(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024122098
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】絶縁スペーサ及び絶縁スペーサの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 17/56 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
H01B17/56 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029442
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健次
(72)【発明者】
【氏名】増井 秀好
(72)【発明者】
【氏名】加藤 克巳
【テーマコード(参考)】
5G333
【Fターム(参考)】
5G333AA09
5G333AB05
5G333BA01
5G333CA01
5G333DA03
5G333DA04
5G333DA05
5G333DA21
5G333DA22
5G333DA23
5G333DA25
(57)【要約】
【課題】絶縁信頼性を良好に保つことができる絶縁スペーサを提供すること。
【解決手段】絶縁スペーサ(3)は、中心導体(11)を支持して中心導体の周囲に設けられ、中心導体と軸(A)方向が同一とされるコーン形状のスペーサ本体(12)を備えている。スペーサ本体は、軸方向に並ぶ頂部側領域(15)、中間領域(14)、底部側領域(16)により形成される。頂部側領域及び底部側領域はそれぞれ一定の比誘電率、頂部側領域は底部側領域より高い比誘電率とされる。中間領域は、頂部側領域との頂部側界面(14a)にて頂部側領域と同一の比誘電率に設定され、底部側領域との底部側界面(14b)にて底部側領域と同一の比誘電率に設定される。中間領域は、底部側界面から頂部側界面に向かって比誘電率が一定の上昇割合で高くなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心導体を支持して該中心導体の周囲に設けられ、該中心導体と軸方向が同一とされるコーン形状のスペーサ本体を備えた絶縁スペーサであって、
前記スペーサ本体は、前記軸方向の中間を形成する中間領域と、
前記中間領域から前記コーン形状の頂部に亘る範囲を形成する頂部側領域と、
前記中間領域から前記コーン形状の底部に亘る範囲を形成する底部側領域と、により形成され、
前記頂部側領域及び前記底部側領域はそれぞれ一定の比誘電率とされ、
前記頂部側領域は前記底部側領域より高い比誘電率とされ、
前記中間領域は、前記頂部側領域との界面にて該頂部側領域と同一の比誘電率に設定され、前記底部側領域との界面にて該底部側領域と同一の比誘電率に設定され、前記底部側領域との界面から前記頂部側領域との界面に向かって比誘電率が一定の上昇割合で高くなることを特徴とする絶縁スペーサ。
【請求項2】
前記軸方向にて、前記スペーサ本体の全体に対し、前記中間領域が占める割合が5%以上10%以下に設定されることを特徴とする請求項1に記載の絶縁スペーサ。
【請求項3】
前記軸方向にて、前記スペーサ本体の全体に対し、前記中間領域が占める割合が5%以上10%以下、前記底部側領域が占める割合が34%以上37%以下に設定されることを特徴とする請求項1に記載の絶縁スペーサ。
【請求項4】
前記軸方向にて、前記スペーサ本体の全体に対し、前記中間領域が占める割合が22%、前記底部側領域が占める割合が33%以上44%以下に設定されることを特徴とする請求項1に記載の絶縁スペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁スペーサに関し、特に、ガス絶縁開閉装置に用いられる絶縁スペーサ及び絶縁スペーサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、絶縁性ガスを封入した接地タンク内に固定される円錐形絶縁スペーサを開示している。かかる絶縁スペーサは、貫通導体と絶縁体とからなり、絶縁体は異なる誘電率を持つ複数の層からなる。異なる誘電率を持つ複数の層は、貫通導体から接地タンクに向けて誘電率の高い順に順次積層され、ガス絶縁機器のコンパクト化を図りつつ絶縁信頼性を保持しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、円錐形絶縁スペーサの凸面から数えて第一層目の絶縁体と第二層目の絶縁体の界面が、貫通導体の軸方向に対し垂直に形成された構成となっている。かかる構成では、絶縁信頼性を良好に保持すべく、絶縁体と絶縁性ガスとの界面等における電界強度を低減する観点から改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、絶縁信頼性を良好に保つことができる絶縁スペーサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における一態様の絶縁スペーサは、中心導体を支持して該中心導体の周囲に設けられ、該中心導体と軸方向が同一とされるコーン形状のスペーサ本体を備えた絶縁スペーサであって、前記スペーサ本体は、前記軸方向の中間を形成する中間領域と、前記中間領域から前記コーン形状の頂部に亘る範囲を形成する頂部側領域と、前記中間領域から前記コーン形状の底部に亘る範囲を形成する底部側領域と、により形成され、前記頂部側領域及び前記底部側領域はそれぞれ一定の比誘電率とされ、前記頂部側領域は前記底部側領域より高い比誘電率とされ、前記中間領域は、前記頂部側領域との界面にて該頂部側領域と同一の比誘電率に設定され、前記底部側領域との界面にて該底部側領域と同一の比誘電率に設定され、前記底部側領域との界面から前記頂部側領域との界面に向かって比誘電率が一定の上昇割合で高くなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スペーサ本体の表面等における電界強度の低減を図ることができ、絶縁信頼性を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】スペーサ本体の軸方向の位置と比誘電率との関係を示すグラフである。
【
図3】実施例1の絶縁スペーサ周りを概念的なモデルとして示す図である。
【
図4】実施例1の中間領域が占める範囲と電界強度との関係を示すグラフである。
【
図5】実施例2における底部側領域が占める範囲と電界強度との関係を示すグラフである。
【
図6】実施例3の絶縁スペーサ周りを概念的なモデルとして示す図である。
【
図7】実施例3における各モード及び各比較例の比誘電率の変化を示すグラフである。
【
図8】実施例3における各モード及び各比較例の電界強度の解析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態を説明する前に、本発明の実施の形態に至った経緯について説明する。
従来のガス絶縁開閉装置として、金属製の密封容器の中に高圧導体が配置された構造が知られている。このようなガス絶縁開閉装置において、高圧導体を密封容器の所定の位置に固定するための絶縁スペーサと呼ばれる固体絶縁物が用いられている。
【0010】
従来、一般的に用いられる円盤型の絶縁スペーサにおいては、中央部に高圧導体が設けられ、高圧導体を支持するように絶縁スペーサが設けられる。絶縁スペーサの周囲には金属フランジが取り付けられ、金属フランジにより、密封容器の連結フランジに挟まれて、密封容器に固定される。
【0011】
近年、より経済性が要求されるようになり、ガス絶縁開閉装置のコンパクト化が望まれている。従来の絶縁スペーサにおいては、SF6を主成分とする絶縁ガスと固体絶縁物の誘電率の違いを要因とするガス空間における電界集中等がコンパクト化の妨げとなっている。そこで、コンパクト化を図るため、コーン型絶縁スペーサの誘電率を軸方向に変化させることにより、その表面の沿面方向成分の電界を低減する検討がされている。
【0012】
このようなコーン型絶縁スペーサにおいては、高圧導体に接触する部位から接地側に向かって誘電率が低下するように誘電率が傾斜する絶縁体が採用される。かかる絶縁スペーサにおいては、コンパクト化も同時に向上させる必要があり、絶縁体と絶縁性ガスとの界面等における電界強度の低減について、より一層の改善が求められている。
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る絶縁スペーサが用いられるガス絶縁開閉装置(以下、単に「開閉装置」という)について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。
【0014】
図1は、実施の形態に係る開閉装置の断面図である。
図1に示すように、開閉装置1は、密封容器2と、密封容器2の内部に固定された絶縁スペーサ3と、絶縁スペーサ3の中心の両側に配置された高圧導体4(二点鎖線で図示)と備えている。密封容器2には、絶縁性ガスGとして乾燥空気やSF
6ガスが充填されている。
【0015】
絶縁スペーサ3の外周縁部には金属フランジ6が取り付けられており、金属フランジ6が密封容器2の連結フランジ7に挟まれることにより、絶縁スペーサ3が密封容器2に固定される。
【0016】
絶縁スペーサ3は、軸状に形成される中心導体11と、中心導体11を支持して中心導体11の周囲に設けられるスペーサ本体12とを備えている。スペーサ本体12は、中心導体11と軸A方向が同一とされるコーン状に形成されている。スペーサ本体12は、軸A方向に沿った一方の面が凸面C、他方の面が凹面Rに形成される。
【0017】
なお、図示した中心導体11及びスペーサ本体12の形状は、理解を容易にするために概略的に例示したに過ぎないものであり、軸A方向や径方向の寸法、厚み等が適宜変更される。また、絶縁スペーサ3は、単相型の構成について図示したが、三相一括型の絶縁スペーサに対し本実施の形態の構成を適用することができる。三相一括型の絶縁スペーサでは、中心導体11が3本に変更され、スペーサ本体12における3本の中心導体11それぞれの貫通部分がコーン状に形成される。
【0018】
スペーサ本体12は、軸A方向の中間となる範囲を形成する中間領域14を備えている。また、スペーサ本体12は、中間領域14からコーン形状の頂部12aに亘る範囲(中間領域14の
図1中右側に隣接する範囲)を形成する頂部側領域15と、中間領域14からコーン形状の底部12bに亘る範囲(中間領域14の
図1中左側に隣接する範囲)を形成する底部側領域16とを備えている。スペーサ本体12は、軸A方向にて頂部側領域15、中間領域14、底部側領域16の順に連なって形成される。頂部側領域15において中心導体11が支持され、中心導体11は、頂部側領域15に埋設される部分が大径化した形状に設けられている。
【0019】
中間領域14は、隣接する頂部側領域15との間に頂部側界面14aを有している。また、中間領域14は、隣接する底部側領域16との間に底部側界面14bを有している。頂部側界面14a及び底部側界面14bは、軸A方向に直交する面に対し、略平行に形成されていることが好ましい。
【0020】
スペーサ本体12は、各領域14~16にて所定の電界強度分布を与える比誘電率を備えている。更に述べると、頂部側領域15は一定の比誘電率とされ、底部側領域16も一定の比誘電率とされる。頂部側領域15は、底部側領域16より高い比誘電率とされる。
【0021】
中間領域14は、頂部側界面14aにて頂部側領域15と同一の比誘電率に設定される。また、中間領域14は、底部側界面14bにて底部側領域16と同一の比誘電率に設定される。中間領域14は、底部側界面14bから頂部側界面14aに向かって比誘電率が一定の上昇割合で高くなる。言い換えると、中間領域14は、軸A方向の変化量に対する比誘電率の変化量が概ね一定となり、傾斜した比誘電率に設定されている。
【0022】
図2は、スペーサ本体の軸方向の位置と比誘電率との関係を示すグラフである。
図2のグラフにて、縦軸が比誘電率となり、頂部側領域15の比誘電率ε
rt、底部側領域16の比誘電率ε
rbとしている。
【0023】
また、
図2のグラフにて、横軸は、軸A方向におけるスペーサ本体12での位置及び範囲を示す相対値となり、スペーサ本体12の軸A方向の全体寸法を100%とした場合の相対値となる。また、
図2のグラフの横軸は、軸A方向にて、スペーサ本体12の底部12bの位置を0%、頂部12aの位置を100%の位置として示している。更に、軸A方向にてスペーサ本体12の全体に対し、中間領域14が占める範囲(割合)をZc、底部側領域16が占める範囲(割合)をZbとして示している。
【0024】
図2のグラフで示すように、頂部側領域15は比誘電率ε
rtで一定とされ、底部側領域16は比誘電率ε
rbで一定とされ、比誘電率ε
rtが比誘電率ε
rbより高くなる(ε
rt>ε
rb)。中間領域14の頂部側界面14aでは比誘電率ε
rt、底部側界面14bでは比誘電率ε
rbに設定され、中間領域14は、底部側界面14bから頂部側界面14aに向かって一定の(直線的な)傾きとなる比誘電率傾斜をもっている。
【0025】
このようにスペーサ本体12の比誘電率を設定した構成にて、一例として有限要素法(FEM:finite element method)を用いて一般三次元電界解析を行い、電界緩和効果を求めた。かかる解析では、実施の形態の構成にて、比誘電率εrtを12、比誘電率εrbを4とした。また、解析を行う位置は、絶縁性ガスGと各導体4、11との界面にて電界強度が最大になる位置とし、本実施の形態では、スペーサ本体12の凹面R近傍に位置する高圧導体4の端部とした。なお、有限要素法を用いた電界解析は、例えば、市販のシミュレーションソフトウェアを用いて実施することができる。
【0026】
また、比較例として、実施の形態の構成に対し、スペーサ本体12の全てにおいて比誘電率を比誘電率εrb(=4)に変更したモデルを作成し、上記と同様に解析を行った。上記の解析結果から、比較例に比べて実施の形態の構成の方が最大18%の電界緩和効果が得られることを確認した。よって、実施の形態のようにスペーサ本体12の比誘電率を設定することで、絶縁性ガス中で絶縁破壊耐性を発揮して絶縁信頼性を良好に保つことが可能となる。
【0027】
次に、スペーサ本体12を構成する絶縁樹脂層の材料となる樹脂の成分とその特性について説明する。スペーサ本体12における中間領域14、頂部側領域15及び底部側領域16それぞれにあっては、単一の絶縁樹脂層によって形成してもよいし、軸A方向に複数の絶縁樹脂層を積層して形成してもよい。中間領域14のように、比誘電率に傾斜を持たせる目的で、比誘電率が異なる複数の絶縁樹脂層を積層して形成してもよい。この場合、接触して隣り合う2つの絶縁樹脂層の比誘電率及び組成が異なっていてもよい。なお、隣り合ってない2またはそれ以上の絶縁樹脂層の誘電率及び/または組成が同一に構成される場合を妨げるものでない。
【0028】
複数の絶縁樹脂層に共通して、各層を構成する樹脂は、注入時の条件において流体状の絶縁性樹脂である。このような樹脂は、熱硬化性樹脂と充填材とを含み、任意選択的に硬化剤、硬化促進剤、並びに添加剤を含んでもよく、加熱硬化されて絶縁スペーサ3として機能しうる、誘電率が3~40程度の樹脂であればよい。
【0029】
熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、あるいはそれらの混合物であってよい。熱硬化性樹脂は、好ましくは、エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂主剤と、硬化剤と、任意選択的に硬化促進剤とを含むことが好ましい。エポキシ樹脂主剤としては、脂肪族エポキシ、または脂環式エポキシ、あるいはこれらの混合物を用いることができる。脂肪族エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、ビスフェノールAD型エポキシ、ビフェニル型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシ、3官能以上の多官能型エポキシ等が挙げられるが、これらには限定されない。これらを単独で、または二種類以上混合して使用することができる。脂環式エポキシ樹脂としては、単官能型エポキシ、2官能型エポキシ、3官能以上の多官能型エポキシ等が挙げられるが、これらには限定されない。脂環式エポキシ樹脂も、単独で、または異なる二種以上の脂環式エポキシ樹脂を混合して用いることができる。
【0030】
樹脂には、任意選択的な成分として、熱硬化性樹脂の硬化剤を含んでもよい。硬化剤は、熱硬化性樹脂の主剤と反応し、硬化しうるものであれば特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂主剤の硬化剤としては、酸無水物系硬化剤を用いることが好ましい。酸無水物系硬化剤としては、例えば芳香族酸無水物、具体的には無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。あるいは、環状脂肪族酸無水物、具体的にはテトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸等、もしくは脂肪族酸無水物、具体的には無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物等を挙げることができるが、特には限定されない。硬化剤の添加量は、主剤の硬化に必要な量であってよく、主剤及び硬化剤の種類によっても異なるが、当業者が適宜決定することができる。
【0031】
また、樹脂には、任意選択的な成分として、熱硬化性樹脂の硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤としては、イミダゾールもしくはその誘導体、三級アミン、ホウ酸エステル、ルイス酸、有機金属化合物、有機酸金属塩等を適宜用いることができるが、特には限定されない。
【0032】
さらに、樹脂には、その特性を阻害しない範囲で、任意選択的な添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、難燃剤、樹脂を着色するための顔料、耐クラック性を向上するための可塑剤やシリコーンエラストマーが挙げられるが、これらには限定されない。
【0033】
充填材は、樹脂の比誘電率を所望の値とするように種類及び量を設計し、樹脂に含めることができる。充填材としては、絶縁性の無機充填材を用いることができる。比較的低誘電率の樹脂を調製するための充填材としては、下記に詳述する比誘電率が10未満の無機充填材を用いることができる。比較的高誘電率の樹脂を調製するための充填材としては、下記に詳述する比誘電率が10以上の無機充填材を用いることができる。比較的低誘電率の樹脂、比較的高誘電率の樹脂ともこれらの無機充填材を1種類もしくは2種類以上組合わせることにより、その比誘電率を調整する。本明細書において、比誘電率が10未満の無機充填材を低誘電率フィラー、比誘電率が10以上の無機充填材を高誘電率フィラーと指称する。
【0034】
本実施の形態によるコーン型の絶縁スペーサ3においては、複数の絶縁樹脂層の少なくとも1以上が、熱硬化樹脂主剤と、第1無機充填材と、第2無機充填材とを含んでなる。第1無機充填材は低誘電率フィラーのみ、高誘電率フィラーのみ、もしくは低誘電率フィラーと高誘電率フィラーとを組み合わせた2種類でもよく、さらに3種類以上でもよい。そして、第1無機充填材の平均粒子径は、第2無機充填材の平均粒子径よりも大きい。複数の絶縁樹脂層を構成する比誘電率を高く設計すべき層、比誘電率を低く設計すべき層、傾斜変化する比誘電率を設計すべき層のそれぞれにおいては、第1無機充填材を含み、かつ、ナノメータースケールの平均粒子径を有する第2無機充填材を充填することが好ましい。特には、中心導体11に接して導体/樹脂の界面の電界強度が高くなる絶縁樹脂層は、第1無機充填材と、第2無機充填材とを含む組成とすることが好ましい。しかし、全ての層において、第1無機充填材と第2無機充填材とを含んでもよい。
【0035】
第1無機充填材は、好ましくは、平均粒子径が0.1~100μmの無機充填材である。第2無機充填材は、好ましくは、平均粒子径が1~500nmの無機充填材である。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折法により測定した値をいうものとする。ただし、第1無機充填材の平均粒子径は、第2無機充填材の平均粒子径よりも大きいものとする。本明細書において、0.1~100μmの平均粒子径を有する充填材を、マイクロフィラーとも指称する。また、1~500nmの平均粒子径を有する充填材をナノフィラーとも指称する。そして、第1無機充填材は高誘電率フィラーであっても良く、または低誘電率フィラーとの組み合わせであっても良い。第2無機充填材は高誘電率フィラーであっても低誘電率フィラーであってもよい。高誘電率の第1無機充填材に、第2無機充填材を添加した高誘電率樹脂を用いることで、高誘電率の絶縁樹脂層を形成することができ、かつ絶縁破壊電圧の低下を抑制することができる。低誘電率の第1無機充填材に、第2無機充填材を添加した低誘電率樹脂を用いることで、低誘電率の絶縁樹脂層を形成することができる。複数の絶縁樹脂層のうち、誘電率を高く設計すべき層に高誘電率樹脂を適宜、低誘電率樹脂と組合わせて用いることが好ましい。
【0036】
高誘電率樹脂において、第2無機充填材は、高誘電率樹脂全体の体積を100%としたときに、0.1~20.0体積%の範囲で含んでもよく、0.1~10.0体積%とすることが好ましい。また、第1無機充填材は、高誘電率樹脂全体の体積を100%としたときに、4~80体積%の範囲で含んでもよい。ここでいう体積とは、熱硬化性樹脂の硬化前の体積をいうものとする。
【0037】
低誘電率フィラーとして用いることができる物質としては、例えば、シリカ、アルミナ(Al2O3)、ドロマイト(CaMg(CO3)2)、窒化ボロン、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維が挙げられるが、これらには限定されない。低誘電率フィラーの形状は、特には限定されず、球状、板状、針状、角状、中空状などであってよい。
【0038】
高誘電率フィラーとして用いることができる化合物としては、アルミナ(Al2O3)、ドロマイト(CaMg(CO3)2)、酸化チタン(IV)(TiO2、アナターゼ型TiO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)などが挙げられる。これらは、組成式がABO3で表記されるペロブスカイト型結晶構造を有しており、A元素としては、Ba、Pb、Laなど、B元素としてはTi、Zrなどが該当するが、これらには限定されない。また、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸鉛(PbNb2O6)、酸化ハフニウム(IV)(HfO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、イットリア(Y2O3)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化銅(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、シリコン(Si)、ダイヤモンドなどがある。高誘電率フィラーの形状も、特には限定されず、球状、板状、針状、角状、中空状などであってよい。また、高誘電率フィラーの形状は、低誘電率フィラーの形状とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0039】
高誘電率樹脂は、第1無機充填材と、第2無機充填材を、それぞれ、上記好ましい含有量範囲から選択される含有量にて含んでいればよい。したがって、第1無機充填材が、誘電率が同一または異なる2種以上の異なる高誘電率フィラーを含んでいてもよい。第2無機充填材が、誘電率が同一または異なる2種以上の異なる低誘電率または高誘電率フィラーを含んでいてもよい。第2無機充填材は、高誘電率フィラーと低誘電率フィラーとの両者を含んでいてもよい。また、高誘電率樹脂は、第1無機充填材と第2無機充填材に加えて、任意選択的に第3無機充填材を含んでいてもよい。第3無機充填材は、0.1~100μmの平均粒子径を有する、比誘電率が10未満もしくは比誘電率が10以上の無機粒子であってよく、シリカ、窒化ボロン、アルミナ、ドロマイトから選択される1以上の粒子であってよいが、これらには限定されない。第3無機充填材を含む場合は、第1無機充填材と第3無機充填材との総体積が、高誘電率樹脂全体の体積を100%としたときに、4~80体積%であることが好ましい。第1、第2及び任意選択的に第3無機充填材の化合物種、組成、並びに含有量を適宜組み合わせることで、絶縁スペーサ3を構成する絶縁樹脂層の数に合わせて、任意の誘電率をもつ樹脂を設計することができ、絶縁スペーサ3全体として、所望の誘電率の傾斜を実現することが可能である。したがって、複数の絶縁樹脂層のうち、全ての層が、第1無機充填材と第2無機充填材と第3無機充填材とを含んでいてもよく、複数の絶縁樹脂層のうち、一部の層、例えば、導体に接する層が第1無機充填材と第2無機充填材と第3無機充填材とを含んでいてもよい。
【0040】
高誘電率の絶縁樹脂層を形成するための充填材として、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等を熱硬化性樹脂に充填すると、絶縁破壊電圧が低下する場合がある。例えば、比誘電率が3~4程度であるエポキシ樹脂に高誘電率のマイクロサイズの充填材を配合すると、絶縁スペーサ3に電圧が印加された場合に、充填材とエポキシ樹脂界面に界面分極現象が生じ高電界となる。充填材の誘電率が高いほどこの界面分極現象は大きくなる。しかし、本発明によれば、高誘電率の絶縁樹脂層を形成するにあたって、上記の第1無機充填材と第2無機充填材と任意選択的に第3無機充填材とを併用した高誘電率樹脂を用いることにより、絶縁破壊電圧の低下を抑制することができる。
【0041】
本実施の形態による絶縁スペーサ3の製造方法について説明する。本実施の形態による絶縁スペーサ3は、注入用型に複数の絶縁樹脂層を構成する樹脂を、所定の積層順に注入する工程と、注入され、積層された樹脂を加熱硬化する工程とにより製造することができる。
【0042】
注入用型としては、鉛直方向下方に向かって凸状であり、凸状の底面中央部に中心導体11を設置可能なキャビティを備えるものを用いることができ、キャビティの形状は、所望のコーン型絶縁スペーサ3の形状に適合するように適宜設計することができる。樹脂の注入は、頂部側領域15を構成する樹脂から順に、所望の層厚さ、所望の順序となるように行うことができる。鉛直方向下方に向かって凸状の注入用型を用いて
図1に示す絶縁スペーサ3を製造する場合、頂部側領域15が最下層となり、中間領域14、底部側領域16を順にその上に上層として形成する。注入は、頂部側領域15には高誘電率樹脂を注入し、その上の中間領域14には高誘電率樹脂及び低誘電率樹脂を混練して注入するとよい。かかる混練にて、高誘電率樹脂の配合比が漸減しつつ低誘電率樹脂の配合比が漸増するよう各樹脂の供給量を制御することで中間領域14の傾斜変化する比誘電率に対応できる。中間領域14の上の底部側領域16には低誘電率樹脂を注入する。頂部側領域15、中間領域14、底部側領域16を構成する樹脂の注入は、連続して行ってもよいし、所定時間を空けて注入してもよい。
【0043】
他の注型方法としては、例えば、特開2020-138486号公報または特開2020-138487号公報に開示された方法にて製造することができるが、特定の注型方法には限定されない。また、本発明に係る絶縁スペーサ3は、本明細書で例示する方法には限定されず、積層型の絶縁スペーサ3について知られている任意の方法により製造することができる。
【0044】
複数の絶縁樹脂層を構成するすべての樹脂の注入後、加熱硬化の工程を行う。加熱の温度及び時間等の条件は、使用する熱硬化性樹脂の硬化条件に適合するように、当業者が適宜決定することができる。例えば、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、120~140℃程度で、1~5時間程度とすることができるが、特定の条件には限定されない。場合により、二段階の加熱による硬化を実施することもできる。また、加熱は、大気圧下で実施することもでき、減圧下で実施することもできる。
【実施例0045】
続いて、上記実施の形態における構成の条件を種々設定し、電界解析を行った実施例1~3について以下に説明する。なお、電界解析は、上述と同様に有限要素法を用いた一般三次元電界解析とした。
【0046】
[実施例1]
図3は、実施例1の絶縁スペーサ周りを概念的なモデルとして示す図である。
図3のモデルでは、絶縁スペーサ3周りについて軸Aから半分領域を図示し、コーン状のスペーサ本体12に対応する部分がハッチングで表されている。
図3にて、スペーサ本体12の左右両側には絶縁性ガスGとしてSF
6が充填され、スペーサ本体12及び絶縁性ガスGの上部に中心導体11及び高圧導体4が隣接している。中心導体11及び高圧導体4には所定の電圧が印加される。スペーサ本体12及び絶縁性ガスGの下部の破線より下方領域は接地電位に設定される。なお、上記の条件は、スペーサ本体12の形状が異なるものの後述する
図6のモデル(実施例3)も同様とされる。
【0047】
実施例1では、
図3のモデルにて、頂部側領域15の比誘電率ε
rtを12、底部側領域16の比誘電率ε
rbを4、中間領域14の比誘電率を4~12にて傾斜変化させた(
図3では各領域14~16を図示省略)。また、中間領域14が占める範囲Zcを複数の条件として電界解析を行い、比較例として、実施例1に対し、スペーサ本体12の全てにおいて比誘電率を比誘電率ε
rb(=4)に変更した条件にて電界解析を行った。
【0048】
電界強度の解析を行う位置は、
図3に示す解析点PT1、PT2とした。解析点PT1は、絶縁性ガスGと各導体4、11との界面にて電界強度が最大になる位置とした。解析点PT2は、絶縁性ガスGとスペーサ本体12の凸面Cとの界面にて電界強度が最大になる位置とした。
図4において、各解析点PT1、PT2での電界強度の解析結果を、符号PT1、PT2を付したグラフで示す。
【0049】
図4は、実施例1の中間領域が占める範囲と電界強度との関係を示すグラフである。
図4のグラフにて、縦軸が電界強度であり、横軸が軸A方向における中間領域14が占める範囲Zcである。縦軸の値は、比較例における解析点PT1の電界強度を1とした場合の相対値である。
【0050】
図4にて、解析点PT1のグラフは、中間領域14が占める範囲Zcが小さいほど良好な電界強度の解析結果となっており、特に、該範囲Zcが10%以下にて良好な電界強度の解析結果となっている。また、解析点PT2のグラフは、中間領域14が占める範囲Zcが5%付近から12%付近の間と52%以上にて良好な電界強度の解析結果となっている。よって、実施例1では、中間領域14が占める範囲Zcが5%以上10%以下(
図4の「Z1」)にて、両方の解析点PT1、PT2が良好な電界強度分布となり、絶縁性ガス中で絶縁破壊耐性を発揮して絶縁信頼性を良好に保つことが可能となる。
【0051】
[実施例2]
実施例2は、実施例1にて設定した中間領域14が占める範囲Zc(5%以上10%以下)の概ね中央値となる8.1%に設定し、底部側領域16が占める範囲Zbを複数の条件とし、これら以外は実施例1と同じ条件で電界解析を行った。また、比較例として、実施例2に対し、スペーサ本体12の全てにおいて比誘電率を比誘電率ε
rb(=4)に変更した条件にて電界解析を行った。
図5においても、各解析点PT1、PT2での電界強度の解析結果を、符号PT1、PT2を付したグラフで示す。
【0052】
図5は、実施例2における底部側領域が占める範囲と電界強度との関係を示すグラフである。
図5のグラフにて、縦軸が電界強度であり、横軸が軸A方向における底部側領域16が占める範囲Zbである。縦軸の値は、比較例における解析点PT1の電界強度を1とした場合の相対値である。
【0053】
図5にて、解析点PT1のグラフは、底部側領域16が占める範囲Zbが36%付近で最小となる電界強度の解析結果となっており、該範囲Zbが36%を挟む34%以上37%以下にて良好な電界強度の解析結果となっている。また、解析点PT2のグラフは、底部側領域16が占める範囲Zbが5%付近から30%付近まで概ね一定で良好な電界強度の解析結果となり、30%を超えると次第に電界強度が上昇している。よって、実施例2では、底部側領域16が占める範囲Zbが34%以上37%以下(
図5の「Z2」)にて、両方の解析点PT1、PT2が良好な電界強度分布となる。
【0054】
実施例2の中間領域14が占める範囲Zcは8.1%に設定されて5%以上10%以下の概ね中央値となるので、中間領域14が占める範囲Zcが5%以上10%以下、且つ、底部側領域16が占める範囲Zbが34%以上37%以下に設定されることで、両方の解析点PT1、PT2が良好な電界強度分布となる。このような電界強度分布とすることで、絶縁性ガス中で絶縁破壊耐性を発揮して絶縁信頼性を良好に保つことが可能となる。
【0055】
[実施例3]
図6は、実施例3の絶縁スペーサ周りを概念的なモデルとして示す図である。
図6のモデルでは、
図3のモデル(実施例1)に対しスペーサ本体12、中心導体11及び高圧導体4の形状が図示のように異なっている。
【0056】
実施例3では、
図6のモデルにて、頂部側領域15の比誘電率ε
rtを12、底部側領域16の比誘電率ε
rbを4、中間領域14の比誘電率を4~12にて傾斜変化させた(
図6では各領域14~16を図示省略)。また、実施例3では、
図6のモデルにて、中間領域14が占める範囲Zcを22%に設定し、且つ、底部側領域16が占める範囲ZbをモードM1~M5の複数の条件として電界解析を行った。また、実施例3に対する比較例1~3においても電界解析を行った。
【0057】
図7は、実施例3における各モード及び比較例2、3の比誘電率の変化を示すグラフである。
図7のグラフは、
図2のグラフと同じく縦軸が比誘電率、横軸が軸A方向におけるスペーサ本体12での位置及び範囲を示す相対値となる。
図7では、一例として、モードM2における中間領域14が占める範囲Zc、底部側領域16が占める範囲Zbを図示しており、各モード及び各比較例毎に、範囲Zbの大きさ及び範囲Zcの位置が異なっている。
図7のグラフに示すように、底部側領域16が占める範囲Zb(比誘電率ε
rbが一定の範囲)は、モードM1にて17%、モードM2にて33%、モードM3にて39%、モードM4にて44%、モードM5にて61%とした。
【0058】
図7にして図示していないが、比較例1は、実施例3に対し、スペーサ本体12の全てにおいて比誘電率を比誘電率ε
rb(=4)に変更した条件とした。比較例2は、実施例3に対し、スペーサ本体12の底部側領域16を形成しない構成(範囲Zbが0)とした。比較例3は、実施例3に対し、スペーサ本体12の頂部側領域15を形成しない構成(底部側領域16が占める範囲Zbが78%)とした。
【0059】
電界強度の解析を行う位置は、
図6に示す解析点PT3~PT5とした。解析点PT3は、絶縁性ガスGと各導体4、11との界面にて電界強度が最大になる位置とした。解析点PT4は、絶縁性ガスGとスペーサ本体12の凹面Rとの界面にて電界強度が最大になる位置とした。解析点PT5は、絶縁性ガスGとスペーサ本体12の凸面Cとの界面にて電界強度が最大になる位置とした。
図8において、各解析点PT3~PT5での電界強度の解析結果を、符号PT3~PT5を付したグラフで示す。
【0060】
図8は、実施例3における各モード及び各比較例の電界強度の解析結果を示すグラフである。
図8のグラフにて、縦軸が電界強度であり、縦軸の値は、比較例1における解析点PT3の電界強度を1とした場合の相対値である。
【0061】
図8にて、解析点PT5のグラフは、モードM1~M5の方が比較例1~3に比べて若干大きい電界強度となる場合があるが、解析点PT3、PT4のグラフは、比較例1~3に比べ、モードM1~M5が略同一の電界強度、またはモードM1~M5の方が小さい電界強度となる。特に、解析点PT3、PT4のグラフは、モードM2~M4にて電界強度が小さくなり、良好な電界強度の解析結果となっている。
【0062】
よって、実施例3では、モードM2~M4における底部側領域16が占める範囲Zbが33%以上44%以下であり、且つ、中間領域14が占める範囲Zcが22%にて良好な電界強度分布となり、絶縁性ガス中で絶縁破壊耐性を発揮して絶縁信頼性を良好に保つことが可能となる。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、向きなどについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0064】
上記実施の形態にて、電界解析が有限要素法を用いて行われる場合を説明したが、解析方法は特定の方法には限定されるものでなく、例えば、差分法、表面電荷法などの方法を用いて電界解析を行ってもよい。
【0065】
また、頂部側領域15の比誘電率εrt、底部側領域16の比誘電率εrbは、上述した値は一例に過ぎず、各種の条件に応じて適宜変化させてもよい。