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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122044
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】外周部加工システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4093 20060101AFI20240902BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20240902BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20240902BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240902BHJP
   B23D 79/00 20060101ALN20240902BHJP
【FI】
G05B19/4093 P
B23Q17/20 A
B23Q15/00 301J
B23Q15/00 301B
G06T7/60 150S
B23D79/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029353
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】309035604
【氏名又は名称】株式会社フカデン
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(72)【発明者】
【氏名】古金谷 友彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 太
【テーマコード(参考)】
3C029
3C050
3C269
5L096
【Fターム(参考)】
3C029BB01
3C029BB10
3C050FB06
3C050FB14
3C269AB01
3C269AB33
3C269BB03
3C269CC01
3C269EF63
3C269EF76
3C269JJ09
3C269MN16
5L096AA06
5L096BA05
5L096CA02
5L096DA02
5L096EA02
5L096EA05
5L096EA27
5L096EA43
5L096FA02
5L096FA06
5L096FA24
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】画像認識により被加工物外周部を座標認識し、刃具や塗布ノズル等の形状等に合わせて画像認識で得られたデータを適切に変換することで、刃具当りや塗布位置を調整し、良好な加工結果が得られる外周部加工システムを提供する。
【解決手段】被加工物外周部のXY座標を画像認識する外周部座標認識手段20と、外周部座標認識手段20にて取得した被加工物の外周部の位置データ(XY座標)を制御部(演算部・記憶部)30に転送するデータ転送手段40と、制御部(演算部・記憶部)30にデータ転送手段40にて転送された外周部の位置データ(XY座標)に対して、データ変換処理を行うデータ変換処理手段50とデータ変換処理手段50により変換された位置データ(XY座標)を加工部70に送信するデータ送信手段60を備えることを特徴とする外周部加工システム10とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像認識により被加工物外周部を座標認識し、座標認識した被加工物外周部に対し、座標認識された位置データに基づいて加工する外周部加工システムであって、
被加工物外周部のXY座標を画像認識する外周部座標認識手段と、
前記外周部座標認識手段にて取得した被加工物の外周部の位置データ(XY座標)を制御部(演算部・記憶部)に転送するデータ転送手段と、
前記制御部(演算部・記憶部)に前記データ転送手段にて転送された外周部の位置データ(XY座標)に対して、データ変換処理を行うデータ変換処理手段と、
前記データ変換処理手段により変換された位置データ(XY座標)を加工部に送信するデータ送信手段を備えることを特徴とする外周部加工システム。
【請求項2】
前記データ変換処理手段は、膨張収縮処理であることを特徴とする請求項1に記載の外周部加工システム。
【請求項3】
前記データ変換処理手段は、外周部の各点における二次元垂直方向を認識させる処理であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の外周部加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物の外周部座標を画像認識し、画像認識した外周部座標を画像処理にて適切に変換することで、刃具等の形状等に適合した加工状態、及び塗布ノズル等の形状等に適合した塗布状態を実現することができる外周部加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像認識により被加工物外周部の形状を座標認識し、認識した座標のまま(取得したデータに何らデータ処理すること無く)機械加工すると、刃具の太さ、刃具フローティング構造等により被加工物に刃具が強く当たり過ぎたり、或いは、刃具の当たりが弱過ぎたりすることで加工不良が生じることが有る。
【0003】
一方で、液剤・スラリー等の液状物塗布においても、画像認識により被塗布物外周部の形状を座標認識し、認識した座標のまま(取得したデータに何らデータ処理すること無く)塗布すると、塗布ノズル形状や太さ等により塗布不良が生じる。さらに、塗布ノズル等の供給器具の傾斜角度によっても塗布不良が生じることがある。
【0004】
特許文献1には、「搬入された板状のワークの位置及び角度の誤差を補正する補正手段を備えた、小型で装置構造も簡単かつ部品点数も少ない、周縁加工装置を提供する(特許文献1:要約の課題)」ことを課題として、「鉛直軸回りに回転するテーブル、ワークの周縁を加工する工具、工具送り装置及びワークの角部の画像を取得する1個のカメラを備える。テーブルにワークが搬入されたとき、カメラでワークの第1の角部と180度対向する第2の角部の画像を取得し、それらの角部のあるべき位置からの2次元平面方向の偏差を検出し、それらの偏差から、テーブル中心に対するワークの中心の位置偏倚及び角度偏倚を演算する(特許文献1:要約の解決手段)」硬質脆性板の周縁加工装置(特許文献1:発明の名称)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-35089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る硬質脆性板の周縁加工装置(特許文献1:発明の名称)は、テーブル上に搬入されたワーク1個毎の位置偏倚と角度偏倚との両方を、1個のカメラでかつテーブルを180度回転させるだけの動作で検出することができ、その検出値に基づいてワーク1個毎に制御器から出力される指令値を補正して加工を行うことができるが、ワークを180度回転させる工程を必要とするので工数が掛かって好ましくない。さらに、特許文献1に係る硬質脆性板の周縁加工装置(特許文献1:発明の名称)は量産品用の加工装置であり、少量多品種における加工自動化には適さない。
【0007】
本発明の目的は、画像認識により被加工物外周部を座標認識し、刃具や塗布ノズル等の形状等に合わせて画像認識で得られたデータを適切に変換することで、刃具当りや塗布位置を調整し、良好な加工結果が得られる外周部加工システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、画像認識により被加工物外周部を座標認識し、座標認識した被加工物外周部に対し、座標認識された位置データに基づいて加工する外周部加工システムであって、
被加工物外周部のXY座標を画像認識する外周部座標認識手段と、
前記外周部座標認識手段にて取得した被加工物の外周部の位置データ(XY座標)を制御部(演算部・記憶部)に転送するデータ転送手段と、
前記制御部に前記データ転送手段にて転送された外周部の位置データ(XY座標)に対して、データ変換処理を行うデータ変換処理手段と、
前記データ変換処理手段により変換された位置データ(XY座標)を加工部に送信するデータ送信手段を備えることを特徴とする外周部加工システムであることを特徴とするものである。尚、本明細書において「加工」の概念は刃物等の工具で被加工品の外周を研削することに加え、塗布ノズル等の器具を使用して被加工品の外周部に液状物(液剤・スラリー等)を塗布することも含まれる概念である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記データ変換処理手段は、膨張収縮処理である外周部加工システムであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2において、前記データ変換処理手段は、外周部の各点における二次元垂直方向を認識させる処理である外周部加工システムであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、画像認識により被加工物外周部を座標認識し、座標認識した被加工物外周部に対し、座標認識された位置データに基づいて加工する外周部加工システムである。被加工物外周部のXY座標を画像認識する外周部座標認識手段と、外周部座標認識手段にて取得した被加工物の外周部の位置データ(XY座標)を制御部(演算部・記憶部)に転送するデータ転送手段と、制御部にテータ転送手段にて転送された外周部の位置データ(XY座標)に対して、データ変換処理を行うデータ変換処理手段と、データ変換処理手段により変換された位置データ(XY座標)を加工部に送信するデータ送信手段を備えている。
【0012】
外周部加工システムは、単に被加工品の外周部のXY座標通りに被加工品の外周部を加工するのでは無く、データ転送手段にて転送された外周部の位置データ(XY座標)に対して、データ変換処理を行うデータ変換処理手段を備えている。データ変換処理手段にて、刃具の形状等、及び塗布ノズルの形状等に合わせて、(測定した生データを加工することで)、即ち、(測定した生データに対して外周部XY座標を)被加工品の中心部に対して膨張又は収縮させたXY座標を得ることで、即ち、刃具当たりや塗布位置(角度)を調整することで良好な加工結果を得ることができるようになった。
【0013】
そして、データ変換処理手段は、外周部の各点における二次元垂直方向を認識させる処理ができるので、(外周部の各点における)二次元垂直平面における任意の角度を設定することができる。即ち、二次元垂直平面における任意の角度を設定することができるので、液体・スラリー等を塗布する作業(本発明の定義としては加工に含まれる)を行った場合であっても、(塗布ノズルを真下に向けて塗布した場合に生じた)作業者の意図とは異なる方向に液剤・スラリー等が流れるような不良が生じなくなった。
【0014】
さらに、本発明に係る外周部加工システムであれば、被加工品毎に画像認識により被加工物外周部を座標認識するシステムであるので、(量産品では無く)一品のみの加工であっても対応可能な外周部加工システムを提供することができるようになった。即ち、少量多品種の生産ラインにおける加工作業の自動化に貢献することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る外周部加工システムを説明するための図である。
図2】外周部加工システム10による加工手順を説明するための図である。
図3】外周部加工システム10の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<外周部加工システムの構成>
以下、本発明に係る外周部加工システムの一実施形態について、図1図3に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る外周部加工システム10を説明するための図である。
【0017】
外周部加工システム10は、図1に記載したように、外周部座標認識手段20にて、被加工物外周部のXY座標を画像認識し、データ転送手段40にて(外周部座標認識手段20にて画像認識した)被加工物の外周部の位置データ(XY座標)を制御部(演算部・記憶部)30に転送する。そして、データ変換処理手段50にて、制御部(演算部・記憶部)30に(データ転送手段40にて)転送された外周部の位置データ(XY座標)に対して、データ変換処理を行う。さらに、データ送信手段60にて(データ変換処理手段50により変換された)被加工物の外周部の位置データ(XY座標)を加工部70に送信する。加工部70では、送信された位置データ(XY座標)に基づいて加工(刃先又は塗布ノズルが動く)を行うことになる。
【0018】
外周部座標認識手段20は、撮像装置(CCDカメラ、照明等)を採用することができる。制御部(演算部・記憶部)30では、CCDカメラ等で撮影された画像のノイズを除去する前処理(2値化、フィルタ、膨張収縮等)等の画像処理により被加工物形状データを加工、ハフ変換等により(被加工物の)外周のある一点の周辺を直線近似する等のデータ加工が行われるが、(制御部(演算部・記憶部)30に含まれる)画像処理計算機として、パーソナルコンピュータ等を採用することができる。データ転送手段40、及びデータ送信手段60は、通信用ケーブルを採用することができるが、無線の伝送システムを採用しても良い。加工部70はロボット・XY駆動装置等により作動することになるが、加工部70の先端には、加工用の刃先、又は塗布ノズル等が設置されている。
【0019】
<外周部加工システムにおける準備段階>
図2は、外周部加工システム10による加工手順を説明するための図である。先ず準備段階として、図2(a)に記載したように、被加工物を設置台上に設置(吸着によるクランプ)し、設置台上の上空の位置に設置された(外周部座標認識手段20である)画像解析に適したCCD(Charge Coupled Device(電荷結合素子)を略したもので、画像を電気信号に変換して取り出す半導体の素子)カメラ等で被加工物を撮影することで(被加工物の)外周部の位置データ(XY座標)を得る。
【0020】
<外周部加工システムにおける(前処理としての)画像処理>
CCDカメラ等で撮影した被加工物の画像データに対して(前処理としての)画像処理を行う。(制御部(演算部・記憶部)30に含まれる)画像処理計算機(画像処理ソフト等がインストールされたパーソナルコンピュータ)にて、CCDカメラ等で撮影した画像データから画像に含まれるノイズを除去するために、二値化処理、フィルタ処理、膨張収縮処理等の前処理をする(図2参照)。外周部加工システムにおける(前処理としての)画像処理は、制御部(演算部・記憶部)30で行う処理である。
【0021】
画像は階調と色分布によって、1bitの二値画像(白黒)と8bitのグレー画像、24bitのRGBカラー画像等に分類される。二値化処理では、1画素が0?255階調のグレー画像を、設定した「閾値」を境として黒(0)と白(1)の二値に変換する。画像を2色に変換することによって、画像処理の対象物の境界が明確になり、様々な画像分析ができるようになる。そして、ノイズ軽減やエッジ等の特徴を強調するために「フィルタ処理」が用いられる。フィルタ処理に拠る効果として、例えば、白い小さな点が全体に広がっている画像に対して、フィルタ処理を行うと、点々が消え滑らかな画像になるという効果がある。
【0022】
さらに、膨張・収縮処理(データ変換処理手段50に含まれる)は、二値化処理された画像の白画素領域を増減する処理である。膨張処理は白画素領域を増加し、収縮処理は白画素領域を減少させる。膨張・収縮処理(データ変換処理手段50に含まれる)では、一般的に二値化処理された白黒の画像に対して処理が行われる。注目画素の周辺に1画素でも白い画素があれば白に置き換える処理を膨張と言い、逆に周辺に1画素でも黒い画素があれば黒に置き換る処理を収縮と言う。
【0023】
本発明においては、種々の画像処理が終わった後、敢えてもう一度膨張処理、又は収縮処理(データ変換処理手段50に含まれる)を行うことで、被加工物の外周寸法を変化させたままにする。そうすることで疑似的に被加工物の外周部座標を一回り大きくしたり、小さくしたりすることができる(図2(b)参照)。尚、データ変換処理手段50は、刃具、塗布ノズルの形状等によっては、(後で記載するハフ変換等を行わず)膨張収縮処理のみであっても良い。
【0024】
<外周部加工システムにおける画像処理>
外周部加工システム10における画像処理も、制御部(演算部・記憶部)30にて行う処理である。(前処理が完了した)被加工物の外周形状に対し、被加工物の形状をXY座標認識した後、画像処理計算機(制御部30に含まれる)にてハフ変換(データ変換処理手段50に含まれる)により、被加工物の外周の「ある一点」の周辺を直線近似する(直線P:図2参照)。ハフ変換とは、画像の中から直線や円等の図形を検出したい際によく用いられる手法の一つである。本発明においては、被加工物の外周の「ある一点」を基準とし、その一点を通る無数の直線から(加工する際の基準線として)適切な直線Pを選出することになる(図2参照)。尚、外周のある一点の周辺を直線近似する変換については、ハフ変換以外の直線近似化による手法を使用しても良い。
【0025】
ハフ変換(データ変換処理手段50)にて求めた直線に対して、(二次元平面にて)直角、かつ、被加工物の内側の方向を算出し(図2(c)参照)する。要するに、二次元平面における(被加工物の中心方向を向いた)垂直な直線Rを検出する。この時、検出した直線R上にて任意に設定(刃先、塗布ノズルの形状等から最適な数値を指示する)したオフセット距離を加算する。さらに、検出した直線Rを含む垂直面における任意の角度θ(刃先、塗布ノズルの形状等から最適な任意の角度θを指示する(図2(c)参照)。任意の角度θにより刃先、塗布ノズルの傾きが決まる)について設定することもできる。結果的に、任意の角度θが、加工時における刃先、及び塗布ノズルの傾きになる。「ある1点」から一定の距離だけ被加工物の外周を反時計回り(時計回りもあり得る)に動いた点(被加工物の外周を動く一定の距離は任意に設定することができる)に関しても上記と同様の処理をする。この処理を被加工物の外周を1周するまで繰り返す。
【0026】
<外周部加工システムにおける加工部(ロボット)>
「ある1点」のXY座標値、オフセット距離、任意の角度θを加工部70へデータ送信手段60にて送信する。「ある1点」から一定の距離だけ被加工物の外周を反時計回り(時計回りもあり得る)に動いた点についても、この処理を被加工物の外周を1周するまで繰り返す。加工部70に設置されたロボットは、加工時における始点である「ある1点」から被加工物を外周反時計回りしつつ(この時、時計回りもあり得る)、被加工物を外周に沿って加工する。被加工物を1周し終わったら、加工部70に設置されたロボットは退避する。最後に(人力により)被加工物を設置台から取り出す。
【0027】
<外周部加工システムの効果>
外周部加工システム10は、被加工品の外周部のXY座標通りに被加工品の外周部を加工するのでは加工不良が生じていた現状(図3にて説明する)を、データ転送手段40にて転送された外周部の位置データ(XY座標)に対して、データ変換処理手段50にてデータ変換処理を行うことで、刃具の形状等、及び塗布ノズルの形状等に合わせて、(測定した生データを加工することで)刃具当たりや塗布位置(傾斜角度)を調整することで、良好な加工結果を得ることができるようになった。即ち、(測定した生データに対して外周部XY座標を)被加工品の中心部に対して膨張又は収縮させたXY座標を得ること、及び任意の角度θにより刃先、塗布ノズルの傾きを調整することで良好な加工結果を得ることができるようになった。以下に、外周部加工システム10により如何にして良好な加工状態を実現することができたのかについて説明する。
【0028】
図3は、外周部加工システム10の効果を説明するための図である。図3では被加工物のバリ取り加工を想定している。図3(a)は、刃具の位置や傾きを調整しなかった場合の被加工物と刃具の状態であり、図3(b)は、外周部加工システムで、刃具の位置や傾きを調整した場合の被加工物と刃具の状態である。
【0029】
図3(a)の状態では、刃具の位置や傾きを調整しなかった結果、被加工物に対して刃具の当たり具合が強過ぎるので、刃先が被加工物から逃げてしまう(図3(a)参照)。図3(a)の状態でバリ取り作業を進めると、面取り量が大きくなってしまう(図3(a)参照)し、刃先が届かずバリ取りされない部分が残ってしまう。結果的にバリ取り加工が上手くいかない(図3(a)参照)。
【0030】
一方、図3(b)の状態では、外周部加工システムで刃具の位置や傾きを調整したので(図3(b)上図参照)、(バリ取り加工時に)刃具が被加工物側面から(弾性変形範囲内)で押される(逃げる)が、刃具が(被加工物側面に)当たる際、被加工物の側面の全面に刃具がピタッと当たる(図3(b)下図参照)ので、被加工物側面全面が均一にバリ取り加工される。即ち、良好なバリ取り加工をすることができるようになった。
【0031】
<外周部加工システムの変更例>
本発明に係る外周部加工装置は、上記した各実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、外周部座標認識手段、制御部(記憶部・演算部)、データ転送手段、データ変換処理手段、データ送信手段、加工部等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る外周部加工装置は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、(平板の)自動バリ取り加工装置、自動溶液塗布装置、自動スラリー塗布装置等として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
10・・外周部加工システム
20・・外周部座標認識手段
30・・制御部(記憶部・演算部)
40・・データ転送手段
50・・データ変換処理手段
60・・データ送信手段
70・・加工部
図1
図2
図3