(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122070
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】異常診断装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04664 20160101AFI20240902BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20240902BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20240902BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H01M8/04664
H01M8/0438
H01M8/04014
G05B23/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029393
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】脇 欣士郎
(72)【発明者】
【氏名】岩見 潤
(72)【発明者】
【氏名】森一 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】大西 哲朗
【テーマコード(参考)】
3C223
5H127
【Fターム(参考)】
3C223AA23
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB03
3C223FF04
3C223FF24
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH07
3C223HH08
5H127AB23
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA18
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5H127BA37
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5H127BA60
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5H127BB18
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5H127BB37
5H127DB76
5H127DB77
5H127DB90
5H127GG04
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】燃料電池装置で発生する異常の内容を適切に診断できる異常診断装置の提供。
【解決手段】燃料電池装置から情報通信回線を介して受信した、原燃料流量測定器によって測定される計測流量を参照して、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過大流量状態が検出されている、又は、過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされ、且つ、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件が満たされ、且つ、所定期間内に原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、第1設定流量より小さく且つ第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件が満たされる場合、原燃料供給路に水が混入していると判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設置される燃料電池装置から情報通信回線を介して受信した情報に基づいて前記燃料電池装置で発生する異常の内容を診断する異常診断装置であって、
前記燃料電池装置は、外側容器、及び、当該外側容器の内部空間に設けられる内側容器を有するホットモジュールを備え、前記ホットモジュールは、前記内側容器の内部に、供給される改質用水を気化させる気化器、原燃料を前記気化器から供給される水蒸気を用いて水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器、前記改質器から燃料ガス供給路を介して供給される前記燃料ガスを用いて発電する複数の燃料電池セルを有するセルスタック、及び、前記セルスタックから排出されるオフガスを燃焼する燃焼部を備え、
前記燃料電池装置は、
前記内部空間の外部から前記改質器へ原燃料を供給する原燃料供給路と、
前記原燃料供給路を介して前記改質器に原燃料を供給する原燃料供給器と、
前記原燃料供給路を介して前記改質器に供給される原燃料の単位時間当たりの流量を測定する原燃料流量測定器とを備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量を参照して、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、所定の目標原燃料流量よりも多い過大流量状態が検出されている、又は、流量が少ない過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされ、且つ、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に前記目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件が満たされ、且つ、前記所定期間内に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、前記第1設定流量より小さく且つ前記第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件が満たされる場合、前記原燃料供給路に水が混入していると判定する異常診断装置。
【請求項2】
前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を大気圧と同じに調節するゼロガバナを備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量を参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされ、且つ、前記第3判定条件が満たされない場合、前記ゼロガバナの異常であると判定する請求項1に記載の異常診断装置。
【請求項3】
前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路への原燃料の供給を遮断可能な原燃料遮断弁を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料遮断弁が開状態である間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量が前触れなくゼロになるという第4判定条件が満たされる場合、前記原燃料供給路で原燃料の供給を受けていないと判定する請求項1に記載の異常診断装置。
【請求項4】
前記燃料電池装置は、
前記内側容器の外部に排出される、前記燃焼部での燃焼により発生したガスを含む排出ガスと熱媒体との熱交換を行う排熱回収用熱交換器と、
前記排熱回収用熱交換器で前記熱媒体と熱交換した後の前記排出ガスが流れる排出ガス流路と、
前記排熱回収用熱交換器で前記熱媒体と熱交換した後の前記排出ガスに含まれる凝縮水を分離する気液分離部と、
前記気液分離部によって分離された凝縮水が流れる水回収路と、
回収した凝縮水に含まれる不純物を除去する水精製器と、
前記水精製器によって不純物が除去された水を、前記水蒸気改質に用いる前記改質用水として貯える改質用水タンクと、
前記改質用水タンクに貯えている前記改質用水を前記気化器に供給する改質用水供給器と、
前記改質用水タンクから前記気化器に供給される前記改質用水の電気伝導度を測定する電気伝導度計と、を備え、
前記原燃料供給器は前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量が前記目標原燃料流量になるように出力を調節するように構成され、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記電気伝導度計で測定される前記電気伝導度とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料供給器の出力が徐々に増加して上限出力に達しており、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量が前記目標原燃料流量よりも小さく、前記電気伝導度計で測定される前記電気伝導度が所定の正常値よりも高いという第5判定条件が満たされる場合、前記ホットモジュールの異常であると判定する請求項3に記載の異常診断装置。
【請求項5】
前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を大気圧と同じに調節するゼロガバナを備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料遮断弁が開状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロより大きいという第6判定条件が満たされ、且つ、前記原燃料遮断弁が閉状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件が満たされる場合、前記ゼロガバナの異常であると判定する請求項4に記載の異常診断装置。
【請求項6】
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料遮断弁が開状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロより大きいという第6判定条件が満たされ、且つ、前記原燃料遮断弁が閉状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件が満たされない場合、前記原燃料流量測定器の異常であると判定する請求項4に記載の異常診断装置。
【請求項7】
前記燃料電池装置は、前記内側容器の内部の温度を測定する内部温度測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記内部温度測定器によって測定される温度とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、前記燃料電池装置が発電運転中に前記原燃料供給器の出力と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第8判定条件が満たされ、且つ、前記内部温度測定器によって測定される温度と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第9判定条件が満たされる場合、前記原燃料流量測定器の異常であると判定する請求項5に記載の異常診断装置。
【請求項8】
前記燃料電池装置は、前記内側容器の内部の温度を測定する内部温度測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記内部温度測定器によって測定される温度とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、発電状態で前記原燃料供給器の出力と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第8判定条件が満たされ、且つ、前記内部温度測定器によって測定される温度と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第9判定条件が満たされない場合、前記原燃料供給器の異常であると判定する請求項5に記載の異常診断装置。
【請求項9】
前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を測定する圧力測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記圧力測定器によって測定される計測圧力とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、前記第8判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料供給器が動作中に前記原燃料遮断弁が開状態から閉状態に切り替えられた後に前記圧力測定器によって測定される計測圧力が低くならないという第10判定条件が満たされる場合、前記圧力測定器の異常であると判定する請求項7又は8に記載の異常診断装置。
【請求項10】
前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を測定する圧力測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記圧力測定器によって測定される計測圧力とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、前記第8判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料供給器が動作中に前記原燃料遮断弁が開状態から閉状態に切り替えられた後に前記圧力測定器によって測定される計測圧力が低くならないという第10判定条件が満たされない場合、前記原燃料供給路への原燃料の供給不良、前記ホットモジュールの異常、及び、前記原燃料遮断弁の異常であると判定する請求項7又は8に記載の異常診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設に設置される燃料電池装置から情報通信回線を介して受信した情報に基づいて燃料電池装置で発生する異常の内容を診断する異常診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2016-184319号公報)には、発電システムの故障部位を診断及び特定でき、故障時の誤診断を抑えられるシステムが記載されている。
具体的には、特許文献1に記載のシステムでは、発電システムが故障した場合、発電装置の各部位に設けられた複数の検出手段それぞれでの検出信号履歴を含む故障データが生成される。そして、データベースに記録された過去故障時データの中から、今回の故障時の故障データと相関関係が強い相関故障時データが選択される。更に、選択された相関故障時データに対応付けられた故障診断結果及び故障対応記録が出力される。このように、特許文献1に記載のシステムでは、今回の故障が発生した場合に検出される検出信号履歴を含む故障時データと相関関係が強い過去故障時データを特定し、今回の故障も、その相関関係が強い過去故障時データと同様の故障原因によって発生したものと見なしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
相関関係の強さという統計的な手法によらずに、燃料電池装置の動作状態を診断する手法も求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料電池装置で発生する異常の内容を適切に診断できる異常診断装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る異常診断装置の特徴構成は、施設に設置される燃料電池装置から情報通信回線を介して受信した情報に基づいて前記燃料電池装置で発生する異常の内容を診断する異常診断装置であって、
前記燃料電池装置は、外側容器、及び、当該外側容器の内部空間に設けられる内側容器を有するホットモジュールを備え、前記ホットモジュールは、前記内側容器の内部に、供給される改質用水を気化させる気化器、原燃料を前記気化器から供給される水蒸気を用いて水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器、前記改質器から燃料ガス供給路を介して供給される前記燃料ガスを用いて発電する複数の燃料電池セルを有するセルスタック、及び、前記セルスタックから排出されるオフガスを燃焼する燃焼部を備え、
前記燃料電池装置は、
前記内部空間の外部から前記改質器へ原燃料を供給する原燃料供給路と、
前記原燃料供給路を介して前記改質器に原燃料を供給する原燃料供給器と、
前記原燃料供給路を介して前記改質器に供給される原燃料の単位時間当たりの流量を測定する原燃料流量測定器とを備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量を参照して、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、所定の目標原燃料流量よりも多い過大流量状態が検出されている、又は、流量が少ない過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされ、且つ、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に前記目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件が満たされ、且つ、前記所定期間内に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、前記第1設定流量より小さく且つ前記第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件が満たされる場合、前記原燃料供給路に水が混入していると判定する点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、所定の目標原燃料流量よりも多い過大流量状態が検出されている、又は、流量が少ない過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされ、且つ、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件が満たされ、且つ、所定期間内に原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、第1設定流量より小さく且つ第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件が満たされる場合、原燃料供給路に水が混入していると判定する。つまり、異常診断装置は、原燃料流量測定器の測定結果に現れる異常についての診断結果を自動で決定できる。
【0008】
例えば、燃料電池装置が有する複数の測定器のうちの少なくとも一つの測定器の測定結果に異常が現れたという事実のみに基づいてメンテナンス担当者などが出動した場合、その場でメンテナンス担当者がその異常についての診断結果を下す必要がある。ところが本特徴構成では、異常診断装置がその異常についての診断結果の特定を自動で行うため、メンテナンス担当者などはその診断結果に応じた準備を事前に行った上で出動できる。
従って、燃料電池装置で発生する異常の内容を適切に診断できる異常診断装置を提供できる。
【0009】
本発明に係る異常診断装置の別の特徴構成は、前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を大気圧と同じに調節するゼロガバナを備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量を参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされ、且つ、前記第3判定条件が満たされない場合、前記ゼロガバナの異常であると判定する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、所定の目標原燃料流量よりも多い過大流量状態が検出されている、又は、流量が少ない過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされ、且つ、原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に所定の目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件が満たされ、且つ、所定期間内に原燃料流量測定器によって測定される計測流量について、第1設定流量より小さく且つ第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件が満たされない場合、原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を大気圧と同じに調節するゼロガバナの異常であるという診断を自動で行うことができる。
【0011】
本発明に係る異常診断装置の別の特徴構成は、前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路への原燃料の供給を遮断可能な原燃料遮断弁を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料遮断弁が開状態である間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量が前触れなくゼロになるという第4判定条件が満たされる場合、前記原燃料供給路で原燃料の供給を受けていないと判定する点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、原燃料遮断弁が開状態である間に原燃料流量測定器によって測定される計測流量が前触れなくゼロになるという第4判定条件が満たされる場合、原燃料供給路を介した原燃料の供給が行われていないという診断を自動で行うことができる。
【0013】
本発明に係る異常診断装置の別の特徴構成は、前記燃料電池装置は、
前記内側容器の外部に排出される、前記燃焼部での燃焼により発生したガスを含む排出ガスと熱媒体との熱交換を行う排熱回収用熱交換器と、
前記排熱回収用熱交換器で前記熱媒体と熱交換した後の前記排出ガスが流れる排出ガス流路と、
前記排熱回収用熱交換器で前記熱媒体と熱交換した後の前記排出ガスに含まれる凝縮水を分離する気液分離部と、
前記気液分離部によって分離された凝縮水が流れる水回収路と、
回収した凝縮水に含まれる不純物を除去する水精製器と、
前記水精製器によって不純物が除去された水を、前記水蒸気改質に用いる前記改質用水として貯える改質用水タンクと、
前記改質用水タンクに貯えている前記改質用水を前記気化器に供給する改質用水供給器と、
前記改質用水タンクから前記気化器に供給される前記改質用水の電気伝導度を測定する電気伝導度計と、を備え、
前記原燃料供給器は前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量が前記目標原燃料流量になるように出力を調節するように構成され、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記電気伝導度計で測定される前記電気伝導度とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料供給器の出力が徐々に増加して上限出力に達しており、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量が前記目標原燃料流量よりも小さく、前記電気伝導度計で測定される前記電気伝導度が所定の正常値よりも高いという第5判定条件が満たされる場合、前記ホットモジュールの異常であると判定する点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、原燃料供給器の出力が徐々に増加して上限出力に達しており、原燃料流量測定器によって測定される計測流量が目標原燃料流量よりも小さく、電気伝導度計で測定される電気伝導度が所定の正常値よりも高いという第5判定条件が満たされる場合、ホットモジュールの異常であるという診断を自動で行うことができる。
【0015】
本発明に係る異常診断装置の別の特徴構成は、前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を大気圧と同じに調節するゼロガバナを備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料遮断弁が開状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロより大きいという第6判定条件が満たされ、且つ、前記原燃料遮断弁が閉状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件が満たされる場合、前記ゼロガバナの異常であると判定する点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、原燃料遮断弁が開状態で原燃料供給器が停止している間に原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロより大きいという第6判定条件が満たされ、且つ、原燃料遮断弁が閉状態で原燃料供給器が停止している間に原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件が満たされる場合、ゼロガバナの異常であるという診断を自動で行うことができる。
【0017】
本発明に係る異常診断装置の別の特徴構成は、前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記原燃料遮断弁が開状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロより大きいという第6判定条件が満たされ、且つ、前記原燃料遮断弁が閉状態で前記原燃料供給器が停止している間に前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件が満たされない場合、前記原燃料流量測定器の異常であると判定する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、原燃料遮断弁が開状態で原燃料供給器が停止している間に原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロより大きいという第6判定条件が満たされ、且つ、原燃料遮断弁が閉状態で原燃料供給器が停止している間に原燃料流量測定器によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件が満たされない場合、原燃料流量測定器の異常であるという診断を自動で行うことができる。
【0019】
本発明に係る異常診断装置の別の特徴構成は、前記燃料電池装置は、前記内側容器の内部の温度を測定する内部温度測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記内部温度測定器によって測定される温度とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、前記燃料電池装置が発電運転中に前記原燃料供給器の出力と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第8判定条件が満たされ、且つ、前記内部温度測定器によって測定される温度と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第9判定条件が満たされる場合、前記原燃料流量測定器の異常であると判定する点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、第6判定条件が満たされず、且つ、燃料電池装置が発電運転中に原燃料供給器の出力と原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第8判定条件が満たされ、且つ、内部温度測定器によって測定される温度と原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第9判定条件が満たされる場合、原燃料流量測定器の異常であるという診断を自動で行うことができる。
【0021】
本発明に係る異常診断装置の別の特徴構成は、前記燃料電池装置は、前記内側容器の内部の温度を測定する内部温度測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記内部温度測定器によって測定される温度とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、発電状態で前記原燃料供給器の出力と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第8判定条件が満たされ、且つ、前記内部温度測定器によって測定される温度と前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第9判定条件が満たされない場合、前記原燃料供給器の異常であると判定する点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、第6判定条件が満たされず、且つ、発電状態で原燃料供給器の出力と原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第8判定条件が満たされ、且つ、内部温度測定器によって測定される温度と原燃料流量測定器によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第9判定条件が満たされない場合、原燃料供給器の異常であるという診断を自動で行うことができる。
【0023】
本発明に係る異常診断装置の別の特徴構成は、前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を測定する圧力測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記圧力測定器によって測定される計測圧力とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、前記第8判定条件が満たされず、且つ、
前記原燃料供給器が動作中に前記原燃料遮断弁が開状態から閉状態に切り替えられた後に前記圧力測定器によって測定される計測圧力が低くならないという第10判定条件が満たされる場合、前記圧力測定器の異常であると判定する点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、第6判定条件が満たされず、且つ、第8判定条件が満たされず、且つ、原燃料供給器が動作中に原燃料遮断弁が開状態から閉状態に切り替えられた後に圧力測定器によって測定される計測圧力が低くならないという第10判定条件が満たされる場合、圧力測定器の異常であるという診断を自動で行うことができる。
【0025】
本発明に係る異常診断装置の別の特徴構成は、前記燃料電池装置は、前記原燃料供給路を流れる原燃料の圧力を測定する圧力測定器を備え、
前記燃料電池装置から前記情報通信回線を介して受信した、前記原燃料流量測定器によって測定される計測流量と、前記原燃料遮断弁の動作状態と、前記原燃料供給器の動作状態と、前記燃料電池装置が発電運転中であるか否かと、前記圧力測定器によって測定される計測圧力とを参照して、前記第1判定条件が満たされ、且つ、前記第2判定条件が満たされず、且つ、前記第4判定条件が満たされず、且つ、前記第5判定条件が満たされず、且つ、前記第6判定条件が満たされず、且つ、前記第8判定条件が満たされず、且つ、
前記原燃料供給器が動作中に前記原燃料遮断弁が開状態から閉状態に切り替えられた後に前記圧力測定器によって測定される計測圧力が低くならないという第10判定条件が満たされない場合、前記原燃料供給路への原燃料の供給不良、前記ホットモジュールの異常、及び、前記原燃料遮断弁の異常であると判定する点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、異常診断装置は、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、第6判定条件が満たされず、且つ、第8判定条件が満たされず、且つ、原燃料供給器が動作中に原燃料遮断弁が開状態から閉状態に切り替えられた後に圧力測定器によって測定される計測圧力が低くならないという第10判定条件が満たされない場合、原燃料供給路への原燃料の供給不良、ホットモジュールの異常、及び、原燃料遮断弁の異常であるという診断を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】異常診断装置を備える診断システムの構成を示す図である。
【
図3】異常診断処理の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る異常診断装置4について説明する。
図1は、異常診断装置4を備える診断システムの構成を示す図である。図示するように、住戸及び事業者などの施設1に燃料電池装置10が設けられている。また、施設1には、電力消費装置5、ガス消費装置6、HEMS(Home Energy Management System)7も設けられている。HEMS7は、電力消費装置5、燃料電池装置10、ガス消費装置6などの制御対象装置の動作を制御する装置であり、制御対象装置との間で通信線を介して情報通信を行って、各装置からの情報を受信すると共に、各装置への情報の伝達を行うことができる。また、HEMS7は、各装置から受信した情報を、情報通信回線2を介して異常診断装置4などに送信することもできる。
【0029】
電力消費装置5及び燃料電池装置10は、電力系統に連系される電力線8に接続されて、電力系統からの電力供給を受けることができる。また、燃料電池装置10の発電電力を、電力線8を介して電力系統に供給することもできる。ガス消費装置6及び燃料電池装置10は、ガス供給管9から供給される例えば都市ガスなどのガスの供給を受けることができる。
図1では2つの施設1を描いているが、その数は適宜変更可能である。
ガス供給管9から供給される例えば都市ガスなどのガスは本発明の「原燃料」に相当し、以下の説明でも原燃料と記載することがある。
【0030】
燃料電池装置10は、HEMS7を介して、或いは、HEMS7を介さずに、情報通信回線2にアクセスできる。そして、燃料電池装置10は、情報通信回線2に接続されている異常診断装置4、情報提供サーバ装置3、メンテナンス担当者端末装置60、製造関係者端末装置61、管理者端末装置62などとの間で情報通信を行うことができる。
【0031】
図2は、燃料電池装置10の構成を示す図である。燃料電池装置10は、外側容器11の内部に各種部品を備えている。以下に、燃料電池装置10の構成を、ホットモジュール13、原燃料供給系、空気供給系、還流ガス供給系、水回収系、改質用水供給系、排熱回収系に分けて説明する。
【0032】
〔ホットモジュール13〕
外側容器11の内部には、高温環境下で動作するセルスタック18等などの機器を収容するホットモジュール13が設けられる。具体的には、ホットモジュール13の内部には、気化器14、改質器15、マニホールド16、セルスタック18などが設けられる。気化器14は、改質用水を気化させて改質器15に供給する。改質器15は、原燃料を水蒸気改質して水素を含む燃料ガスを生成する。改質器15には、改質器15の例えば改質触媒(図示せず)の温度を測定する改質器15温度測定器としての温度測定器T1が設けられている。
【0033】
セルスタック18は、燃料ガス供給路L2によって供給される、改質器15で生成された燃料ガスを用いて発電する複数の燃料電池セル17を有する。例えば、改質器15で生成された燃料ガスは、燃料ガス供給路L2を通ってマニホールド16に至り、マニホールド16で、燃料ガスは各燃料電池セル17に分配される。
【0034】
セルスタック18の上方の空間は、セルスタック18から排出されるオフガスを燃焼する燃焼部19となる。この燃焼熱は、その上方の気化器14及び改質器15に伝達される。燃焼部19の温度は、燃焼部19温度測定器としての温度測定器T2で測定される。点火器20は、オフガスに点火させる。
【0035】
ホットモジュール13の給気口21には空気供給路L10が接続され、ホットモジュール13の内部に空気が供給される。ホットモジュール13の排気口22から、ホットモジュール13の内部に存在するガスがホットモジュール13の外部に排出される。排気口22には、排出されるガスに含まれる水素、一酸化炭素などを、酸素を用いて触媒燃焼させる燃焼触媒部23が設けられている。ホットモジュール13の内部には、内側容器12の内部の温度を測定する内部温度測定器としての温度測定器T8が設けられている。
【0036】
燃焼触媒部23を通過した排出ガスは、排熱回収用熱交換器34に供給される。排熱回収用熱交換器34では、排出ガスと、熱媒体循環路としての湯水循環路L7を流れる排熱回収用の熱媒体としての湯水との熱交換、即ち、排出ガスの冷却が行われ、排出ガスに含まれていた水分が凝縮する。
【0037】
排熱回収用熱交換器34の下流側には、排出ガスに含まれる凝縮水を分離する気液分離部35が設けられる。そして、排出ガス中の気相成分は排出ガス流路L4を通って外側容器11の外部に排出され、排出ガス中の液相成分は水回収路L5を通って水精製器37に供給される。また、外側容器11には、換気口55も設けられている。換気口55の近傍には換気ファン59が設けられ、換気ファン59が動作することで、外側容器11の内部の空気が換気される。外側容器11の内部には、換気ファン59によって換気される、外側容器11の内部空間の空気の温度を測定する内部空間温度測定器としての温度測定器T3が設けられている。
【0038】
〔原燃料供給系〕
原燃料供給系は、原燃料供給路L1を介して、改質器15に原燃料を供給する系統である。具体的には、原燃料供給系は、遮断弁26、圧力測定器27、原燃料流量測定器28、ゼロガバナ29、原燃料供給器30、脱硫器31を備える。
【0039】
遮断弁26は、原燃料供給路L1への原燃料の流入を許可する状態又は遮断する状態に切り替える。圧力測定器27は、原燃料供給路L1に流入する原燃料の圧力を測定する。原燃料供給器30は、改質器15に原燃料を供給する。具体的には、原燃料供給器30は、改質器15に供給する原燃料の単位時間当たりの流量を調節する。原燃料流量測定器28は、原燃料供給器30によって改質器15に供給される原燃料の単位時間当たりの流量を測定する。例えば、原燃料供給器30は、原燃料流量測定器28で測定される原燃料の流量が目標原燃料流量になるように原燃料供給器30の出力、例えば原燃料供給器30としてのブロアのPWM制御のデューティ比を増減させる。また、燃料電池制御部49は、その際の原燃料供給器30としてのブロアの回転速度の情報を入手できる。ゼロガバナ29は、原燃料供給路L1を流れる原燃料の圧力を大気圧と同じに調節する。脱硫器31は、原燃料に含まれる硫黄化合物などを除去する。
【0040】
尚、原燃料供給器30による原燃料の供給が正常に行われている場合、原燃料供給器30としてのブロアの出力とその回転速度との相関関係に基準値未満の乖離しか存在しない。例えば、原燃料供給器30としてのブロアの出力(例えば30%など)ごとに標準回転速度(200rpm)が定まる場合、原燃料供給器30による原燃料の供給が正常に行われていれば、実際の回転速度は標準回転速度から基準値未満(例えば±30%未満など)の乖離しか存在しない。
【0041】
〔空気供給系〕
空気供給系は、空気供給路L10を介して、ホットモジュール13に空気を供給する系統である。空気供給器41は、内側容器12の内部に空気を供給する。具体的には、空気供給器41は、内側容器12の内部に供給する空気の単位時間当たりの流量を調節する。空気流量測定器42は、空気供給器41によって内側容器12の内部に供給される空気の単位時間当たりの流量を測定する。例えば、空気供給器41は、空気流量測定器42で測定される空気の流量が目標原燃料流量になるように空気供給器41の出力、例えば空気供給器41としてのブロアのPWM制御のデューティ比を増減させる。また、燃料電池制御部49は、その際の空気供給器41としてのブロアの回転速度の情報を入手できる。異物除去フィルタ40は、空気供給器41によって内側容器12の内部に供給される空気に含まれる異物を捕捉する。
【0042】
尚、空気供給器41による空気の供給が正常に行われている場合、空気供給器41としてのブロアの出力とその回転速度との相関関係に基準値未満の乖離しか存在しない。例えば、空気供給器41としてのブロアの出力(例えば30%など)ごとに標準回転速度(200rpm)が定まる場合、空気供給器41による空気の供給が正常に行われていれば、実際の回転速度は標準回転速度から基準値未満(例えば±30%未満など)の乖離しか存在しない。
【0043】
〔還流ガス供給系〕
還流ガス供給系は、還流ガス供給路L3を介して、改質器15で生成された燃料ガスの一部を原燃料供給路L1に供給する系統である。還流ガス供給路L3は、燃料ガス供給路L2の途中の分岐部24から分岐して、脱硫器31よりも上流側の原燃料供給路L1の途中の合流部25に合流し、燃料ガス供給路L2を流れる燃料ガスの一部を原燃料供給路L1に供給する。それにより、脱硫器31に水素を供給できる。還流ガス供給路L3は、ホットモジュール13の内部から外部に引き出される。オリフィス33は、還流ガス供給路L3の途中に設けられ、還流ガス供給路L3を流れる燃料ガスの単位時間当たりの流量を調節する。温度調節部材32は、還流ガス供給路L3を流れる改質ガスの温度を保つために還流ガス供給路L3の少なくとも一部分の周囲に設けられる。凝縮水回収器36は、還流ガス供給路L3で発生した凝縮水を回収する。還流ガス温度測定器としての温度測定器T4は、温度調節部材32が設けられている部位での還流ガス供給路L3の温度、即ち、還流ガス供給路L3を流れる還流ガスの温度である還流ガス温度を測定する。例えば、温度測定器T4は、還流ガス供給路L3を構成する配管の外表面の温度を測定する機器、還流ガス供給路L3を構成する配管の内部の温度を測定する機器などである。
【0044】
〔水回収系〕
水回収系は、燃料電池装置10で生成された水を回収する系統である。水回収路L5を用いて回収した凝縮水は改質用水タンク38に供給される。改質用水タンク38には、改質用水タンク38に貯えられている改質用水の量を測定する水量測定器58が設けられている。例えば、水量測定器58はフロート式の水量測定器58である。図示する例では、水回収路L5は、気液分離部35から水を回収する第1回収路L5aと、凝縮水回収器36から水を回収する第2回収路L5bとを有する。第1回収路L5a及び第2回収路L5bによって回収された凝縮水は、水精製器37を経由して、改質用水タンク38に供給される。水精製器37は、回収した凝縮水に含まれる不純物を除去するための機器である。例えば、水精製器37は、イオン交換樹脂等を充填しており、回収した凝縮水に含まれる電解質のイオン(例えば、イオン化して溶存している塩類やアンモニアなど)を例えばH+、OH-と交換することで、回収水した凝縮水に含まれる電解質の濃度を相対的に低くさせる(即ち、電気伝導度を低くさせる)機能を果たす。
【0045】
改質用水供給路L6の途中には、改質用水タンク38から気化器14に供給される改質用水の電気伝導度を測定する電気伝導度計57が設けられている。
【0046】
〔改質用水供給系〕
改質用水供給系は、改質用水供給路L6を介して、改質器15に改質用水を供給する系統である。尚、本実施形態では、改質用水タンク38に貯えられている改質用水は気化器14に供給され、気化器14から改質器15に供給される。改質用水供給系は、改質用水供給路L6、改質用水タンク38、改質用水供給器39などを備える。改質用水タンク38は、改質用水を貯える。改質用水供給器39は、改質器15に向けて改質用水を供給する。具体的には、改質用水供給器39は、改質用水供給路L6の途中に設けられ、改質用水供給路L6を流れる改質用水の単位時間当たりの流量を調節する。
【0047】
〔排熱回収系〕
排熱回収系は、燃料電池装置10で発生する熱を回収する系統である。排熱回収系は、熱媒体タンクとしての貯湯タンク45、給水路L8、出湯路L9、湯水循環路L7、循環ポンプ44などを備える。貯湯タンク45には、湯水が貯えられる。湯水循環路L7は、貯湯タンク45と排熱回収用熱交換器34との間で湯水を循環させる。貯湯タンク45には、相対的に低温の湯水がその下部に貯えられ、相対的に高温の湯水がその上部に貯えられるように、即ち、温度成層を形成する状態で湯水が貯えられる。具体的に説明すると、湯水循環路L7は、貯湯タンク45から排熱回収用熱交換器34へ湯水を移送する往路L7aと、排熱回収用熱交換器34から貯湯タンク45へ湯水を移送する復路L7bとで構成され、往路L7aの途中に設けられる循環ポンプ44とを有する。
【0048】
このような構成により、貯湯タンク45の下部から湯水循環路L7の往路L7aを介して排熱回収用熱交換器34に供給される湯水はその排熱回収用熱交換器34で加熱され、加熱後の湯水は湯水循環路L7の復路L7bを介して貯湯タンク45の上部に供給される。復路L7bの途中に、排熱回収用熱交換器34から貯湯タンク45へ移送される湯水の温度を測定する温度測定器T5が設けられる。本実施形態では、燃料電池制御部49は、復路L7bを流れて貯湯タンク45に流入する湯水の温度(温度測定器T5で測定される湯水の温度)が所定の貯湯目標温度(例えば65℃など)になるように循環ポンプ44の出力、例えば循環ポンプ44のPWM制御のデューティ比を増減させる。また、燃料電池制御部49は、その際の循環ポンプ44の回転速度の情報を入手できる。このようにして、貯湯タンク45に温度成層を形成する状態で湯水が貯湯、即ち、蓄熱される。
【0049】
尚、循環ポンプ44による湯水の流動が正常に行われている場合、循環ポンプ44の出力とその回転速度との相関関係に基準値未満の乖離しか存在しない。例えば、循環ポンプ44の出力(例えば30%など)ごとに標準回転速度(200rpm)が定まる場合、循環ポンプ44による湯水の流動が正常に行われていれば、実際の回転速度は標準回転速度から基準値未満(例えば±30%未満など)の乖離しか存在しない。
【0050】
加えて、燃料電池装置10は、湯水循環路L7の往路L7aの途中に設けられ、ラジエータファン56aを回転させて外側容器11の内部に存在する空気を流動させることで、往路L7aを流れる湯水を冷却するラジエータ56を備える。また、燃料電池装置10は、湯水循環路L7の往路L7aの途中の、ラジエータ56と排熱回収用熱交換器34との間を流れる湯水の温度を測定する第1熱媒体温度測定器としての排熱回収用熱交換器34の入口温度センサT6と、湯水循環路L7の往路L7aの途中の、貯湯タンク45とラジエータ56との間を流れる湯水の温度を測定する第2熱媒体温度測定器としてのラジエータ56の入口温度センサT7とを備える。
【0051】
燃料電池制御部49は、ラジエータ56の入口温度センサT7で測定される湯水の温度が設定熱媒体温度以上の場合に、ラジエータ56のラジエータファン56aを回転動作させる。例えば、燃料電池制御部49は、ラジエータ56の入口温度センサT7で測定される湯水の温度が上限熱媒体温度以上の場合に、排熱回収用熱交換器34の入口温度センサT6で測定される湯水の温度が上述した上限熱媒体温度よりも低い目標熱媒体温度以下になるように、ラジエータ56のラジエータファン56aの出力、例えばPWM制御のデューティ比を増減させる。また、燃料電池制御部49は、その際のラジエータファン56aの回転速度の情報を入手できる。
【0052】
尚、ラジエータファン56aの動作が正常に行われている場合、ラジエータファン56aの出力とその回転速度との相関関係に基準値未満の乖離しか存在しない。例えば、ラジエータファン56aの出力(例えば30%など)ごとに標準回転速度(200rpm)が定まる場合、ラジエータファン56aの動作が正常に行われていれば、実際の回転速度は標準回転速度から基準値未満(例えば±30%未満など)の乖離しか存在しない。
【0053】
貯湯タンク45の下部には、貯湯タンク45に上水を供給するための給水路L8が接続され、貯湯タンク45の上部には、貯湯タンク45で貯えている湯水を排出するための出湯路L9が接続される。貯湯タンク45が貯えている湯水には、給水路L8の内部に加わっている給水圧が加わっている。このような構成により、貯湯タンク45では、例えば出湯路L9に接続される水栓(図示せず)が開かれることで出湯路L9へ貯湯タンク45から湯水が排出されるのに伴って、給水路L8から貯湯タンク45に上水が供給される。
【0054】
燃料電池装置10のセルスタック18は、電力変換回路部46を介して電力線8に接続される。
図2には、電力変換回路部46が昇圧回路47とインバータ48とを備える例を記載している。
【0055】
燃料電池装置10は、燃料電池装置10の動作を制御する制御装置としての燃料電池制御部49と、燃料電池装置10で取り扱われる情報を記憶する記憶部50と、通信部51とを備える。燃料電池制御部49には、燃料電池装置10が備える測定器の測定結果、機器の動作状態などが伝達され、その測定結果は記憶部50に記憶される。そして、燃料電池制御部49は、それらの測定結果及び動作状態を所定タイミングで通信部51から異常診断装置4に送信する。また、燃料電池制御部49は、それらの測定結果及び動作状態に現れる異常も、測定結果及び動作状態の一部として通信部51から異常診断装置4に送信する。
【0056】
燃料電池制御部49は、上述した点火器20、遮断弁26、原燃料供給器30、改質用水供給器39、空気供給器41、循環ポンプ44、電力変換回路部46などの各種機器の動作を制御する。
【0057】
次に、異常診断装置4が、施設1に設置される燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した情報に基づいて燃料電池装置10で発生する異常の内容を診断する手法について説明する。異常診断装置4は、記憶部4aと診断処理部4bとを備える。
【0058】
異常診断装置4の記憶部4aは、燃料電池装置10が有する複数の測定器のうちの少なくとも一つの測定器の測定結果及び動作状態に現れる異常と、異常の発生要因及び異常への対処法の少なくとも一方を含むその異常について考えられる複数の診断結果のうちの一つを特定するための異常診断処理とを関連付けて、複数の異常毎に記憶する。具体的には、異常診断処理は、燃料電池装置10の測定器の測定結果及び機器の動作状態及び燃料電池装置10の動作環境の少なくとも一方が所定の判定条件を満たしているか否かを判定する判定処理が複数個組み合わされて構成される。判定条件を満たしているか否かに応じて定まる判定処理の判定結果は、別の判定処理への移行が指示される場合と、異常診断処理の診断結果の特定に至る場合との少なくとも一種類を含む。ここで、燃料電池装置10の測定器の測定結果は例えば温度測定器の測定結果などである。機器の動作状態は例えば機器が正常に動作しているか否か、機器が実際にどのような動作状態であるか(例えばラジエータファン56aの出力及び回転速度など)である。燃料電池装置10の動作環境は例えば燃料電池装置10と連系されている電力系統の状態(例えば停電の有無など)、系統解列の有無、系統解列の長さ、燃料電池装置10への原燃料の供給状態、実際に供給されている原燃料の熱量(ガス種)、燃料電池装置10で使用が想定されている原燃料の熱量などである。尚、燃料電池装置10の測定器の測定結果及び機器の動作状態及び燃料電池装置10の動作環境はここで例示したものに限定されず適宜設定可能である。
【0059】
そして、異常診断装置4の診断処理部4bは、燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した測定結果及び動作状態に異常が現れる場合、記憶部4aに記憶している、当該異常に対応する異常診断処理の内容と、燃料電池装置10の測定器の測定結果及び機器の動作状態及び燃料電池装置10の動作環境の少なくとも一方とに基づいて、受信した測定結果に現れる異常についての診断結果を特定する。
【0060】
〔異常診断処理〕
図3は、燃料流量偏差異常という異常が現れた場合に診断処理部4bが行う異常診断処理の内容を示すフローチャートである。
燃料電池装置10の燃料電池制御部49は、原燃料流量測定器28によって測定される、原燃料供給路L1を介して改質器15に供給される原燃料の単位時間当たりの流量(計測流量)を監視している。そして、燃料電池制御部49は、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量について、所定の目標原燃料流量よりも多い過大流量状態が検出されている、又は、流量が少ない過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされる場合、燃料流量偏差異常という異常が発生したと判定する。例えば、所定の目標原燃料流量よりも多い過大流量状態が検出されているという条件の一例は、100ms毎に測定される計測流量のその100ms毎の変化量の絶対値10回分の移動平均値が0.3NLM以上を500分継続すること等である。また、流量が少ない過少流量状態が検出されているという条件の一例は、100ms毎に測定される計測流量について、1分間に0.05NLM以下の値が180個存在すること等である。そして、燃料電池制御部49は、燃料流量偏差異常という異常が発生したという測定結果を、通信部51から異常診断装置4に伝達する。尚、過大流量状態が検出されていると判定する条件及び過少流量状態が検出されていると判定する条件の内容は適宜変更可能である。
【0061】
異常診断装置4は、燃料電池装置10から燃料流量偏差異常という異常が発生したという測定結果の通知を受けた場合、記憶部4aに記憶している情報を参照して、対応する異常診断処理を読み出す。そして、診断処理部4bがその異常診断処理を実行する。
【0062】
図3に示すように、異常診断処理は、工程#10~工程#18の判定処理を組み合わせて構成される。
【0063】
工程#10の判定処理は、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に所定の目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件を満たしているか否かを判定するものである。つまり、工程#10では、原燃料の計測流量がハンチングしているか否かを判定している。例えば、第1設定流量は「目標原燃料流量×2の±10%」などに設定される。また、第2設定流量は、0.05NLM以下の値などに設定される。
【0064】
このような原燃料のハンチングは、原燃料供給路L1に水が混入した場合、及び、ゼロガバナ29に異常がある場合に起こり得る。例えば、原燃料供給路L1への水の混入は、上述したように還流ガス供給路L3で発生した凝縮水が原燃料供給路L1へ到達することで発生し得る。そして、原燃料供給路L1に水が混入した場合、その水が原燃料供給路L1の内部で揺れるのに応じて、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量が所定の目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に発生し得る。また、ゼロガバナ29が開閉を連続的に行ってしまうような異常がある場合、その開閉に応じて、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量が所定の目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に発生し得る。
【0065】
そして、原燃料の計測流量がハンチングしていると判定された場合には工程#11に移行し、原燃料の計測流量がハンチングしていないと判定された場合には工程#12に移行する。
【0066】
工程#11の判定処理は、所定期間内に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量について、第1設定流量より小さく且つ第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件を満たしているか否かを判定するものである。
【0067】
上述したように、原燃料供給路L1に水が混入した場合、その水が原燃料供給路L1の内部で揺れるのに応じて、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量が所定の目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に発生するのに加えて、その第1設定流量と第2設定流量との間の中間領域にも計測流量は発生し得る。尚、この中間領域は、例えば目標原燃料流量の±50%以内などの範囲であってもよい。
【0068】
従って、工程#11の判定処理において診断処理部4bは、燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量を参照して、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量について、所定の目標原燃料流量よりも多い過大流量状態が検出されている、又は、流量が少ない過少流量状態が検出されているという第1判定条件が満たされ、且つ、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量について、過去の所定期間内に目標原燃料流量を間に挟んでそれよりも大きい第1設定流量以上である状態とそれよりも小さい第2設定流量以下である状態とが交互に現れているという第2判定条件が満たされ、且つ、所定期間内に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量について、第1設定流量より小さく且つ第2設定流量より大きい状態が現れているという第3判定条件が満たされる場合、原燃料供給路L1に水が混入していると判定する診断結果A1に至る。つまり、ここでは、燃料流量偏差異常という異常は、原燃料供給路L1に水が混入していることを原因として発生したと診断されている。このように、工程#11の判定処理の判定結果は、異常診断処理の診断結果の特定に至る場合を含んでいる。
【0069】
それに対して、ゼロガバナ29が開閉を連続的に行ってしまうような異常が発生している場合、第1設定流量と第2設定流量との間の中間領域(例えば、例えば目標原燃料流量の±50%以内など)には計測流量は発生しない。従って、工程#11の判定処理において診断処理部4bは、燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量を参照して、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされ、且つ、第3判定条件が満たされない場合、ゼロガバナ29の異常であると判定する診断結果A2に至る。つまり、ここでは、燃料流量偏差異常という異常は、ゼロガバナ29に異常があることを原因として発生したと診断されている。このように、工程#11の判定処理の判定結果は、異常診断処理の診断結果の特定に至る場合を含んでいる。
【0070】
工程#12の判定処理は、原燃料遮断弁としての遮断弁26が開状態である間に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量が前触れなくゼロになるという第4判定条件を満たしているか否かを判定するものである。原燃料流量測定器28によって測定される計測流量が前触れなくゼロになるという条件は、例えば、原燃料供給器30の出力が上昇傾向に無い間に、目標原燃料流量と原燃料流量測定器28によって測定される計測流量との差が設定値以内にある状態から所定時間(例えば3秒など)以内に、計測流量がゼロになったこと等である。例えば、地震などでガスメーターが遮断作動して、原燃料供給路L1が原燃料の供給を受けることができなくなった場合にこのような事象が現れ得る。尚、計測流量が前触れなくゼロになると判定するための条件の内容は適宜変更可能である。
【0071】
従って、工程#12の判定処理において診断処理部4bは、燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量と、遮断弁26の動作状態とを参照して、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、遮断弁26が開状態である間に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量が前触れなくゼロになるという第4判定条件が満たされる場合、原燃料供給路L1で原燃料の供給を受けていないと判定する診断結果A3に至る。つまり、ここでは、燃料流量偏差異常という異常は、原燃料供給路L1で原燃料の供給を受けていないことを原因として発生したと診断されている。このように、工程#12の判定処理の判定結果は、異常診断処理の診断結果の特定に至る場合を含んでいる。
【0072】
それに対して、診断処理部4bは、工程#12において第4判定条件が満たされないと判定した場合には工程#13の判定処理に移行する。このように、工程#12の判定処理の判定結果は、別の判定処理への移行が指示される場合を含んでいる。
【0073】
工程#13の判定処理は、原燃料供給器30の出力が徐々に増加して上限出力に達しており、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量が目標原燃料流量よりも小さく、電気伝導度計57で測定される電気伝導度が所定の正常値よりも高いという第5判定条件を満たしているか否かを判定するものである。
【0074】
排熱回収用熱交換器34において湯水が排出ガス流路L4に流入するような事象が発生している場合、排出ガス流路L4及び水回収路L5を経由して、改質用水タンク38に貯えられている改質用水には不純物が混入し得る。そのため、電気伝導度計57によって測定される電気伝導度が所定の正常値よりも高くなる。また、改質用水に混入している不純物を水精製器37では十分に除去できなくなるため、不純物を多く含む改質用水が気化器14に供給されることになる。そして、ホットモジュール13に含まれる気化器14でその不純物が析出するなどして気化器14での原燃料の通流が阻害されることで、原燃料供給器30としてのガスブロアの出力が徐々に増加して上限出力に達しているにも関わらず、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量が目標原燃料流量よりも小さい状態になる。
【0075】
従って、工程#13の判定処理において診断処理部4bは、燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量と、遮断弁26の動作状態と、電気伝導度計57で測定される電気伝導度とを参照して、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、原燃料供給器30の出力が徐々に増加して上限出力に達しており、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量が目標原燃料流量よりも小さく、電気伝導度計57で測定される電気伝導度が所定の正常値よりも高いという第5判定条件が満たされる場合、ホットモジュール13の異常であると判定する診断結果A4に至る。つまり、ここでは、燃料流量偏差異常という異常は、ホットモジュール13に異常があることを原因として発生したと診断されている。このように、工程#13の判定処理の判定結果は、異常診断処理の診断結果の特定に至る場合を含んでいる。
【0076】
それに対して、診断処理部4bは、工程#13において第5判定条件が満たされないと判定した場合には工程#14の判定処理に移行する。このように、工程#13の判定処理の判定結果は、別の判定処理への移行が指示される場合を含んでいる。
【0077】
工程#14の判定処理は、原燃料遮断弁としての遮断弁26が開状態で原燃料供給器30が停止している間に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量がゼロより大きいという第6判定条件を満たしているか否かを判定するものである。そして、診断処理部4bは、第6判定条件が満たされている場合には工程#15に移行し、第6判定条件が満たされていない場合には工程#16に移行する。
【0078】
工程#15の判定処理は、原燃料遮断弁としての遮断弁26が閉状態で原燃料供給器30が停止している間に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件を満たしているか否かを判定するものである。
【0079】
工程#14に関して、遮断弁26が開状態で原燃料供給器30が停止している場合、通常、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量はゼロになる。しかし、ゼロガバナ29に異常がある場合、及び、原燃料流量測定器28に異常がある場合、遮断弁26が開状態で原燃料供給器30が停止している間に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量はゼロより大きくなる可能性がある。そのため、診断処理部4bは、この第7判定条件が満たされる場合、工程#15に移行して、遮断弁26が閉状態で原燃料供給器30が停止している間に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件が満たされるか否かを判定する。
【0080】
具体的に説明すると、燃料流量偏差異常という異常が発生した場合、燃料電池装置10では、エラー停止によって遮断弁26が開状態から閉状態へと動作し且つ原燃料供給器30は停止する。また、異常診断装置4では、診断処理部4bが、遮断弁26が閉状態で原燃料供給器30が停止している間に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量を検証する。そして、工程#15の判定処理において診断処理部4bは、燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量と、遮断弁26の動作状態と、原燃料供給器30の動作状態とを参照して、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、遮断弁26が開状態で原燃料供給器30が停止している間に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量がゼロより大きいという第6判定条件が満たされ、且つ、遮断弁26が閉状態で原燃料供給器30が停止している間に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件が満たされる場合、ゼロガバナ29の異常であると判定する診断結果A5に至る。つまり、ここでは、燃料流量偏差異常という異常は、ゼロガバナ29に異常があることを原因として発生したと診断されている。このように、工程#15の判定処理の判定結果は、異常診断処理の診断結果の特定に至る場合を含んでいる。
【0081】
それに対して、工程#15の判定処理において診断処理部4bは、燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量と、遮断弁26の動作状態と、原燃料供給器30の動作状態とを参照して、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、遮断弁26が開状態で原燃料供給器30が停止している間に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量がゼロより大きいという第6判定条件が満たされ、且つ、遮断弁26が閉状態で原燃料供給器30が停止している間に原燃料流量測定器28によって測定される計測流量がゼロであるという第7判定条件が満たされない場合、原燃料流量測定器28の異常であると判定する診断結果A6に至る。つまり、ここでは、燃料流量偏差異常という異常は、原燃料流量測定器28に異常があることを原因として発生したと診断されている。このように、工程#15の判定処理の判定結果は、異常診断処理の診断結果の特定に至る場合を含んでいる。
【0082】
工程#16の判定処理は、燃料電池装置10が発電運転中に原燃料供給器30の出力と原燃料流量測定器28によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第8判定条件を満たしているか否かを判定するものである。そして、診断処理部4bは、第8判定条件が満たされている場合には工程#17に移行し、第8判定条件が満たされていない場合には工程#18に移行する。
【0083】
そして、工程#17において診断処理部4bは、内部温度測定器としての温度測定器T8によって測定される温度と原燃料流量測定器28によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第9判定条件が満たされるか否かを判定する。
【0084】
上述したように、原燃料は改質器15において燃料ガスに変換され、その燃料ガスの一部はセルスタック18での発電反応に利用され、燃料ガスの残部は燃焼部19で燃焼される。そのため、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量の変化に応じて、燃焼部19で燃焼される燃料ガスの量も変化する。そして、正常であれば、温度測定器T8によって測定される温度と原燃料流量測定器28によって測定される計測流量との相関関係には基準値未満の乖離しか存在しないはずである。例えば、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量に対して、所定の相関関係に基づいて、内側容器12の内部の温度についての標準温度が定まる。そして、正常であれば、実際に温度測定器T8によって測定される温度はその標準温度から基準値(例えば、±10%など)未満の乖離しか発生しないはずである。
【0085】
但し、原燃料流量測定器28に異常がある場合、燃焼部19で燃焼される燃料ガスの量が異常な値になるため、温度測定器T8によって測定される温度と原燃料流量測定器28によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離が発生する、即ち、実際に温度測定器T8によって測定される温度は上記標準温度から基準値(例えば、±10%など)以上乖離した値になる。
【0086】
そこで、工程#17の判定処理において診断処理部4bは、燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量と、遮断弁26の動作状態と、原燃料供給器30の動作状態と、燃料電池装置10が発電運転中であるか否かと、内部温度測定器によって測定される温度とを参照して、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、第6判定条件が満たされず、且つ、燃料電池装置10が発電運転中に原燃料供給器30の出力と原燃料流量測定器28によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第8判定条件が満たされ、且つ、内部温度測定器によって測定される温度と原燃料流量測定器28によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第9判定条件が満たされる場合、原燃料流量測定器28の異常であると判定する診断結果A6に至る。つまり、ここでは、燃料流量偏差異常という異常は、原燃料流量測定器28に異常があることを原因として発生したと診断されている。このように、工程#17の判定処理の判定結果は、異常診断処理の診断結果の特定に至る場合を含んでいる。
【0087】
それに対して、工程#17の判定処理において診断処理部4bは、燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量と、遮断弁26の動作状態と、原燃料供給器30の動作状態と、燃料電池装置10が発電運転中であるか否かと、内部温度測定器によって測定される温度とを参照して、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、第6判定条件が満たされず、且つ、発電状態で原燃料供給器30の出力と原燃料流量測定器28によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第8判定条件が満たされ、且つ、内部温度測定器によって測定される温度と原燃料流量測定器28によって測定される計測流量との相関関係に基準値以上の乖離があるという第9判定条件が満たされない場合、原燃料供給器30の異常であると判定する診断結果A7に至る。つまり、ここでは、燃料流量偏差異常という異常は、原燃料供給器30に異常があることを原因として発生したと診断されている。このように、工程#17の判定処理の判定結果は、異常診断処理の診断結果の特定に至る場合を含んでいる。
【0088】
工程#18の判定処理は、原燃料供給器30が動作中に原燃料遮断弁としての遮断弁26が開状態から閉状態に切り替えられた後に圧力測定器27によって測定される計測圧力が低くならないという第10判定条件を満たしているか否かを判定するものである。
【0089】
そして、工程#18の判定処理において診断処理部4bは、燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量と、遮断弁26の動作状態と、原燃料供給器30の動作状態と、燃料電池装置10が発電運転中であるか否かと、圧力測定器27によって測定される計測圧力とを参照して、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、第6判定条件が満たされず、且つ、第8判定条件が満たされず、且つ、原燃料供給器30が動作中に遮断弁26が開状態から閉状態に切り替えられた後に圧力測定器27によって測定される計測圧力が低くならないという第10判定条件が満たされる場合、圧力測定器27の異常であると判定する診断結果A8に至る。つまり、ここでは、燃料流量偏差異常という異常は、圧力測定器27に異常があることを原因として発生したと診断されている。このように、工程#18の判定処理の判定結果は、異常診断処理の診断結果の特定に至る場合を含んでいる。
【0090】
それに対して、工程#18の判定処理において診断処理部4bは、燃料電池装置10から情報通信回線2を介して受信した、原燃料流量測定器28によって測定される計測流量と、遮断弁26の動作状態と、原燃料供給器30の動作状態と、燃料電池装置10が発電運転中であるか否かと、圧力測定器27によって測定される計測圧力とを参照して、第1判定条件が満たされ、且つ、第2判定条件が満たされず、且つ、第4判定条件が満たされず、且つ、第5判定条件が満たされず、且つ、第6判定条件が満たされず、且つ、第8判定条件が満たされず、且つ、原燃料供給器30が動作中に遮断弁26が開状態から閉状態に切り替えられた後に圧力測定器27によって測定される計測圧力が低くならないという第10判定条件が満たされない場合、原燃料供給路L1への原燃料の供給不良、ホットモジュール13の異常、及び、遮断弁26の異常であると判定する診断結果A9に至る。つまり、ここでは、燃料流量偏差異常という異常は、原燃料供給路L1への原燃料の供給不良、ホットモジュール13の異常、及び、遮断弁26の異常を原因として発生したと診断されている。このように、工程#18の判定処理の判定結果は、異常診断処理の診断結果の特定に至る場合を含んでいる。
【0091】
上述した例では、異常診断処理の診断結果は、異常の発生要因として、「原燃料供給路L1に水が混入している(診断結果A1)」、「ゼロガバナ29に異常がある(診断結果A2)」、「原燃料供給路L1で原燃料の供給を受けていない(診断結果A3)」、「ホットモジュール13に異常がある(診断結果A4)」、「ゼロガバナ29に異常がある(診断結果A5)」、「原燃料流量測定器28に異常がある(診断結果A6)」、「原燃料供給器30に異常がある(診断結果A7)」、「圧力測定器27に異常がある(診断結果A8)」、「原燃料供給路L1への原燃料の供給不良、ホットモジュール13の異常、及び、遮断弁26の異常(診断結果A9)」というように、燃料電池装置10の特定の部位で発生している不具合の内容を含む。燃料電池装置10の管理者及びメンテナンス担当者及び製造関係者などは、異常の発生要因として、燃料電池装置10の特定の部位で発生している不具合の内容が分かれば、その部位の部品修理や部品交換などの必要な作業を決定できる。
【0092】
尚、診断結果は上述した例に限定されず、適宜変更可能である。
具体例を挙げると、診断結果は、異常への対処法として、燃料電池装置10の特定の構成部品の交換指示又は修理指示を含んでもよい。
【0093】
例えば、上述した説明では診断結果A1が「原燃料供給路L1に水が混入している」という診断結果である例を説明したが、還流ガス供給路L3で発生した凝縮水が原燃料供給路L1へ到達することで原燃料供給路L1への水の混入が発生し得ることを考慮すると、「還流ガス供給路L3の部品交換」、「還流ガス供給路L3で発生した凝縮水を回収する凝縮水回収器36の異常」、「凝縮水回収器36の交換」などという診断結果であってもよい。
【0094】
上述した説明では診断結果A2が「ゼロガバナ29に異常がある」という診断結果である例を説明したが、「ゼロガバナ29の交換」という診断結果などであってもよい。
【0095】
上述した説明では診断結果A3が「原燃料供給路L1で原燃料の供給を受けていない」という診断結果である例を説明したが、「ガスメーターの遮断弁26を開作動させる」という診断結果などであってもよい。
【0096】
上述した説明では診断結果A4が「ホットモジュール13に異常がある」という診断結果である例を説明したが、「不純物析出によるホットモジュール13の圧損上昇」、「ホットモジュール13の交換」などという診断結果などであってもよい。
【0097】
上述した説明では診断結果A5が「ゼロガバナ29に異常がある」という診断結果である例を説明したが、「ゼロガバナ29の交換」という診断結果などであってもよい。
【0098】
上述した説明では診断結果A6が「原燃料流量測定器28に異常がある」という診断結果である例を説明したが、「原燃料流量測定器28の交換」という診断結果などであってもよい。
【0099】
上述した説明では診断結果A7が「原燃料供給器30に異常がある」という診断結果である例を説明したが、「原燃料供給器30の交換」という診断結果などであってもよい。
【0100】
上述した説明では診断結果A8が「圧力測定器27に異常がある」という診断結果である例を説明したが、「圧力測定器27の交換」という診断結果などであってもよい。
【0101】
上述した説明では診断結果A9が「原燃料供給路L1への原燃料の供給不良、ホットモジュール13の異常、及び、遮断弁26の異常」という診断結果である例を説明したが、「ガスメーターの遮断弁26を開作動させる」、「ホットモジュール13の交換」、「遮断弁26の交換」などという診断結果などであってもよい。
【0102】
異常への対処法として、上述したような燃料電池装置10の特定の構成部品の交換指示又は修理指示が含まれていれば、交換する構成部品を事前に用意することや、交換作業又は修理作業に必要な人員を事前に決定できる。
【0103】
他にも、燃料電池装置10の特定の構成部品の交換指示又は修理指示を行う場合、その難易度が分かれば好ましい。そのため、記憶部4aが、燃料電池装置10の構成部品の修理作業又は交換作業の難易度を示す情報を複数の構成部品毎に記憶しており、診断結果は、異常への対処法として、その難易度を示す情報を含んでもよい。異常への対処法として、構成部品の修理作業又は交換作業の難易度を示す情報が含まれていれば、その難易度に応じた技能を持つ人員を派遣する準備を事前に行うことができる。
【0104】
加えて、燃料電池装置10の特定の構成部品の交換指示又は修理指示を行う場合、その交換又は修理を実際に行うメンテナンス担当者にとっては、修理作業又は交換作業を説明する動画データを事前に又は現場で見ることができれば好ましい。そのため、記憶部4aが、燃料電池装置10の構成部品の修理作業又は交換作業を説明する動画データを複数の構成部品毎に記憶しており、診断結果は、異常への対処法として、動画データを含んでもよい。異常への対処法として、燃料電池装置10の構成部品の修理作業又は交換作業を説明する動画データが含まれていれば、構成部品の修理作業又は交換作業の担当者はその動画データを確認して、修理作業又は交換作業を確実に実施できる。
【0105】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、燃料電池装置10の構成について具体的に説明したが、その構成は適宜変更可能である。
また、診断結果の内容も適宜変更可能である。
【0106】
<2>
上記実施形態では、幾つかの数値を記載して本発明の実施形態の説明を行ったが、それらの数値は例示目的で記載したものであり、適宜変更可能である。
【0107】
<3>
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、燃料電池装置で発生する異常の内容を適切に診断できる異常診断装置に利用できる。
【符号の説明】
【0109】
1 :施設
2 :情報通信回線
4 :異常診断装置
10 :燃料電池装置
11 :外側容器
12 :内側容器
13 :ホットモジュール
14 :気化器
15 :改質器
17 :燃料電池セル
18 :セルスタック
19 :燃焼部
26 :遮断弁(原燃料遮断弁)
27 :圧力測定器
28 :原燃料流量測定器
29 :ゼロガバナ
30 :原燃料供給器
34 :排熱回収用熱交換器
35 :気液分離部
37 :水精製器
38 :改質用水タンク
39 :改質用水供給器
57 :電気伝導度計
L1 :原燃料供給路
L2 :燃料ガス供給路
L4 :排出ガス流路
L5 :水回収路
T8 :温度測定器(内部温度測定器)