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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122067
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】制動制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/1755 20060101AFI20240902BHJP
   B60T 8/00 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B60T8/1755 Z
B60T8/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029388
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇作
(72)【発明者】
【氏名】藤田 好隆
(72)【発明者】
【氏名】山縣 悠
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246AA08
3D246AA09
3D246DA01
3D246EA05
3D246GA04
3D246GB04
3D246GB12
3D246GB39
3D246GC14
3D246GC16
3D246HA03A
3D246HA04A
3D246HA33A
3D246HA48A
3D246HA49A
3D246HA84C
3D246HA94A
3D246HA97C
3D246JA01
3D246JA12
3D246JB43
(57)【要約】
【課題】第1モードから第2モードに切り替わった場合に制動時における車両の姿勢の変化態様が急に変わることを抑制できる。
【解決手段】制動制御装置50の処理回路51は、車両10の制御モードを、摩擦制動力及び回生制動力のうち少なくとも回生制動力を発生させる第1制動モードと、制動割合を第1制動モードの制動割合よりも大きくする第2制動モードとを切り替えるモード切替部M11と、モード切替部M11により制御モードが切り替えられた後に、車両10に付与する制動力の制動割合を、複数回の制動作動に渡って、モード切替部M11による切り替え前の制御モードの制動割合から切り替え後の制御モードの制動割合に、徐々に変更する制御部M17として機能する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に第1制動力を付与する第1制動部と前記車両に第2制動力を付与する第2制動部とを備え、前記第2制動部が前記車両に付与する前記第2制動力と同じ大きさの前記第1制動力を前記第1制動部が前記車両に付与する際に前記車両に与える姿勢変化が、前記同じ大きさの前記第2制動力を前記第2制動部が前記車両に付与する際に前記車両に与える姿勢変化よりも大きい前記車両に適用され、
前記第1制動力と前記第2制動力との和である合計制動力を制御する制動制御装置において、
前記車両の制御モードを、前記第1制動力と前記第2制動力とのうち少なくとも前記第2制動力を発生させる第1モードと、前記合計制動力のうち前記第1制動力の占める割合である制動割合を前記第1モードの前記制動割合よりも大きくする第2モードと、に切り替えるモード切替部と、
前記モード切替部により前記車両の前記制御モードが切り替えられた後に、前記車両に付与する制動力の前記制動割合を、複数回の制動作動に渡って、前記モード切替部による切り替え前の前記制御モードの前記制動割合から前記モード切替部による切り替え後の前記制御モードの前記制動割合に、徐々に変更する制御部と、を備える
制動制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記モード切替部による切り替え前の前記制御モードに基づいた制動作動を行う場合の前記車両のピッチング運動と、前記モード切替部による切り替え後の前記制御モードに基づいた制動作動を行う場合の前記車両のピッチング運動との差分に基づいて、前記車両に付与する制動力の前記制動割合を徐々に変更する
請求項1に記載の制動制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記モード切替部により前記制御モードが切り替えられた後に発生した制動作動の回数が所定の制限回数に達した以降の制動作動時には、前記車両に発生させる制動力の前記制動割合として、前記モード切替部による切り替え後の前記制御モードの前記制動割合を設定し、
当該制動制御装置は、前記第1モードでの制動作動時の前記車両の前後加速度と、前記第2モードでの制動作動時の前記車両の前後加速度との差分が大きいほど大きい値を前記制限回数として設定する回数設定部を備える
請求項1に記載の制動制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記モード切替部により前記制御モードが切り替えられた以降において、前回の制動が終了してから所定の判定時間が経過した以降での制動作動時には、前記車両に付与する制動力の前記制動割合として、前記モード切替部による切り替え後の前記制御モードの前記制動割合を設定する
請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の制動制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記モード切替部により前記制御モードが切り替えられた後であって、前記車両に付与する制動力の前記制動割合が、前記モード切替部による切り替え後の前記制御モードの前記制動割合になる前に、前記車両の運転スイッチがオフとされ、次に前記運転スイッチがオンとされた場合、前記車両に付与する制動力の前記制動割合として、前記モード切替部による切り替え後の前記制御モードの前記制動割合に設定する
請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の制動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制動力を制御する制動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、走行モードとして手動運転モードと自動運転モードとが用意されている車両に適用される制御装置を開示している。当該制御装置は、手動運転モードで車両が走行している場合には、自動運転モードで車両が走行している場合と比較して、車両制動時における車両のピッチ角又はピッチ角の増大速度が大きくなるように制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7107716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手動運転モードで車両が走行している場合の制動制御を第1姿勢制御とし、自動運転モードで車両が走行している場合の制動制御を第2姿勢制御とする。第1姿勢制御から第2姿勢制御に切り替わった場合、姿勢制御が切り替わってから最初の制動時における車両の姿勢の変化態様は、姿勢制御が切り替わる前の最後の制動時における車両の姿勢の変化態様と大きく異なることがある。制動時における車両の姿勢の変化態様が、前回の制動時における車両の姿勢の変化態様と大きく異なると、車両の姿勢の変化態様が変わったことに対する違和感を車両の乗員が抱くおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための制動制御装置は、車両に第1制動力を付与する第1制動部と前記車両に第2制動力を付与する第2制動部とを備え、前記第2制動部が前記車両に付与する前記第2制動力と同じ大きさの前記第1制動力を前記第1制動部が前記車両に付与する際に前記車両に与える姿勢変化が、前記同じ大きさの前記第2制動力を前記第2制動部が前記車両に付与する際に前記車両に与える姿勢変化よりも大きい前記車両に適用される。当該制動制御装置は、前記第1制動力と前記第2制動力との和である合計制動力を制御する装置である。当該制動制御装置は、前記車両の制御モードを、前記第1制動力と前記第2制動力とのうち少なくとも前記第2制動力を発生させる第1モードと、前記合計制動力のうち前記第1制動力の占める割合である制動割合を前記第1モードの前記制動割合よりも大きくする第2モードと、に切り替えるモード切替部と、前記モード切替部により前記車両の前記制御モードが切り替えられた後に、前記車両に付与する制動力の前記制動割合を、複数回の制動作動に渡って、前記モード切替部による切り替え前の前記制御モードの前記制動割合から前記モード切替部による切り替え後の前記制御モードの前記制動割合に、徐々に変更する制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
上記制動制御装置は、制動モードが切り替わった場合に制動時における車両の姿勢の変化態様が急に変わることを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の制動制御装置を備えた車両の概略を示す構成図である。
図2図2は、図1の車両を示す模式図である。
図3図3は、第1制動モードに基づいた車両制動時の車両の姿勢の変化態様を示す模式図である。
図4図4は、第2制動モードに基づいた車両制動時の車両の姿勢の変化態様を示す模式図である。
図5図5は、図1の制動制御装置が備える処理回路が実行する一連の処理を示すフローチャートである。
図6図6は、図1の制動制御装置が備える処理回路が実行する一連の処理を示すフローチャートである。
図7図7は、図1の制動制御装置の作用を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、制動制御装置の一実施形態を図1から図7に従って説明する。
図1は、制動制御装置50を備える車両10を図示している。車両10は、制動操作部材11と、複数の車輪と、複数の摩擦ブレーキ20と、制動装置30と、回生装置40とを備えている。複数の車輪は、前輪12と後輪13とを含んでいる。制動操作部材11は、車両10に制動力を付与する際に運転者が操作する部材である。例えば、制動操作部材11は、ブレーキペダルやブレーキレバーである。
【0009】
<回生装置>
回生装置40は、後輪13用のモータジェネレータ41と、モータジェネレータ41を制御する回生制御装置45とを備えている。モータジェネレータ41は、電動機として機能することにより、後輪13に駆動力を伝達する。一方、モータジェネレータ41は、発電機として機能することにより、モータジェネレータ41の発電量に応じた回生制動力を後輪13に付与する。具体的には、モータジェネレータ41は、後輪13の車軸13Aの回転を抑えることによって後輪13に回生制動力を付与する。
【0010】
回生制御装置45は、モータジェネレータ41を制御する処理回路46を有している。例えば、処理回路46は電子制御装置である。この場合、処理回路46はCPU及びメモリを有している。メモリは、CPUによって実行される制御プログラムを記憶している。CPUが当該制御プログラムを実行することにより、処理回路46はモータジェネレータ41を制御する。なお、回生制御装置45は、制動制御装置50と各種の情報の送受信が可能である。そのため、処理回路46は、車両制動時には、制動制御装置50と協調して回生制動力を調整する。
【0011】
<摩擦ブレーキ>
複数の摩擦ブレーキ20は、対応する車輪に摩擦制動力を付与する。摩擦ブレーキ20は、ホイールシリンダ21と回転体22と摩擦部23とを有している。回転体22は車輪と一体に回転するため、摩擦部23を回転体22に押し付けることにより、車輪に摩擦制動力が付与される。回転体22に摩擦部23を押し付ける力は、ホイールシリンダ21内の液圧であるホイール液圧が高いほど大きくなる。そのため、摩擦ブレーキ20は、ホイール液圧が高いほど大きい摩擦制動力を車輪に付与できる。
【0012】
<制動装置>
制動装置30は、複数のホイールシリンダ21のホイール液圧を制御することによって、車輪12,13に付与する摩擦制動力を調整する。例えば、制動装置30は、複数のホイールシリンダ21にブレーキ液を供給する加圧源を有している。加圧源は、例えば、電動ポンプ及び電動シリンダである。制動装置30は、前輪12用のホイールシリンダ21のホイール液圧と後輪13用のホイールシリンダ21のホイール液圧とを個別に制御できる。
【0013】
<車両制動時における車両の姿勢変化>
図2を参照し、車両制動時における車両10の姿勢変化について説明する。図2では、前輪側のばね上荷重SWf及び後輪側のばね上荷重SWrが白抜きの矢印で表されている。ばね上荷重とは、車両重量及びピッチングモーメントPMによって車体14からサスペンションに入力される垂直方向の荷重のことである。
【0014】
制動力の付与によって車両10が減速すると、図2に実線の矢印で示すようなピッチングモーメントPMが車両10に発生するため、ノーズダイブ側に車両10がピッチング運動する。ノーズダイブとは、車両10の前部を下方に変位させるとともに車両10の後部を上方に変位させる車両10の挙動である。一方、車両10の前部を上方に変位させるとともに車両10の後部を下方に変位させる車両10の挙動を「ノーズリフト」という。図2の矢印Y1に示すようにノーズダイブ側に車両10の姿勢が変化すると、車両10のピッチ角APが大きくなる。例えば車両10の減速度が大きいほど、車両制動時のピッチングモーメントPMが大きくなる。また例えば、車両重量が大きいほど、車両制動時のピッチングモーメントPMが大きくなる。そして、ピッチングモーメントPMが大きいほど、ピッチ角APが大きくなったり、ピッチ角APの増大速度が大きくなったりする。その一方で、図2の矢印Y2に示すようにノーズリフト側に車両10の姿勢が変化すると、ピッチ角APが小さくなる。
【0015】
車両制動時には、図2に黒塗りの矢印で示すように、アンチダイブ力FADとアンチリフト力FALとが車両10で発生する。アンチダイブ力FADは、前輪12に制動力が付与されているときに車両前部を上方に変位させる力である。前輪12に付与される制動力が大きいほどアンチダイブ力FADは大きくなる。アンチリフト力FALは、後輪13に制動力が付与されているときに車両後部を下方に変位させる力である。後輪13に付与される制動力が大きいほどアンチリフト力FALは大きくなる。
【0016】
アンチダイブ力FAD及びアンチリフト力FALは、ピッチ角APが大きくなることを抑制する力である。そのため、アンチリフト力FALとアンチリフト力FALとの和である抑制力FAPが大きいほど、車両制動時にピッチ角APが大きくなることを抑制できたり、車両制動時におけるピッチ角APの増大速度が小さくなったりする。
【0017】
ところで、上記抑制力FAPは、摩擦制動力が車両10に付与されている場合でも発生するし、回生制動力が車両10に付与されている場合でも発生する。車両10は、車両10に摩擦制動力が付与されている場合のほうが車両10に回生制動力が付与されている場合よりも抑制力FAPが大きくなるように構成されている。つまり、車両10は、回生制動力が車両10に付与されている場合には摩擦制動力が車両10に付与されている場合よりも車両制動に伴う車両10の姿勢変化の抑制効果が小さくなるように構成されている。例えば車両10に付与する回生制動力を所定の制動力とした場合に車両10に与える姿勢変化が、車両10に付与する摩擦制動力を所定の制動力とした場合に車両10に与える姿勢変化よりも大きくなるように、車両10が設計されている。したがって、本実施形態では、摩擦制動力が「第1制動力」に対応し、摩擦制動力を発生させるべく作動する制動装置30及び複数の摩擦ブレーキ20により、「第1制動部」の一例が構成されている。また、回生制動力が「第2制動力」に対応し、回生装置40が「第2制動部」に対応する。
【0018】
<検出系>
図1に示すように、制動制御装置50には検出系から検出信号が入力される。検出系は複数のセンサを有している。複数のセンサは、ブレーキセンサ101と、前後加速度センサ102とを含んでいる。ブレーキセンサ101は、運転者による制動操作部材11の操作に関連する情報を検出する。ブレーキセンサ101としては、例えば、運転者の制動操作部材11の操作量を検出するセンサ、及び、運転者の制動操作部材11の操作力を検出するセンサを挙げることができる。前後加速度センサ102は、車両10の前後加速度を検出する。前後加速度センサ102の検出信号に基づいた前後加速度を「前後加速度Gx」という。
【0019】
<車両の操作部>
制動制御装置50には、各種の操作部から入力信号が入力される。操作部は、車室内に設置された操作部であり、車両10の乗員が操作するものである。例えば、車室内には、操作部として、運転スイッチ111とモード切替スイッチ112とが設置されている。運転スイッチ111は、車両10の制御システムを起動させたり、当該システムを停止させたりする際に操作される。例えば、運転スイッチ111はイグニッションスイッチである。
【0020】
モード切替スイッチ112は、車両10の走行モードを切り替える際に運転者が操作するスイッチである。例えば、モード切替スイッチ112は、手動運転モードと自動運転モードとを切り替えるためのスイッチである。手動運転モードは、運転者のアクセル操作、制動操作及びステアリング操作に基づいて車両10を走行させるモードである。自動運転モードは、運転者のアクセル操作、制動操作及びステアリング操作に拘わらず、車両10を自律的に走行させるモードである。
【0021】
<制動モード>
手動運転モードが選択されている場合における車両10の制動モードを「第1制動モードBM1」という。自動運転モードが選択されている場合における制動モードを「第2制動モードBM2」という。本実施形態では、第1制動モードBM1が「第1モード」に対応し、第2制動モードBM2が「第2モード」に対応する。制動モードが「車両10の制御モード」に対応する。また、制動モードに従って制動装置30及び回生装置40を作動させることを「制動操作」ともいう。
【0022】
図3には、第1制動モードBM1での車両制動時における車両10の姿勢の変化態様が図示されている。図4には、第2制動モードBM2での車両制動時における車両10の姿勢の変化態様が図示されている。図3及び図4でも明らかなように、第2制動モードBM2での車両制動時には、第1制動モードBM1での車両制動時と比較して車両10の姿勢の変化が抑えられる。本実施形態では、第1制動モードBM1は、車両10の摩擦制動力BPF及び回生制動力BPEのうち少なくとも回生制動力を車両10に付与する制動モードである。ここでいう「車両10の摩擦制動力BPF」とは、複数の車輪12,13に付与される摩擦制動力の総和である。「車両10の回生制動力BPE」とは、複数の車輪12,13に付与される回生制動力の総和である。なお、車両10の摩擦制動力BPFと回生制動力BPEとの和を「合計制動力BPA」という。また、合計制動力BPAのうち摩擦制動力BPFの占める割合を「制動割合RTBr」という。
【0023】
第2制動モードBM2は、制動割合RTBrを第1制動モードBM1の制動割合RTBrよりも大きくする制動モードである。合計制動力BPAが同じであっても制動割合RTBrが大きい場合には、制動割合RTBrが小さい場合と比較して、摩擦制動力BPFが大きくなる。その結果、制動割合RTBrが大きいほど、車両制動時の抑制力FAPが大きくなる分、車両制動時に車両10の姿勢の変化が抑えられる。
【0024】
<制動制御装置>
図1に示すように、制動制御装置50は制動装置30を制御する。制動制御装置50は回生装置40の回生制御装置45と通信を行う。
【0025】
制動制御装置50は処理回路51を備えている。例えば、処理回路51は電子制御装置である。この場合、処理回路51はCPU52及びメモリ53を有している。メモリ53は、CPU52によって実行される制御プログラムを記憶している。CPU52が当該制御プログラムを実行することにより、処理回路51は、制動装置30を制御して車両10に摩擦制動力BPFを付与させる。また、処理回路51は、回生制動力BPEに関する指示を回生制御装置45に送信して車両10に回生制動力BPEを付与させる。
【0026】
<回生協調制御>
処理回路51が実行する回生協調制御について説明する。処理回路51は、車両10に対する制動力の要求値である要求制動力BPRqを導出する。処理回路51は、制動操作部材11が操作されている場合、ブレーキセンサ101の検出信号に応じた値を要求制動力BPRqとして導出する。処理回路51は、他の制御装置から車両10の減速が要求された場合、車両10の減速度の要求値に応じた値を要求制動力BPRqとして導出する。処理回路51は、回生制御装置45に要求制動力BPRqを送信する。すると、処理回路51は、回生装置40が実際に車両10に付与する回生制動力BPEを回生制御装置45から受信する。
【0027】
処理回路51は、回生制動力BPEと要求制動力BPRqとに基づいて、車両10に対する摩擦制動力の目標である目標摩擦制動力BPFtrを導出する。処理回路51は、回生制動力BPEが要求制動力BPRqと等しい場合、0(零)を目標摩擦制動力BPFtrとして導出する。一方、処理回路51は、回生制動力BPEが要求制動力BPRq未満である場合、要求制動力BPRqと回生制動力BPEとの差分の大きさを目標摩擦制動力BPFtrとして導出する。処理回路51は、当該目標摩擦制動力BPFtrに基づいて制動装置30を作動させる。
【0028】
<機能部>
処理回路51は、メモリ53の制御プログラムをCPU52が実行することにより、モード切替部M11、差分導出部M13、回数設定部M15及び制御部M17として機能する。
【0029】
モード切替部M11は、車両10の制御モードの一例である制動モードの切り替えを行う。具体的には、モード切替部M11は、制動モードを、第1制動モードBM1と第2制動モードBM2とに切り替える。例えば、モード切替部M11は、モード切替スイッチ112が操作されたことをトリガーとして制動モードの切り替えを行う。すなわち、第1制動モードBM1が選択されている状況下でモード切替スイッチ112が操作された場合、モード切替部M11は、制動モードを第1制動モードBM1から第2制動モードBM2に切り替える。第2制動モードBM2が選択されている状況下でモード切替スイッチ112が操作された場合、モード切替部M11は、制動モードを第2制動モードBM2から第1制動モードBM1に切り替える。
【0030】
制御部M17は、第1制動モードBM1が選択されている場合には、第1制動モードBM1に従って制動装置30及び回生装置40を制御する。例えば、制御部M17は、第1制動モードBM1が選択されている場合には、上記の回生協調制御を実行する。これにより、制御部M17は、回生制動力BPEを大きくすることができる。また、制御部M17は、第1制動モードBM1が選択されている場合には、車両10に付与する制動割合RTBrとして、第1制動モードBM1の制動割合を設定する。
【0031】
制御部M17は、第2制動モードBM2が選択されている場合には、第2制動モードBM2に従って制動装置30及び回生装置40を制御する。第2制動モードBM2での上記制動割合RTBrの目標を「目標制動割合RTBrtr」という。例えば、摩擦制動力BPFを回生制動力BPEよりも大きくできる値が、目標制動割合RTBrtrとして設定されている。制御部M17は、第2制動モードBM2が選択されている場合には、車両10に付与する制動割合RTBrとして、第2制動モードBM2の制動割合、すなわち目標制動割合RTBrtrを設定する。つまり、制御部M17は、制動割合RTBrが目標制動割合RTBrtrとなるように、制動装置30及び回生装置40を制御する。具体的には、制御部M17は、車両10の走行速度がすり替え開始速度よりも大きく、且つ車両10の減速度が実質的に保持されている場合に制動割合RTBrが目標制動割合RTBrtrとなるように、制動装置30及び回生装置40を制御する。
【0032】
回生協調制御を実行できる制動制御装置50にあっては、車両10の走行速度がすり替え開始速度以下になると、回生制動力BPEを0(零)に向けて減少させるとともに、回生制動力BPEの減少に応じて摩擦制動力BPFを増大させるすり替え制御が実行される。そのため、制御部M17は、こうしたすり替え制御を開始すると、実際の制動割合を目標制動割合RTBrtrとする制動制御を終了する。なお、以降では、実際の制動割合を目標制動割合RTBrtrとする制動制御を「第2制動モードBM2で制動装置30及び回生装置40を制御する」という。
【0033】
制御部M17は、モード切替部M11により制動モードが切り替えられた後に、車両10に付与する制動力の制動割合RTBrを、複数回の制動作動に渡って、切り替え前の制御モードの制動割合から切り替え後の制御モードの制動割合に、徐々に変更する。例えば、制御部M17は、モード切替部M11が第1制動モードBM1から第2制動モードBM2に切り替えた以降では、車両10に制動力を付与させる毎に、制動割合RTBrが目標制動割合RTBrtrに向けて段階的に大きくなるように、制動装置30及び回生装置40を制御する。なお、モード切替部M11が第1制動モードBM1から第2制動モードBM2に切り替えた時点から、実際に第2制動モードBM2で制動装置30及び回生装置40が制御されるようになるまでの期間を、「第1移行期間」ともいう。
【0034】
例えば、第1移行期間中では、制御部M17は以下の関係式(F1)を参照して制動割合RTBrを設定する。関係式(F1)において、「CNT」は、モード切替部M11が第1制動モードBM1から第2制動モードBM2に切り替えた時点からの車両制動の実行回数である。当該実行回数を「制動回数CNT」という。「CNTth」は所定の制限回数である。例えば、制限回数CNTthとして2以上の整数が設定される。「RTBrB」は、第1制動モードBM1での制動割合RTBrである基準制動割合である。すなわち、第1移行期間になる前の最後の第1制動モードBM1での制動作動時における制動割合RTBrが、基準制動割合RTBrBである。具体的には、第1制動モードBM1での車両制動時において、車両10の走行速度がすり替え開始速度よりも大きく、且つ車両10の減速度が実質的に保持されている場合の制動割合RTBrが、基準制動割合RTBrBである。
【0035】
RTBr=RTBrB+(RTBrtr-RTBrB)×CNT/CNTth ・・・(F1)
制御部M17は、モード切替部M11が第1制動モードBM1から第2制動モードBM2に切り替えた以降の第1移行期間では、上記関係式(F1)を用いて制動割合RTBrを導出する。すなわち、モード切替部M11が第1制動モードBM1から第2制動モードBM2に切り替えると、制御部M17は、車両制動が行われる毎に制動回数CNTを1ずつ増大させる。そして、制動回数CNTが制限回数CNTthに達すると第1移行期間が終了するため、制御部M17は、それ以降の車両制動時では第2制動モードBM2で制動装置30及び回生装置40を制御する。すなわち、制御部M17は、車両10に付与する制動力の制動割合RTBrとして、第2制動モードBM2の制動割合を設定する。
【0036】
制御部M17は、モード切替部M11が第2制動モードBM2から第1制動モードBM1に切り替えた以降では、車両10に制動力を付与させる毎に、制動割合RTBrが段階的に小さくなるように、制動装置30及び回生装置40を制御する。なお、モード切替部M11が第2制動モードBM2から第1制動モードBM1に切り替えた時点から、実際に第1制動モードBM1で制動装置30及び回生装置40が制御されるようになるまでの期間を、「第2移行期間」ともいう。
【0037】
例えば、制御部M17は、第2移行期間での車両制動の回数が所定回数(制限回数の一例)に達すると、第2移行期間が終了したと判定する。所定回数は、2以上の整数である。そして、第2移行期間が終了したと判定した以降での車両制動時には、制御部M17は、第1制動モードBM1で制動装置30及び回生装置40を制御する。すなわち、制御部M17は、車両10に付与する制動力の制動割合RTBrとして、第1制動モードBM1の制動割合を設定する。
【0038】
差分導出部M13は、第1制動モードBM1での車両制動時における車両10のピッチング運動に関する指標である第1指標を導出する。差分導出部M13は、第2制動モードBM2での車両制動時における車両10のピッチング運動に関する指標である第2指標を導出する。そして、差分導出部M13は、第1指標と第2指標との差分を算出する。
【0039】
例えば、差分導出部M13は、第1制動モードBM1での車両制動時における車両10のピッチ角である第1ピッチ角AP1を第1指標として算出する。差分導出部M13は、第2制動モードBM2での車両制動時における車両10のピッチ角である第2ピッチ角AP2を第2指標として算出する。そして、差分導出部M13は、第1ピッチ角AP1と第2ピッチ角AP2との差分の大きさであるピッチ角差分DAPを、第1指標と第2指標との差分として導出する。このピッチ角差分DAPが、モード切替部M11による切り替え前の制動モードに基づいた制動作動を行う場合の車両10のピッチング運動と、モード切替部M11による切り替え後の制動モードに基づいた制動作動を行う場合のピッチング運動との差分に対応する。
【0040】
車両制動時のピッチ角APは、車両10の減速度が大きいほど大きくなる。また、車両制動時のピッチ角APは、上記抑制力FAPが小さいほど大きくなる。車両10の減速度は要求制動力BPRqと相関する。抑制力FAPは、摩擦制動力BPF及び回生制動力BPEを基に導出できる。したがって、差分導出部M13は、車両10の要求制動力BPRqと摩擦制動力BPFと回生制動力BPEとに基づいてピッチ角APを導出できる。
【0041】
ここで、差分導出部M13は、モード切替部M11が第1制動モードBM1から第2制動モードBM2に切り替えた場合に、第1ピッチ角AP1及び第2ピッチ角AP2を導出する。この場合、差分導出部M13は、第1制動モードBM1での最後の車両制動時における要求制動力BPRq、摩擦制動力BPF及び回生制動力BPEを基に、第1ピッチ角AP1を導出する。例えば、差分導出部M13は、第1制動モードBM1での最後の車両制動時における要求制動力BPRqの最大値と、そのときの摩擦制動力BPF及び回生制動力BPEとを基に、第1ピッチ角AP1を導出する。第1制動モードBM1での最後の車両制動時における要求制動力BPRqの最大値を「基準制動力」という。
【0042】
差分導出部M13は、基準制動力と目標制動割合RTBrtrとを基に、第2制動モードBM2で車両10に制動力を付与させる際の摩擦制動力BPFの予測値と回生制動力BPEの予測値とを導出する。この場合、差分導出部M13は、基準制動力と目標制動割合RTBrtrとの積を摩擦制動力BPFの予測値として導出できる。また差分導出部M13は、基準制動力と摩擦制動力BPFの予測値との差を回生制動力BPEの予測値として導出できる。そして、差分導出部M13は、基準制動力と摩擦制動力BPFの予測値と回生制動力BPEの予測値とを基に、第2ピッチ角AP2を導出する。
【0043】
回数設定部M15は、制限回数CNTthを設定する。回数設定部M15は、上記ピッチ角差分DAPが大きいほど大きい値を制限回数CNTthとして設定する。また、回数設定部M15は、車両10の重量が大きいほど大きい値を制限回数CNTthとして設定する。車両10の乗員数が多いほど車両10の重量が大きくなる。そのため、回数設定部M15は、車両10の乗員数が多いほど大きい値を制限回数CNTthとして設定するようにしてもよい。
【0044】
ここで、車両10の重量は、車両10の前後加速度を基に推定演算できる。そのため、車両10の重量に応じて制限回数CNTthを設定することは、第1制動モードBM1での制動作動時の車両10の前後加速度と、第2制動モードBM2での制動作動時の前後加速度との差分である減速度差分に応じて制限回数CNTthを設定するとも云える。つまり、回数設定部M15は、減速度差分が大きいほど大きい値を制限回数CNTthとして設定しているとも云える。
【0045】
<モード切替処理>
図5を参照し、制動モードを切り替えるための一連の処理であるモード切替処理を説明する。制動制御装置50の処理回路51のCPU52がメモリ53の制御プログラムを実行することによって、処理回路51はモード切替処理を繰り返し実行する。
【0046】
ステップS11において、処理回路51は、制動モードの切り替えが要求されたか否かを判定する。例えばモード切替スイッチ112が操作された場合は、制動モードの切り替えが要求されたと見なす。一方、モード切替スイッチ112が操作されていない場合は、制動モードの切り替えが要求されていないと見なす。処理回路51は、制動モードの切り替えが要求されたと判定した場合(S11:YES)、処理をステップS15に移行する。一方、処理回路51は、制動モードの切り替えが要求されていないと判定した場合(S11:NO)、処理をステップS13に移行する。
【0047】
ステップS13において、処理回路51は、徐変フラグFLGにオンがセットされているか否かを判定する。徐変フラグFLGは、車両制動が行われる毎に車両制動時の制動割合RTBrを変更させる場合にオンがセットされるフラグである。すなわち、徐変フラグFLGにオンがセットされている場合は、第1移行期間中若しくは第2移行期間中であると見なせる。処理回路51は、徐変フラグFLGにオンがセットされている場合(S13:YES)、処理をステップS19に移行する。一方、処理回路51は、徐変フラグFLGにオフがセットされている場合(S13:NO)、処理をステップS23に移行する。
【0048】
ステップS15において、処理回路51は、差分導出部M13として機能することにより、第1ピッチ角AP1と第2ピッチ角AP2との差分の大きさであるピッチ角差分DAPを導出する。制動モードが第1制動モードBM1から第2制動モードBM2に切り替わった場合、処理回路51は、第1制動モードBM1での最後の車両制動時の第1ピッチ角AP1を導出し、第2制動モードBM2での最初の車両制動時のピッチ角の予測値を第2ピッチ角AP2として導出する。そして処理回路51は、第1ピッチ角AP1と第2ピッチ角AP2との差分の大きさをピッチ角差分DAPとして導出する。一方、制動モードが第2制動モードBM2から第1制動モードBM1に切り替わった場合、処理回路51は、第2制動モードBM2での最後の車両制動時の第2ピッチ角AP2を導出し、第1制動モードBM1での最初の車両制動時のピッチ角の予測値を第1ピッチ角AP1として導出する。そして処理回路51は、第2ピッチ角AP2と第1ピッチ角AP1との差分の大きさをピッチ角差分DAPとして導出する。処理回路51は、ピッチ角差分DAPを導出すると、処理をステップS17に移行する。
【0049】
ステップS17において、処理回路51は、ステップS15で導出したピッチ角差分DAPが差分判定値DAPth以上であるか否かを判定する。
ここで、車両制動時における車両10の姿勢の変化態様が前回の車両制動時における車両10の姿勢の変化態様と大きく異なると、車両制動時における姿勢の変化態様の相違に対して乗員が違和感を抱くおそれがある。そこで、制動モードの切り替えに起因して車両制動時における車両10の姿勢の変化態様が大きく変わる可能性があるか否かの判断基準として、差分判定値DAPthが設定されている。
【0050】
処理回路51は、ピッチ角差分DAPが差分判定値DAPth以上である場合(S17:YES)、処理をステップS19に移行する。一方、処理回路51は、ピッチ角差分DAPが差分判定値DAPth未満である場合(S17:NO)、処理をステップS23に移行する。
【0051】
ステップS19において、処理回路51は、前回の車両制動が終了してから所定の判定時間TMthが経過したか否かを判定する。
ここで、前回の車両制動時の制動割合RTBrと今回の車両制動時の制動割合RTBrとが大きく異なると、今回の車両制動時における車両10の姿勢の変化態様が、前回の車両制動時における姿勢の変化態様と大きく異なることがある。また、前回の車両制動の終了から時間があまり経過していない場合、車両10の乗員は、前回の車両制動時における車両10の姿勢の変化態様を感覚的に記憶している。そのため、前回の車両制動の終了から今回の車両制動の開始までの間隔が短いと、前回の車両制動時と今回の車両制動時とで車両10の姿勢の変化態様が異なることに乗員が気付きやすい。その一方で、当該間隔が長いと、前回の車両制動時における車両10の姿勢の変化態様を乗員が既に忘れている可能性がある。そのため、上記間隔が長いと、前回の車両制動時と今回の車両制動時とで車両10の姿勢の変化態様が異なることに乗員が気付きにくい。そこで、前回の車両制動時における車両10の姿勢の変化態様を乗員が忘れるほど当該間隔が長いか否かの判断基準として、判定時間TMthが設定されている。
【0052】
処理回路51は、前回の車両制動が終了してから判定時間TMthが経過した場合(S19:YES)、処理をステップS23に移行する。一方、処理回路51は、前回の車両制動が終了してから判定時間TMthが未だ経過していない場合(S19:NO)、処理をステップS21に移行する。
【0053】
ステップS21において、処理回路51は、前回の車両制動が終了してから現在までの間で車両10の運転スイッチ111がオフになったことを経験しているか否かを判定する。
【0054】
ここで、運転スイッチ111がオフになったことがあるということは、前回の車両制動が終了してから現在までの間で車両10の乗員が降車を経験している可能性がある。乗員が降車した場合、当該乗員は前回の車両制動時における車両10の姿勢の変化態様を忘れている可能性がある。この場合、前回の車両制動時と今回の車両制動時とで車両10の姿勢の変化態様が異なることに乗員が気付きにくい。
【0055】
処理回路51は、前回の車両制動が終了してから現在までの間で運転スイッチ111がオフになったことを経験している場合(S21:YES)、処理をステップS23に移行する。すなわち、処理回路51は、制動モードが切り替えられた後であって、車両10に付与する制動力の制動割合が、切り替え後の制動モードの制動割合になる前に、運転スイッチ111がオフとされ、次に運転スイッチ111がオンとされた場合、処理をステップS23に移行する。一方、処理回路51は、運転スイッチ111がオフになったことを経験していない場合(S21:NO)、処理をステップS25に移行する。
【0056】
ステップS23において、処理回路51は、制御部M17として機能することにより、徐変フラグFLGにオフをセットする。その後、処理回路51はモード切替処理を一旦終了する。
【0057】
ステップS25において、処理回路51は、回数設定部M15として機能することにより、制限回数CNTthを設定する。例えば、処理回路51は、ピッチ角差分DAP及び車両10の重量を基に、制限回数CNTthを設定する。そして、処理回路51は処理をステップS27に移行する。
【0058】
ステップS27において、処理回路51は、制御部M17として機能することにより、徐変フラグFLGにオンをセットする。その後、処理回路51はモード切替処理を一旦終了する。
【0059】
<制動制御処理>
図6を参照し、制動モードが第2制動モードBM2に切り替わった以降で車両制動を制御するために処理回路51が実行する一連の処理である制動制御処理を説明する。処理回路51のCPU52がメモリ53の制御プログラムを実行することによって、処理回路51は制動制御処理を繰り返し実行する。
【0060】
ステップS41において、処理回路51は、制動要求があるか否かを判定する。例えば、制動操作部材11が操作されている場合は、制動要求があると見なす。また例えば、他の制御装置から車両10の減速が要求されている場合は、制動要求があると見なす。処理回路51は、制動要求があると判定した場合(S41:YES)、処理をステップS43に移行する。一方、処理回路51は、制動要求がないと判定した場合(S41:NO)、制動制御処理を一旦終了する。
【0061】
ステップS43において、処理回路51は、制御部M17として機能することにより、徐変フラグFLGにオンがセットされているか否かを判定する。処理回路51は、徐変フラグFLGにオンがセットされている場合(S43:YES)、処理をステップS51に移行する。すなわち、処理回路51は、第1移行期間中である場合には処理をステップS51に移行する。一方、処理回路51は、徐変フラグFLGにオフがセットされている場合(S43:NO)、処理をステップS45に移行する。すなわち、処理回路51は、第1移行期間が終了している場合には処理をステップS45に移行する。
【0062】
ステップS45において、処理回路51は、制御部M17として機能することにより、制動モードに応じた制動制御を実行する。すなわち、処理回路51は、第2制動モードBM2で制動装置30及び回生装置40を制御する。言い換えると、処理回路51は、車両10に付与する制動力の制動割合として、第2制動モードBM2の制動割合を設定する。処理回路51は、こうした制動制御を終了すると、制動制御処理を一旦終了する。
【0063】
ステップS51において、処理回路51は、制御部M17として機能することにより、制動モードが第2制動モードBM2に切り替わった時点からの制動回数CNTを確認する。次のステップS53において、処理回路51は、制御部M17として機能することにより、今回の車両制動時における制動割合RTBrを設定する。例えば、処理回路51は、上記関係式(F1)を用いて導出した制動割合RTBrを、今回の車両制動時における制動割合RTBrとして設定する。そして、処理回路51は処理をステップS55に移行する。
【0064】
ステップS55において、処理回路51は、制御部M17として機能することにより、制動割合RTBrに基づいた制動制御を実行する。すなわち、処理回路51は、合計制動力BPAのうち、摩擦制動力BPFの占める実際の割合である制動割合実値が制動割合RTBrとなるように、制動装置30及び回生装置40を制御する。この場合、処理回路51は、要求制動力BPRqと制動割合RTBrとの積を目標摩擦制動力BPFtrとして導出し、当該目標摩擦制動力BPFtrを基に制動装置30を作動させる。処理回路51は、要求制動力BPRqと目標摩擦制動力BPFtrとの差を目標回生制動力BPEtrとして導出し、当該目標回生制動力BPEtrを回生制御装置45に送信する。すると、回生制御装置45は、回生制動力BPEが目標回生制動力BPEtrとなるようにモータジェネレータ41を作動させる。処理回路51は、こうした制動制御を終了すると、処理をステップS57に移行する。
【0065】
ステップS57において、処理回路51は制動回数CNTを「1」だけインクリメントする。続くステップS59において、処理回路51は、更新した制動回数CNTが制限回数CNTthよりも大きいか否かを判定する。処理回路51は、制動回数CNTが制限回数CNTthよりも大きい場合(S59:YES)、処理をステップS61に移行する。一方、処理回路51は、制動回数CNTが制限回数CNTth以下である場合(S59:NO)、制動制御処理を一旦終了する。
【0066】
ステップS61において、処理回路51は、徐変フラグFLGにオフをセットする。また処理回路51は制動回数CNTをリセットする。その後、処理回路51は制動制御処理を一旦終了する。
【0067】
<本実施形態の作用及び効果>
図3図4及び図7を参照し、制動モードが第1制動モードBM1から第2制動モードBM2に切り替わる際の作用及び効果を説明する。
【0068】
図7の(A)に示すように制動モードとして第1制動モードBM1が選択されている状況下のタイミングt11で、制動制御装置50の処理回路51が、制動要求があると判定する。すると、処理回路51は、第1制動モードBM1で制動装置30及び回生装置40を作動させる。この場合、処理回路51は、図7の(E)に示すように制動割合RTBrを設定する。具体的には、処理回路51は、回生制動力BPEが摩擦制動力BPFよりも大きくなるような値を制動割合RTBrとして設定する。そして、処理回路51は、制動割合実値が当該制動割合RTBrとなるように、制動装置30及び回生装置40を制御する。これにより、図7の(B)、(C)及び(D)に示すように回生制動力BPEが摩擦制動力BPFよりも大きくなる。
【0069】
上述したように、車両10は、回生制動力BPEを車両10に付与した場合には摩擦制動力BPFを車両10に付与した場合よりも車両制動に伴う車両10の姿勢変化の抑制効果が小さくなるように構成されている。そのため、図3に示したように車両制動時におけるピッチ角APが比較的大きくなったり、車両制動時におけるピッチ角APの増大速度が比較的大きくなったりする。
【0070】
タイミングt12で車両制動が終了すると、その後のタイミングt13で車両10の乗員がモード切替スイッチ112を操作する。すると、処理回路51は、制動モードを第1制動モードBM1から第2制動モードBM2に切り替える。つまり、タイミングt13から第1移行期間が始まる。第1移行期間中のタイミングt14で、処理回路51が、制動要求があると判定する。
【0071】
図7に示す例では、ピッチ角差分DAPが差分判定値DAPth以上であり、且つ前回の車両制動の終了時点であるタイミングt12からの経過時間が判定時間TMth未満である。そのため、処理回路51は、車両10に制動力を付与する毎に、制動割合RTBrが目標制動割合RTBrtrに向けて段階的に大きくなるように、制動装置30及び回生装置40を制御する。
【0072】
すなわち、タイミングt14から開始される車両制動は、制動モードが第2制動モードBM2に切り替わってからの初めての車両制動である。この場合、制動回数CNTが1であるため、制動割合RTBrとして目標制動割合RTBrtrよりも小さい値が設定される。処理回路51は、当該制動割合RTBrに基づいて制動装置30及び回生装置40を制御する。これにより、今回の車両制動時における制動割合実値が、前回の車両制動時における制動割合RTBrよりも大きくなる。ただし、今回の車両制動時における制動割合実値は、目標制動割合RTBrtrよりも小さい。
【0073】
ここで、車両制動時における車両10のピッチ角APは、制動割合実値が大きいほど小さくなりやすい。また、ピッチ角APの増大速度は、制動割合実値が大きいほど小さくなりやすい。
【0074】
そのため、タイミングt14から開始される車両制動時における車両10の姿勢の変化態様と前回の車両制動時における姿勢の変化態様との乖離は、制動割合RTBrとして目標制動割合RTBrtrが設定される場合と比較して大きくなりにくい。すなわち、制動制御装置50は、制動モードが第2制動モードBM2に切り替わったことに起因して車両制動時における車両10の姿勢の変化態様が急に変化することを抑制できる。したがって、制動制御装置50は、車両制動時における車両10の姿勢の変化態様が変わったことに対する違和感を乗員が抱くことを抑制できる。
【0075】
タイミングt13以降では、処理回路51は、車両制動を行う毎に制動回数CNTを1ずつ増大させる。そのため、処理回路51は、車両制動を行う毎に、制動割合RTBrを大きくする。そのため、車両制動が行われる毎に、車両制動時にピッチ角APが小さくなったり、ピッチ角APの増大速度が小さくなったりする。
【0076】
図7に示す例では、タイミングt15から開始される車両制動時では制動回数CNTが制限回数CNTthとなる。そのため、処理回路51は、制動割合RTBrとして目標制動割合RTBrtrを設定し、当該目標制動割合RTBrtrに基づいて制動装置30及び回生装置40を制御する。したがって、処理回路51は、タイミングt15以降での車両制動では、第2制動モードBM2で制動装置30及び回生装置40を制御する。これにより、制動制御装置50は、上記のような違和感を乗員に抱かせることなく、上記第1移行期間を完了させることができる。
【0077】
本実施形態では、以下に示す効果をさらに得ることができる。
(1)処理回路51は、制動モードが第2制動モードBM2に切り替わった以降では、ピッチ角差分DAPに基づいて制動装置30及び回生装置40を制御する。
【0078】
例えば、処理回路51は、ピッチ角差分DAPが差分判定値DAPth以上である場合には、車両10に制動力を付与する毎に制動割合RTBrを目標制動割合RTBrtrに向けて段階的に大きくする。ピッチ角差分DAPが差分判定値DAPth以上である場合には、第1制動モードBM1での車両制動時における車両10の姿勢の変化態様と第2制動モードBM2での車両制動時における車両10の姿勢の変化態様とが大きく乖離する可能性がある。そのため、ピッチ角差分DAPが差分判定値DAPth以上である場合には、複数回の制動操作に渡って、制動割合RTBrが徐々に大きくなるように、制動割合RTBrが調整される。これにより、制動制御装置50は、上記のような違和感を乗員に抱かせることなく、上記第1移行期間を完了させることができる。
【0079】
一方、処理回路51は、ピッチ角差分DAPが差分判定値DAPth未満である場合には、制動モードが第2制動モードBM2に切り替わってから最初の車両制動時に制動割合RTBrとして目標制動割合RTBrtrを設定する。これは、ピッチ角差分DAPが差分判定値DAPth未満である場合には第1制動モードBM1での車両制動時における車両10の姿勢の変化態様と第2制動モードBM2での車両制動時における車両10の姿勢の変化態様との乖離が大きくならないと判断できるためである。そのため、こうした場合では、制動制御装置50は、上記第1移行期間を設けることなく第2制動モードBM2での制動制御を実行できるようになる。
【0080】
例えば、処理回路51は、上記ピッチ角差分DAPが大きいほど大きい値を制限回数CNTthとして設定する。これにより、制動制御装置50は、上記第1移行期間中では、上記ピッチ角差分DAPが大きいほど前回の車両制動時からの制動割合RTBrの増大量を小さくできる。その結果、第1移行期間中では、前回の車両制動時の車両10の姿勢変化の態様と次回の車両制動時の姿勢変化の態様との乖離が大きくなりにくい。したがって、制動制御装置50は、上記のような違和感を乗員に抱かせることなく、第1移行期間を完了させることができる。
【0081】
(2)処理回路51は、車両10の重量が大きいほど大きい値を制限回数CNTthとして設定する。これにより、制動制御装置50は、上記第1移行期間では、車両10の重量が大きいほど制動割合RTBrの増大量を小さくできる。その結果、第1移行期間中では、前回の車両制動時の車両10の姿勢変化の態様と次回の車両制動時の姿勢変化の態様との乖離が大きくなりにくい。したがって、制動制御装置50は、上記のような違和感を乗員に抱かせることなく、第1移行期間を完了させることができる。
【0082】
(3)処理回路51は、制動モードが第2制動モードBM2に切り替わった以降において、前回の車両制動が終了してから判定時間TMthが経過した以降での車両制動時には、第2制動モードBM2で制動装置30及び回生装置40を制御する。すなわち、制動制御装置50は、前回の車両制動時における車両10の姿勢の変化態様を乗員が既に忘れている可能性がある場合には、上記第1移行期間を早期に完了させることができる。
【0083】
(4)処理回路51は、制動モードが第2制動モードBM2に切り変わった以降において運転スイッチ111がオフとされた場合、次に運転スイッチ111がオンとされた以降での車両制動時には、第2制動モードBM2で制動装置30及び回生装置40を制御する。すなわち、制動制御装置50は、前回の車両制動時における車両10の姿勢の変化態様を乗員が既に忘れている可能性がある場合には、上記第1移行期間を早期に完了させることができる。
【0084】
(5)制動制御装置50は、制動モードが第2制動モードBM2から第1制動モードBM1に切り替わった場合には、上記第2移行期間を設ける。これにより、処理回路51は、制動モードが第1制動モードBM1に切り替わった以降では、車両10に制動力を付与する毎に、制動割合RTBrを段階的に小さくする。これにより、制動制御装置50は、制動モードが第2制動モードBM2から第1制動モードBM1に切り替わった場合に車両制動時における車両10の姿勢の変化態様が急に変わることを抑制できる。
【0085】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0086】
・処理回路51は、制動モードが第2制動モードBM2から第1制動モードBM1に切り替わった場合には、制動割合RTBrを段階的に小さくしなくてもよい。すなわち、処理回路51は、制動モードが第1制動モードBM1に切り替わった場合、第2移行期間を設けずに、第1制動モードBM1に切り替わってからの最初の車両制動時から第1制動モードBM1に応じた制動制御を実行するようにしてもよい。
【0087】
・処理回路51は、制動モードが第2制動モードBM2に切り替わった以降に運転スイッチ111がオフになったことを経験しても、制動割合RTBrを段階的に可変させる処理を継続してもよい。この場合、図5に示したモード切替処理において、ステップS21の判定を省略できる。
【0088】
・処理回路51は、前回の車両制動が終了してから判定時間TMthが経過した以降でも、制動割合RTBrを段階的に可変させる処理を継続してもよい。この場合、図5に示したモード切替処理において、ステップS19の判定を省略できる。
【0089】
・処理回路51は、車両10の重量に応じて制限回数CNTthを可変させなくてもよい。
・処理回路51は、ピッチ角差分DAPに応じて制限回数CNTthを可変させなくてもよい。
【0090】
・処理回路51は、ピッチ角差分DAPの大きさによらず、制動割合RTBrを段階的に可変させる処理を実行するようにしてもよい。この場合、図5に示したモード切替処理において、ステップS17の処理を省略できる。
【0091】
・処理回路51は、予め設定された所定値で制限回数CNTthを固定してもよい。2以上の値が所定値として設定されることになる。この場合、図5に示したモード切替処理において、ステップS25の処理を省略できる。
【0092】
・処理回路51は、ピッチ角差分DAPを導出するに際して基準制動力を設定している。上記実施形態では、処理回路51は、第1制動モードBM1での最後の車両制動時における要求制動力BPRqの最大値を基準制動力としているが、これに限らない。例えば、処理回路51は、車両10の運転者による制動操作部材11の操作を監視し、運転者の制動操作部材11の操作の癖を考慮した制動力を基準制動力として設定してもよい。この場合、処理回路51は、ブレーキセンサ101の検出信号に基づいた要求制動力BPRqの平均値を運転者毎に把握しておく。そして、処理回路51は、要求制動力BPRqの平均値が大きい運転者の場合には、平均値が小さい運転者の場合よりも大きい制動力を基準制動力として設定してもよい。
【0093】
・上記実施形態では、処理回路51は、車両制動時における車両10のピッチング運動に関する指標として車両制動時のピッチ角を導出しているが、これに限らない。例えば、処理回路51は、車両制動時におけるピッチ角の増大速度を指標として導出してもよい。処理回路51は、ピッチ角を時間微分することによって、ピッチ角の増大速度を導出できる。また例えば、処理回路51は、車両制動時におけるピッチ角の増大速度の増大量を指標として導出してもよい。処理回路51は、ピッチ角の増大速度を時間微分することによって、ピッチ角の増大速度の増大量を導出できる。
【0094】
・制動制御装置50は、摩擦制動力BPFと回生制動力BPEとを調整することによって、車両制動時における車両10の姿勢の変化態様を調整している。しかし、制動制御装置は、摩擦制動力BPFと回生制動力BPEとを調整する手法とは異なる手法で、車両制動時における車両10の姿勢の変化態様を調整してもよい。
【0095】
車両10では、一般的に、前輪12に制動力が付与されている場合には、後輪13に制動力が付与されている場合と比較して車両10のピッチ角APが大きくなりやすかったり、ピッチ角APの増大速度が大きくなりやすかったりする。これは、前輪12に制動力を付与した場合のアンチダイブ力FADよりも後輪13に制動力を付与した場合のアンチリフト力FALのほうが大きくなりやすいためである。そこで、制動制御装置は、前輪12及び後輪13での制動力の配分を調整することによって、車両制動時における車両10の姿勢の変化態様を可変させるようにしてもよい。この場合、後輪13に付与される制動力が「第1制動力」に対応し、前輪12に付与される制動力が「第2制動力」に対応する。また、後輪13に付与される制動力を調整する制動装置が「第1制動部」に対応し、前輪12に付与される制動力を調整する制動装置が「第2制動部」に対応する。この場合、制動制御装置が適用される車両は、電動車両ではなくてもよい。すなわち、制動制御装置は、動力源としてエンジンのみを備えるコンベンショナルな車両にも適用できる。
【0096】
・後輪13に摩擦制動力が付与されている場合のアンチリフト力FALは、後輪13に回生制動力が付与されている場合のアンチリフト力FALよりも大きくなりやすい。これは、制動力の作用する点が、摩擦制動力と回生制動力とで相違するためである。そこで、制動制御装置は、後輪13に付与される制動力のうち、摩擦制動力と回生制動力との比率を調整することによって、車両制動時における車両10の姿勢の変化態様を可変させるようにしてもよい。この場合、後輪13に付与される摩擦制動力が「第1制動力」に対応し、後輪13に付与される回生制動力が「第2制動力」に対応する。また、後輪13に付与される摩擦制動力を調整する制動装置が「第1制動部」に対応し、後輪13に付与される回生制動力を調整する回生装置が「第2制動部」に対応する。
【0097】
・回生装置は、前輪12に回生制動力を付与するモータジェネレータを備えた構成であってもよい。
・前輪12に摩擦制動力が付与されている場合のアンチダイブ力FADは、前輪12に回生制動力が付与されている場合のアンチダイブ力FADよりも大きくなりやすい。そこで、制動制御装置は、前輪12に付与する制動力のうち、摩擦制動力と回生制動力との比率を調整することによって、車両制動時における車両10の姿勢の変化態様を可変させるようにしてもよい。この場合、前輪12に付与される摩擦制動力が「第1制動力」に対応し、前輪12に付与される回生制動力が「第2制動力」に対応する。また、前輪12に付与される摩擦制動力を調整する制動装置が「第1制動部」に対応し、前輪12に付与される回生制動力を調整する回生装置が「第2制動部」に対応する。
【0098】
・制動制御装置は、動力源としてインホイールモータを備える車両に適用してもよい。
・処理回路51は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェアなどの1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。専用のハードウェアとしては、例えば、特定用途向け集積回路であるASICを挙げることができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0099】
<他の技術的思想>
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(付記1)前記制御部は、前記差分が判定差分以上であることを条件に、複数回の制動作動に渡って、前記モード切替部による切り替え前の前記制御モードの前記制動割合から前記モード切替部による切り替え後の前記制御モードの前記制動割合に、徐々に変更することが好ましい。
【0100】
(付記2)前記制御部は、前記差分が判定差分未満である場合、前記モード切替部により前記車両の前記制動モードが切り替えられた以降での制動作動時には、前記車両に付与する制動力の前記制動割合として、前記モード切替部による切り替え後の前記制御モードの前記制動割合を設定することが好ましい。
【0101】
(付記3)前記回数設定部は、前記差分が大きいほど大きい値を前記制限回数として設定することが好ましい。
(付記4)前記第1制動部は、前記車両の車輪と一体に回転する回転体に摩擦材を押し付けることによって制動力を当該車輪に付与するものであり、
前記第2制動部は、前記車輪の車軸の回転を抑えることによって制動力を当該車輪に付与するものであることが好ましい。
【0102】
なお、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」又は「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」又は「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0103】
10…車両
12…前輪(車輪)
13…後輪(車輪)
13A…車軸
20…摩擦ブレーキ(第1制動部の一例を構成)
22…回転体
23…摩擦部
30…制動装置(第1制動部の一例を構成)
40…回生装置(第2制動部の一例)
50…制動制御装置
111…運転スイッチ
M11…モード切替部
M15…回数設定部
M17…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7