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特開2024-122049照明器具、及び電気器具を器具取付部材に取り付けるための取付金具
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  • 特開-照明器具、及び電気器具を器具取付部材に取り付けるための取付金具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122049
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】照明器具、及び電気器具を器具取付部材に取り付けるための取付金具
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/00 20060101AFI20240902BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20240902BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240902BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240902BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20240902BHJP
【FI】
F21V21/00 100
E04B9/00 H
F21S2/00 230
F21Y115:10
F21Y103:10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029363
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】北井 悠一
(57)【要約】
【課題】略角柱状の器具取付部材に照明器具を取り付ける場合に、作業性のよい照明器具を提供することを目的とする。
【解決手段】レースウェイ10に取り付け可能な照明器具1であって、レースウェイ10に取り付けるための取付金具部3を備え、取付金具部3は、レースウェイ10の上面に接する上板部31、レースウェイ10の下面に接する底板部33、及びレースウェイ10の一方の側面に接する側板部32を含む支持部30と、支持部30に対し回動して開閉可能であり、閉扉状態においてレースウェイ10の他方の側面に接する扉部38とを備え、扉部38及び上板部31は係合可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具取付部材に取り付け可能な照明器具であって、
前記器具取付部材に取り付けるための取付金具部を備え、
前記取付金具部は、
前記器具取付部材の上面に接する上板部、前記器具取付部材の下面に接する底板部、及び前記器具取付部材の一方の側面に接する側板部を含む支持部と、前記支持部に対し回動して開閉可能であり、閉扉状態において前記器具取付部材の他方の側面に接する扉部とを備え、
前記扉部及び前記上板部が係合可能である
照明器具。
【請求項2】
前記上板部は、上板本体と、前記上板本体に連続し、前記扉部に係合可能な引っ掛け板部を備え、前記引っ掛け板部が板バネとして機能する
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記器具取付部材は、上面側にへこみ部を有し、
前記上板部は、前記へこみ部に入り込んで接触することで水平方向の移動を規制する下垂部を備える
請求項1記載の照明器具。
【請求項4】
前記上板部と前記底板部の上下方向の間隔は、前記器具取付部材の側面の上下方向の高さと略同一である
請求項1記載の照明器具。
【請求項5】
前記底板部は、上方に向けて突出する突出部を備える
請求項1記載の照明器具。
【請求項6】
前記扉部及び前記上面部の少なくとも一方は板バネとして機能し、荷重が掛けられて変位した状態において、前記扉部及び前記上板部が係合可能になる
請求項1記載の照明器具。
【請求項7】
器具取付部材に電気器具を取り付けるための取付金具であって、
前記器具取付部材の上面に接する上板部、前記器具取付部材の下面に接する底板部、及び前記器具取付部材の一方の側面に接する側板部を含む支持部と、前記支持部に対し回動して開閉可能であり、閉扉状態において前記器具取付部材の他方の側面に接する扉部とを備え、
前記扉部及び前記上板部が係合可能である
取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関し、特にレースウェイあるいは配線ダクトなどの、一側面に開口を有する角筒状の器具取付部材に取り付け可能な照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺状の照明器具の設置方法として、天井板に取り付ける場合の他、天井からレースウェイや配線ダクトなどの角筒状の部材(以下「器具取付部材」という)を吊り下げ、器具取付部材に照明器具を取り付ける場合がある。特許文献1では、照明器具を、レースウェイの上側及び側面を覆う取付部を用いて取り付けている。取付部はレースウェイに上側から被せて取り付ける。照明器具は、引っ掛け部材を備えており、取付部が備える受け部に引っ掛け部材を引っ掛けることで照明器具がレースウェイに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-133776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された照明器具は、取付部の凹状部分の内側に受け部が配されているため、照明器具の引っ掛け部材を受け部に引っ掛ける場合に、照明器具を下から支えて作業する作業者にとって、受け部の位置が把握しにくく、作業性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、器具取付部材に照明器具を取り付ける場合に、作業性のよい照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、器具取付部材に取り付け可能な照明器具であって、前記器具取付部材に取り付けるための取付金具部を備え、前記取付金具部は、前記器具取付部材の上面に接する上板部、前記器具取付部材の下面に接する底板部、及び前記器具取付部材の一方の側面に接する側板部を含む支持部と、前記支持部に対し回動して開閉可能であり、閉扉状態において前記器具取付部材の他方の側面に接する扉部とを備え、前記扉部及び前記上面部が係合可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る照明器具は、取付金具部の扉部を閉扉状態にして、扉部及び上面部を係合させるのみで、照明器具をレースウェイに取り付けて固定することができるので、良好な作業性で、強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)本発明の第1の実施形態に係る照明器具の、レースウェイに取り付けた場合を示す斜視図、(b)本発明の第1の実施形態に係る照明器具の側面図、(c)同上面図である。
図2】(a)本発明の第1の実施形態に係る、レースウェイに固定された照明器具の断面を模式的に示す図、(b)照明器具が備える、レースウェイへの取り付けるための取付金具部を示す斜視図である。
図3】(a)本発明の第1の実施形態に係る、レースウェイに取付前の取付金具部を示す正面図、(b)本発明の第1の実施形態に係る、レースウェイを取付金具部に嵌め込み始めた場合を示す模式図、(c)同嵌め込み動作が進んだ場合を示す模式図、(d)同嵌め込み動作が進んで仮固定状態になった場合を示す模式図である。
図4】(a)本発明の第1の実施形態に係る、レースウェイを取付金具部に嵌め込んで仮固定状態において、固定板部を閉じる場合を示す図、(b)支持部と、固定板部とを係合させ、レースウェイと照明器具とが、本固定状態になった場合を示す図、(c)本発明の第1の実施形態に係る、引っ掛け板部の穴部に、扉部が備える係止部の先端部が通過できる位置について説明するための図、(d)引っ掛け板部の穴部に、扉部が備える係止部の先端部が通過させることによる、これらの係合について説明するための図である。
図5】本発明の変形例に係る、下垂部のバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.第1の実施形態>
<1.1.構成>
以下、本発明の第1の実施形態に係る照明器具1について、図面を参照しながら説明する。図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る照明器具1の、器具取付部材の一例としてのレースウェイ10に取り付けた場合を示す斜視図、図1(b)は、照明器具1の側面図、図1(c)は、同上面図である。図2(a)は、レースウェイ10に取り付けられた照明器具1の断面を模式的に示す図である。なお、以下の説明では、照明器具1からみて天井やレースウェイ10の方向を上、照明器具1からみて床の方向を下という。
【0010】
レースウェイ10は、長尺状の金属板を折り曲げて形成された略コの字筒状の部材であり、図1(a)に示すように、底面部101、底面部101から略垂直に起立する側面部102、側面部103、側面部102から内側に折り返された部分である折り返し部104、側面部103から内側に折り返された部分である折り返し部105を備える。
【0011】
なお、折り返し部104と折り返し部105の間は間口となっており、これを以下、「開口部106」という。また、側面部102と折り返し部104のつなぎ目の最も上に位置する部分と、側面部103と折り返し部105のつなぎ目で最も上に位置する部分との間の部分、すなわち、レースウェイ10の上面側において、開口部106を含み、へこんでいる部分を、以下、「へこみ部107」という。
【0012】
レースウェイ10は、所定の間隔で天井から垂れ下がるよう配された複数の吊ボルトによって、開口部106を上側に向けた状態で吊り下げられている。
【0013】
ここで、レースウェイが開口部を下側に向けられて設置される場合であれば、照明器具の上面に設けられた取り付け金具をレースウェイの開口端にひっかけることで、照明器具をレースウェイに固定することができる。しかしながら、レースウェイ10は、開口部106を上側に向けた状態で天井からぶら下げて固定されており、レースウェイ10の底面部101の下面は、開口が無い平面であるため、照明器具の上面に取り付け金具を設けて開口端にひっかけるような構成にはできない。照明器具1は、開口部106が上側に向けられたレースウェイ10に取り付けるための取付機構を備える。
【0014】
<照明器具1>
照明器具1は、一例として図1(a)、図1(b)に示すように、直方体状の外観を有する照明器具であり、上面側に、照明器具1をレースウェイ10に固定するための取付機構として、複数の取付金具の一例としての取付金具部3及び取付金具部4を備える。
【0015】
また、照明器具1は、図1(c)及び図2(a)に示すように、取付部材21、電源装置211、配線部材212、光源214が実装された光源基板213を備える。取付部材21は、長尺板状の底面部21a、底面部21aから斜め上方向に起立する側面部21b及び側面部21cで囲われた空間である収容部210を有する。図2(a)に示すように、収容部210には、電源装置211が収容されており、電源装置211の上に、配線部材212の少なくとも一部が配されている。
【0016】
取付部材21の底面部21aの下面側には、光源基板213が保持されている。光源基板213に実装された光源214は、一例として、LED(Light Emitting Diode)チップに蛍光体含有樹脂を塗布したSMD(Surface Mount Device)型LEDであり、例えば白色で発光する。色温度の異なる複数の白色LEDを用いて、色温度を変える調色を行うことができる。
【0017】
電源装置211は、光源214を点灯させるための電力を光源基板213に供給する。
【0018】
配線部材212は、外部入力される電力、制御信号を伝送する信号線、送り配線等を含む配線部材である。
【0019】
<取付金具部3>
以下、取付金具部3の構成、レースウェイ10への取り付け手順について説明するが、取付金具部4も取付金具部3と同じ構成を有しており、取付金具部3と同様にしてレースウェイ10に取り付けるものとする。
【0020】
図2(b)は、取付金具部3を示す斜視図である。図3(a)は、レースウェイ10に取り付けていない状態での取付金具部3を示す正面図である。
【0021】
取付金具部3は、図2(b)及び図3(a)に示すように、支持部30及び扉部38を備える。
【0022】
扉部38は、支持部30が下部に備えるヒンジ部333により回動可能に支持されている。扉部38は、L字状の係止部382を備えており、一方、支持部30は、穴部317を備えており、係止部382が穴部317に挿通されて穴部317に係止することで、扉部38が回動不能になり、支持部30と扉部38とが固定される。以下、支持部30と扉部38とが固定されて扉部38が回動不能になった状態、すなわち扉部38が閉じた状態を「閉扉状態」といい、係止部382と穴部317の係止が解除されて、扉部38が支持部30に対し回動可能になっている状態、すなわち扉部38が開いた状態を「開扉状態」という。
【0023】
閉扉状態では、支持部30と扉部38とが略角筒状となり、角筒の内側である開口部39にレースウェイ10が配されて閉扉状態になれば、レースウェイ10に照明器具1が固定された状態となる。開扉状態では、照明器具1がレースウェイ10に仮固定された仮固定状態(詳細は後述する。)か、固定されていない状態となる。
【0024】
<支持部30>
支持部30は、図2(b)及び図3(a)に示すように、上板部31、側板部32、底板部33、脚部34及び脚部35を備える。上板部31、側板部32及び底板部33は、断面コの字を成すよう連続している。支持部30のサイズは、一例として、上下方向の高さが36mm程度、照明器具1の短手方向の幅である横幅が45.5mm程度、照明器具1の長手方向の長さである奥行きが25mm程度である。
【0025】
上板部31は、上板本体311、上板本体311に連続する引っ掛け板部314、下垂部315及び下垂部316を備える。上板本体311は、上板部31における側板部32に近い側の矩形板状の部分である。上板部31のうち、上板本体311を除く、側板部32から離れた側の部分は、図2(b)及び図3(a)に示すように、2個のスリットにより3個の部分に分かれている。引っ掛け板部314は、上板部31の一部で、2個のスリットに挟まれた3個の部分のうちの真ん中の部分であり、両脇の部分よりも長さが長く形成されている。引っ掛け板部314は、扉部38と係止するための部分であり、先端側に上述の穴部317を備える。ここで、引っ掛け板部314における基端側は、上板本体311に連続する側の端部であり、先端側は、逆に、上板本体311からも最も離れた側の端部である。
【0026】
引っ掛け板部314は、幅が先端側から基端側まで略同一であり、先端側に、幅方向の外方に向けた出っ張りなどは形成されていない。これにより、後述のように引っ掛け板部314と扉部38とを係合させる際に、引っ掛け板部314を、扉部38が有する穴部381にスムーズに通して、引っ掛け板部314の穴部317を扉部38の係止部382にスムーズに係止することができる。
【0027】
また、引っ掛け板部314は、基端から所定量、上方に起こされることにより板バネになっており、図3(a)に示すように、上方に起こされる前の位置と起こされた後の位置との距離であるストロークS1を得ることができている。
【0028】
下垂部315及び下垂部316は、図2(b)に示すように、上板部31における開口部39の開口端において、下方に折り曲げられた部分であり、略矩形状で下側の角が丸められた形状を有する。下垂部315及び下垂部316は、図2(a)に示すように、支持部30がレースウェイ10に取り付けられた状態で、レースウェイ10のへこみ部107に入り込んで、折り返し部104及び折り返し部105に接触し押圧する。これにより、支持部30、ひいては照明器具1が、レースウェイ10に対し、上下方向はもとより、特に水平方向に移動するのを規制され、支持部30がレースウェイ10から外れ難くなり、照明器具1のレースウェイ10への固定が強固になる。
【0029】
側板部32は、上下方向に配される略矩形板状の部材であり、下端側に開口部39の内側に向けて突出する突出部321が形成されている。上板部31と底板部33の上下方向の間隔は、レースウェイ10の上下方向の高さと略同一になっており、これにより上板部31と底板部33とが、レースウェイ10の上面側と下面側とを挟み込んで支持することができる。
【0030】
突出部321は、支持部30がレースウェイ10に取り付けられた状態で、レースウェイ10の側面部102に接触、押圧する機能を有する。
【0031】
底板部33は、略矩形板状の部材であり、板状の主面部330、上側に向けて突出する突出部331、突出部332、扉部38を回動可能に保持する鉤部333a及び鉤部333b(以下、「ヒンジ部333」という。)を備える。突出部331及び突出部332は、支持部30がレースウェイ10に取り付けられた状態で、レースウェイ10の底面部101に接触、押圧する機能を有する。また、突出部331及び突出部332の間であり、底板部33の主面部330と囲まれた空間に、配線部材212を始めとする各種の配線を通過させることが可能になっている。
【0032】
なお、突出部331及び突出部332のいずれか一方のみ、例えば突出部331のみ備える場合であっても、突出部331と主面部330とに囲まれた空間に、各種の配線を通過させることが可能である。この場合には、突出部331は、レースウェイ10へバランスよく押圧するため、主面部330の幅方向端部に配されるのではなく、主面部330の幅方向真ん中あたりに配するのが望ましい。
【0033】
脚部34及び脚部35は、底板部33から下垂する部分であり、取付部材21の底面部21aにネジ等を用いて固定されることにより、照明器具1と取付金具部3とが一体化される。
【0034】
<扉部38>
扉部38は、図2(b)に示すように、略矩形板状の部材であり、穴部381、係止部382、及び突出部383を備える。
【0035】
係止部382は、扉部38の上端側に、切り起こしにより断面L字状に形成された部分であり、略直角に起こされた先端部382bと、起こされておらず穴部381内に存在する基端部382aとを含む。先端部382bは、支持部30の引っ掛け板部314に設けられた穴部317に挿通可能な大きさで形成されている。
【0036】
扉部38は、開口部39の内側に向けて突出する突出部383を備える。突出部383は、支持部30がレースウェイ10に取り付けられた状態で、レースウェイ10の側面部103に接触し、押圧する機能を有する。突出部383の配置位置は、図3(a)及び図4(a)に示すように、閉扉状態において、突出部321と上下方向において同じ高さになるように揃えて配置するのが望ましい。
【0037】
また、扉部38は、図3(a)に示す閉扉状態にて分かるように、突出部383のあたりから、突出部383より上の部分が外方に向けて反って起こすように形成されることにより板バネとしての復元力が生じうる。これにより、扉部38は、起こされる前の位置と起こされた後の位置との距離であるストロークS2に応じた復元力により、扉部38と支持部30との係合をより強固にすることができる。
【0038】
扉部38の下端側には、2個の穴部が設けられており、それぞれ、支持部30の底板部33が備える鉤部333a及び鉤部333bが、扉部38が回動可能になるよう挿通されている部分である。
【0039】
取付金具部4については、取付金具部3と同じ構成を有しており、取付金具部3と同様にしてレースウェイ10に取り付けられるものとする。取付金具部3及び取付金具部4は、離隔して配される。
【0040】
<1.2.照明器具1のレースウェイ10への取り付け>
以下、照明器具1をレースウェイ10に取り付ける手順について、図3(a)~図3(d)及び図4(a)~図4(d)を用いて説明する。なお、図3(a)~図3(d)及び図4(a)~図4(d)においては、照明器具1の全体は図示しておらず、取付金具部3のみ図示している。
【0041】
図3(a)は、レースウェイ10に取り付ける前の取付金具部3を示す正面図である。
【0042】
まず、作業者は、図3(a)の状態から、図3(b)に示すように、取付金具部3の扉部38を、ヒンジ部333を中心軸として扉部38の上端側が下に向くよう回動させて開扉状態にし、取付金具部3の一側面(閉扉状態では扉部38が存在する位置、側板部32に対向する側面)側を開放状態にする。
【0043】
そして、作業者は、図3(b)及び図3(c)に示すように、レースウェイ10の側面部102側から、取付金具部3を、取付金具部3の開口部39側から嵌め込んでいく。
【0044】
そして、図3(d)に示すように、取付金具部3を、突出部321がレースウェイ10の側面部102に接触するまで嵌め込むと、レースウェイ10が、取付金具部3の開口部39に収容された状態になる。このとき、下垂部315及び下垂部316は、レースウェイ10のへこみ部107に嵌り込んだ状態になる。レースウェイ10は、下垂部315及び下垂部316により上方から、突出部331及び突出部332により下方から押圧されるので、レースウェイ10が開口部39内にて上下に動かない状態、すなわち、照明器具1が、レースウェイ10に対し、垂直方向(上下方向)に動かない状態に固定される。
【0045】
また、レースウェイ10の、折り返し部104及び折り返し部105が、下垂部315及び下垂部316を、斜め下方から斜め上方に押圧することになるので、照明器具1が、レースウェイ10に対し、水平方向(左右方向)にも動かない状態に固定される。
【0046】
ここで、上板部31における下垂部315、316のそれぞれと、底板部33における突出部331及び332の組は、いずれもレースウェイ10のへこみ部107に嵌まり込むことが可能となっている。このため、レースウェイ10について、へこみ部107、開口部106が下側になるよう設置されている場合、上側になるよう配置されている場合のいずれの場合でも、下垂部315、316のそれぞれ、又は底板部33における突出部331及び332が、へこみ部107に嵌り込むことができるので、照明器具1が、レースウェイ10に対し水平方向に動かない状態に固定される。
【0047】
すなわち、開扉状態であるにも関わらず、照明器具1が、レースウェイ10に対し、水平方向、及び垂直方向に簡単には動かず固定された状態になる。以下、この状態を「仮固定状態」という。
【0048】
作業者は、照明器具1が、仮固定状態になっている場合、手を放しても照明器具1が落下するようなことにならないため、この後、照明器具1を支えることなく、配線作業を行ったり、扉部38を閉じて閉扉状態にすることができるため、楽に、かつ作業効率を上げて作業をすることができることになる。
【0049】
次いで、作業者は、扉部38を回動させて突出部383がレースウェイ10の側面部103に接触させて、図4(a)に示すような状態にする。
【0050】
作業者は、この状態から、引っ掛け板部314の先端が、扉部38の穴部381を通過できるよう引っ掛け板部314を下方へ押し下げる。ここで、作業者は、上述のストロークS1があるために、このように引っ掛け板部314を下方へ押し下げることができる。
【0051】
また、引っ掛け板部314に関し、上述のように、上板部31につき2個のスリットにより分かれた3個の部分のうち真ん中の部分のみを引っ掛け板部314として板バネとしている。作業者は、引っ掛け板部314のみを下方へ押し下げればよいので、仮に上板部31全体を板バネとする場合に比べ、簡単、楽に、板バネ部分を動かすことができる。
【0052】
引っ掛け板部314の先端が穴部381を通過すると、作業者は、次いで、図4(c)に示すように、引っ掛け板部314の穴部317に、扉部38が備える係止部382の先端部382bが通過できる位置になるよう、扉部38の上部を側板部32の方向へ押圧する。ここで、作業者は、上述のストロークS2があるために、このように扉部38の上部を側板部32の方向へ押すことができる。
【0053】
そして、作業者は、図4(d)に示すように、引っ掛け板部314の穴部317に、扉部38が備える係止部382の先端部382bを通過させる。
【0054】
ここで、作業者が引っ掛け板部314、扉部38への押圧をやめると、引っ掛け板部314及び扉部38における板バネの復元力により、引っ掛け板部314が係止部382の基端部382aに沿って可能な限り上方に、扉部38が引っ掛け板部314の穴部317内を可能な限り外方へ移動して、引っ掛け板部314と扉部38が係合して、取付金具部3が閉扉状態となり、照明器具1がレースウェイに固定された状態となる。このとき、図4(b)に示すように、レースウェイ10は、下垂部315及び下垂部316により上方から押圧され、突出部321及び突出部383から水平方向に押圧され、突出部331及び突出部332により下方から押圧されて、取付金具部3の開口部39内にて、強固に固定された状態になる。また、引っ掛け板部314及び扉部38の復元力により、引っ掛け板部314と扉部38との係合は、外れにくく強固なものになる。
【0055】
<2.変形例>
以上、本発明に係る照明器具の実施形態を説明したが、例示した照明器具を例えば以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの照明器具に限られないことは勿論である。
【0056】
(1)上述の実施形態では、取付金具部3及び4は、照明器具1を、取付対象としてのレースウェイ10に取り付けるために用いられていたが、取付対象は、レースウェイに限られるものではなく、例えば、配線用ダクトや家の柱など、角筒状や角柱状のものにも取り付け可能である。
【0057】
(2)上述の実施形態では、照明器具1は、取付金具部として取付金具部3及び取付金具部4の2個を備えることとしたが、これに限らず、取付金具部を1個にしてもよいし、3個以上備える構成としてもよい。
【0058】
(3)上述の実施形態では、引っ掛け板部314及び扉部38の両方を変位することにより復元力を生じる板バネとしての働きを有する構成、板バネ構成としたが、これに限らず、引っ掛け板部314及び扉部38の少なくとも一方を板バネ構成とすれば足りる。これにより、作業者の、引っ掛け板部314及び扉部38を係合する場合の作業性を向上させることができる。
【0059】
(4)上述の実施形態では、上板部31について、引っ掛け板部314のみを板バネ構成としていたが、これに限るものではなく、上板部31において板バネ構成を実現できれば足りる。例えば、上板部31を2個のスリットで3個に分けることはせずに、上板部31の全体にて板バネとなるよう構成してもよい。
【0060】
また、上述の実施形態では、扉部38において突出部383より上の部分が全体として板バネを構成していたが、これに限るものではなく、扉部38において板バネ構成を実現できれば足りる。例えば、扉部38において、上板部31における引っ掛け板部314と同様に、扉部38の上側に2個のスリットを設け、スリットにより分離された3個の部分のうち、真ん中の部分を板バネ構成にしてもよい。この場合、3個の部分のうち真ん中の部分に、穴部381、係止部382を設けることになる。
【0061】
(5)上述の実施形態では、取付金具部3及び4は、照明器具をレースウェイに固定していたが、取付金具として照明器具とは独立した構成として、照明器具に限らず、カメラ、人感センサ、火災報知器、スピーカー、プロジェクタ、その他多様な電気機器等に用いることで、これらの電気機器等をレースウェイに取り付けることができる。
【0062】
(6)上述の実施形態では、図3(d)に示すように、照明器具1をレースウェイ10に仮固定状態にした場合に、下垂部315及び下垂部316が、レースウェイ10の折り返し部104と折り返し部105とを上方から押下することで、取付金具部3がレースウェイ10に対し水平方向に移動しにくい状態にできていたが、下垂部315及び下垂部316の形状はこれに限られない。例えば、下垂部315は、図5に下垂部361として示すように、照明器具1をレースウェイ10に仮固定状態にした場合に、レースウェイ10の折り返し部104と折り返し部105との間に嵌り込むように、下垂部315及び下垂部316よりも水平方向の幅が狭い形状としてもよい。この下垂部361であれば、折り返し部104と折り返し部105との間に嵌り込んでしまっていることから、下垂部361が折り返し部104の上に乗り上げるのに、大きな力が必要となり、レースウェイ10に対し水平方向に移動するのがより難しくなり、照明器具1、取付金具部3及び4を、レースウェイ10に、より強固に仮固定することができる。
【0063】
なお、下垂部362は、図示しないが、下垂部316に対応する部分であり、下垂部361と同様の形状、機能を有する。
【0064】
(7)位置関係を示すため、図における上下を前提にして上・下という言葉を使ったが、重力方向の上下とは関係がない。例えば天井でなく壁に設置する場合には壁側が上になる。照明器具を床に設置して上向きに照明する場合には、上は重力の下の向きになる。
【0065】
(8)取付金具部3、4の材質は、一般には弾性を有する金属が好ましいが、配線ダクトなど絶縁性に配慮すべきところでは、プラスチック系材料などを用いることが好ましい。
【0066】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0067】
<3.発明の抽出>
以下、更に本発明の一実施形態としての照明器具の構成及びその変形例と効果について説明する。
【0068】
(1)本発明に係る照明器具は、角筒状の器具取付部材に取り付け可能な照明器具であって、前記器具取付部材に取り付けるための取付金具部を備え、前記取付金具部は、前記器具取付部材の上面に接する上板部、前記器具取付部材の下面に接する底板部、及び前記器具取付部材の一方の側面に接する側板部を含む支持部と、前記支持部に対し回動して開閉可能であり、閉扉状態において前記器具取付部材の他方の側面に接する扉部とを備え、前記扉部及び前記上面部が係合可能である。
【0069】
この構成によれば、取付金具部の扉部を閉扉状態にして、扉部及び上面部を係合させるのみで、照明器具を器具取付部材に取り付けて固定することができるので、良好な作業性で、強固に固定することができる。
【0070】
(2)また、前記上板部は、上板本体と、前記上板本体に連続し、前記扉部に係合可能な引っ掛け板部を備え、前記引っ掛け板部が板バネとして機能することとしてもよい。
【0071】
この構成によれば、作業者は、上板部全体ではなく、その一部である引っ掛け板部のみを下方へ押し下げればよいので、仮に上板部全体を板バネとする場合に比べ、簡単、楽に、板バネ部分を動かすことができる。
【0072】
(3)また、前記器具取付部材は、上面側にへこみ部を有し、前記上板部は、前記へこみ部に入り込んで接触することで水平方向の移動を規制する下垂部を備えることとしてもよい。
【0073】
この構成によれば、照明器具は、下垂部により器具取付部材に対し水平方向にずれるのを防ぐことができ、扉部が開扉状態になった仮固定状態においても、器具取付部材への照明器具の固定をより強固にすることができる。
【0074】
(4)また、前記上板部と前記底板部の上下方向の間隔は、前記器具取付部材の側面の上下方向の高さと略同一である
この構成によれば、前記上板部と前記底板部とが、器具取付部材の上面側と下面側とを挟み込んで強固に支持することができる。
【0075】
(5)また、前記底板部は、上方に向けて突出する突出部を備えることとしてもよい。
【0076】
この構成によれば、突出部と底板部との間に、空間が生じているため、この空間内に、すなわち取付金具部内に、各種の配線を通過させる構成とすることができる。突出部を2個設ける場合、2個の突出部の間と、底板部とで囲まれる空間内に、各種の配線を通過させる構成とすることができる。
【0077】
(6)また、前記扉部及び前記上面部の少なくとも一方は板バネとして機能し、荷重が掛けられて変位した状態において、前記扉部及び前記上板部が係合可能になることとしてもよい。
【0078】
この構成によれば、扉部及び前記上面部の少なくとも一方の板バネとしての復元力により、扉部と支持部との係合をより強固にすることができる。
【0079】
(7)本発明の取付金具は、器具取付部材に電気器具を取り付けるための取付金具であって、前記器具取付部材の上面に接する上板部、前記器具取付部材の下面に接する底板部、及び前記器具取付部材の一方の側面に接する側板部を含む支持部と、前記支持部に対し回動して開閉可能であり、閉扉状態において前記器具取付部材の他方の側面に接する扉部とを備え、前記扉部及び前記上板部が係合可能である。
【0080】
この構成によれば、取付金具の扉部を閉扉状態にして、扉部及び上面部を係合させるのみで、照明器具を器具取付部材に取り付けて固定することができるので、照明器具を器具取付部材に、良好な作業性で、強固に固定することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 照明器具
3 取付金具部
4 取付金具部
10 レースウェイ
21 取付部材
21a、101 底面部
21b、21c、102、103 側面部
30 支持部
31 上板部
32 側板部
33 底板部
34、35 脚部
38 扉部
39、106 開口部
104、105 折り返し部
107 へこみ部
210 収容部
211 電源装置
212 配線部材
213 光源基板
214 光源
314 引っ掛け板部
315、316、361、362 下垂部
317、381、384、385 穴部
321、331、332、383 突出部
333 ヒンジ部
333a、333b 鉤部
382 係止部
382a 基端部
382b 先端部
S1、S2 ストローク
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具取付部材に取り付け可能な照明器具であって、
前記器具取付部材に取り付けるための取付金具部を備え、
前記取付金具部は、
前記器具取付部材の上面に接する上板部、前記器具取付部材の下面に接する底板部、及び前記器具取付部材の一方の側面に接する側板部を含む支持部と、前記支持部に対し回動して開閉可能であり、閉扉状態において前記器具取付部材の他方の側面に接する扉部とを備え、
前記扉部及び前記上板部が係合可能である
照明器具。
【請求項2】
前記上板部は、上板本体と、前記上板本体に連続し、前記扉部に係合可能な引っ掛け板部を備え、前記引っ掛け板部が板バネとして機能する
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記器具取付部材は、上面側にへこみ部を有し、
前記上板部は、前記へこみ部に入り込んで接触することで水平方向の移動を規制する下垂部を備える
請求項1記載の照明器具。
【請求項4】
前記上板部と前記底板部の上下方向の間隔は、前記器具取付部材の側面の上下方向の高さと略同一である
請求項1記載の照明器具。
【請求項5】
前記底板部は、上方に向けて突出する突出部を備える
請求項1記載の照明器具。
【請求項6】
前記扉部及び前記上部の少なくとも一方は板バネとして機能し、荷重が掛けられて変位した状態において、前記扉部及び前記上板部が係合可能になる
請求項1記載の照明器具。
【請求項7】
器具取付部材に電気器具を取り付けるための取付金具であって、
前記器具取付部材の上面に接する上板部、前記器具取付部材の下面に接する底板部、及び前記器具取付部材の一方の側面に接する側板部を含む支持部と、前記支持部に対し回動して開閉可能であり、閉扉状態において前記器具取付部材の他方の側面に接する扉部とを備え、
前記扉部及び前記上板部が係合可能である
取付金具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、器具取付部材に取り付け可能な照明器具であって、前記器具取付部材に取り付けるための取付金具部を備え、前記取付金具部は、前記器具取付部材の上面に接する上板部、前記器具取付部材の下面に接する底板部、及び前記器具取付部材の一方の側面に接する側板部を含む支持部と、前記支持部に対し回動して開閉可能であり、閉扉状態において前記器具取付部材の他方の側面に接する扉部とを備え、前記扉部及び前記上部が係合可能である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る照明器具は、取付金具部の扉部を閉扉状態にして、扉部及び上部を係合させるのみで、照明器具をレースウェイに取り付けて固定することができるので、良好な作業性で、強固に固定することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
(1)本発明に係る照明器具は、角筒状の器具取付部材に取り付け可能な照明器具であって、前記器具取付部材に取り付けるための取付金具部を備え、前記取付金具部は、前記器具取付部材の上面に接する上板部、前記器具取付部材の下面に接する底板部、及び前記器具取付部材の一方の側面に接する側板部を含む支持部と、前記支持部に対し回動して開閉可能であり、閉扉状態において前記器具取付部材の他方の側面に接する扉部とを備え、前記扉部及び前記上部が係合可能である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
この構成によれば、取付金具部の扉部を閉扉状態にして、扉部及び上部を係合させるのみで、照明器具を器具取付部材に取り付けて固定することができるので、良好な作業性で、強固に固定することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
(6)また、前記扉部及び前記上部の少なくとも一方は板バネとして機能し、荷重が掛けられて変位した状態において、前記扉部及び前記上板部が係合可能になることとしてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
この構成によれば、扉部及び前記上部の少なくとも一方の板バネとしての復元力により、扉部と支持部との係合をより強固にすることができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
この構成によれば、取付金具の扉部を閉扉状態にして、扉部及び上部を係合させるのみで、照明器具を器具取付部材に取り付けて固定することができるので、照明器具を器具取付部材に、良好な作業性で、強固に固定することができる。