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特開2024-122043二次電池保護集積回路、電池保護回路及びバッテリ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122043
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】二次電池保護集積回路、電池保護回路及びバッテリ装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240902BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02H7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029352
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】影山 僚大
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
【Fターム(参考)】
5G053AA08
5G053BA01
5G053BA04
5G053CA01
5G053EA01
5G053EC03
5G053FA06
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CC02
5G503FA16
5G503GA01
(57)【要約】
【課題】二次電池に接続される電流経路に設けられるトランジスタの異常に対して保護機能を向上させること。
【解決手段】二次電池に接続される電流経路に設けられるトランジスタを制御することで、前記二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、前記トランジスタのゲートに接続される制御端子と、前記トランジスタの異常を検知する異常検知回路と、前記異常が前記異常検知回路により検知された場合、前記制御端子の電位を前記トランジスタがオフになるレベルに切り替える制御回路と、を備える、二次電池保護集積回路。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池に接続される電流経路に設けられるトランジスタを制御することで、前記二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、
前記トランジスタのゲートに接続される制御端子と、
前記トランジスタの異常を検知する異常検知回路と、
前記異常が前記異常検知回路により検知された場合、前記制御端子の電位を前記トランジスタがオフになるレベルに切り替える制御回路と、を備える、二次電池保護集積回路。
【請求項2】
前記異常検知回路は、前記制御端子に流れる電流の増加を検出することで、前記トランジスタの異常を検知する、請求項1に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項3】
前記制御端子の電位は、前記制御端子に流れる電流の変化に伴って変化し、
前記異常検知回路は、前記制御端子の電位の低下を検出することで、前記制御端子に流れる電流の増加を検出する、請求項2に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項4】
前記制御回路に流れる電流は、前記制御端子に流れる電流の変化に伴って変化し、
前記異常検知回路は、前記制御回路に流れる電流の増加を検出することで、前記制御端子に流れる電流の増加を検知する、請求項2に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項5】
前記異常検知回路は、前記トランジスタのゲート-ソース間の異常を検知する、請求項2に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項6】
前記制御回路は、前記制御端子に流れる所定電流値以上の電流が所定時間以上継続して検知された場合、前記制御端子の電位を前記トランジスタがオフになるレベルに切り替える、請求項2から5のいずれか一項に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項7】
前記二次電池の異常充電又は異常放電を検出する検出回路を備え、
前記制御回路は、前記異常充電又は前記異常放電が前記検出回路により検出されていて、且つ、前記トランジスタの異常が前記異常検知回路により検知されている場合、前記制御端子の電位を前記トランジスタがオフになるレベルに低下させるとともに、前記異常検知回路による前記トランジスタの異常検知を無効とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項8】
前記制御回路は、前記異常検知回路による前記トランジスタの異常検知を無効とされた場合、前記トランジスタの異常検知を表す信号を前記二次電池保護集積回路の外部へ出力しない、請求項7に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項9】
前記二次電池の異常充電又は異常放電を検出する検出回路を備え、
前記制御回路は、
前記異常充電又は前記異常放電が前記検出回路により検出されている場合、前記トランジスタの異常検知を表す信号を前記二次電池保護集積回路の外部へ出力せずに、前記制御端子の電位を前記トランジスタがオフになるレベルに低下させ、
前記異常充電又は前記異常放電が前記検出回路により検出されていなく、且つ、前記トランジスタの異常が前記異常検知回路により検知されている場合、前記トランジスタの異常検知を表す信号を前記二次電池保護集積回路の外部へ出力する、請求項2から5のいずれか一項に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項10】
前記二次電池の異常充電を検出する異常充電検出回路を備え、
前記トランジスタは、前記二次電池に接続される充電経路に設けられる充電制御トランジスタと、前記二次電池に接続される放電経路に設けられる放電制御トランジスタと、を含み、
前記制御端子は、前記充電制御トランジスタのゲートが接続される充電制御端子と、前記放電制御トランジスタのゲートが接続される放電制御端子と、を含み、
前記制御回路は、
前記異常充電が前記異常充電検出回路により検出されている場合、前記充電制御端子の電位を前記充電制御トランジスタがオフになるレベルに切り替え、
前記放電制御トランジスタの異常が前記異常検知回路により検知されている場合、前記放電制御端子の電位を前記放電制御トランジスタがオフになるレベルに切り替える、請求項2から5のいずれか一項に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項11】
前記二次電池の異常放電を検出する異常放電検出回路を備え、
前記トランジスタは、前記二次電池に接続される充電経路に設けられる充電制御トランジスタと、前記二次電池に接続される放電経路に設けられる放電制御トランジスタと、を含み、
前記制御端子は、前記充電制御トランジスタのゲートが接続される充電制御端子と、前記放電制御トランジスタのゲートが接続される放電制御端子と、を含み、
前記制御回路は、
前記異常放電が前記異常放電検出回路により検出されている場合、前記放電制御端子の電位を前記放電制御トランジスタがオフになるレベルに切り替え、
前記充電制御トランジスタの異常が前記異常検知回路により検知されている場合、前記充電制御端子の電位を前記充電制御トランジスタがオフになるレベルに切り替える、請求項2から5のいずれか一項に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項12】
前記トランジスタに対して前記二次電池とは反対側で前記電流経路に接続される検出端子を備え、
前記異常検知回路は、前記検出端子の電位の変化を検出することで、前記トランジスタの異常を検知する、請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項13】
前記異常検知回路は、前記トランジスタがオンになるレベルの電位が前記制御端子において検出されていて、且つ、前記検出端子の電位が第1閾値よりも高く検出されている場合、前記トランジスタの異常と検知する、請求項12に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項14】
前記異常検知回路は、前記トランジスタのソース-ドレイン間のオープンを検知する、請求項13に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項15】
前記制御回路は、前記トランジスタがオンになるレベルの電位が前記制御端子において検出されている状態と、前記検出端子の電位が前記第1閾値よりも高く検出されている状態とが、所定時間以上継続して検知された場合、前記トランジスタの異常検知を表す信号を前記二次電池保護集積回路の外部へ出力する、請求項13に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項16】
前記異常検知回路は、前記トランジスタがオフになるレベルの電位が前記制御端子において検出されていて、且つ、前記検出端子の電位が第2閾値よりも低く検出されている場合、前記トランジスタの異常と検知する、請求項12に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項17】
前記異常検知回路は、前記トランジスタのソース-ドレイン間のショートを検知する、請求項16に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項18】
前記制御回路は、前記トランジスタがオフになるレベルの電位が前記制御端子において検出されている状態と、前記検出端子の電位が前記第2閾値よりも低く検出されている状態とが、所定時間以上継続して検知された場合、前記トランジスタの異常検知を表す信号を前記二次電池保護集積回路の外部へ出力する、請求項16に記載の二次電池保護集積回路。
【請求項19】
請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池保護集積回路及び前記トランジスタを備える、電池保護回路。
【請求項20】
請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池保護集積回路、前記トランジスタ及び前記二次電池を備えるバッテリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池保護集積回路、電池保護回路及びバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池に対する充電路に直列に介挿されて溶断により前記充電路を遮断する非復帰スイッチと、前記二次電池に対する放電路に直列に介挿されて電気的に前記放電路を導通または遮断する半導体スイッチと、前記二次電池の過放電を検出したときに前記半導体スイッチ素子を遮断制御するスイッチ制御回路と、を備える保護回路が知られている。このスイッチ制御回路は、前記半導体スイッチ素子の異常発熱を検出したとき、前記非復帰スイッチを溶断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-299696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の保護回路は、半導体スイッチの異常発熱を検出したとき、充電路に設けられた非復帰スイッチを溶断するものの、放電路に設けられた当該半導体スイッチの異常は放置されたままである。
【0005】
本開示は、二次電池に接続される電流経路に設けられるトランジスタの異常に対して保護機能を向上させた二次電池保護集積回路、電池保護回路及びバッテリ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の二次電池保護集積回路は、
二次電池に接続される電流経路に設けられるトランジスタを制御することで、前記二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、
前記トランジスタのゲートに接続される制御端子と、
前記トランジスタの異常を検知する異常検知回路と、
前記異常が前記異常検知回路により検知された場合、前記制御端子の電位を前記トランジスタがオフになるレベルに切り替える制御回路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、二次電池に接続される電流経路に設けられるトランジスタの異常に対して保護機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である
図2】二次電池保護集積回路を含むシステムの第1構成例を示す図である。
図3】充電制御トランジスタのゲート-ソース間の異常検知のときの動作例を示すタイミングチャートである。
図4】放電制御トランジスタのゲート-ソース間の異常検知のときの動作例を示すタイミングチャートである。
図5】異常充電の検出に伴う保護動作と、充電制御トランジスタの異常検知に伴う保護動作との両方を実現する回路の一例を示す図である。
図6】異常放電の検出に伴う保護動作と、放電制御トランジスタの異常検知に伴う保護動作との両方を実現する回路の一例を示す図である。
図7】二次電池保護集積回路を含むシステムの第2構成例を示す図である。
図8】二次電池保護集積回路を含むシステムの第3構成例を示す図である。
図9】二次電池保護集積回路を含むシステムの第4構成例を示す図である。
図10】充電制御トランジスタ又は放電制御トランジスタのソース-ドレイン間のオープン故障を検出する構成の一例を示す図である。
図11】放電過電流検出状態を例示するタイミングチャートである。
図12】放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のショート故障を検出する構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、二次電池保護集積回路を含むシステムの一例を示す回路ブロック図である。図1に示すシステム500は、バッテリ装置400及び電子機器300を有する。
【0011】
電子機器300は、バッテリ装置400に接続される機器である。電子機器300は、バッテリ装置400を充電する充電器でもよいし、バッテリ装置400から供給される電力で動作する負荷でもよい。そのような負荷の具体例として、携帯電話、スマートフォン、タブレット機器、イヤホンなどが挙げられる。電子機器300は、これらの機器に限られない。
【0012】
バッテリ装置400は、電子機器300に外付けされてもよいし、電子機器300に内蔵されてもよい。バッテリ装置400は、例えば、電子機器300内に着脱自在に収納される電池パックであり、電子機器300に接続された状態で電子機器300に電力を供給可能である。バッテリ装置400と電子機器300とは、図1に示す複数の端子(正側の電源端子(端子P+)及び負側の電源端子(端子P-))を介して、相互に接続される。例えば、端子P+及び端子P-は、二次電池210を充電するときに、充電器(電子機器300)に電気的に接続される。
【0013】
バッテリ装置400は、二次電池210及び電池保護回路600を備える。
【0014】
二次電池210は、充放電可能な電池の一例である。二次電池210は、端子P+と端子P-に接続される電子機器300に電力を供給する。二次電池210は、端子P+と端子P-に接続される充電器によって充電されることが可能である。二次電池210の具体例として、リチウムイオン電池、リチウムポリマ電池などが挙げられる。二次電池210は、正極211と負極212を有する。
【0015】
電池保護回路600は、二次電池210を電源として動作する二次電池保護回路の一例である。電池保護回路600は、二次電池210の充電を制御することによって二次電池210を過充電等から保護し、二次電池210の放電を制御することによって二次電池210を過放電等から保護する。電池保護回路600は、端子P+、端子P-、端子B+、端子B-、抵抗素子R21,R22,R23、コンデンサC21,C22、電源線201、接地線202、スイッチ回路203及び保護IC(Integrated Circuit)100を備える。
【0016】
端子P+は、負荷プラス端子の一例であり、電子機器300の電源線が接続される。端子P-は、負荷マイナス端子の一例であり、電子機器300のグランド線が接続される。端子B+は、電池プラス端子の一例であり、二次電池210の正極211に接続される。端子B-は、電池マイナス端子の一例であり、二次電池210の負極212に接続される。
【0017】
端子B+と端子P+とは、プラス側の電流経路である電源線201によって接続されている。電源線201は、端子B+と端子P+との間を接続する電源経路である。電源線201は、二次電池210の充電電流が流れる充電経路及び二次電池210の放電電流が流れる放電経路として機能する。
【0018】
端子B-と端子P-とは、マイナス側の電流経路である接地線202によって接続されている。接地線202は、端子B-と端子P-との間を接続する電源経路である。接地線202は、二次電池210の充電電流が流れる充電経路及び二次電池210の放電電流が流れる放電経路として機能する。
【0019】
スイッチ回路203は、端子B-と端子P-との間の接地線202に設けられている。スイッチ回路203は、例えば、充電制御トランジスタTR1と放電制御トランジスタTR2を備え、充電制御トランジスタTR1と放電制御トランジスタTR2が直列に接続された直列回路である。充電制御トランジスタTR1は、二次電池210の充電経路を遮断する半導体スイッチング素子である。放電制御トランジスタTR2は、二次電池210の放電経路を遮断する半導体スイッチング素子である。
【0020】
図1の場合、充電制御トランジスタTR1は、二次電池210の充電電流が流れる接地線202を遮断し、放電制御トランジスタTR2は、二次電池210の放電電流が流れる接地線202を遮断する。充電制御トランジスタTR1及び放電制御トランジスタTR2は、接地線202を導通するか遮断するか切り替えるスイッチング素子であり、接地線202に直列に挿入されている。充電制御トランジスタTR1及び放電制御トランジスタTR2は、例えば、Nチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0021】
充電制御トランジスタTR1は、ドレインとソースとの間に、二次電池210の充電電流の向きとは逆の向きを順方向とする寄生ダイオードD1を有する。充電制御トランジスタTR1は、寄生ダイオードD1の順方向が二次電池210の放電電流の流れる方向に一致するように接地線202に直列に挿入されたスイッチ素子である。
【0022】
放電制御トランジスタTR2は、ドレインとソースとの間に、二次電池210の放電電流の向きとは逆の向きを順方向とする寄生ダイオードD2を有する。放電制御トランジスタTR2は、寄生ダイオードD2の順方向が二次電池210の充電電流の流れる方向に一致するように接地線202に直列に挿入されたスイッチ素子である。
【0023】
保護IC100は、二次電池保護集積回路の一例である。保護IC100は、二次電池210を電源として動作する。
【0024】
保護IC100は、スイッチ回路203を制御することによって、二次電池210を過放電等から保護する機能を有する。例えば、保護IC100は、異常充電(例えば、過充電、充電方向の過電流(充電過電流)など)が検出回路222により検出された場合、充電制御トランジスタTR1をオフにすることによって、二次電池210を異常充電から保護する。一方、保護IC100は、異常放電(例えば、過放電、放電方向の過電流(放電過電流)など)が検出回路222により検出された場合、放電制御トランジスタTR2をオフにすることによって、二次電池210を異常放電から保護する。
【0025】
保護IC100は、例えば、充電制御端子(端子COUT)、放電制御端子(端子DOUT)、検出端子(端子V-)、電源端子(端子VDD)、グランド端子(端子VSS)、電流検出端子(端子CS)及びアラーム端子(端子ALM)を備える。これらの端子は、保護IC100の内部回路を保護IC100の外部と接続するための外部接続端子である。
【0026】
端子COUTは、充電制御トランジスタTR1のゲート(制御電極)に接続され、充電制御トランジスタTR1をオン又はオフさせる信号を出力する。端子DOUTは、放電制御トランジスタTR2のゲート(制御電極)に接続され、放電制御トランジスタTR2をオン又はオフさせる信号を出力する。
【0027】
端子V-は、端子P-の電位の監視に使用され、端子P-に接続されている。端子V-は、例えば、保護IC100内の検出回路222が電子機器300又は充電器の接続の有無を監視するのに使用される。端子V-は、スイッチ回路203と端子P-との間において接地線202に抵抗素子R23を介して接続されている。端子V-は、スイッチ回路203に対して二次電池210とは反対側で接地線202に電気的に接続されている。
【0028】
端子VDDは、保護IC100の電源端子であり、二次電池210の正極211及び電源線201に抵抗素子R21を介して接続されている。端子VSSは、保護IC100のグランド端子であり、二次電池210の負極212に接続されている。コンデンサC21は、端子VDDと端子VSSとの間に接続されている。端子VSSは、スイッチ回路203と負極212との間において接地線202に接続されている。この例では、端子VSSは、抵抗素子R22と負極212との間において接地線202に接続されている。
【0029】
端子CSは、抵抗素子R22とスイッチ回路203(放電制御トランジスタTR2のソース)との間において接地線202に接続されている。端子CSは、コンデンサC22を介して端子VSSに接続される。抵抗素子R22は、接地線202に直列に挿入されている。抵抗素子R22は、一端が端子VSSに接続され、他端が端子CSに接続されている。保護IC100は、端子VSSと端子CSとの間の電位差を検出することで、二次電池210に流れる充電過電流又は放電過電流を検出できる。抵抗素子R22は、二次電池210に流れる電流を検出するセンス抵抗として機能する。
【0030】
端子ALMは、所定の異常が保護IC100により検知されたことを表すアラーム信号を保護IC100の外部(例えば、電子機器300)に出力する。
【0031】
保護IC100は、検出回路222、制御回路221及び異常検知回路223を備える。
【0032】
検出回路222は、端子VDDと端子VSSとの間の電源電圧を監視することで二次電池210の過充電を検出するとともに、端子VSSと端子CSとの間の電位差を監視することで二次電池210の充電過電流を検出する。
【0033】
制御回路221は、二次電池210の過充電又は充電過電流が所定の検出遅延時間継続して検出回路222により検出された場合、充電制御トランジスタTR1をオンからオフに切り替える信号(例えば、ローレベルのゲート制御信号)を端子COUTから出力する。制御回路221は、充電制御トランジスタTR1をオフにすることによって、二次電池210を充電する方向の電流が接地線202に流れることを禁止する。これにより、二次電池210の充電が停止するので、保護IC100は、二次電池210を過充電又は充電過電流から保護できる。
【0034】
検出回路222は、端子VDDと端子VSSとの間の電源電圧を監視することで二次電池210の過放電を検出するとともに、端子VSSと端子CSとの間の電位差を監視することで二次電池210の放電過電流を検出する。
【0035】
制御回路221は、二次電池210の過放電又は放電過電流が所定の検出遅延時間継続して検出回路222により検出された場合、放電制御トランジスタTR2をオンからオフに切り替える信号(例えば、ローレベルのゲート制御信号)を端子DOUTから出力する。制御回路221は、放電制御トランジスタTR2をオフにすることによって、二次電池210を放電する方向の電流が接地線202に流れることを禁止する。これにより、二次電池210の放電が停止するので、保護IC100は、二次電池210を過放電又は放電過電流から保護できる。
【0036】
異常検知回路223は、充電制御トランジスタTR1の異常を検知する。制御回路221は、充電制御トランジスタTR1の異常が異常検知回路223により検知された場合、端子COUTの電位vcを充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに切り替える。例えば、制御回路221は、充電制御トランジスタTR1をオンからオフに切り替える信号(例えば、ローレベルのゲート制御信号)を端子COUTから出力する。
【0037】
このように、保護IC100は、充電制御トランジスタTR1の異常が検知された場合、端子COUTの電位vcを充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに切り替える保護動作を行う。これにより、充電制御トランジスタTR1の異常が放置されないので、充電制御トランジスタTR1の異常に対する保護機能が向上する。
【0038】
例えば、異常が検知された充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに端子COUTの電位vcが切り替わるので、二次電池210の充電は、充電制御トランジスタTR1がオフとなることで強制的に停止する。したがって、保護IC100は、充電制御トランジスタTR1が異常のまま二次電池210の充電が継続する可能性を低減できる。
【0039】
制御回路221は、充電制御トランジスタTR1の異常が異常検知回路223により検知された場合、充電制御トランジスタTR1の異常検知を表すアラーム信号を端子ALMから保護IC100の外部機器(例えば、電子機器300)に出力してもよい。これにより、充電制御トランジスタTR1の異常検知を外部機器に知らせることができる。例えば、当該アラーム信号を受信した充電器等の外部機器は、バッテリ装置400(二次電池210)に対する充電を停止することで、充電制御トランジスタTR1が異常のまま二次電池210の充電が継続する可能性がより低減する。
【0040】
異常検知回路223は、放電制御トランジスタTR2の異常を検知する。制御回路221は、放電制御トランジスタTR2の異常が異常検知回路223により検知された場合、端子DOUTの電位vdを放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに切り替える。例えば、制御回路221は、放電制御トランジスタTR2をオンからオフに切り替える信号(例えば、ローレベルのゲート制御信号)を端子DOUTから出力する。
【0041】
このように、保護IC100は、放電制御トランジスタTR2の異常が検知された場合、端子DOUTの電位vdを放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに切り替える保護動作を行う。これにより、放電制御トランジスタTR2の異常が放置されないので、放電制御トランジスタTR2の異常に対する保護機能が向上する。
【0042】
例えば、異常が検知された放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに端子DOUTの電位vdが切り替わるので、二次電池210の放電は、放電制御トランジスタTR2がオフとなることで強制的に停止する。したがって、保護IC100は、放電制御トランジスタTR2が異常のまま二次電池210の放電が継続する可能性を低減できる。
【0043】
制御回路221は、放電制御トランジスタTR2の異常が異常検知回路223により検知された場合、放電制御トランジスタTR2の異常検知を表すアラーム信号を端子ALMから保護IC100の外部機器(例えば、電子機器300)に出力してもよい。これにより、放電制御トランジスタTR2の異常検知を外部機器に知らせることができる。例えば、当該アラーム信号を受信した電子機器300は、自身の動作を停止し消費電流を零に近づけることで、放電制御トランジスタTR2が異常のまま二次電池210の放電が継続する可能性がより低減する。
【0044】
次に、本実施形態における二次電池保護集積回路を含むシステムの複数の構成例について説明する。
【0045】
図2は、二次電池保護集積回路を含むシステムの第1構成例を示す図である。第1構成例において、図1と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略する。
【0046】
図2のシステム501は、図1のシステム500のより詳細な例であり、バッテリ装置401及び電子機器300を有する。バッテリ装置401は、図1のバッテリ装置400のより詳細な例であり、二次電池210及び電池保護回路601を備える。電池保護回路601は、図1の電池保護回路600のより詳細な例であり、保護IC101を備える。保護IC101は、検出回路222、制御回路221及び異常検知回路223を備える。
【0047】
制御回路221は、ロジック回路224、レベルシフト回路30、バッファ31及びバッファ32を有する。ロジック回路224は、タイマ回路225を有する。ロジック回路224は、端子VDDと端子VSSとの間の電位差である電源電圧で動作する。バッファ31及びバッファ32は、それぞれ、例えば、N型MOSFETとP型MOSFETを組み合わせたCMOS出力回路を有する。
【0048】
ロジック回路224は、充電制御トランジスタTR1をオン又はオフに切り替える充電制御信号を出力する。レベルシフト回路30は、端子VSSの電位をローレベルとする充電制御信号を、端子V-の電位をローレベルとする充電制御信号にレベルシフトする。バッファ31は、充電制御トランジスタTR1をオンにする論理レベルの充電制御信号が入力されているとき、端子VDDの電位と略同一の電位であるハイレベルの信号を出力する。これにより、端子COUTの電位vcは、充電制御トランジスタTR1がオンとなるレベルに制御される。一方、バッファ31は、充電制御トランジスタTR1をオフにする論理レベルの充電制御信号が入力されているとき、端子V-の電位と略同一の電位であるローレベルの信号を出力する。これにより、端子COUTの電位vcは、充電制御トランジスタTR1がオフとなるレベルに制御される。
【0049】
ロジック回路224は、放電制御トランジスタTR2をオン又はオフに切り替える放電制御信号を出力する。バッファ32は、放電制御トランジスタTR2をオンにする論理レベルの放電制御信号が入力されているとき、端子VDDの電位と略同一の電位であるハイレベルの信号を出力する。これにより、端子DOUTの電位vdは、放電制御トランジスタTR2がオンとなるレベルに制御される。一方、バッファ32は、放電制御トランジスタTR2をオフにする論理レベルの放電制御信号が入力されているとき、端子VSSの電位と略同一の電位であるローレベルの信号を出力する。これにより、端子DOUTの電位vdは、放電制御トランジスタTR2がオフとなるレベルに制御される。
【0050】
図2の異常検知回路223は、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の異常を検知する。
【0051】
充電制御トランジスタTR1の劣化等によって、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の抵抗成分r1の抵抗値が減少し、端子COUT及び抵抗成分r1を流れるリーク電流i1が増加する場合がある。異常検知回路223は、端子COUTに流れるリーク電流i1の増加を検出することで、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の劣化等による異常を検知する。制御回路221は、所定の電流値ith1以上のリーク電流i1が異常検知回路223により検出された場合、端子COUTの電位vcを充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに切り替える。これにより、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の異常が放置されないので、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の異常に対する保護機能が向上する。
【0052】
端子COUTの電位vcは、端子COUTに流れる電流の変化に伴って変化する。端子COUTの電位vcが、充電制御トランジスタTR1がオンになるレベル(より具体的には、端子VDDの電位に略同一なレベル)の状態において、リーク電流i1が増加すると、電位vcは、低下する。図2に示す異常検知回路223は、この電位vcの低下を検出することで、端子COUTに流れるリーク電流i1の増加を検出する。異常検知回路223は、上記の所定の電流値ith1に対応する所定の電圧閾値Vth1以下の電位vcを検出することで、所定の電流値ith1以上のリーク電流i1を検出する。電圧閾値Vth1は、基準電圧Vthによって設定される。
【0053】
異常検知回路223は、例えば、内部抵抗11,12及びコンパレータ13を有する。コンパレータ13は、端子COUTの電位vcを所定の電圧閾値Vth1と比較し、その大小関係を表す異常検知信号Scを出力する。
【0054】
ロジック回路224は、所定の電圧閾値Vth1以下の電位vc(所定の電流値ith1以上のリーク電流i1)が検出されたことを表す異常検知信号Scが入力されると、充電制御トランジスタTR1をオフにする条件の成否を所定の論理演算を行って判定する。ロジック回路224は、充電制御トランジスタTR1をオフにする条件が成立した場合、充電制御トランジスタTR1をオフさせる充電制御信号を出力する。これにより、端子COUTの電位vcは、充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに切り替わるので、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の異常に対する保護機能が向上する。
【0055】
ロジック回路224は、所定の電圧閾値Vth1以下の電位vc(所定の電流値ith1以上のリーク電流i1)が検出されたことを表す異常検知信号Scが所定時間tth1以上継続して検知されるか否かをタイマ回路225によって判定してもよい。ロジック回路224は、当該異常検知信号Scが所定時間tth1以上継続して検知された場合、充電制御トランジスタTR1をオフさせる充電制御信号を出力する。これにより、異常検知信号Scの検出開始から所定時間tth1以降遅れて、電位vcは、充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに切り替わる。保護IC101の電源投入時などに発生する瞬間的な電位vcの降下が所定時間tth1以内に復帰することで、充電制御トランジスタTR1をオフさせる充電制御信号がロジック回路224から誤って出力されることを防止できる。
【0056】
内部抵抗11は、端子COUTとバッファ31の信号出力端との間の信号出力ラインに直列に挿入されている。内部抵抗11は、例えば、バッファ31の静電気保護用として機能する。内部抵抗11は、無くてもよい。
【0057】
内部抵抗12は、端子COUTとコンパレータ13の反転入力端子との間の信号検出ラインに直列に挿入されている。内部抵抗12は、例えば、コンパレータ13の静電気保護用として機能する。内部抵抗12は、無くてもよい。
【0058】
図2の異常検知回路223は、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の異常を検知する。
【0059】
放電制御トランジスタTR2の劣化等によって、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の抵抗成分r2の抵抗値が減少し、端子DOUT及び抵抗成分r2を流れるリーク電流i2が増加する場合がある。異常検知回路223は、端子DOUTに流れるリーク電流i2の増加を検出することで、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の劣化等による異常を検知する。制御回路221は、所定の電流値ith2以上のリーク電流i2が異常検知回路223により検出された場合、端子DOUTの電位vdを放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに切り替える。これにより、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の異常が放置されないので、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の異常に対する保護機能が向上する。
【0060】
端子DOUTの電位vdは、端子DOUTに流れる電流の変化に伴って変化する。端子DOUTの電位vdが、放電制御トランジスタTR2がオンになるレベル(より具体的には、端子VDDの電位に略同一なレベル)の状態において、リーク電流i2が増加すると、電位vdは、低下する。図2に示す異常検知回路223は、この電位vdの低下を検出することで、端子DOUTに流れるリーク電流i2の増加を検出する。異常検知回路223は、上記の所定の電流値ith2に対応する所定の電圧閾値Vth2以下の電位vdを検出することで、所定の電流値ith2以上のリーク電流i2を検出する。電圧閾値Vth2は、基準電圧Vthによって設定される。電圧閾値Vth2は、電圧閾値Vth1と同じであるが、異なってもよい。
【0061】
異常検知回路223は、例えば、内部抵抗21,22及びコンパレータ23を有する。コンパレータ23は、端子DOUTの電位vdを所定の電圧閾値Vth2と比較し、その大小関係を表す異常検知信号Sdを出力する。
【0062】
ロジック回路224は、所定の電圧閾値Vth2以下の電位vd(所定の電流値ith2以上のリーク電流i2)が検出されたことを表す異常検知信号Sdが入力されると、放電制御トランジスタTR2をオフにする条件の成否を所定の論理演算を行って判定する。ロジック回路224は、放電制御トランジスタTR2をオフにする条件が成立した場合、放電制御トランジスタTR2をオフさせる放電制御信号を出力する。これにより、端子DOUTの電位vdは、放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに切り替わるので、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の異常に対する保護機能が向上する。
【0063】
ロジック回路224は、所定の電圧閾値Vth2以下の電位vd(所定の電流値ith2以上のリーク電流i2)が検出されたことを表す異常検知信号Sdが所定時間tth2以上継続して検知されるか否かをタイマ回路225によって判定してもよい。ロジック回路224は、当該異常検知信号Sdが所定時間tth2以上継続して検知された場合、放電制御トランジスタTR2をオフさせる放電制御信号を出力する。これにより、異常検知信号Sdの検出開始から所定時間tth2以上遅れて、電位vdは、放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに切り替わる。保護IC101の電源投入時などに発生する瞬間的な電位vdの降下が所定時間tth2以内に復帰することで、放電制御トランジスタTR2をオフさせる放電制御信号がロジック回路224から誤って出力されることを防止できる。
【0064】
内部抵抗21は、端子DOUTとバッファ32の信号出力端との間の信号出力ラインに直列に挿入されている。内部抵抗21は、例えば、バッファ32の静電気保護用として機能する。内部抵抗21は、無くてもよい。
【0065】
内部抵抗22は、端子DOUTとコンパレータ23の反転入力端子との間の信号検出ラインに直列に挿入されている。内部抵抗22は、例えば、コンパレータ23の静電気保護用として機能する。内部抵抗22は、無くてもよい。
【0066】
図3は、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の異常検知のときの動作例を示すタイミングチャートである。
【0067】
異常充電が検出回路222により検出されていない状態では、制御回路221のロジック回路224は、端子COUTの電位vcを、充電制御トランジスタTR1がオンになるレベル(端子VDDの電位に略同一なハイレベル)に制御する。
【0068】
充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間に異常がない場合(例えば、充電制御トランジスタTR1の劣化があまり進行していない場合)、ゲート-ソース間のリーク電流i1は、ほぼゼロである。制御回路221のロジック回路224は、所定の電流値ith1以上のリーク電流i1が異常検知回路223により検出されていないので、端子COUTの電位vcを、充電制御トランジスタTR1がオンになるレベル(端子VDDの電位に略同一なハイレベル)に制御する。
【0069】
充電制御トランジスタTR1の劣化が進行し、リーク電流i1が増加すると、抵抗成分(バッファ31内のP型MOSFETのオン抵抗、内部抵抗11及び抵抗成分r1)による分圧により電圧降下が生ずる。このため、端子COUTの電位vcは、端子VDDに略同一な電位レベルから低下する。
【0070】
コンパレータ13は、端子COUTの電位vcが所定の電圧閾値Vth1よりも低下すると、異常検知信号Scをローレベルからハイレベルに切り替える。
【0071】
ロジック回路224は、所定の電圧閾値Vth1以下の電位vc(所定の電流値ith1以上のリーク電流i1)が検出されたことを表すハイレベルの異常検知信号Scが入力されると、タイマ回路225を起動させ、カウントを開始する。
【0072】
タイマ回路225のカウントが所定の回数に達すると、ロジック回路224は、保護IC101の動作モードを充電制御トランジスタTR1の異常検知モードに遷移させ、充電制御トランジスタTR1の異常検知を表すフラグFlag1をアサートする。タイマ回路225がカウントする所定の回数は、上記の所定時間tth1に対応する回数に設定される。ロジック回路224は、フラグFlag1がアサートのとき、端子COUTの電位vcを、充電制御トランジスタTR1がオフになるレベル(端子V-の電位に略同一なローレベル)に強制的に切り替える。これにより、二次電池210の充電は、停止する。
【0073】
なお、フラグFlag1がアサートのとき、放電制御トランジスタTR2の異常及び二次電池210の異常放電が無ければ、端子DOUTの電位vdは、放電制御トランジスタTR2がオンになるレベル(端子VDDの電位に略同一なハイレベル)に維持される。
【0074】
図4は、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の異常検知のときの動作例を示すタイミングチャートである。
【0075】
異常放電が検出回路222により検出されていない状態では、制御回路221のロジック回路224は、端子DOUTの電位vdを、放電制御トランジスタTR2がオンになるレベル(端子VDDの電位に略同一なハイレベル)に制御する。
【0076】
放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間に異常がない場合(例えば、放電制御トランジスタTR2の劣化があまり進行していない場合)、ゲート-ソース間のリーク電流i2は、ほぼゼロである。制御回路221のロジック回路224は、所定の電流値ith2以上のリーク電流i2が異常検知回路223により検出されていないので、端子DOUTの電位vdを、放電制御トランジスタTR2がオンになるレベル(端子VDDの電位に略同一なハイレベル)に制御する。
【0077】
放電制御トランジスタTR2の劣化が進行し、リーク電流i2が増加すると、抵抗成分(バッファ32内のP型MOSFETのオン抵抗、内部抵抗21及び抵抗成分r2)による分圧により電圧降下が生ずる。このため、端子DOUTの電位vdは、端子VDDに略同一な電位レベルから低下する。
【0078】
コンパレータ23は、端子DOUTの電位vdが所定の電圧閾値Vth2よりも低下すると、異常検知信号Sdをローレベルからハイレベルに切り替える。
【0079】
ロジック回路224は、所定の電圧閾値Vth2以下の電位vd(所定の電流値ith2以上のリーク電流i2)が検出されたことを表すハイレベルの異常検知信号Sdが入力されると、タイマ回路225を起動させ、カウントを開始する。
【0080】
タイマ回路225のカウントが所定の回数に達すると、ロジック回路224は、保護IC101の動作モードを放電制御トランジスタTR2の異常検知モードに遷移させ、放電制御トランジスタTR2の異常検知を表すフラグFlag2をアサートする。タイマ回路225がカウントする所定の回数は、上記の所定時間tth2に対応する回数に設定される。ロジック回路224は、フラグFlag2がアサートのとき、端子DOUTの電位vdを、放電制御トランジスタTR2がオフになるレベル(端子VSSの電位に略同一なローレベル)に強制的に切り替える。これにより、二次電池210の放電は、停止する。
【0081】
なお、フラグFlag2がアサートのとき、充電制御トランジスタTR1の異常及び二次電池210の異常充電が無ければ、端子COUTの電位vcは、充電制御トランジスタTR1がオンになるレベル(端子VDDの電位に略同一なハイレベル)に維持される。
【0082】
図5は、異常充電の検出に伴う保護動作と、充電制御トランジスタTR1の異常検知に伴う保護動作との両方を実現する回路の一例を示す図である。保護IC101は、図5に示す回路を有してもよい。図5において、「H」は、ハイレベルの論理レベルを表し、「L」は、ローレベルの論理を表す。なお、図5内の各箇所に示す「H」又は「L」は、過充電が検出され且つ充電制御トランジスタTR1の異常が検知された場合の論理レベルを示している。
【0083】
検出回路222は、二次電池210の異常充電を検出する異常充電検出回路として、過充電検出回路41及び充電過電流検出回路42を含む。過充電検出回路41は、端子VDDと端子VSSとの間の電源電圧を所定の過充電検出電圧と比較し、その比較結果を表す過充電検出信号OCを出力する。充電過電流検出回路42は、端子VSSと端子CSとの間の電位差を所定の充電過電流検出電圧と比較し、その比較結果を表す充電過電流検出信号CCを出力する。
【0084】
過充電検出回路41は、所定の過充電検出電圧以上の電源電圧が検出されている場合、二次電池210の過充電が検出されたことを表す過充電検出信号OCをアサートし、過充電検出信号OCをハイレベルに設定する。過充電検出回路41は、所定の過充電検出電圧以上の電源電圧が検出されていない場合、過充電検出信号OCをネゲートし、過充電検出信号OCをローレベルに設定する。
【0085】
充電過電流検出回路42は、所定の充電過電流検出電圧以上の電位差(端子VSSの電位-端子CSの電位)が検出されている場合、二次電池210の充電過電流が検出されたことを表す充電過電流検出信号CCをアサートし、充電過電流検出信号CCをハイレベルに設定する。充電過電流検出回路42は、所定の充電過電流検出電圧以上の電位差(端子VSSの電位-端子CSの電位)が検出されていない場合、充電過電流検出信号CCをネゲートし、充電過電流検出信号CCをローレベルに設定する。
【0086】
異常検知回路223は、端子COUTの電位vcを所定の電圧閾値Vth1と比較するコンパレータ13を有する。コンパレータ13は、所定の電圧閾値Vth1以下の電位vcが検出されていない場合(所定の電圧閾値Vth1よりも高い電位vcが検出されている場合)、異常検知信号Scをネゲートし、異常検知信号Scをローレベルに設定する。一方、コンパレータ13は、所定の電圧閾値Vth1以下の電位vcが検出されている場合、充電制御トランジスタTR1の異常が検知されたことを表す異常検知信号Scをアサートし、異常検知信号Scをハイレベルに設定する。
【0087】
ロジック回路224は、反転回路43、否定論理和回路44、過充電用論理回路45、充電過電流用論理回路46、劣化検知用論理回路47、否定論理積回路48及び反転回路49を有する。
【0088】
反転回路43は、入力される異常検知信号Scの論理を反転した信号を反転異常検知信号Sciとして出力する。否定論理和回路44は、入力される複数の信号の否定論理和の信号を劣化検知信号Saとして出力する。
【0089】
過充電用論理回路45は、過充電検出信号OCがローレベルの場合、過充電用論理回路45から出力される充電制御信号S1をアサートし、充電制御信号S1をハイレベルに設定する。過充電用論理回路45は、過充電検出信号OCがローレベルからハイレベルに切り替わってからハイレベルの状態が所定の過充電検出遅延時間Tc1以上継続して検出された場合、充電制御信号S1をネゲートし、充電制御信号S1をハイレベルからローレベルに切り替える。
【0090】
充電過電流用論理回路46は、充電過電流検出信号CCがローレベルの場合、充電過電流用論理回路46から出力される充電制御信号S2をアサートし、充電制御信号S2をハイレベルに設定する。充電過電流用論理回路46は、充電過電流検出信号CCがローレベルからハイレベルに切り替わってからハイレベルの状態が所定の充電過電流検出遅延時間Tc2以上継続して検出された場合、充電制御信号S2をネゲートし、充電制御信号S2をハイレベルからローレベルに切り替える。
【0091】
劣化検知用論理回路47は、劣化検知信号Saがローレベルの場合、劣化検知用論理回路47から出力される充電制御信号S3をアサートし、充電制御信号S3をハイレベルに設定する。劣化検知用論理回路47は、劣化検知信号Saがローレベルからハイレベルに切り替わってからハイレベルの状態が所定時間tth1以上継続して検知された場合、充電制御信号S3をネゲートし、充電制御信号S3をハイレベルからローレベルに切り替える。
【0092】
劣化検知用論理回路47は、劣化検知信号Saがローレベルの場合、劣化検知用論理回路47から出力されるアラーム信号S4をネゲートし、アラーム信号S4をローレベルに設定する。劣化検知用論理回路47は、劣化検知信号Saがローレベルからハイレベルに切り替わってからハイレベルの状態が所定時間tth1以上継続して検知された場合、アラーム信号S4をアサートし、アラーム信号S4をローレベルからハイレベルに切り替える。アラーム信号S4がアサートされることで、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の異常が検知されたことを表すアラーム信号S4が端子ALMから出力される。
【0093】
否定論理積回路48は、入力される複数の充電制御信号S1,S2,S3の否定論理積の信号S5を出力する。反転回路49は、入力される信号S5の論理を反転した信号S6を出力する。バッファ31は、信号S6と同じ論理の信号を出力する。
【0094】
否定論理積回路48に入力される全ての充電制御信号S1,S2,S3がハイレベルのときに限り、ローレベルの信号S5が出力されるので、端子COUTの電位vcは、充電制御トランジスタTR1をオンさせるハイレベルとなる。充電制御信号S1,S2,S3のうち少なくとも一つの信号がローレベルになると、ハイレベルの信号S5が出力されるので、端子COUTの電位vcは、充電制御トランジスタTR1をオフさせるローレベルとなる。
【0095】
このように、図5に示す回路では、異常充電が異常検知回路223により検出されると、過充電検出信号OC又は充電過電流検出信号CCがハイレベルになる。ロジック回路224は、ハイレベルの過充電検出信号OC又は充電過電流検出信号CCが所定の遅延時間以上継続すると、充電制御信号S1又は充電制御信号S2をローレベルとする。これにより、信号S5はハイレベルとなるので、端子COUTの電位vcは、充電制御トランジスタTR1をオフさせるローレベルとなる。
【0096】
端子COUTの電位vcがローレベルとなると、所定の電圧閾値Vth1以下の電位vcがコンパレータ13により検出されるので、異常検知信号Scはアサートされる。このように、過充電検出信号OC又は充電過電流検出信号CCがハイレベルとなり、電位vcが低下すると、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間に実際には異常がない場合でも、異常検知信号Scの論理レベルがハイレベルとなることがある。
【0097】
しかしながら、過充電検出信号OC又は充電過電流検出信号CCがハイレベル、且つ、異常検知信号Scの論理レベルがハイレベルのとき、否定論理和回路44によって、ハイレベルの異常検知信号Scは無効となる。つまり、否定論理和回路44は、異常検知回路223による充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の異常検知を無効とし、劣化検知信号Saを強制的にローレベルとする。これにより、異常検知信号Scの論理レベルがハイレベルになっても、アラーム信号S4は強制的にネゲートされるので、アラーム信号S4は、端子ALMから保護IC101の外部へ出力されない。
【0098】
このように、図5の制御回路221は、異常充電が検出回路222により検出されていて、且つ、充電制御トランジスタTR1の異常が異常検知回路223により検知されている場合、端子COUTの電位vcを充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに低下させるとともに、異常検知回路223による充電制御トランジスタTR1の異常検知を無効とする。したがって、異常充電が異常検知回路223により検出されることで端子COUTの電位vcが低下しても、アラーム信号S4が端子ALMから誤って出力されることを防止することができる。
【0099】
そして、図5に示す回路では、異常充電が異常検知回路223により検出されなければ、過充電検出信号OC及び充電過電流検出信号CCはローレベルになる。ロジック回路224は、充電制御信号S1及び充電制御信号S2をハイレベルとする。一方、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間に発生する異常により、所定の電圧閾値Vth1以下の電位vcがコンパレータ13により検出されると、異常検知信号Scはアサートされる。これにより、異常検知信号Scの論理レベルは、ハイレベルとなり、反転異常検知信号Sciの論理レベルは、ローレベルとなる。よって、過充電検出信号OC、充電過電流検出信号CC及び反転異常検知信号Sciは、いずれもローレベルなので、否定論理和回路44は、劣化検知信号Saをハイレベルとする。
【0100】
ロジック回路224は、ハイレベルの劣化検知信号Saが所定時間tth1以上継続すると、充電制御信号S3をローレベルとし、アラーム信号S4をハイレベルとする。これにより、信号S5はハイレベルとなるので、端子COUTの電位vcは、充電制御トランジスタTR1をオフさせるローレベルになるとともに、アラーム信号S4が端子ALMから出力される。
【0101】
このように、図5の制御回路221は、異常充電が検出回路222により検出されている場合、アラーム信号S4を端子ALMから出力せずに、端子COUTの電位vcを充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに低下させる。一方、図5の制御回路221は、異常充電が検出回路222により検出されていなく、且つ、充電制御トランジスタTR1の異常が異常検知回路223により検知されている場合、アラーム信号S4を端子ALMから出力する。
【0102】
制御回路221は、充電制御トランジスタTR1の異常検知に関する異常検知信号Scが否定論理和回路44により無効とされた状態において、異常検知回路223による放電制御トランジスタTR2の異常検知機能を有効としてもよい。
【0103】
例えば、制御回路221は、過充電が過充電検出回路41に検出されている場合又は充電過電流が充電過電流検出回路42により検出されている場合、端子COUTの電位vcを充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに切り替える。この場合、充電制御トランジスタTR1の異常検知に関する異常検知信号Scが否定論理和回路44により無効とされている。この無効状態において、制御回路221は、放電制御トランジスタTR2の異常が異常検知回路223により検知されている場合、端子DOUTの電位vdを放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに切り替える。したがって、保護IC101は、二次電池210の異常充電に対する保護動作と、放電制御トランジスタTR2の異常に対する保護動作との両方を同じ期間に実施できる。
【0104】
図6は、異常放電の検出に伴う保護動作と、放電制御トランジスタTR2の異常検知に伴う保護動作との両方を実現する回路の一例を示す図である。保護IC101は、図6に示す回路を有してもよい。図6において、「H」は、ハイレベルの論理レベルを表し、「L」は、ローレベルの論理を表す。なお、図6内の各箇所に示す「H」又は「L」は、過放電が検出され且つ放電制御トランジスタTR2の異常が検知された場合の論理レベルを示している。
【0105】
検出回路222は、二次電池210の異常放電を検出する異常放電検出回路として、過放電検出回路51及び放電過電流検出回路52を含む。過放電検出回路51は、端子VDDと端子VSSとの間の電源電圧を所定の過放電検出電圧と比較し、その比較結果を表す過放電検出信号ODを出力する。放電過電流検出回路52は、端子VSSと端子CSとの間の電位差を所定の放電過電流検出電圧と比較し、その比較結果を表す放電過電流検出信号CDを出力する。
【0106】
過放電検出回路51は、所定の過放電検出電圧以上の電源電圧が検出されている場合、二次電池210の過放電が検出されたことを表す過放電検出信号ODをアサートし、過放電検出信号ODをハイレベルに設定する。過放電検出回路51は、所定の過放電検出電圧以上の電源電圧が検出されていない場合、過放電検出信号ODをネゲートし、過放電検出信号ODをローレベルに設定する。
【0107】
放電過電流検出回路52は、所定の放電過電流検出電圧以上の電位差(端子CSの電位-端子VSSの電位)が検出されている場合、二次電池210の放電過電流が検出されたことを表す放電過電流検出信号CDをアサートし、放電過電流検出信号CDをハイレベルに設定する。放電過電流検出回路52は、所定の放電過電流検出電圧以上の電位差(端子CSの電位-端子VSSの電位)が検出されていない場合、放電過電流検出信号CDをネゲートし、放電過電流検出信号CDをローレベルに設定する。
【0108】
異常検知回路223は、端子DOUTの電位vdを所定の電圧閾値Vth2と比較するコンパレータ23を有する。コンパレータ23は、所定の電圧閾値Vth2以下の電位vdが検出されていない場合(所定の電圧閾値Vth2よりも高い電位vdが検出されている場合)、異常検知信号Sdをネゲートし、異常検知信号Sdをローレベルに設定する。一方、コンパレータ23は、所定の電圧閾値Vth2以下の電位vdが検出されている場合、放電制御トランジスタTR2の異常が検知されたことを表す異常検知信号Sdをアサートし、異常検知信号Sdをハイレベルに設定する。
【0109】
ロジック回路224は、反転回路53、否定論理和回路54、過放電用論理回路55、放電過電流用論理回路56、劣化検知用論理回路57、否定論理積回路58及び反転回路59を有する。
【0110】
反転回路53は、入力される異常検知信号Sdの論理を反転した信号を反転異常検知信号Sdiとして出力する。否定論理和回路54は、入力される複数の信号の否定論理和の信号を劣化検知信号Sbとして出力する。
【0111】
過放電用論理回路55は、過放電検出信号ODがローレベルの場合、過放電用論理回路55から出力される放電制御信号S7をアサートし、放電制御信号S7をハイレベルに設定する。過放電用論理回路55は、過放電検出信号ODがローレベルからハイレベルに切り替わってからハイレベルの状態が所定の過放電検出遅延時間Td1以上継続して検出された場合、放電制御信号S7をネゲートし、放電制御信号S7をハイレベルからローレベルに切り替える。
【0112】
放電過電流用論理回路56は、放電過電流検出信号CDがローレベルの場合、放電過電流用論理回路56から出力される放電制御信号S8をアサートし、放電制御信号S8をハイレベルに設定する。放電過電流用論理回路56は、放電過電流検出信号CDがローレベルからハイレベルに切り替わってからハイレベルの状態が所定の放電過電流検出遅延時間Td2以上継続して検出された場合、放電制御信号S8をネゲートし、放電制御信号S8をハイレベルからローレベルに切り替える。
【0113】
劣化検知用論理回路57は、劣化検知信号Sbがローレベルの場合、劣化検知用論理回路57から出力される放電制御信号S9をアサートし、放電制御信号S9をハイレベルに設定する。劣化検知用論理回路57は、劣化検知信号Sbがローレベルからハイレベルに切り替わってからハイレベルの状態が所定時間tth2以上継続して検知された場合、放電制御信号S9をネゲートし、放電制御信号S9をハイレベルからローレベルに切り替える。
【0114】
劣化検知用論理回路57は、劣化検知信号Sbがローレベルの場合、劣化検知用論理回路57から出力されるアラーム信号S10をネゲートし、アラーム信号S10をローレベルに設定する。劣化検知用論理回路57は、劣化検知信号Sbがローレベルからハイレベルに切り替わってからハイレベルの状態が所定時間tth2以上継続して検知された場合、アラーム信号S10をアサートし、アラーム信号S10をローレベルからハイレベルに切り替える。アラーム信号S10がアサートされることで、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の異常が検知されたことを表すアラーム信号S10が端子ALMから出力される。
【0115】
否定論理積回路58は、入力される複数の放電制御信号S7,S8,S9の否定論理積の信号S11を出力する。反転回路59は、入力される信号S11の論理を反転した信号S12を出力する。バッファ32は、信号S12と同じ論理の信号を出力する。
【0116】
否定論理積回路58に入力される全ての放電制御信号S7,S8,S9がハイレベルのときに限り、ローレベルの信号S11が出力されるので、端子DOUTの電位vdは、放電制御トランジスタTR2をオンさせるハイレベルとなる。放電制御信号S7,S8,S9のうち少なくとも一つの信号がローレベルになると、ハイレベルの信号S11が出力されるので、端子DOUTの電位vdは、放電制御トランジスタTR2をオフさせるローレベルとなる。
【0117】
このように、図6に示す回路では、異常放電が異常検知回路223により検出されると、過放電検出信号OD又は放電過電流検出信号CDがハイレベルになる。ロジック回路224は、ハイレベルの過放電検出信号OD又は放電過電流検出信号CDが所定の遅延時間以上継続すると、放電制御信号S7又は放電制御信号S8をローレベルとする。これにより、信号S11はハイレベルとなるので、端子DOUTの電位vdは、放電制御トランジスタTR2をオフさせるローレベルとなる。
【0118】
端子DOUTの電位vdがローレベルとなると、所定の電圧閾値Vth2以下の電位vdがコンパレータ23により検出されるので、異常検知信号Sdはアサートされる。このように、過放電検出信号OD又は放電過電流検出信号CDがハイレベルとなり、電位vdが低下すると、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間に実際には異常がない場合でも、異常検知信号Sdの論理レベルがハイレベルとなることがある。
【0119】
しかしながら、過放電検出信号OD又は放電過電流検出信号CDがハイレベル、且つ、異常検知信号Sdの論理レベルがハイレベルのとき、否定論理和回路54によって、ハイレベルの異常検知信号Sdは無効となる。つまり、否定論理和回路54は、異常検知回路223による放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の異常検知を無効とし、劣化検知信号Sbを強制的にローレベルとする。これにより、異常検知信号Sdの論理レベルがハイレベルになっても、アラーム信号S10は強制的にネゲートされるので、アラーム信号S10は、端子ALMから保護IC101の外部へ出力されない。
【0120】
このように、図6の制御回路221は、異常放電が検出回路222により検出されていて、且つ、放電制御トランジスタTR2の異常が異常検知回路223により検知されている場合、端子DOUTの電位vdを放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに低下させるとともに、異常検知回路223による放電制御トランジスタTR2の異常検知を無効とする。したがって、異常放電が異常検知回路223により検出されることで端子DOUTの電位vdが低下しても、アラーム信号S10が端子ALMから誤って出力されることを防止することができる。
【0121】
そして、図6に示す回路では、異常放電が異常検知回路223により検出されなければ、過放電検出信号OD及び放電過電流検出信号CDはローレベルになる。ロジック回路224は、放電制御信号S7及び放電制御信号S8をハイレベルとする。一方、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間に発生する異常により、所定の電圧閾値Vth2以下の電位vdがコンパレータ23により検出されると、異常検知信号Sdはアサートされる。これにより、異常検知信号Sdの論理レベルは、ハイレベルとなり、反転異常検知信号Sdiの論理レベルは、ローレベルとなる。よって、過放電検出信号OD、放電過電流検出信号CD及び反転異常検知信号Sdiは、いずれもローレベルなので、否定論理和回路44は、劣化検知信号Sbをハイレベルとする。
【0122】
ロジック回路224は、ハイレベルの劣化検知信号Sbが所定時間tth2以上継続すると、放電制御信号S9をローレベルとし、アラーム信号S10をハイレベルとする。これにより、信号S11はハイレベルとなるので、端子DOUTの電位vdは、放電制御トランジスタTR2をオフさせるローレベルになるとともに、アラーム信号S10が端子ALMから出力される。
【0123】
このように、図6の制御回路221は、異常放電が検出回路222により検出されている場合、アラーム信号S10を端子ALMから出力せずに、端子DOUTの電位vdを放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに低下させる。一方、図6の制御回路221は、異常放電が検出回路222により検出されていなく、且つ、放電制御トランジスタTR2の異常が異常検知回路223により検知されている場合、アラーム信号S10を端子ALMから出力する。
【0124】
制御回路221は、放電制御トランジスタTR2の異常検知に関する異常検知信号Sdが否定論理和回路54により無効とされた状態において、異常検知回路223による充電制御トランジスタTR1の異常検知機能を有効としてもよい。
【0125】
例えば、制御回路221は、過放電が過放電検出回路51に検出されている場合又は放電過電流が放電過電流検出回路52により検出されている場合、端子DOUTの電位vdを放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに切り替える。この場合、放電制御トランジスタTR2の異常検知に関する異常検知信号Sdが否定論理和回路54により無効とされている。この無効状態において、制御回路221は、充電制御トランジスタTR1の異常が異常検知回路223により検知されている場合、端子COUTの電位vcを充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに切り替える。したがって、保護IC101は、二次電池210の異常放電に対する保護動作と、充電制御トランジスタTR1の異常に対する保護動作との両方を同じ期間に実施できる。
【0126】
図7は、二次電池保護集積回路を含むシステムの第2構成例を示す図である。第2構成例において、図1及び上記の構成例と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略する。
【0127】
図7のシステム502は、スイッチ回路203が端子B+と端子P+との間の電源線201に設けられている点で、図2のシステム501と相違する。図7の保護IC102は、電源線201に設けられたスイッチ回路203を制御可能な回路構成を有する点で、図2の保護IC101と相違する。保護IC102は、保護IC101と同じ機能を有する。
【0128】
図7のシステム502は、バッテリ装置402及び電子機器300を有する。バッテリ装置402は、二次電池210及び電池保護回路602を備える。電池保護回路602は、保護IC102を備える。保護IC102は、検出回路222、制御回路221、異常検知回路223及びチャージポンプ回路226を備える。保護IC102は、検出端子(端子V-)に代えて、検出端子(端子V+)を備える。
【0129】
端子V+は、端子P+の電位の監視に使用され、端子P+に接続されている。端子V+は、例えば、保護IC102内の検出回路222が電子機器300又は充電器の接続の有無を監視するのに使用される。端子V+は、スイッチ回路203と端子P+との間において電源線201に抵抗素子R23を介して接続されている。
【0130】
ロジック回路224は、充電制御トランジスタTR1をオン又はオフに切り替える充電制御信号を出力し、放電制御トランジスタTR2をオン又はオフに切り替える放電制御信号を出力する。チャージポンプ回路226は、端子VDDと端子VSSとの間の電源電圧を昇圧し、端子VDDの電位よりも高い電位VPを生成する。電位VPは、バッファ31,32の電源電位である。
【0131】
バッファ31は、充電制御トランジスタTR1をオンにする論理レベルの充電制御信号が入力されているとき、電位VPと略同一のハイレベルの信号を出力する。これにより、端子COUTの電位vcは、充電制御トランジスタTR1がオンとなるレベルに制御される。一方、バッファ31は、充電制御トランジスタTR1をオフにする論理レベルの充電制御信号が入力されているとき、端子VDDの電位と略同一の電位であるローレベルの信号を出力する。これにより、端子COUTの電位vcは、充電制御トランジスタTR1がオフとなるレベルに制御される。
【0132】
バッファ32は、放電制御トランジスタTR2をオンにする論理レベルの放電制御信号が入力されているとき、電位VPと略同一の電位であるハイレベルの信号を出力する。これにより、端子DOUTの電位vdは、放電制御トランジスタTR2がオンとなるレベルに制御される。一方、バッファ32は、放電制御トランジスタTR2をオフにする論理レベルの放電制御信号が入力されているとき、端子V+の電位と略同一の電位であるローレベルの信号を出力する。これにより、端子DOUTの電位vdは、放電制御トランジスタTR2がオフとなるレベルに制御される。
【0133】
保護IC102は、保護IC101と同様に、充電制御トランジスタTR1及び放電制御トランジスタTR2の各々のゲート-ソース間の異常を検知する異常検知回路223を有する。異常検知回路223は、電位VP以下の電位vcをコンパレータ13により検出することで、端子COUTに流れるリーク電流i1の増加を検出し、異常検知信号Scを出力する。異常検知回路223は、電位VP以下の電位vdをコンパレータ23により検出することで、端子DOUTに流れるリーク電流i2の増加を検出し、異常検知信号Sdを出力する。したがって、保護IC102は、保護IC101と同様に、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の異常に対する保護動作を実施でき、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の異常に対する保護動作を実施できる。
【0134】
図8は、二次電池保護集積回路を含むシステムの第3構成例を示す図である。第3構成例において、図1及び上記の構成例と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略する。
【0135】
図8のシステム503は、制御回路221に流れる電流の増加を検出することでリーク電流i1,i2の増加を検知する点で、図2のシステム501と相違する。図8の保護IC103は、保護IC101と同じ機能を有する。
【0136】
図8のシステム503は、バッテリ装置403及び電子機器300を有する。バッテリ装置403は、二次電池210及び電池保護回路603を備える。電池保護回路603は、保護IC103を備える。保護IC103は、検出回路222、制御回路221及び異常検知回路223を備える。
【0137】
保護IC103は、保護IC101と同様に、充電制御トランジスタTR1及び放電制御トランジスタTR2の各々のゲート-ソース間の異常を検知する異常検知回路223を有する。
【0138】
制御回路221に流れる電流は、端子COUTに流れる電流の変化に伴って変化する。端子COUTの電位vcが、充電制御トランジスタTR1がオンになるレベル(より具体的には、端子VDDの電位に略同一なレベル)の状態において、リーク電流i1が増加すると、制御回路221に流れる電流は、増加する。図8に示す異常検知回路223は、制御回路221に流れる電流の増加を検出することで、端子COUTに流れるリーク電流i1の増加を検出する。
【0139】
図8の異常検知回路223は、シャント抵抗25及びコンパレータ24を有する。シャント抵抗25は、端子VDDに接続される電源ライン26に直列に挿入されている。端子VDDから流入する電流は、電源ライン26を介して、制御回路221内の各回路に分配される。リーク電流i1又はリーク電流i2が増加すると、シャント抵抗25に流れる電流isが増加する。
【0140】
異常検知回路223は、上記の所定の電流値ith1又は電流値ith2に対応する所定の電圧閾値Vth3以下の電位vsを検出することで、電流値ith1以上のリーク電流i1又は電流値ith2以上のリーク電流i2を検出する。電位vsは、シャント抵抗25の下流端の電位を表す。異常検知回路223は、所定の電圧閾値Vth3以下の電位vsをコンパレータ24により検出することで、リーク電流i1又はリーク電流i2の増加を検出し、リーク電流i1又はリーク電流i2の増加を表す異常検知信号Sを出力する。したがって、保護IC103は、保護IC101と同様に、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の異常に対する保護動作を実施でき、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の異常に対する保護動作を実施できる。
【0141】
異常検知回路223は、電源ライン27に直列に挿入されたシャント抵抗(特に図示しない)による電圧降下を検出することで、リーク電流i1の増加を検出し、リーク電流i1の増加を表す異常検知信号Scを出力してもよい。これにより、保護IC103は、保護IC101と同様に、充電制御トランジスタTR1のゲート-ソース間の異常に対する保護動作を実施できる。電源ライン27は、電源ライン26からバッファ31への分岐ラインである。
【0142】
異常検知回路223は、電源ライン28に直列に挿入されたシャント抵抗(特に図示しない)による電圧降下を検出することで、リーク電流i2の増加を検出し、リーク電流i2の増加を表す異常検知信号Sdを出力してもよい。これにより、保護IC103は、保護IC101と同様に、放電制御トランジスタTR2のゲート-ソース間の異常に対する保護動作を実施できる。電源ライン28は、電源ライン26からバッファ32への分岐ラインである。
【0143】
図9は、二次電池保護集積回路を含むシステムの第4構成例を示す図である。第4構成例において、図1及び上記の構成例と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略する。
【0144】
図9のシステム504は、バッテリ装置404及び電子機器300を有する。バッテリ装置404は、二次電池210及び電池保護回路604を備える。電池保護回路604は、保護IC104を備える。保護IC104は、検出回路222、制御回路221及び異常検知回路223を備える。異常検知回路223は、端子V-の電位vmの変化を検出することで、充電制御トランジスタTR1と放電制御トランジスタTR2の少なくとも一方の異常を検知する。
【0145】
充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2は、劣化等によって、ソース-ドレイン間がオープン故障することがある。異常検知回路223は、端子V-の電位の上昇を検出することで、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のオープン故障を検知する。制御回路221は、所定の電圧閾値Vth4以上の電位vmが異常検知回路223により検出された場合、端子COUTの電位vcを充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに切り替え、且つ、端子DOUTの電位vdを放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに切り替える。これにより、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のオープン故障が放置されないので、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のオープン故障に対する保護機能が向上する。
【0146】
充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2は、劣化等によって、ソース-ドレイン間がショート故障することがある。異常検知回路223は、端子V-の電位の低下を検出することで、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のショート故障を検知する。制御回路221は、所定の電圧閾値Vth5以下の電位vmが異常検知回路223により検出された場合、端子COUTの電位vcを充電制御トランジスタTR1がオフになるレベルに切り替え、且つ、端子DOUTの電位vdを放電制御トランジスタTR2がオフになるレベルに切り替える。これにより、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のショート故障が放置されないので、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のショート故障に対する保護機能が向上する。
【0147】
なお、図9は、接地線202に設けられた充電制御トランジスタTR1及び放電制御トランジスタTR2のオープン故障又はショート故障を検出する構成を示す。しかし、図9及び後述の図10,11,12についての説明は、電源線201に設けられた充電制御トランジスタTR1及び放電制御トランジスタTR2のオープン故障又はショート故障を検出する構成に援用可能である。
【0148】
次に、オープン故障の検出回路及び検出方法について説明する。
【0149】
図10は、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のオープン故障を検出する構成の一例を示す図である。異常検知回路223は、コンパレータ229及び論理積回路227,228を有する。ロジック回路224は、タイマ回路225を有する。
【0150】
異常充電及び異常放電が検出回路222により検出されていなく且つ充電制御トランジスタTR1及び放電制御トランジスタTR2の両方のソース-ドレイン間がオープン状態でなければ、端子V-の電位vmは、端子VSSの電位レベル付近である。しかし、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間がオープン状態になると、端子V-の電位は、端子P+の電位まで上昇する。異常検知回路223は、異常充電及び異常放電が検出されていない状態において、端子V-の電位vmの上昇が検出された場合、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のオープン故障と判定する。
【0151】
異常検知回路223は、充電制御トランジスタTR1がオンになるハイレベルの電位が端子COUTにおいて検出されている場合、異常充電が検出回路222により検出されていないと判定する。異常検知回路223は、放電制御トランジスタTR2がオンになるハイレベルの電位が端子DOUTにおいて検出されている場合、異常放電が検出回路222により検出されていないと判定する。
【0152】
異常検知回路223は、所定の電圧閾値Vth4以上の電位vmがコンパレータ229により検出された場合、オープン検出信号Cpoutをアサートし、オープン検出信号Cpoutの論理レベルをハイレベルとする。論理積回路227は、端子COUTの電位vcと端子DOUTの電位vdとの論理積の信号を信号vaとして出力する。論理積回路228は、信号vaとオープン検出信号Cpoutとの論理積の信号を信号vbとして出力する。
【0153】
オープン検出信号Cpoutがハイレベルであり、且つ、電位vc及び電位vdがハイレベル(異常充電及び異常放電が検出回路222により未検出)の場合、異常検知回路223は、信号vbをアサートし、信号vbの論理レベルをハイレベルとする。タイマ回路225は、ハイレベルの信号vbが入力されると、カウントを開始する。
【0154】
タイマ回路225のカウントが所定の回数に達すると、ロジック回路224は、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のオープン故障検知を表すフラグFET_OPENをアサートする。タイマ回路225がカウントする所定の回数は、上記の所定時間tth1又は所定時間tth2に対応する回数に設定される。ロジック回路224は、フラグFET_OPENがアサートのとき、端子COUTの電位vcを、充電制御トランジスタTR1がオフになるレベル(端子V-の電位に略同一なローレベル)に強制的に切り替えるともに、放電制御トランジスタTR2がオフになるレベル(端子VSSの電位に略同一なローレベル)に強制的に切り替える。これにより、二次電池210の充電方向及び放電方向に流れる電流が停止する。
【0155】
ロジック回路224は、フラグFET_OPENがアサートのとき、電位vc及び電位vdがハイレベルと検出されている状態と、電位vmが所定の電圧閾値Vth4よりも高く検出されている状態とが、所定時間以上継続して検知されたと判定する。ロジック回路224は、フラグFET_OPENがアサートのとき、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のオープン故障が検知されたことを表すアラーム信号を端子ALMから保護ICの外部へ出力する。
【0156】
これにより、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2のオープン故障を外部機器に知らせることができる。例えば、当該アラーム信号を受信した電子機器300は、バッテリ装置(二次電池)に対する充電を停止することで、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2がオープン故障のまま二次電池210の充電が継続する可能性がより低減する。例えば、当該アラーム信号を受信した電子機器300は、自身の動作を停止し消費電流を零に近づけることで、充電制御トランジスタTR1又は放電制御トランジスタTR2が異常のまま二次電池210の放電が継続する可能性がより低減する。
【0157】
次に、ショート故障の検出回路及び検出方法について説明する。
【0158】
充電制御トランジスタTR1のソース-ドレイン間のショート故障の検出は、充電過電流検出状態において、端子COUTの電位vcが、充電制御トランジスタTR1がオフとなるレベルに制御されているときに、有効となる。放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のショート故障の検出は、放電過電流検出状態において、端子DOUTの電位vdが、放電制御トランジスタTR2がオフとなるレベルに制御されているときに、有効となる。
【0159】
図11は、放電過電流検出状態を例示するタイミングチャートである。保護ICの動作モードが放電過電流検出状態に遷移すると、ロジック回路224は、端子DOUTの電位vdをローレベルに切り替えて放電制御トランジスタTR2をオフにするとともに、端子V-を保護IC内部のプルアップ抵抗を介して端子VDD(端子P+)のレベルにプルアップする。しかし、放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間にショートが発生した場合、端子V-のレベルは、端子VDD(端子P+)のレベルまで上昇しない。ロジック回路224は、所定の電圧閾値Vth5以下の端子V-の電位Vmが所定時間継続して検知された場合、放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間がショート故障と判定する。
【0160】
図12は、放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のショート故障を検出する構成の一例を示す図である。異常検知回路223は、コンパレータ230及び否定論理和回路231を有する。ロジック回路224は、タイマ回路225を有する。
【0161】
異常検知回路223は、放電制御トランジスタTR2がオフになるローレベルの電位が端子DOUTにおいて検出されていて、且つ、所定の電圧閾値Vth5以下の電位vmがコンパレータ230により検出されている場合、ショート検出信号vfをアサートし、ショート検出信号vfの論理レベルをハイレベルとする。否定論理和回路231は、端子DOUTの電位vdのレベルとコンパレータ230の出力信号veのレベルとの否定論理和の信号をショート検出信号vfとして出力する。タイマ回路225は、ハイレベルのショート検出信号vfが入力されると、カウントを開始する。
【0162】
タイマ回路225のカウントが所定の回数に達すると、ロジック回路224は、放電制御トランジスタTR2のショート故障検知を表すフラグFET_SHORTをアサートする。タイマ回路225がカウントする所定の回数は、上記の所定時間tth2に対応する回数に設定される。ロジック回路224は、フラグFET_SHORTがアサートのとき、端子COUTの電位vcを、充電制御トランジスタTR1がオフになるレベル(端子V-の電位に略同一なローレベル)に強制的に切り替える。これにより、二次電池210の充電方向に流れる電流が停止する。
【0163】
ロジック回路224は、フラグFET_SHORTがアサートのとき、電位vdがローレベルと検出されている状態と、電位vmが所定の電圧閾値Vth5よりも低く検出されている状態とが、所定時間以上継続して検知されたと判定する。ロジック回路224は、この場合、放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のショート故障が検知されたことを表すアラーム信号を端子ALMから保護ICの外部へ出力する。
【0164】
これにより、放電制御トランジスタTR2のショート故障を外部機器に知らせることができる。例えば、当該アラーム信号を受信した電子機器300は、バッテリ装置(二次電池)に対する充電を停止することで、放電制御トランジスタTR2がオープン故障のまま二次電池210の充電が継続する可能性がより低減する。例えば、当該アラーム信号を受信した電子機器300は、自身の動作を停止し消費電流を零に近づけることで、放電制御トランジスタTR2が異常のまま二次電池210の放電が継続する可能性がより低減する。
【0165】
図11及び図12は、放電過電流検出状態において放電制御トランジスタTR2のソース-ドレイン間のショート故障を検出する場合を例示する。しかし、図11及び図12の説明において、「放電過電流検出状態」を「充電過電流検出状態」に、「放電制御トランジスタTR2」を「充電制御トランジスタTR1」に読み替えてもよい。図11及び図12の説明において、この読み替えをすることで、充電過電流検出状態において充電制御トランジスタTR1のソース-ドレイン間のショート故障を検出する回路及び方法が実現される。
【0166】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0167】
例えば、充電制御トランジスタTR1と放電制御トランジスタTR2の配置位置は、図示の位置に対して互いに置換されてもよい。
【符号の説明】
【0168】
25 シャント抵抗
100,101,102,103,104 保護IC
201 電源線
202 接地線
203 スイッチ回路
210 二次電池
211 正極
212 負極
221 制御回路
222 検出回路
223 異常検知回路
224 ロジック回路
225 タイマ回路
226 チャージポンプ回路
227,228 論理積回路
229 コンパレータ
300 電子機器
400,401,402,403,404 バッテリ装置
500,501,502,503,504 システム
600,601,602,603,604 電池保護回路
TR1 充電制御トランジスタ
TR2 放電制御トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12