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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122035
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】脱臭装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20240902BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A61L9/00 C ZAB
B01D53/86 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029343
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慎也
(72)【発明者】
【氏名】松元 雪男
(72)【発明者】
【氏名】吉川 宗利
(72)【発明者】
【氏名】神蔵 雄生
【テーマコード(参考)】
4C180
4D148
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180BB03
4C180BB04
4C180BB06
4C180BB07
4C180BB08
4C180BB13
4C180BB14
4C180CC02
4C180CC12
4C180CC13
4C180EA04X
4C180EA05X
4C180EA33X
4C180EA35X
4C180EA39X
4C180JJ02
4C180KK01
4C180LL12
4C180MM02
4D148AA22
4D148AB03
4D148BA08Y
4D148BA19Y
4D148BA28Y
4D148BA30Y
4D148BA31Y
4D148BA33Y
4D148BA35Y
4D148BA41Y
4D148BB02
4D148BB07
4D148BD01
4D148EA04
(57)【要約】
【課題】
適切なタイミングで脱臭フィルタの再生を行ないながら、消費電力を抑えて悪臭成分の脱臭処理を連続して効率よく行うことを可能とする生ごみ処理層脱臭装置を提供する。
【解決手段】
上記課題を解決するために、本発明の脱臭装置は、第1の脱臭部205と、第1の脱臭部205とは異なる位置に設けられた第2の脱臭部210と、第1の脱臭部205、及び、第2の脱臭部210に空気を導入する導入口201と、導入口201と、第1の脱臭部205及び第2の脱臭部210の少なくともいずれか一方との間に設けられた切替手段215と、切替手段215の位置を導入口201から導入された空気を第1の脱臭部205へ通過させる第1の位置から、導入口201から導入された空気を第2の脱臭部210へ通過させる第2の位置へ切替る切替制御手段150とを備えたことを特徴としている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の脱臭部と、
前記第1の脱臭部とは異なる位置に設けられた第2の脱臭部と、
前記第1の脱臭部、及び、前記第2の脱臭部に空気を導入する導入口と、
前記導入口と、前記第1の脱臭部及び前記第2の脱臭部の少なくともいずれか一方との間に設けられた切替手段と、
前記切替手段の位置を前記導入口から導入された空気を前記第1の脱臭部へ通過させる第1の位置から、
前記導入口から導入された空気を前記第2の脱臭部へ通過させる第2の位置へ切り替る切替制御手段と、を備えたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
前記導入口に設けられた切替手段と、
前記導入口から導入された空気を廃棄する排気口と、前記第1の脱臭部及び前記第2の脱臭部の少なくともいずれかとの間に設けられた他の切替手段
によって前記第1の脱臭部または前記第2の脱臭部は密閉されることを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置
【請求項3】
前記切替手段を駆動させる駆動手段を有し、前記駆動手段により前記切替手段は回転動作にて前記第1の脱臭部、及び、前記第2の脱臭部への通気を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置
【請求項4】
前記切替手段を駆動させる駆動手段を有し、前記駆動手段により前記切替手段は直動動作にて前記第1の脱臭部、及び、前記第2の脱臭部への通気を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置
【請求項5】
前記第1の脱臭部を加熱する第1の加熱部と、
前記第2の脱臭部を加熱する第2の加熱部と、
前記第1の加熱部及び前記第2の加熱部を制御する加熱制御手段と、を備え、
前記加熱制御手段は、前記切替手段が前記第1の位置に位置するときに、前記第2の加熱部を加熱し、
前記切替手段が、前記第2の位置に位置するときに、前記第1の加熱部を加熱することを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置。
【請求項6】
前記脱臭触媒は、常温で活性化して臭気成分を分解することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の脱臭装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に生ごみ等から発生する臭気を脱臭処理するための脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生ごみ等の有機物を処理する有機物処理装置は、廃棄物処理過程で臭気成分が発生するため、臭気成分の脱臭処理を行ない外気に排気するようになっている。
【0003】
脱臭処理の方法として、従来においては、例えば特許文献1のように、臭気を含んだガスを、セラミックを含む吸着剤を充填した吸着塔を通過させて装置外へ排出する方法、また、特許文献2のように排気ガスを排出する前に脱臭触媒を用いた加熱脱臭装置を通過させて装置外へ排出する方法を採用した装置等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-29736公報
【特許文献2】特開2001-205234公報"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような脱臭装置では臭気を含んだ排気ガスを排出する経路は基本的に1つの経路により構成されている。ここで脱臭処理を継続するに伴い吸着剤、あるいは脱臭触媒が飽和状態となった場合、これらの脱臭部材を再生する必要がある。その際、脱臭装置の運転を一時中断して吸着剤あるいは脱臭触媒の再生処理を別途行う必要があった。結果として脱臭部材を再生している間は生ごみ等の処理を控えるしかなく、装置として必ずしも使い勝手が良好であるとは言えなかった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、脱臭と再生を切り替えることで、連続的に悪臭成分の処理を行うことを可能とする脱臭装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の脱臭装置は、第1の脱臭部と、
前記第1の脱臭部とは異なる位置に設けられた第2の脱臭部と、
前記第1の脱臭部、及び、前記第2の脱臭部に空気を導入する導入口と、
前記導入口と、前記第1の脱臭部及び前記第2の脱臭部の少なくともいずれか一方との間に設けられた切替手段と、
前記切替手段の位置を前記導入口から導入された空気を前記第1の脱臭部へ通過させる第1の位置から、
前記導入口から導入された空気を前記第2の脱臭部へ通過させる第2の位置へ切り替る切替制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の脱臭装置によれば、脱臭装置の再生を行う際、脱臭装置の運転を一時中断して脱臭触媒の再生処理を行うことなく、脱臭装置を連続的に稼働させた状態で適切な制御により脱臭フィルタの再生を行ないながら、併行して悪臭成分の脱臭処理を連続して効率よく行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1~4において使用する生ごみ処理装置の外観図である。
図2】本発明の実施形態1~4において使用する生ごみ処理装置の内部構成図である。
図3】本発明の実施形態1を説明する脱臭装置の構成を示す上面図である。
図4】本発明の実施形態1を説明する制御装置の構成を示した図である。
図5】本発明の実施形態1を説明するフローチャートを示した図である。
図6】本発明の実施形態2を説明する脱臭装置の構成を示す上面図である。
図7】本発明の実施形態3を説明する脱臭装置の構成を示す上面図である。
図8】本発明の実施形態4を説明する脱臭装置の構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の脱臭装置は、排気を通気する排気経路は脱臭経路と再生経路からなる経路により構成されており、前記脱臭経路および前記再生経路の両方には脱臭触媒を備え、前記排気経路は所定条件を満たしたときに前記脱臭経路と前記再生経路を交互に切り替える機構を有することを特徴としている。本発明に係わる好適な一実施形態として生ごみ処理機用脱臭装置を例示し、図1から3に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態1に係る生ごみ処理装置(以下、処理装置A)の外観図、図2は処理装置Aの内部構造の説明図である。図中、矢印Zは鉛直方向(処理装置Aの高さ方向)を示し、矢印X及びYは互いに直交する水平方向(X方向は処理装置Aの幅方向、Y方向は処理装置Aの奥行き方向)を示す。処理装置Aは生ごみ等の廃棄物を処理対象物とし、その減量処理する生ごみ処理装置である。なお、本実施形態では処理装置を生ごみ等の廃棄物を減量処理する生ごみ処理装置に適用した場合を想定するが、本発明はこれに限定されず、各種の有機廃棄物の処理装置に適用可能である。図1に示すように、処理装置Aの上面には、生ごみを投入する投入口1aを開閉するドア1が回動自在に設けられている。ドア1を閉鎖した状態では、処理装置A内が気密に保たれるようにドア1の周囲には不図示のシール部材が設けられる。
【0012】
処理装置Aの正面には、操作部3が設けられている。操作部3には処理装置Aの処理開始、停止等をユーザが指示するためのスイッチ等が設けられる。また、減量処理済の処理対象物を排出するための排出口2、及び、この排出口2を開閉するためのドア2aが回動自在に設けられている。
【0013】
図2を参照して、処理装置Aは底板4を備え、その下面にはキャスタ5が取り付けられており、処理装置Aの移動を容易なものとしている。底板4上にはX方向に互いに離間した仕切壁6乃至8がZ方向に立設されている。仕切壁6乃至8は底板4に固定され、処理装置A内を区画する隔壁である。底板4の外面には処理槽を加熱する加熱手段として面状ヒータが設けられている。処理装置A内では、処理対象物として、例えば、生ごみ等の廃棄物を処理する。
【0014】
仕切壁6と仕切壁7との間の空間は第1処理槽10を、仕切壁7と仕切壁8との間の空間は第2処理槽11を、それぞれ形成し、X方向に連続して配設されたこれらの第1処理槽10及び第2処理槽11が生ごみを減量処理する処理槽を構成している。なお、本実施形態では、処理槽を大別して2槽構成としているが、本発明は、例えば、1槽又は3槽以上の処理槽に適用してもよく、本実施形態の処理槽の構成に限定されるものではない。
【0015】
第2処理槽11のX方向の側方には、仕切壁8で仕切られた貯留槽12が形成されている。貯留槽12は減量処理された処理対象物が第2処理槽11から導入される。貯留槽12は排出口2と連通しており、ドア2aを開放することで貯留槽12から減量処理済の処理対象物を取り出すことができる。
【0016】
処理装置Aは、駆動ユニット20を備える。駆動ユニット20は、第1処理槽10及び第2処理槽11を横断する駆動軸21を備える。駆動軸21はX方向に延設され、仕切壁6乃至8にそれぞれ設けた軸受け22により回転自在に支持されている。駆動ユニット20は、また、駆動軸21の一方端部に固定されたスプロケット23と、モータ24とを備える。スプロケット23と、モータ24の出力軸に固定したスプロケット23とにはチェーンが巻き回されてベルト伝動機構が構成されている。そして、モータ24の駆動により駆動軸21が回転するようにしている。
【0017】
第1処理槽10内において、駆動軸21にはその径方向に延びる攪拌棒25が複数取り付けられている。駆動軸21の回転により、攪拌棒25によって第1処理槽10、第2処理槽11内の処理対象物が攪拌される。仕切壁7の下部には、第1処理槽10と第2処理槽11とを連通させる連通孔71が形成されており、攪拌棒25による攪拌により、第1処理槽10から第2処理槽11へ処理対象物が移動可能となっている。
【0018】
第2処理槽11内の処理対象物は、その堆積量の増加により仕切壁8を超えて貯留槽12へ落下し、貯留槽12内に堆積する。なお、本実施形態では、仕切壁8を超えて第2処理槽11から貯留槽12へ処理対象物が移動可能としたが他の方法も採用可能である。例えば、仕切壁8の下部に連通孔(連通部)を設けて第2処理槽11から貯留槽12へ処理対象物がアンダーフローすることにより、処理対象物を移動可能としてもよい。
【0019】
本実施形態の処理対象となる臭気は生ごみ等有機物から発生する臭気成分を指している。上記の臭気成分は主に第1処理槽10と第2処理槽11および貯留槽12に堆積している処理物から発生し、上記の第1処理槽10と第2処理槽11および貯留槽12の空間全体に存在している。
【0020】
以下、処理槽から発生した臭気成分を臭気ガス処理装置100に導く処理経路について説明する。
【0021】
第1処理槽10には、送風機35が設けられている。送風機35は第1処理槽10内の空気を図2の矢印で示す方向に吸引・送風し、第1処理槽10内の空気を循環させる。貯留槽12及び第2処理槽11の上方空間には、ケース部材104に収容された臭気ガス処理装置100が配設されている。ケース部材104は箱状をなし、送風機31からの空気が内部に導入される。導入された空気は、ケース部材104内に配置された臭気ガス処理装置100により脱臭される。
【0022】
送風機31は仕切壁7を通過するダクト31aを介して処理槽10内の空気を吸引してケース部材104内へ送風する。ケース部材104内へ送風された空気は導入口104cから脱臭装置200内へ導入される。これにより処理槽10内の空気は脱臭装置200に供給されることになる。臭気ガス処理装置100により脱臭処理された空気は、配管を通じて排気口37から外部に排出される。ここで、本実施形態の処理装置Aでは、上述した通り、第1処理槽10内の空気を排気する前に、脱臭装置200で脱臭処理が行われる。以下、この脱臭装置200について詳細に説明する。
【0023】
図3に示すように脱臭装置200は、ガス導入口201と、ガス排出口202と、第1の脱臭経路203と、第2の脱臭経路204とを備える。第1の脱臭経路203には臭気ガスを脱臭するための第1の脱臭部205が設けられ、第1の脱臭部205は臭気を脱臭する第1の触媒206と、第1の触媒を格納する第1の触媒ケース207と、第1の触媒ケースの外周に第1の触媒を加熱するための第1の加熱手段208と、第1の加熱手段により加熱された第1の脱臭部内を断熱するための第1の断熱手段209を備える。また第2の脱臭経路204には臭気ガスを脱臭するための第2の脱臭部210が設けられ、第2の脱臭部は臭気を脱臭する第2の触媒211と、第2の触媒を格納する第2の触媒ケース212と、第2の触媒ケースの外周に第2の触媒を加熱する第2の加熱手段213と、第2の加熱手段により加熱された第2の脱臭部内を断熱するための第2の断熱手段214を備える。第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204の切り替え弁としてガス導入口側とガス排出口側のそれぞれにフラッパー215を備える。本実施形態では図3に示すように、第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204は並列した状態で配置されている。
【0024】
ガス導入口201は、図2においてケース部材104内に送風された処理槽10内の空気を、第1の脱臭部205あるいは第2の脱臭部210に導入するための筒状の通路となっている。ガス排出口202は、臭気ガス処理装置内の第1の脱臭部205あるいは第2の脱臭部210で脱臭処理により浄化された空気を、外部に排出するための筒状の通路となっている。
【0025】
第1の脱臭部205は、臭気ガス処理装置内の臭気経路を構成しており、ガス導入口201とガス排出口202の間に配置されている。
【0026】
脱臭部には触媒が配置され、生ごみ処理装置からのガスに含まれる臭気成分を分解し取り除く。即ち、脱臭部を生ごみ処理からのガスが通過する前に脱臭部に配置された触媒が臭気成分を分解する。
【0027】
本実施形態における第1の触媒206及び第2の触媒211は、活性化させるために要するエネルギーを極力抑える観点から、常温で活性化する触媒を用いることが好ましい。具体的には、例えば酸化マンガン及び酸化銅等の金属酸化物を含む酸化触媒を使用することができる。他の常温で活性を示す触媒として、酸素欠損を含む酸化物に貴金属を担持したものを使用することもできる。一例としてセリウム酸化物とジルコニウム酸化物を含みセリウム酸化物の一部が酸素欠損の状態で存在する酸化物に、Pt,Pd、Ir等の貴金属が担持されたものを挙げることができる。なお、酸素欠損とは酸化物を形成している酸素の一部が脱離した活性の高い状態であり、酸化物として結合している酸素のモル数が規定値より少ない状態のことを指す。セリウム酸化物は酸素欠損状態を生成しやすい材料として好適である。第1の触媒206及び第2の触媒211の形状は特に制限されないが、ガス流通時に発生する差圧が小さく、ガスの接触面積が大きい形状が好ましい。具体的な形状としては、例えばハニカム、メッシュ、フィルタ等が挙げられる。
【0028】
第1触媒ケース207および第2の触媒ケース212は、それぞれ第1および第2の脱臭部における触媒を格納するためのケースとなっており、脱臭経路としてガス導入口201およびガス排出口202と連通する部分は開放されている。また、第1の脱臭ケース207および第2の脱臭ケース212の外周には加熱手段を配置してもよく、第1の脱臭ケース207および第2の脱臭ケース212を介して必要に応じ、脱臭ケース内部に格納された触媒を加熱できるようになっている。
【0029】
第1の面状ヒータ208は、第1の脱臭部205における第1の脱臭ケース207の外周に設置される加熱手段である。第1の面状ヒータ208は第1の脱臭部205を加熱し、第1の脱臭ケース207に格納された第1の触媒206を加熱する。第1の脱臭部205に格納された第1の触媒206は、第1の面状ヒータ208によって加熱されると第1の触媒表面に吸着した臭気成分を含むガスを脱離する。
【0030】
第2の面状ヒータは、第2の脱臭部における第2の脱臭ケースの外周に設置される加熱手段である。第2の面状ヒータ213は第2の脱臭部210を加熱し、第2の脱臭ケース212に格納された第2の触媒211を加熱する。第2の脱臭部210に格納された第2の触媒211は、第2の面状ヒータ213によって加熱されると第2の触媒表面に吸着した臭気成分を含むガスを脱離する。
【0031】
これら第1の面状ヒータ208および第2の面状ヒータ213は、制御部150からの信号出力により、それぞれ独立に制御され、第1の面状ヒータ208は第1の脱臭部205を、第2の面状ヒータ213は第2の脱臭部210を加熱する。なお、面状ヒータは加熱手段の一例である。
【0032】
第1の断熱手段209および第2の断熱手段214は、第1および第2の脱臭部における第1および第2の脱臭ケースの外周にそれぞれ設置される断熱材である。第1および第2の断熱材は、第1および第2の脱臭部に格納された触媒を再生処理する場合に面状ヒータにより加熱する際、触媒に与える熱を効率的に利用し、外部に熱が拡散することを防止するための断熱手段となっている。断熱材の種類としては特に制限されるものではなく、グラスウール、ロックウール、ウレタンフォーム、フェノールフォーム等の公知の断熱材を使用することが可能である。
【0033】
本実施形態における脱臭ガス処理装置では、第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204の切り替え弁は、フラッパー215とフラッパー回転軸216により構成される。フラッパー215は制御部150図示しない駆動モータによってフラッパー回転軸216を回転させることで図3に示す矢印の方向に回転動作される。これらのフラッパーは、切替制御手段としての制御部150からの信号出力により、図示しない駆動モータを駆動させて、それぞれ第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204の開閉ができるようになっている。本実施例においては、切替制御手段を制御部内に設けているが、制御部とは別に設けることも可能である。
【0034】
前記フラッパーは、脱臭部入口側におけるフラッパー215と脱臭部出口側におけるフラッパー215がそれぞれ設けられ、これら2つのフラッパーは同期しており、作動の時間が一致している。
【0035】
脱臭部入口側および出口側のフラッパー215は第1の脱臭経路203および第2の脱臭経路204の入口側および出口側を交互に開閉可能であって、第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204の間に回転可能に支持されている。
【0036】
入口側フラッパーは、第1の脱臭経路203を開いたときに第2の脱臭経路204を閉じて密閉するようになっている。この時に出口側のフラッパーも同期して第1の脱臭経路203を開き、第2の脱臭経路204を閉じて密閉するように作動する。これにより第1の脱臭経路203は入口と出口が開いた状態となり、ガス導入口201から流入したガスが流れ第1の脱臭部205を介して脱臭処理が行われ、浄化されたガスがガス排出口202に導かれる。一方、第2の脱臭経路204は、入口と出口が閉じた状態となり、第2の脱臭部210は入口側および出口側のフラッパー215により密閉された状態となる。
【0037】
またフラッパーを回転動作させて入口側のフラッパー215が第2の脱臭経路204を開いたときには第1の脱臭経路203を閉じて密閉するようになっている。この時に出口側のフラッパーも同期して第2の脱臭経路204を開き、第1の脱臭経路203を閉じて密閉するように作動する。これにより第2の脱臭経路は入口と出口が開いた状態となり、ガス導入口201から流入したガスが流れ第2の脱臭部210を介して脱臭処理が行われ、浄化されたガスがガス排出口202に導かれる。一方、第1の脱臭経路203は入口と出口が閉じた状態となり、第1の脱臭部205は入口側および出口側のフラッパー215により密閉された状態となる。
【0038】
上記のようにフラッパー215により臭気ガスの脱臭処理を行う脱臭経路を択一することができる。即ち、第1の脱臭経路203を開いたときに、ガス導入口から流入する臭気ガスが第1の脱臭部205を流れ、第2の脱臭経路204を開いたときに、ガス導入口201から流入する臭気ガスが第2の脱臭部210を通過することができるようにすることができる。
【0039】
臭気センサ217は、ガス排出口202を介して接続される。第1および第2の脱臭部を通過したガスは臭気センサ217を通過して、ガス排出口202から排出される。臭気センサを設置する位置は臭気経路に1つあればよく、例えば脱臭経路において脱臭部を通過した下流側に設置することが好ましく、本実施形態のように脱臭触媒を通過したガス排出口の位置に設置することが好適である。臭気センサにおける臭気を検知する検知部は、脱臭部を通過したガスの流れの中に晒されている。臭気センサは第1および第2の脱臭部を通過したガスの臭気の程度を測定する。臭気センサの種類としては、公知の臭気センサを使用することが可能であるが、例えば気体検知管等を利用して、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、トリエチルアミン、アセトアルデヒド等の悪臭物質の濃度を検出する方式を採用してもよい。また、他には酸化インジウム等の半導体表面へ臭気ガス分子が吸着することで起こる表面反応によって、半導体の抵抗値が変化することを利用して臭気の程度を検知する酸化物半導体方式の臭気センサ等を採用することも可能である。なお臭気センサは臭気ガス検知手段の一例である。
【0040】
本実施形態の場合、臭気ガス処理装置で処理された空気は、図2の送風機36により吸引され、ダクト103c、排気口37を介して処理装置Aの外部に排出される。
【0041】
(動作例)
次に本実施形態の生ごみ処理装置に使用される脱臭装置の動作例について説明する。脱臭装置200は、生ごみ処理装置への通電後、図5に示すフローチャートに従って動作する。第1あるいは第2いずれか一方の脱臭経路において行なわれる通常運転である脱臭運転と、脱臭運転が行われない他方の脱臭経路において、臭気センサが所定の閾値以上の臭気を検出した場合に触媒再生運転とを行う。また各工程の制御は、図4に示す制御部150が各部に指示を行う。次にそれぞれの運転について説明する。
【0042】
(1)脱臭運転
ステップS1において、生ごみ処理装置内の脱臭装置が脱臭運転を行う際、図2の送風機31を動作させる。ステップS2において、制御部150により脱臭装置200に配置された入口側および出口側のフラッパー215は第2の脱臭部側に向けられた状態となっている。ステップS3では、第1の脱臭部205はガス導入口201およびガス排出口202と連通した状態となり、第1の脱臭経路203を形成し、脱臭運転を連続的に行う。なお、この段階では各脱臭部の面状ヒータは動作しない。一方、第2の脱臭部210はフラッパー215により密閉された状態となる。また、ステップS4において、制御部150は、臭気センサ217により第1の脱臭部205を通過したガスに対する臭気の程度を監視する。
【0043】
生ごみ脱臭装置の処理槽において、微生物が生ごみを分解することによって臭気成分を含むガスが発生する。臭気を含んだガスは、送風機31によって、処理槽の空間からケース部材104を通って脱臭装置200に導かれる。
【0044】
また、脱臭装置200内に導かれたガスは、ガス導入口201を通って第1の脱臭部205に達する。
【0045】
第1の脱臭部205では、第1の触媒ケース207に設けられた第1の触媒206である常温触媒により、臭気成分を含むガスが触媒表面に接触し、臭気を含んだガスは酸化されて分解される。
【0046】
第1の脱臭部205において臭気成分が分解されて浄化されたガスは、ガス排出口202を通過して外部に排出される。これにより処理装置Aの外部には、臭気成分が分解されて浄化されたガスが排出されることになる。このように脱臭部において生ごみ処理槽から発生したガスに対して脱臭運転を行うと、時間の経過とともに常温触媒の表面に対してガスに含まれる成分が徐々に残存し、臭気成分を分解するための触媒表面の活性が低下し始める。
【0047】
制御部150は、臭気センサ217により第1の脱臭部205を通過したガスに対する臭気の程度を継続的に監視しており、臭気センサ217が所定の閾値(例えば臭気指数10)以上の臭気を検出した場合には、ステップS5において、制御部150からの信号出力を切替制御手段が受け、脱臭部の切替手段であるフラッパー215を第2の脱臭部210側から第1の脱臭部205側に切り替えて第2の脱臭経路204を形成し、ステップS6で、第2の脱臭部210において脱臭運転を連続的に行う。第2の脱臭部210において脱臭運転を実施している際に、ステップS7で、第1の脱臭部205では第1の触媒206について触媒再生運転を行う。
【0048】
制御部150は、引き続き臭気センサ217により第2の脱臭部210を通過したガスに対する臭気の程度を継続して監視する。(ステップS10)
【0049】
(2)触媒再生運転
一方、ステップS7において、第1の脱臭部205では第1の触媒206における脱臭能力の回復を図るため、第1の触媒206について触媒再生運転を行う。
【0050】
本実施形態の脱臭装置200において第1の触媒206の再生運転を行う際、制御部150は、入口側および出口側フラッパー215を作動させ、入口側のフラッパーおよび出口側のフラッパーを第1の脱臭部側に切り替える。(ステップS5)このとき、第1の脱臭部はフラッパーにより密閉された状態となる。また、制御部150は、第1の脱臭部205に設けられた第1の加熱部である第1の面状ヒータ208を動作させる。
【0051】
第1の脱臭部205におけるガス入口側と出口側は、それぞれフラッパー215により閉じた状態となっており、第1の脱臭部内の空間は密閉されている。ステップ8において、第1の脱臭部205に設けられた第1の面状ヒータ208は第1の触媒206を所定の温度となるように所定の時間、具体的には、制御部150により以下のように加熱制御される。
【0052】
所定の温度としては、例えば60℃以上80℃以下とすることが好ましい。本実施形態で使用される常温触媒は高温において加熱すると触媒としての活性を失ってしまう恐れがあることが想定されること、また、本実施形態の生ごみ処理装置は、装置としての安全性を確保する必要があること、さらには消費電力を極力抑え運転する必要があることから前記温度範囲とすることが好適である。このとき、面状ヒータで加熱された触媒から、触媒表面に吸着したガスが脱離すると共に、密閉された第1の脱臭部の空間で脱離したガスが拡散する。さらに脱離したガス分子が触媒表面に再び接触することでガス分子の酸化反応が進行し、分解される。
【0053】
このように触媒を加熱して触媒表面に残存したガス分子を脱離するとともに、密閉された脱臭部の空間内で脱離したガス分子は触媒に再び接触することで徐々に分解される。これらの作用によりガス分子で覆われていた触媒表面の活性部位が再び露出し、活性が回復することにより触媒が再生される。
【0054】
触媒再生運転の所定時間は、使用する触媒の種類や触媒の使用状態にもよるが、所定時間における触媒再生時間を事前に測定し、その結果に基づき触媒加熱時間を設定することが好ましい。例えば、本実施形態のように、脱臭部に常温触媒を用いた場合、再生運転における触媒の所定温度を70℃とした際、再生運転の所定時間として6~8時間とすることができる。
【0055】
触媒再生運転が所定時間の経過により終了すると、第1の脱臭部205は脱臭運転に使用することが可能となる。触媒再生運転が終了すると、ステップ9において、制御部150は第1の脱臭部205に設けられた第1の面状ヒータ208の動作を停止する。これにより、第1の脱臭部205に配置された第1の触媒206は再生され、再度、臭気ガスを分解する触媒として使用することができるようになる。
【0056】
以下同様に、ステップ10において、ガス排出口において検知したガスの臭気の程度が所定の閾値以上の臭気を検出した場合、ステップ11において、制御部150からの信号出力を切替制御手段が受け、脱臭部の切替手段であるフラッパー215を第1の脱臭部側から第2の脱臭部側に切り替える。ステップ12では、再生処理が終了した第1の触媒206を用いることにより第1の脱臭経路203において脱臭運転を連続的に行う。その際、ステップS13において、同様に第2の脱臭部210では第2の触媒211における脱臭能力の回復を図るため、第2の加熱部である第2の面状ヒータ214を動作させ、第2の触媒211について触媒再生運転を行う。
【0057】
ステップ14において、第2の脱臭部210に設けられた第2の面状ヒータ213は第2の触媒211を所定の温度となるように所定の時間、制御部150により加熱制御される。
【0058】
触媒再生運転が終了すると、ステップ15において、制御部150は第2の脱臭部210に設けられた第2の面状ヒータ213の動作を停止する。
【0059】
このように、脱臭処理装置においてガス排出口に設けられた臭気センサが所定の閾値(例えば臭気指数10)以上の臭気を検出した場合に、ガス入口側および出口側のフラッパーを作動させて、第1の脱臭部側と第2の脱臭部側を交互に切り替えることで一方の脱臭部側において臭気を含むガスの脱臭処理を行ない、他方の脱臭部側で触媒再生運転が行なわれることになる。これらの動作を通じて生ごみ処理装置において発生する臭気を含んだガスの脱臭運転を、簡便な構成で一時的に停止することなく連続して実施することが可能となる。
【0060】
本実施例においては、脱臭部の切替手段を動作させる制御を臭気センサが所定の閾値以上の臭気を検知した場合にフラッパー215を作動させる構成としたが、切替手段として、予め臭気成分を分解するために必要な活性状態が持続する時間を測定しておき、その結果に基づいてフラッパー215を作動させる構成としてもよい。
【0061】
時間で制御することで臭気センサを設けずに経路を切り替え、脱臭運転を連続的に行うことが可能となる。
【0062】
(実施形態2)
また、実施形態1において、脱臭部をフラッパーで切り替える構成としたが、図6に示すようにダクト230を回転可能な構成にして脱臭部の切替手段とする構成にすることも可能である。
【0063】
脱臭経路の切り替え弁はダクト230とダクト回転軸231により構成される。ダクト230は図示しない駆動モータによってダクト回転軸231を回転させることで図に示す矢印の方向に回転動作される。
【0064】
ダクト230は切替制御手段としての制御部150からの信号出力により、図示しない駆動モーターを駆動させて、それぞれ第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204に接続されるようになっている。
【0065】
ダクト230は脱臭部入口側におけるダクトと脱臭部出口側に置けるダクトがそれぞれ設けられる。これら2つのダクトは同期しており、作動の時間が一致している。
【0066】
脱臭部入口側及び出口側のダクト230は第1の脱臭経路203及び第2の脱臭経路204の入口側及び出口側を交互に開閉可能であって、ガス導入口201とガス排出口202近傍に回転可能に支持されている。触媒再生運転の基本的な動作については実施形態1と同様である。
【0067】
(実施形態3)
また、脱臭経路の切り替え弁を図7に示すように、シャッター部材232により構成することも可能である。
【0068】
シャッター部材232は図示しない駆動モータまたはソレノイドなどを利用して図に示す矢印の方向に直動動作させる。
【0069】
前記シャッター部材232は切替制御手段としての制御部150からの信号出力により、図示しない駆動モータまたはソレノイドなどを駆動させて、直動動作にてスライドさせて、それぞれ第1の脱臭経路203と第2の脱臭経路204の開閉ができるようになっている。
【0070】
前記シャッター部材232は脱臭部入口側におけるシャッター部材と脱臭部出口側におけるシャッター部材がそれぞれ設けられ、これら2つのシャッター部材は同期しており、作動の時間が一致している。
【0071】
脱臭部入口側及び出口側のシャッター部材232は第1の脱臭経路203及び第2の脱臭経路204の入口側及び出口側を交互に開閉可能である。
【0072】
触媒再生運転の基本的な動作については実施形態1と同様である。
【0073】
(実施形態4)
また、図8に示すように、脱臭経路の切り替えを第1の脱臭部205および第2の脱臭部210を直動動作させて切り替える構成にすることも可能である。
【0074】
第1の脱臭部205および第2の脱臭部210は図示しない駆動モータまたはソレノイドなどを利用して図に示す矢印の方向に直動動作される。
【0075】
切替制御手段としての制御部150からの信号出力により、図示しない駆動モータまたはソレノイドなどを駆動させて、第1の脱臭部205および第2の脱臭部210を直動動作にてスライドさせることで第1の脱臭部205および第2の脱臭部210をそれぞれガス導入口201とガス排出口202に接続する事により脱臭経路を作り出すことが可能となる。
【0076】
触媒再生運転の基本的な動作については実施形態1と同様である。
【0077】
上記の生ごみ処理用脱臭装置は主に生ごみ処理装置に適用されるが、空気清浄機等でも利用することができ、様々な用途に応用し幅広い分野で使用することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
150:制御部
200:脱臭装置
201:ガス導入口
202:ガス排出口
203:第1の脱臭経路
204:第2の脱臭経路
205:第1の脱臭部
206:第1の触媒
207:第1の触媒ケース
208:第1の加熱手段
210:第2の脱臭部
211:第2の触媒
212:第2の触媒ケース
213:第2の加熱手段
215:フラッパー
216:フラッパー回転軸
217:臭気センサ
220:臭気測定装置
221:ガス導入口
222:ガス排出口
223:触媒
224:臭気センサ
230:ダクト
231:ダクト回転軸
232:シャッター部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8