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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122054
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】車両用乗降ステップ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/00 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
B60R3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029371
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】草間 弘樹
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022AA02
3D022AC02
3D022AC03
3D022AC04
3D022AD01
3D022AD05
3D022AE03
(57)【要約】
【課題】ベースとなる車両構造に大きな変更を伴うことなく設置可能な車両用乗降ステップ装置を提供する。
【解決手段】車両用乗降ステップ装置1は、タイヤTの直上付近に座席シートSを備えた車両Vの座席シートSの近傍且つタイヤTの上方の位置に設置された凸部20A~20Dに掛止可能な掛止部30A、30B、30Dと、掛止部30A、30B、30Dから延設され、掛止部30A、30B、30Dを凸部20A~20Dに掛止させたときにタイヤTの側面に接触する接触部34cを有する本体部32A、32Bと、本体部32A、32Bの接触部34cを挟んで掛止部30A、30B、30Dの反対側に設けられたステップ36A、36Cと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの直上付近に座席シートを備えた車両の前記座席シートの近傍且つ前記タイヤの上方の位置に設置された凸部に掛止可能な掛止部と、
前記掛止部から延設され、前記掛止部を前記凸部に掛止させたときに前記タイヤの側面に接触する接触部を有する本体部と、
前記本体部の前記接触部を挟んで前記掛止部の反対側に設けられたステップと、
を備えた車両用乗降ステップ装置。
【請求項2】
前記接触部は、前記タイヤに接触する緩衝材を含む
請求項1に記載の車両用乗降ステップ装置。
【請求項3】
前記接触部は、前記本体部から前記タイヤ側に突出した
請求項1に記載の車両用乗降ステップ装置。
【請求項4】
前記本体部及び前記ステップは、一体に形成された1本のフレームである
請求項1に記載の車両用乗降ステップ装置。
【請求項5】
前記本体部は、複数本のフレームであり、
前記ステップとは別のステップをさらに備えた
請求項1に記載の車両用乗降ステップ装置。
【請求項6】
前記座席シートの下に設けられたエンジンカバーと共に前記車両に固定され、前記凸部としての端縁を有する被掛止穴が設けられた取付部材をさらに備え、
前記掛止部は、前記本体部から下方に向けて延設されて前記端縁に掛止する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用乗降ステップ装置。
【請求項7】
前記座席シートの下に設けられたエンジンカバー又は前記座席シートのシートレールに固定され、前記凸部としての側縁を有する取付部材をさらに備え、
前記掛止部は、前記取付部材が挿入されて前記側縁に掛止する下向きのU字形状を有する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用乗降ステップ装置。
【請求項8】
前記凸部は、前記座席シートの側方に設けられたキッキングプレートの側縁であり、
前記掛止部は、
前記本体部から下方に向けて延設された第1のフレームと、
前記第1のフレームに固定され、前記キッキングプレートの前記側縁に車両前後方向に沿って掛止する第2のフレームと、
を含む
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用乗降ステップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用乗降ステップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の運転室乗降口の近傍に付設された乗降用ステップ装置を提案している。この乗降用ステップ装置は、複数のアームによってステップが車体に固定された構造となっている。このステップは、通常時は格納され、使用時には使用位置へ移動して高位置にある運転室への乗降を容易にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4476869号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の乗降用ステップ装置を車両に設置する場合、車体にアームの固定が必要となり、ベースとなる車両構造に対する変更点が大きい。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、ベースとなる車両構造に大きな変更を伴うことなく設置可能な車両用乗降ステップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わる車両用乗降ステップ装置は、タイヤの直上付近に座席シートを備えた車両の前記座席シートの近傍且つ前記タイヤの上方の位置に設置された凸部に掛止可能な掛止部と、前記掛止部から延設され、前記掛止部を前記凸部に掛止させたときに前記タイヤの側面に接触する接触部を有する本体部と、前記本体部の前記接触部を挟んで前記掛止部の反対側に設けられたステップと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、ベースとなる車両構造に大きな変更を伴うことなく設置可能な車両用乗降ステップ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用乗降ステップ装置を車両に設置した状態を示す斜視図である。
図2図2は、図1の車両用乗降ステップ装置の斜視図である。
図3図3は、図1の車両に設置した状態の車両用乗降ステップ装置を垂直面で切った断面図であり、車両前方から見た図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態に係る車両用乗降ステップ装置を車両に設置した状態を示す右側側面図である。
図5図5は、図4の車両用乗降ステップ装置の斜視図である。
図6図6は、図4の車両に設置した状態の車両用乗降ステップ装置を垂直面で切った断面図であり、車両前方から見た図である。
図7図7は、本発明の第3実施形態に係る車両用乗降ステップ装置を車両に設置した状態を示す左側側面図である。
図8図8は、図7の車両用乗降ステップ装置の斜視図である。
図9図9は、図7の車両に設置した状態の車両用乗降ステップ装置を垂直面で切った断面図であり、車両前方から見た図である。
図10図10は、本発明の第4実施形態に係る車両用乗降ステップ装置を車両に設置した状態を示す斜視図である。
図11図11は、図10の車両用乗降ステップ装置のステップ本体の斜視図である。
図12図12は、図10の車両に設置した状態の車両用乗降ステップ装置を垂直面で切った断面図であり、車両前方から見た図である。
図13図13は、第4実施形態の変形例に係る車両用乗降ステップ装置のステップ本体の斜視図である。
図14図14は、図13のステップ本体を車両に収納した状態の運転席の斜視図である。
図15図15は、第4実施形態の別の変形例に係る車両用乗降ステップ装置のステップ本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる部分を含んでいる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。なお、図面において、車両の前方、後方、右方、左方、上方、下方を、それぞれFR、RR、RH、LH、UP、DNで示す。以下の説明における、前方、後方、右方、左方、上方、下方という用語は、特に断りのない限り、上記の車両の方向を意味する。
【0010】
以下に説明する本発明の第1~第4実施形態及び各変形例に係る車両用乗降ステップ装置1(1A、1B、1C、1D)は、図1図4図7に示すように、エンジンの上に運転席や助手席を配置したキャブオーバー型車両Vの座席シートSの乗降口の近傍に設置して使用される。キャブオーバー型車両としては、ワンボックスカー、ミニバン、バスやトラック等の大型車両等が挙げられる。キャブオーバー型車両では、座席シートSは、タイヤTの直上付近に設置されているため、地上から座席シートSが設けられたフロアまでの高さが他の型の車両よりも高くなっている。各実施形態及び変形例では、車両用乗降ステップ装置1を、キャブオーバー型のワンボックスカーに設置する場合を例に説明する。なお、後述の掛止部30A、30B、30Dが凸部20A~20Dに掛止して接触部34cがタイヤTに接触した状態(図1図3図7図9図10図12)が使用状態であり、掛止部30A、30B、30Dが凸部20A~20Dから外れた状態が非使用状態である。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Aについて、図1図3を参照して説明する。図1に示すように、車両用乗降ステップ装置1Aは、タイヤTの直上付近に座席シートSが設置された運転席の乗降口の近傍に設置して使用される。なお、車両用乗降ステップ装置1Aは、タイヤTの直上付近に座席シートSが設置された助手席の乗降口の近傍に設置してもよい。
【0012】
図2に示すように、車両用乗降ステップ装置1Aは、取付部材2Aとステップ本体3Aとを備える。ステップ本体3Aは、掛止部30Aと本体部32Aとステップ36Aとを備える。本体部32Aは、接続部33Aと支柱34Aとを備える。
【0013】
図2、3に示すように、取付部材2Aは、座席シートSの下に設けられたエンジンカバーECと共に固定ボルトBTで車両Vの車体VBに固定される第1の板部材22aと、第1の板部材22aから車幅方向外側に向けて延在する断面U字状の第2の板部材22bとを備える。第2の板部材22bの断面U字状の中間板24には、車幅方向外側に凸部(車幅方向内側を向く面)としての端縁20Aを有する開口部(被掛止穴)24aが設けられている。中間板24は、座席シートSのシートレールSRの下に配置され、シートレールSRの車幅方向外側まで延設されている。端縁20Aは、座席シートSの乗降口の周縁部のタイヤTの上方に位置する。
【0014】
図2図3に示すように、接続部33Aは、車幅方向に延設された板部材であり、掛止部30Aは、接続部33Aの車幅方向内側の端部から下方に向けて連続して一体に延設された板部材である。掛止部30Aは、開口部24aに挿入されて端縁20Aに掛止する。
【0015】
図2図3に示すように、支柱34Aは、1本の角パイプからなるフレームであり、上端34aに接続部33Aの車幅方向外側の端部が固定されて、下方に向けて延設されている。支柱34Aは、上端34aと下端34bとの間に、掛止部30Aを端縁20Aに掛止させたときにタイヤTの外側面TS(例えば、サイドウォール)に接触する接触部34cを有する。なお、支柱34Aのフレームは、角パイプに限定されず、丸パイプであってもよく、中実の平板材や棒材であってもよい。また、接続部33Aは、支柱34Aに対して折り畳み可能に取り付けられてもよい。
【0016】
図1図3に示すように、支柱34AのタイヤTに対向する面(接触部34c)及び車両V(タイヤT上部の車体VB)に対向する面には、フェルトやゴム等からなる緩衝材BFが取り付けられている。緩衝材BFは、掛止部30Aが端縁20Aに掛止した状態でタイヤTに接触する。なお、緩衝材BFは設けなくてもよい。また、緩衝材BFを、支柱34AのタイヤTのホイールWHに対向する面にも設けてもよく、車両Vに対向する面に設けなくてもよい。
【0017】
支柱34AがホイールWHに接触しないように、支柱34AのタイヤTに対向する面を車幅方向内側に突出するように形成したり、当該面に別部材(緩衝材BFを兼ねてもよい)を取り付ける等して、接触部34cが支柱34Aの他の部分よりもタイヤT側に突出するようにしてもよい。また、支柱34Aの下端34bが上端34aよりも車幅方向外側に位置するように、支柱34Aを接続部33Aの車幅方向外側の端部から斜め下方に向けて延設するようにしてもよい。この場合、斜めに延設した支柱34Aの垂直方向に対する角度は、接触部34cがタイヤTに接触する一方ホイールWHには接触しないように設定される。
【0018】
図2に示すように、ステップ36Aは、乗降者の足を載せることが可能な単一の部材である。ステップ36Aは、支柱34Aの接触部34cを挟んで掛止部30Aとは反対側に設けられ、支柱34Aの下端34bから車幅方向外側に向けて連続して一体に延設された角パイプからなる。つまり、支柱34Aとステップ36Aとは、1本の角パイプで形成されている。なお、ステップ36Aは、支柱34Aと一体に形成されていなくてもよい。例えば、ステップ36Aは、支柱34Aの下端34bに固定又は折り畳み可能に取り付けられた、支柱34Aとは別体の部材であってもよい。また、ステップ36Aは、角パイプに限定されず、丸パイプであってもよく、中実の平板材や棒材であってもよい。ステップ36Aの踏面は、平坦でも湾曲していてもよく、踏面に凹凸を設けてもよい。また、ステップ36AをU字状の棒状部材により構成し、上面視で踏面の中央部が空洞となっていてもよい。
【0019】
以下、第1実施形態による作用効果を説明する。
(1)車両用乗降ステップ装置1Aを、車両Vに固定する取付部材2Aと、取付部材2Aに着脱可能であって取付部材2Aとは別体のステップ本体3Aとで構成した。また、取付部材2Aに掛止する掛止部30AとタイヤTに接触する接触部34cとにより、ステップ36Aに加わる乗降者の体重を受け止める構成とした。このため、乗降者の体重を安定して受け止めることができる車両用乗降ステップ装置1Aを、ベースとなる車両の構造に大きな変更を伴うことなく、車両Vに設置することができる。
【0020】
(2)車両用乗降ステップ装置1Aは、取付部材2Aとステップ本体3Aといった簡易な構成で構築できるため、従来の車両用乗降ステップ装置よりも軽量化及び製造コスト削減を図ることができる。
【0021】
(3)車両V側に掛止する掛止部30Aが接触部34cの上側に位置し、ステップ36Aが接触部34cの下側に位置し、掛止部30Aと接触部34cとの間に位置する接触部34cがゴム製のタイヤTに接触する。そのため、乗降者の足がステップ36Aに載り、乗降者の体重がステップ36Aに加わると、端縁20Aに掛止した掛止部30Aによりステップ本体3Aの車幅方向外側への移動が規制され、タイヤTに接触した接触部34cによりステップ本体3Aの車幅方向内側への移動が規制される。また、このとき、ステップ本体3Aに生じた回転モーメントにより接触部34cがゴム製のタイヤTに密着してタイヤTに押し込まれることで、ステップ本体3Aの車両前後方向への移動(タイヤTの外側面TSでの滑りによる位置ずれ)及び水平面における回動(ぐらつき)が抑制される。このため、ステップ36Aの位置ずれやぐらつきが抑制され、ステップ36Aの姿勢が安定する。これにより、乗降者は、車両用乗降ステップ装置1Aを使用して、高位置にある運転席に安定した体勢で容易に乗り込むことができる。特に、他車両や建物の壁等が隣接するためにサイドドアが大きく開けられないといった乗降スペースが十分でない状況では、タイヤTの前方に設けられた既存のステップは体の重心から遠いため、車両上部をつかむ腕の力が必要となり、乗降の際の乗降者の負担が大きい。車両用乗降ステップ装置1Aでは、このような状況においても、腕の力を必要とせず、脚で体重を支えられるため、高位置にある車室への乗降を容易にすることができる。よって、乗降性の良い車両用乗降ステップ装置1Aを提供することができる。
【0022】
(4)掛止部30Aが開口部24a内に挿入されるため、使用時に掛止部30Aが車幅方向に動いた場合でも、掛止部30Aが開口部24aの車幅方向内側の端縁に衝突する。よって、使用時に掛止部30Aが開口部24aから外れにくく、ステップ本体3Aの取付部材2Aへの掛止を良好に維持することができる。
【0023】
(5)タイヤTに対向する接触部34cにタイヤTに接触する緩衝材BFが取り付けられているため、緩衝材BFが設けられていない場合よりも支柱34AのタイヤTの外側面TSからの滑りが抑えられる。このため、支柱34Aの車両前後方向における位置ずれがより抑制されて安定性が増し、乗降性及び安全性がより向上する。
【0024】
(6)支柱34AのタイヤTに対向する接触部34c及び車両Vに対向する面に緩衝材BFが取り付けられているため、ステップ本体3Aの車両Vへの着脱時等に支柱34AによりタイヤTの外側面TS及び車両Vが傷付くことを防止できる。また、接触部34cが支柱34Aの他の部分よりもタイヤT側に突出するようにした場合には、支柱34AがホイールWHに接触することを防止できる。また、支柱34Aを接続部33Aの車幅方向外側の端部から斜め下方に向けて延設するようにした場合にも、支柱34AがホイールWHに接触することを防止できる。
【0025】
(7)ステップ本体3Aは車両Vに固定された取付部材2Aから着脱可能であるため、非使用状態では、ステップ本体3Aを車両Vの任意の場所(例えば、運転席の足元のスペース、助手席後部のスペース)や車両V外部の任意の場所に格納することができる。接続部33Aやステップ36Aを支柱34Aに対して折り畳み可能に構成した場合には、さらに収納性が高まる。このように、ステップ本体3Aは、車両Vに完全に固定されておらず着脱可能であるため、収納場所の自由度が高い。
【0026】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Bについて、図4図6を参照して説明する。図5に示すように、車両用乗降ステップ装置1Bは、取付部材2Bとステップ本体3Bとを備える。ステップ本体3Bは、掛止部30Bと本体部32Aとステップ36Aとを備える。第2実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Bは、第1実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Aの取付部材2Aとステップ本体3Aの掛止部30Aの構成のみ変更したもので、他の構成は同じであるため説明を省略する。
【0027】
図4図5に示すように、取付部材2Bは、車両前後方向に延在する板部材であって、運転席の座席シートSのシートレールSRに車両前後方向の両端部が固定ボルトBTで固定されている。車両前後方向に沿った板部材の側縁20Bが凸部に相当し、座席シートSの乗降口の周縁部のタイヤTの上方に位置する。なお、取付部材2Bに把持部(図示せず)を設けて、乗降者が乗降の際に把持できるようにしてもよい。なお、車両用乗降ステップ装置1Bは、助手席の乗降口の近傍に設置してもよい。この場合、取付部材2Bは、助手席の座席シートSのシートレールSRに固定される。
【0028】
図5図6に示すように、掛止部30Bは、接続部33Aの車幅方向内側の端部から車幅方向内側に向けて延設され板部材であって、内部に取付部材2Bが挿入されて内面が側縁20Bに掛止する下向きのU字形状を有する。掛止部30Bは、側縁20Bに掛止した状態でステップ本体3Bの車幅方向外側への移動を規制する。
【0029】
第2実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Bによれば、第1実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Aと同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Bでは、取付部材2BがシートレールSRに固定されるため、取付部材2Bの車両Vへの固定が第1実施形態よりも容易である。なお、掛止部30Bの下向きのU字形状の内部に取付部材2Bが挿入されるため、第2実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Bでも、使用時に掛止部30Bが車幅方向内側に動いた場合でも、掛止部30Bが取付部材2Bの車幅方向外側の側縁に衝突する。よって、掛止部30Bが取付部材2Bから外れにくく、ステップ本体3Bの取付部材2Bへの掛止を良好に維持することができる。
【0030】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Cについて、図7図9を参照して説明する。第1及び第2実施形態と同様の構成については説明を省略する。図7に示すように、車両用乗降ステップ装置1Cは、車両Vにおいて、タイヤTの直上付近に座席シートSが設置された助手席の乗降口の近傍に設置して使用される。
【0031】
図8に示すように、車両用乗降ステップ装置1Cは、取付部材2Cとステップ本体3Cとを備える。ステップ本体3Cは、2つの掛止部30Bと2つの本体部32Aと2つのステップ36C、37とを備える。ステップ本体3Cは、例えば、助手席の背面スペースに収納することができる。なお、ステップ本体3Cは、掛止部30Bと本体部32Aとをそれぞれ3つ以上備えてもよい。
【0032】
図7図9に示すように、取付部材2Cは、ブラケット26aと板部材26bとを備える。ブラケット26aは、助手席の座席シートSが上部に固定されたエンジンカバーECのパイプフレームPFに固定される。板部材26bは、車両前後方向に延在し、車両前後方向の両端部がブラケット26aに固定ボルトBTで固定される。板部材26bの車両前後方向に沿った側縁20Cが凸部に相当し、座席シートSの乗降口の周縁部のタイヤTの上方に位置する。なお、取付部材2Cに把持部(図示せず)を設けて、乗降者が乗降の際に把持できるようにしてもよい。なお、車両用乗降ステップ装置1Cは、運転席の乗降口の近傍に設置してもよい。この場合、取付部材2Cは、運転席の座席シートSの下に設けられたエンジンカバーECのパイプフレームに固定される。
【0033】
図8図9に示すように、各掛止部30Bは、内部に板部材26bが挿入されて内面が側縁20Cに掛止する。各掛止部30Bは、側縁20Cに掛止した状態でステップ本体3Cの車幅方向外側への移動を規制する。なお、掛止部30B及び接続部33Aを支柱34Aである2本の角パイプに固定された1枚の板部材で構成し、この1枚の板部材の下向きのU字形状の内面を側縁20Cに掛止させる構成としてもよい。掛止部30Bの板部材が1枚であっても2枚であっても、掛止部30Bが掛止する凸部が車両前後方向に延在する板部材26bの側縁20Cであるため、取付部材2Cの構成を変更する必要がない。
【0034】
図7、9に示すように、2つの支柱34Aの角パイプのそれぞれに設けられた計2つの接触部34cが、タイヤTに接触した状態で、ステップ本体3Cの車幅方向内側への移動を規制する。また、2つの接触部34cがゴム製のタイヤTに密着してタイヤTに押し込まれることで、ステップ本体3Cの車両前後方向への移動及び水平面における回動が抑制される。
【0035】
図8、9に示すように、2つの支柱34Aの角パイプのそれぞれのタイヤTに対向する計2つの面(2つの接触部34c)及び車両(タイヤT上部の車体VB)に対向する計2つの面に取り付けられた計2つの緩衝材BFが、掛止部30Bが側縁20Cに掛止した状態で、タイヤTに接触する。
【0036】
図8、9に示すように、ステップ本体3Cは、乗降者の足を載せることが可能な板状のステップを上下に合計2つ備える。2つの板状のステップ(第1のステップ36C及び第2のステップ37)のうち下側のステップ(第1のステップ36C)は、車両前後方向の両縁部が、2つの接触部34cよりも下側に位置する支柱34Aの2本の角パイプの各下端34bに、折り畳み可能に取り付けられている。なお、ステップ36C、37を折り畳み可能とせず、支柱34Aに固定してもよい。また、ステップ36C、37は、板状に限定されず、パイプであってもよく、中実の棒材であってもよい。ステップ36C、37の踏面は、平坦でも湾曲していてもよく、踏面に凹凸を設けてもよい。なお、ステップ本体3Cは、ステップとして、支柱34Aの下端34bに設けられた第1のステップ36Cのみ有する構成としてもよい。また、ステップ本体3Cは、板状のステップを上下方向に合計3つ以上備えてもよい。
【0037】
第3実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Cによれば、第2実施形態の車両用乗降ステップ装置1Bと同様の効果を奏することができる。また、ステップ36C、37を板状とし、上下に合計2枚設けているため、乗降性に優れている。さらに、支柱34Aを車両前後方向に並べた2本の角パイプで構成し、2つの接触部34cでタイヤTに密着するようにしたため、使用時におけるステップ本体3Cの車両前後方向への移動及び水平面における回動がより抑制され、ステップ本体3Cの姿勢がより安定する。また、車両用乗降ステップ装置1Cでは、取付部材2Cが座席シートS近傍のエンジンカバーECのパイプフレームPFに固定されるため、取付部材2Cの車両Vへの固定が第1実施形態よりも容易である。2枚のステップ36C、37を折り畳み可能に構成すれば、収納性の悪化も抑えられる。例えば、福祉車両では、車両Vの後部座席だけでなく助手席にも高齢者等が乗り込むことがあり、車両用乗降ステップ装置1Cを用いることで、高齢者等の乗降を楽にすることができる。
【0038】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Dについて、図10図12を参照して説明する。図11図12に示すように、車両用乗降ステップ装置1Dは、取付部材2Dとステップ本体3Dとを備える。ステップ本体3Dは、掛止部30Dと本体部32Dとステップ36Aとを備える。本体部32Dは、接続部33Dと支柱34Aとを備える。第4実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Dは、第1実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Aの取付部材2A、掛止部30A、接続部33Aの構成のみ変更したもので、他の構成は同じであるため説明を省略する。
【0039】
図10に示すように、取付部材2Dは、運転席の座席シートSの側方に固定された、車両前後方向に延在するキッキングプレートである。キッキングプレート2Dの車両前後方向に沿った側縁20Dが凸部に相当し、座席シートSの乗降口の周縁部のタイヤTの上方に位置する。なお、車両用乗降ステップ装置1Dは、助手席の乗降口の近傍に設置してもよい。この場合、取付部材2Dは、助手席の座席シートSのキッキングプレートに固定される。
【0040】
図11図12に示すように、掛止部30Dは、第1のフレーム30Daと第2のフレーム30Dbとを備える。第1のフレーム30Daは、接続部33Dの車幅方向内側の端部から下方に向けて連続して一体に延設されている。第2のフレーム30Dbは、第1のフレーム30Daの下端に固定され、車両前後方向に延設され、側縁20Dに車両前後方向に沿って当接して掛止する。第1のフレーム30Daと接続部33Dと支柱34Aとは、連続して一体に設けられた1本の角パイプからなるフレームである。第2のフレーム30Dbは、側縁20Dに掛止した状態でステップ本体3Dの車幅方向外側への移動を規制する。
【0041】
第4実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Dによれば、取付部材2Dの構成による効果以外は第1実施形態の車両用乗降ステップ装置1Aと同様の効果を奏することができる。すなわち、車両用乗降ステップ装置1Dでは、取付部材2Dとして、車両Vに既設のキッキングプレートを使用している。そのため、ベースとなる車両Vの構造に対する変更が全く必要ない。
【0042】
(変形例)
図13に示すように、第4実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Dにおいて、第2のフレーム30Dbを省略して掛止部30Dを第1のフレーム30Daのみで構成し、第1のフレーム30Daの下端を側縁20Dに掛止するようにしてもよい。この変形例では、第1のフレーム30Daが、側縁20Dに掛止した状態でステップ本体3Dの車幅方向外側への移動を規制する。この第2のフレーム30Dbを省略したステップ本体3Dは、例えば、図14に示すように、運転席の足元のスペースに設けた収納ボックスBX内に収納される。上記変形例によれば、第4実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Dと同様の効果を奏することができる。また、上記変形例は、掛止部30Dが第2のフレーム30Dbを備えないため、第4実施形態よりも側縁20Dに掛止部30Dが接触する面積が少なくなるが、第4実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Dよりも簡素な構造とすることができるため、軽量化、製造コスト削減、収納性向上を図ることができる。
【0043】
図15に示すように、第4実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Dにおいて、第3実施形態のように、ステップ本体3Dの掛止部30D、接続部33D、支柱34Aを2つ(又は3つ以上)ずつ設け、また、2枚(又は3枚以上)のステップ36C、37を設けるようにしてもよい。このような構成によれば、第3実施形態の車両用乗降ステップ装置1Cと同様の効果を奏することができ、また、第4実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Dよりも乗降性を向上できる。
【0044】
上記で述べた図15に示す変形例と同様に、第1及び第2実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1A、1Bにおいて、第3実施形態のように、ステップ本体3A、3Bの各部をそれぞれ2つ又は3つ以上の部材で構成するようにしてもよい。また、第3実施形態に係る車両用乗降ステップ装置1Cにおいて、第1、2、4実施形態のように、ステップ本体3Cの各部をそれぞれ1つの部材で構成するようにしてもよい。上記の各変形例においても、第1~4実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0045】
第4実施形態及びその変形例以外では、車両Vに取付部材2を新たに固定する構成としたが、車両Vに既設されている部材の凸部(車幅方向内側を向く面)を利用してステップ本体3A~3Cを掛止させるようにしてもよい。このようにすることで、ベースとなる車両Vの構造を全く変更することなく車両用乗降ステップ装置1を実現できる。
【0046】
上記各実施形態及び変形例で述べた各部の材料は、鋼材でも樹脂でも、所望の強度を確保できる材料であれば良い。また、各部の形状は、所望の強度を確保でき、車両の他の部材の邪魔にならない形状であり、上記で述べたステップ本体3A~3Dの移動の規制ができれば、上記の形状に限定されない。さらに、各部は、同一体で形成されていても、複数の部材をつなぎ合わせた構成であってもよい。各部どうし(取付部材2の車両Vへの固定を含む)の接続、連結、固定方法も、一体形成、ボルトやねじによる締結、溶接等、適宜選択することができる。
【0047】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【符号の説明】
【0048】
V 車両; S 座席シート; EC エンジンカバー; SR シートレール; T タイヤ; 1、1A、1B、1C、1D 車両用乗降ステップ装置; 2A、2B、2C、2D 取付部材; 20A 端縁(凸部); 20B、20C、20D 側縁(凸部); 24a 開口部(被掛止穴); 2D キッキングプレート; 3A、3B、3C、3D ステップ本体; 30A、30B、30D 掛止部; 30Da 第1のフレーム; 30Db 第2のフレーム; 32A、32B 本体部; 34c 接触部; BF 緩衝材; 36A、36C ステップ、第1のステップ; 37 別のステップ、第2のステップ
図1
図2
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