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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122038
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】会議支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240902BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029347
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520283510
【氏名又は名称】南国アールスタジオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高比良 大輔
(72)【発明者】
【氏名】秦 勝敏
(72)【発明者】
【氏名】村上 正樹
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】建物のデザインに関するクライアントと設計担当者が会議のために出向くことを不要にでき、会議に用いられる各オブジェクトに関して具体的なイメージを想起できる会議支援システムを提供すること。
【解決手段】複数のユーザ端末40の前方の現実空間に対して、表示部406,412を通して表示可能な仮想会議空間VSを提供する第1サーバ10と、建物のBIMモデルデータを第1サーバ10に送信して、BIMモデルを仮想会議空間VSに提供する第2サーバ20と、BIMモデルを構成する各オブジェクトに関する素材情報データを第1サーバ10に送信して、素材モデルを仮想会議空間VSに提供する第3サーバ30とを有し、ユーザ端末40には設計者端末とクライアント端末が含まれ、設計者端末40が、仮想会議空間VSに表示されているBIMモデルに対して素材モデルを統合して会議用BIMモデルVMを作成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ端末がネットワークを介して接続し、各ユーザ端末の前方の現実空間に対して、各ユーザ端末が表示部を通して表示可能な仮想会議空間を提供する、第1サーバと、
建物のBIMモデルデータを前記第1サーバに送信して、該BIMモデルデータに基づくBIMモデルを前記仮想会議空間に提供する、第2サーバと、
前記BIMモデルを構成する各オブジェクトに関する素材情報データを前記第1サーバに送信して、該素材情報データに基づく素材モデルを前記仮想会議空間に提供する、第3サーバとを有し、
前記複数のユーザ端末には、前記BIMモデルを設計する設計者端末と、クライアント端末が含まれ、
前記第1サーバに接続している前記設計者端末が、前記仮想会議空間に表示されている前記BIMモデルに対して前記素材モデルを統合して、会議用BIMモデルを作成することを特徴とする、会議支援システム。
【請求項2】
前記第3サーバには、1つの前記オブジェクトに対して複数の前記素材情報データが記憶されており、
前記クライアント端末からの要求に応じて、前記設計者端末が前記素材モデルを変更して前記会議用BIMモデルを更新することを特徴とする、請求項1に記載の会議支援システム。
【請求項3】
前記素材モデルが変更されて前記会議用BIMモデルが更新された後、該素材モデルの変更情報データが前記第3サーバに送信され、
前記第3サーバにて前記素材モデルの変更が承認された際に、前記会議用BIMモデルの更新が正式に決定されることを特徴とする、請求項2に記載の会議支援システム。
【請求項4】
前記第1サーバは、前記ユーザ端末を利用するユーザのアバターを作成する、アバター作成機能を提供し、
前記設計者端末と前記クライアント端末の双方の表示部では、前記仮想会議空間にある前記会議用BIMモデルを用いて、設計者アバターがモデル説明をする状況が表示されることを特徴とする、請求項1に記載の会議支援システム。
【請求項5】
前記設計者端末と前記クライアント端末の双方の表示部では、前記仮想会議空間における会議に参加しているクライアントアバターがさらに表示されることを特徴とする、請求項4に記載の会議支援システム。
【請求項6】
前記ユーザ端末にヘッドマウントディスプレイが含まれ、
前記ヘッドマウントディスプレイを装着しているユーザのアバターは、ヘッドマウントディスプレイを装着していない状態で前記表示部に表示されることを特徴とする、請求項5に記載の会議支援システム。
【請求項7】
前記第1サーバにより、前記仮想会議空間に対して3次元描画を実行する3Dペンが提供され、
前記仮想会議空間にいる前記設計者アバターと前記クライアントアバターの少なくとも一方が、前記3Dペンを使用して該仮想会議空間に3次元描画することを特徴とする、請求項5に記載の会議支援システム。
【請求項8】
前記第1サーバにより、前記仮想会議空間に対して会議における音声の文字起こしを実行する、自動文字起こし機能が提供され、
前記仮想会議空間に、自動文字起こしされた文字を描画することを特徴とする、請求項1に記載の会議支援システム。
【請求項9】
前記自動文字起こし機能には翻訳機能が含まれ、
前記仮想会議空間に、翻訳後の自動文字起こしされた文字を描画することを特徴とする、請求項8に記載の会議支援システム。
【請求項10】
前記第1サーバにより、前記仮想会議空間における会議内容のデータ保存を実行する、履歴保存機能と、保存されたデータを再生する履歴再生機能が提供されることを特徴とする、請求項1に記載の会議支援システム。
【請求項11】
前記第1サーバにより、前記仮想会議空間に対して、付箋を貼付する付箋貼付機能が提供されることを特徴とする、請求項1に記載の会議支援システム。
【請求項12】
前記第1サーバにより、前記仮想会議空間に対して、会議の静止画を取得するキャプチャ機能が提供されることを特徴とする、請求項1に記載の会議支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物のデザインをクライアントへ説明する場合や、作成されたデザインを用いてクライアントと協議し、壁やフローリングといった様々な建材をクライアントからの要求に応じて変更しながらデザインを修正する場合に、従来は、クライアントが設計事務所やハウスメーカーへ出向き、あるいは設計事務所等の設計担当者等(設計担当者や営業担当者を含み、以下、「設計担当者」とする)がクライアント宅へ出向く等した上で、パソコンを用いて協議を行うことが一般的である。
【0003】
建築設計においては、敷地の条件や周辺環境を勘案しながら建物(建築物)の配置を決定し、内外観や間取り構成、装飾等を設計する意匠設計がまず行われる。この意匠設計では、一般に普及しているCAD(Computer-aided design)を用いることにより、二次元図面は勿論のこと、パースを含む三次元図面が作成される。昨今、上記する建物の設計において、BIM(Building Information Modeling)モデルを用いて、デザイナーを含む複数の設計担当者の間で建物に関する情報を共有化することが行われている。BIMモデルとは、建物を構成する構成要素(オブジェクトとも言い、梁や柱、壁等を含む)に関する、仮想の三次元空間における形状に関する情報や、材質、寸法、配置位置等に関する情報を有する三次元モデルである。このBIMモデルを用いて、三次元モデルを様々な角度から見た三次元図面が作成できる他、三次元図面を様々に切断したり、様々な角度から見た平面図(伏図を含む)や立面図(軸組図を含む)といった二次元図面を作成できる。すなわち、三次元モデルを構成する各構成要素は、種々の仕様情報を内包しており、この仕様情報は、変更や修正、追加が可能であり、変更や追加等の履歴を残すこともできる。
【0004】
従って、設計担当者がパソコンにダウンロードされているBIMモデルを用いて説明することにより、明りょうかつ現実的なイメージを想起し易いデザインを、クライアントに提供することができる。
【0005】
ここで、特許文献1には、Webカタログを格納するWebカタログサーバと通信を行い、建築物のBIMモデルを設計する、設計ユーザ端末が提案されている。この設計ユーザ端末は、ネットワークを介してWebカタログサーバに接続し、Webカタログサーバに対して、BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを送信する、第一通信部と、第一中間ファイルに対して、オブジェクトデータリストが入力されることにより形成される、第二中間ファイルが第一通信部を介して受信され、受信された第二中間ファイルを格納する、第一格納部と、建築物のBIMモデルを設計し、その際に、第一格納部に格納されている第二中間ファイルにおけるオブジェクトデータリストを読み込み、オブジェクトデータリストから選定されたオブジェクトデータをBIMモデルに取り込む、設計部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-56551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の設計ユーザ端末によれば、設計ユーザは、第二中間ファイルにおけるオブジェクトデータリストを用いて、BIMモデルの設計を行うことができる。すなわち、BIMモデルを構成する各オブジェクトに関する製品がデータリスト化されていることから、データリストから実際のBIMモデルに適用する製品を選択した際に、自動的に設計図書のデータベースへの入力が実行されるため、メーカーによる製品データをBIMモデルにおけるデータベースに効率的に取り込むことができ、対象オブジェクトの仕様情報として、選択された製品データを自動的に入力することができる。
【0008】
しかしながら、対象オブジェクトの仕様情報として、選択された製品データに関するテキストデータ(文字情報)が取り込まれるだけであることから、文字情報が付加されるものの、対象オブジェクトのイメージを想起させることには寄与しない。そこで、イメージを想起させ易くするために、BIMモデルの各オブジェクトに対して、手動にて製品に関するテクスチャ設定を行うことが考えられるが、各オブジェクトに対するテクスチャ設定には多大な手間と時間を要する。
【0009】
さらに、上記するクライアントと設計担当者との協議に際して、一方が他方へ出向く際や、双方がある場所に出向く際にも時間がかかり、通常は複数の設計変更等を経て最終的なデザインが決定されることに鑑みると、協議(会議)のたびに移動に時間を要するといった課題は一層顕著になる。
【0010】
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、建物のデザインに関するクライアントと設計担当者との会議に際して、一方もしくは双方が会議のために出向くことを不要にでき、BIMモデルを構成する各オブジェクトに関して具体的なイメージを想起できる会議用BIMモデルを生成する、会議支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく、本発明による会議支援システムの一態様は、
複数のユーザ端末がネットワークを介して接続し、各ユーザ端末の前方の現実空間に対して、各ユーザ端末が表示部を通して表示可能な仮想会議空間を提供する、第1サーバと、
建物のBIMモデルデータを前記第1サーバに送信して、該BIMモデルデータに基づくBIMモデルを前記仮想会議空間に提供する、第2サーバと、
前記BIMモデルを構成する各オブジェクトに関する素材情報データを前記第1サーバに送信して、該素材情報データに基づく素材モデルを前記仮想会議空間に提供する、第3サーバとを有し、
前記複数のユーザ端末には、前記BIMモデルを設計する設計者端末と、クライアント端末が含まれ、
前記第1サーバに接続している前記設計者端末が、前記仮想会議空間に表示されている前記BIMモデルに対して前記素材モデルを統合して、会議用BIMモデルを作成することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、ユーザ端末の前方の現実空間に対して、ユーザ端末である設計者端末とクライアント端末の双方がそれぞれの表示部を通して表示可能な仮想会議空間が第1サーバにて提供され、仮想会議空間に表示されている会議用BIMモデルを用いて設計担当者が説明し、クライアントが説明を受け、クライアントから設計担当者に対して様々な要求や要望が提案される会議を行うことにより、クライアントと設計担当者の一方もしくは双方が会議のために会議場所へ出向くことを不要にできる。さらに、第1サーバに接続している設計者端末が、仮想会議空間に表示されているBIMモデルに対して、素材情報データに基づく素材モデルを統合して会議用BIMモデルを作成すること、言い換えると、BIMモデルを構成する各オブジェクトを具体的な素材モデルとすることにより、壁やフローリング、天井といった様々なオブジェクトが素材モデルにて構成される会議用BIMモデルによって、クライアントは各オブジェクトに関する具体的なイメージを想起することが可能になる。
【0013】
各ユーザ端末の備える撮影部により、前方の現実空間を例えば動画撮影した際に、前方の現実空間には、第1サーバにて、仮想会議空間がユーザ端末の表示部を介して表示可能に提供される。
【0014】
設計担当者は、例えば自身の設計者端末にてBIMモデルを作成し、作成されたBIMモデルのBIMモデルデータを第2サーバに送信し、格納しておく。また、設計者端末は、第2サーバからBIMモデルデータを第1サーバに送信し、第1サーバにて提供されている仮想会議空間に対して、BIMモデルがユーザ端末の表示部を介して表示可能に生成される。また、設計者端末は、第3サーバから素材情報データを第1サーバに送信し、仮想会議空間に対して、素材情報データに基づく素材モデルがユーザ端末の表示部を介して表示可能に生成される。このように、第1サーバは、各ユーザ端末の表示部を介して仮想会議空間を視認可能に提供するとともに、BIMモデルや素材モデルを仮想会議空間の中で視認可能に提供し、設計者端末の操作に基づき、仮想会議空間においてBIMモデルと素材モデルの統合が実行されることにより、会議用BIMモデルが生成される。
【0015】
第1サーバは、設計担当者とクライアントとの間の会議場所である仮想会議空間の生成に際して、設計者端末とクライアント端末に対してアクセス権限を付与し、アクセス権限の付与されたユーザ端末のみが、当該ユーザ端末の表示部を介して仮想会議空間を表示できる(仮想会議に参加できる)ようになっている。
【0016】
また、本発明による会議支援システムの他の態様において、
前記第3サーバには、1つの前記オブジェクトに対して複数の前記素材情報データが記憶されており、
前記クライアント端末からの要求に応じて、前記設計者端末が前記素材モデルを変更して前記会議用BIMモデルを更新することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、第3サーバにおいて1つのオブジェクトに対して複数の素材情報データが記憶され、クライアント端末からの要求に応じて、設計者端末が素材モデルを変更して会議用BIMモデルを更新することにより、1回の会議にて、クライアントからの要求に応じて、各オブジェクトに対して様々な素材モデルが適用された複数種の会議用BIMモデルを生成することができ、決められた時間の中で濃密なデザイン会議を行うことができ、結果として会議の回数低減にも繋がる。
【0018】
また、クライアントの要望する素材モデルが、第3サーバから提供される素材情報データの中に存在しない場合には、設計担当者から第3サーバに対して要望に応じた素材情報データの追加を要求し、第3サーバでは、要望に応じた素材情報データをデータベースに追加し、素材情報データが追加された旨を設計者端末に送信することもできる。
【0019】
また、本発明による会議支援システムの他の態様は、
前記素材モデルが変更されて前記会議用BIMモデルが更新された後、該素材モデルの変更情報データが前記第3サーバに送信され、
前記第3サーバにて前記素材モデルの変更が承認された際に、前記会議用BIMモデルの更新が正式に決定されることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、素材モデルの変更による会議用BIMモデルの更新が、素材情報データを仮想会議空間に提供する第3サーバの承認によって正式に決定されることにより、クライアントからの要望等によって様々に変化し得る素材モデルに基づく会議用BIMモデルを、変更の変遷に応じた時系列の中で確定することができ、会議中であれば現時点で決定されている会議用BIMモデルを確定することができ、最後の会議の終了時点においては最終的に決定されたデザインを確定することができる。
【0021】
ここで、設計者端末や第2サーバ等によっても、会議に応じて変化し得る会議用BIMモデルを都度データとして記憶しておくことは可能であるが、本態様は、例えば1回の会議にて決定したオブジェクトに対する素材モデルを、素材情報データを提供する第3サーバによる承認を経て決定することで、会議ごとに決定されたオブジェクトに対する素材モデルを確定し、クライアントと設計担当者との間で認識にずれのない態様で会議を進め、最終的なデザインの確定に導くことを実現するものである。
【0022】
また、本発明による会議支援システムの他の態様において、
前記第1サーバは、前記ユーザ端末を利用するユーザのアバターを作成する、アバター作成機能を提供し、
前記設計者端末と前記クライアント端末の双方の表示部では、前記仮想会議空間にある前記会議用BIMモデルを用いて、設計者アバターがモデル説明をする状況が表示されることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、第1サーバのアバター作成機能にて作成された設計者アバターが、仮想会議空間にある会議用BIMモデルのモデル説明をする状況が表示部に表示されることによって、設計担当者とクライアントの双方が同じ会議に参加しているといった臨場感を感受することができる。ここで、設計者アバターには、様々な人物や動物、アニメーションのキャラクター等の画像の他に、自身の画像等が含まれる。自身の画像は、設計者端末に装備されている、もしくは、設計者端末に接続されている外付けのカメラ等の撮影手段(撮影部)にて撮影できる。
【0024】
また、本発明による会議支援システムの他の態様において、
前記設計者端末と前記クライアント端末の双方の表示部では、前記仮想会議空間における会議に参加しているクライアントアバターがさらに表示されることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、設計者アバターに加えてクライアントアバターがさらに表示されることにより、会議の参加者が仮想会議空間に集って会議を行う映像によって、設計担当者とクライアントの双方が、同じ会議に参加しているといったより一層高い臨場感を感受することができる。ここで、設計者アバターと同様に、クライアントアバターも、様々な人物や動物、アニメーションのキャラクター等の画像の他に、クライアント端末に装備されている、もしくはクライアント端末に接続されているカメラ等の撮影手段(撮影部)にて撮影された自身の画像等が含まれる。
【0026】
また、本発明による会議支援システムの他の態様は、
前記ユーザ端末にヘッドマウントディスプレイが含まれ、
前記ヘッドマウントディスプレイを装着しているユーザのアバターは、ヘッドマウントディスプレイを装着していない状態で前記表示部に表示されることを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、設計担当者とクライアントのいずれか一方もしくは双方がヘッドマウントディスプレイを装着して会議に参加することにより、例えば、自身の顔の動きや目の動きを自身を模擬したアバターに対してより忠実に再現させることができ、会議に参加している臨場感をより一層高めることができる。さらに、仮想会議空間を提供する第1サーバが、実際に装着されているヘッドマウントディスプレイの表示をアバターから削除する、非表示機能を有することにより、ユーザ端末の表示部に表示される設計担当者やクライアントのアバターがヘッドマウントディスプレイを装着していないことによって、実際の会議に参加しているといった臨場感を感受することができる。
【0028】
また、本発明による会議支援システムの他の態様は、
前記第1サーバにより、前記仮想会議空間に対して3次元描画を実行する3Dペンが提供され、
前記仮想会議空間にいる前記設計者アバターと前記クライアントアバターの少なくとも一方が、前記3Dペンを使用して該仮想会議空間に3次元描画することを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、仮想会議空間にいる設計者アバターとクライアントアバターの少なくとも一方が、3Dペンを使用して仮想会議空間に3次元描画することにより、会議用BIMモデルのうちのどのオブジェクトの素材モデルの変更を要望しているのか等を、3Dペンにて具体的かつ明確に指示することができる。また、その他、設計者アバターとクライアントアバターの双方が、3Dペンにて様々なコメントや手書き図面等を仮想会議空間に3次元描画することができる。
【0030】
また、本発明による会議支援システムの他の態様は、
前記第1サーバにより、前記仮想会議空間に対して会議における音声の文字起こしを実行する、自動文字起こし機能が提供され、
前記仮想会議空間に、自動文字起こしされた文字を描画することを特徴とする。
【0031】
本態様によれば、会議における音声が自動文字起こしされた文字が仮想会議空間に描画されることにより、相手方の発言の聞き忘れを防止でき、さらには、相手方と自身の発言を文字を通して再考することができ、設計担当者とクライアントが共通認識の下で会議を進めることができる。
【0032】
また、本発明による会議支援システムの他の態様において、
前記自動文字起こし機能には翻訳機能が含まれ、
前記仮想会議空間に、翻訳後の自動文字起こしされた文字を描画することを特徴とする。
【0033】
本態様によれば、翻訳後の自動文字起こしされた文字が仮想会議空間に描画されることにより、例えば日本語の理解できない外国のクライアントとの間の会議においても、双方の理解の下で会議を円滑に進めることができ、例えば外国にいるクライアントとの間で時差なく会議を行うことができる。
【0034】
また、本発明による会議支援システムの他の態様は、
前記第1サーバにより、前記仮想会議空間における会議内容のデータ保存を実行する、履歴保存機能と、保存されたデータを再生する履歴再生機能が提供されることを特徴とする。
【0035】
本態様によれば、会議内容のデータ保存と、保存されたデータの再生が実行されることにより、会議後に会議内容を確認して、素材モデル等の変更に関する決定事項を設計担当者とクライアントの双方が共有することができる。また、例えばクライアントが複数の会議の履歴を参照することにより、未だ確認していない素材モデルを適用した会議用BIMモデルの要求を行うこともできる。
【0036】
また、本発明による会議支援システムの他の態様は、
前記第1サーバにより、前記仮想会議空間に対して、付箋を貼付する付箋貼付機能が提供されることを特徴とする。
【0037】
本態様によれば、会議にて決定した事項や、設計担当者やクライアントが会議にて他方に確認・伝達したい事項等を付箋に記載して仮想会議空間に貼付することにより、決定事項や要確認・伝達事項等の備忘録として奏功する。
【0038】
また、本発明による会議支援システムの他の態様は、
前記第1サーバにより、前記仮想会議空間に対して、会議の静止画を取得するキャプチャ機能が提供されることを特徴とする。
【0039】
本態様によれば、会議の静止画を取得するキャプチャ機能により、会議における重要な場面や静止画として残しておきたい場面を取得することができる。
【発明の効果】
【0040】
以上の説明から理解できるように、本発明による会議支援システムによれば、建物のデザインに関するクライアントと設計担当者との会議に際して、一方もしくは双方が会議のために出向くことを不要にでき、BIMモデルを構成する各オブジェクトに関して具体的なイメージを想起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】実施形態に係る会議支援システムの全体構成を示す図である。
図2】実施形態に係る会議支援システムを形成するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3A】第1サーバの機能構成の一例を示す図である。
図3B】第2サーバの機能構成の一例を示す図である。
図3C】第3サーバの機能構成の一例を示す図である。
図3D】設計者端末の機能構成の一例を示す図である。
図3E】クライアント端末の機能構成の一例を示す図である。
図4】ユーザ端末の表示部に表示されている、仮想会議空間における会議の状況を示す図である。
図5】素材情報データに基づく素材モデルの例として、フローリングモデルリストの一例を示す図である。
図6】ユーザ端末の表示部に表示されている仮想会議空間において、音声の文字起こしが表示され、貼付された付箋が表示されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、実施形態に係る会議支援システムの一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0043】
[実施形態に係る会議支援システム]
図1乃至図6を参照して、実施形態に係る会議支援システムの一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係る会議支援システムの全体構成を示す図であり、図2は、実施形態に係る会議支援システムを形成するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。また、図3A乃至図3Eはそれぞれ、第1サーバ、第2サーバ、第3サーバ、設計者端末、及びクライアント端末の機能構成の一例を示す図であり、図4は、ユーザ端末の表示部に表示されている、仮想会議空間における会議の状況を示す図である。さらに、図5は、素材情報データに基づく素材モデルの例として、フローリングモデルリストの一例を示す図であり、図6は、ユーザ端末の表示部に表示されている仮想会議空間において、音声の文字起こしが表示され、貼付された付箋が表示されている状態を示す図である。
【0044】
会議支援システム100は、第1サーバ10と、第2サーバ20と、第3サーバ30と、複数のユーザ端末40とがネットワーク50を介して接続されることにより形成される。第1サーバ10は、例えば、アクセス権限を付与されたユーザのユーザ端末に対して、その表示部にて表示可能な仮想会議空間VSを提供する。
【0045】
第1サーバ10は、第2サーバ20と第3サーバ30と各ユーザ端末40に対してシステムへのアクセス権限を付与し、アクセス権限を付与された各ユーザ端末40等は、第1サーバ10にて提供される各種サービスを享受可能にする。
【0046】
第1サーバ10は、図4に示すように、ユーザ端末40がその撮影部402,411を介して前方の現実空間を動画撮影等した際に、この現実空間に対して、各ユーザ端末40が表示部406,412を通して表示可能な仮想会議空間VSを提供する。また、第1サーバ10はその他、様々なオプションを仮想会議空間VSに提供するが、提供される各種のオプションについては以下で詳説する。
【0047】
第1サーバ10は、仮想会議空間VSを利用した会議を提供する、ソフトウェア会社等の有するクラウドサーバである。
【0048】
第2サーバ20には、設計担当者(ユーザの一例)が設計者端末40にて作成したBIMモデル(BIM意匠モデルやBIM構造モデル等)に関するBIMモデルデータが格納されている。設計者端末の操作により、第2サーバ20からBIMモデルデータが第1サーバ10に送信され、第1サーバ10にて提供されている仮想会議空間VSに対して、BIMモデルデータに基づくBIMモデルが、ユーザ端末40の表示部406,412を介して表示可能に生成される。
【0049】
第2サーバ20は、建物のBIMモデルを作成し、クライアントに対してBIMモデルを提供し、BIMモデルに基づいて建物を建設し、クライアントに建物を販売する、ハウスメーカー等の有するクラウドサーバである。
【0050】
第3サーバ30には、BIMモデルデータに基づくBIMモデルを構成する各オブジェクトに関する素材情報データが格納される。設計者端末の操作により、第3サーバ30から素材情報データが第1サーバ10に送信され、第1サーバ10にて提供されている仮想会議空間VSに対して、素材情報データに基づく素材モデルが、ユーザ端末40の表示部を介して表示可能に生成される。ここで、建物のBIMモデルを構成するオブジェクトには、柱や梁、壁、床、天井等が含まれる。
【0051】
第3サーバ30は、建物を構成する各種建材(BIMモデルにおけるオブジェクト)に関して、様々な建材メーカーによる製品をデータベース化し、ハウスメーカー等にデータベースを提供する会社の有するクラウドサーバである。
【0052】
ユーザ端末40には、仮想会議空間VSにおいて、会議用BIMモデルVMを用いて建物のデザインを説明する設計担当者が所有する設計者端末と、建物の施主もしくは購入検討者であるクライアントが所有するクライアント端末が含まれる。
【0053】
尚、図示を省略するが、BIMソフトウェアである、Autodesk Revit(登録商標)を提供するAutodesk社のクラウドサーバに対して設計者端末40がアクセスし、設計者端末40にてBIMモデルを作成したり、様々な修正・変更を加える場合もあり、従って、不図示のAutodesk社のクラウドサーバも、第1サーバ10や設計者端末40等に対してネットワーク50を介して接続されてよい。
【0054】
ユーザ端末40には、タブレット40Aやスマートフォン40B、パーソナルコンピュータ40Cの他、ヘッドマウントディスプレイ40D(HMD:Head Mounted Display)が含まれる。
【0055】
ネットワーク50には、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が含まれる。
【0056】
図2に示すように、第1サーバ10、第2サーバ20、第3サーバ30、及びユーザ端末40はいずれも、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やワークステーション(WS:Work Station)、タブレット等の情報処理装置からなり、いずれもコンピュータにより構成される。尚、コンピュータとして第1サーバ10を取り上げて以下説明するが、他の第2サーバ20等も基本的には同様のハードウェア構成を有する。
【0057】
図2に示すように、第1サーバ10を構成するコンピュータは、接続バス16により相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)11、主記憶装置12、補助記憶装置13、通信IF(interface)14、及び入出力IF15を備えている。主記憶装置12と補助記憶装置13は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。尚、上記の構成要素はそれぞれ個別に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0058】
CPU11は、MPU(Microprocessor)やプロセッサとも呼ばれ、CPU11は、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPU11は、コンピュータからなる第1サーバ10の全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPU11は、例えば、補助記憶装置13に記憶されたプログラムを主記憶装置12の作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。
【0059】
主記憶装置12は、CPU11が実行するコンピュータプログラムや、CPU11が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置12は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置13は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納し、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置13には、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF14を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。第1サーバ10に対する外部装置等には、例えば、ネットワークに接続する第2サーバ20や第3サーバ30、ユーザ端末40といったパーソナルコンピュータ(PC)やワークステーション(WS)、サーバ、携帯端末等の情報処理装置や外部記憶装置等が含まれる。
【0060】
補助記憶装置13は、例えば、主記憶装置12を補助する記憶領域として使用され、CPU11が実行するコンピュータプログラムや、CPU11が処理するデータ等を記憶する。補助記憶装置13は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)装置、ソリッドステートドライブ装置等である。また、補助記憶装置13として、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示される。着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
【0061】
通信IF14は、第1サーバ10が接続するネットワークとのインターフェイスである。通信IF14は、ネットワークを介して、第2サーバ20や第3サーバ30,各ユーザ端末40に接続され、ユーザ端末40の前方の現実空間に対して、各ユーザ端末40が表示部406,412を通して表示可能な仮想会議空間VSを提供する。
【0062】
入出力IF15は、第1サーバ10に接続する機器との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。入出力IF15には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイス等が接続する。第1サーバ10は、入出力IF15を介して、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。
【0063】
また、入出力IF15には、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(EL:Electroluminescence)等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続する。第1サーバ10は、入出力IF15を介し、CPU11により処理されるデータや情報、主記憶装置12、補助記憶装置13に記憶されるデータや情報を出力する。
【0064】
次に、図3A乃至図3E図4乃至図6を参照して、各種サーバとユーザ端末の機能構成の一例について説明する。
【0065】
図3Aに示すように、第1サーバ10は、CPU11によるプログラムの実行により、少なくとも、第1通信部101、仮想会議空間生成部102、BIMモデル設定部103、アバター生成部104、付箋貼付部105、3次元描画部106、音声文字起こし部107、翻訳部108、静止画キャプチャ部109、履歴保存・再生部110、第1表示部111、及び第1記憶部112の各種機能を提供する。尚、上記処理機能の少なくとも一部が、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等によって提供されてもよく、同様に、上記処理機能の少なくとも一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用LSI(large scale integration)やその他のデジタル回路等であってもよい。
【0066】
第1通信部101は、ユーザ端末40の有する撮影部402,411を介して前方の現実空間を撮影した際に、表示部406、412を通して表示可能な仮想会議空間VSを提供する。さらに、第1通信部101は、3Dペンによる3次元描画をはじめとする、様々なオプションを仮想会議空間VSに提供する。
【0067】
仮想会議空間生成部102は、様々な仮想会議室の中から、設計者端末40等にて選択された仮想会議室をユーザ端末40の前方の現実空間に提供する。この仮想会議室には、大会議室や小会議室、セミナールーム、アウトドア等が用意されている他、利用者の好みに応じた仮想会議空室を任意に設定することができる。
【0068】
図4に示す例は、仮想会議空間VSとして小会議室が設定され、表示部406、412に表示されている例である。
【0069】
BIMモデル設定部103は、仮想会議空間VSに対して、会議対象となるBIMモデルの配置位置を設定し、設計者端末40からの操作により、第2サーバ20に格納されているBIMモデルデータを受信して、仮想会議空間VSにおける設定位置に対してBIMモデルデータに基づくBIMモデルを配置する。
【0070】
図4に示す例では、仮想会議空間VSにおける設定位置に対して、第2サーバ20から送信されたBIMモデルデータに基づくBIMモデルが配置され、このBIMモデルを構成する様々なオブジェクトに対して、第3サーバ30から送信された素材情報データに基づく素材モデルが適用されて形成された、会議用BIMモデルVMが生成されている状態を示している。尚、以下の説明では、オブジェクトのうち、フローリングの変更をクライアントから要求され、この要求に応じて設計担当者がフローリングに関する素材モデルを他の素材モデルに変更する場合を取り上げて説明する。
【0071】
アバター生成部104は、設計者端末40を所有する設計担当者のアバターや、クライアント端末40を所有するクライアントのアバター等を生成する。ここで、アバターには、様々な人物や動物、アニメーションのキャラクター等の画像が適用され、さらには、設計担当者やクライアントの自身の画像が適用される。
【0072】
図4に示す例では、設計担当者自身の画像に基づく設計者アバターA1と、クライアント自身の画像に基づくクライアントアバターA2が、会議用BIMモデルVMを挟んで会議に参加している状態を示している。
【0073】
設計担当者等が自身の画像を用いたアバターを生成する際は、設計者端末40やクライアント端末40等に装備されている撮像部402,411、もしくは設計者端末40等に接続されているカメラ等の外付けの撮影手段にて撮影された自身の画像が第1サーバ10に送信され、第1サーバ10のアバター生成部104にて画像が加工されて設計者アバター等が生成される。
【0074】
また、設計担当者等がヘッドマウントディスプレイを装着している場合は、ヘッドマウントディスプレイの備えるカメラにて自身の画像が撮影され、顔や目の動きに関する動画データがアバター生成部104に取り込まれることにより、会議に参加する設計担当者やクライアントの細かな動作が表示されることによって、同じ会議に参加しているといったより一層高い臨場感を感受することができる。
【0075】
さらに、設計担当者等がヘッドマウントディスプレイを装着している場合に、アバター生成部104は、設計者アバターA1やクライアントアバターA2が、ヘッドマウントディスプレイを装着していない状態(アバターからヘッドマウントディスプレイを削除した状態)で、ユーザ端末40の表示部406,412に各アバターA1、A2を表示させる、非表示機能を有している。
【0076】
このように、設計者アバターA1やクライアントアバターA2が、ヘッドマウントディスプレイを装着していない状態で表示部406,412に表示されることにより、実際の会議に参加しているといった臨場感を感受することができる。
【0077】
尚、図示例は、第1サーバ10がアバター生成部104を有する形態であるが、ユーザ端末40も同様にアバター生成部を備え、各ユーザ端末40が独自にアバターを生成し、仮想会議空間VSにアバターを提供する形態であってもよい。
【0078】
付箋貼付部105は、図6に示すように、会議にて決定した事項や、設計担当者やクライアントが会議にて他方に確認・伝達したい事項等を付箋Nに記載し、仮想会議空間VSに付箋Nを貼付する。貼付された付箋Nは、決定事項や要確認・伝達事項等の備忘録として機能する。ここで、図6に示す例は、○月△日の会議にて、フローリングを素材情報データの中のD4に変更したことが付箋Nに記載されている。
【0079】
ここで、図5に示すように、設計者端末40の操作により、第3サーバ30にて格納されている、オブジェクトの一例であるフローリングに関する素材情報データが第1サーバ10に送信され、素材情報データに基づくフローリングモデルリスト(複数のフローリングモデルF(素材モデルの一例)のリスト)が、仮想会議空間VSに対して表示部406,412を介して表示可能に提供される。ここで、図5に示す例では、縦にA乃至Dの4行、横に1乃至4の4列の計16のフローリングモデルFが例示されている。
【0080】
図6に示す例では、会議用BIMモデルVMに対して、素材情報データ:A1のフローリングモデルFが統合されており、これを視認したクライアントアバターA2は、フローリングモデルFを素材情報データ:A1から他の素材情報データ:D4に変更する要求をしている。
【0081】
3次元描画部106は、仮想会議空間VSに対して3次元描画を実行する不図示の3Dペンを提供し、仮想会議空間VSにいる設計者アバターA1とクライアントアバターA2は、必要に応じて3Dペンを使用して、仮想会議空間VSに対して3次元描画を実行する。
【0082】
3次元描画部106により、会議用BIMモデルVMのうちのどのオブジェクトの素材モデルの変更をクライアントが要望しているのか等を、3Dペンにて具体的かつ明確に指示することができる。また、その他、様々なコメントや手書き図面等を、仮想会議空間VSに対して3次元描画することができる。
【0083】
音声文字起こし部107は、図6に示すように、仮想会議空間VSに対して、自動文字起こしされた文字を描画する。図6に示す例は、クライアントアバターA2が、現在の会議用BIMモデルVMに設定されている、素材情報データ:A1に基づくフローリングモデルFを、他の素材情報データ:D4に基づくフローリングモデルFに変更することを要求し、この音声が文字起こしL1として表示されている。これに対して、設計者アバターA1は、フローリングモデルFを素材情報データ:A1から素材情報データ:D4に変更して会議用BIMモデルVMを更新する旨の回答をしており、この音声が文字起こしL2として表示されている。
【0084】
音声文字起こし部107により、会議における音声が自動文字起こしされた文字が仮想会議空間VSに描画されることによって、相手方の発言の聞き忘れを防止できる。さらに、相手方と自身の発言を文字を通して再考することができ、設計担当者とクライアントが共通認識の下で会議を進めることができる。
【0085】
翻訳部108は、仮想会議空間VSに対して、翻訳後の自動文字起こしされた文字を描画する(翻訳の例は図示せず)。例えば、クライアントが日本語の理解できない外国人である場合に、係るクライアントとの間の会議においても、双方の理解の下で会議を円滑に進めることができる。また、このクライアントが外国にいる場合でも、時差なく会議を行うことができる。
【0086】
静止画キャプチャ部109は、仮想会議空間VSに対して、様々なシーンの会議の静止画を取得する。例えば、会議における重要な場面や静止画として残しておきたい場面を取得することができ、一例として、フローリングを様々な素材モデルに変更した際の会議用BIMモデルVMに関する静止画を都度取得することにより、クライアントは各静止画を連続的に、もしくは並べて比較することができる。
【0087】
履歴保存・再生部110は、仮想会議空間VSにおける会議内容のデータ保存を実行し、さらに、保存されたデータを再生する。このように、会議内容のデータ保存と、保存されたデータの再生が実行されることにより、会議後に会議内容を確認して、フローリングに関する素材モデルの変更に関する決定事項を設計担当者とクライアントの双方が共有することができる。また、クライアントが複数の会議の履歴を参照することにより、未だ確認していないフローリングに関する素材モデル(例えば、図5における素材情報データ:B1や素材情報データ:C3の素材モデル等)が適用された、新規の会議用BIMモデルVMの作成を要求することもできる。
【0088】
第1表示部111は、各ユーザ端末40の前方の現実空間に提供する仮想会議空間VSや、仮想会議空間VSを形成する仮想会議室、仮想会議空間VSの所定位置に配置されるBIMモデルや会議用BIMモデルVM、設計者アバターA1やクライアントアバターA2の配置や双方の視線方向等を表示し、臨場感のある会議が各ユーザ端末40の表示部406、412に表示されているか否かを確認する。
【0089】
第1記憶部112は、会議における動画データを音声データとともに保存し、静止画キャプチャ部109にて取得された静止画データを保存し、その他、各種オプションが適用された際の記録をデータとして保存する。さらに、第1記憶部112には、アクセス権限のあるユーザ端末40や第1サーバ10、第2サーバ20、及び第3サーバ30のそれぞれのアドレスを記憶する。
【0090】
一方、図3Bに示すように、第2サーバ20は、CPU11によるプログラムの実行により、少なくとも、第2通信部201と第2記憶部202の各種機能を提供する。
【0091】
第2通信部201は、第2記憶部202に格納されているBIMモデルデータを、第1通信部101に送信する。第1サーバ10にて受信されたBIMモデルデータに基づくBIMモデルは、各ユーザ端末40の前方の現実空間に対して、表示部406、412を介して表示されている仮想会議空間VSに提供される。ここで、2回目以降の会議では、既に、いつくかのオブジェクトに対して具体的な素材モデルが統合された会議用BIMモデルVMが作成されていることから、作成済みの会議用BIMモデルVMも第2記憶部202に記憶される。
【0092】
次回の会議では、作成済みの会議用BIMモデルVMが仮想会議空間VSに提供され、既に設定済みのオブジェクトの素材モデルを変更したり、未だ未設定のオブジェクトに対する素材モデルの統合が行われて、デザイン会議がさらに進められる。
【0093】
第2記憶部202はさらに、1回の会議で決定された会議用BIMモデルVMを記憶し、さらには、最終的に決定された建物の会議用BIMモデルVMを記憶する。
【0094】
一方、図3Cに示すように、第3サーバ30は、CPU11によるプログラムの実行により、少なくとも、第3通信部301、素材モデル変更承認部302、及び第3記憶部303の各種機能を提供する。
【0095】
第3通信部301は、第3記憶部303に格納されている各オブジェクトに関する素材情報データを、仮想会議空間VSに提供する。各オブジェクトにはそれぞれ、各社の製品がデータリスト化され、具体的なイメージを想起可能な素材モデルが設定されている。そのため、仮想会議空間VSに提供された各オブジェクトに関する素材情報データに基づき、各オブジェクトに対してクライアントの要求に応じた素材モデルを統合させて会議用BIMモデルを生成することにより、会議の参加者は各オブジェクトの具体的なイメージを想起でき、したがって、各居室や建物全体の具体的なイメージを想起することができる。
【0096】
さらに、BIMモデルの各オブジェクトに対して、製品のテクスチャ設定を自動かつ短時間で行うことができるため、決められた時間の会議の中で、様々な素材モデルの変更を都度具体的なイメージを持って確認することが可能になる。
【0097】
素材モデル変更承認部302は、素材モデルが変更されて会議用BIMモデルVMが更新され、素材モデルの変更情報データを第3通信部301が受信した後、素材モデルの変更を承認し、この承認によって、会議用BIMモデルVMの更新を正式に決定する。
【0098】
このように、素材モデルの変更による会議用BIMモデルVMの更新が、素材モデル変更承認部302の承認によって正式に決定されることにより、クライアントからの要望等によって様々に変化し得る素材モデルに基づく会議用BIMモデルVMを、変更の変遷に応じた時系列の中で都度確定することができ、会議中であれば現時点で決定されている会議用BIMモデルVMを確定することができ、最後の会議の終了時点においては最終的に決定されたデザインを確定することができる。
【0099】
第3記憶部303は、1回の会議で決定された会議用BIMモデルVMを構成する各オブジェクトの素材モデルを記憶し、さらには、最終的に決定された建物の会議用BIMモデルVMを構成する各オブジェクトの素材モデルを記憶する。
【0100】
一方、図3Dに示すように、設計者端末40は、CPU11によるプログラムの実行により、少なくとも、第4通信部401、第4撮影部402、BIMモデル操作部403、素材モデル統合・変更部404、各種オプション選択・操作部405、第4表示部406、及び第4記憶部407の各種機能を提供する。
【0101】
第4通信部401は、第1サーバ10の第1通信部101に接続し、第4撮影部402を通して前方の現実空間の動画を撮影した際に、第4表示部406を介して第1サーバ10から提供される仮想会議空間VSを表示可能とする。
【0102】
また、第4通信部401は、第2サーバ20の第2通信部201に接続し、第2記憶部202に格納されているBIMモデルデータを第1サーバ10に送信するとともに、第3サーバ30の第3通信部301に接続し、第3記憶部303に格納されている素材情報データを第1サーバ10に送信する。
【0103】
第4撮影部402は、設計者端末40の前方の現実空間を動画撮影するとともに、設計担当者を動画撮影する。動画撮影された前方の現実空間には、第1サーバ10から提供される仮想会議空間VSが第4表示部406を介して表示可能とされ、動画撮影された設計担当者自身の動画は、第1サーバ10に送信され、アバター生成部104にて自身の設計者アバターA1の作成に供される。
【0104】
BIMモデル操作部403は、第2サーバ20からBIMモデルデータを第1サーバ10に送信して、仮想会議空間VSにBIMモデルデータに基づくBIMモデルを取り込むとともに、会議においては、設計者アバターA1がクライアントアバターA2にBIMモデルや会議用BIMモデルVMを用いて説明するに当たり、会議用BIMモデルVM等の大きさやクライアントアバターA2から見る角度等を様々に変更したり、会議用BIMモデルVMの位置を変更する。
【0105】
素材モデル統合・変更部404は、仮想会議空間VSにおいて、設計担当者がBIMモデルの各オブジェクトに対して、素材情報データに基づく素材モデルを統合する操作を実行し、クライアントからの要望に応じて、統合されている素材モデルを他の素材モデルに変更する操作を実行する。
【0106】
各オプション選択・操作部405は、第1サーバ10が仮想会議空間VSに提供する様々なオプション、具体的には、付箋貼付機能、3次元描画機能、音声文字起こし機能、翻訳機能、静止画キャプチャ機能、履歴保存機能と履歴再生機能のいずれか一種もしくは複数種を選択し、仮想会議空間VSに適用する操作を実行する。
【0107】
第4記憶部407には、設計担当者が設計したBIMモデルデータが格納されており、第2サーバ20から第1サーバ10へBIMモデルデータを送信して仮想会議空間VSに提供することとは別に、第4記憶部407にあるBIMモデルデータを第1サーバ10に送信することもできる。また、第4記憶部407では、第1記憶部112と同様に、会議における動画データを音声データとともに保存し、静止画キャプチャ部109にて取得された静止画データを保存し、その他、各種オプションが適用された際の記録をデータとして保存する。
【0108】
一方、図3Eに示すように、クライアント端末40は、CPU11によるプログラムの実行により、少なくとも、第5通信部410、第5撮影部411、及び第5表示部412の各種機能を提供する。
【0109】
第5通信部410は、第1サーバ10の第1通信部101に接続し、第5撮影部411を通して前方の現実空間の動画を撮影した際に、第5表示部412を介して第1サーバ10から提供される仮想会議空間VSを表示可能とする。
【0110】
第5撮影部411は、クライアント端末40の前方の現実空間を動画撮影するとともに、クライアントを動画撮影する。動画撮影された前方の現実空間には、第1サーバ10から提供される仮想会議空間VSが第5表示部412を介して表示可能とされ、動画撮影されたクライアント自身の動画は、第1サーバ10に送信され、アバター生成部104にて自身のクライアントアバターA2の作成に供される。
【0111】
図示する会議支援システム100によれば、ユーザ端末40の前方の現実空間に対して、ユーザ端末40に含まれる設計者端末40とクライアント端末40の双方がそれぞれの表示部406,412を通して表示可能な仮想会議空間VSが第1サーバ10にて提供され、仮想会議空間VSに提供されている会議用BIMモデルVMを用いて設計担当者が説明し、クライアントが説明を受け、クライアントから設計担当者に対して様々な要求や要望が提案される会議を行うことにより、クライアントと設計担当者の一方もしくは双方が会議のために会議場所へ出向くことを不要にできる。
【0112】
さらに、第1サーバ10に接続している設計者端末40が、仮想会議空間VSに表示されているBIMモデルに対して、素材情報データに基づく素材モデルを統合して会議用BIMモデルVMを作成すること、言い換えると、BIMモデルを構成する各オブジェクトを具体的な素材モデルとすることにより、壁やフローリング、天井といった様々なオブジェクトが素材モデルにて構成される会議用BIMモデルによって、クライアントはデザインに関する具体的なイメージを想起することが可能になる。
【0113】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0114】
10:第1サーバ
20:第2サーバ
30:第3サーバ
40、40A、40B、40C、40D:ユーザ端末(設計者端末、クライアント端末)
50:ネットワーク
100:会議支援システム
402:第4撮影部(撮影部)
406:第4表示部(表示部)
411:第5撮影部(撮影部)
412:第5表示部(表示部)
VS:仮想会議空間
VM:会議用BIMモデル(BIMモデル)
F:フローリングモデル(素材モデル)
A1:設計者アバター(アバター)
A2:クライアントアバター(アバター)
L1,L2:音声の文字起こし(文字起こし)
N:付箋
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6