(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122047
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】爆薬装填方法、及び、爆薬装填装置
(51)【国際特許分類】
F42D 1/10 20060101AFI20240902BHJP
E21D 9/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F42D1/10
E21D9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029360
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】杉本 憲一
(72)【発明者】
【氏名】尾畑 洋
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏一
(72)【発明者】
【氏名】日暮 徹
(72)【発明者】
【氏名】北原 成郎
(72)【発明者】
【氏名】天下井 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】畑本 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】久保田 恭行
(57)【要約】
【課題】装填機から予め設定された装薬本数の爆薬を確実に送ることのできる方法とその装置を提供する。
【解決手段】
爆薬供給装置13と、圧送装置15と、制御手段16と、増ダイ6を装填する指示信号を制御手段16に送る装填指示手段11とを備え、前記装薬孔に爆薬を装填する爆薬装填装置10において、切羽2を装薬孔3に装填される増ダイ6の装填本数が互いに異なる複数の領域に分割して作成した、装薬孔3の位置する領域と装填本数との関係を示すR-Nテーブル12Tを記憶する記憶手段12aと、装填指示手段11に増ダイ6を装填する装薬孔3が位置する領域を入力する入力手段とし、この入力された領域とR-Nマップ12Tから装薬孔3に装填する増ダイ6の本数を設定する装薬本数設定手段12bと、この設定された装填本数を装填指示手段11に送る装填指令連絡手段12cとを設けた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
爆薬供給手段と、前記爆薬供給手段により供給された爆薬を切羽に形成された装薬孔に圧送する圧送手段と、前記爆薬供給手段と前記圧送手段とを制御する制御手段と、前記爆薬を装填する指令信号を前記制御手段に送る装填指示手段と、を備えた爆薬装填装置を用いて、前記装薬孔に爆薬を装填する方法であって、
前記切羽を前記装薬孔に装填される爆薬の装填本数が互いに異なる複数の領域に分割するとともに、前記装薬孔の位置する領域と前記装填本数との関係を示すテーブルを作成するステップと、
前記爆薬を装填する装薬孔の位置する領域と前記テーブルを用いて、前記装薬孔に装填する装填本数を設定するステップと、
を備え、
前記装填指示手段は、前記設定された装填本数の爆薬を前記装薬孔に装填する指令信号を前記制御手段に送ることを特徴とする爆薬装填方法。
【請求項2】
前記爆薬を装填する切羽を撮影する撮影手段を設け、前記撮影された切羽の画像から前記爆薬を装填する装薬孔が位置する領域を特定することを特徴とする請求項1に記載の爆薬装填方法。
【請求項3】
前記爆薬が雷管の付いていない薬包爆薬であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の爆薬装填方法。
【請求項4】
爆薬供給手段と、前記爆薬供給手段により供給された爆薬を切羽に形成された装薬孔に圧送する圧送手段と、前記爆薬供給手段と前記圧送手段とを制御する制御手段と、前記爆薬を装填する指示信号を前記制御手段に送る装填指示手段とを備え、前記装薬孔に爆薬を装填する爆薬装填装置であって、
前記切羽を前記装薬孔に装填される爆薬の装填本数が互いに異なる複数の領域に分割して作成した、前記装薬孔の位置する領域と前記装填本数との関係を示すテーブルを記憶する記憶手段と、
前記爆薬を装填する領域を前記装填指示手段に入力する領域入力手段と、
前記入力された領域と前記テーブルとを用いて、前記装薬孔に装填する装填本数を設定して前記装填指示手段に送る装薬本数設定手段と、を備え、
前記装填指示手段は、前記送られた装填本数の爆薬を前記装薬孔に装填する指令信号を前記制御手段に送ることを特徴とする爆薬装填装置。
【請求項5】
爆薬供給手段と、前記爆薬供給手段により供給された爆薬を切羽に形成された装薬孔に圧送する圧送手段と、前記爆薬供給手段と前記圧送手段とを制御する制御手段と、前記爆薬を装填する指示信号を前記制御手段に送る装填指示手段とを備え、前記装薬孔に爆薬を装填する爆薬装填装置であって、
前記切羽を前記装薬孔に装填される爆薬の装填本数が互いに異なる複数の領域に分割して作成した、前記装薬孔の位置する領域と前記装填本数との関係を示すテーブルを記憶する記憶手段と、
前記爆薬を装填する切羽を撮影する撮影手段と、
前記撮影された切羽の画像から前記爆薬を装填する装薬孔が位置する領域を検出する領域検出手段と、
前記検出された領域と前記テーブルとを用いて、前記装薬孔に装填する装填本数を設定して前記装填指示手段に送る装薬本数設定手段と、を備え、
前記装填指示手段は、前記設定された装填本数の爆薬を前記装薬孔に装填する指令信号を前記制御手段に送ることを特徴とする爆薬装填装置。
【請求項6】
前記爆薬が雷管の付いていない薬包爆薬であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の爆薬装填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切羽に形成された装薬孔に爆薬を装填する方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切羽に形成された装薬孔に爆薬を装填する作業を行う爆薬装填装置が知られている(特許文献1等参照)。
この爆薬装填装置は、爆薬供給装置と、込め物供給装置と、爆薬供給装置により供給された爆薬又は込め物供給装置により供給された込め物を切羽に削孔された装薬孔に圧送する圧送装置とを備えている。
圧送装置は、爆薬供給装置及び込め物供給装置の排出側に設けられた装填機と、装填
機の終端に接続された装填ホースと、装填ホースの終端に接続された装填パイプとを備え、作業者の操作するリモートコントローラー等の装填指示装置からの指示に基づいて、装薬孔に爆薬及び込め物を装填する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、装薬孔に装填する爆薬の個数が装薬孔により異なるだけでなく、装薬孔の数も多いため、作業者が装薬孔に装填する爆薬の個数を間違えてしまう場合があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、装填機から予め設定された装薬本数の爆薬を確実に送ることのできる方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、爆薬供給手段と、前記爆薬供給手段により供給された爆薬を切羽に形成された装薬孔に圧送する圧送手段と、前記爆薬供給手段と前記圧送手段とを制御する制御手段と、前記爆薬を装填する指示信号を前記制御手段に送る装填指示手段と、を備えた爆薬装填装置を用いて、前記装薬孔に爆薬を装填する方法であって、前記切羽を前記装薬孔に装填される爆薬の装填本数が互いに異なる複数の領域に分割するとともに、前記装薬孔の位置する領域と前記装填本数との関係を示すテーブルを作成するステップと、前記爆薬を装填する装薬孔の位置する領域と前記テーブルを用いて、前記装薬孔に装填する装填本数を設定するステップとを備え、前記装填指示手段は、前記設定された装填本数の爆薬を前記装薬孔に装填する指令信号を前記制御手段に送ることを特徴とする。
これにより、装薬本数に関する作業者の判断ミスをなくすことができる。
また、従来は、装薬後に装薬した爆薬の総量しか把握していなかったのに対し、本発明では、各部位における装薬量の部分的把握もしくは装薬孔1本ごとの装薬量の把握が可能となった。
前記爆薬を装填する切羽を撮影する撮影手段を設け、前記撮影された切羽の画像から前記爆薬を装填する装薬孔が位置する領域を特定するようにしたので、領域の特定を自動化することができる。
また、前記装填本数を設定する爆薬を雷管の付いていない薬包爆薬(増ダイ)とした。これにより、装薬孔に装着する増ダイの本数が異なっていても、装填機から予め設定された本数の増ダイを装薬孔に確実に送ることができる。
【0007】
また、本発明は、爆薬供給手段と、前記爆薬供給手段により供給された爆薬を切羽に形成された装薬孔に圧送する圧送手段と、前記爆薬供給手段と前記圧送手段とを制御する制御手段と、前記爆薬を装填する指示信号を前記制御手段に送る装填指示手段とを備え、前記装薬孔に爆薬を装填する爆薬装填装置であって、前記切羽を前記装薬孔に装填される爆薬の装填本数が互いに異なる複数の領域に分割して作成した、前記装薬孔の位置する領域と前記装填本数との関係を示すテーブルを記憶する記憶手段と、前記爆薬を装填する領域を前記装填指示手段に入力する領域入力手段と、前記入力された領域と前記テーブルとを用いて、前記装薬孔に装填する装填本数を設定して前記装填指示手段に送る装薬本数設定手段と、を備え、前記装填指示手段は、前記送られた装填本数の爆薬を前記装薬孔に装填する指令信号を前記制御手段に送ることを特徴とする。
このような構成を採ることにより、装薬孔に予め設定された装薬本数の爆薬を確実に送ることのできる爆薬装填装置を得ることができる。
また、前記爆薬を装填する切羽を撮影する撮影手段と、前記撮影された切羽の画像から前記爆薬を装填する装薬孔が位置する領域を検出する領域検出手段とを設けて、前記検出された領域と前記テーブルとから、前記装薬孔に装填する装填本数を設定して前記装填指示手段に送る構成としてもよい。
【0008】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。この明細書において、コンクリートは、モルタルや吹付材料も含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る爆薬装填装置を示す図である。
【
図4】爆薬と込め物の装填方法を示すフローチャートである。
【
図5】装薬孔の位置する領域の特定方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本実施の形態に係る爆薬装填装置10である。
爆薬装填装置10は、装填指示装置11と、装薬本数設定装置12と、爆薬供給装置13と、込め物供給装置14と、圧送装置15と、制御装置16とを備え、トンネル掘削現場1において、切羽2に穿孔された装薬孔3に爆薬及び込め物を装填する。
装填指示装置11は切羽2の手前側にて作業を行う作業者4に装着され、装薬本数設定装置12~制御装置16までの各装置は、トラック等の車両17の荷台上に搭載される。
爆薬としては、例えば、エマルジョンタイプの含水爆薬と当該含水爆薬に点火する雷管とを備えた薬包状爆薬(以下、親ダイ5という)と、親ダイ5の爆轟によりする雷管の付いていない含水爆薬から成る複数個の薬包爆薬(以下、増ダイ6という)とがある。
込め物(以下、アンコ7という)は、装薬孔3の孔口を塞ぐためのもので、粘土等で形成される。
親ダイ5は、作業者4が保持する装填パイプ15cの先端に取付けられ、圧送装置15から送られてくる圧送空気により押圧されて、装薬孔3の孔尻に装填される。
増ダイ6は爆薬供給装置13と圧送装置15とによって装薬孔3に圧送されて、装薬孔3に装填されている親ダイ5の後側に装填される。
また、アンコ7は、込め物供給装置14と圧送装置15とによって装薬孔3に圧送されて、増ダイ6の後側である装薬孔3の孔口側に装填される。
【0011】
本例では、
図2(a)に示すように、切羽2の面を4つの領域R1~R4に分割するとともに、領域Rk毎に装薬孔3に装填する爆薬の本数Nkを設定している(k=1~4)。
ここで、領域R1は外周部で、本例では、装填本数をN1=4本とした。また、領域R2は払い部で、装填本数をN2=6本とした。領域R3は芯抜き部で、装填本数をN3=8本とした。また、領域R4は踏まえ部で、装填本数をN4=4本とした。
なお、装填本数Nkは、切羽2の岩盤の状態や装薬孔3の数などにより決定されることはいうまでもない。また、切羽2の面の分割方法は、上記の例に限るものではなく、払い部と芯抜き部を同じ領域にするなど3分割してもよいし、払い部を2分割するなど、更に細かく分割してもよい。
また、領域Rk内の装薬孔3の個数は1個であってもよい。あるいは、切羽2を1領域1孔となるように分割してもよい。
また、
図2(b)に示すように、親ダイ5の図示しない雷管同士は導線5kにより直列に連結されて、図外の発破器に接続される。これにより、発破器を操作して親ダイ5の雷管に点火することにより、全ての装薬孔3の親ダイ5を同時に爆発させることができる。また、親ダイ5の爆発に誘発されて増ダイ6も爆発するので、切羽2を効率よく破砕することができる。
【0012】
装填指示装置11は、例えば、リモートコントローラー等により構成されて、装薬本数設定装置12に無線もしくは有線ケーブルにて接続されている。
図3(a)は本発明による装填指示装置11の一例を示す図で、装填指示装置11は、電源スイッチ111と、親ダイ装填ボタン112と、増ダイ装填ボタン113と、アンコ装填ボタン114と、領域入力ボタン115と、領域番号送信ボタン116と、表示手段であるディスプレイ117と、当該装填指示装置11に内蔵された送受信機118に接続されるアンテナ11Aとを備える。
電源スイッチ111は、装填指示装置11に内蔵された電源をON-OFFするスイッチで、ボタンを押すと電源がONになり、ディスプレイ117の液晶画面が点灯する。
親ダイ装填ボタン112は親ダイ5の装填を指示する指示信号を制御装置16に送信するボタン、増ダイ装填ボタン113は増ダイ6の装填を指示する指示信号を制御装置16に送信するボタン、アンコ装填ボタン114はアンコ7の装填を指示する指示信号を制御装置16に送信するボタンである。
領域入力ボタン115は本発明の領域入力手段で、この領域入力ボタン115には装填パイプ15cが挿入されている装薬孔3(親ダイ5の装填が完了した装薬孔3)の位置する領域Rkの番号である領域番号kが入力される。例えば、領域R2なら、領域入力ボタン115を2回押せば、ボタンを押した回数が入力した領域番号kとなる。
領域番号送信ボタン116を押すと、領域入力ボタン115により入力された領域番号kが装薬本数設定装置12に送信される。
ディスプレイ117は、装薬本数設定装置12から送られてきた装填予定の増ダイ6の本数を表示するもので、本例では、
図3(b)に示すように、増ダイ6の本数に対応した個数の○印p1~p4が表示される。この○印p1~p4は、増ダイ6が装填されるごと、すなわち、増ダイ装填ボタン113が押されるごとに、○印p1~p4はディスプレイ117上からp1から順に1個ずつ消滅し、装填予定の増ダイ6が全て装填されると、○印p1~p4はディスプレイ117上から消滅する。
なお、ディスプレイ117上に増ダイ6の本数を表す数字を表示し、増ダイ装填ボタン113が押されるごとに、表示される数字を1ずつ小さくしていってもよい。
このように、装填指示装置11に、これから増ダイ6を装填する装薬孔3の位置が領域R1~R4のいずれの領域にあるかを入力して装薬本数設定装置12に送ると、装薬本数設定装置12からは増ダイ6の装填本数が送信されてくるので、作業者4が、増ダイ6の装填本数を間違う、といった判断ミスを確実に防止することができる。
【0013】
装薬本数設定装置12は、記憶手段12aと、装薬本数設定手段12bと、装填指令連絡手段12cとを備える。
記憶手段12aは、装薬孔3が位置する領域Rkと増ダイ6の装填本数をNkとの関係を示すR-Nテーブル12Tを記憶する。
装薬本数設定手段12bは、入力手段11から送られてくる、装薬孔3が位置する領域Rkの情報と記憶手段12aに記憶されたR-Nテーブル12Tとから増ダイ6の装填本数Nkを決定し、装填指令連絡手段12cに送る。
装填指令連絡手段12cは、上記決定された装填本数Nkを入力手段11に送るとともに、入力手段11から装填指令信号が送られてきた場合には、制御装置16に親ダイ5、増ダイ6、及び、込め物7をそれぞれ装填する指示信号を制御装置16に送る。なお、装填指示装置11から制御装置16に直接装填指令信号を送ってもよい。
【0014】
爆薬供給装置13は、ホッパー13aと増ダイシュート13bとを備え、増ダイ6を圧送装置15に供給する。
込め物供給装置14は、アンコ置き場14aとアンコ搬送部14bとを備え、アンコ7を圧送装置15に供給する。
圧送装置15は、爆薬供給装置13と込め物供給装置14とに連結された装填機15aと、装填機15aの終端に接続された装填ホース15bと、装填ホース15bの終端に接続された装填パイプ15cとを備え、親ダイ5を装薬孔3内に装填するための圧送空気を装填パイプ15cに送るとともに、爆薬供給装置13から供給された増ダイ6と込め物供給装置14から供給されたアンコ7とを装薬孔3とに送る。
制御装置16は、爆薬供給装置13を制御して装填ホース15bに増ダイ6を供給し、込め物供給装置14を制御して装填ホース15bにアンコ7供給するとともに、圧送装置15の装填機15aを制御して、装填ホース15b内に供給された増ダイ6またはアンコ7に装填機15a側から圧送空気を送り込んで、増ダイ6またはアンコ7を装薬孔3内に圧送し装填する。
また、制御装置16は、装填機15aを制御して、装填機15a側から圧送空気を送り込んで、装填パイプ15cの先端に取付けられた親ダイ5を装薬孔3内に装填する。
なお、切羽2の高所に形成された装薬孔3に装填パイプ15cを挿入する際には、
図1に示すように、例えば、削岩機21、作業用ケージ22等を備えたドリルジャンボ20等を用いて、作業者4が
作業用ケージ22に搭乗して作業を行う。
また、切羽2のトンネル底部8に近い低所に形成された装薬孔3に装填パイプ15cを挿入する際には、作業者4がトンネル底部8から作業を行う。
【0015】
次に、爆薬と込め物の装填方法について
図4のフローチャートを参照して説明する。
まず、作業者4が装填パイプ15cの先端に親ダイ5を装着し、この装填パイプ15cを装薬孔3に挿入し、親ダイ5を装薬孔3の孔口側にセットする(ステップS10)。
次に、作業者4が装填指示装置11の親ダイ装填ボタン112を押すことで、装填指令連絡手段12cを介して、装填指令信号を制御装置16に送信する(ステップS11)。
制御装置16は圧送装置15の装填機15aを制御し、装填ホース15bに圧送空気を送り込むことで、親ダイ5を装薬孔3の孔尻に装填する(ステップS12)。
次に、装填指示装置11の領域入力ボタン115を押して、親ダイ5が装填された装薬孔3が位置する領域Rkの領域番号kを入力する(ステップS13)。
次に、領域番号送信ボタン116を押すと、装薬孔3の領域番号kは、送受信機118からアンテナ11Aを介して、装薬本数設定装置12に送信される(ステップS14)。
装薬本数設定装置12では、送信された領域番号kと記憶手段12aに記憶されたR-Nテーブル12Tとから増ダイ6の装薬本数Nを設定し、この装薬本数Nを装填指示装置11に送信する(ステップS15)。装薬本数Nは装填指示装置11のディスプレイ117に表示される。
作業者4は、増ダイ装填ボタン113を押して、増ダイ6を装薬孔3内に装填する(ステップS16)。
次に、装填された増ダイ6の本数がN本に達したか否かを判定する(ステップS17)。
装填した増ダイ6の本数がN本に達していない場合には、ステップS17に戻って、次の増ダイ6を装薬孔3内に装填する。
装填した増ダイ6の本数がN本に達した場合には、ステップS18に進んで、アンコ装填ボタン114を押す。これにより、増ダイ6の後方(装薬孔3の孔口側)にアンコ7が装填される。
このような操作を、装薬孔3毎に行うことで、全ての装薬孔3に爆薬と込め物とを装填される。
なお、上記のフローにおいて、領域番号kの入力を親ダイ5の装着前に行ってもよい。
また、親ダイ5と増ダイ6とアンコ7の装着を1回の操作で自動的に行ってもよい。あるいは、親ダイ5と増ダイ6の装着を行った後にアンコ7を装着してもよいし、親ダイ5の装着を行った後に増ダイ6とアンコ7を装着してもよい。
【0016】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【0017】
例えば、前記実施の形態では、作業者4が増ダイ6を装填する装薬孔3の位置する領域の番号を装填指示装置11に入力したが、
図5(a)に示すように、切羽2の左右にカメラ18L,18Rを設置して装填パイプ15cが挿入されている装薬孔3の位置を撮影し、この撮影された画像から装薬孔3の位置する領域Rkを判定してもよい。カメラを2台としたのは、現場にはドリルジャンボ20などの高所作業車や建設機械が多数あり、1台のカメラでは、死角となる部分が発生するためである。なお、カメラの台数としては、切羽2の左右を含めた3台以上としてもよい。
領域Rkを判定は、例えば、
図5(b)に示すように、装填作業前に撮影した画像の切羽2の部分を領域分けした基準画像G1と、装填作業中に撮影した画像G2とを重ね合わせれば、装填パイプ15cが挿入されている装薬孔3の位置する領域を特定できる。
特定した領域Rの領域番号kは、装薬本数設定装置12の装薬本数設定手段12bに送られる。装薬本数設定手段12bで設定された増ダイ6の装填本数は、前記実施の形態と同様に、装填指示装置11に送られる。
なお、画像G2から装薬孔3の座標を求め、予め領域分けしておいた設計図面と比較して、装薬孔3の位置する領域を特定してもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 トンネル掘削現場、2 切羽、3 装薬孔、4 作業者、5 親ダイ、
5k 導線、6 増ダイ、7 アンコ、8 トンネル底部、
10 爆薬装填装置、11 装填指示装置、12 装薬本数設定装置、
12a 記憶手段、12b 装薬本数設定手段、12c 装填指令連絡手段、
13 爆薬供給装置、13a ホッパー、13b 増ダイシュート、
14 込め物供給装置、14a アンコ置き場、14b アンコ搬送部、
15 圧送装置、15a 装填機、15b 装填ホース、15c 装填パイプ、
16 制御装置、17 車両、
20 ドリルジャンボ、21 削岩機、22 作業用ケージ。