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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122078
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】燃料タンク用弁装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20240902BHJP
   F16K 24/04 20060101ALI20240902BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20240902BHJP
   B60K 15/035 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
F02M37/00 A
F02M37/00 J
F02M37/00 311A
F02M37/00 311K
F16K24/04 S
F16K27/02
B60K15/035 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029405
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内村 春斗
(72)【発明者】
【氏名】近 拓馬
【テーマコード(参考)】
3D038
3H051
3H055
【Fターム(参考)】
3D038CA22
3D038CA39
3D038CC04
3H051AA01
3H051BB10
3H051CC11
3H051FF15
3H055AA03
3H055AA22
3H055BA02
3H055BA12
3H055BC03
3H055CC04
3H055CC05
3H055CC20
3H055CC21
3H055CC25
3H055GG01
3H055GG08
3H055JJ03
3H055JJ08
(57)【要約】
【課題】満タン検知性能を向上させることができる燃料タンク用弁装置を提供する。
【解決手段】この燃料タンク用弁装置10は、ハウジング11と第1フロート弁91とを有し、ハウジング11は、第1フロート弁91を支持するフロート弁支持部51と、フロート弁支持部51の下方から延出する外側筒状部65と、その内側に配置された内側筒状部66と、外側筒状部内周及び内側筒状部外周を連結する複数の隔壁と、それらにより画成された、複数の部屋とを有しており、各部屋の軸方向下端には、軸方向開口がそれぞれ形成されており、各軸方向開口は、液没していない状態で給油ノズルからの連続給油を可能とし、液没状態で連続給油を停止する、満タン規制開口をなしている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁部及び仕切壁を有しており、前記仕切壁を介して、下方に燃料タンク内に連通する弁室、上方に燃料タンク外に連通する通気室が前記周壁部内に各々設けられ、前記仕切壁に前記弁室及び前記通気室を連通する開口が形成された、ハウジングと、
前記弁室内に昇降可能に収容されて前記開口を開閉し、給油ノズルからの前記燃料タンク内への給油時に上昇して前記開口を閉塞するフロート弁とを有しており、
前記ハウジングは、
前記フロート弁を支持するフロート弁支持部と、
該フロート弁支持部の下方から延出する外側筒状部と、
該外側筒状部の内側に配置され、且つ、軸方向上端が閉塞されて前記弁室に連通しない構成とされた内側筒状部と、
前記外側筒状部の内周及び前記内側筒状部の外周を連結する複数の隔壁と、前記外側筒状部、前記内側筒状部、及び前記複数の隔壁により画成された、複数の部屋とを有しており、
前記複数の部屋の軸方向下端には、軸方向開口がそれぞれ形成されていると共に、前記複数の部屋の軸方向上端には、前記弁室に連通する連通口がそれぞれ形成されており、前記燃料タンク内と前記弁室とが前記軸方向開口及び前記連通口を通じて連通しており、
各軸方向開口は、液没していない状態で前記給油ノズルからの連続給油を可能とし、液没状態で前記連続給油を停止する、満タン規制開口をなすことを特徴とする燃料タンク用弁装置。
【請求項2】
前記ハウジングを軸方向から見たときに、前記複数の部屋の少なくとも1つは、径方向内側部分に対して径方向外側部分が次第に拡開するように形成されている請求項1記載の燃料タンク用弁装置。
【請求項3】
前記フロート弁の外径は、前記内側筒状部の外接円の外径以下とされている請求項1又は2記載の燃料タンク用弁装置。
【請求項4】
前記フロート弁支持部は、撓み変形可能な弾性片を有しており、
前記内側筒状部は、前記ハウジングの径方向内側に入り込むように屈曲する屈曲壁部を有しており、該屈曲壁部により凹状部が形成され、前記ハウジングを軸方向から見たときに、該凹状部内に前記弾性片が配置されている請求項1又は2記載の燃料タンク用弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の燃料タンクに取付けられ、燃料タンクへの過給油を防止したり、燃料タンク外への燃料流出を防止したりする、燃料タンク用弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の車両の燃料タンクには、燃料タンク内の液面が、予め設定された満タン液面よりも上昇しないように、燃料タンク内への過給油を防止する弁装置(満タン規制バルブ)等が取付けられている。
【0003】
また、満タン規制バルブとしては、開口を形成した仕切壁及び弁室を有するハウジングと、弁室内に収容されたフロート弁とを有し、ハウジングは、その下方に、軸方向に開口する軸方向開口を設けると共に、当該軸方向開口及び弁室を連通させる連通口を設けたものが存在する。
【0004】
そして、給油により燃料タンク内の燃料液面が上昇し、軸方向開口が燃料により閉塞されると、燃料は、軸方向開口及び連通口を通じて弁室内に流入する。その結果、フロート弁が上昇して、開口を閉じるので、燃料タンク内の空気が逃げ場を失うことになって、燃料タンク内の圧力が上昇し、満タン規制が図られる。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、燃料タンク内外を連通する第一弁口及び第二弁口と、第一弁口下に形成される第一弁室と、第二弁口下に形成される第二弁室と、第一弁室内に上下動可能に配される第一フロートと、第二弁室内に上下動可能に配される第二フロートとを備え、第一弁室は、流体の通過部を持った第一フロートの支持部の下方に開放端を位置させる構成となっていると共に、第二弁室は、流体の通過部を持った第二フロートの支持部を備え、第一弁室及び第二弁室を、第一弁口及び第二弁口を備えた装置上部に対し、第一フロートの支持部、開放端、及び第二フロートの支持部を備えた下部パーツを嵌合させて形成させてなる、燃料タンク用弁装置が記載されている。
【0006】
また、下部パーツの、第一のフロートの支持部の下方には、スカート状に下方に延出する形状をなしており、この下側部分は、軸方向に開口した形状となっている。そして、第一弁室の開放端に燃料の液面レベルが達したとき、すなわち、下部パーツの、スカート状の下側部分の軸方向開口に燃料が達すると、燃料タンクの内圧を上昇させて給油ガン側のセンサに満タンを検知させるようになっている(特許文献1の段落0065参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6886434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、軸方向開口が燃料で閉塞されることで、満タン規制を図る弁装置としては、給油により燃料が所定の燃料液面に達したら、即時に満タン規制がなされることが望ましい。しかし、燃料が軸方向開口を閉塞した後、弁室内に燃料が流入するまで、ある程度の時間が必要であるため、満タン検知性能が十分とは言い難い。
【0009】
したがって、本発明の目的は、満タン検知性能を向上させることができる、燃料タンク用弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る燃料タンク用弁装置は、周壁部及び仕切壁を有しており、前記仕切壁を介して、下方に燃料タンク内に連通する弁室、上方に燃料タンク外に連通する通気室が前記周壁部内に各々設けられ、前記仕切壁に前記弁室及び前記通気室を連通する開口が形成された、ハウジングと、前記弁室内に昇降可能に収容されて前記開口を開閉し、給油ノズルからの前記燃料タンク内への給油時に上昇して前記開口を閉塞するフロート弁とを有しており、前記ハウジングは、前記フロート弁を支持するフロート弁支持部と、該フロート弁支持部の下方から延出する外側筒状部と、該外側筒状部の内側に配置され、且つ、軸方向上端が閉塞されて前記弁室に連通しない構成とされた内側筒状部と、前記外側筒状部の内周及び前記内側筒状部の外周を連結する複数の隔壁と、前記外側筒状部、前記内側筒状部、及び前記複数の隔壁により画成された、複数の部屋とを有しており、前記複数の部屋の軸方向下端には、軸方向開口がそれぞれ形成されていると共に、前記複数の部屋の軸方向上端には、前記弁室に連通する連通口がそれぞれ形成されており、前記燃料タンク内と前記弁室とが前記軸方向開口及び前記連通口を通じて連通しており、各軸方向開口は、液没していない状態で前記給油ノズルからの連続給油を可能とし、液没状態で前記連続給油を停止する、満タン規制開口をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ハウジングは複数の部屋を有しており、各部屋の軸方向下端に、満タン規制開口をなす軸方向開口がそれぞれ形成されているので、各部屋の内面(外側筒状部の内周面、内側筒状部の外周面、隔壁の外面)に作用する表面張力により、ハウジングに複数の部屋が存在しない場合に比べて、軸方向開口を塞ぎやすくすることができる。
【0012】
その結果、各部屋の軸方向開口から、各部屋内に流入した燃料が、各部屋の内面を伝ってスムーズに上昇して、各部屋の連通口を通じて弁室内に迅速に流入されることになり、満タン検知性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る燃料タンク用弁装置の、一実施形態を示す分解斜視図である。
図2】同燃料タンク用弁装置の斜視図である。
図3】同燃料タンク用弁装置において、図2のA-A矢視線における断面図である。
図4】同燃料タンク用弁装置を構成するロアーキャップの拡大斜視図である。
図5】同ロアーキャップの、図4とは異なる方向から見た場合の拡大斜視図である。
図6】同ロアーキャップの底面図である。
図7】同ロアーキャップの、図4のB-B矢視線における断面図である。 B矢視線における断面図である。
図8図3の状態からフロート弁が上昇して、開口を閉じた場合の断面図である。
図9】本発明に係る燃料タンク用弁装置の、他の実施形態を示しており、その分解斜視図である。
図10】同燃料タンク用弁装置の斜視図である。
図11】同燃料タンク用弁装置において、図10のD-D矢視線における断面図である。
図12】同燃料タンク用弁装置を構成するロアーキャップの拡大斜視図である。
図13】同ロアーキャップの底面図である。
図14図11の状態からフロート弁が上昇して、開口を閉じた場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(燃料タンク用弁装置の一実施形態)
以下、図1~8を参照して、本発明に係る燃料タンク用弁装置の、第1実施形態について説明する。
【0015】
図1図3等に示すように、この実施形態における燃料タンク用弁装置10(以下、単に「弁装置10」ともいう)は、周壁部21,41,53及び仕切壁22を有しており、仕切壁22を介して、下方に燃料タンク内に連通する弁室(第1弁室V1,第2弁室V2)、上方に燃料タンク外に連通する通気室Rが周壁部21,41,53内に各々設けられ、仕切壁22に弁室と通気室Rとを連通する開口(第1開口23,第2開口24)が形成された、ハウジング11を有している。
【0016】
更に、弁装置10は、第1弁室V1内に昇降可能に収容されて第1開口23を開閉し、給油ノズルからの燃料タンク内への給油時に上昇して第1開口23を閉塞する第1フロート弁91と、第2弁室V2内に昇降可能に収容されて第2開口24を開閉する第2フロート弁92と、第1フロート弁91を付勢する第1付勢ばね13と、第2フロート弁92を付勢する第2付勢ばね14とを有している。なお、第1フロート弁91が本発明における「フロート弁」をなしている。
【0017】
この実施形態のハウジング11は、仕切壁22を有するハウジング本体20と、ハウジング本体20の上方に装着されるアッパーカバー40と、ハウジング本体20の下方に装着されるロアーキャップ50とを有している。
【0018】
なお、ハウジング本体20が周壁部21を有しており、アッパーカバー40が周壁部41を有しており、ロアーキャップ50が周壁部53を有している。この実施形態では、ロアーキャップ50の周壁部53が、本発明における「周壁部」をなしている。
【0019】
また、以下の説明において、「燃料」とは、液体の燃料(燃料の飛沫も含む)を意味し、「燃料蒸気」とは、蒸発した燃料を意味するものとする。また、本発明における「軸方向」とは、弁室内を上下方向に昇降動作するフロート弁の昇降動作に沿った方向や、フロート弁の軸心に沿った方向(弁軸方向とも言える)、ハウジングの軸心に沿った方向を意味する(以下の説明でも同様)。
【0020】
まず、ハウジング本体20について、図1~3等を参照して説明する。
【0021】
このハウジング本体20は、第1弁室形成壁26及び第2弁室形成壁27からなる周壁部21を有している。この周壁部21は、その上方に仕切壁22が配置されており、下方は開口した略筒状をなしている。
【0022】
上記第1弁室形成壁26は、略半円筒状をなした壁部となっている。一方、第2弁室形成壁27は、第1弁室形成壁26よりも小径の円弧状をなした円弧状壁と、該円弧状壁の周方向両端に、互いに平行に配置された平坦面状の両側壁とからなる。すなわち、第1弁室形成壁26及び第2弁室形成壁27は、異なる外郭形状を有している。
【0023】
また、ハウジング本体20は、周壁部21と併せて、ハウジング本体20の内部空間を、第1弁室V1及び第2弁室V2に区画する(画成する)、弁室区画壁28を有している(図3参照)。この弁室区画壁28は、ハウジング11の軸心を通り且つハウジング11の軸方向に沿って垂直に延びる平板状をなしている。
【0024】
上記仕切壁22の、第1弁室形成壁26寄りの所定位置には、略円形孔状をなした第1開口23が形成されている(図1参照)。また、仕切壁22の、第2弁室形成壁27寄りの所定位置には、第1開口23よりも小径の第2開口24が形成されている(図3参照)。そして、第1開口23を介して第1弁室V1及び通気室Rが連通され、第2開口24を介して第2弁室V2及び通気室Rが連通される。なお、上記の第1開口23が本発明における「開口」をなしている。
【0025】
また、図3に示すように、第1開口23及び第2開口24の裏側(下側)周縁からは、略円形突起状をなした弁座23a,24aがそれぞれ突設されている。そして、弁座23aに第1フロート弁91が接離することで、第1開口23が開閉され(図3,8参照)、弁座24aに第2フロート弁92が接離することで、第2開口24が開閉される(図3参照)。
【0026】
周壁部21の上方からは、略円環状をなしたフランジ部29が張出している。このフランジ部29には、複数の挿通孔29aが形成されている。また、仕切壁22とフランジ部29との間には、環状溝状をなしたリング装着溝30が形成されており、該リング装着溝30には、シールリング17が介装されるようになっている(図3参照)。
【0027】
更に、周壁部21の外周の、フランジ部29寄りの箇所であって、前記挿通孔29aに整合した位置からは、複数の第1係合突部31が突設されている。また、周壁部21の外周であって、軸方向下端部寄りの位置には、複数の第2係合突部32が突設されている。
【0028】
また、仕切壁22の、第2開口24の表側(上側)周縁からは、上方が開口した筒状部33が突設されている。この筒状部33の上方開口には、キャップ34が装着される。図3に示すように、筒状部33及びキャップ34の内側には、圧力調整弁35が昇降可能に収容配置されており、燃料タンク内の圧力調整が可能となっている。
【0029】
次に、ハウジング本体20の上方に装着されるアッパーカバー40について、図1~3等を参照して説明する。
【0030】
このアッパーカバー40は、略円筒状をなした周壁部41を有すると共に、天井部が閉塞しており、更に周壁部41の下端外周縁から径方向外方に向けて張出したフランジ部43を有する、下方が開口し上方が閉塞した略ハット状をなしている。
【0031】
また、図1に示すように、フランジ部43の内周縁部からは、下方に向けて複数の係合片45が垂下している。各係合片45には、係合孔45aが形成されている。
【0032】
そして、アッパーカバー40の各係合片45を、ハウジング本体20の対応する挿通孔29aから挿出させ、係合孔45aに対応する第1係合突部31をそれぞれ係合させる(図2参照)。その結果、図3に示すように、シールリング17を介して、ハウジング本体20の上方にアッパーカバー40が装着されることとなり、仕切壁22を介して、その上方に燃料タンクの外部に連通する通気室Rが形成されるようになっている。
【0033】
また、図3に示すように、周壁部41の周方向の所定箇所には、略円形孔状をなした燃料蒸気排出口41a(以下、単に「排出口41a」ともいう)が、周壁部41を貫通して形成されている。更に、周壁部41の、排出口41aの表側周縁から、燃料蒸気配管47(以下、単に「配管47」ともいう)が所定長さで延出している。この配管47は、排出口41aに連通している。
【0034】
次に、ハウジング本体20の下方に装着されるロアーキャップ50について、図1~7を参照して説明する。
【0035】
このロアーキャップ50は、第1フロート弁91及び第2フロート弁92を支持するフロート弁支持部51と、該フロート弁支持部51の外周縁部から立設すると共に、ハウジング本体20の周壁部21に適合する形状をなした周壁部53とを有する、上方が開口した有底キャップ状をなしている。
【0036】
周壁部53は、ハウジング本体20の第1弁室形成壁26に適合する形状をなす、第1弁室形成壁58と、ハウジング本体20の第2弁室形成壁27に適合する形状をなす、第2弁室形成壁59とからなり、ハウジング本体20の周壁部21よりも一回り大きな相似形状をなしている。
【0037】
また、フロート弁支持部51は、第1フロート弁91を支持する第1支持部55と、該第1支持部55よりも低く配置されて、第2フロート弁92を支持する第2支持部56とを有している。なお、第1支持部55は、第1弁室形成壁58の軸方向下方に配置されており、第2支持部56は、第2弁室形成壁59の軸方向下方に配置されている(図3参照)。
【0038】
更に、フロート弁支持部51の上面(弁室側に向く面であり、内面とも言える)であって、第1弁室形成壁26及び第2弁室形成壁27の境界部分からは、弁室区画壁60が立設されている。この弁室区画壁60は、ハウジング本体20の下方にロアーキャップ50を装着したときに、ハウジング本体20側の弁室区画壁28の下端部に所定長さ重なるようになっている(図3参照)。
【0039】
図4に示すように、第2支持部56は、幅方向両側部分よりも低い底部56aを有しており、該底部56aには、第2付勢ばね14を支持するための、円筒状をなしたばね支持部61が突設されている。
【0040】
また、図4~6に示すように、第2支持部56の所定箇所には、燃料タンク内と第2弁室V2内とを連通させる連通口62aが複数形成されている。更に、各連通口62aを介して、撓み変形可能な弾性片62が複数形成されている。これらの弾性片62は、第2フロート弁92が下降して、第2支持部56上に載置される際の、打音を抑制する。
【0041】
また、周壁部53の軸方向上方には、周方向に長く延びる長孔状をなした係合孔53aが形成されている。そして、各係合孔53aに、ハウジング本体20の、対応する第2係合突部32をそれぞれ係合させることで、ハウジング本体20の下方にロアーキャップ50が装着される。その結果、仕切壁22を介して、ハウジング下方に図示しない燃料タンク内に連通する第1弁室V1及び第2弁室V2が形成されるようになっている(図3参照)。なお、上記の第1弁室V1が本発明における「弁室」をなしている。
【0042】
また、第1弁室V1及び第2弁室V2は、弁室区画壁28,60を介して区画されて互いに独立した空間となっており、両弁室V1,V2どうしは連通しない構成となっている。
【0043】
更に、第1支持部55の内面の所定箇所からは、棒状をなした支軸63が所定高さで立設されている。図3に示すように、この支軸63は、フロート本体94に形成されたガイド孔94aに挿入されて、第1フロート弁91の昇降動作をガイドする。なお、支軸63の軸心は、第1弁室V1の中心C(図3参照)と一致している。
【0044】
そして、ハウジング11は、フロート弁支持部51の下方から延出する外側筒状部65と、該外側筒状部65の内側に配置され、且つ、軸方向上端が閉塞されて弁室に連通しない構成とされた内側筒状部66と、外側筒状部65の内周及び内側筒状部66の外周を連結する複数の隔壁(第1隔壁75及び第2隔壁76)と、外側筒状部65、内側筒状部66、及び複数の隔壁により画成された、複数の部屋(H1,H1´,H2)とを有している。この実施形態の場合、第1部屋H1,H1´と、第2部屋H2とを有している。
【0045】
なお、ハウジング11における、フロート弁支持部51よりも下方部分は、外側筒状部65と、その内側に配置された内側筒状部66とを有する、二重筒構造をなしている、とも言える。
【0046】
これについて具体的に説明すると、ハウジング11を構成するロアーキャップ50に設けたフロート弁支持部51の、第1支持部55の下方部分から、軸方向下方に向けて、筒状をなした外側筒状部65が延出している。
【0047】
図5,6に示すように、この外側筒状部65は、ハウジング11やフロート弁の軸方向から見たときに、略円弧状に延びると共に、第1弁室形成壁58の外周よりも内側(第1弁室形成壁58の外接円よりも内側)であって、且つ、第1弁室形成壁58の径方向の対向箇所に配置された、一対の円弧状壁68,68と、該一対の円弧状壁68,68に対して直交する位置に配置された、一対の側壁69,70とからなる。
【0048】
図4に示すように、一方の側壁69は、弁室区画壁60とは径方向反対側に配置されて、第1弁室形成壁58の外周面に沿って連続して(段差のない面一形状)軸方向下方に延びる略円弧状をなしている。また、他方の側壁70は、弁室区画壁60の下方に配置されて、その外周面が略円弧状をなす一方、その内周面は弁室区画壁60の面方向に沿う平坦面状をなしている。
【0049】
すなわち、この実施形態における外側筒状部65は、4個の側辺を有し、各側辺が外方に向けて凸となるように丸みを帯びて膨らむような凸曲面を具備する、4辺が丸みを帯びた略四角筒状をなしている。
【0050】
なお、一対の円弧状壁68,68の径方向外側には、略三角筒状を呈する、側方筒状壁71,71が配置されている(図5,6参照)。各側方筒状壁71の軸方向上方には、燃料タンク内と弁室V1内とを連通させる、通孔71aが形成されている(図7参照)。
【0051】
一方、内側筒状部66は、図5,6に示すように、軸方向から見たときに、前記一対の側壁69,70に対して直交するように所定長さで長尺状に延び、且つ、上方が閉塞され下方が開口した筒状をなしている。図6に示すように、この内側筒状部66は、その長手方向中央部が、第1弁室V1の中心Cに対して、一方の側壁69寄りにやや偏位して配置されている。
【0052】
また、内側筒状部66の延出方向に沿った両側辺であって、その延出方向に対して、他方の側壁70寄りにやや偏位した箇所からは、前記一対の円弧状壁68,68に向けて凸状に突出する、一対の突出部73,73を有している(一対の突出部73,73自体は、第1弁室V1の中心Cにほぼ整合して配置されている)。すなわち、内側筒状部66は、軸方向から見て、異形の長尺筒状(長尺箱状とも言える)を呈している。
【0053】
また、一対の突出部73,73を含む内側筒状部66は、フロート弁支持部51を構成する第2支持部56の下面(弁室とは反対側に向く面であり、外面とも言える)から軸方向下方に延出している。
【0054】
なお、第2支持部56の下面における、内側筒状部66で囲まれた部分には、第2弁室V2に連通する貫通孔等は存在しない。そのため、内側筒状部66は、軸方向の上方が閉塞されている。したがって、内側筒状部66の内部空間は、下方が開口しているものの、上方は閉塞されており、第1弁室V1には連通しない構成となっている(図7参照)。
【0055】
また、図5,6に示すように、内側筒状部66の軸方向上方であって、一対の突出部73,73の間には、下方が開口した略円筒状をなした筒状壁74が、複数のリブ74aを介して配置されている。
【0056】
なお、図5図7に示すように、内側筒状部66の軸方向の下端は、外側筒状部65の軸方向の下端と、同一の高さ(位置)となっている(両筒状部65,66の軸方向下方への延出長さは同一となっている、両筒状部65,66の軸方向下端の高さ位置は揃っている、等とも言える)。また、外側筒状部65及び内側筒状部66は、その軸方向上端(フロート弁支持部51の第1支持部55の下端連結部分)から軸方向下端に至るまで、同一形状で延びている。
【0057】
更に図5及び図6に示すように、外側筒状部65及び内側筒状部66を連結する本発明における「隔壁」は、内側筒状部66の長手方向両側部の外周面から、一対の側壁69,70に向けて延び、且つ、当該一対の側壁69,70の内周面に連結される、一対の第1隔壁75,75と、内側筒状部66の一対の突出部73,73の外周面から、一対の円弧状壁68,68に向けて延び、且つ、当該一対の円弧状壁68,68の内周面に連結される、一対の第2隔壁76,76とからなる。
【0058】
一対の第1隔壁75,75は、内側筒状部66の長手方向両側部の幅方向中央から、一対の側壁69,70に向けて、且つ、内側筒状部66の長手方向に沿って延びて(第1弁室V1の中心Cを通る直線に沿って延びる、とも言える)、その延出方向先端部が一対の側壁69,70の内周面に連結されるようになっている。なお、一方の第1隔壁75は、一方の側壁69の外周面に対する接線に対して直交し、他方の第1隔壁75は、他方の側壁69の平坦面状の内周面に対して直交する。
【0059】
一方、一対の第2隔壁76,76は、各突出部73,73の長手方向両側部分の外周面から、一対の円弧状壁68,68に向けて、次第に広がるように延びており、その延出方向先端部が一対の円弧状壁68,68の内周面に連結されて、略ハの字状を呈している。
【0060】
そして、上記のような、外側筒状部65を構成する一対の円弧状壁68,68及び一対の側壁69,70と、一対の突出部73,73を含む内側筒状部66と、一対の第1隔壁75,75及び一対の第2隔壁76,76とから、複数の第1部屋H1,H1´及び第2部屋H2が画成されている。
【0061】
具体的には、一対の円弧状壁68,68の一部と、一方の側壁69と、一方の第1隔壁75と、所定の第2隔壁76と、突出部73を含む内側筒状部66の一部とで、一方の側壁69側に、一対の第1部屋H1,H1が画成されている。
【0062】
また、一対の円弧状壁68,68の一部と、他方の側壁70と、他方の第1隔壁75と、所定の第2隔壁76と、突出部73を含む内側筒状部66の一部とで、他方の側壁70側に、一対の第1部屋H1´,H1´が画成されている。
【0063】
更に、一対の円弧状壁68,68の一部と、突出部73,73の一部と、一対の第2隔壁76,76とで、外側筒状部65の径方向に対向する箇所に、一対の第2部屋H2,H2が画成されている。なお、各第2部屋H2は、側壁69側に位置する第1部屋H1と、側壁70側に位置する第1部屋H1´との間に、それぞれ配置されている。
【0064】
また、複数の部屋、すなわち、第1部屋H1,H1´及び第2部屋H2の各々は、ハウジング11を構成するロアーキャップ50の軸方向に延びる細長い空間となっており、その軸方向下端が開口して、燃料タンク内に連通する軸方向開口80がそれぞれ形成されるようになっている(軸方向開口80の詳細は後述する)。
【0065】
更に、ハウジング11を軸方向から見たときに、複数の部屋(H1,H1´,H2)の少なくとも1つは、径方向内側部分に対して径方向外側部分が次第に拡開するように形成されている。
【0066】
この実施形態の場合、図6に示すように、ハウジング11を構成するロアーキャップ50を軸方向から見たときに、第2部屋H2が、ロアーキャップ50の径方向内側部分(内側筒状部66側に向く部分)に対して、ロアーキャップ50の径方向外側部分(外側筒状部65を構成する一対の円弧状壁68,68側に向く部分)が、その開口面積が次第に拡開するように設けられている。
【0067】
なお、各第2部屋H2は、上底及び下底が円弧状をなした略台形状、又は、内側に配置された短い円弧状周辺と、外側に配置された長い円弧状周辺との、周方向両端どうしが一対の直線で連結された略扇形状をなしている、とも言える。
【0068】
また、図3,5,7等に示すように、各部屋H1,H1´,H2の軸方向下端には、軸方向に開口する軸方向開口が80それぞれ形成されていると共に、各部屋H1,H1´,H2の軸方向上端には、弁室(第1弁室V1,第2弁室V2)に連通する連通口77がそれぞれ形成されており、燃料タンク内と弁室とが軸方向開口80及び連通口77を通じて連通している。
【0069】
上記の満タン規制開口をなす軸方向開口80は、ハウジング11の軸方向に開口したもの、すなわち、ハウジング11の軸方向(上下方向)が開口する形状となっている。この実施形態の軸方向開口80は、図3,7に示すように、ロアーキャップ50の周壁部53の軸方向の下方に向けて開口した形状となっている(軸方向下方が開口している)。
【0070】
また、各部屋H1,H1´,H2の軸方向下端部にそれぞれ形成された軸方向開口80は、液没していない状態で給油ノズルからの連続給油を可能とし、液没状態で連続給油を停止する、満タン規制開口をなすようになっている。
【0071】
なお、満タン規制開口をなす軸方向開口80は、満タン規制面や、ロックポイント、SOH(Shut Off Height)を設定するためのものであり、追加給油前の連続給油による満タン規制を行う高さに配置され、液没していない状態で、燃料タンク内と弁室V内とを互いに連通させて、給油ノズルからの連続給油を可能とするような開口面積で形成されている。
【0072】
また、満タン規制開口をなす軸方向開口80の液没状態では、給油ノズルからの連続給油速度に対して、図示しない流通孔からの空気流入速度が間に合わず、第1弁室V1内の燃料液面が上昇して、第1フロート弁91が第1開口23を閉塞して(図8参照)、給油ノズルからの連続給油を停止するように構成されている。
【0073】
なお、満タン規制開口をなす軸方向開口における、上記の「液没していない状態」とは、軸方向開口が、液体の燃料によって閉塞されずに開口し、燃料タンク内と第1弁室V1内とが連通した状態を意味し、「液没状態」とは、軸方向開口が液体の燃料によって閉塞されて、燃料タンク内と第1弁室V1内との連通が遮断された状態を意味する。
【0074】
また、ハウジング11を軸方向から見たとき、複数の部屋のうち、所定の部屋の開口面積は、他の部屋の開口面積よりも小さく形成されている。
【0075】
この実施形態の場合、図6に示すように、ハウジング11を軸方向から見たとき(ハウジング11を構成するロアーキャップ50を軸方向下方側から見たとき)、第2部屋H2側の軸方向開口80の開口面積は、第1部屋H1,H1´側の軸方向開口80の開口面積よりも小さく形成されている。なお、第1部屋H1の開口面積は、第1部屋H1´の開口面積よりも大きく形成されている。すなわち、各部屋の開口面積は、H1>H1´>H2の関係となっている。
【0076】
更に、この実施形態の場合、各部屋H1,H1´,H2の軸方向上方には、第1支持部55が配置されており、該第1支持部55に形成された各種形状(円形の貫通孔や、切欠き、スリット等)をなした連通口77を介して、各部屋H1,H1´,H2の内部空間が、第1弁室V1に連通するようになっている。
【0077】
なお、図6に示すように、第2部屋H2の径方向内側部分には、円形状をなした連通口77が形成されており、第2部屋H2の径方向外側部分には、略扇形状をなした連通口77が形成されている。
【0078】
一方、第1部屋H1,H1´の軸方向上方に形成された各連通口77を介して、撓み変形可能な弾性片78が複数形成されている。これらの弾性片78は、第1フロート弁91が下降して、第1支持部55上に載置される際の、打音を抑制するようになっている。
【0079】
次に、弁室内に昇降可能に収容されるフロート弁について説明する。
【0080】
図1図3に示すように、第1弁室V1内に収容される第1フロート弁91は、燃料浸漬時に浮力を発生させるフロート本体94と、該フロート本体94の上方に装着され、フロート本体94に対して相対的に昇降動作し、仕切壁22の第1開口23に接離するシール部材95とを有している。
【0081】
また、シール部材95の上方には、ゴムや弾性エラストマー等の弾性材料からなるシール弁体96が装着されている。シール弁体96の中央には、上方及び下方が開口した通気孔96aが貫通して形成されている。このシール弁体96が第1開口23の弁座23aに接離して、第1開口23を開閉することで、第1フロート弁91が満タン規制弁として機能する。
【0082】
更に、フロート本体94とシール部材95との間には、中間弁体97が傾動可能に支持されている。この中間弁体97は、常時はシール弁体96の下端部に当接して、通気孔96aを閉塞し(図3参照)、フロート本体94がシール部材95に対して下降したときに、通気孔96aを開くようになっている。
【0083】
また、第1フロート弁91は、第1弁室V1内において、ロアーキャップ50との間で、第1付勢ばね13を介在させた状態で昇降可能に収容配置され、燃料浸漬時に自身の浮力及び第1付勢ばね13の付勢力で上昇し、燃料の非浸漬時に自重で下降するようになっている。
【0084】
一方、第2弁室V2内に収容される第2フロート弁92は、外周が円形状をなしたフロート本体98と、その上方中央から突設した、上端が丸みを帯びた略三角錐状をなした弁頭99とを有している。この弁頭99が、第2開口24の弁座24aに接離して、第2開口24を開閉することで、第2フロート弁92は燃料流出防止弁として機能する。
【0085】
第2フロート弁92は、第2弁室V2内に、ロアーキャップ50との間で、第2付勢ばね14を介在させた状態で昇降可能に収容配置され、燃料浸漬時に自身の浮力及び第2付勢ばね14の付勢力で上昇し、燃料の非浸漬時に自重で下降する。
【0086】
(変形例)
本発明を構成するハウジング、該ハウジング本体を構成するハウジング本体、アッパーカバー、ロアーキャップ、フロート弁支持部、周壁部、外側筒状部、内側筒状部、隔壁、第1部屋、第2部屋、軸方向開口、連通口等の、形状や、構造、レイアウト等は、上記態様に限定されるものではない。
【0087】
また、上記実施形態におけるハウジング11は、ハウジング本体20と、アッパーカバー40、ロアーキャップ50とから構成されているが、ハウジングとしては、少なくとも周壁部と、仕切壁と、フロート弁支持部と、外側筒状部と、内側筒状部と、隔壁と、複数の部屋と、軸方向開口と、連通口とを有する構造であればよい。例えば、ハウジング本体自体が、単独で有底筒状をなすような構造(ハウジング本体とロアーキャップとが一体化したような構造)としてもよい。
【0088】
更に、この実施形態におけるフロート弁支持部51は、フロート弁を支持可能であればよく、ロアーキャップの軸方向の所定高さ位置に設けることができる。
【0089】
また、この実施形態におけるハウジング本体20の周壁部21や、アッパーカバー40の周壁部41等は、略円筒状をなしているが、例えば、楕円筒状や角筒状等であってもよい。
【0090】
更に、この実施形態においては、2個の弁室(第1弁室V1、第2弁室V2)や、2個の開口(第1開口23、第2開口24)、2個のフロート弁(第1フロート弁91、第2フロート弁92)を有する構造となっているが、弁室、開口、フロート弁がそれぞれ1個ずつ有する構造としてもよく、弁室、開口、フロート弁をそれぞれ3個以上有する構造としてもよい。
【0091】
また、この実施形態では、外側筒状部65は、4辺が丸みを帯びた略四角筒状をなし、
内側筒状部66は、異形の長尺筒状をなしているが、外側筒状部や内側筒状部としては、例えば、円筒状、楕円筒状、三角筒状、四角筒状、五角形以上の多角筒状をなしていてもよい。更に、両筒状部が互いに異なる形状をなしていてもよく、両筒状部が外径寸法の異なる同一形状(相似形状)をなしていてもよく、外側筒状部及び内側筒状部を有する二重筒形状であればよい。
【0092】
更に、この実施形態の場合、第1部屋が4個(第1部屋H1が2個、第1部屋H1´が2個)、第2部屋H2が2個となっているが、部屋は複数設けられていれば、何個であってもよく(複数の部屋を有していればよい)、また、各部屋の形状は、例えば、ハウジングを軸方向から見たときに、円形状、楕円形状、略小判形状、長孔状、矩形状、多角形状等であってもよい。
【0093】
また、この実施形態では、ハウジング11を軸方向から見たときに、第2部屋H2は、径方向内側部分に対して径方向外側部分が次第に拡開するように形成されているが(図6参照)、例えば、第1部屋側を上記の拡開形状としたり、第1部屋及び第2部屋の両方を上記の拡開形状としたりしてもよい。
【0094】
(作用効果)
次に、上記構造からなる弁装置10の作用効果について説明する。
【0095】
図3には、燃料タンク内に燃料が十分に給油されていない状態が示されている。この状態では、第1フロート弁91や第2フロート弁92が燃料に浸漬しておらず、両フロート弁91,91はそれぞれ自重で下降して、第1開口23や第2開口24が開くため、第1開口23を通じて第1弁室V1と通気室Rとが連通し、第2開口24を通じて第2弁室V2と通気室Rとが連通した状態となっている。
【0096】
図3に示す状態で燃料タンク内に燃料が給油されると、主として、燃料タンク内の空気が、ロアーキャップ50の各部屋H1,H1´,H2の軸方向下端部に設けた各軸方向開口80から、各部屋H1,H1´,H2内に流入して上方へと流通し、各部屋H1,H1´,H2の上方に設けられた連通口77を通過して、第1弁室V1内に流入する。
【0097】
第1弁室V1内に流入した空気は、第1フロート弁91と第1弁室形成壁58との隙間を通過して上方へと流れ、第1開口23から通気室R内に流入して、更に排出口41aや配管47を通って、燃料タンク外のキャニスタへと排出される。このように、燃料タンク内の空気が、燃料タンク外へ排出されることで、燃料タンク内に燃料を連続給油可能となっている。
【0098】
そして、図3に示す状態から、燃料タンク内に燃料が給油されていき、その燃料液面が、予め設定されたSOHに達したとき、すなわち、燃料液面が、ロアーキャップ50の各部屋H1,H1´,H2の軸方向下端部に設けた満タン規制開口をなす各軸方向開口80に達すると、各軸方向開口80が液没して、燃料タンク内と第1弁室V1との間の空気流通が遮断される(図7,8参照)。
【0099】
すると、各軸方向開口80内に流入した燃料が、各部屋H1,H1´,H2内で上昇していき、各部屋H1,H1´,H2の上方の連通口77を通って、第1弁室V1内に流入する。
【0100】
そして、第1フロート弁91が第1弁室V1内に流入した燃料に浸漬されると、第1付勢ばね13の付勢力及び第1フロート弁91自体の浮力によって、第1フロート弁91が上昇して、シール弁体96が第1開口23の弁座23aに当接して、第1開口23が閉塞される。その結果、第1開口23を通じての、第1弁室V1と通気室Rとの空気流通が遮断される。
【0101】
すると、燃料タンク内の圧力が上昇すると共に、燃料タンク内の燃料が、燃料タンク側面から斜め外方に延出した給油管を上昇して、給油ノズルの満タン検知センサに燃料が接触して、満タン検知がなされる。その結果、燃料タンク内への給油が停止されて、満タン規制がなされる。
【0102】
このとき、この弁装置10においては、ハウジング11は複数の部屋(H1,H1´,H2)を有しており、各部屋H1,H1´,H2の軸方向下端に、満タン規制開口をなす軸方向開口80がそれぞれ形成されているので、各部屋H1,H1´,H2の内面(外側筒状部65の内周面、内側筒状部66の外周面、隔壁75,76の外面)に作用する表面張力により、ハウジング11に複数の部屋が存在しない場合に比べて、満タン規制開口をなす軸方向開口80を塞ぎやすくすることができる。
【0103】
その結果、各部屋H1,H1´,H2の軸方向開口80から各部屋H1,H1´,H2内に流入した燃料が、各部屋H1,H1´,H2の内面を伝って(図7の矢印F参照)、スムーズに上昇させることができる(各部屋H1,H1´,H2の軸方向開口80に吸い込まれるようにして燃料が流入すると、当該燃料が各部屋H1,H1´,H2の内面に作用する表面張力によって、各部屋H1,H1´,H2の内面を伝ってスムーズに上昇する)。
【0104】
そのため、燃料は、各部屋H1,H1´,H2の軸方向上端に設けた連通口77を通じて、第1弁室V1内に迅速に流入されることになり、満タン検知性能(連続給油がこれ以上できないことを検知する性能)を向上させることができる。
【0105】
なお、第1弁室V1内に燃料が迅速に流入されることについては、次のように説明することもできる。
【0106】
すなわち、内側筒状部66は、その上方が閉塞されて、第1弁室V1には連通しない構成となっており、且つ、各部屋H1,H1´,H2の内部空間は第1弁室V1に連通しているので、給油時に燃料タンク内で上昇した燃料は、主として各部屋H1,H1´,H2の内面を伝って上昇することになる(内側筒状部66内では上昇しない)。
【0107】
そして、外側筒状部65と内側筒状部66とが隔壁で仕切られて、小さな小部屋状の複数の部屋(H1,H1´,H2)が画成されているので、燃料上昇時の燃料の体積が少なくても、各部屋H1,H1,H2の内面を伝って、燃料を上昇させやすくすることができ、第1弁室V1内に燃料を迅速に流入させることが可能となる。
【0108】
また、満タン規制開口をなす軸方向開口80には、燃料を吸いこむような吸引力が作用するところ、当該軸方向開口80は、外側筒状部65と内側筒状部66とが隔壁(第1隔壁75,第2隔壁76)で仕切られてなる各部屋H1,H1´,H2によって、その開口面積が、部屋H1,H1´,H2が存在しない場合の軸方向開口の開口面積と比べて小さく形成されている。そのため、各部屋の軸方向開口80における燃料の吸引量を、複数の部屋が存在しない場合の軸方向開口における燃料の吸引量と比べて、減らすことができる(吸引する燃料の体積を減らすことができる)。
【0109】
そのため、各部屋H1,H1´,H2の内面を伝って、燃料を上昇させやすくすることができ、第1弁室V1内に燃料を迅速に流入させることが可能となる。
【0110】
ところで、この弁装置10においては、上記のように、複数の小部屋(H1,H1´,H2)を有しているので、そのような小部屋が存在しない場合に比べて、次のような利点がもたらされる。
【0111】
すなわち、ハウジングの軸方向下端部が、単に軸方向下方が開口した筒状をなしているだけで、内側筒状部や隔壁がなく小部屋形状を有しない構造の場合、車両の傾きや、横転、反転等によって、燃料タンク自体が傾いた場合に、軸方向開口における下方部分は液没しやすいが、軸方向開口の上方部分は空隙が生じて液没しにくくなる。
【0112】
ここで、満タンを検知する際には、軸方向開口の全域が液没することが必要であるところ、上記のような場合には、開口の一部が液没しないため、満タン検知がなされない。すなわち、燃料タンクの傾き等によって、満タン検知性能にバラツキが生じる(満タン検知性能に方向性によるバラツキが生じる、とも言える)。
【0113】
これに対して、本発明においては、上述したように、複数の小部屋(H1,H1´,H2)を有しており、且つ、小部屋毎に軸方向開口80が設けられているので、燃料タンクが傾いたとしても、燃料が、各部屋H1,H1´,H2に、軸方向開口80を通じ流入し、且つ、各部屋内面を伝ってスムーズに流通して上昇するため、燃料タンクの傾き時における、満タン検知性能のバラツキを抑制することができる(以上、発明説明書の内容)。
【0114】
また、ハウジング11を軸方向から見たとき、複数の部屋のうち、所定の部屋の開口面積は、他の部屋の開口面積よりも小さく形成されている(ここでは、第2部屋H2側の軸方向開口80の開口面積は、第1部屋H1,H1´側の軸方向開口80の開口面積よりも小さく形成されている)。
【0115】
そのため、開口面積の大きな部屋によって、燃料タンク外と弁室内との通気性を維持しながらも(開口面積の大きな部屋の連通口は、開口面積の小さい部屋の連通口よりも大きく形成でき、通気性を維持しやすい)、開口面積の小さな部屋によって、上述したような理由(表面張力や吸引量の低下等)により満タン検知性能を高めることができるという、通気性維持と満タン検知性能向上との両立を図ることができる。
【0116】
また、この実施形態においては、図6に示すように、ハウジング11を軸方向から見たときに、複数の部屋(H1,H1´,H2)の少なくとも1つは、径方向内側部分に対して径方向外側部分が次第に拡開するように形成されている。ここでは、ハウジング11を構成するロアーキャップ50を軸方向から見たときに、第2部屋H2が、ロアーキャップ50の径方向内側部分に対して、ロアーキャップ50の径方向外側部分が次第に拡開するように形成されている。
【0117】
上記態様によれば、ハウジング11を軸方向から見たときに、複数の部屋の1つである第2部屋H2は、径方向内側部分に対して径方向外側部分が次第に拡開するように形成されているので、例えば、各第2部屋H2の径方向外側部分の拡開した箇所に、連通口77を配置するようにすれば、各第2部屋H2に連通口77を容易に形成することができる。なお、第1部屋のみが上記構成をなしている場合や、第1部屋及び第2部屋の両方が上記構成をなしている場合も、同様の効果が得られる。
【0118】
(燃料タンク用弁装置の他の実施形態)
図9~14には、本発明に係る燃料タンク用弁装置の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0119】
この実施形態の燃料タンク用弁装置10A(以下、単に「弁装置10A」ともいう)は、主として、ロアーキャップ50Aの形状・構造が、前記実施形態と異なっている。
【0120】
また、この実施形態におけるハウジング11Aは、略円筒状をなした周壁部21を設けたハウジング本体20Aと、その上方に装着されるアッパーカバー40と、ハウジング本体20Aの下方に装着されるロアーキャップ50Aとを有している。
【0121】
上記ハウジング本体20Aは、弁座25aを有する1個の開口25、及び、1個の弁室Vを有している。また、この弁装置10Aは、1個のフロート弁90を有している。なお、フロート弁90は、前記実施形態における第1フロート弁91と同様の構成となっている。更に、ハウジング本体20Aの周壁部21の内周には、軸方向に延びる複数のガイドリブ79が設けられている。これらのガイドリブ79により、フロート弁90の昇降動作がガイドされる。
【0122】
図9~12に示すように、前記ロアーキャップ50Aは、ハウジング本体20Aの周壁部21に適合する略円筒状をなした周壁部53を有している。この周壁部53の軸方向上端部は、やや拡径した形状をなしており、当該拡径部分の上方に係合孔53aが形成されている。
【0123】
また、図11に示すように、周壁部53の軸方向所定位置に、略円形板状をなしたフロート弁支持部51Aが配置されている。図13に示すように、このフロート弁支持部51Aの外周縁部からは、フロート弁支持部51Aの径方向中心(弁室Vの中心Cに一致する)に対して、複数の支持片51aが放射状に延びており、各支持片51aが周壁部53の内周に連結されている。その結果、フロート弁支持部51は、複数の支持片51aを介して、周壁部53の軸方向所定位置に支持される。
【0124】
なお、フロート弁支持部51Aの外周縁部と、周方向に隣接する支持片51a,51aと、周壁部53の内周との間には、円弧状に延びる連通口77が形成されるようになっている。
【0125】
そして、このフロート弁支持部51Aの下方であって、同フロート弁支持部51Aの外周縁部から軸方向下方に向けて、略円筒状をなした外側筒状部81が所定長さで延出している。この外側筒状部81は、その外周面が、周壁部53の外周面に沿って連続した形状(段差のない面一形状)となっている。
【0126】
また、外側筒状部81の内側であって、前記フロート弁支持部51Aの下面からは、異形筒状をなした内側筒状部82が延設されている。
【0127】
図12図13に示すように、この内側筒状部82は、ハウジング11Aの径方向内側に入り込むように屈曲する屈曲壁部84を有しており、該屈曲壁部84により凹状部86が形成(屈曲壁部84を介してハウジング11Aの径方向内側に凹む凹状部86が形成)され、図13に示すように、ハウジング11Aを軸方向から見たときに、凹状部86内に弾性片78が配置されている。
【0128】
より具体的には、この実施形態における内側筒状部82は、周方向に均等な間隔を空けて配置された複数(ここでは4個)の円弧状壁部83と、該円弧状壁部83の周方向両端部から、内側筒状部82の径方向内側に向けて次第に幅狭となるように、且つ、ロアーキャップ50Aの径方向内側に入り込むように屈曲して形成された一対の屈曲壁部84,84と、所定の円弧状壁部83の周方向一端部、及び、当該周方向一端部に隣接する、他の円弧状壁部83の周方向他端部に、それぞれ屈曲形成された屈曲壁部84,84どうしを互いに連結する、平坦面状をなした複数の連結壁部85(ここでは4個)とから構成されている。
【0129】
なお、ロアーキャップ50Aの径方向に対向する箇所に、互いに平行となるように一対の連結壁部85,85が配置されており、当該一対の連結壁部85,85に直交するように、もう一対の連結壁部85,85が互いに平行に配置されており、合計で4個の連結壁部85が配置されている(図13参照)。
【0130】
そして、連結壁部85及び一対の屈曲壁部84,84によって、周壁部53の径方向内方に凹んだ、凹状部86が形成されるようになっている。この凹状部86は、ロアーキャップ50Aの周方向に均等な間隔を空けて複数(ここでは4個)設けられている。また、この凹状部86は、内側筒状部82の軸方向下端から上端に亘って延びている(図14参照)。
【0131】
更に図13に示すように、所定の連通口77は、凹状部86内にも延びるスリット部分を有しており、これらにより撓み変形可能な弾性片78が形成されるようになっている。そして、図13に示すように、ハウジング11Aを構成するロアーキャップ50Aを軸方向から見たときに、凹状部86内に、弾性片78の、打音抑制機能を有する先端部(自由端部)が配置されている。
【0132】
なお、図12図13に示すように、内側筒状部82は、周方向に均等な箇所に、複数の凹状部86を設けた、異形円筒状をなしている、とも言える。
【0133】
また、図11図12に示すように、内側筒状部82の軸方向の下端と、外側筒状部81の軸方向の下端とは、前記実施形態における両筒状部65,66と同様に、同一の高さ位置であり、両筒状部81,82の軸方向下端の高さ位置は揃っている。
【0134】
更に、外側筒状部81及び内側筒状部82は、その軸方向上端(フロート弁支持部51の下端連結部分)から軸方向下端に至るまで、同一形状で延びている。
【0135】
図13には、内側筒状部82の外接円Pが図示されているが、フロート弁90の外径は、内側筒状部82の外接円Pの外径以下とされており、フロート弁90が、内側筒状部82の外接円Pの径方向外側には、はみ出ない構成となっている。この実施形態の場合、図13に示すように、フロート弁90を構成するフロート本体94の軸方向下端部における外径が、内側筒状部82の外接円Pの外径とほぼ同一となっている。
【0136】
また、図13に示すように、内側筒状部82の、各円弧状壁部83の外周面であって、周方向両端部よりもやや内側(屈曲壁部84よりも周方向内側)の位置で、且つ、フロート弁支持部51の支持片51aに整合する位置からは、フロート弁支持部51の径方向中心に対して放射状に延びて、外側筒状部81の内周面に連結する、複数の隔壁87が延びている。
【0137】
また、周方向に隣接配置された一対の隔壁87,87は、内側筒状部82の外周面から、外側筒状部81の内周面に向けて、次第に広がるように延びる、略ハの字状をなしている。
【0138】
そして、図13に示すように、外側筒状部81の内周や内側筒状部82の外周に沿って、第1部屋H1及び第2部屋H2が周方向に沿って交互に複数配置されている。ここでは第1部屋H1及び第2部屋H2は、それぞれ4個ずつ配置されている。
【0139】
より具体的には、図13に示すように、弾性片78を挟んで、凹状部86の周方向両側に位置する隔壁87,87と、これらの隔壁87,87に対応する位置に配置された外側筒状部81と、前記隔壁87,87に対応する位置に配置された内側筒状部82とから、第1部屋H1が画成されている。
【0140】
また、この第1部屋H1は、凹状部86によって形成された凹んだ空間と、略ハの字状をなすように延びる一対の隔壁87,87とによって形成された空間とからなり、ハウジング11Aを構成するロアーキャップ50Aを軸方向から見たときに、径方向内側部分に対して径方向外側部分が次第に拡開する構成となっている。
【0141】
一方、所定の第1部屋H1と、当該第1部屋H1に対して周方向に隣接する別の第1部屋H1との間に、第2部屋H2が画成されている。すなわち、弾性片78が存在しない箇所に位置する円弧状の連通口77の、周方向両側に位置する隔壁87,87と、これらの隔壁87,87に対応する位置に配置された外側筒状部81と、前記隔壁87,87に対応する位置に配置された内側筒状部82とから、第2部屋H2が画成されている。
【0142】
この第2部屋H2は、略ハの字状をなすように延びる一対の隔壁87,87によって形成された空間によって、ハウジング11Aを構成するロアーキャップ50Aを軸方向から見たときに、径方向内側部分に対して径方向外側部分が次第に拡開する構成となっている。
【0143】
すなわち、この実施形態では、第1部屋H1及び第2部屋H2の両方が、ハウジング11Aを軸方向から見たときに、径方向内側部分に対して径方向外側部分が次第に拡開するようになっている。
【0144】
また、各部屋H1,H2の軸方向上端には、連通口77がそれぞれ配置されており(図11参照)、各部屋H1,H2の軸方向下端には、軸方向開口80がそれぞれ形成されている(図11,12参照)。
【0145】
そして、この実施形態においては、前記実施形態と同様に、給油時における満タン検知の際に、各部屋H1,H2の軸方向開口80に流入した燃料を、各部屋H1,H2の内面に作用する表面張力により内面を伝ってスムーズに上昇させて(図14の矢印F参照)、軸方向開口80を塞ぎやすくすることができるので、満タン検知性能を向上させることができる。
【0146】
また、この実施形態においては、フロート弁90の外径は、内側筒状部82の外接円Pの外径以下とされているので、内側筒状部82の、軸方向の下方における開口面積を広く確保することができる。その結果、内側筒状部82の外周と、外側筒状部81の内周との間隔を狭くすることができるので、各部屋H1,H2の軸方向下端部に形成した軸方向開口80の開口面積を狭めることができ、燃料をより上昇させやすくすることができる。
【0147】
更に、この実施形態においては、フロート弁支持部51は、撓み変形可能な弾性片78を有しており、内側筒状部82は、ハウジング11Aの径方向内側に入り込むように屈曲する屈曲壁部84を有しており、該屈曲壁部84により凹状部86が形成(屈曲壁部84を介してハウジング11Aの径方向内側に凹む凹状部86が形成)され、図13に示すように、ハウジング11Aを軸方向から見たときに、凹状部86内に弾性片78が配置されている。
【0148】
上記態様によれば、上記のような構成を採用したことで、フロート弁90の、フロート弁支持部51の載置時における打音を抑制可能な、弾性片78を形成しやすくしながらも、内側筒状部82の軸方向下方における開口面積をなるべく広く確保して、その外周と外側筒状部81の内周との間隔を狭くして、各部屋H1,H2に設けた軸方向開口80の開口面積を狭めやすくなるため、燃料をより上昇させやすくさせることができる。
【0149】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0150】
10,10A 燃料タンク用弁装置(弁装置)
11,11A ハウジング
20,20A ハウジング本体
22 仕切壁
23 第1開口
24 第2開口
25 開口
40 アッパーカバー
50,50A ロアーキャップ
51,51A フロート弁支持部
53 周壁部
65 外側筒状部
66 内側筒状部
75 第1隔壁
76 第2隔壁
77 連通口
78 弾性片
80 軸方向開口
81 外側筒状部
82 内側筒状部
84 屈曲壁部
86 凹状部
87 隔壁
90 フロート弁
91 第1フロート弁
92 第2フロート弁
R 通気室
V 弁室
V1 第1弁室
V2 第2弁室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14