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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122072
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】ロータ、及びロータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/22 20060101AFI20240902BHJP
   H02K 15/03 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
H02K1/22 A
H02K15/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029396
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】興梠 怜士
(72)【発明者】
【氏名】飯島 亜美
(72)【発明者】
【氏名】木戸 勇志
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601DD01
5H601DD11
5H601GA24
5H601GA32
5H601JJ10
5H622CB04
(57)【要約】
【課題】着磁不良の発生を防止可能なロータを提供する。
【解決手段】ロータは、回転軸芯を中心に回転自在であって、回転軸芯に沿う軸方向Lに貫通する磁石配置孔13hが形成されたロータコア13と、磁石配置孔13hに配置される異方性磁石12と、軸方向Lにおけるロータコア13の軸方向コア端13eに配置されるエンドプレート14と、を備え、異方性磁石12とエンドプレート14とは、磁石配置孔13hへの異方性磁石12の誤配置を検知する誤配置検知機構15を構成している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸芯を中心に回転自在であって、前記回転軸芯に沿う軸方向に貫通する貫通孔が形成されたロータコアと、
前記貫通孔に配置される異方性磁石と、
前記軸方向における前記ロータコアの軸方向コア端に配置されるエンドプレートと、を備え、
前記異方性磁石と前記エンドプレートとは、前記貫通孔への前記異方性磁石の誤配置を検知する誤配置検知機構を構成しているロータ。
【請求項2】
前記異方性磁石は、前記軸方向に沿って見て正方形の直方体であって、
前記軸方向における2つ端面と、
前記端面の1つの辺を含む角部と、
2つの前記端面のうちの少なくとも1つの前記端面において、対向する角部のうちの少なくとも1つが面取りされた面取り部と、を有しており、
前記エンドプレートは、前記軸方向において前記ロータコアに向けて突出する突出部を有しており、
前記誤配置検知機構は、前記面取り部と前記突出部とで構成されている請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記面取り部は、前記貫通孔に正配置される前記異方性磁石の前記ロータコアの径方向内側に設けられる請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
回転軸芯を中心に回転可能なロータコアと、前記ロータコアを前記回転軸芯に沿って貫通する貫通孔に配置される異方性磁石と、前記回転軸芯の軸方向における前記ロータコアの軸方向コア端に配置されるエンドプレートと、を備えるロータの製造方法であって、
前記軸方向に沿って見て正方形の直方体であって、前記軸方向における2つの端面の各々の対向する辺をそれぞれ含む4つの角部の少なくとも1つが面取りされた面取り部を有する前記異方性磁石を準備する磁石準備工程と、
前記軸方向において前記ロータコアに向けて突出する突出部を有する前記エンドプレートを準備するプレート準備工程と、
前記異方性磁石に前記エンドプレートが接触することにより、前記貫通孔に誤配置された前記異方性磁石を誤配置磁石として検知する誤配置検知工程と、を含み、
前記誤配置検知工程では、前記面取り部以外の部分と前記突出部とが接触することにより前記異方性磁石の誤配置を検知するロータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、及びロータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機に使用されるロータとして、ロータコアの内部に永久磁石が配置されるものが知られている。例えば、特許文献1には、円環状の電磁鋼板が積層されて形成されるロータコアと、一対の断面略正形状の永久磁石片で構成される永久磁石が配置された磁極部とを備えるロータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-226008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロータコアに配置される永久磁石として、強く磁化する方向を有する異方性磁石が用いられることがある。永久磁石として異方性磁石が用いられる場合、特許文献1に開示される永久磁石片のように断面略正方形であると、強く磁化する方向がロータの磁化方向と直交する姿勢で永久磁石が磁石挿入孔に配置(誤配置)されるおそれがある。永久磁石が誤配置されると、着磁不良が発生して、ロータとしての性能が低下する。
【0005】
そこで、着磁不良の発生を防止可能なロータ及びロータの製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みたロータの特徴構成は、回転軸芯を中心に回転自在であって、前記回転軸芯に沿う軸方向に貫通する貫通孔が形成されたロータコアと、前記貫通孔に配置される異方性磁石と、前記軸方向における前記ロータコアの軸方向コア端に配置されるエンドプレートと、を備え、前記異方性磁石と前記エンドプレートとは、前記貫通孔への前記異方性磁石の誤配置を検知する誤配置検知機構を構成している点にある。
【0007】
このような特徴構成によれば、異方性磁石とエンドプレートとによって構成される誤配置検知機構が貫通孔への異方性磁石の誤配置を検知することが可能となる。これにより、誤配置された異方性磁石に対する着磁が回避されて、着磁不良の発生を防止することができる。
【0008】
また、上記に鑑みたロータの製造方法の特徴構成は、回転軸芯を中心に回転可能なロータコアと、前記ロータコアを前記回転軸芯に沿って貫通する貫通孔に配置される異方性磁石と、前記回転軸芯の軸方向における前記ロータコアの軸方向コア端に配置されるエンドプレートと、を備えるロータの製造方法であって、前記軸方向に沿って見て正方形の直方体であって、前記軸方向における2つの端面の各々の対向する辺をそれぞれ含む4つの角部の少なくとも1つが面取りされた面取り部を有する前記異方性磁石を準備する磁石準備工程と、前記軸方向において前記ロータコアに向けて突出する突出部を有するエンドプレートを準備するプレート準備工程と、前記異方性磁石に前記エンドプレートが接触することにより、前記貫通孔に誤配置された前記異方性磁石を誤配置磁石として検知する誤配置検知工程と、を含み、前記誤配置検知工程では、前記面取り部以外の部分と前記突出部とが接触することにより前記異方性磁石の誤配置を検知する点にある。
【0009】
このような特徴構成によれば、異方性磁石にエンドプレートが接触することにより、ロータコアの貫通孔に誤配置された異方性磁石を検知することが可能となる。これにより、誤配置された異方性磁石に対する着磁が回避されて、着磁不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るロータを備えた回転電機の構成を示す図である。
図2図1に示すII-II線に沿った断面図である。
図3】実施形態に係るプレート孔の近傍の構成を示す拡大平面図である。
図4】実施形態に係る異方性磁石を示す斜視図である。
図5図2に示す面取り部及び重複部の近傍を示す拡大断面図である。
図6】ロータの製造方法を示すフロー図である。
図7A】実施形態に係る磁石配置工程を示す図である。
図7B】実施形態に係るエンドプレート配置工程を示す図である。
図8A】他の実施形態に係る第1プレート配置工程を示す図である。
図8B】他の実施形態に係る磁石配置工程を示す図である。
図8C】他の実施形態に係る第2プレート配置工程を示す図である。
図9】他の実施形態に係る面取り部及び重複部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係るロータ及びロータの製造方法について説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0012】
〔回転電機〕
まず、図1を参照して、ロータ1を備える回転電機100の概要について説明する。なお、以下では、回転電機100がモータ(電動機)である場合を例に説明するが、回転電機100は、モータに限定されず、ジェネレータ、モータジェネレータ等であってもよい。
【0013】
図1は、回転電機100の構成を示す図である。図1は、回転電機100の回転軸芯AXに沿った方向から見た図である。以下では、回転電機100の回転軸芯AXに沿う方向を「軸方向L」(図2参照)、回転軸芯AXを中心とする周方向を「周方向C」、回転軸芯AXを中心とする径方向を「径方向R」とする。また、軸方向Lの一方側を「軸方向第1側L1」とし、軸方向Lの他方側を「軸方向第2側L2」とする。更に、径方向Rの内側を「径方向内側R1」、径方向Rの外側を「径方向外側R2」とする。
【0014】
本実施形態において、ロータ1は、ステータ2の径方向内側R1に配置される。すなわち、回転電機100は、インナーロータ型のモータである。ただし、回転電機100は、アウターロータ型のモータであってもよい。
【0015】
〔ロータ〕
ロータ1は、ステータ2と同軸上に配置される。ロータ1は、回転軸芯AXを中心として回転自在であり、ステータ2に電力が供給されて磁束が発生すると、回転軸芯AXを中心として回転する。ロータ1は、コア部11と異方性磁石12とを有する。
【0016】
〔コア部〕
図2は、図1に示すII-II線に沿った断面図である。図2に示すように、コア部11は、ロータコア13と、ロータコア13を軸方向Lにおいて挟むように設けられるエンドプレート14とを含む。本実施形態において、エンドプレート14は、ロータコア13とは別部材であって、ロータコア13を構成する材料とは異なる材料で構成される。具体的には、エンドプレート14は、ロータコア13よりも剛性の高い部材で構成され、例えば、アルミニウムを含む金属等を材料とする部材で構成される。
【0017】
〔ロータコア〕
ロータコア13は、回転軸芯AX(図1参照)を中心として回転自在である。ロータコア13は、ケイ素鋼板等の電磁鋼板が、軸方向Lに沿って積層されて形成されている。
【0018】
ロータコア13には、軸方向Lに貫通する磁石配置孔13h(貫通孔の一例)が形成されている。磁石配置孔13hは、周方向Cに沿って一定の間隔をあけて複数設けられている(図1参照)。磁石配置孔13hは、異方性磁石12を収容可能な形状及び寸法を有し、磁石配置孔13hには、異方性磁石12が配置される。
【0019】
ロータコア13の軸方向Lにおける2つの端13e(以下、「軸方向コア端13e」という)には、エンドプレート14が配置される。以下、軸方向コア端13eを構成する2つの端面をそれぞれ「第1コア端面13a」及び「第2コア端面13b」という。なお、本実施形態において、エンドプレート14は、カシメ、溶接、ボルトといった締結部材等によって軸方向コア端13eに固定される。
【0020】
〔エンドプレート〕
エンドプレート14は、第1コア端面13aに配置される第1プレート14aと、第2コア端面13bに配置される第2プレート14bと、を含む。第1プレート14aと第2プレート14bとは、軸方向Lにおけるロータコア13の中間を通り、径方向Rに沿って延びる仮想線を軸として線対称に配置される。なお、本実施形態では、第1プレート14aと第2プレート14bとは、配置される形態が異なるのみで他の構成は同様である。したがって、以下では、第1プレート14aの構成についてのみ説明し、第2プレート14bの構成についての説明は省略する。
【0021】
第1プレート14aには、軸方向Lに第1プレート14aを貫通するプレート孔14hが形成されている。プレート孔14hは、ロータコア13に第1プレート14aが配置(固定)された状態において、磁石配置孔13hと軸方向Lにおいて連通するように設けられる。
【0022】
図3は、プレート孔14hの近傍の構成を示す拡大平面図である。詳しくは、図3は、軸方向Lに沿って第1プレート14aを見た図である。図3に示すように、第1プレート14aは、軸方向Lに沿って見て磁石配置孔13hと重複する重複部141を有する。本実施形態において、重複部141は、磁石配置孔13hの径方向内側R1の一部と重複し、異方性磁石12の姿勢を規制する。
【0023】
〔永久磁石〕
図4は、異方性磁石12の構成を示す斜視図である。図4に示すように、異方性磁石12は、軸方向Lに沿って見て正方形である。異方性磁石12は、一部(角部12c)が欠けた直方体(略直方体、以下、同様)である。異方性磁石12は、軸方向Lにおいて対向する2つの端12e(以下、「軸方向磁石端12e」という)を有する。以下、軸方向磁石端12eを構成する端面をそれぞれ「第1磁石端面12a」及び「第2磁石端面12b」という。つまり、異方性磁石12は、軸方向Lにおける2つの端面12a、12bを有する。なお、図4では異方性磁石12が立方体のように描かれているが、異方性磁石12は、軸方向Lの寸法がロータコア13の軸方向Lの寸法と等しく(又は略等しく)、本実施形態では、軸方向Lの寸法が径方向Rの寸法より大きい直方体である。
【0024】
異方性磁石12は、第1磁石端面12a及び第2磁石端面12bの各々における辺12p(本実施形態では、1つ)を含む角部12cと、角部12cの各々が面取りされた面取り部121とを有している。本実施形態において、面取り部121は、軸方向Lにおける2つの角部12cの各々に1つずつ設けられる。
【0025】
面取り部121は、第1磁石端面12aと第1磁石端面12aに対して直交する直交面12sとが交わる第1角部121c、及び、第2磁石端面12bと第2磁石端面12bに対して直交する直交面12sとが交わる第2角部122cがテーパー状に面取りされることにより構成される。
【0026】
異方性磁石12は、特定の方向において磁化(着磁)が容易な磁石である。以下、異方性磁石12において、磁化が容易な方向に沿う仮想軸を「磁化容易軸X1」といい、磁化が困難な方向に沿う仮想軸を「磁化困難軸X2」という。磁化容易軸X1及び磁化困難軸X2の各々は、第1磁石端面12a及び第2磁石端面12bと平行であって、磁化容易軸X1と磁化困難軸X2とは互いに直交する。なお、磁化困難軸X2は、辺12pと平行であり、本実施形態において、面取り部121は、磁化困難軸X2(辺12p)に沿って連続して設けられる。
【0027】
本実施形態に係るロータ1は、磁化方向(磁化容易軸X1)が径方向Rに沿う方向となるように設計されている。したがって、以下では、磁化容易軸X1が径方向Rに沿う方向となるように異方性磁石12が磁石配置孔13hに配置されることを「正配置」といい、正配置される場合の異方性磁石12の姿勢を「第1姿勢」という。図2に示されるように、本実施形態において、第1姿勢は、磁化容易軸X1が径方向Rに沿う姿勢、具体的には、面取り面121sが径方向内側R1となる姿勢をいう。すなわち、本実施形態において、面取り部121は、正配置される異方性磁石12の径方向内側R1に設けられる。また、辺12pは、正配置される異方性磁石12の径方向内側R1に設けられる。
【0028】
続いて、図5を参照して、面取り部121及び重複部141の構成について詳細に説明する。図5は、図2に示す面取り部121及び重複部141の近傍を示す拡大図である。
【0029】
図5に示すように、面取り部121と重複部141とは、互いに対応した形状に構成される。換言すると、面取り部121と重複部141とは一組として構成される。軸方向Lに沿って見て、重複部141は、正配置(第1姿勢で磁石配置孔13hに配置)された異方性磁石12の面取り部121と重複する。重複部141は、磁石配置孔13hに配置される異方性磁石12の姿勢を規制する。
【0030】
重複部141は、平坦部142と突出部143とを有する。平坦部142は、ロータコア13の第1コア端面13aと平行な平坦面142sを有する。
【0031】
突出部143は、軸方向Lにおいてロータコア13の内側へ向けて平坦部142から突出している。本実施形態において、突出部143は、軸方向Lにおいてロータコア13の内側へ向けて屈曲するように構成されている。突出部143は、例えば、エンドプレート14のプレート孔14hを構成する縁部が折り曲げられることにより構成される。
【0032】
突出部143は、平坦面142sに対して傾斜する傾斜面144sを含む。傾斜面144sは、異方性磁石12の面取り部121と径方向Rにおいて対向する。詳しくは、第1姿勢で磁石配置孔13hに配置された場合であって、異方性磁石12とロータコア13とが軸方向Lにおいて面一である場合、傾斜面144sは、面取り面121sと径方向Rにおいて対向し、且つ、平行(略平行も含む、以下同様)となるように構成されている。なお、異方性磁石12とロータコア13とが軸方向Lにおいて面一である場合とは、図2に示すように、異方性磁石12の第1磁石端面12aとロータコア13の第1コア端面13aとが同一平面(略同一平面も含む、以下同様)であり、且つ、異方性磁石12の第2磁石端面12bとロータコア13の第2コア端面13bと同一平面である場合をいう。本実施形態では、異方性磁石12が正配置されると、異方性磁石12とロータコア13とは軸方向Lにおいて面一(略面一も含む、以下同様)になる。
【0033】
なお、傾斜面144sは、第1姿勢で磁石配置孔13hに配置された(正配置)された異方性磁石12の面取り面121sと接触してもよいし、エンドプレート14がロータコア13に固定(組付け)可能な程度に面取り面121sから離間してもよい(図5参照)。ただし、傾斜面144s(重複部141)は、第1姿勢以外の第2姿勢で磁石配置孔13hに配置された異方性磁石12の面取り部121以外の部分に接触可能に構成される。本実施形態では、傾斜面144s(重複部141)は、第1姿勢以外の第2姿勢で磁石配置孔13hに配置された異方性磁石12の面取り部121以外の部分に接触すると、エンドプレート14をロータコア13に固定することができない。つまり、重複部141は、第1姿勢以外の第2姿勢で磁石配置孔13hに異方性磁石12が配置されることを規制する。なお、以下では、第2姿勢での磁石配置孔13hへの異方性磁石12の配置を「誤配置」という。第2姿勢は、磁化容易軸X1に沿う方向が予め規定された方向(径方向R)以外の姿勢をいう。つまり、本実施形態において、第2姿勢は、磁化容易軸X1が径方向Rに沿う以外の姿勢であって、具体的には、面取り面121sが径方向内側R1以外となる姿勢をいう。
【0034】
異方性磁石12が誤配置され、傾斜面144sが異方性磁石12の面取り部121以外の部分に接触することにより、磁石配置孔13hへの異方性磁石12の誤配置を検知することができる。換言すると、面取り部121と重複部141とは、磁石配置孔13hへの異方性磁石12の誤配置を検知する誤配置検知機構15を構成する。
【0035】
なお、異方性磁石12が誤配置された場合、エンドプレート14は、異方性磁石12の面取り部121以外の部分に接触してロータコア13に固定できない。したがって、エンドプレート14を固定することができないロータコア13に配置された異方性磁石12の誤配置も検知することもできる。
【0036】
誤配置された異方性磁石12を除外することにより、誤配置された異方性磁石12への着磁が回避されて、着磁不良の発生を防止することができる。
【0037】
〔ロータの製造方法〕
続いて、図6図7A及び図7Bを参照して、本実施形態に係るロータ1の製造方法(S100)について説明する。なお、図7A及び図7Bにおいて、上から下へ向かう方向は、鉛直方向に相当し、ロータ1は、軸方向第1側L1を鉛直上向きとして製造される。
【0038】
図6に示すように、ロータ1の製造方法(S100)は、異方性磁石12を準備する磁石準備工程(S1)と、エンドプレート14を準備するプレート準備工程(S2)と、異方性磁石12にエンドプレート14が接触することにより、磁石配置孔13hに誤配置された異方性磁石12を誤配置磁石として検知する誤配置検知工程(S3)と、を含む。
【0039】
磁石準備工程(S1)では、例えば、異方性磁石12の角部12cが面取りされて面取り部121が形成される。また、プレート準備工程(S2)では、エンドプレート14のプレート孔14hを構成する縁部が折り曲げられて突出部143が形成される。誤配置検知工程(S3)は、異方性磁石12の面取り部121以外の部分がエンドプレート14に接触することにより、誤配置磁石(誤配置された異方性磁石12)を検知する。
【0040】
詳しくは、図7A及び図7Bに示すように、誤配置検知工程(S3)は、磁石配置工程(S31)及びエンドプレート配置工程(S32)を含み、磁石配置工程(S31)及びエンドプレート配置工程(S32)は、この順で実行される。
【0041】
図7Aに示すように、磁石配置工程(S31)では、ロータコア13の磁石配置孔13hに異方性磁石12が配置される。なお、図7Aでは、第2姿勢で異方性磁石12が磁石配置孔13hに配置される場合を示している。詳しくは、面取り部121が異方性磁石12の径方向内側R1となる姿勢から鉛直方向(異方性磁石12の挿入方向)に沿って見て反時計回りに90度回転した姿勢で異方性磁石12が磁石配置孔13hに配置される場合を示している。
【0042】
磁石配置工程(S31)おいて、異方性磁石12は、例えば、接着剤によってロータコア13に固定される。異方性磁石12は、ロータコア13と面一となるようにロータコア13に固定される。なお、磁石配置工程(S31)の実行時、異方性磁石12に対して着磁は未だ行われておらず、異方性磁石12は、磁気を帯びていない。
【0043】
図7Bに示すように、エンドプレート配置工程(S32)では、異方性磁石12が磁石配置孔13hに配置されたロータコア13の軸方向コア端13eにエンドプレート14が配置される。なお、図7Bでは、第1プレート14aと第2プレート14bとが同時に配置される場合を示しているが、エンドプレート配置工程(S32)では、第1プレート14aと第2プレート14bとのいずれか一方のみがロータコア13に配置されてもよい。
【0044】
図5を参照して説明したように、異方性磁石12の面取り部121と、エンドプレート14の重複部141(突出部143)とは対応する形状に構成されている。このため、第1姿勢で異方性磁石12が磁石配置孔13hに配置(正配置)されている場合、図2に示すように、エンドプレート14は、異方性磁石12の面取り部121以外の部分と接触することなく、ロータコア13に配置することができる。このように配置されることにより、エンドプレート14は、ロータコア13に対して固定可能になる。
【0045】
一方、図7Bに示すように、第2姿勢で異方性磁石12が磁石配置孔13hに配置(誤配置)されている場合、エンドプレート14の突出部143(傾斜面144s)は、異方性磁石12の面取り部121以外の部分に接触する。このため、エンドプレート14は、異方性磁石12の面取り部121以外の部分に接触することなく配置される場合と比べて、ロータコア13から軸方向Lにおいて離間する。したがって、エンドプレート14が軸方向Lにおいて離間するロータコア13に配置された異方性磁石12を誤配置磁石として検知することができる。なお、ロータコア13からエンドプレート14が軸方向Lにおいて離間すると、ロータコア13にエンドプレート14を固定することができない。このため、エンドプレート14を固定することができないロータコア13に配置された異方性磁石12を誤配置磁石として検知してもよい。
【0046】
その後、周方向Cにおいて隣接する磁石配置孔13h(図1参照)に配置される異方性磁石12の磁極が互いに反対となるように着磁される着磁工程(S4)(図6参照)等が実行されてロータ1が完成する。なお、着磁工程(S4)では、第2姿勢で磁石配置孔13hに配置された異方性磁石12は除外され、第1姿勢で磁石配置孔13hに配置された異方性磁石12のみに対して着磁が行われる。すなわち、正配置された異方性磁石12に対してのみ着磁が行われ、誤配置された異方性磁石12(誤配置磁石)に対する着磁は行われない。これにより、着磁不良の発生を防止することができる。この結果、着磁不良の異方性磁石12の流出(製品化)を低減することができる。
【0047】
〔その他の実施形態〕
次に、ロータのその他の実施形態について説明する。
【0048】
(1)上記の実施形態では、ロータ1の製造方法(S100)として、異方性磁石12を配置した後に、エンドプレート14を配置する方法(以下、「第1方法」という)を説明したが、ロータ1は、エンドプレート14を配置した後に、異方性磁石12をロータコア13に配置することにより製造されてもよい(以下、「第2方法」という)。つまり、第1方法に係るロータ1の製造方法(S100)と、第2方法に係るロータ1の製造方法(S100)とでは、異方性磁石12とエンドプレート14とのロータコア13に配置される順番が異なる。
【0049】
第2方法に係るロータ1の製造方法(S100)では、誤配置検知工程(S3)は、図8A及び図8Bに示すように、第1プレート配置工程(S33)及び磁石配置工程(S34)を含み、第1プレート配置工程(S33)及び磁石配置工程(S34)は、この順で実行される。図8A及び図8Bにおいて、上から下へ向かう方向は鉛直方向に相当し、ロータ1は、軸方向第1側L1を鉛直上向きとして製造される。
【0050】
図8Aに示すように、第1プレート配置工程(S33)では、ロータコア13の第2コア端面13b(軸方向コア端13e)に第2プレート14bが配置される。第2プレート14bは、ボルトといった締結部材等によってロータコア13の軸方向コア端13eに固定される。
【0051】
図8Bに示すように、磁石配置工程(S34)では、第2プレート14bが配置されたロータコア13の磁石配置孔13hに異方性磁石12が配置される。なお、図8Bでは、第2姿勢で異方性磁石12が磁石配置孔13hに挿入される場合を示している。詳しくは、面取り部121が異方性磁石12の径方向内側R1となる姿勢から鉛直方向(異方性磁石12の挿入方向)に沿って見て反時計回りに90度回転した姿勢で異方性磁石12が磁石配置孔13hに配置される場合を示している。
【0052】
磁石配置工程(S34)において、異方性磁石12は、第2プレート14bが配置される側(下側)に対して軸方向Lにおいて反対側(上側)から磁石配置孔13hに配置される。異方性磁石12は、例えば、接着剤によってロータコア13に固定される。なお、磁石配置工程(S34)の実行時、異方性磁石12に対して着磁は未だ行われておらず、異方性磁石12は、磁気を帯びていない。
【0053】
図5を参照して説明したように、異方性磁石12の面取り部121と、エンドプレート14の重複部141(突出部143)とは対応する形状に構成されている。このため、磁石配置工程(S34)において、第1姿勢で異方性磁石12が磁石配置孔13hに挿入されると、図2に示すように、異方性磁石12は、面取り部121以外の部分が第2プレート14bに接触することなく磁石配置孔13hに配置される。
【0054】
一方、図8Bに示すように、第2姿勢で異方性磁石12を磁石配置孔13hに挿入すると、異方性磁石12の面取り部121以外の部分が、エンドプレート14の突出部143(傾斜面144s)に接触する。
【0055】
図5を参照して説明したように、突出部143は、軸方向Lにおいてロータコア13の内側へ向けて突出している。このため、異方性磁石12の面取り部121以外の部分が突出部143に接触すると、異方性磁石12は、軸方向Lにおける第2プレート14bが配置される側とは反対側(図8Bにおいて上側)へロータコア13よりも突出する。つまり、異方性磁石12は、ロータコア13の軸方向Lにおける外側へ突出する。したがって、突出する異方性磁石12を誤配置磁石として検知することができる。
【0056】
なお、第2方法に係るロータ1の製造方法では、誤配置検知工程(S3)は、図8Aに示す第1プレート配置工程(S33)及び図8Bに示す磁石配置工程(S34)に加えて、図8Cに示す第2プレート配置工程(S35)を更に含んでもよい。第2プレート配置工程(S35)は、磁石配置工程(S34)の後に実行される。なお、図8Cにおいて、上から下へ向かう方向は、鉛直方向に相当する。
【0057】
図8Cに示すように、第2プレート配置工程(S35)では、第2プレート14b及び異方性磁石12が配置されたロータコア13の第1コア端面13aに第1プレート14aが更に配置される。
【0058】
磁石配置工程(S34)で説明したように、異方性磁石12は、ロータコア13の軸方向Lにおいて、第2プレート14bとは反対側、つまり、第1プレート14aが配置される側へロータコア13よりも突出している。このため、第1プレート14aは、異方性磁石12の面取り部121以外の部分に接触することなく配置される場合と比べて、ロータコア13から軸方向Lにおいて離間する(浮き上がる)。したがって、第1プレート14aが軸方向Lにおいて離間するロータコア13に配置された異方性磁石12を誤配置磁石として検知することができる。なお、第1プレート14aが軸方向Lにおいて離間すると、エンドプレート14はロータコア13に固定することができない。したがって、第1プレート14aを固定することができないロータコア13に配置された異方性磁石12を誤配置磁石として検知してもよい。
【0059】
図8Aを参照して説明した第1プレート配置工程(S33)では、第2プレート14bに代えて、第1プレート14a(図8C参照)を配置してもよく、この場合、磁石配置工程(S34)において、異方性磁石12は、図8Bにおける下側(第1プレート14aと軸方向Lにおいて反対側)からロータコア13の磁石配置孔13hに配置される。また、第2プレート配置工程(S35)では、第1プレート14aに代えて、第2プレート14bが、第1プレート14a及び異方性磁石12が配置されたロータコア13の第2コア端面13bに配置される。
【0060】
(2)上記の実施形態において、エンドプレート14がロータコア13と別部材である場合を説明したが、エンドプレート14は、同部材であってもよい。例えば、エンドプレート14は、ロータコア13を構成する鋼板のうち軸方向Lにおける端に位置する鋼板であってもよい。なお、ロータコア13を構成する鋼板のうち軸方向Lにおける端に位置する鋼板を蓋コアと称する場合がある。
【0061】
(3)上記の実施形態において、面取り部121は、軸方向Lにおける2つの端部の各々にそれぞれ1つずつ設けられたが、面取り部121は、軸方向Lにおける2つの第1磁石端面12a及び第2磁石端面12bの各々の対向する辺12p(図4参照)をそれぞれ含む4つの角部12cのうちの少なくとも1つが面取りされることにより構成されてもよい。なお、辺12pは、異方性磁石12が正配置された場合において、第1磁石端面12a及び第2磁石端面12bの径方向Rにおいて対向する辺である。すなわち、面取り部121は、2つの端面(第1磁石端面12a及び第2磁石端面12b)のうちの少なくとも1つの端面において、正配置された場合における径方向Rにおいて対向する角部12cのうちの少なくとも1つが面取りされることにより構成されてもよい。つまり、面取り部121は、軸方向Lにおける一方の端部に1つだけ設けられてもよい。あるいは、面取り部121は、4つ設けられてもよい。面取り部121が4つ設けられる場合、辺12pは、径方向Rにおいて対向する2つの辺であり、上記の実施形態で説明した直交面12s(図4参照)は、第1姿勢の異方性磁石12の径方向内側R1と径方向外側R2に位置する面を含み、4つの面取り部121は、第1磁石端面12aと径方向内側R1の直交面12sとが交わる角部12c、第1磁石端面12aと径方向外側R2の直交面12sとが交わる角部12c、第2磁石端面12bと径方向内側R1の直交面12sとが交わる角部12c、及び、第2磁石端面12bと径方向外側R2の直交面12sとが交わる角部12cの4つの角部12cが面取りされることにより構成される。
【0062】
(4)上記の実施形態において、面取り部121が磁化困難軸X2(辺12p)に沿って連続して設けられたが、面取り部121は、磁化困難軸X2に沿って不連続に設けられてもよい。面取り部121は、磁化困難軸X2に沿って離間して設けられてもよく、例えば、第1磁石端面12aと第1磁石端面12aに対して直交する2つの面とが交わる頂部12t(図4参照)の各々を一端とするように離間して設けられてもよい。第2磁石端面12b側についても同様である。この場合、エンドプレート14の突出部143の位置及び形状は、面取り部121の位置及び形状に応じて適宜変更される。
【0063】
(5)上記の実施形態において、突出部143がプレート孔14hに対して径方向内側R1に位置する場合を説明したが、突出部143は、プレート孔14hに対して径方向外側R2に位置してもよい。あるいは、径方向内側R1と径方向外側R2との両方に設けられてもよい。突出部143が径方向内側R1と径方向外側R2との両方に設けられる場合、面取り部121も第1姿勢における異方性磁石12の径方向内側R1と径方向外側R2との両方に設けられる。
【0064】
(6)上記の実施形態では、第1プレート14aと第2プレート14bとは構成が同一である場合を説明したが、第1プレート14aと第2プレート14bとは構成が異なってもよい。例えば、突出部143は、第1プレート14a及び第2プレート14bのいずれか一方にのみ設けられてもよい。
【0065】
(7)上記の実施形態に係る突出部143は、第2姿勢の異方性磁石12の面取り部121以外の部分に接触して、誤配置磁石を検知することができる構成であれば、実施形態で説明した形態に限定されない。突出部143は、屈曲されて(折り曲げられて)構成される場合に限定されず、例えば、図9に示すように、平坦部142のロータコア13と対向する側の面に隆起(突起)が形成されることにより構成されてもよい。なお、突出部143の形状は、周方向C及び径方向Rに沿って見て円弧形状、矩形形状、三角形状等、適宜選択可能である。
【0066】
(8)上記の実施形態では、異方性磁石12の形状が軸方向Lに沿って見て正方形(アスペクト比が1)である場合を説明したが、異方性磁石12は、軸方向Lに沿って見て正方形に限定されず、矩形、すなわち、アスペクト比が1に近い形状であってもよい。
【0067】
(9)なお、上記の各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0068】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明したロータ1及びロータ1の製造方法ついて説明する。
【0069】
ロータ1は、回転軸芯AXを中心に回転自在であって、回転軸芯AXに沿う軸方向Lに貫通する磁石配置孔13hが形成されたロータコア13と、磁石配置孔13hに配置される異方性磁石12と、軸方向Lにおけるロータコア13の軸方向コア端13eに配置されるエンドプレート14と、を備え、異方性磁石12とエンドプレート14とは、磁石配置孔13hへの異方性磁石12の誤配置を検知する誤配置検知機構15を構成している。
【0070】
本構成によれば、異方性磁石12とエンドプレート14とによって構成される誤配置検知機構15が、磁石配置孔13hへの異方性磁石12の誤配置を検知することが可能となる。これにより、誤配置された異方性磁石12に対する着磁(誤った姿勢での着磁)が回避されて、着磁不良の発生を防止することができる。この結果、着磁不良の異方性磁石12の流出(製品化)を低減することができる。また、本構成によれば、誤配置検知機構15が異方性磁石12とエンドプレート14とで構成されるため、ロータコア13の形状を変更する必要がない。このため、加工コストの増加を回避することができる。また、ロータコア13の形状を変更する必要がないため、磁束数の低下を抑制することができる。
【0071】
ここで、異方性磁石12は、軸方向Lに沿って見て正方形の直方体であって、軸方向Lにおける2つ端面12a、12bと、端面12a(又は12b)の1つの辺12pを含む角部12cと、2つの端面12a、12bのうちの少なくとも1つの端面12a(及び/又は12b)において、対向する角部12cのうちの少なくとも1つが面取りされた面取り部121を有しており、エンドプレート14は、軸方向Lにおいてロータコア13に向けて突出する突出部143を有しており、誤配置検知機構15は、面取り部121と突出部143とで構成されていると好適である。
【0072】
本構成によれば、直方体の角部12cを面取りするという簡便な加工で誤配置検知機構15を構成することができる。また、軸方向Lにおいてロータコア13に向けて突出する突出部143をエンドプレート14に設けるという簡便な構成で、誤配置検知機構15を構成することができる。したがって、加工作業、加工費用等の増加を抑制することができる。この結果、ロータ1の製造作業の効率化を図ることができる。また、軸方向Lにおいてロータコア13に向けて突出部143が突出している。このため、突出部143が異方性磁石12の面取り部121以外の部分と接触することによって、異方性磁石12の誤配置を検知することができる。
【0073】
また、面取り部121は、磁石配置孔13hに正配置される異方性磁石12のロータコア13の径方向内側R1に設けられると好適である。
【0074】
本構成によれば、ステータ2が配置される側である径方向外側R2へ向けて磁束が流れやすくなり、ロータ1の性能が向上する。つまり、ロータコア13の径方向内側R1に面取り部121を設ければ、磁束密度の低下を抑制できる。
【0075】
ロータ1の製造方法は、回転軸芯AXを中心に回転可能なロータコア13と、ロータコア13を回転軸芯AXに沿って貫通する磁石配置孔13hに配置される異方性磁石12と、回転軸芯AXの軸方向Lにおけるロータコア13の軸方向コア端13eに配置されるエンドプレート14と、を備えるロータ1の製造方法であって、軸方向Lに沿って見て正方形の直方体であって、軸方向Lにおける2つの端面12a、12bの各々の対向する辺12pをそれぞれ含む4つの角部12cの少なくとも1つが面取りされた面取り部121を有する異方性磁石12を準備する磁石準備工程S1と、軸方向Lにおいてロータコア13に向けて突出する突出部143を有するエンドプレート14を準備するプレート準備工程S2と、異方性磁石12にエンドプレート14が接触することにより、磁石配置孔13hに誤配置された異方性磁石12を誤配置磁石として検知する誤配置検知工程S3と、を含み、誤配置検知工程S3では、面取り部121以外の部分と突出部143とが接触することにより異方性磁石12の誤配置を検知する。
【0076】
本構成によれば、異方性磁石12にエンドプレート14が接触することにより、ロータコア13の磁石配置孔13hに誤配置された異方性磁石12を検知することができる。これにより、誤配置された異方性磁石12を除外して着磁可能になり、誤配置された異方性磁石12に対する着磁(誤った姿勢での着磁)が回避されて、着磁不良の発生を抑制することができる。この結果、着磁不良の異方性磁石12の流出(製品化)を低減することができる。また、本構成における誤配置検知工程S3では、誤配置された異方性磁石12が検知されるため、磁化容易軸X1をマーキングする必要がなく、誤配置を見落とす不都合が防止される。その結果、ロータコア13への異方性磁石12の誤配置を防止するための不滅インキ等によるマーキング作業が不要となり、ロータ1の製造作業の効率化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本開示に係る技術は、ロータ、及びロータの製造方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 :ロータ
12 :異方性磁石
12c :角部
13 :ロータコア
13e :軸方向コア端
13h :貫通孔(磁石配置孔)
14 :エンドプレート
15 :誤配置検知機構
121 :面取り部
143 :突出部
AX :回転軸芯
L :軸方向
R1 :径方向内側
S1 :磁石準備工程
S2 :プレート準備工程
S3 :誤配置検知工程
X1 :磁化容易軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9