に記録された利用者顔画像IM2を検索する。検索によっても、同一人物が抽出されない場合は、メンテナンス入場や不正目的の可能性があるため、ステップS115に移行して、人物の行動監視が実施される。
【0072】
在車情報取得部266の機能により同一人物とされるデータを抽出できた場合はS111における判定がYESとなり、ステップS112に移行して、精算情報取得部265の機能により、精算済かどうかが判断される。精算済の場合はステップS113に移行し、その後、当該利用者が在車データベース121に駐輪ロック装置番号が記録された駐輪ロック装置350に接近したタイミングで、ステップS114に移行して、当該駐輪ロック装置350の強制解錠を指令出力する。
【0073】
なお、精算は、場内の精算機300でもよいし、携帯端末Mによるオンライン精算でもよい。場内での精算の場合は、人物(利用者)が入場して精算機300で操作して、駐輪ロック装置350に至るまで、その移動軌跡が追跡されている。
【0074】
以上のように、出庫と推定される場合、駐輪場管制装置200は、移動状態にある人物の外観が、データベース120に記憶された撮像画像中の人物の外観と一致するか否かを判定する(ステップS111)。一致した場合(同一人物とされるデータを抽出できた場合)、当該人物の外観に紐づいた管理番号に対応する駐輪ロック装置350に関する駐輪料金の精算の要否を判定する(ステップS112)。精算の必要がないと判定された場合に(ステップS112、Yes)、施錠状態にある駐輪ロック装置350を解錠する(ステップS114)。
【0075】
これにより、利用者は駐輪場利用時に特にロック装置番号等を管理装置に入力する必要がなく、引き取り時の解錠が簡単になり利用者の利便性が向上する。また自転車を預けた利用者本人が引き取りに来た時にだけロック解錠するので不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止することができる。
【0076】
さらに、このとき、データベース120に記憶された撮像画像中の人物の外観と外観が一致する人物の接近が検出されたときに、駐輪ロック装置350を解錠する(ステップS113)。本実施形態でいう「接近」は、人物と駐輪ロック装置350との間の距離が所定の距離(例えば数mなど)以内になったことを検出した場合などである。あるいは、駐輪ロック装置350の設置されているエリア内に人物が入ったことが撮像画像の解析により検出された場合にそれを「接近」として検出してもよい。
【0077】
これにより、利用者が駐輪ロック装置350と離れた場所で精算した場合(たとえば、オンライン精算の場合)でも、駐輪ロック装置350への接近が検出されて初めてロック解除するので、不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止することができる。
【0078】
[施錠動作]
図9は本実施形態の駐輪ロック装置350の動作のフロー図である。
図9は、
図8のステップS110(自動施錠)の詳細な動作である。
【0079】
ソレノイド352の状態が初期状態である場合は、フックスイッチ353およびロックスイッチ354いずれもOFFである。LED355はONで、点灯している。本例において、LED355の点灯は、駐輪ロック装置350が使用できる状態であることを示す。これにより、仮に停電して通電されていない状態では、LED355は消灯しているし、ソレノイド352も吸引状態にはないので、利用できない状態とわかる。
【0080】
まず、空いている駐輪ロック装置350に対して、利用者が自転車を挿入する。自転車の挿入によりフックスイッチ353がONになる。制御部351は、フックスイッチ353がONとなったことを検出すると(ステップ1)、サービスタイムの計測を開始する(ステップ2)。サービスタイムは、精算機300で所定の長さに設定可能である。
【0081】
制御部351は、サービスタイムの経過を監視しながら(ステップ3)、フックスイッチ353がOFFしたかの監視を繰り返す(ステップ4)。もし、サービスタイムの間に、利用者が自転車を引き出すと、フックスイッチ353はOFFとなり、その時点で処理を終了する。一方で、サービスタイムが経過してもそのまま自転車が駐輪準備状態にあれば、制御部351は、ソレノイド352を解放する(ステップ5)。制御部351は、すぐさまロックスイッチ354がONとなったかを監視し(ステップ6)、ONであればLED355を消灯する(ステップ7)。もし、ステップS6で一定時間経過してもロックスイッチ354がONとならない場合には、図示しないがエラーとなって処理を中止するのがよい。
【0082】
LED355をOFF(消灯)にした後、制御部351は、駐輪時間の計測を開始する(ステップ8)。これ以降は「施錠状態」であるので、料金精算(0円での精算もありえる)によって「解錠状態」に戻すことができる。制御部351は、精算完了されたかを監視する(ステップ9)。制御部351は、該当する駐輪ロック装置350の駐輪ロック装置番号の入力に引き続いてその装置の駐輪時間から料金を計算して、その精算が完了した場合に、ソレノイド352を吸引する(ステップ10)。次に、制御部51は、すぐさまロックスイッチ354がOFFしたかを監視して(ステップ11)、OFFしていればLED355を点滅する(ステップ12)。これは、利用者にとって、LED点滅で精算済の駐輪ロック装置350を目視ですぐに見分けられるからである。
【0083】
その後、制御部351は、フックスイッチ353がOFFしたかどうかを監視する(ステップ13)。この間、駐輪ロック装置350は「解錠状態」となるが、再び駐輪準備状態に戻ったことと同じである。よって、この状態で利用者が自転車を引き出せば、フックスイッチ353はOFFとなる。そして、制御部51は、LED355をON(点灯)させて処理を終了する(ステップ14)。
【0084】
なお、ステップS13でフックスイッチ353がOFFになるまでに、ステップS3のサービスタイムが経過した場合には、再度ステップS5の動作を繰り返してもよい。すなわち、一旦精算完了させておき、そのまま駐輪を継続させた場合には、再度施錠状態に戻してもよい。
【0085】
このように自動施錠の動作が実行される。強制施錠の動作の場合は、サービスタイムが設定されない。
【0086】
[精算動作]
図8のステップS112の精算の要否判定では、精算情報取得部265が、精算機300または管理装置100に精算の要否を問い合わせる。場内精算が行われた場合は、精算機300が、精算の必要なしである情報を返す。オンライン精算が行われた場合は、管理装置100が、精算の必要なしである情報を返す。
【0087】
本実施形態では、利用者が顔画像認証を利用した精算を希望する場合、場内精算であってもオンライン精算であっても、利用者顔画像を取得し、これをデータベース120に記録された入場時画像と照合する。外観が一致する場合に、当該入場時画像に対応する駐輪料金を精算する。
【0088】
場内精算の場合は、精算機カメラ330で精算時の利用者顔画像を取得する。取得した利用者顔画像は駐輪料金の精算を要求する情報とともに管理装置100へ送信される。オンライン精算の場合は、携帯端末Mにより利用者顔画像が管理装置100に提供される。いずれの場合も管理装置100が料金精算部として機能する。オンライン精算について、
図10を参照しながら、以下、説明する。
【0089】
図10は本実施形態の携帯端末での精算動作の説明図である。
図10(1)の画面は利用者のスマートフォンなどの携帯端末Mのオンライン精算機能を実現する画面であり、管理装置100のWeb/APIサーバが生成して指定したURLにアクセスして機能を実現することができる。複数の駐輪場や、複数の駐輪エリア毎にURLを変えてもよい。また指定したURLは場内のいずれかにQRコード(登録商標)として貼り付けられていてもよい。
【0090】
図10(1)において、利用者の携帯端末には自撮り用のカメラが搭載されている。通常であれば、利用者は駐輪ロック装置350のラック部に自転車の前輪を挿入した後、当該画面で番号入力し、パスワードや暗証番号を登録することができる。本実施形態では、特にパスワードや暗証番号を登録する必要はない。
【0091】
精算に際して、利用者は、番号入力で、駐輪ロック装置番号を入力する。ただし、失念した場合でも「装置番号が解らない場合」をクリックすると、
図10(2)の画面が表示される。この間、携帯端末Mでは自動的に利用者の携帯端末Mのカメラによって、利用者顔画像が撮像され、管理装置100に利用者顔画像が送信されている。すなわち携帯端末Mは、
図10(2)で「装置番号が解らない場合」がクリックされたときに、駐輪料金の精算を要求する情報を送信する。この精算要求には、自撮り用のカメラで撮像された利用者顔画像(現在利用者顔画像IM4)が含まれている。
【0092】
管理装置100は、利用者顔画像IM4とともに精算要求を受信すると、在車データベース121に記憶されている入場時画像の中から、受信した利用者顔画像IM4と外観が一致する画像を抽出する。管理装置100は抽出した入場時画像を、入口画像とともに携帯端末Mで表示可能に出力する。また、在車データベース121から入場場所や日時情報や現在の利用料金等が入場情報として表示される。
【0093】
図10(3)の画面は利用者の携帯端末で画像表示部をクリックすることで、拡大画像として入口カメラ255による利用者画像に紐づいた利用者顔画像IM2を表示している。また、画像表示部の右上には、現在のカメラ画像(現在利用者顔画像IM4)がサムネール状に表示されている。
【0094】
図10(4)の画面は利用者の携帯端末で「決定」をクリックすることで、支払情報入力の画面に移行した状態を示す。この例ではクレジットカード決済の状態を示したが、「他の決済」をクリックすることで、各種のコード決済等の画面遷移することができる。
【0095】
管理装置100は、精算要求とともに受信した現在利用者顔画像IM4と一致する入場時画像(利用者顔画像IM2)が在車データベース121内にある場合、その入場時画像に紐づいた駐輪料金や駐輪ロック装置番号を、外部の決済サーバにおける決済時に利用する。このようにして、利用者は携帯端末Mから、駐輪ロック装置番号を入力することなく、駐輪ロック装置350を決定して、精算することができる。
【0096】
上述したような場内精算、あるいは、オンライン精算によると、入場時の利用者顔画像(入場時画像)と精算時の利用者顔画像の照合により、自動的に利用者が精算要求する際に駐輪場名やロック装置番号を入力する必要がなくなるため、利便性が向上する。また、精算を要求する情報を送信する利用者側の手段として、利用者の携帯端末装置か、駐輪場の案内端末装置か、駐輪場の精算装置を使うことも可能になるため、利用者が精算要求する手段が複数選択できて、駐輪場内の混雑時にも有用であり、利便性がさらに向上する。
【0097】
[行動監視と警報出力]
駐輪場においては、たとえば、自転車の盗難、放置、精算機や自動販売機の窃盗、痴漢、長期滞留、喧嘩、泥酔寝込みなどの行為が、利用者の利便性を低下させる。これらの行為は駐輪場を正当な目的で利用するものでなく、駐輪中の自転車を持ち出すまたは当該自転車に対して損害を与える行為であるので「不正行為」と呼ぶ。
【0098】
図8のステップS115の行動監視においては、このような不正行為を監視する。具体的には、これらの行動の類型的な移動状態のパターンをデータベース120に蓄積しておき、行動監視部267の機能により、カメラ250による撮像画像から抽出される移動状態がパターンに一致すれば、「不正行為」と認識する。不正行為と認識した場合、案内・警報部269の機能により表示器110などを介して、アラーム情報を出力する。
【0099】
図11は、本実施形態の携帯端末での警報出力の説明図である。利用者が携帯端末Mによって精算するのは、必ずしも駐輪場内とは限らない、例えば鉄道駅に隣接した駐輪場の精算のため、利用者が電車の中で先にオンライン精算することも可能である。その場合、精算してから利用者が自転車を持ち出すまで、かなりの時間が経過するが、その間に駐輪ロック装置が解錠されたままだと、他人が不正に自転車を持ち去ることとができてしまう。よって前述した通り、利用者本人が駐輪ロック装置に接近するまで、駐輪ロック装置を強制施錠状態として、接近したタイミングで強制解錠する。なお、強制施錠・強制解錠は、駐輪ロック装置350の通常の施錠解錠動作条件に関わらず、管理装置100の指令により駐輪ロック装置350の施錠・解錠を制御することを意味する。
【0100】
したがって、不正に他人の自転車を持ち去ろうとすることができないが、駐輪場内の安全の確保のために、駐輪場内を徘徊している不審者については、前述の行動監視部267によって監視されている。本実施例では、精算した駐輪ロック装置に近づいてきて、一定時間その場に滞在している不審者等が居た場合、利用者に注意情報を出力することができる。利用者に身に覚えがなければ、係員に通報する機能を実施することも出る。
本実施形態によれば、以上のような行動監視と警報出力により、駐輪場の不正利用を抑止できる。
【0101】
[代理の者による引き取り]
一方で、本人ではない他人に自転車の引き取りを依頼することがあり得る。例えば共用の自転車を返却することができず、知り合いに引き取りして返却を依頼するなどである。その場合、利用者顔画像が一致しない他人は、精算完了しても駐輪ロック装置350は解錠されず、自転車を持ち出すことができない。
【0102】
そこで本実施形態では、行動監視部267によって異常の可能性があると通知するが、本人の許可により遠隔で駐輪ロック装置350の解錠を指示することが可能となっている。この機能の中に、パスワードや暗証番号を登録し、知り合いの間でその情報が共有されている場合のみ、駐輪ロック装置350を解錠できる様にしてもよい。
【0103】
駐輪場管制装置200は、携帯端末Mから、「自転車を預け入れた利用者が駐輪料金の精算を要求する情報」とともに、「代理の者が自転車引き取りにくることを示す情報」を受信した場合は、その精算要求に基づいて駐輪料金が精算された後、所定時間(例えば、30分以内、1時間以内など)内に、駐輪料金が精算された駐輪ロック装置350に、人物の接近の有無を検出する。人物の接近が検出された場合に、駐輪場管制装置200は、駐輪ロック装置350を解錠する。これにより、本実施形態によれば、以上のような代理の者による引き取りが可能になるので、利用者の利便性が向上する。
【0104】
ただし、代理の者でない他人により自転車が持ち出されることが懸念される場合は、精算機300にて、預け入れた利用者と代理の者しか知らない暗証番号の入力を求めてもよい。また、精算機カメラ330で撮像した代理利用者の顔画像を、代理利用者顔画像として在車データベース121などに記録させ、その代理利用者が駐輪ロック装置350に接近したタイミングで駐輪ロック装置350を強制解錠してもよい。
【0105】
図12は、本実施形態の携帯端末での監視出力の説明図である。
図13は、本実施形態の携帯端末での監視出力の拡大図である。
本実施形態では、上述した行動監視部267による監視機能を応用して、リモートで監視画面を出力することができる。
図12のように、自分の自転車の駐輪した駐輪ロック装置350の番号が決定していれば、ライブ画像で駐輪状態を目視することができる。また、この画像を共有して、代理利用者に引き取りを依頼したり、自転車の共有サービスの返却情報として提供したりすることもできる。その場合、
図13の拡大図のように、バウンディングボックスBBを表示して自転車の位置を強調したり、駐輪ロック装置350の駐輪ロック装置番号や駐輪したエリアの表示を付したりすることもできる。
【0106】
なお、利用者本人あるいは代理の者が、オンライン精算でなく場内で精算機300を用いて精算した場合、精算機300が精算情報に基づいて駐輪ロック装置番号を表示や音声により出力する。これにより、精算機300で駐輪ロック装置350の番号を入力する必要がない。したがって、利用者本人が駐輪ロック装置番号を失念したり、代理の者による引き取りの際に、代理を依頼した利用者が自転車を配置した駐輪ロック装置350の駐輪ロック装置番号を知らなかったりした場合でも、引き取りに来た人物は、円滑に駐輪ロック装置350の位置を知ることができる。これにより、利用者の利便性が向上する。
【0107】
もし、駐輪ロック装置350の駐輪ロック装置番号を知っても、または分かっていても駐輪場内を徘徊してしまう利用者がいる場合には、利用者がすでにオンライン精算していれば、オンライン精算に利用された携帯端末Mに対して、場所の通知や案内情報を送信してもよい。これにより、駐輪場の不正利用との識別を明確にし、結果的に駐輪場の不正利用自体を抑制できる。
【0108】
[他の実施形態]
以上で、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0109】
図8の施錠と解錠のタイミング制御においては、画像解析により認識された人物の「移動状態」を判定し、判定結果に応じて駐輪ロック装置350を制御しているが、単に画像解析による認識結果に応じて施錠と解錠のタイミングを制御してもよい。例えば、カメラ250のいずれかに映る撮像画像から、「人物が、自転車を駐輪ロック装置350に配置している」と認識される場合、その駐輪ロック装置350を施錠するように構成してもよい。また、在車データベース121に入場時の利用者顔画像IM2が登録されている人物が、駐輪場に入場してきたと認識される場合、その登録されている利用者顔画像IM2に紐づいている駐輪ロック装置番号の駐輪ロック装置350を解錠してもよい。駐輪場の中を移すカメラの撮像画像の画像解析による認識結果に応じて、駐輪ロック装置350の施錠又は解錠のタイミングを制御することで、利用者の利便性が向上する。また、不正に他人の自転車を持ち去ろうとする行為を高精度に防止することができる。
【0110】
本発明の技術は、利用者の入場と退場に伴い、物体や商品を預け入れして管理するシステムに応用可能である。例えば、自動二輪車の駐車場において、本発明の技術はほぼ同一形態で実現できる。昨今の進化した顔画像の認証機能によれば、ヘルメットやマスクをした顔画像においても、かなりの精度で本人か他人かの識別が可能になっている。また、さらに発展させて、自動車の駐車場においてもドライバの顔画像において本人認証することで管理することも可能である。もちろんホテル等のクロークでのコートや手荷物管理において、本発明の技術を応用して、自動預け入れシステムを構築することも可能である。
【0111】
本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上説明したように、本発明の技術は鉄道駅近隣に設置された駐輪場や、商業施設等に付設される駐輪場において、好適に利用可能な技術である。
【符号の説明】
【0113】
100…管理装置
120…データベース
200…駐輪場管制装置
250…カメラ(撮像装置)
251~254…第1~第4の場内カメラ
255…入口カメラ
261…施錠・解錠制御部
262…画像取得部
263…画像解析部
264…移動追跡部
265…精算情報取得部
266…在車情報取得部
267…行動監視部
268…体温計測部
269…案内・警報部
350…駐輪ロック装置