(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122036
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029344
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直紀
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CB02
5D208CF02
(57)【要約】
【課題】ユニット楽曲のカラオケ歌唱の難易度を推定することが可能なカラオケ装置を提供する。
【解決手段】ユニット楽曲を構成する異なるボーカルパートの数を取得する第1の取得部、ユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の人数を取得する第2の取得部、取得したボーカルパートの数、及び歌唱者の人数に基づいて、ユニット楽曲を当該歌唱者がカラオケ歌唱を行う場合の第1の難易度を推定する推定部を有するカラオケ装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット楽曲を構成する異なるボーカルパートの数を取得する第1の取得部と、
前記ユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の人数を取得する第2の取得部と、
取得した前記ボーカルパートの数、及び前記歌唱者の人数に基づいて、前記ユニット楽曲を当該歌唱者がカラオケ歌唱を行う場合の第1の難易度を推定する推定部と、
を有するカラオケ装置。
【請求項2】
推定された前記第1の難易度に基づいて、歌唱者によるカラオケ歌唱の評価を補正する評価部を有することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記第1の取得部は、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲を取得し、
前記第2の取得部は、ユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の性別を取得し、
前記推定部は、取得した前記音高の範囲、及び前記歌唱者の性別に基づいて第2の難易度を推定することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項4】
推定された前記第1の難易度及び前記第2の難易度に基づいて、歌唱者によるカラオケ歌唱の評価を補正する評価部を有することを特徴とする請求項3記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置でカラオケ歌唱可能な楽曲の中には、2つの異なるボーカルパート(たとえば男性ボーカルパート及び女性ボーカルパート)から構成されているデュエット楽曲がある。このようなデュエット楽曲のカラオケ歌唱を二人の歌唱者で行った場合に、当該カラオケ歌唱を評価することができるカラオケ装置が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、デュエット曲のように複数のボーカルパートが歌唱される場合に、各パートの歌唱音声について正当な評価をし、正確な採点結果を得ることができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カラオケ装置でカラオケ歌唱可能な楽曲の中には、3つ以上の異なるボーカルパート(たとえばグループのメンバーの数に応じたボーカルパート)から構成されている楽曲(たとえばトリオ楽曲やカルテット楽曲)もある。
【0006】
ここで、デュエット楽曲やトリオ楽曲のような複数の異なるボーカルパートから構成される楽曲(以下「ユニット楽曲」という)のカラオケ歌唱は、複数の歌唱者で行われる場合もあれば一人の歌唱者で行われる場合もある。それぞれの場合においてカラオケ歌唱の難易度は異なる。
【0007】
本発明の目的は、ユニット楽曲のカラオケ歌唱の難易度を推定することが可能なカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一の発明は、ユニット楽曲を構成する異なるボーカルパートの数を取得する第1の取得部と、前記ユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の人数を取得する第2の取得部と、取得した前記ボーカルパートの数、及び前記歌唱者の人数に基づいて、前記ユニット楽曲を当該歌唱者がカラオケ歌唱を行う場合の第1の難易度を推定する推定部と、を有するカラオケ装置である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユニット楽曲のカラオケ歌唱の難易度を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
【
図2】実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図3】実施形態に係る難易度テーブルを示す図である。
【
図4】実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図5】変形例1に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図6】変形例1に係る補正テーブルを示す図である。
【
図7】変形例1に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図8】変形例2に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図9】変形例3に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
図1~
図4を参照して、実施形態に係るカラオケ装置について説明する。
【0012】
==カラオケ装置==
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び歌唱者がカラオケ歌唱を行うための装置である。
図1に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、及びリモコン装置50を備える。
【0013】
カラオケ本体10は、選曲された楽曲のカラオケ演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ20はカラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30はカラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は歌唱者のカラオケ歌唱の歌唱音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。
【0014】
図2に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体10は、記憶手段10a、通信手段10b、入力手段10c、演奏手段10d、及び制御手段10eを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0015】
[記憶手段]
記憶手段10aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。記憶手段10aは、楽曲データを記憶する。
【0016】
楽曲データは、個々の楽曲を特定するための楽曲識別情報が付与されている。楽曲識別情報は、楽曲を識別するための楽曲ID等、各楽曲に固有の情報である。楽曲データは、伴奏データ、リファレンスデータ等を含む。伴奏データは、カラオケ演奏音の元となるデータである。リファレンスデータは、カラオケ演奏された楽曲の歌唱旋律を示すデータであって、歌唱者によるカラオケ歌唱を評価する際に用いられるデータである。リファレンスデータは、歌唱すべき最低音高及び最高音高の音高情報を含む。また、ユニット楽曲の楽曲データにおいては、ボーカルパート毎に異なるリファレンスデータが含まれている。
【0017】
記憶手段10aは、各楽曲に対応する歌詞をカラオケ演奏に合わせて表示装置30等に表示させるための歌詞データ、及びカラオケ演奏時に表示装置30等に表示される背景映像等の背景映像データ、楽曲の属性情報(楽曲名、歌手名、ジャンル、演奏時間、ボーカルパートの数等)、カラオケ歌唱を補助する歌唱音声を放音させるためのガイドボーカルデータを記憶する。ユニット楽曲の歌詞データにおいては、ボーカルパート毎に表示態様(色、フォント等)が異なっている。また、ユニット楽曲のガイドボーカルデータにおいては、ボーカルパート毎に異なる歌唱音声データが含まれている。
【0018】
[通信手段・入力手段]
通信手段10bは、リモコン装置50との通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段10cは、歌唱者が各種の操作入力を行うための構成である。入力手段10cは、カラオケ本体10に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置50が入力手段10cとして機能してもよい。
【0019】
[演奏手段]
演奏手段10dは、制御手段10eの制御に基づき、楽曲のカラオケ演奏、及びマイク40を通じて入力された音声信号の処理を行う。演奏手段10dは、音源、ミキサ、アンプ等を含む(いずれも図示なし)。
【0020】
[制御手段]
制御手段10eは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段10eは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0021】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、第1の取得部100、第2の取得部200、及び推定部300として機能する。
【0022】
(第1の取得部)
第1の取得部100は、ユニット楽曲を構成する異なるボーカルパートの数を取得する。
【0023】
ボーカルパートの数の取得は様々な方法により行うことができる。たとえば、第1の取得部100は、ユニット楽曲のリファレンスデータを参照し、リファレンスデータの数をボーカルパートの数として取得できる。また、第1の取得部100は、ユニット楽曲の歌詞データを参照し、表示態様の数をボーカルパートの数として取得できる。また、第1の取得部100は、ユニット楽曲の属性情報を参照し、ボーカルパートの数を直接取得できる。また、第1の取得部100は、ユニット楽曲のガイドボーカルデータを参照し、歌唱音声データの数をボーカルパートの数として取得できる。
【0024】
たとえば、カラオケ歌唱を希望する歌唱者は、リモコン装置50等を介して楽曲の選曲を行う。第1の取得部100は、選曲された楽曲の楽曲識別情報を元に、リファレンスデータの数を確認する。第1の取得部100は、リファレンスデータの数をボーカルパートの数として取得する。第1の取得部100は、取得したボーカルパートの数を推定部300に出力する。なお、リファレンスデータの数が1つであった場合(すなわち、ボーカルパートの数が1つであった場合)、第1の取得部100は、取得したボーカルパートの数を推定部300に出力せず、処理を終了する。
【0025】
(第2の取得部)
第2の取得部200は、ユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の人数を取得する。
【0026】
歌唱者の人数の取得は様々な方法により行うことができる。たとえば、第2の取得部200は、撮影手段(図示なし)で撮影されたカラオケ装置Kが設置されたカラオケルーム内の映像を公知の技術(たとえば特開2016-071186号公報)を用いて解析することにより、歌唱者の人数を取得できる。また、第2の取得部200は、マイク40に入力された音声信号から公知の技術(たとえば特開2020-034750号公報)を用いて声紋データを抽出し、抽出した異なる声紋データの数を歌唱者の人数として取得できる。或いは、一のカラオケ装置に対して複数のマイクが設けられている場合において、第2の取得部200は、電源がОNになっているマイクの数を歌唱者の人数として取得できる。また歌唱者がリモコン装置50等を操作し、予め歌唱者の人数を入力することも可能である。この場合、第2の取得部200は、入力された値を歌唱者の人数として取得できる。
【0027】
たとえば、カラオケ装置Kは、歌唱者が選曲した楽曲の楽曲識別情報を予約待ち行列に登録することにより、楽曲の予約(すなわちカラオケ演奏の予約)を行う。カラオケ装置Kは、予約待ち行列に登録されている楽曲識別情報を元に、楽曲の伴奏データを記憶手段10aから読み出す。カラオケ装置Kは、読み出した伴奏データを再生し、スピーカ20からカラオケ演奏音を放音させるよう、演奏手段10dを制御する。歌唱者は、スピーカ20から放音されるカラオケ演奏音に合わせ、マイク40を用いてカラオケ歌唱を行う。第2の取得部200は、マイク40に入力された音声信号から声紋データを抽出し、抽出した異なる声紋データの数を歌唱者の人数として取得する。第2の取得部200は、取得した歌唱者の人数を推定部300に出力する。
【0028】
(推定部)
推定部300は、取得したボーカルパートの数、及び歌唱者の人数に基づいて、ユニット楽曲を当該歌唱者がカラオケ歌唱を行う場合の第1の難易度を推定する。
【0029】
カラオケ歌唱の難易度は、ボーカルパートの数と歌唱者の人数により相対的に変動する。たとえば一般には、ボーカルパートの数が多いほど歌唱すべき音高の範囲(最低音高と最高音高の差)が広くなる傾向にある一方、歌唱者の人数が少ないほど歌唱可能な音高の範囲(最低音高と最高音高の差)が狭くなるため、難易度は相対的に高くなる。また一般には、ボーカルパートの数が多いほど声質の種類や使用される歌唱技法の数が多くなる傾向にある一方、歌唱者の人数が少ないほど、声質も一定となり、使用できる歌唱技法も少なくなるため、難易度は相対的に高くなる。また一般には、ボーカルパートの数が多いほど歌唱時間や歌唱すべき歌詞の文字数が多くなる傾向にある一方、歌唱者の人数が少ないほど、一人でカバーすべき歌唱時間等が多くなり体力の消耗が大きくなるため、難易度は相対的に高くなる。或いは、一の楽曲においてある歌詞の最後と次の歌詞の最初が重なっているボーカルパートがある場合、歌唱者の人数が少ないほど、原曲通りに再現し難くなるため、難易度は相対的に高くなる。すなわち、カラオケ歌唱の難易度は、ボーカルパートの数よりも歌唱者の人数が少ないほど相対的に高くなる。
【0030】
第1の難易度の推定は、様々な方法により行うことができる。たとえば、推定部300は、難易度テーブルを参照して第1の難易度を推定できる。難易度テーブルは、記憶手段10aに予め記憶されている。
図3は難易度テーブルの一例である。
図3の例において、ボーカルパートの数(縦軸)と歌唱者の人数(横軸)に応じて複数の難易度が設定されている。ボーカルパートの数に対して歌唱者の人数が少なくなればなるほど、難易度の値は高くなっている。
【0031】
また、推定部300は、予め設定された数式に基づいて第1の難易度を推定できる。数式は、たとえば「第1の難易度=1.0+(ボーカルパートの数-歌唱者の人数)×R1」とすることができる。ここで、「R1」は、第1の難易度を(ボーカルパートの数-歌唱者の人数)の1次関数とした場合の直線の傾きを表す定数である。「1.0」はY切片である。
【0032】
たとえば、推定部300は、第1の取得部100から出力されたボーカルパートの数及び第2の取得部200から出力された歌唱者の人数を
図3の難易度テーブルに当てはめることにより決定される一の値を、第1の難易度として推定する。
【0033】
推定部300は、推定した第1の難易度に対応するメッセージを歌唱者に対して提示することができる。提示は様々な方法により行うことができる。たとえば、第1の難易度が相対的に低い場合、推定部300は、表示装置30やリモコン装置50の表示画面に、推定された第1の難易度に応じて「やや易しい」「易しい」「かなり易しい」など難易度が相対的に低くなる旨のメッセージを表示させることができる。一方、第1の難易度が相対的に高い場合、推定部300は、表示装置30やリモコン装置50の表示画面に、推定された第1の難易度に応じて「やや難しい」「難しい」「かなり難しい」など難易度が相対的に高くなる旨のメッセージを表示させることができる。或いは、推定部300は、メッセージの表示と合わせてまたはメッセージを表示する代わりにスピーカ20からメッセージに対応する音声を放音させることができる。
【0034】
==カラオケ装置Kの動作について==
次に、
図4を参照して本実施形態におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
図4は、カラオケ装置Kの動作例を示すフローチャートである。この例において記憶手段10aは
図3に示す難易度テーブルを記憶しているとする。
【0035】
カラオケ歌唱を希望する歌唱者は、リモコン装置50を介してある楽曲の選曲を行う。カラオケ装置Kは、歌唱者が選曲したある楽曲の予約を行う。ここである楽曲はユニット楽曲であるとする(ユニット楽曲の予約。ステップ10)。カラオケ装置Kは、ユニット楽曲の楽曲IDを予約待ち行列に登録することにより、カラオケ演奏の予約を行う。
【0036】
第1の取得部100は、選曲されたユニット楽曲を構成する異なるボーカルパートの数を取得する(異なるボーカルパートの数を取得。ステップ11)。第1の取得部100は、取得したボーカルパートの数を推定部300に出力する。
【0037】
その後、カラオケ装置Kは、予約待ち行列に登録されているユニット楽曲の楽曲IDを元に、ユニット楽曲の伴奏データを記憶手段10aから読み出す。カラオケ装置Kは、読み出した伴奏データを再生し、スピーカ20からカラオケ演奏音を放音させるよう、演奏手段10dを制御する。歌唱者は、スピーカ20から放音されるカラオケ演奏音に合わせ、マイク40を用いてユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う(カラオケ歌唱開始。ステップ12)。
【0038】
第2の取得部200は、ユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の人数を取得する(歌唱者の人数を取得。ステップ13)。第2の取得部200は、取得した歌唱者の人数を推定部300に出力する。
【0039】
推定部300は、ステップ11で取得されたボーカルパートの数及びステップ13で取得された歌唱者の人数に基づいてユニット楽曲を当該歌唱者がカラオケ歌唱を行う場合の第1の難易度を推定する(第1の難易度を推定。ステップ14)。
【0040】
具体的に、ステップ11において異なるボーカルパートの数として「3」が取得され、ステップ13において歌唱者の人数として「1」が取得されたとする。この場合、推定部300は、
図3に示した難易度テーブルを参照し、第1の難易度として「1.04」を推定する。この例において、3つのボーカルパートから構成されるユニット楽曲を1人の歌唱者でカラオケ歌唱を行うことになるため、難易度は相対的に高くなる。
【0041】
一方、ステップ11において異なるボーカルパートの数として「2」が取得され、ステップ13において歌唱者の人数として「5」が取得されたとする。この場合、推定部300は、
図3に示した難易度テーブルを参照し、第1の難易度として「0.94」を推定する。この例において2つのボーカルパートから構成されるユニット楽曲を5人の歌唱者でカラオケ歌唱を行うことになるため、難易度は相対的に低くなる。
【0042】
歌唱者によるユニット楽曲のカラオケ歌唱が終了した後(カラオケ歌唱終了。ステップ15)、推定部300は、ステップ14で推定した第1の難易度に対応するメッセージを歌唱者に対して提示する(第1の難易度に対応するメッセージを提示。ステップ16)。
【0043】
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、ユニット楽曲を構成する異なるボーカルパートの数を取得する第1の取得部100と、ユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の人数を取得する第2の取得部200と、取得したボーカルパートの数、及び歌唱者の人数に基づいて、ユニット楽曲を当該歌唱者がカラオケ歌唱を行う場合の第1の難易度を推定する推定部300と、を有する。
【0044】
このようなカラオケ装置Kによれば、ユニット楽曲を構成するボーカルパートの数、及び当該ユニット楽曲のカラオケ歌唱を実際に行う歌唱者の人数に基づいて、難易度を推定することができる。上述の通り、カラオケ歌唱の難易度は、ボーカルパートの数よりも歌唱者の人数が少ないほど相対的に高くなる。よって、カラオケ装置Kは、ボーカルパートの数が多いほど、且つ歌唱者の人数が少ないほど、高い難易度を推定する(逆に、ボーカルパートの数が少ないほど、且つ歌唱者の人数が多いほど、低い難易度を推定する)。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、ユニット楽曲のカラオケ歌唱の難易度を推定することができる。
【0045】
<変形例1>
一般的なカラオケ装置は、歌唱者によるカラオケ歌唱を評価する機能を有している。ここで、本変形例に係るカラオケ装置は、推定された第1の難易度を用いてカラオケ歌唱の評価を補正することができる。
【0046】
[制御手段]
本変形例においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、第1の取得部100、第2の取得部200、推定部300、及び評価部400として機能する(
図5参照)。
【0047】
(評価部)
評価部400は、歌唱者によるカラオケ歌唱を評価する。
【0048】
カラオケ歌唱の評価は公知の手法を用いることができる。たとえば、評価部400は、カラオケ歌唱に伴う歌唱音声に対応する歌唱音声データと、カラオケ演奏された楽曲の主旋律を示すリファレンスデータとを比較し、カラオケ歌唱の巧拙を、たとえば100点を満点とする0~100の数値で示すことで、カラオケ歌唱の評価を求めることができる。また、評価部400は、公知の手法により歌唱技法を検出し、評価結果に加点することも可能である。
【0049】
複数の歌唱者で一の楽曲のカラオケ歌唱が行われた場合、評価部400は、歌唱者毎に評価を求める。評価部400は、それぞれの評価の平均値や分散値等の統計量を、一の楽曲のカラオケ歌唱の評価として求める。
【0050】
ここで、本変形例に係る評価部400は、推定された第1の難易度に基づいて、歌唱者によるカラオケ歌唱の評価を補正する。
【0051】
評価の補正は様々な方法により行うことができる。評価部400は、求めた評価の値に対して推定された難易度の値を乗算することにより、カラオケ歌唱の評価を補正することができる。或いは、評価部400は、難易度(縦軸)と補正値(横軸)とを対応付けた補正テーブルを参照して、求めた評価に対して推定した難易度に対応する補正値を加算することにおり、カラオケ歌唱の評価を補正することができる。補正テーブルは、記憶手段10aに予め記憶されている。
図6は補正テーブルの一例である。
図6の例において、難易度が高くなればなるほど補正値は高くなっている。一方、難易度が基準値(1.0)よりも低い場合、補正値はマイナスの値となっている。
【0052】
たとえば、評価部400は、ユニット楽曲のカラオケ演奏が終了した後、歌唱者のカラオケ歌唱の評価を求める。評価部400は、推定部300で推定された第1の難易度の値を、カラオケ歌唱の評価に乗算することにより、評価の補正を行う。
【0053】
評価部400は、補正した評価を歌唱者に対して提示することができる。提示は様々な方法により行うことができる。たとえば、評価部400は、表示装置30やリモコン装置50の表示画面に評価の値を表示させることができる。或いは、評価部400は、評価の表示と合わせてまたは評価を表示する代わりにスピーカ20から評価に対応する音声を放音させることができる。
【0054】
==カラオケ装置Kの動作について==
次に、
図7を参照して本変形例におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
図7は、カラオケ装置Kの動作例を示すフローチャートである。この例において記憶手段10aは
図3に示す難易度テーブルを記憶しているとする。
【0055】
ステップ20からステップ24は、第1実施形態のステップ10からステップ14と同様である。
【0056】
歌唱者によるユニット楽曲のカラオケ歌唱が終了した後(カラオケ歌唱終了。ステップ25)、評価部400は、歌唱者によるカラオケ歌唱を評価する(カラオケ歌唱を評価。ステップ26)。
【0057】
評価部400は、ステップ24で推定された第1の難易度に基づいて、歌唱者によるカラオケ歌唱の評価を補正する(第1の難易度に基づいて評価を補正。ステップ27)。
【0058】
具体的に、ステップ21において異なるボーカルパートの数として「3」が取得され、ステップ23において歌唱者の人数として「1」が取得され、ステップ24において第1の難易度として「1.04」が推定されたとする。また評価部400は、一人の歌唱者の評価として「85.0点」を求めたとする。この場合、評価部400は、評価「85点」に第1の難易度「1.04」を乗算することにより、補正した評価として「88.4点」を求める。
【0059】
一方、ステップ21において異なるボーカルパートの数として「2」が取得され、ステップ23において歌唱者の人数として「5」が取得され、ステップ24において第1の難易度として「0.94」が推定されたとする。また評価部400は、5人の歌唱者の評価としてそれぞれ「83.5点」、「89.0点」、「81.2点」、「86.6点」、「80.9点」を求めたとする。この場合、評価部400は、5人の歌唱者の評価の平均値「84.24点」を求める。評価部400は、評価「84.24点」に第1の難易度「0.94」を乗算することにより、補正した評価として「79.2点」を求める。なお、この例のように歌唱者の人数がボーカルパートの数よりも多い場合、歌唱者によっては評価が下がる事を好まないので、評価部400は、第1の難易度に基づく補正を行わなくてもよい。
【0060】
評価部400は、ステップ27で補正した評価を歌唱者に対して提示する(補正した評価を提示。ステップ28)。
【0061】
以上から明らかなように、本変形例に係るカラオケ装置Kは、推定された第1の難易度に基づいて、歌唱者によるカラオケ歌唱の評価を補正する評価部400を有する。このようなカラオケ装置Kによれば、ユニット楽曲を構成する異なるボーカルパートの数やカラオケ歌唱を行う歌唱者の人数を考慮した評価を求めることができる。
【0062】
<変形例2>
カラオケ装置Kは、第1の難易度に加え、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲、及びユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の性別に基づいて第2の難易度を推定することができる。
【0063】
(第1の取得部)
本変形例に係る第1の取得部100は、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲を取得する。
【0064】
音高の範囲の取得は様々な方法により行うことができる。たとえば、第1の取得部100は、ユニット楽曲を構成するボーカルパート毎のリファレンスデータ(音高情報)を参照し、それぞれの最高音高及び最低音高を抽出する。第1の取得部100は、抽出した中で最も低い最低音高を下限とし、最も高い最高音高を上限とする範囲を、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲として取得する。或いは、楽曲の属性情報として、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲が予め記憶されていてもよい。この場合、第1の取得部100は、ユニット楽曲の属性情報を参照し、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲を取得する。
【0065】
たとえば、カラオケ歌唱を希望する歌唱者は、リモコン装置50等を介して楽曲の選曲を行う。第1の取得部100は、選曲された楽曲の楽曲識別情報を元に、リファレンスデータを読み出す。第1の取得部100は、読み出したリファレンスデータに基づいて、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲(最高音高及び最低音高)を取得する。第1の取得部100は、取得した音高の範囲を推定部300に出力する。なお、リファレンスデータの数が1つであった場合(すなわち、選曲された楽曲がユニット楽曲でない場合)、第1の取得部100は、上記処理を実行しない。
【0066】
(第2の取得部)
本変形例に係る第2の取得部200は、ユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の性別を取得する。
【0067】
歌唱者の性別の取得は様々な方法により行うことができる。たとえば、第2の取得部200は、撮影手段(図示なし)で撮影された歌唱者の映像を公知の技術を用いて解析することにより、歌唱者の性別を取得できる。また、歌唱者がリモコン装置50等を操作し、予め歌唱者の人数及び性別を入力することも可能である。この場合、第2の取得部200は、入力された値を歌唱者の人数及び性別として取得できる。第2の取得部200は、取得した歌唱者の性別を推定部300に出力する。
【0068】
(推定部)
本変形例に係る推定部300は、取得した音高の範囲、及び歌唱者の性別に基づいて第2の難易度を推定する。
【0069】
カラオケ歌唱の難易度は、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲と歌唱者の性別により相対的に変動する。たとえば、同じような声域を有する複数のアーティストが歌唱するユニット楽曲に対して、異なる声域を有する複数のアーティストが歌唱するユニット楽曲の方が歌唱すべき音高の範囲は広くなる。一方、歌唱者が歌唱可能な音高について、男性と女性では最高音高や最低音高、及びその範囲が異なる。たとえば、平均的な男性の声域は最低音高C3~最高音高G4であるといわれている。この場合、平均的な男性が歌唱可能な音高の範囲は、1,900centである。一方、平均的な女性の声域は最低音高G3~最高音高C5であるといわれている。この場合、平均的な女性が歌唱可能な音高の範囲は、1,700centである。また上記の例によると、平均的な男性及び女性を含む複数の歌唱者の声域は最低音高C3~最高音高C5であるため、歌唱可能な音高の範囲は2,400centである。すなわち、カラオケ歌唱の難易度は、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲と、歌唱者の性別に応じて歌唱可能な音高の範囲とのずれが大きいほど相対的に高くなる。
【0070】
第2の難易度の推定は、様々な方法により行うことができる。たとえば、推定部300は、予め設定された数式に基づいて第2の難易度を推定できる。数式は、たとえば「第2の難易度=1.0+(歌唱すべき音高の範囲/歌唱可能な音高の範囲-1.0)×R2」とすることができる。ここで、「R2」は、第2の難易度を(歌唱すべき音高の範囲/歌唱可能な音高の範囲-1.0)の1次関数とした場合の直線の傾きを表す定数である。最初の「1.0」はY切片である。
【0071】
たとえば、推定部300は、第1の取得部100から出力されたユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲、及び第2の取得部200から出力された歌唱者の性別に基づいて決定される歌唱可能な音高の範囲を上記の数式に当てはめ、得られた一の値を第2の難易度として推定する。
【0072】
推定部300は、推定した第2の難易度に対応するメッセージを歌唱者に対して提示することができる。提示は第1の難易度と同様の方法により行うことができる。
【0073】
==カラオケ装置Kの動作について==
次に、
図8を参照して本変形例におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
図8は、カラオケ装置Kの動作例を示すフローチャートである。この例において記憶手段10aは
図3に示す難易度テーブルを記憶しているとする。
【0074】
カラオケ歌唱を希望する歌唱者は、リモコン装置50を介してある楽曲の選曲を行う。カラオケ装置Kは、歌唱者が選曲したある楽曲の予約を行う。ここである楽曲はユニット楽曲であるとする(ユニット楽曲の予約。ステップ30)。カラオケ装置Kは、ユニット楽曲の楽曲IDを予約待ち行列に登録することにより、カラオケ演奏の予約を行う。
【0075】
第1の取得部100は、選曲されたユニット楽曲を構成する異なるボーカルパートの数を取得する。また、第1の取得部100は、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲を取得する(異なるボーカルパートの数及び歌唱すべき音高の範囲を取得。ステップ31)。第1の取得部100は、取得したボーカルパートの数及び歌唱すべき音高の範囲を推定部300に出力する。
【0076】
その後、カラオケ装置Kは、予約待ち行列に登録されているユニット楽曲の楽曲IDを元に、ユニット楽曲の伴奏データを記憶手段10aから読み出す。カラオケ装置Kは、読み出した伴奏データを再生し、スピーカ20からカラオケ演奏音を放音させるよう、演奏手段10dを制御する。歌唱者は、スピーカ20から放音されるカラオケ演奏音に合わせ、マイク40を用いてユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う(カラオケ歌唱開始。ステップ32)。
【0077】
第2の取得部200は、ユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の人数を取得する。また、第2の取得部200は、ユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の性別を取得する(歌唱者の人数及び性別を取得。ステップ33)。第2の取得部200は、取得した歌唱者の人数及び性別を推定部300に出力する。
【0078】
推定部300は、ステップ31で取得されたボーカルパートの数及びステップ33で取得された歌唱者の人数に基づいてユニット楽曲を当該歌唱者がカラオケ歌唱を行う場合の第1の難易度を推定する。また、推定部300は、ステップ31で取得された歌唱すべき音高の範囲及びステップ33で取得された歌唱者の性別に基づいてユニット楽曲を当該歌唱者がカラオケ歌唱を行う場合の第2の難易度を推定する(第1の難易度及び第2の難易度を推定。ステップ34)。
【0079】
具体的に、選曲されたユニット楽曲X1が4つのボーカルパートから構成されているとする。この場合、第1の取得部100は、ステップ31において異なるボーカルパートの数として「4」を取得する。また、第1の取得部100は、4つのボーカルパートに対応するリファレンスデータを参照し、それぞれの最高音高及び最低音高を抽出する。ここでは、第1のボーカルパートにおいて最低音高「A2」及び最高音高「F4」を抽出し、第2のボーカルパートにおいて最低音高「B2」及び最高音高「G4」を抽出し、第3のボーカルパートにおいて最低音高「F3」及び最高音高「A4」を抽出し、第4のボーカルパートにおいて最低音高「B3」及び最高音高「B4」を抽出したとする。この場合、第1の取得部100は、抽出した中で最も低い最低音高「A2」を下限とし、最も高い最高音高「B4」を上限とする範囲「2,600cent」を、ユニット楽曲X1で歌唱すべき音高の範囲として取得する。
【0080】
また、ユニット楽曲X1のカラオケ歌唱を行った歌唱者は1名(歌唱者U1)であるとする。この場合、第2の取得部200は、ステップ31において歌唱者の人数として「1」を取得する。また、第2の取得部200は、撮影手段(図示なし)で撮影された歌唱者U1の映像を公知の技術を用いて解析することにより、歌唱者U1の性別を取得する。ここでは歌唱者U1の性別は男性であったとする。この場合、第2の取得部200は、ユニット楽曲X1のカラオケ歌唱を行う歌唱者の性別として「男性」を取得する。
【0081】
推定部300は、
図3に示した難易度テーブルを参照し、第1の難易度として「1.06」を推定する。この例において、4つのボーカルパートから構成されるユニット楽曲X1を1人の歌唱者U1でカラオケ歌唱を行うことになるため、難易度は相対的に高くなる。また、推定部300は、第2の取得部200から出力された歌唱者U1の性別「男性」に基づいて歌唱可能な音高の範囲として「1,900cent」を決定する。推定部300は、数式「1.0+(歌唱すべき音高の範囲(2,600cent)/歌唱可能な音高の範囲(1,900cent)-1.0)×R2(ここでは0.1)」を用いて第2の難易度として「1.04」を推定する。この例において、歌唱可能な音高の範囲に対して歌唱すべき音高の範囲の方が広いため、難易度は相対的に高くなる。
【0082】
一方、選曲されたユニット楽曲X2が3つのボーカルパートから構成されているとする。この場合、第1の取得部100は、ステップ31において異なるボーカルパートの数として「3」を取得する。また、第1の取得部100は、3つのボーカルパートに対応するリファレンスデータを参照し、それぞれの最高音高及び最低音高を抽出する。ここでは、第1のボーカルパートにおいて最低音高「D3」及び最高音高「F4」を抽出し、第2のボーカルパートにおいて最低音高「E3」及び最高音高「F4」を抽出し、第3のボーカルパートにおいて最低音高「G3」及び最高音高「G4」を抽出したとする。この場合、第1の取得部100は、抽出した中で最も低い最低音高「D3」を下限とし、最も高い最高音高「G4」を上限とする範囲「1,700cent」を、ユニット楽曲X2で歌唱すべき音高の範囲として取得する。
【0083】
また、ユニット楽曲X2のカラオケ歌唱を行った歌唱者は4名(歌唱者U2~歌唱者U5)であるとする。この場合、第2の取得部200は、ステップ31において歌唱者の人数として「4」を取得する。また、第2の取得部200は、撮影手段(図示なし)で撮影された歌唱者U2~歌唱者U5の映像を公知の技術を用いて解析することにより、歌唱者U2~歌唱者U5の性別を取得する。ここでは歌唱者U2及びU4の性別は男性であり、歌唱者U3及びU5の性別は女性であったとする。この場合、第2の取得部200は、ユニット楽曲X2のカラオケ歌唱を行う歌唱者の性別として「男性及び女性」を取得する。
【0084】
推定部300は、
図3に示した難易度テーブルを参照し、第1の難易度として「0.98」を推定する。この例において、3つのボーカルパートから構成されるユニット楽曲X2を4人の歌唱者U2~歌唱者U5でカラオケ歌唱を行うことになるため、難易度は相対的に低くなる。また、推定部300は、第2の取得部200から出力された歌唱者U2~歌唱者U5の性別「男性及び女性」に基づいて歌唱可能な音高の範囲として「2,400cent」を決定する。推定部300は、数式「1.0+(歌唱すべき音高の範囲(1,700cent)/歌唱可能な音高の範囲(2,400cent)-1.0)×R2(ここでは0.1)」を用いて第2の難易度として「0.97」を推定する。この例において、歌唱可能な音高の範囲に対して歌唱すべき音高の範囲の方が狭いため、難易度は相対的に低くなる。
【0085】
歌唱者によるユニット楽曲のカラオケ歌唱が終了した後(カラオケ歌唱終了。ステップ35)、推定部300は、ステップ34で推定した第1の難易度及び第2の難易度に対応するメッセージを歌唱者に対して提示する(第1の難易度及び第2の難易度に対応するメッセージを提示。ステップ36)。
【0086】
以上から明らかなように、本変形例に係るカラオケ装置Kは、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲を取得する第1の取得部100と、ユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の性別を取得する第2の取得部200と、取得した歌唱すべき音高の範囲、及び歌唱者の性別に基づいて、ユニット楽曲を当該歌唱者がカラオケ歌唱を行う場合の第2の難易度を推定する推定部300と、を有する。
【0087】
このようなカラオケ装置Kによれば、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲、及びユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の性別に基づいて決定された歌唱可能な音高の範囲に基づいて、難易度を推定することができる。上述の通り、カラオケ歌唱の難易度は、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲が歌唱者の性別に応じて歌唱可能な音高の範囲より大きいほど相対的に高くなる(逆に、歌唱可能な音高の範囲が歌唱すべき音高の範囲より大きいほど相対的に低くなる)。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、ユニット楽曲のカラオケ歌唱の難易度を推定することができる。
【0088】
<変形例3>
本変形例に係るカラオケ装置は、推定された第1の難易度及び第2の難易度を用いてカラオケ歌唱の評価を補正することができる。
【0089】
[制御手段]
変形例1と同様、本変形例においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、第1の取得部100、第2の取得部200、推定部300、及び評価部400として機能する(
図5参照)。
【0090】
(評価部)
本変形例に係る評価部400は、推定された第1の難易度及び第2の難易度に基づいて、歌唱者によるカラオケ歌唱の評価を補正する。
【0091】
評価の補正は様々な方法により行うことができる。たとえば、評価部400は、ユニット楽曲のカラオケ演奏が終了した後、歌唱者のカラオケ歌唱の評価を求める。評価部400は、推定部300で推定された第1の難易度の値及び第2の難易度の値を、カラオケ歌唱の評価に乗算することにより、評価の補正を行う。
【0092】
評価部400は、補正した評価を歌唱者に対して提示することができる。変形例1と同様、提示は様々な方法により行うことができる。
【0093】
==カラオケ装置Kの動作について==
次に、
図9を参照して本変形例におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
図9は、カラオケ装置Kの動作例を示すフローチャートである。この例において記憶手段10aは
図3に示す難易度テーブルを記憶しているとする。
【0094】
ステップ40からステップ44は、変形例2のステップ30からステップ34と同様である。
【0095】
歌唱者によるユニット楽曲のカラオケ歌唱が終了した後(カラオケ歌唱終了。ステップ45)、評価部400は、歌唱者によるカラオケ歌唱を評価する(カラオケ歌唱を評価。ステップ46)。
【0096】
評価部400は、ステップ44で推定された第1の難易度及び第2の難易度に基づいて、歌唱者によるカラオケ歌唱の評価を補正する(第1の難易度及び第2の難易度に基づいて評価を補正。ステップ47)。
【0097】
具体的に、ステップ41において異なるボーカルパートの数として「4」が取得され、ステップ43において歌唱者の人数として「1」が取得され、ステップ44において第1の難易度として「1.06」が推定されたとする。また、ステップ41においてユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲として「2,600cent」が取得され、ステップ43においてユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の性別として「男性」が取得され、ステップ44において歌唱者の性別「男性」に基づいて歌唱可能な音高の範囲として「1,900cent」が決定され、且つ第2の難易度として「1.04」が推定されたとする。更に、評価部400は、一人の歌唱者の評価として「85.0点」を求めたとする。この場合、評価部400は、評価「85点」に第1の難易度「1.06」及び第2の難易度「1.04」を乗算することにより、補正した評価として「93.7点」を求める。
【0098】
一方、ステップ41において異なるボーカルパートの数として「3」が取得され、ステップ43において歌唱者の人数として「4」が取得され、ステップ44において第1の難易度として「0.98」が推定されたとする。また、ステップ41においてユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲として「1,700cent」が取得され、ステップ43においてユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の性別として「男性及び女性」が取得され、ステップ44において歌唱者の性別「男性及び女性」に基づいて歌唱可能な音高の範囲として「2,400cent」が決定され、且つ第2の難易度として「0.97」が推定されたとする。更に、評価部400は、4人の歌唱者の評価の平均値として「88.0点」を求めたとする。この場合、評価部400は、評価「88点」に第1の難易度「0.98」及び第2の難易度「0.97」を乗算することにより、補正した評価として「83.7点」を求める。なお、この例のように歌唱者の人数がボーカルパートの数よりも多い場合及び/または歌唱すべき音高の範囲よりも歌唱可能な音高の範囲が広い場合、評価部400は、上述したように第1の難易度及び第2の難易度に基づく補正を行わなくてもよい。
【0099】
評価部400は、ステップ47で補正した評価を歌唱者に対して提示する(補正した評価を提示。ステップ48)。
【0100】
以上から明らかなように、本変形例に係るカラオケ装置Kは、推定された第1の難易度及び第2の難易度に基づいて、歌唱者によるカラオケ歌唱の評価を補正する評価部400を有する。このようなカラオケ装置Kによれば、ユニット楽曲を構成する異なるボーカルパートの数、カラオケ歌唱を行う歌唱者の人数、ユニット楽曲で歌唱すべき音高の範囲、及びユニット楽曲のカラオケ歌唱を行う歌唱者の性別(より具体的には、性別に基づく歌唱可能な音高の範囲)を考慮した評価を求めることができる。
【0101】
<その他>
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
100 第1の取得部
200 第2の取得部
300 推定部
400 評価部
K カラオケ装置