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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122050
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】バンド付装置および時計
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/14 20060101AFI20240902BHJP
   G04B 37/16 20060101ALI20240902BHJP
   G04B 43/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
A44C5/14 R
G04B37/16 Q
G04B43/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029365
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】黒川 智康
(57)【要約】
【課題】 良好に衝撃を緩衝できるバンド付装置および時計を提供する。
【解決手段】 軸である取付部材13が連結される腕時計ケース1と、時計バンド10と、取付部材13が遊びをもって挿入されているピン挿入孔14aを有して、腕時計ケース1と時計バンド10とを連結する連結部材11と、腕時計ケース1と連結部材11との間に設けられた弾性部材18と、を備えている。従って、腕時計ケース1の下部を下側にして腕時計ケース1が落下した際、その落下による衝撃を、弾性部材18の圧縮変形とこれに伴う連結部材11の上下方向への移動とによって、緩衝できると共に腕時計ケース1の腕に対する装着性の向上が図れる。また、取付部材13と弾性部材18とを腕時計の外部から見え難くすることができ、これにより腕時計の外観性およびデザイン性を高めることができる。
【選択図】 図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸が連結されるケースと、
バンドと、
前記軸が遊びをもって挿入されている挿入孔を有して、前記ケースと前記バンドとを連結する連結部材と、
前記ケースと前記連結部材との間に設けられた弾性部材と、
を備えていることを特徴とするバンド付装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバンド付装置において、
前記連結部材の前記挿入孔は、その断面形状が前記ケースの上下方向に長い長孔形状に形成されている
ことを特徴とするバンド付装置。
【請求項3】
請求項1に記載のバンド付装置において、
前記軸は、前記ケースに設けられたバンド取付部に取り付けられている
ことを特徴とするバンド付装置。
【請求項4】
請求項1に記載のバンド付装置において、
前記連結部材は、前記弾性部材が圧縮される方向に変位した状態において、前記ケースの下部に取り付けられた裏蓋よりも下側に突出するように設けられている
ことを特徴とするバンド付装置。
【請求項5】
請求項1に記載のバンド付装置において、
前記弾性部材は、前記ケースと前記連結部材との少なくとも一方に設けられた位置規制部によって位置規制されている
ことを特徴とするバンド付装置。
【請求項6】
請求項1に記載のバンド付装置において、
前記軸、前記挿入孔、および前記弾性部材は、上面視において重なる位置に設けられている
ことを特徴とするバンド付装置。
【請求項7】
請求項1に記載のバンド付装置において、
前記連結部材を前記ケースの上下方向に沿ってガイドするガイド機構を備えている
ことを特徴とするバンド付装置。
【請求項8】
請求項7に記載のバンド付装置において、
前記ガイド機構は、前記ケースに上下方向に沿って設けられたガイド溝と、前記連結部材に設けられて前記ガイド溝内をスライドするスライド突起部と、を備えている
ことを特徴とするバンド付装置。
【請求項9】
請求項1に記載されたバンド付装置を備えていることを特徴とする時計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕などの身体に装着して使用するバンド付装置および時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕に装着して使用する腕時計においては、特許文献1に記載されているように、腕時計ケースのバンド取付部に時計バンドの端部をピン部材などの取付部材によって取り付ける際に、バンド取付部に取り付けられる緩衝部材によって時計バンドの端部側を保持するように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-39387号公報
【0004】
このような腕時計においては、腕時計ケースがその裏面を下に向けて落下し、その落下による衝撃が時計バンドの端部を介して時計バンドの端部側を保持する緩衝部材に加わった際に、その衝撃を緩衝部材によって緩衝することができる。このため、この腕時計では、時計バンドや腕時計ケースに対する衝撃による影響を緩衝部材によって軽減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような腕時計では、時計バンドの端部側を保持する緩衝部材によって衝撃を緩衝することができても、緩衝部材が時計バンドの上面に配置されるので、緩衝部材によって腕時計の外観性が損なわれるという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、バンドの上面に配置される緩衝部材を用いずに衝撃を良好に緩衝できるバンド付装置および時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一態様は、軸が連結されるケースと、バンドと、前記軸が遊びをもって挿入されている挿入孔を有して、前記ケースと前記バンドとを連結する連結部材と、前記ケースと前記連結部材との間に設けられた弾性部材と、を備えていることを特徴とするバンド付装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、衝撃を良好に緩衝できるバンド付装置および時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明を適用した腕時計の一実施形態を示した拡大正面図である。
図2図1に示された腕時計を3時側から見た側面図である。
図3図1に示された腕時計を分解して示した斜視図である。
図4図1に示された腕時計の断面を示し、(a)は図1の腕時計のA-A矢視における拡大断面図、(b)はそのA部を更に拡大して示した断面図である。
図5図4に示された腕時計が落下による衝撃を受けた際の断面を示し、(a)はその衝撃を緩衝した状態を示した拡大断面図、(b)はそのB部を更に拡大して示した断面図である。
図6図3に示された腕時計ケースのケース本体と連結部材とを上下反転させて示した拡大斜視図である。
図7図6に示されたケース本体と連結部材との要部を示し、(a)はケース本体におけるバンド取付部のC部を示した拡大斜視図、(b)は連結部材のD部を示した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図7を参照して、この発明を適用した腕時計の一実施形態について説明する。
この腕時計は、図1図5に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、金属または硬質の合成樹脂からなるケース本体2と、このケース本体2の外周面に設けられたウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂からなるベゼルである外装部材3と、を有している。
【0011】
外装部材3は、図1図5に示すように、ケース本体2の外周側における外部からの衝撃を緩衝するためのものである。そのため、この外装部材3は、ケース本体2の外周面を覆った状態でケース本体2の外周面に取り付けられるように構成されている。この腕時計ケース1の上側開口部、つまりケース本体2の上側開口部には、時計ガラス4が接着剤などによって取り付けられている。
【0012】
この腕時計ケース1の下部、つまりケース本体2の下部には、図2図5に示すように、裏蓋5が防水リング5aを介して複数のビス5bによって取り付けられている。この裏蓋5は、金属または硬質の合成樹脂によって形成されている。また、この腕時計ケース1の内部、つまりケース本体2の内部には、図4および図5に示すように、時計モジュール6が設けられている。
【0013】
この時計モジュール6は、図示しないが、指針を文字板の上方で運針させて時刻を指示表示する時計ムーブメント、時刻や曜日、日付などの時計機能に必要な情報を電気光学的に表示する表示装置、およびこれらを電気的に駆動して制御する回路基板など、時計機能に必要な各種の部品を備えている。
【0014】
また、この腕時計ケース1におけるケース本体2の12時および6時に位置する個所には、図1図5に示すように、バンド取付部7がそれぞれ設けられている。このバンド取付部7は、腕時計ケース1に設けられた一対の取付突起部8と、これら一対の取付突起部8の上部に設けられた屋根部9と、を備えている。これにより、バンド取付部7は、屋根部9の下側における一対の取付突起部8間に連結部材11が取り付けられ、この連結部材11に時計バンド10の端部10aが取り付けられるように構成されている。
【0015】
この場合、一対の取付突起部8には、図3図6に示すように、連結部材11をバンド取付部7に取り付けるための軸である取付部材13の両端部が挿入する取付穴12が同一軸上に対応して設けられている。これら取付穴12は、一対の取付突起部8の対向面にそれぞれ貫通することなく設けられている。取付部材13は、ばね棒であり、内部にコイルばね(図示せず)を有するパイプ部13aと、このパイプ部13aの両端部内に設けられてコイルばねのばね力によって押し出される一対の突起部13bと、を有している。
【0016】
これにより、取付部材13は、図3および図6に示すように、一対の突起部13bをコイルばねのばね力に抗してパイプ部13aの両端部内に押し込み、この状態でパイプ部13aが一対の取付突起部8間に配置されるように構成されている。また、この取付部材13は、パイプ部13aを一対の取付突起部8間に配置させて、一対の突起部13bを一対の取付突起部8の各取付穴12に対応させると、一対の突起部13bがコイルばねのばね力よって押し出されて一対の取付突起部8の各取付穴12にそれぞれ挿入して、一対の取付突起部8間に取り付けられるように構成されている。
【0017】
時計バンド10は、図1図5に示すように、金属によって形成されているが、ウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂によって形成されていても良い。また、連結部材11は、金属または硬質の合成樹脂によって形成されている。この連結部材11は、バンド取付部7の一対の取付突起部8間に配置されるケース連結部14と、このケース連結部14からケース本体2の下側、つまり裏蓋5の下側に向けて突出するバンド連結部15と、を有している。
【0018】
連結部材11のケース連結部14は、図3図6に示すように、取付部材13によってバンド取付部7の一対の取付突起部8間に取り付けられるものである。このケース連結部14は、時計バンド10の長手方向と直交する方向に挿入孔であるピン挿入孔14aが貫通して設けられている。このピン挿入孔14aは、取付部材13のパイプ部13aが遊びをもって挿入する孔である。すなわち、このピン挿入孔14aは、その断面形状が腕時計ケース1の表裏面方向である上下方向に長い長孔形状に形成されている。
【0019】
つまり、このピン挿入孔14aは、図3図6に示すように、上下方向と直交する方向の長さが取付部材13のパイプ部13aの外径とほぼ同じ大きさで、上下方向の長さがパイプ部13aの外径よりも長い長孔形状に形成されている。これにより、取付部材13は、パイプ部13aがピン挿入孔14a内に挿入されて、バンド取付部7の一対の取付突起部8に取付部材13の一対の突起部13bが取り付けられた状態で、ピン挿入孔14a内においてパイプ部13aが上下方向に移動することにより、連結部材11が腕時計ケース1に対して上下方向に移動するように構成されている。
【0020】
連結部材11のバンド連結部15は、図3図6に示すように、ねじ部材16によって時計バンド10の端部10aが取り付けられるものであり、時計バンド10の長手方向と直交する方向に連結孔15aが設けられている。この連結孔15aは、時計バンド10の長手方向と直交する方向に貫通していても良く、また貫通していなくても良い。
【0021】
また、時計バンド10の端部10aには、図3に示すように、バンド連結部15が配置される凹部10bが設けられている。この凹部10bの両側部、つまり時計バンド10の長手方向と直交する方向における凹部10bの両側部には、ねじ部材16が取り付けられるねじ取付孔17がバンド連結部15の連結孔15aにそれぞれ対応して設けられている。ねじ部材16は、図2および図3に示すように、頭部16aとねじ部16bと軸部16cとを有している。
【0022】
頭部16aは、図2および図3に示すように、時計バンド10の凹部10bの両側部に設けられたねじ取付孔17の大径孔部17aに配置されるように形成されている。ねじ部16bは、時計バンド10の凹部10bの両側部に設けられたねじ取付孔17のねじ孔部17bに螺着するように形成されている。軸部16cは、頭部16aとねじ部16bとが時計バンド10の凹部10bの両側部に設けられたねじ取付孔17に取り付けられた際に、連結部材11のバンド連結部15の連結孔15aに挿入するように形成されている。
【0023】
これにより、時計バンド10は、図1図5に示すように、取付部材13によってバンド取付部7に取り付けられた連結部材11のバンド連結部15が時計バンド10の凹部10b内に配置されて、バンド連結部15の連結孔15aに時計バンド10の凹部10bの両側部に設けられたねじ取付孔17が対応し、この状態でねじ部材16によって連結部材11に取り付けられるように構成されている。
【0024】
すなわち、ねじ部材16は、図1図5に示すように、バンド連結部15の連結孔15aに時計バンド10の凹部10bの両側部に設けられたねじ取付孔17が対応した状態で、ねじ部材16の軸部16cが時計バンド10のねじ取付孔17を通してバンド連結部15の連結孔15aに回転可能に挿入され、ねじ部材16のねじ部16bが時計バンド10のねじ取付孔17の大径孔部17aを通してねじ孔部17bに螺着されることにより、時計バンド10を連結部材11に取り付けられるように構成されている。
【0025】
この場合、ねじ部材16は、図2図4に示すように、ねじ部材16のねじ部16bが時計バンド10のねじ取付孔17のねじ孔部17bに螺入されて締め付けられた際に、頭部16aがねじ取付孔17の大径孔部17aから外部に突出することなく、大径孔部17a内に配置され、この状態でねじ部材16の軸部16cを中心に時計バンド10の端部10aが回転するように、時計バンド10の端部10aを連結部材11に取り付けて腕時計ケース1のバンド取付部7に取り付けるように構成されている。
【0026】
ところで、腕時計ケース1のバンド取付部7と連結部材11との間には、図3図5に示すように、弾性部材18が設けられている。すなわち、この弾性部材18は、バンド取付部7の屋根部9の下面と連結部材11のケース連結部14の上面との間における時計バンド10の長手方向と直交する方向の両側部に配置された状態で挟まれて設けられている。この弾性部材18は、αゲルなどのゲル状部材、軟質のウレタン樹脂、シリコーンゴム、エラストマーなどの弾力を有する材料によって円柱状に形成されている。
【0027】
この弾性部材18は、図3図5に示すように、バンド取付部7の屋根部9の下面と連結部材11のケース連結部14の上面との間における両側部に配置された状態で、バンド取付部7の屋根部9の下面と連結部材11のケース連結部14の上面との間を弾力的に押し広げるように構成されている。
【0028】
これにより、弾性部材18は、図3図5に示すように、バンド取付部7の屋根部9と連結部材11のケース連結部14との間を弾力的に押し広げた際に、連結部材11を腕時計ケース1に対して押し下げると共に、バンド取付部7に取り付けられた取付部材13のパイプ部13aを連結部材11のケース連結部14に設けられたピン挿入孔14a内において押し上げるように構成されている。
【0029】
この場合、バンド取付部7の屋根部9の下面における時計バンド10の長手方向と直交する方向の両側部には、図4図7に示すように、弾性部材18を位置決めする位置規制部20が設けられている。この位置規制部20は、バンド取付部7の屋根部9の下面における両側部に設けられた円形状の凹部であり、その深さが弾性部材18の上下方向の長さより浅く、内径が弾性部材18の外径とほぼ同じ大きさで形成されている。
【0030】
これにより、位置規制部20は、図4図7に示すように、その内部に弾性部材18の上端部が配置された際に、弾性部材18が屋根部9の下面における面方向に位置ずれしないように形成されている。この場合、取付部材13のパイプ部13a、連結部材11のピン挿入孔14a、および弾性部材18は、上面視において上下方向に相互に重なる位置に配置されている。
【0031】
一方、バンド取付部7と連結部材11とは、図6および図7に示すように、ガイド機構21によって上下方向にガイドされるように構成されている。このガイド機構21は、バンド取付部7の一対の取付突起部8の対向面における各付け根部に上下方向に沿って設けられたガイド溝22と、連結部材11のケース連結部14の両端部に設けられたスライド突起部23と、を有し、ガイド溝22内をスライド突起部23がスライドするように構成されている。
【0032】
この場合、ガイド溝22は、図6および図7に示すように、バンド取付部7の一対の取付突起部8の対向面において上下方向に沿って設けられている。スライド突起部23は、ガイド溝22内に配置された状態でガイド溝22に沿って上下方向に移動するように構成されている。これにより、ガイド機構21は、バンド取付部7に取り付けられた取付部材13のパイプ部13aを連結部材11のピン挿入孔14a内において上下方向に移動させるように構成されている。
【0033】
次に、このような腕時計の腕時計ケース1に時計バンド10を取り付けて使用する場合について説明する。
この場合には、予め、腕時計ケース1を組み立てる。このときには、ケース本体2の上側開口部に時計ガラス4を接着剤などで接着させて取り付けた後、ケース本体2の外周面にウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂で形成された外装部材3を上方から装着させて取り付ける。
【0034】
この状態では、ケース本体2の12時側と6時側との外周面に設けられたバンド取付部7が外装部材3の外部に露出する。これにより、腕時計ケース1が組み立てられる。そして、腕時計ケース1のケース本体2の下側開口部から時計モジュール6をケース本体2内に挿入させて配置させる。この状態で、ケース本体2の下部に裏蓋5を防水リング5aと共に複数のビス5bによって取り付けてケース本体2の下側開口部を塞ぐ。
【0035】
そして、腕時計ケース1のバンド取付部7に連結部材11を取り付け、この連結部材11に時計バンド10を取り付ける。このときには、まず、連結部材11のケース連結部14に設けられたピン挿入孔14a内に取付部材13のパイプ部13aを挿入させて、ピン挿入孔14aの両側から取付部材13の一対の突起部13bをそれぞれ突出させる。このときには、パイプ部13aがピン挿入孔14a内に遊びをもって挿入される。
【0036】
この状態で、腕時計ケース1を上下反転させて、バンド取付部7の屋根部9の下面(図6では上面)における時計バンド10の長手方向と直交する方向の両側部に設けられた凹部状の位置規制部20に弾性部材18をそれぞれ配置させて位置規制する。これにより、取付部材13のパイプ部13a、連結部材11のピン挿入孔14a、および弾性部材18は、上面視において上下方向に相互に重なる位置に配置される。
【0037】
そして、取付部材13の一対の突起部13bをパイプ部13a内のコイルばね(図示せず)のばね力に抗してパイプ部13aの両端部内に押し込んで、連結部材11のケース連結部14をバンド取付部7の一対の取付突起部8の間に図6において上側から挿入させて配置させる。
【0038】
このときには、ケース連結部14の両側に設けられたガイド機構21のスライド突起部23をバンド取付部7の一対の取付突起部8の対向面における付け根部に設けられたガイド機構21のガイド溝22に挿入させて上下方向(図6における下方向)にスライドさせる。そして、取付部材13の一対の突起部13bが一対の取付突起部8の対向面に設けられた取付穴12に対応すると、パイプ部13a内のコイルばね(図示せず)のばね力によって一対の突起部13bがパイプ部13aの両端部内から押し出されて一対の取付突起部8の取付穴12に挿入される。
【0039】
これにより、連結部材11がバンド取付部7に取り付けられる。この状態では、バンド取付部7に設けられたガイド機構21のガイド溝22内に連結部材11に設けられたガイド機構21のスライド突起部23がスライド可能に配置されている。そのため、連結部材11は、腕時計ケース1に対して上下方向に移動可能な状態でバンド取付部7に取り付けられる。
【0040】
また、このときには、バンド取付部7の屋根部9と連結部材11のケース連結部14との間に配置された弾性部材18の弾性力によって、バンド取付部7の屋根部9と連結部材11のケース連結部14との間が押し広げられる。このため、連結部材11のバンド連結部15が腕時計ケース1に対して押し下げられると共に、取付部材13のパイプ部13aがケース連結部14のピン挿入孔14a内の上側に引き上げられて、バンド連結部15の下部が裏蓋5の下側に突出する。
【0041】
そして、連結部材11に時計バンド10をねじ部材16によって取り付ける。この場合には、時計バンド10の端部10aに設けられた凹部10bに連結部材11のバンド連結部15を配置させて、凹部10bの両側部に設けられたねじ取付孔17をバンド連結部15の連結孔15aに対応させる。この状態で、ねじ部材16の軸部16cを時計バンド10のねじ取付孔17からバンド連結部15の連結孔15aに挿入させて、ねじ部材16のねじ部16bを時計バンド10のねじ取付孔17のねじ孔部17bに螺入させて締め付ける。
【0042】
すると、ねじ部材16の軸部16cがバンド連結部15の連結孔15aに回転可能に挿入された状態で、ねじ部材16のねじ部16bが時計バンド10のねじ取付孔17のねじ孔部17bに螺着して、ねじ部材16の頭部16aが時計バンド10のねじ取付孔17の大径孔部17a内に配置される。これにより、時計バンド10の端部10aがねじ部材16の軸部16cを中心に回転可能な状態で連結部材11に連結される。このため、時計バンド10が連結部材11によって腕時計ケース1のバンド取付部7に取り付けられる。
【0043】
次に、このような腕時計を使用する場合について説明する。
このような腕時計を腕に取り付ける場合には、腕時計ケース1を腕に配置させて、この腕時計ケース1の12時側と6時側とに設けられたバンド取付部7にそれぞれ取り付けられた時計バンド10を腕に巻き付けて連結させる。
【0044】
このときには、腕時計ケース1のバンド取付部7と時計バンド10が連結される連結部材11との間に弾性部材18が配置されているので、弾性部材18の弾力によって腕に対する腕時計ケース1の装着性が良い。この場合、バンド取付部7に連結部材11を取り付ける取付部材13が腕時計ケース1の外部から見えず、またバンド取付部7と連結部材11との間に配置された弾性部材18が腕時計ケース1の外部から見え難く、連結部材11の一部のみが露出するだけであるから、外観的にもデザイン的に好ましい腕時計が提供できる。
【0045】
また、この腕時計を腕から取り外したときに、誤って裏蓋5を下側にして腕時計を落下させた際には、その落下による衝撃を弾性部材18によって緩衝することができる。すなわち、腕時計ケース1が裏蓋5を下側にして床などの当接面Tに落下した際には、図5(a)に示すように、時計バンド10の端部10aが連結部材11のバンド連結部15の連結孔15aに挿入されたねじ部材16の軸部16cを中心に回転し、時計バンド10が当接面Tとほぼ平行になるように押し広げられる。
【0046】
このため、時計バンド10の端部10aが取り付けられた連結部材11のバンド連結部15の下端部が当接面Tに当接する。このときには、腕時計ケース1が落下に伴う慣性力によって連結部材11に対して押し下げられる。これにより、腕時計ケース1のバンド取付部7と連結部材11のケース連結部14との間に配置された弾性部材18が圧縮されるので、腕時計の落下による衝撃が弾性部材18によって緩衝される。
【0047】
すなわち、弾性部材18が圧縮する際には、取付部材13のパイプ部13aが連結部材11のケース連結部14のピン挿入孔14a内を下側に移動して、腕時計ケース1のバンド取付部7と連結部材11のケース連結部14との間の隙間が狭くなる。このため、腕時計の落下による衝撃に応じて弾性部材18を圧縮させることができ、これにより腕時計の落下による衝撃を弾性部材18の弾力によって良好に緩衝することができる。
【0048】
また、この腕時計が上方から衝撃を受けた際には、その衝撃をウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂で形成された外装部材3によって緩衝することができる。この場合、上方からの衝撃を外装部材3によって吸収しきれないときには、腕時計ケース1のバンド取付部7と連結部材11のケース連結部14との間に配置された弾性部材18の弾性力によって、吸収しきれなかった衝撃を吸収することができる。
【0049】
このように、この腕時計によれば、軸である取付部材13が連結される腕時計ケース1と、時計バンド10と、取付部材13が遊びをもって挿入されているピン挿入孔14aを有して、腕時計ケース1と時計バンド10とを連結する連結部材11と、腕時計ケース1と連結部材11との間に設けられた弾性部材18と、を備えていることにより、弾性部材18によって衝撃を確実に緩衝することができるほか、腕時計ケース1の腕に対する装着性が良く、デザイン的にも外観的にも優れたものを提供することができる。
【0050】
すなわち、この腕時計では、腕時計ケース1の下部を下側にして腕時計ケース1が落下した際、その落下による衝撃によって取付部材13を連結部材11のピン挿入孔14a内で移動させて弾性部材18を確実に且つ良好に圧縮変形させることができるので、落下による衝撃を弾性部材18によって確実に緩衝することができると共に、弾性部材18の弾力によって腕時計ケース1の腕に取り付けた際の装着性を向上させることができる。
【0051】
この場合、この腕時計では、腕時計ケース1に連結部材11を取り付ける取付部材13が連結部材11のピン挿入孔14a内に挿入され、弾性部材18が腕時計ケース1と連結部材11との間に配置されているので、取付部材13と弾性部材18とを腕時計の外部から見え難くして、連結部材11の一部のみが露出するだけであるから、腕時計の外観性およびデザイン性を高めることができると共に、デザイン性の自由度を向上させることができる。
【0052】
また、この腕時計では、連結部材11のピン挿入孔14aの断面形状が腕時計ケース1の上下方向に長い長孔形状に形成されていることにより、取付部材13を連結部材11のピン挿入孔14a内において上下方向に確実に且つ良好に移動させることができ、これにより弾性部材18を確実に且つ良好に伸縮変形させることができるので、弾性部材18によって落下による衝撃を良好に緩衝することができる。
【0053】
また、この腕時計では、軸である取付部材13が、腕時計ケース1に設けられたバンド取付部7に設けられる取付穴12に取り付けられていることにより、取付部材13によって連結部材11を腕時計ケース1のバンド取付部7に確実にかつ良好に取り付けることができる。すなわち、バンド取付部7は、一対の取付突起部8を備え、これら一対の取付突起部8の対向面に取付穴12が同一軸上に対応して設けられ、これらの取付穴12に取付部材13の両端部が挿入されて取り付けられるので、取付部材13を一対の取付突起部8間に確実にかつ良好に取り付けることができる。
【0054】
この場合、取付部材13は、ばね棒であり、内部にコイルばね(図示せず)を有するパイプ部13aと、このパイプ部13aの両端部内に設けられてコイルばねのばね力によって押し出される一対の突起部13bと、を有していることにより、一対の突起部13bをコイルばねのばね力に抗してパイプ部13aの両側部内に押し込んだ状態で、パイプ部13aをバンド取付部7の一対の取付突起部8間に配置させることができる。
【0055】
このため、この腕時計では、パイプ部13aをバンド取付部7の一対の取付突起部8間に配置させた状態で、パイプ部13aの両端部を一対の取付突起部8の各取付穴12に対応させると、コイルばねのばね力によって一対の突起部13bが押し出されて一対の取付突起部8の各取付穴12に挿入されるので、一対の取付突起部8間に取付部材13を確実に取り付けることができ、この取付部材13によって連結部材11をバンド取付部7に確実に取り付けることができる。
【0056】
また、この腕時計では、弾性部材18が圧縮される方向に変位した状態において、連結部材11が腕時計ケース1の下部に取り付けられた裏蓋5よりも下側に突出していることにより、腕時計ケース1がその下面を下にして落下した際に、連結部材11の下端部を当接面Tに当接させることができ、落下による衝撃によって弾性部材18が圧縮変形されて腕時計ケース1が連結部材11に対して押し下げられても、腕時計ケース1の下部に取り付けられた裏蓋5が当接面Tに当接しないようにすることができる。
【0057】
このため、この腕時計では、腕時計ケース1がその下面を下にして落下した際に、連結部材11の下端部を当接面Tに当接させることができるので、脈拍や酸素飽和度などの生体情報を検出する生体センサが裏蓋5に設けられていても、落下による衝撃によって裏蓋5が当接面Tに当接することがないので、落下による衝撃によって生体センサが破損するのを確実に且つ良好に防ぐことができる。
【0058】
また、この腕時計では、腕時計ケース1のバンド取付部7に設けられた位置規制部20によって弾性部材18が位置規制されていることにより、バンド取付部7と連結部材11との間の正確な位置に弾性部材18を位置規制部20によって位置規制することができ、これにより弾性部材18を良好に伸縮変形させることができる。
【0059】
この場合、この腕時計では、バンド取付部7の屋根部9の下面に位置規制部20が凹部状に設けられ、この凹部状の位置規制部20の内径が弾性部材18の外径とほぼ同じ大きさに形成されるので、この凹部状の位置規制部20によって弾性部材18が屋根部9の下面における面方向に位置ずれするのを確実に且つ良好に防ぐことができる。
【0060】
また、この腕時計では、軸である取付部材13のパイプ部13a、連結部材11のピン挿入孔14a、および弾性部材18が、上面視において上下方向に相互に重なる位置に配置されていることにより、弾性部材18の伸縮変形に応じて取付部材13のパイプ部13aを連結部材11のピン挿入孔14a内において上下方向に移動させることができ、これにより腕時計ケース1の落下などによる衝撃を良好に緩衝することができる。
【0061】
さらに、この腕時計では、連結部材11を腕時計ケース1の上下方向に沿ってガイドするガイド機構21を備えていることにより、弾性部材18が伸縮変形する際に、連結部材11をガイド機構21によって上下方向に正確に且つ良好にガイドして移動させることができ、これにより取付部材13のパイプ部13aを連結部材11のピン挿入孔14a内において上下方向に相対的に移動させることができる。
【0062】
この場合、この腕時計では、ガイド機構21が、腕時計ケース1のバンド取付部7にその上下方向に沿って設けられたガイド溝22と、連結部材11に設けられてガイド溝22内をスライドするスライド突起部23と、を備えていることにより、弾性部材18が伸縮変形する際に、連結部材11に設けられたスライド突起部23をバンド取付部7に設けられたガイド溝22によって上下方向にスライドさせることができる。
【0063】
なお、上述した実施形態では、連結部材11のピン挿入孔14aが上下方向に長い長孔形状に形成されている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば軸である取付部材13のパイプ部13aが遊びをもって挿入する大径の円形孔であっても良い。
【0064】
また、上述した実施形態では、取付部材13が、コイルばねを有するパイプ部13aと、コイルばねのばね力によってパイプ部13aの両端部から押し出される一対の突起部13bと、を備えたばね棒である場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば棒状のピン部材であっても良く、またねじ部材であっても良い。この場合のねじ部材は、雌ねじ部が設けられた第1ねじ部と、この第1ねじ部の雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を有する第2ねじ部とを有するものである。
【0065】
また、上述した実施形態では、弾性部材18が円柱状に形成されている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、四角形や五角形などの多角柱状に形成されていても良く、またバンド取付部7の屋根部9の両側部に設けられる必要はなく、シート状に形成されて屋根部9の下面全域に配置されても良い。
【0066】
また、上述した実施形態では、弾性部材18が、αゲルなどのゲル状部材、軟質のウレタン樹脂、シリコーンゴム、エラストマーなどの弾力を有する材料によって形成されている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えばコイルばねや板ばねなどのばね部材であっても良く、またクッション材などであっても良い。
【0067】
また、上述した実施形態では、弾性部材18の位置を規制する位置規制部20が腕時計ケース1のバンド取付部7における屋根部9の下面に設けられた凹部である場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば、連結部材11のケース連結部14の上面に設けられた凹部であっても良く、またバンド取付部7における屋根部9の下面と連結部材11のケース連結部14の上面との両方に設けられていても良い。この場合、位置規制部20は、必ずしも凹部である必要はなく、凸部であっても良い。
【0068】
また、上述した実施形態では、連結部材11を上下方向にガイドするガイド機構21が、腕時計ケースのバンド取付部7における一対の取付突起部8の対向面において上下方向に沿って設けられたガイド溝22と、連結部材11のケース連結部14に設けられてガイド溝22内をスライドするスライド突起部23と、を備えている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、ガイド機構は、ケース連結部14にガイド溝を設け、一対の取付突起部8の対向面にスライド突起部を設けた構造であっても良い。
【0069】
また、上述した実施形態では、腕時計ケース1のバンド取付部7が一対の取付突起部8を有し、連結部材11のケース連結部14が一対の取付突起部8間に配置される構造である場合について述べたが、この発明は、これに限らず、連結部材11のケース連結部を凹部形状に形成し、バンド取付部をケース連結部の凹部形状内に配置される凸部形状に形成した構造であっても良い。
【0070】
さらに、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばバンドを備えた時計であっても良く、また必ずしも時計である必要はなく、腕などの身体に装着して使用するバンド付装置に適用することができる。また、この発明は、必ずしも身体に装着させる装置である必要はなく、動物を含む移動体や構造物など物に装着させる装置であっても良い。
【符号の説明】
【0071】
1 腕時計ケース
2 ケース本体
3 外装部材
4 時計ガラス
5 裏蓋
6 時計モジュール
7 バンド取付部
8 取付突起部
9 屋根部
10 時計バンド
10a 端部
10b 凹部
11 連結部材
12 取付穴
13 取付部材
13a パイプ部
13b 突起部
14 ケース連結部
14a ピン挿入孔
15 バンド連結部
15a 連結孔
16 ねじ部材
16a 頭部
16b ねじ部
16c 軸部
17 ねじ取付孔
17a 大径孔部
17b ねじ孔部
18 弾性部材
20 位置規制部
21 ガイド機構
22 ガイド溝
23 スライド突起部
T 当接面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7