(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122039
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】アーチ形プレキャスト版の連結構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/61 20060101AFI20240902BHJP
E04B 1/32 20060101ALI20240902BHJP
E01F 7/00 20060101ALI20240902BHJP
E21D 11/08 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
E04B1/61 502C
E04B1/32 101E
E01F7/00
E21D11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029348
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000228785
【氏名又は名称】日本サミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】八木 恒司
【テーマコード(参考)】
2D001
2D155
2E125
【Fターム(参考)】
2D001PD03
2D001PE01
2D155BB02
2D155GC01
2D155GC06
2E125AA68
2E125AE02
2E125AF01
2E125BA02
2E125BB08
2E125BD01
2E125BE07
2E125BF01
2E125CA03
2E125EA02
(57)【要約】
【課題】アーチ形プレキャスト版の端部のずれを防止できるアーチ形プレキャスト版の連結構造を提供する。
【解決手段】アーチ形プレキャスト版11,21は周方向に分割され、一方と他方のアーチ形プレキャスト版11,21の幅方向に連続する貫通孔71にボルト部材80を挿通し、このボルト部材80により頂部同士が連結される。貫通孔71に、ボルト部材80をアーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21U側から外面11G,21G側に移動可能に遊挿する。押圧手段85によりボルト部材80をアーチ形プレキャスト版11,21の外面11G,21G側に押すと、ボルト部材80の上面部83が両アーチ形プレキャスト版11,21の凸部に連続する貫通孔71の上面部73に当接し、両凸部の貫通孔71がボルト部材80によって押されることにより、両凸部のアーチ形プレキャスト版内外面方向の位置合わせがなされる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う端部の突合せ面同士を突き合わせてアーチ形に連結されるアーチ形プレキャスト版の連結構造において、
前記隣り合う端部のずれを防止するために前記アーチ形プレキャスト版の内面側から該アーチ形プレキャスト版に取り付ける取付部材を備えることを特徴とするアーチ形プレキャスト版の連結構造。
【請求項2】
前記アーチ形プレキャスト版は周方向に分割され、周方向に隣り合う一方と他方の前記アーチ形プレキャスト版の前記端部を凸部と凹部により凹凸嵌合すると共に、前記一方と他方のアーチ形プレキャスト版の前記端部の前記凸部に連続する該アーチ形プレキャスト版幅方向の貫通孔を形成し、前記一方と他方のアーチ形プレキャスト版の幅方向に連続する貫通孔にボルト部材を挿通し、このボルト部材により前記端部同士が連結され、
前記貫通孔に、前記ボルト部材を前記アーチ形プレキャスト版の内面側から外面側に移動可能に遊挿し、前記ボルト部材の前記アーチ形プレキャスト版外面側には、前記連続する貫通孔の前記アーチ形プレキャスト版外面側に当接する当接部が設けられ、前記ボルト部材を前記アーチ形プレキャスト版外面側に押す前記取付部材たる押圧部材を備えることを特徴とする請求項1記載のアーチ形プレキャスト版の連結構造。
【請求項3】
前記ボルト部材は、前記当接部が設けられた本体と、この本体の両端に設けた雄螺子部とを備え、
前記端部の内面に、前記貫通孔に連通する凹所を形成すると共に、この凹所に突出した前記雄螺子部にナットを螺合したことを特徴とする請求項2記載のアーチ形プレキャスト版の連結構造。
【請求項4】
前記ボルト部材は、前記当接部が設けられた本体と、この本体の両端に設けた雄螺子部とを備え、
前記アーチ形プレキャスト版の内面と前記貫通孔との間に雌螺子孔を設け、
前記押圧部材は、前記雌螺子孔に螺合され先端側が前記本体の前記アーチ形プレキャスト版内面側に当接するボルトであることを特徴とする請求項2記載のアーチ形プレキャスト版の連結構造。
【請求項5】
隣り合う前記アーチ形プレキャスト版の前記突合せ面を突き合わせた状態で、前記隣り合うアーチ形プレキャスト版間に跨る連結溝を形成する分割連結溝を前記隣り合うアーチ形プレキャスト版に設け、
前記分割連結溝は、前記突合せ面と前記アーチ形プレキャスト版の内面に開口する中央溝部と、前記アーチ形プレキャスト版の内面に開口する間隔保持溝部とを有し、
前記連結溝に挿入して前記隣り合うアーチ形プレキャスト版を連結する前記取付部材たる連結部材を備え、この連結部材は、前記突合せ面を挟んで連通する前記隣り合うアーチ形プレキャスト版の前記中央溝部に挿入する中央連結部と、この中央連結部の両側に設けられ前記アーチ形プレキャスト版の前記間隔保持溝部に挿入して前記間隔保持溝部間の間隔を保持する間隔保持部とを一体に有することを特徴とする請求項1記載のアーチ形プレキャスト版の連結構造。
【請求項6】
前記分割連結溝と前記間隔保持溝部とを有する埋込部材を備え、前記埋込部材を前記アーチ形プレキャスト版に埋設固定したことを特徴とする請求項5記載のアーチ形プレキャスト版の連結構造。
【請求項7】
前記連結部材の前記アーチ形プレキャスト版内面側に配置する押え部材と、この押え部材を前記アーチ形プレキャスト版に固定する固定手段とを備えることを特徴とする請求項5又は6記載のアーチ形プレキャスト版の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーチ形プレキャスト版の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のアーチ形プレキャスト版の連結構造を用いるものとして、アーチ形プレキャスト版である左右の単位パネルの頂部を、頂部連結具により連結締付して構築したアーチ形中空構造物たるスノーシェルター(例えば特許文献1)や、アーチ形プレキャスト版である左右のアーチ形ユニット版の頂部を、PC鋼棒により締め付けて構築するアーチ形中空構造物たるアーチ形カルバート(例えば特許文献2)や、アーチ形トンネル穴の周方向に左右2分割されたコンクリート製の湾曲状アーチ形プレキャスト版を用い、左右アーチ形プレキャスト版の上端には相互に係合する段部が形成され、段部に挿通した両ねじボルトにより締め付けて構築したアーチ形中空構造物(例えば特許文献3)や、左右のアーチ形プレキャスト版の各上端は凸部と凹部からなる段差部が互い違いに嵌合し、これら凸部と凹部に挿通したボルトにより締め付けて構築するアーチ形中空構造物(例えば特許文献4)がある。
【0003】
上記特許文献1では、左右の単位パネルの頂部を、左右方向(単位パネルの周方向)の頂部連結具により締め付け、上記特許文献2では、左右のアーチ形ユニット版の頂部を、左右方向のPC鋼棒により締め付け、上記特許文献3では、左右アーチ形プレキャスト版の頂部を、前後方向の両ねじボルトにより締め付け、上記特許文献4では、左右のアーチ形プレキャスト版の頂部を、前後方向のボルトにより締め付けて連結しており、いずれも左右の頂部にずれが生じた場合、連結具などでは頂部のずれを直すことができなかった。
【0004】
例えば、特許文献3において、両ねじボルトを挿通する段付き孔は、両ねじボルトをスムーズに挿通できるように両ねじボルトに比べて十分大きく形成されているため、左右一方のアーチ形プレキャスト版の頂部を押し下げる力が加わると、段付き孔と両ねじボルトとの隙間により、左右一方のアーチ形プレキャスト版の頂部が左右他方のアーチ形プレキャスト版の頂部に比べて下がり、左右のアーチ形プレキャスト版の頂部に段差ができる虞があった。
【0005】
また、左右のアーチ形プレキャスト版の段部の段付き孔に前後方向の両ねじボルトを挿通するためには、長さ方向に両ねじボルトをスライドして段付き孔に挿通する必要があり、これをトンネル内面に近接した位置で行う場合、作業に手間が掛かるという問題があった。
【0006】
さらに、両ねじボルトを用いる連結構造では、アーチ形プレキャスト版の端部に凹凸を設ける必要があると共に、周方向の分割箇所しか連結することができなかった。
【0007】
さらにまた、従来の両ねじボルトを用いる連結構造においては、長さ方向に並設したアーチ形プレキャスト版の長さ方向の端部からは両ねじボルトを引き抜いて外すことができるが、途中のアーチ形プレキャスト版からは両ねじボルトを引き抜くことができず、補修などのために途中のアーチ形プレキャスト版のみを容易に交換することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2-157307号公報
【特許文献2】特開2000-337092号公報
【特許文献3】特開平5-295992号公報
【特許文献4】特開2005-315029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、アーチ形プレキャスト版の端部の高さを合わせることができるアーチ形プレキャスト版の連結構造を提供することを目的とし、また、汎用性に優れ、連結作業が容易なアーチ形プレキャスト版の連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、隣り合う端部の突合せ面同士を突き合わせてアーチ形に連結されるアーチ形プレキャスト版の連結構造において、前記隣り合う端部のずれを防止するために前記アーチ形プレキャスト版の内面側から該アーチ形プレキャスト版に取り付ける取付部材を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、前記アーチ形プレキャスト版は周方向に分割され、周方向に隣り合う一方と他方の前記アーチ形プレキャスト版の前記端部を凸部と凹部により凹凸嵌合すると共に、前記一方と他方のアーチ形プレキャスト版の前記端部の前記凸部に連続する該アーチ形プレキャスト版幅方向の貫通孔を形成し、前記一方と他方のアーチ形プレキャスト版の幅方向に連続する貫通孔にボルト部材を挿通し、このボルト部材により前記端部同士が連結され、前記貫通孔に、前記ボルト部材を前記アーチ形プレキャスト版の内面側から外面側に移動可能に遊挿し、前記ボルト部材の前記アーチ形プレキャスト版外面側には、前記連続する貫通孔の前記アーチ形プレキャスト版外面側に当接する当接部が設けられ、前記ボルト部材を前記アーチ形プレキャスト版外面側に押す前記取付部材たる押圧部材を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、前記ボルト部材は、前記当接部が設けられた本体と、この本体の両端に設けた雄螺子部とを備え、前記端部の内面に、前記貫通孔に連通する凹所を形成すると共に、この凹所に突出した前記雄螺子部にナットを螺合したことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、前記ボルト部材は、前記当接部が設けられた本体と、この本体の両端に設けた雄螺子部とを備え、前記アーチ形プレキャスト版の内面と前記貫通孔との間に雌螺子孔を設け、前記押圧部材は、前記雌螺子孔に螺合され先端側が前記本体の前記アーチ形プレキャスト版内面側に当接するボルトであることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、隣り合う前記アーチ形プレキャスト版の前記突合せ面を突き合わせた状態で、前記隣り合うアーチ形プレキャスト版間に跨る連結溝を形成する分割連結溝を前記隣り合うアーチ形プレキャスト版に設け、前記分割連結溝は、前記突合せ面と前記アーチ形プレキャスト版の内面に開口する中央溝部と、前記アーチ形プレキャスト版の内面に開口する間隔保持溝部とを有し、前記連結溝に挿入して前記隣り合うアーチ形プレキャスト版を連結する前記取付部材たる連結部材を備え、この連結部材は、前記突合せ面を挟んで連通する前記隣り合うアーチ形プレキャスト版の前記中央溝部に挿入する中央連結部と、この中央連結部の両側に設けられ前記アーチ形プレキャスト版の前記間隔保持溝部に挿入して前記間隔保持溝部間の間隔を保持する間隔保持部とを一体に有することを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、前記分割連結溝と前記間隔保持溝部とを有する埋込部材を備え、前記埋込部材を前記アーチ形プレキャスト版に埋設固定したことを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、前記連結部材の前記アーチ形プレキャスト版内面側に配置する押え部材と、この押え部材を前記アーチ形プレキャスト版に固定する固定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の構成によれば、取付部材をアーチ形プレキャスト版の内面側から取り付けることにより、隣り合う端部のずれを防止することができる。
【0018】
請求項2の構成によれば、押圧部材によりボルト部材をアーチ形プレキャスト版外面側に押すと、ボルト部材の当接部が両アーチ形プレキャスト版の凸部に連続する貫通孔のアーチ形プレキャスト版外面側に当接し、両凸部の貫通孔の外面側がボルト部材によって押されることにより、両凸部のアーチ形プレキャスト版内外面方向の位置合わせがなされる。これにより周方向に隣り合う一方と他方のアーチ形プレキャスト版の端部間における段差の発生を防止することができる。
【0019】
請求項3の構成によれば、ボルト部材の本体に設けた当接部が、両凸部の貫通孔の外面側を押すことにより、両凸部のアーチ形プレキャスト版内外面方向の位置合わせがなされ、周方向に隣り合う一方と他方のアーチ形プレキャスト版の端部間における段差の発生を防止することができ、この状態で雄螺子部にナットを螺合してアーチ形プレキャスト版の端部同士を連結することができる。
【0020】
請求項4の構成によれば、ボルトを捻じ込むことにより、ボルトの先端が本体を押し、本体が貫通孔のアーチ形プレキャスト版外面側を押す。
【0021】
請求項5の構成によれば、隣り合う前記アーチ形プレキャスト版の突合せ面を突き合わせた状態で、隣り合うアーチ形プレキャスト版間に跨る連結溝に、連結部材を挿入することにより、隣り合うアーチ形プレキャスト版を連結することができ、連結作業が容易になると共に、周方向に隣り合うアーチ形プレキャスト版の端部の連結と、幅方向に隣り合うアーチ形プレキャスト版の連結に用いることができ、汎用性に優れたものとなる。
【0022】
請求項6の構成によれば、アーチ形プレキャスト版に埋込部材を埋設固定することにより、分割連結溝を備えたアーチ形プレキャスト版が簡便に得られる。
【0023】
請求項7の構成によれば、押え部材を固定することにより、連結後の連結部材の抜出しを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例1を示すアーチ形中空構造物の断面図である。
【
図2】同上、接合状態のアーチ形プレキャスト版の頂部の底面図である。
【
図3】同上、アーチ形プレキャスト版の頂部の透し斜視図である。
【
図4】同上、接合状態のアーチ形プレキャスト版の頂部の透し斜視図である。
【
図7】同上、ボルト部材を挿通した状態の頂部の断面図である。
【
図8】同上、押圧手段によりボルト部材の当接部を貫通孔のアーチ形プレキャスト版外面側に当接した状態の頂部の断面図である。
【
図9】同上、貫通孔の変形例の頂部の断面図である。
【
図10】本発明の実施例2を示す接合状態のアーチ形プレキャスト版の頂部の底面図である。
【
図11】同上、アーチ形プレキャスト版の頂部の底面図である。
【
図13】同上、連結構造の要部の分解斜視図である。
【
図16】本発明の実施例3を示すアーチ形トンネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0026】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。
図1~
図9は本発明の実施例1を示し、
図1はアーチ形中空構造物1の断面を示すものであり、路面2の両側にコンクリート基礎3,3を設け、プレキャストコンクリート製の左右一対のアーチ形プレキャスト版11,21が、アーチ形に組み立てられて据え付けられる。
【0027】
具体的には、前記コンクリート基礎3,3に受け面4を設けると共に、この受け面4の外側に取付部5を突設し、アーチ形プレキャスト版11,21の下端11K,21Kを前記受け面4,4に載置すると共に、アーチ形プレキャスト版11,21の下部を前記取付部5,5に固定手段6により固定し、かつ各アーチ形プレキャスト版11,21の上端同士を衝合している。尚、前記固定手段6は、アーチ形プレキャスト版11,21の下部と前記取付部5,5に挿通した路面幅方向の両螺子ボルト6Aと、この両螺子ボルト6Aの両端に螺合するナット6B,6Bとを備える。
【0028】
また、一方と他方(右と左)のアーチ形プレキャスト版11,21は、それぞれ道路となる路面2の長さ方向を幅方向に合わせて長さ方向に複数並設されると共に、幅方向両端の端面12,12,22,22同士が突き合わされる。尚、複数のアーチ形プレキャスト版11,21は路面長さ方向に同一幅に形成されている。
【0029】
図2の底面図などに示すように、左右一方である右のアーチ形プレキャスト版11の中空構造物中央上部に位置する頂部13は、幅方向他側に略方形の凸部61を有すると共に、この凸部61に対応して幅方向一側に略方形の凹部62を有し、凸部61と凹部62の間には、アーチ形プレキャスト版11の幅方向と交差方向の段差面63が形成されている。
【0030】
前記凸部61の幅と凹部62の幅は略同一幅で、凸部61の先端面が先端突合せ面64であり、凹部62の底面が基端突合せ面65である。
【0031】
左右他方である左のアーチ形プレキャスト版21の中空構造物中央上部に位置する頂部23は、幅方向一側に凸部61Aを有すると共に、この凸部61Aに対応して幅方向一側に凹部62Aを有し、凸部61Aと凹部62Aの間には、アーチ形プレキャスト版21の幅方向と略交差方向の段差面63が形成されている。
【0032】
前記凸部61Aの幅と凹部62Aの幅は略同一幅で、凸部61Aの先端面が先端突合せ面64Aであり、凹部62Aの底面が基端突合せ面65Aである。
【0033】
そして、一方のアーチ形プレキャスト版11の先端突合せ面64に他方のアーチ形プレキャスト版21の基端突合せ面65Aが突き合わされると共に、一方のアーチ形プレキャスト版11の基端突合せ面65に他方のアーチ形プレキャスト版21の先端突合せ面64Aが突き合わされる。また、頂部13,23の段差面63,63同士が突き合わされる。
【0034】
また、通路たる路面2の長さ方向に隣り合うアーチ形プレキャスト版11,21同士は、端面12,22を合わせて据付けられる。
【0035】
次に、前記左右一対のアーチ形プレキャスト版11,21の端部である頂部13,23の連結構造70について説明する。前記左右のアーチ形プレキャスト版11,21の凸部61,61Aに、アーチ形プレキャスト版11,21の幅方向の貫通孔71,71を形成する。そして、頂部13,23を凹凸嵌合した状態で、凸部61,61Aの貫通孔71,71が連通する。
【0036】
図6などに示すように、前記貫通孔71は、アーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21U側から外面11G,21G側に向かってテーパー状に間隔が狭まる内側面72,72と、これら内側面72,72の上部を連結する上面部73と、それら内側面72,72の下部を連結する下面部74とを備え、断面が左右対称な等脚台形形状をなす。
【0037】
また、貫通孔71の内面は、抜き型を用いてコンクリート面で構成したり、後述するように等脚台形状の管材をインサート成形により設けたりして構成することができる。
【0038】
前記凸部61,61Aの幅方向中央には、内面11U,21Uに開口する凹所76,76が設けられ、これら凹所76,76により前記貫通孔71が端面12,22側の貫通孔端面側部171と段差面63,63側の貫通孔段差面側部171Aに分割されている。また、これら貫通孔端面側部171と貫通孔段差面側部171Aは凹所76の定着面77,77に開口し、貫通孔端面側部171,171は端面12,22に開口すると共に、貫通孔段差面側部171A,171Aは段差面63,63に開口する。尚、貫通孔端面側部171が一方の貫通孔分割部、貫通孔段差面側部171Aが他方の貫通孔分割部である。
【0039】
前記凹所76は略箱型をなし、凹所76のアーチ形プレキャスト版11,21の幅方向両側に前記定着面77,77が設けられており、両側の定着面77,77は平行で、
図6などに示すように、両側の側面は外面側に向かってテーパー状に間隔が狭まる。
【0040】
また、凹所76は前記内面11U,21Uに開口し、この開口を塞ぐ蓋体78(
図2)を備え、この蓋体78は着脱手段たる螺子79により内面11U,21Uに着脱可能に設けられる。
【0041】
前記貫通孔71に挿通して左右のアーチ形プレキャスト版11,21の端部を連結するボルト部材80(
図5)を備える。このボルト部材80は、前記貫通孔71に係合する本体81と、この本体81の両端に設けた螺子棒たる雄螺子部81N,81Nとを一体に備え、金属などの硬質材料からなる。
【0042】
前記本体81は、前記貫通孔71に対応して、上側に向かってテーパー状に間隔が狭まる側面部82,82と、これら側面部82,82の上部を連結する当接部たる上面部83と、それら側面部82,82の下部を連結する下面部84とを備え、断面等脚台形形状をなし、上面部83と前記貫通孔71の前記上面部73の幅が同一であり、側面部82,82の挟角と前記貫通孔71の内側面72,72の挟角が等しく、側面部82が前記貫通孔71の内側面72より短く、貫通孔71の高さ寸法より本体81の高さ寸法が小さい。
【0043】
そして、本体81のアーチ形プレキャスト版11,21の外面側が、前記上面部83であり、本体81のアーチ形プレキャスト版11,21の内面側が、前記下面部84である。
【0044】
従って、本体81より断面が小さい貫通孔71に、ボルト部材80を遊挿することができ、ボルト部材80の挿入作業を容易に行うことができる。
【0045】
そして、貫通孔71に遊挿したボルト部材80をアーチ形プレキャスト版11,21の外面11G,21G側に押す押圧手段85(
図8)を備える。
【0046】
前記押圧手段85は、貫通孔一側部たる貫通孔端面側部171と貫通孔他側部たる貫通孔段差面側部171Aの下面部74に連通する雌螺子孔86を前記内面11U,21Uに複数箇所(2箇所)設け(
図2)、内面11U,21U側から雌螺子孔86にボルト88を螺合してなる。
【0047】
前記ボルト88を捻じ込むことにより、ボルト88の先端が本体81の下面部84を押し、貫通孔71の上部に本体81が嵌入する。
【0048】
そして、前記ボルト88は、前記ボルト部材80を前記アーチ形プレキャスト版11,21の外面11G,21G側に押す押圧部材であって、且つアーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21U側から該アーチ形プレキャスト版11,21に取り付ける取付部材である。
【0049】
尚、雌螺子孔86は、アーチ形プレキャスト版11,21にインサート成形により雌筒部87を設け、この雌筒部87内に設けた雌螺子孔86により構成することができる。尚、雌筒部87は金属などの硬質材料からなる。
【0050】
連結の際は、左右のアーチ形プレキャスト版11,21の頂部13,23を突合せ、凹所76,76間の貫通孔71にボルト部材80を遊挿する(
図7)。そして、凹所76,76に両端の雄螺子部81N,81Nを位置させ、雄螺子部81Nを定着板89の透孔89T挿通すると共に、その定着板89を前記定着面77に当接し、雄螺子部81Nに、固定手段たるナット90を螺合する。この螺合は仮締めとする。
【0051】
この後、ボルト88,88を螺入すると、ボルト88,88の先端が本体81の下面部84を押し、略台形形状の本体81が外面11G,21G側に移動し、
図8に示すように、貫通孔71の上部に本体81が嵌合する。
【0052】
この嵌合状態で、本体81の上面部83がアーチ形プレキャスト版11,21の貫通孔端面側部171と貫通孔段差面側部171Aの上面部73に圧接することにより、両アーチ形プレキャスト版11,21の頂部13,23の高さ位置が合わされる。即ち、貫通孔端面側部171と貫通孔段差面側部171Aの両方の上面部73に、本体81の上面部83が当接する。このようにして両アーチ形プレキャスト版11,21の頂部13,23の高さ位置を位置合わせした後、前記ナット90を本締めする。
【0053】
また、前記嵌合状態で、本体81の左右対をなす側面部82,82が貫通孔71の左右対をなす内側面72,72に嵌合することにより、頂部13,23のアーチ形プレキャスト版11,21のアーチ方向の位置が位置合わせされる。このように本体81の左右の側面部82,82と上面部83が貫通孔71の上部に嵌合する嵌合部となる。
【0054】
図9は前記貫通孔71の変形例を示し、貫通孔71を等脚台形状に形成した管材75により構成している。
【0055】
これにより、抜き型を用いることなく、貫通孔71を成形することができると共に、コンクリート面に比べて金属などからなる管材75の内面は平滑なものとなり、ボルト部材80の本体81をスムーズに挿入及び嵌合することができる。尚、前記管材75には、前記雌螺子孔86に対応して、ボルト88を挿通する透孔を有する。
【0056】
このように本実施例では、隣り合う端部たる頂部13,23の突合せ面たる先端突合せ面64と基端突合せ面65A,突合せ面たる基端突合せ面65と先端突合せ面64A同士を突き合わせて連結されるアーチ形プレキャスト版11,21の連結構造において、隣り合う頂部13,23のずれを防止するためにアーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21U側から該アーチ形プレキャスト版11,21に取り付ける取付部材たるボルト88を備えるから、ボルト88をアーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21U側から取り付けることにより、隣り合う頂部13,23のずれを防止することができる。
【0057】
このように本実施例では、アーチ形プレキャスト版11,21は周方向に分割され、周方向に隣り合う一方と他方のアーチ形プレキャスト版11,21の端部たる頂部13,23を凸部61,61Aと凹部62,62Aにより凹凸嵌合すると共に、前記一方と他方のアーチ形プレキャスト版11,21の頂部13,23の凸部61,61Aに連続する該アーチ形プレキャスト版幅方向の貫通孔71を形成し、一方と他方のアーチ形プレキャスト版11,21の前記幅方向に連続する貫通孔71にボルト部材80を挿通し、このボルト部材80により頂部13,23同士が連結され、貫通孔71に、ボルト部材80をアーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21U側から外面11G,21G側に移動可能に遊挿し、ボルト部材80のアーチ形プレキャスト版11,21の外面11G,21G側には、前記連続する貫通孔71のアーチ形プレキャスト版11,21の外面11G,21G側たる上面部73に当接する当接部たる上面部83が設けられ、ボルト部材80をアーチ形プレキャスト版11,21の外面11G,21G側に押す押圧手段85を備える。
【0058】
上記構成を採用するから、押圧手段85によりボルト部材80をアーチ形プレキャスト版11,21の外面11G,21G側に押すと、ボルト部材80の上面部83が両アーチ形プレキャスト版11,21の凸部14,24に連続する貫通孔71の上面部73に当接し、両凸部14,24に跨る貫通孔71がボルト部材80によって押されることにより、両凸部14,24のアーチ形プレキャスト版内外面方向(厚さ方向)の位置合わせがなされる。これにより周方向に隣り合う一方と他方のアーチ形プレキャスト版11,21の端部間における段差の発生を防止することができる。
【0059】
このように本実施例では、ボルト部材80は、当接部たる上面部83が設けられた本体81と、この本体81の両端に設けた雄螺子部81Nとを備え、端部たる頂部13,23の内面11U,21Uに、貫通孔71に連通する凹所76を形成すると共に、この凹所76に突出した雄螺子部81Nにナット90を螺合したから、ボルト部材80の本体81に設けた当接部たる上面部73が、両凸部61,61Aの貫通孔71の外面11G,21G側を押すことにより、両凸部61,61Aのアーチ形プレキャスト版内外面方向の位置合わせがなされ、周方向に隣り合う一方と他方のアーチ形プレキャスト版11,21の端部間における段差の発生を防止することができ、この状態で雄螺子部81Nにナット90を螺合してアーチ形プレキャスト版11,21の端部同士を連結することができる。
【0060】
このように本実施例では、ボルト部材80は、当接部たる上面部83が設けられた本体81と、この本体81の両端に設けた雄螺子部81Nとを備え、押圧手段85は、アーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21Uと貫通孔71との間に設けられた雌螺子孔86と、この雌螺子孔86に螺合され先端側が本体81の前記アーチ形プレキャスト版内面側たる下面部84に当接するボルト88とを備えるから、ボルト88を捻じ込むことにより、ボルト88の先端が本体81を押し、本体81が貫通孔71のアーチ形プレキャスト版外面側たる上面部73を押す。
【0061】
以下、実施例上の効果として、貫通孔71はアーチ形プレキャスト版内面側から外面側に縮小し、ボルト部材80に貫通孔71の断面形状に対応した縮小部たる本体81を設け、この本体81のアーチ形プレキャスト版外面側には、貫通孔71のアーチ形プレキャスト版外面側たる上面部73に当接する当接部たる上面部83が設けられ、本体81を外面11G,21G側に押す押圧手段85を備えるから、本体81が貫通孔71の上部にスムーズに嵌合し、両頂部13,23の位置合わせがなされる。
【0062】
また、貫通孔71は、アーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21U側から外面11G,21G側に向かってテーパー状に間隔が狭まる内側面72,72を備え、本体81は、上側に向かってテーパー状に間隔が狭まる側面部82,82を備え、上面部73に上面部83が当接すると共に、両内側面72,72に両側面部82,82が当接して、貫通孔71の上部に本体81が嵌合するから、凸部14,24がアーチ形プレキャスト版厚さ方向に位置決めされると共に、その嵌合により頂部13,23同士が周方向に位置決めされる。
【0063】
また、貫通孔71を分割した貫通孔端面側部171と貫通孔段差面側部171Aには、複数の押圧手段85が設けられているから、本体81を均等に押して貫通孔端面側部171と貫通孔段差面側部171Aのアーチ形プレキャスト版厚さ方向の位置合わせを行うことができる。
前記中央連結部112の長さ方向の端部112Tの厚さTに比べて前記間隔保持部113の厚さである直径が大きい。尚、前記端部112Tは中央連結部112と間隔保持部113の連結箇所である。尚、間隔保持部113が円筒状以外の場合は、間隔保持部113の厚さは中央連結部112の厚さ方向の最大寸法である。
また、連結部材111の上部は、上方に向かって縮小する形状をなし、中央連結部112の上部には、幅方向両側に斜面部114,114が形成されていると共に、間隔保持部113の上部は裁頭円錐形状をなし、上方に縮小するテーパー面115が形成されている。
さらに、両斜面部114,114の上に中央上面部116Aが形成され、前記テーパー面115の上部に円形の端部上面部116Bが設けられ、それら中央上面部116Aと端部上面部116B,116Bにより連結部材111の上面部116を構成し、それら中央上面部116Aと端部上面部116Bは同一平面上に位置する。また、連結部材111の前記上面部116と連結部材111の下面部117は平行をなす。
前記分割連結溝120は、前記中央連結部112を略二分割した形状を有する中央溝部122と、前記間隔保持部113を挿入する間隔保持溝部123とを連通して備える。そして、一対の埋込部材121,121を突合せ面で合わせることにより、分割連結溝120,120が連通し、連結溝110が形成され、この連結溝110に前記連結部材111が嵌入される。
前記中央溝部122は、突合せ面に開口する突合せ面側開口部128と、内面11U,21Uに開口する内面側開口部129とを備え、前記中央連結部112の厚さに対応して略一定幅を有する。尚、突合せ面側開口部128は、埋込部材121の中央面121Sに開口し、内面側開口部129は、埋込部材121の下面121Kに開口する。
また、前記間隔保持溝部123は、前記間隔保持部113に対応して円筒状をなす。そして、中央溝部122の上部は上面部126により塞がれている。尚、連結部材111の高さは連結溝110の深さ以上であり、この例では等しい。
連結作業においては、隣り合うアーチ形プレキャスト版11,21の突合せ面に位置する埋込部材121,121により連結溝110が形成され、この連結溝110に連結部材111を挿入し、この挿入の際は、斜面部114,114及びテーパー面115により、スムーズに挿入することができる。
また、その作業はアーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21U側からできるため、挿入作業を容易に行うことができ、隣り合う端部たる頂部13,23のずれを防止するために取付部材たる連結部材111をアーチ形プレキャスト版11,21に取り付ける。
また、連結部材111の下面部117が埋込部材121の下面121Kの位置になるまで連結部材111を連結溝110に挿入すれば、確実な連結状態が得られる。さらに、連結後は、抜け止め構造131により連結部材111の脱落を防止できる。
また、経時的にアーチ形プレキャスト版11,21の部分的な補修が必要になり、例えば、1枚のアーチ形プレキャスト版11を交換する場合は、頂部13と両端面12,12の押え部材132を外し、露出した下面部117の雌螺子孔137に、引抜部材たるボルト(図示せず)を螺合し、そのボルトを引っ張って連結溝110から連結部材111を引き抜き、連結を解除することができる。また、アーチ形プレキャスト版11,21の下端11K,21Kは固定手段6による固定を解除し、コンクリート基礎3との連結を解除する。
このように、複数並設したアーチ形プレキャスト版11,11・・・の間から、1枚のアーチ形プレキャスト版11を外すことができ、外した後は、埋込部材121を備えた新品のアーチ形プレキャスト版11を外した箇所に配置し、新設と同様に連結部材111を用いて頂部13と両端面12,12を隣り合うアーチ形プレキャスト版21,11,11に連結することができる。
このように本実施例では、隣り合うアーチ形プレキャスト版11,21の突合せ面64,65A、突合せ面65,64、突合せ面たる端面12,12及び突合せ面たる端面22,22を突き合わせた状態で、隣り合うアーチ形プレキャスト版11,21間に跨る連結溝110を形成する分割連結溝120,120を隣り合うアーチ形プレキャスト版11,21に設け、分割連結溝120は、前記突合せ面とアーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21Uに開口する中央溝部122と、アーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21Uに開口する間隔保持溝部123とを有し、連結溝120に挿入して隣り合うアーチ形プレキャスト版11,21を連結する連結部材111を備え、この連結部材111は、前記突合せ面を挟んで連通する隣り合うアーチ形プレキャスト版11,21又は隣り合うアーチ形プレキャスト版11,11,21,21の中央溝部122に挿入する中央連結部112と、この中央連結部112の両側に設けられアーチ形プレキャスト版11,21の間隔保持溝部123に挿入して間隔保持溝部123,123間の間隔を保持する間隔保持部113,113とを一体に有する。
上記構成を採用したから、隣り合うアーチ形プレキャスト版11,21の前記突合せ面を突き合わせた状態で、隣り合うアーチ形プレキャスト版11,21間に跨る連結溝110に、連結部材111を挿入することにより、隣り合うアーチ形プレキャスト版11,21又は隣り合うアーチ形プレキャスト版11,11又は隣り合うアーチ形プレキャスト版21,21を連結することができ、連結作業が容易になると共に、周方向に隣り合うアーチ形プレキャスト版11,21の端部の連結と、幅方向に隣り合うアーチ形プレキャスト版11,11,21,21の連結に用いることができ、汎用性に優れたものとなる。
このように本実施例では、分割連結溝120と間隔保持溝部123とを有する埋込部材121を備え、埋込部材121をアーチ形プレキャスト版11,21に埋設固定したから、アーチ形プレキャスト版11,21に埋込部材121を埋設固定することにより、分割連結溝120と間隔保持溝部123を備えたアーチ形プレキャスト版11,21が簡便に得られる。
このように本実施例では、連結部材111のアーチ形プレキャスト版11,21の内面11U,21U側に配置する押え部材132と、この押え部材132をアーチ形プレキャスト版11,21に固定する固定手段たるボルト134とを備えるから、押え部材132により、連結後の連結部材111の抜出しを防止できる。
実施例上の効果として、連結部材111の上部は、内面11U側から外面11G側に向かって縮小する形状であって、上方に向かって縮小する形状をなすから、連結溝110の圧入をスムーズに行うことできる。また、連結部材111の高さが連結溝110の深さと等しい場合、連結部材111の下面部117が埋込部材121の下面121Kに位置するまで連結部材111を圧入すれば、連結部材111の上面部116が連結溝110の上面部126に達したことが確認できる。
また、前記埋込部材121には、突起用突起たる差し筋130が突設されているから、コンクリート製のアーチ形プレキャスト版11,21に埋込部材121を一体化して固定することができる。
さらに、連結部材111の下面部117を押える押え部材132を着脱可能に設けたから、連結部材111の抜け出しを防止できると共に、押え部材132を外して連結部材111を引き抜くことができ、この際、引抜部材連結部たる雌螺子孔137を用いて連結部材111を簡便に引き抜くことができる。
また、連結部材111は、厚さ方向の中央面に対して対称、長さ方向の中央面に対して対称な形状をなすから、連結溝110に連結部材111を挿入する際、連結部材111の向きを気にすることなく、その挿入作業を簡便に行うことができる。